台本概要

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タイトル ようこそ猫の手霊障事務所へ ~燃ゆる鎖~
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男2、女1、不問2)
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 自問自答の煤の中
繋がれた先はどこへ行く
燃ゆる鎖はいずこへ

※ようこそ ねこのて れいしょうじむしょへ もゆるくさり

2/13
※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡ください。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や、語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
99 木花臣(きのはな おみ)16~18歳 優しく穏やかな普通の高校生。ある事件がきっかけで事務所に入った。 元から霊力を持っているが使えない。
愛美 105 桜木愛美(さくらぎ めぐみ)16~18歳 オカルト大好きな高校生。ある事件がきっかけで事務所に入った。 影を纏い、そこから触手を出すことができる
猫又 不問 105 尻尾が4本ある隻眼の黒猫の妖怪。素直じゃない性格だが周りを気に掛ける優しさを持つ。尻尾に霊力を纏って攻撃をする。 ツナマヨが大好物。
サンズイ 121 普段はキャップを被った青年の姿をしている河童の妖怪。 水を用いた多様な攻撃をする。 冷凍されたキュウリが大好物。
火車 不問 64 中性的な見た目をした褐色肌の妖怪。 常に長い鎖を持ち、戦闘時にはその鎖の先に燃える車輪を出現させる。 淡々と自問自答を繰り返す。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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猫又:「おーい、ココ?どこだー?」 サンズイ:「おはようさん又っち。どしたの?」 猫又:「サンズイ。ココを見なかったか?見当たらないんだ。」 サンズイ:「え?ココなら今日から数日居ないって言ってたじゃん。忘れたの?」 猫又:「んな!聞いてないぞ!」 サンズイ:「昨日言ってたじゃーん!さては又っち…ツナマヨに夢中で聞いてなかったなぁ~?」 猫又:「んな…そ、そんな事はねぇ!」 サンズイ:「んもう、又っちったら~」 猫又:「ん?ってことは飯は…まさか…?」 サンズイ:「ココが居ないから、俺がご飯作るからな!期待しててくれよな!」 猫又:「んなぁああああああああ!!!?」 0: 0:下校時間 愛美:「おーみー!」 臣:「め、愛美!」 愛美:「お疲れ!今から事務所行くの?」 臣:「う、うん!愛美も?」 愛美:「うん!今日は部活も無いからね!」 臣:「そ、そうなんだー!」 愛美:「臣?なんか顔赤いよ?大丈夫?」 臣:「っ!だ、大丈夫!全然大丈夫だよ!」 愛美:「おでこ触るよ臣。」 臣:「うぇ!?」 愛美:「んー…熱はなさそうだけど…」 臣:「大丈夫だって!ほら早く事務所行こ!」 愛美:「そう?無理はしないでね?」 0:  臣:【N】この間の愛美悪霊化の件以来、僕はまともに愛美の顔を見る事が出来なくなった 臣:愛美の顔を見るとなぜか、顔が熱くなって胸がドキドキしてしまう…どうしてしまったんだろう… 0:  愛美:「ねぇ?聞いてる?」 臣:「え!?な、なに?」 愛美:「今聞いてなかったでしょ?」 臣:「ご、ごめん…なに?」 愛美:「もう…だからね、最近ボヤ騒ぎが多いよねって話。」 臣:「確かに…最近、近所でも原因不明の火事があったね…」 愛美:「私ね、今回のこのボヤ騒ぎは霊障だと思ってるの。」 臣:「え?悪霊の仕業って事?」 愛美:「うん。だって、明らかにおかしいでしょ?人為的な放火なら出火元が分かるはずなのに、何も分からないらしいし。」 臣:「確かに…」 愛美:「ココさん達なら何か分かるかな…」 臣:「もしかしたら既に調べてるかもね。さ、事務所についたし早速聞いてみようか。」 0:事務所のドアノブに手をかける臣 猫又:「んなぁああああ!!!!やめろ!サンズイ!!!!」 臣:「!!?」 愛美:「何事!?」 0:何かが乗ったスプーンを猫又に食べさせようとしているサンズイ サンズイ:「いいから!食べてよ又っちぃ~!」 猫又:「やめろ!サンズイ!その得体の知れない物をどけろ!」 サンズイ:「そんな事言わないでほらほら~!」 臣:「あの…これは一体…」 サンズイ:「およ?おみっちにめぐみんじゃーん!こーんちゃ!」 愛美:「え、えと…こ、こんちゃー…?」 臣:「それで、この状況は…?」 猫又:「…見ての通り、動物虐待だ。」 サンズイ:「人聞きが悪いな~又っち。せっかく丹精込めて作ったツナマヨをあーんってしてあげてたのに。」 猫又:「んな!どこがツナマヨだ!!どこが!」 愛美:「え!?その出来損ないのスライムみたいなのツナマヨだったんですか!?」 サンズイ:「いやん!めぐみん酷い!どっからどう見てもツナマヨっしょ!」 猫又:「これだからココが居ないのは面倒なんだ!」 臣:「え、ココさん居ないんですか?」 サンズイ:「そうなのよ。ちょっと仕事で数日空けるって昨日さ。」 猫又:「ココが居ないと飯作るやつがいねえんだ…」 愛美:「だからこんなスライムが…」 サンズイ:「又っちはこんなだから俺しかご飯作れないのよ。と言っても見ての通り俺も作るの苦手なんだけどな!」 猫又:「今日が俺の命日だ…浄化される…」 愛美:「…あの、もしよかったら…」 0: 0: 0:机の上に色とりどりの料理が並んでいる サンズイ:「うっひょおおおお!んまそおおお!」 臣:「さすが愛美!いつもお弁当も手づくりだから手慣れてるね。」 愛美:「えへへ、そこまで喜んで貰えるのは嬉しい。」 猫又:「おい女!早く食わせろ、早く飯を食わせろ!」 サンズイ:「又っちぃ…ツナマヨ食べた過ぎてヨダレ凄いよぉ~?」 猫又:「んな!そ、そんなことねえ!俺は口直しをしたいだけだ!」 愛美:「はいはい、食べていいよ猫又さん。」 猫又:「よしきた!もぐもぐもぐ……うめぇ…!!」 サンズイ:「俺も~いっただっきまーす!ばくっ、んんまあぁぁい!!!」 臣:「うん、美味しい!」 愛美:「良かった…たくさん食べてくださいね。」 サンズイ:「いやぁ~、めぐみんが代わりに作ってくれるって言ってもらえて良かったよ。」 愛美:「この間助けて貰ったお礼です、ココさんが居ない間の夜ご飯は私が作りに来ますからね。」 サンズイ:「なははは、助かるねぇ。」 猫又:「んぐんぐ…ゲテモノを食わなくていいのは助かる。」 臣:「ココさんは仕事…なんですよね?ここ以外にも他に事務所ってあるんですか?」 サンズイ:「んー、他に事務所があるのは聞いたことないな…ココは今回、この事務所を作った俺らのリーダーと会ってんのよん。」 臣:「え?ココさんがリーダーじゃないんですか?」 サンズイ:「いんや?ココはあくまで管理をしてるだけでリーダーではないよ。」 臣:「そうなんですね…」 サンズイ:「ちなみに、1番この事務所に長くいるのは又っちなんだよん。」 臣:「猫又さん?」 サンズイ:「そ、リーダーと一緒にこの事務所を設立したって聞いたよ。この事務所の名前に猫の手ってついているのは、又っちが関係してるらしいよぉ。」 愛美:「ああ…猫の手ってやっぱりそういう…」 猫又:「ふん…どうでもいいだろ。」 臣:「あの、リーダーってどんな方なんですか?」 猫又:「…ただの変態ジジイだ。」 サンズイ:「いやいや又っち~、それは言い過ぎっしょ。まあ、ちょこっとセクハラするお爺さんだけども。」 愛美:「そうなんだ…」 猫又:「ま、あの爺さんといえどもココにセクハラは出来ねえけどな。」 サンズイ:「バコーンって投げ飛ばされるからね。」 臣:「どんな人なんだろう…気になる…」 サンズイ:「そのうち会えると思うから、楽しみにしてて。」 0:夕方の市内チャイムが鳴る 愛美:「あ、もうこんな時間!臣、もう帰らないと!」 臣:「え?あ、そっか!ごめん、猫又さんサンズイさん!僕らもう行かなきゃ!」 サンズイ:「おー!またねおみっち、めぐみん!ご飯ありがとねん!」 猫又:「…女。また明日飯作りに来い。」 愛美:「はい、また明日作りに来ますね!」 0: 0: 0:夜道、帰り道を歩く2人 臣:「おなかいっぱいだね。」 愛美:「えへへ、皆に喜んでもらえて嬉しい。」 臣:「誰かに料理教わったの?」 愛美:「お母さんが料理上手でね、ちっちゃい頃から教えてもらってたの。」 臣:「そうなんだ、だから上手なんだね。美味しかったなぁ…また食べたいなぁ…」 愛美:「っ!じゃ、じゃあ今度私が臣のお弁当を…!!」 0:ジャラジャラと音が正面から聞こえてくる 臣:「なんだ…この音…?」 愛美:「何かが…引きずられてる…?」 臣:「だんだん近づいてくる…」 愛美:「臣!前から誰か…」 臣:「っ!」 火車:「…自分は…何の為に…自分は…」 臣:「…誰…ですか…あなたは…?」 火車:「誰…か……?自分は火車(かしゃ)…火の車で火車…」 愛美:「火車…?」 火車:「そう…自分は…火車…鎖に繋がれし火炎の妖怪…あの方に仕えしモノ…」 臣:「あの方…?」 愛美:「あなたは、悪霊なの…?でも悪霊は意思疎通が出来ないんじゃ…」 火車:「悪霊…人によってはそうではないかもしれない…だが人によってはそうかもしれない……な…!」 0:鎖を放つ火車、鎖の先端に燃える車輪が出現する 臣:「なっ!?」 愛美:「きゃっ!?」 火車:「よく躱した…が、次は当てる…」 愛美:「させないっ!はあぁ!」 0:愛美を薄い影が覆い、そこから触手を伸ばす 火車:「ほお…?」 愛美:「くっ…!重い…!」 臣:「愛美!」 愛美:「臣、お願い!サンズイさん達を呼んできて!」 臣:「で、でもそしたら愛美が!」 愛美:「なんとか耐えてみせるよ…!これでも戦えるようになったんだから!」 臣:「っでも…」 火車:「不安定な霊力制御…自分の攻撃を…防ぎきれるわけがない…!」 愛美:「きゃっ!?」 臣:「愛美!大丈夫!?」 愛美:「くっ…」 火車:「潰れろ。」 臣:「危ない!!」 サンズイ:「衝渦水壁(しょうかすいへき)!!」 0:渦巻いた水壁が燃える車輪を弾く 火車:「っ!?」 臣:「サンズイさん!」 愛美:「さ、サンズイさん…!?」 サンズイ:「ふぃー危ない所だったね、おふたりさん。怪我はないかい?」 愛美:「だ、大丈夫です…けど…なんでここに?」 サンズイ:「ちょーっと飲み物を買いにコンビニに行こうと思って、外に出てきただけなんだけどさ… サンズイ:それで?この熱そうなヨーヨーさんはどなた?」 臣:「火車…という妖怪だそうです。」 サンズイ:「火車…?」 火車:「お前は…河童…か…」 サンズイ:「どーも。河童のサンズイでーす。無駄な争いはしたくないから、このままお帰り頂けると嬉しいんだけど?」 火車:「それは…出来かねる……自分は…あの方から命じられた、為すべき事がある…」 サンズイ:「あの方…だと…?」 火車:「お前も……邪魔をするなら…ここで燃え尽きろ…!!」 臣:「サンズイさんっ!!」 サンズイ:「そんな見え見えの大ぶりな攻撃なんてっ!当たらんよーっと!」 火車:「…蛇頭烈華(じゃとうれっか)」 愛美:「鎖の軌道が!」 サンズイ:「なっ!?嘘だろ!?ぐはぁああっ!!」 臣:「サンズイさん!!くそ…!霊力があるのになんで僕はただ見てることしかできないんだ…!」 愛美:「大丈夫ですか!」 サンズイ:「あ、ああ…いててて…やりやがったな…」 愛美:「私も手伝います!!」 サンズイ:「めぐみん…あんがと!でも無茶はしないでねー!」 愛美:「はい!行きます!捕らえて!!」 サンズイ:「俺も行くぜ!湖仙水縛(こせんすいばく)!」 0:サンズイと愛美から放たれた触手が火車を捕らえる 火車:「…っ…この程度で自分の動きを封じる事が出来るとでも…?」 愛美:「くっ…だめ、もう…!」 サンズイ:「ダメだ…強い…!!」 火車:「お前らでは足止めにも……ならないっ!」 愛美:「きゃっ!」 サンズイ:「ぬわっ!」 臣:「捕縛が解けた…!」 火車:「爆ぜろ…!紅蓮花火(ぐれんはなび)!」 0:放たれた業火の車輪から爆炎がほとばしる サンズイ:「まずい…!衝渦水壁(しょうかすいへき)!」 火車:「…いつまで持つか…見物だな…!」 サンズイ:「ぐぐ…!」 臣:「サンズイさん…!」 愛美:「なんて威力なの…」 火車:「更に爆ぜろ…紅蓮花火(ぐれんはなび)!!」 サンズイ:「ぬうぅうぅう!!も、だめだ…!」 愛美:「更に炎の威力が増して…!」 火車:「終わりだ…!!!」 サンズイ:「ぐはぁぁぁあああ!!」 臣:「サンズイさぁぁあん!?」 愛美:「サンズイさん!!」 サンズイ:「…く…そっ……」 火車:「死ね…河童…」 猫又:「させるかよっ!仙狸(せんり)!」 火車:「っ…!?」 臣:「猫又さん!」 愛美:「猫又さん!!」 サンズイ:「…又っち……わりぃ…」 猫又:「帰りが遅いと思ったら…とんでもねえ奴と遊んでやがるとはな。」 火車:「…猫の妖怪か……」 猫又:「おい鎖。よくもやってくれやがったな…次は俺が…」 火車:「気が変わった…今日のところは引いてやる…」 猫又:「んな!逃がすわけねぇだろ!」 火車:「焼炎華壇(しょうえんかだん)」 0:火の壁が辺りを包む 猫又:「んなっ!」 臣:「あつっ…!?」 愛美:「なにこれ…!」 火車:「次会った時は…容赦しない…」 猫又:「待ちやがれ!!くそ…」 サンズイ:「………。」 0:次の日、事務所 猫又:「…おい、サンズイ。」 サンズイ:「……。」 猫又:「サンズイ。」 サンズイ:「……。」 猫又:「おい、バカ河童。」 サンズイ:「ぬおっ!?な、なにかな又っち?」 猫又:「なにかなじゃねえ。なーに呆けてやがる。」 サンズイ:「い、いや?なーんも?」 猫又:「んなわけねぇだろ。どうせ、昨日の事だろ。」 サンズイ:「っ…」 猫又:「…ま、無理もねえ。アイツの霊力はとんでもねぇ。悪霊化してた時の女以上だ。」 サンズイ:「…俺さぁ又っち…?」 猫又:「あ?」 サンズイ:「俺さぁ、めぐみんの時もそうだったけどさ…なんも出来なかった。」 猫又:「…。」 サンズイ:「落ちこぼれ妖怪の俺でもさ、足止め程度くらいは出来ると思ったんだけど…足止めすら出来ないくらい弱いんだって改めて痛感させられたよ…」 猫又:「……。」 サンズイ:「俺さ、もっと強くなりてぇよ…もっと強くなって、ココも又っちも、おみっちもめぐみんも守りたいんだよ…」 猫又:「…そうか。ならよ…」 サンズイ:「え?」 猫又:「もっとシャキっとしやがれバカ河童!!」 0:サンズイの顔面に前足を叩きつける サンズイ:「へぶっ!?」 猫又:「強くなりてぇなら、そんなウジウジしてんな!てめぇに似合わねぇんだよ!」 サンズイ:「又っち…」 猫又:「クヨクヨする暇なんかねぇだろ、あの鎖を倒してぇんなら…全員で攻略法を考えっぞ。」 サンズイ:「…へへ、ありがとな又っち。又っちって口悪いけど優しいよな。」 猫又:「んな!?そんなんじゃねえ、優しくねぇ!」 サンズイ:「なははは、おかげで元気が出たよ。」 猫又:「ふん、そうか。」 0: 0: 0:その夜 火車:「…自分は何の為に…あの方の為に…繋がれた鎖の為に…自分の為に…」 0:  0:  0:  0:事務所にて 猫又:「全員揃ったな。恐らく今夜もあの鎖はまた現れると思う。その為に全員で話し合いをしてぇ。」 サンズイ:「まさか又っちがそんな事を言うとは思わなかったよ。」 猫又:「うるせえ。状況が状況だからだ。」 臣:「それで、どうやって火車を倒すんですか…」 サンズイ:「追尾に爆炎、重い攻撃…隙のない攻撃ばかり…なんだよね。」 猫又:「厄介だな…」 愛美:「私とサンズイさんの捕縛もすぐに解除されましたし…」 臣:「ココさんに相談は出来ないんですか?」 サンズイ:「ココは山奥で電波の通じない所にいるんだ…」 猫又:「テレパシーと千里眼も範囲に限りがある。ココのいる所からは範囲外だ。」 臣:「そんな…せめて僕の霊力が安定して使えれば…」 愛美:「使えたのは私を助けてくれる時だけ…だったもんね。」 猫又:「使えんガキだ。」 臣:「う…」 サンズイ:「あのさ、おみっち。」 臣:「はい?」 サンズイ:「俺と…リンクしてくれないかな?」 臣:「…え?」 猫又:「んな!?お前そんな事したら…」 サンズイ:「分かってる、失敗するリスクがあるって。 サンズイ:でも、もしかしたらおみっちがまた戦えるかもしれないし、俺の霊力も又っちみたいに強まるかもしれない。」 猫又:「確かにコイツとリンクしてから俺の霊力は少し強くなったが…お前もそうなるとは限らねえ。それに…ガキの中には既に俺の霊力も混ざってんだ。 猫又:これ以上他のが混ざったらどうなるか分かんねぇ…それだけリンクはまだ未解明な部分が多いんだぞ。」 臣:「……。」 サンズイ:「………。」 愛美:「……。」 臣:「ぼ、僕やります。」 猫又:「んな!?お前今の俺の話聞いてたか!?」 臣:「聞いてました。聞いた上でやりたいんです。少しでも…僕は皆の役に立ちたいんです。」 猫又:「こんのバカガキ…」 サンズイ:「おみっち…俺が言っといてなんだけど……ホントにいいの?」 臣:「はい、いいんです一緒に戦いましょう!」 サンズイ:「おう…!ありがとうおみっち!」 0:臣とサンズイが手を握る 愛美:「臣、ほんとに大丈夫なの?」 臣:「大丈夫だよ、僕とサンズイさんを信じて。」 愛美:「うん…」 猫又:「ちっ…始めるぞお前ら。共通の目的を思考しろ。」 臣:「……。」 サンズイ:「……。」 猫又:「お前らは、何を目的にしている。」 臣:「……。」 サンズイ:「……。」 臣:「力が…みなぎってくる…」 サンズイ:「おお…リンク、成功したみたいだ…」 愛美:「良かったぁあ……」 猫又:「たく…ひやひやさせやがって…」 サンズイ:「およ?心配してくれてたの又っち?」 猫又:「んな!?んなわけねぇだろ!なめんな!」 愛美:「ふふ、可愛い猫又さん。」 猫又:「んな!?またこの女は…!」 0:外で大きな物音がする 臣:「なに!?」 愛美:「外から!?」 0: 0: 0:全員で外に出ると気を失った人を掴んでいる火車が立っている 猫又:「んな…あの鎖…!!」 サンズイ:「火車…!」 火車:「お前ら…また自分の邪魔…するのか?」 愛美:「あなた…その人をどうするつもり…!?」 火車:「どうする…か…無論、こうする…」 0:懐から黒い塊を取り出し、人質の胸に当てる 火車:「これが…あの方に命じられた…1つ…」 臣:「なっ……塊が…体を取り込んで…」 猫又:「あ、悪霊になっていく……だと…」 愛美:「火車…あなたなんて事を!」 サンズイ:「っ!!火車…!!」 火車:「あの方のご意向…自分が為すべき事……自分の存在理由…」 猫又:「なにをごちゃごちゃと…!!んんのやろおおおお!!!」 臣:「猫又さんっ!!」 火車:「お前の相手はコイツだ…いけ、悪霊…」 0:巨大な歪な悪霊が猫又を襲う 臣:「あの悪霊は…」 猫又:「ちいっ!おい女!こっち手伝え!」 愛美:「え!?あ、はい!!」 猫又:「サンズイ、ガキ!その鎖野郎は任せたぞ!」 サンズイ:「あいよ!任された!」 臣:「あ、はい!そっちも任せました!猫又さん!」 火車:「今度は容赦しないと言った…自分は何の為に…あの方の為に…お前らを焼き尽くす…」 サンズイ:「のぞむ所だっつーの!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 火車:「紅蓮花火(ぐれんはなび)」 0:水が熱で蒸発し水蒸気が辺りを包む サンズイ:「隙だらけだぜぇええ!水守之刃(みなかみのやいば)!!」 火車:「っ!!」 0:水の刃を火車が鎖で受け止める サンズイ:「やっと…捉えたぜ火車ぁ!」 火車:「昨夜より霊力が強くなっている…どんなカラクリだ…?」 サンズイ:「さーっね?教えてやんねーよ!いけ、おみっち!」 臣:「はい!!うおおお!仙狸(せんり)!」 火車:「がはっ…!!」 臣:「あ、当たった!」 サンズイ:「なーーいっすおみっち!やっぱ使えるようになるんだな!」 火車:「お前も…ただ見ていただけの人間…どうしてお前も…」 サンズイ:「だから教えてやんねえよ。お前はここで浄化されるんだしな!」 火車:「浄化…自分は浄化される為にここに居るのか?いや…違う…」 臣:「?」 火車:「自分は…なんの為に…そうだ、お前を……お前らを…!」 サンズイ:「っ!!?」 火車:「倒す為だっ!!!」 0:全身から高温のオーラを纏う火車 0:  0:  0:  愛美:「お、おっきい……こんなの…倒せるの…?」 猫又:「何ボサっとしてやがんだ!さっさと距離を置け!」 愛美:「えっ、あ、はい!!」 猫又:「女!コイツの動きを一旦止めろ!」 愛美:「は、はい!お願い、捕らえて!!」 0:触手が悪霊の体に巻き付く 猫又:「よし、良くやった!食らいやがれ…」 愛美:「危ない、猫又さん!」 0:悪霊の尻尾が伸びて猫又を攻撃する 猫又:「がぁあああ!」 愛美:「猫又さん!!」 猫又:「くそ…あいつ尻尾なんか生やしやがって…」 愛美:「大丈夫ですか…?」 猫又:「こんくらい屁でもねえ。んなことより、この悪霊…強さ自体は大したことねぇが尻尾生やしたりめんどくせえな。」 愛美:「私の触手でも抑えられるくらいですからね…火車にはすぐに私の触手は解かれましたし…」 猫又:「それだけアイツが強いって事か…」 愛美:「……。」 猫又:「…おい女。」 愛美:「は、はい。」 猫又:「お前、何本触手出せる?」 愛美:「え、えっと…2本だと思います…」 猫又:「もう1本出せるか?」 愛美:「うぇ!?や、やってみます…!」 0:力んで黒い影を纏い触手を出す愛美 愛美:「なんとか…1本…」 猫又:「他のより細いな…」 愛美:「すみません…」 猫又:「まあいい。これで勝てる見込みは上がった。」 愛美:「え?」 猫又:「さっさと準備しろ女。無理やり悪霊化させられたヒトを浄化して、眠りにつかせてやるぞ。」 0: 0: 0:燃え上がる車輪が縦横無尽に飛び回る サンズイ:「くっ!コイツ急に強く…!」 火車:「逃げ回ってても無駄…だあああ!!蛇頭烈華(じゃとうれっか)!!」 サンズイ:「しまっ!!」 臣:「仙狸(せんり)!!」 火車:「ちっ…!」 サンズイ:「助かった、ありがとうおみっち!」 臣:「油断しないでくださいねサンズイさん!」 サンズイ:「手厳しいねぇ、でもそうだね…コイツ相手に油断はマジでやばいかんね…」 火車:「喋ってる暇はないぞ、紅蓮花火(ぐれんはなび)!!」 サンズイ:「衝渦水壁(しょうかすいへき)!長くは持たないかんねおみっち!」 臣:「はいっ!」 火車:「回り込んでくることくらい分かっている。焼炎華壇(しょうえんかだん)!」 0:火車の周りを炎が囲む 臣:「あつっ!?」 サンズイ:「あんにゃろ…攻防完璧かよ…」 火車:「いくら霊力が高まった所で、お前らでは自分には勝てない。」 サンズイ:「すっかり話し方まで変わっちゃってさ。」 火車:「今の自分は目的を得ている。遂行する為なら燃え尽きるのも覚悟している。」 臣:「僕らを倒す為に全力って事か…」 サンズイ:「愛されてんねぇ…俺ら…」 火車:「無駄口はここで終いだ。次で…お前らを灰にしてやる……心の準備はいいか。」 臣:「鎖と車輪の炎が更に大きく……」 サンズイ:「これは…ちとやばいね……」 0:  0:  0:  猫又:「女!悪霊をさっきみたいに拘束しろ!」 愛美:「は、はい!!捕らえて!!」 0:悪霊が暴れまわる 愛美:「だめ、動き回って狙いが定まらない…」 猫又:「んにゃろ!このデカブツ!」 愛美:「…っお願い、捕らえて…!!」 0:触手が悪霊の足に絡みつき転倒させる 愛美:「や、やった!」 猫又:「よし、良くやった女!」 愛美:「っ!また尻尾が生えてきます!」 猫又:「追加した触手でそれを抑えろ!」 愛美:「え!?でも、こんな細いのじゃ…」 猫又:「いいからやれ!」 愛美:「は、はいっ!おねがい、抑えて!」 0:悪霊の尻尾を細い触手が絡まり抑える 愛美:「くっ…だめ、あまり持ちそうにないです…」 猫又:「上出来だ!少しでも時間さえかせげりゃいい!」 愛美:「もう限界です!」 猫又:「行くぞ悪霊!喰らいやがれ!仙狸(せんり)!!」 愛美:「悪霊が苦しんで…っ!猫又さん、背中に青いコアが出てきました!」 猫又:「浄化させて楽にしてやる、悪霊……!」 愛美:「尻尾金色に輝いて…」 猫又:「喰らえ!金華猫(きんかびょう)!!」 0:金色に輝く4本の尻尾が青いコアを破壊し、落ちたコアの欠片を食べる猫又 猫又:「…理不尽に堕ちたヒト、せめて安らかに眠れ…」 愛美:「猫又さん……」 猫又:「……休んでる暇はないぞ女。サンズイの元へ急ぐぞ。」 愛美:「あ、は、はい…あっ…」 猫又:「おい、女!?」 愛美:「すみません…なんかふらついてしまって…」 猫又:「まだ慣れない霊力制御で疲弊したか。」 愛美:「すみません…」 猫又:「しゃーねぇ…お前はしばらく休んでから来い。」 愛美:「はい、わかりました。…猫又さん。」 猫又:「なんだ。」 愛美:「気をつけてくださいね。」 猫又:「……ふんっ。」 0: 0: サンズイ:「どんどん霊力が膨れ上がっていく…まずいな…」 臣:「…サンズイさん。」 サンズイ:「おみっち?」 臣:「1つ、案と呼べるものではないですが…考えがあります。」 サンズイ:「…うっし。その案に乗った!」 臣:「まだ何も言ってないですよ…?」 サンズイ:「おみっちなら信用できっから大丈夫!んでも、一応聞いておこうか。」 臣:「…はは。そうですね…僕がサンズイさんの力を使って、アイツの威力を抑えます。なので…すいませんがその後はお願いします…!」 サンズイ:「へへ…だいぶパワープレイだねぇ……でも、いいね!好きだよそーゆーの。」 臣:「僕もです…!」 火車:「猶予は与えた。尻尾を巻いて逃げなかったのは褒めてやる…だがその命を無駄にしたな。」 サンズイ:「へへ、お前のその炎、俺の水で消してやるよ!」 火車:「面白い、ならばやってみろ!灰燼(かいじん)と化せ!曼殊灼華(まんじゅしゃげ)!!!」 0:巨大な業火の車輪が解き放たれる 臣:「サンズイさん力を借ります!」 サンズイ:「おうよ!」 0:臣の体を水のようなエネルギーが包む 臣:「はぁあああ!水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 火車:「その程度で止められるとでも!!」 臣:「くっ…うううう!!」 火車:「燃えろ人間!」 臣:「う…サンズイさん!」 サンズイ:「おうっ!任せろ!俺の全身全霊…瀑流喝破(ばくりゅうかっぱ)ぁああああ!!」 0:超高圧の水が口から噴射され車輪と打ち合う 火車:「くっ、河童…!!まだだ、更に燃え上がれ!!曼殊灼華(まんじゅしゃげ)!!」 サンズイ:「まだこんなパワーあんの…かよ…!!」 火車:「お前の水如きに、自分の炎は消されはしない!」 サンズイ:「うおりゃああああ!!」 火車:「はぁあああああ!!」 臣:「うっ…すごい…衝撃だ…」 サンズイ:「や、やっべぇ…押される…」 火車:「良くここまで耐えた!だが、ここまでのようだな!」 猫又:「そんなことはねぇよ!猫の手貸してやるよ!仙狸(せんり)!」 火車:「なっ!?」 臣:「猫又さん!」 サンズイ:「今だ、押し流せ!瀑流喝破(ばくりゅうかっぱ)ぁあああ!!」 火車:「っ!!ぐ、くそ…押され……」 サンズイ:「終わりだああああ!!」 火車:「く、そ……ぐぁあああああああ!!」 0:水流に押し流される火車 サンズイ:「はぁ…はあ…」 臣:「やりましたね…サンズイさん。」 サンズイ:「なん…とかね…」 火車:「ぐ……」 猫又:「おい鎖、てめぇまだ息あんのか。」 火車:「……まだ、自分は…負けるわけにはいかない…」 臣:「まだ…やる気なのか…」 猫又:「やるってんなら相手になってやるよ…!」 火車:「…だが、自分もさすがに消耗した……今日はここで引いてやる…」 猫又:「あ?逃がすわけ…」 サンズイ:「又っち…今日はもういい…」 猫又:「ああ?サンズイ、お前何言ってんだ!」 サンズイ:「こっちも皆もう動けないっしょ、流石に勝てっこないって…」 臣:「猫又さん、ここは引きましょう…」 猫又:「ちっ…わーったよ。」 サンズイ:「ほら火車、もうどこにでも行きな。できれば金輪際会いたくないけども。」 火車:「…河童。」 サンズイ:「…なにさ。」 火車:「…またいずれ…この借りを返す……必ずな…」 0:火に包まれ消えていく火車 サンズイ:「…だから、会いたくないっての……」 臣:「消えた……」 サンズイ:「やっと撃退できたぁ…」 猫又:「お、おいお前らっ!?」 臣:「あはは…すみません…猫又さん…終わったと思ったら腰が抜けて…」 サンズイ:「同じくぅ~」 愛美:「みんな!!」 臣:「愛美!」 サンズイ:「めぐみーん!」 猫又:「…女、もういいのか。」 愛美:「はい、おかげさまで。…みんな大丈夫?」 サンズイ:「腰抜けちゃったけど、なんとかね。」 愛美:「よかった…えっと火車は…」 サンズイ:「頑張って皆で追い返してやったよ。」 愛美:「そうなんですね!!よかったぁ…」 臣:「愛美も腰抜けちゃってんじゃん。」 愛美:「しょうがないでしょ~…すっごく怖かったんだから…」 サンズイ:「めぐみんも初戦闘なのに、無事でよかったよ。頑張ったね!」 愛美:「えへへ、ありがとうございます。」 猫又:「…アイツは次いつ攻めてくるのか…それにあの方とやらに仕えているとも言っていた。 猫又:他にも火車級、またはそれ以上の強力な奴が控えている可能性もある…」 臣:「もしそうなら…僕らは…勝てるんでしょうか…」 愛美:「…火車1人でやっとだもんね…」 猫又:「弱気だな、怖いなら後ろに引っ込んでろガキ共。」 臣:「うっ…」 サンズイ:「まあまあ!大丈夫よ!もしまたアイツやアイツみたいなのが来ても俺らならどうにかできるって!」 猫又:「たく…お前という奴は…」 愛美:「わ、私も!サンズイさんのように私もそう思います!皆ならきっと大丈夫!」 臣:「愛美…うん、そうだよね…僕もそう思います!」 猫又:「お前ら……はあ、んじゃあ…また来た時の為に今より特訓しておかねぇとな。」 サンズイ:「おほ、又っちやる気になったね!」 猫又:「んな!別にそうじゃねぇ!死なれたら困るからだ!」 サンズイ:「またまた~」 愛美:「猫又さんは猫又さんなりに心配してるんですよね?」 猫又:「んなな!!そんなことねえっての!!」 愛美:「可愛い猫又さん。」 猫又:「女てめぇ…地味にココに似てきやがったな…」 臣:「そうだ!次はココさんにも相談しましょう!皆でもっと強くなる為の方法を皆で考えましょう!」 サンズイ:「おほ、いいねぇ!次も絶対、俺らの事務所をみんなで守ろうな!」 0:  0:  0:  火車:「……次は…次こそは……必ず… 火車:あの方の為に…自分の為に……この鎖の為に……」 0:

猫又:「おーい、ココ?どこだー?」 サンズイ:「おはようさん又っち。どしたの?」 猫又:「サンズイ。ココを見なかったか?見当たらないんだ。」 サンズイ:「え?ココなら今日から数日居ないって言ってたじゃん。忘れたの?」 猫又:「んな!聞いてないぞ!」 サンズイ:「昨日言ってたじゃーん!さては又っち…ツナマヨに夢中で聞いてなかったなぁ~?」 猫又:「んな…そ、そんな事はねぇ!」 サンズイ:「んもう、又っちったら~」 猫又:「ん?ってことは飯は…まさか…?」 サンズイ:「ココが居ないから、俺がご飯作るからな!期待しててくれよな!」 猫又:「んなぁああああああああ!!!?」 0: 0:下校時間 愛美:「おーみー!」 臣:「め、愛美!」 愛美:「お疲れ!今から事務所行くの?」 臣:「う、うん!愛美も?」 愛美:「うん!今日は部活も無いからね!」 臣:「そ、そうなんだー!」 愛美:「臣?なんか顔赤いよ?大丈夫?」 臣:「っ!だ、大丈夫!全然大丈夫だよ!」 愛美:「おでこ触るよ臣。」 臣:「うぇ!?」 愛美:「んー…熱はなさそうだけど…」 臣:「大丈夫だって!ほら早く事務所行こ!」 愛美:「そう?無理はしないでね?」 0:  臣:【N】この間の愛美悪霊化の件以来、僕はまともに愛美の顔を見る事が出来なくなった 臣:愛美の顔を見るとなぜか、顔が熱くなって胸がドキドキしてしまう…どうしてしまったんだろう… 0:  愛美:「ねぇ?聞いてる?」 臣:「え!?な、なに?」 愛美:「今聞いてなかったでしょ?」 臣:「ご、ごめん…なに?」 愛美:「もう…だからね、最近ボヤ騒ぎが多いよねって話。」 臣:「確かに…最近、近所でも原因不明の火事があったね…」 愛美:「私ね、今回のこのボヤ騒ぎは霊障だと思ってるの。」 臣:「え?悪霊の仕業って事?」 愛美:「うん。だって、明らかにおかしいでしょ?人為的な放火なら出火元が分かるはずなのに、何も分からないらしいし。」 臣:「確かに…」 愛美:「ココさん達なら何か分かるかな…」 臣:「もしかしたら既に調べてるかもね。さ、事務所についたし早速聞いてみようか。」 0:事務所のドアノブに手をかける臣 猫又:「んなぁああああ!!!!やめろ!サンズイ!!!!」 臣:「!!?」 愛美:「何事!?」 0:何かが乗ったスプーンを猫又に食べさせようとしているサンズイ サンズイ:「いいから!食べてよ又っちぃ~!」 猫又:「やめろ!サンズイ!その得体の知れない物をどけろ!」 サンズイ:「そんな事言わないでほらほら~!」 臣:「あの…これは一体…」 サンズイ:「およ?おみっちにめぐみんじゃーん!こーんちゃ!」 愛美:「え、えと…こ、こんちゃー…?」 臣:「それで、この状況は…?」 猫又:「…見ての通り、動物虐待だ。」 サンズイ:「人聞きが悪いな~又っち。せっかく丹精込めて作ったツナマヨをあーんってしてあげてたのに。」 猫又:「んな!どこがツナマヨだ!!どこが!」 愛美:「え!?その出来損ないのスライムみたいなのツナマヨだったんですか!?」 サンズイ:「いやん!めぐみん酷い!どっからどう見てもツナマヨっしょ!」 猫又:「これだからココが居ないのは面倒なんだ!」 臣:「え、ココさん居ないんですか?」 サンズイ:「そうなのよ。ちょっと仕事で数日空けるって昨日さ。」 猫又:「ココが居ないと飯作るやつがいねえんだ…」 愛美:「だからこんなスライムが…」 サンズイ:「又っちはこんなだから俺しかご飯作れないのよ。と言っても見ての通り俺も作るの苦手なんだけどな!」 猫又:「今日が俺の命日だ…浄化される…」 愛美:「…あの、もしよかったら…」 0: 0: 0:机の上に色とりどりの料理が並んでいる サンズイ:「うっひょおおおお!んまそおおお!」 臣:「さすが愛美!いつもお弁当も手づくりだから手慣れてるね。」 愛美:「えへへ、そこまで喜んで貰えるのは嬉しい。」 猫又:「おい女!早く食わせろ、早く飯を食わせろ!」 サンズイ:「又っちぃ…ツナマヨ食べた過ぎてヨダレ凄いよぉ~?」 猫又:「んな!そ、そんなことねえ!俺は口直しをしたいだけだ!」 愛美:「はいはい、食べていいよ猫又さん。」 猫又:「よしきた!もぐもぐもぐ……うめぇ…!!」 サンズイ:「俺も~いっただっきまーす!ばくっ、んんまあぁぁい!!!」 臣:「うん、美味しい!」 愛美:「良かった…たくさん食べてくださいね。」 サンズイ:「いやぁ~、めぐみんが代わりに作ってくれるって言ってもらえて良かったよ。」 愛美:「この間助けて貰ったお礼です、ココさんが居ない間の夜ご飯は私が作りに来ますからね。」 サンズイ:「なははは、助かるねぇ。」 猫又:「んぐんぐ…ゲテモノを食わなくていいのは助かる。」 臣:「ココさんは仕事…なんですよね?ここ以外にも他に事務所ってあるんですか?」 サンズイ:「んー、他に事務所があるのは聞いたことないな…ココは今回、この事務所を作った俺らのリーダーと会ってんのよん。」 臣:「え?ココさんがリーダーじゃないんですか?」 サンズイ:「いんや?ココはあくまで管理をしてるだけでリーダーではないよ。」 臣:「そうなんですね…」 サンズイ:「ちなみに、1番この事務所に長くいるのは又っちなんだよん。」 臣:「猫又さん?」 サンズイ:「そ、リーダーと一緒にこの事務所を設立したって聞いたよ。この事務所の名前に猫の手ってついているのは、又っちが関係してるらしいよぉ。」 愛美:「ああ…猫の手ってやっぱりそういう…」 猫又:「ふん…どうでもいいだろ。」 臣:「あの、リーダーってどんな方なんですか?」 猫又:「…ただの変態ジジイだ。」 サンズイ:「いやいや又っち~、それは言い過ぎっしょ。まあ、ちょこっとセクハラするお爺さんだけども。」 愛美:「そうなんだ…」 猫又:「ま、あの爺さんといえどもココにセクハラは出来ねえけどな。」 サンズイ:「バコーンって投げ飛ばされるからね。」 臣:「どんな人なんだろう…気になる…」 サンズイ:「そのうち会えると思うから、楽しみにしてて。」 0:夕方の市内チャイムが鳴る 愛美:「あ、もうこんな時間!臣、もう帰らないと!」 臣:「え?あ、そっか!ごめん、猫又さんサンズイさん!僕らもう行かなきゃ!」 サンズイ:「おー!またねおみっち、めぐみん!ご飯ありがとねん!」 猫又:「…女。また明日飯作りに来い。」 愛美:「はい、また明日作りに来ますね!」 0: 0: 0:夜道、帰り道を歩く2人 臣:「おなかいっぱいだね。」 愛美:「えへへ、皆に喜んでもらえて嬉しい。」 臣:「誰かに料理教わったの?」 愛美:「お母さんが料理上手でね、ちっちゃい頃から教えてもらってたの。」 臣:「そうなんだ、だから上手なんだね。美味しかったなぁ…また食べたいなぁ…」 愛美:「っ!じゃ、じゃあ今度私が臣のお弁当を…!!」 0:ジャラジャラと音が正面から聞こえてくる 臣:「なんだ…この音…?」 愛美:「何かが…引きずられてる…?」 臣:「だんだん近づいてくる…」 愛美:「臣!前から誰か…」 臣:「っ!」 火車:「…自分は…何の為に…自分は…」 臣:「…誰…ですか…あなたは…?」 火車:「誰…か……?自分は火車(かしゃ)…火の車で火車…」 愛美:「火車…?」 火車:「そう…自分は…火車…鎖に繋がれし火炎の妖怪…あの方に仕えしモノ…」 臣:「あの方…?」 愛美:「あなたは、悪霊なの…?でも悪霊は意思疎通が出来ないんじゃ…」 火車:「悪霊…人によってはそうではないかもしれない…だが人によってはそうかもしれない……な…!」 0:鎖を放つ火車、鎖の先端に燃える車輪が出現する 臣:「なっ!?」 愛美:「きゃっ!?」 火車:「よく躱した…が、次は当てる…」 愛美:「させないっ!はあぁ!」 0:愛美を薄い影が覆い、そこから触手を伸ばす 火車:「ほお…?」 愛美:「くっ…!重い…!」 臣:「愛美!」 愛美:「臣、お願い!サンズイさん達を呼んできて!」 臣:「で、でもそしたら愛美が!」 愛美:「なんとか耐えてみせるよ…!これでも戦えるようになったんだから!」 臣:「っでも…」 火車:「不安定な霊力制御…自分の攻撃を…防ぎきれるわけがない…!」 愛美:「きゃっ!?」 臣:「愛美!大丈夫!?」 愛美:「くっ…」 火車:「潰れろ。」 臣:「危ない!!」 サンズイ:「衝渦水壁(しょうかすいへき)!!」 0:渦巻いた水壁が燃える車輪を弾く 火車:「っ!?」 臣:「サンズイさん!」 愛美:「さ、サンズイさん…!?」 サンズイ:「ふぃー危ない所だったね、おふたりさん。怪我はないかい?」 愛美:「だ、大丈夫です…けど…なんでここに?」 サンズイ:「ちょーっと飲み物を買いにコンビニに行こうと思って、外に出てきただけなんだけどさ… サンズイ:それで?この熱そうなヨーヨーさんはどなた?」 臣:「火車…という妖怪だそうです。」 サンズイ:「火車…?」 火車:「お前は…河童…か…」 サンズイ:「どーも。河童のサンズイでーす。無駄な争いはしたくないから、このままお帰り頂けると嬉しいんだけど?」 火車:「それは…出来かねる……自分は…あの方から命じられた、為すべき事がある…」 サンズイ:「あの方…だと…?」 火車:「お前も……邪魔をするなら…ここで燃え尽きろ…!!」 臣:「サンズイさんっ!!」 サンズイ:「そんな見え見えの大ぶりな攻撃なんてっ!当たらんよーっと!」 火車:「…蛇頭烈華(じゃとうれっか)」 愛美:「鎖の軌道が!」 サンズイ:「なっ!?嘘だろ!?ぐはぁああっ!!」 臣:「サンズイさん!!くそ…!霊力があるのになんで僕はただ見てることしかできないんだ…!」 愛美:「大丈夫ですか!」 サンズイ:「あ、ああ…いててて…やりやがったな…」 愛美:「私も手伝います!!」 サンズイ:「めぐみん…あんがと!でも無茶はしないでねー!」 愛美:「はい!行きます!捕らえて!!」 サンズイ:「俺も行くぜ!湖仙水縛(こせんすいばく)!」 0:サンズイと愛美から放たれた触手が火車を捕らえる 火車:「…っ…この程度で自分の動きを封じる事が出来るとでも…?」 愛美:「くっ…だめ、もう…!」 サンズイ:「ダメだ…強い…!!」 火車:「お前らでは足止めにも……ならないっ!」 愛美:「きゃっ!」 サンズイ:「ぬわっ!」 臣:「捕縛が解けた…!」 火車:「爆ぜろ…!紅蓮花火(ぐれんはなび)!」 0:放たれた業火の車輪から爆炎がほとばしる サンズイ:「まずい…!衝渦水壁(しょうかすいへき)!」 火車:「…いつまで持つか…見物だな…!」 サンズイ:「ぐぐ…!」 臣:「サンズイさん…!」 愛美:「なんて威力なの…」 火車:「更に爆ぜろ…紅蓮花火(ぐれんはなび)!!」 サンズイ:「ぬうぅうぅう!!も、だめだ…!」 愛美:「更に炎の威力が増して…!」 火車:「終わりだ…!!!」 サンズイ:「ぐはぁぁぁあああ!!」 臣:「サンズイさぁぁあん!?」 愛美:「サンズイさん!!」 サンズイ:「…く…そっ……」 火車:「死ね…河童…」 猫又:「させるかよっ!仙狸(せんり)!」 火車:「っ…!?」 臣:「猫又さん!」 愛美:「猫又さん!!」 サンズイ:「…又っち……わりぃ…」 猫又:「帰りが遅いと思ったら…とんでもねえ奴と遊んでやがるとはな。」 火車:「…猫の妖怪か……」 猫又:「おい鎖。よくもやってくれやがったな…次は俺が…」 火車:「気が変わった…今日のところは引いてやる…」 猫又:「んな!逃がすわけねぇだろ!」 火車:「焼炎華壇(しょうえんかだん)」 0:火の壁が辺りを包む 猫又:「んなっ!」 臣:「あつっ…!?」 愛美:「なにこれ…!」 火車:「次会った時は…容赦しない…」 猫又:「待ちやがれ!!くそ…」 サンズイ:「………。」 0:次の日、事務所 猫又:「…おい、サンズイ。」 サンズイ:「……。」 猫又:「サンズイ。」 サンズイ:「……。」 猫又:「おい、バカ河童。」 サンズイ:「ぬおっ!?な、なにかな又っち?」 猫又:「なにかなじゃねえ。なーに呆けてやがる。」 サンズイ:「い、いや?なーんも?」 猫又:「んなわけねぇだろ。どうせ、昨日の事だろ。」 サンズイ:「っ…」 猫又:「…ま、無理もねえ。アイツの霊力はとんでもねぇ。悪霊化してた時の女以上だ。」 サンズイ:「…俺さぁ又っち…?」 猫又:「あ?」 サンズイ:「俺さぁ、めぐみんの時もそうだったけどさ…なんも出来なかった。」 猫又:「…。」 サンズイ:「落ちこぼれ妖怪の俺でもさ、足止め程度くらいは出来ると思ったんだけど…足止めすら出来ないくらい弱いんだって改めて痛感させられたよ…」 猫又:「……。」 サンズイ:「俺さ、もっと強くなりてぇよ…もっと強くなって、ココも又っちも、おみっちもめぐみんも守りたいんだよ…」 猫又:「…そうか。ならよ…」 サンズイ:「え?」 猫又:「もっとシャキっとしやがれバカ河童!!」 0:サンズイの顔面に前足を叩きつける サンズイ:「へぶっ!?」 猫又:「強くなりてぇなら、そんなウジウジしてんな!てめぇに似合わねぇんだよ!」 サンズイ:「又っち…」 猫又:「クヨクヨする暇なんかねぇだろ、あの鎖を倒してぇんなら…全員で攻略法を考えっぞ。」 サンズイ:「…へへ、ありがとな又っち。又っちって口悪いけど優しいよな。」 猫又:「んな!?そんなんじゃねえ、優しくねぇ!」 サンズイ:「なははは、おかげで元気が出たよ。」 猫又:「ふん、そうか。」 0: 0: 0:その夜 火車:「…自分は何の為に…あの方の為に…繋がれた鎖の為に…自分の為に…」 0:  0:  0:  0:事務所にて 猫又:「全員揃ったな。恐らく今夜もあの鎖はまた現れると思う。その為に全員で話し合いをしてぇ。」 サンズイ:「まさか又っちがそんな事を言うとは思わなかったよ。」 猫又:「うるせえ。状況が状況だからだ。」 臣:「それで、どうやって火車を倒すんですか…」 サンズイ:「追尾に爆炎、重い攻撃…隙のない攻撃ばかり…なんだよね。」 猫又:「厄介だな…」 愛美:「私とサンズイさんの捕縛もすぐに解除されましたし…」 臣:「ココさんに相談は出来ないんですか?」 サンズイ:「ココは山奥で電波の通じない所にいるんだ…」 猫又:「テレパシーと千里眼も範囲に限りがある。ココのいる所からは範囲外だ。」 臣:「そんな…せめて僕の霊力が安定して使えれば…」 愛美:「使えたのは私を助けてくれる時だけ…だったもんね。」 猫又:「使えんガキだ。」 臣:「う…」 サンズイ:「あのさ、おみっち。」 臣:「はい?」 サンズイ:「俺と…リンクしてくれないかな?」 臣:「…え?」 猫又:「んな!?お前そんな事したら…」 サンズイ:「分かってる、失敗するリスクがあるって。 サンズイ:でも、もしかしたらおみっちがまた戦えるかもしれないし、俺の霊力も又っちみたいに強まるかもしれない。」 猫又:「確かにコイツとリンクしてから俺の霊力は少し強くなったが…お前もそうなるとは限らねえ。それに…ガキの中には既に俺の霊力も混ざってんだ。 猫又:これ以上他のが混ざったらどうなるか分かんねぇ…それだけリンクはまだ未解明な部分が多いんだぞ。」 臣:「……。」 サンズイ:「………。」 愛美:「……。」 臣:「ぼ、僕やります。」 猫又:「んな!?お前今の俺の話聞いてたか!?」 臣:「聞いてました。聞いた上でやりたいんです。少しでも…僕は皆の役に立ちたいんです。」 猫又:「こんのバカガキ…」 サンズイ:「おみっち…俺が言っといてなんだけど……ホントにいいの?」 臣:「はい、いいんです一緒に戦いましょう!」 サンズイ:「おう…!ありがとうおみっち!」 0:臣とサンズイが手を握る 愛美:「臣、ほんとに大丈夫なの?」 臣:「大丈夫だよ、僕とサンズイさんを信じて。」 愛美:「うん…」 猫又:「ちっ…始めるぞお前ら。共通の目的を思考しろ。」 臣:「……。」 サンズイ:「……。」 猫又:「お前らは、何を目的にしている。」 臣:「……。」 サンズイ:「……。」 臣:「力が…みなぎってくる…」 サンズイ:「おお…リンク、成功したみたいだ…」 愛美:「良かったぁあ……」 猫又:「たく…ひやひやさせやがって…」 サンズイ:「およ?心配してくれてたの又っち?」 猫又:「んな!?んなわけねぇだろ!なめんな!」 愛美:「ふふ、可愛い猫又さん。」 猫又:「んな!?またこの女は…!」 0:外で大きな物音がする 臣:「なに!?」 愛美:「外から!?」 0: 0: 0:全員で外に出ると気を失った人を掴んでいる火車が立っている 猫又:「んな…あの鎖…!!」 サンズイ:「火車…!」 火車:「お前ら…また自分の邪魔…するのか?」 愛美:「あなた…その人をどうするつもり…!?」 火車:「どうする…か…無論、こうする…」 0:懐から黒い塊を取り出し、人質の胸に当てる 火車:「これが…あの方に命じられた…1つ…」 臣:「なっ……塊が…体を取り込んで…」 猫又:「あ、悪霊になっていく……だと…」 愛美:「火車…あなたなんて事を!」 サンズイ:「っ!!火車…!!」 火車:「あの方のご意向…自分が為すべき事……自分の存在理由…」 猫又:「なにをごちゃごちゃと…!!んんのやろおおおお!!!」 臣:「猫又さんっ!!」 火車:「お前の相手はコイツだ…いけ、悪霊…」 0:巨大な歪な悪霊が猫又を襲う 臣:「あの悪霊は…」 猫又:「ちいっ!おい女!こっち手伝え!」 愛美:「え!?あ、はい!!」 猫又:「サンズイ、ガキ!その鎖野郎は任せたぞ!」 サンズイ:「あいよ!任された!」 臣:「あ、はい!そっちも任せました!猫又さん!」 火車:「今度は容赦しないと言った…自分は何の為に…あの方の為に…お前らを焼き尽くす…」 サンズイ:「のぞむ所だっつーの!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 火車:「紅蓮花火(ぐれんはなび)」 0:水が熱で蒸発し水蒸気が辺りを包む サンズイ:「隙だらけだぜぇええ!水守之刃(みなかみのやいば)!!」 火車:「っ!!」 0:水の刃を火車が鎖で受け止める サンズイ:「やっと…捉えたぜ火車ぁ!」 火車:「昨夜より霊力が強くなっている…どんなカラクリだ…?」 サンズイ:「さーっね?教えてやんねーよ!いけ、おみっち!」 臣:「はい!!うおおお!仙狸(せんり)!」 火車:「がはっ…!!」 臣:「あ、当たった!」 サンズイ:「なーーいっすおみっち!やっぱ使えるようになるんだな!」 火車:「お前も…ただ見ていただけの人間…どうしてお前も…」 サンズイ:「だから教えてやんねえよ。お前はここで浄化されるんだしな!」 火車:「浄化…自分は浄化される為にここに居るのか?いや…違う…」 臣:「?」 火車:「自分は…なんの為に…そうだ、お前を……お前らを…!」 サンズイ:「っ!!?」 火車:「倒す為だっ!!!」 0:全身から高温のオーラを纏う火車 0:  0:  0:  愛美:「お、おっきい……こんなの…倒せるの…?」 猫又:「何ボサっとしてやがんだ!さっさと距離を置け!」 愛美:「えっ、あ、はい!!」 猫又:「女!コイツの動きを一旦止めろ!」 愛美:「は、はい!お願い、捕らえて!!」 0:触手が悪霊の体に巻き付く 猫又:「よし、良くやった!食らいやがれ…」 愛美:「危ない、猫又さん!」 0:悪霊の尻尾が伸びて猫又を攻撃する 猫又:「がぁあああ!」 愛美:「猫又さん!!」 猫又:「くそ…あいつ尻尾なんか生やしやがって…」 愛美:「大丈夫ですか…?」 猫又:「こんくらい屁でもねえ。んなことより、この悪霊…強さ自体は大したことねぇが尻尾生やしたりめんどくせえな。」 愛美:「私の触手でも抑えられるくらいですからね…火車にはすぐに私の触手は解かれましたし…」 猫又:「それだけアイツが強いって事か…」 愛美:「……。」 猫又:「…おい女。」 愛美:「は、はい。」 猫又:「お前、何本触手出せる?」 愛美:「え、えっと…2本だと思います…」 猫又:「もう1本出せるか?」 愛美:「うぇ!?や、やってみます…!」 0:力んで黒い影を纏い触手を出す愛美 愛美:「なんとか…1本…」 猫又:「他のより細いな…」 愛美:「すみません…」 猫又:「まあいい。これで勝てる見込みは上がった。」 愛美:「え?」 猫又:「さっさと準備しろ女。無理やり悪霊化させられたヒトを浄化して、眠りにつかせてやるぞ。」 0: 0: 0:燃え上がる車輪が縦横無尽に飛び回る サンズイ:「くっ!コイツ急に強く…!」 火車:「逃げ回ってても無駄…だあああ!!蛇頭烈華(じゃとうれっか)!!」 サンズイ:「しまっ!!」 臣:「仙狸(せんり)!!」 火車:「ちっ…!」 サンズイ:「助かった、ありがとうおみっち!」 臣:「油断しないでくださいねサンズイさん!」 サンズイ:「手厳しいねぇ、でもそうだね…コイツ相手に油断はマジでやばいかんね…」 火車:「喋ってる暇はないぞ、紅蓮花火(ぐれんはなび)!!」 サンズイ:「衝渦水壁(しょうかすいへき)!長くは持たないかんねおみっち!」 臣:「はいっ!」 火車:「回り込んでくることくらい分かっている。焼炎華壇(しょうえんかだん)!」 0:火車の周りを炎が囲む 臣:「あつっ!?」 サンズイ:「あんにゃろ…攻防完璧かよ…」 火車:「いくら霊力が高まった所で、お前らでは自分には勝てない。」 サンズイ:「すっかり話し方まで変わっちゃってさ。」 火車:「今の自分は目的を得ている。遂行する為なら燃え尽きるのも覚悟している。」 臣:「僕らを倒す為に全力って事か…」 サンズイ:「愛されてんねぇ…俺ら…」 火車:「無駄口はここで終いだ。次で…お前らを灰にしてやる……心の準備はいいか。」 臣:「鎖と車輪の炎が更に大きく……」 サンズイ:「これは…ちとやばいね……」 0:  0:  0:  猫又:「女!悪霊をさっきみたいに拘束しろ!」 愛美:「は、はい!!捕らえて!!」 0:悪霊が暴れまわる 愛美:「だめ、動き回って狙いが定まらない…」 猫又:「んにゃろ!このデカブツ!」 愛美:「…っお願い、捕らえて…!!」 0:触手が悪霊の足に絡みつき転倒させる 愛美:「や、やった!」 猫又:「よし、良くやった女!」 愛美:「っ!また尻尾が生えてきます!」 猫又:「追加した触手でそれを抑えろ!」 愛美:「え!?でも、こんな細いのじゃ…」 猫又:「いいからやれ!」 愛美:「は、はいっ!おねがい、抑えて!」 0:悪霊の尻尾を細い触手が絡まり抑える 愛美:「くっ…だめ、あまり持ちそうにないです…」 猫又:「上出来だ!少しでも時間さえかせげりゃいい!」 愛美:「もう限界です!」 猫又:「行くぞ悪霊!喰らいやがれ!仙狸(せんり)!!」 愛美:「悪霊が苦しんで…っ!猫又さん、背中に青いコアが出てきました!」 猫又:「浄化させて楽にしてやる、悪霊……!」 愛美:「尻尾金色に輝いて…」 猫又:「喰らえ!金華猫(きんかびょう)!!」 0:金色に輝く4本の尻尾が青いコアを破壊し、落ちたコアの欠片を食べる猫又 猫又:「…理不尽に堕ちたヒト、せめて安らかに眠れ…」 愛美:「猫又さん……」 猫又:「……休んでる暇はないぞ女。サンズイの元へ急ぐぞ。」 愛美:「あ、は、はい…あっ…」 猫又:「おい、女!?」 愛美:「すみません…なんかふらついてしまって…」 猫又:「まだ慣れない霊力制御で疲弊したか。」 愛美:「すみません…」 猫又:「しゃーねぇ…お前はしばらく休んでから来い。」 愛美:「はい、わかりました。…猫又さん。」 猫又:「なんだ。」 愛美:「気をつけてくださいね。」 猫又:「……ふんっ。」 0: 0: サンズイ:「どんどん霊力が膨れ上がっていく…まずいな…」 臣:「…サンズイさん。」 サンズイ:「おみっち?」 臣:「1つ、案と呼べるものではないですが…考えがあります。」 サンズイ:「…うっし。その案に乗った!」 臣:「まだ何も言ってないですよ…?」 サンズイ:「おみっちなら信用できっから大丈夫!んでも、一応聞いておこうか。」 臣:「…はは。そうですね…僕がサンズイさんの力を使って、アイツの威力を抑えます。なので…すいませんがその後はお願いします…!」 サンズイ:「へへ…だいぶパワープレイだねぇ……でも、いいね!好きだよそーゆーの。」 臣:「僕もです…!」 火車:「猶予は与えた。尻尾を巻いて逃げなかったのは褒めてやる…だがその命を無駄にしたな。」 サンズイ:「へへ、お前のその炎、俺の水で消してやるよ!」 火車:「面白い、ならばやってみろ!灰燼(かいじん)と化せ!曼殊灼華(まんじゅしゃげ)!!!」 0:巨大な業火の車輪が解き放たれる 臣:「サンズイさん力を借ります!」 サンズイ:「おうよ!」 0:臣の体を水のようなエネルギーが包む 臣:「はぁあああ!水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 火車:「その程度で止められるとでも!!」 臣:「くっ…うううう!!」 火車:「燃えろ人間!」 臣:「う…サンズイさん!」 サンズイ:「おうっ!任せろ!俺の全身全霊…瀑流喝破(ばくりゅうかっぱ)ぁああああ!!」 0:超高圧の水が口から噴射され車輪と打ち合う 火車:「くっ、河童…!!まだだ、更に燃え上がれ!!曼殊灼華(まんじゅしゃげ)!!」 サンズイ:「まだこんなパワーあんの…かよ…!!」 火車:「お前の水如きに、自分の炎は消されはしない!」 サンズイ:「うおりゃああああ!!」 火車:「はぁあああああ!!」 臣:「うっ…すごい…衝撃だ…」 サンズイ:「や、やっべぇ…押される…」 火車:「良くここまで耐えた!だが、ここまでのようだな!」 猫又:「そんなことはねぇよ!猫の手貸してやるよ!仙狸(せんり)!」 火車:「なっ!?」 臣:「猫又さん!」 サンズイ:「今だ、押し流せ!瀑流喝破(ばくりゅうかっぱ)ぁあああ!!」 火車:「っ!!ぐ、くそ…押され……」 サンズイ:「終わりだああああ!!」 火車:「く、そ……ぐぁあああああああ!!」 0:水流に押し流される火車 サンズイ:「はぁ…はあ…」 臣:「やりましたね…サンズイさん。」 サンズイ:「なん…とかね…」 火車:「ぐ……」 猫又:「おい鎖、てめぇまだ息あんのか。」 火車:「……まだ、自分は…負けるわけにはいかない…」 臣:「まだ…やる気なのか…」 猫又:「やるってんなら相手になってやるよ…!」 火車:「…だが、自分もさすがに消耗した……今日はここで引いてやる…」 猫又:「あ?逃がすわけ…」 サンズイ:「又っち…今日はもういい…」 猫又:「ああ?サンズイ、お前何言ってんだ!」 サンズイ:「こっちも皆もう動けないっしょ、流石に勝てっこないって…」 臣:「猫又さん、ここは引きましょう…」 猫又:「ちっ…わーったよ。」 サンズイ:「ほら火車、もうどこにでも行きな。できれば金輪際会いたくないけども。」 火車:「…河童。」 サンズイ:「…なにさ。」 火車:「…またいずれ…この借りを返す……必ずな…」 0:火に包まれ消えていく火車 サンズイ:「…だから、会いたくないっての……」 臣:「消えた……」 サンズイ:「やっと撃退できたぁ…」 猫又:「お、おいお前らっ!?」 臣:「あはは…すみません…猫又さん…終わったと思ったら腰が抜けて…」 サンズイ:「同じくぅ~」 愛美:「みんな!!」 臣:「愛美!」 サンズイ:「めぐみーん!」 猫又:「…女、もういいのか。」 愛美:「はい、おかげさまで。…みんな大丈夫?」 サンズイ:「腰抜けちゃったけど、なんとかね。」 愛美:「よかった…えっと火車は…」 サンズイ:「頑張って皆で追い返してやったよ。」 愛美:「そうなんですね!!よかったぁ…」 臣:「愛美も腰抜けちゃってんじゃん。」 愛美:「しょうがないでしょ~…すっごく怖かったんだから…」 サンズイ:「めぐみんも初戦闘なのに、無事でよかったよ。頑張ったね!」 愛美:「えへへ、ありがとうございます。」 猫又:「…アイツは次いつ攻めてくるのか…それにあの方とやらに仕えているとも言っていた。 猫又:他にも火車級、またはそれ以上の強力な奴が控えている可能性もある…」 臣:「もしそうなら…僕らは…勝てるんでしょうか…」 愛美:「…火車1人でやっとだもんね…」 猫又:「弱気だな、怖いなら後ろに引っ込んでろガキ共。」 臣:「うっ…」 サンズイ:「まあまあ!大丈夫よ!もしまたアイツやアイツみたいなのが来ても俺らならどうにかできるって!」 猫又:「たく…お前という奴は…」 愛美:「わ、私も!サンズイさんのように私もそう思います!皆ならきっと大丈夫!」 臣:「愛美…うん、そうだよね…僕もそう思います!」 猫又:「お前ら……はあ、んじゃあ…また来た時の為に今より特訓しておかねぇとな。」 サンズイ:「おほ、又っちやる気になったね!」 猫又:「んな!別にそうじゃねぇ!死なれたら困るからだ!」 サンズイ:「またまた~」 愛美:「猫又さんは猫又さんなりに心配してるんですよね?」 猫又:「んなな!!そんなことねえっての!!」 愛美:「可愛い猫又さん。」 猫又:「女てめぇ…地味にココに似てきやがったな…」 臣:「そうだ!次はココさんにも相談しましょう!皆でもっと強くなる為の方法を皆で考えましょう!」 サンズイ:「おほ、いいねぇ!次も絶対、俺らの事務所をみんなで守ろうな!」 0:  0:  0:  火車:「……次は…次こそは……必ず… 火車:あの方の為に…自分の為に……この鎖の為に……」 0: