台本概要
382 views
タイトル | 【朗読用】ダイヤモンド 他 |
---|---|
作者名 | mai (@maiMk2_koe) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
某アプリの企画に出しそびれたものや、 お題に投稿した短文です。 「ダイヤモンド」 「星のかけら」 「プリーズラク」 「メタモルフォーシス」 「ラングドシャ」 の、5篇となります。 大体、10~15分で読める文量と思います。 382 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
あなた | 不問 | - | 好きにお読みください。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:「ダイヤモンド」
0:
0:
0:
0:
0:私が不思議に思っているものに、ダイヤモンドがある。
0:
0:
0:
0:深い深い地層から、地球の身じろぎによって、地表近くまで上がってきたものだけが
0:
0:私たちの目に触れることとなる。
0:
0:星の秘密を含んでいる、美しい炭素の塊。
0:
0:原料の炭素には、様々な同素体があり
0:
0:特に有機化合物の骨格として、私たちの生活の中で、身近な存在であるはずなのに
0:
0:それが「特定の条件」に置かれたときのみ、あのように七色に輝く、硬い物質になる。
0:
0:その奇跡のような事実が、不思議でたまらない。
0:
0:
0:エネルギーを受け取って、自分の成長に使うことを
0:
0:「生きる」と定義するのなら
0:
0:圧力というエネルギーをうけて、結晶として成長していく鉱物と
0:
0:食物をエネルギーに変えて成長する私たちと
0:
0:一体、いくらの違いがあるのだろうか?
0:
0:もし、宇宙から何者かが私たちを観測していたとして
0:
0:ダイヤモンドと私たちを見比べたら
0:
0:「なんだ、ほとんど同じ成分で出来ているじゃないか」なんて
0:
0:兄弟姉妹を見るような感想を持つ かもしれない。
0:
0:
0:
0:ひるがえって、自分を見たときに
0:
0:まるで自分が、くず石のように感じることがある。
0:
0:価値のない、輝きのない路傍の石のように。
0:
0:
0:
0:じつは、ダイヤモンドも、ほかの美しい宝石たちも
0:
0:掘り出された直後から、美しいものは少ない。
0:
0:磨かれて、カットを施されて、美しい輝きを放つようになる。
0:
0:鉱石よりも いくらか自由に生きられて、鉱石よりも 幾分か寿命の短い私たちも
0:
0:ダイヤモンドと同じ、炭素を内包している。
0:
0:
0:
0:自分が輝ける条件を探してみよう。
0:
0:幾度もの試行錯誤。
0:
0:失敗し、割れたりしても、炭素がなくなったりはしない。
0:
0:あなたの中にも、わたしの中にも、生きている限りダイヤモンドは眠っている。
0:
0:様々な状況、私たちの特性によって
0:
0:誰もがダイヤモンドのように輝ける可能性があると
0:
0:わたしは 思っている。
0:
0:
0:
0:
0:「星のかけら」
0:
0:
0:
0:君に引かれてきたんだ
0:
0:大きくて、眩しくて、温かかったから
0:
0:
0:しばらくは黙って周りを回ってた
0:
0:なんせ、ずいぶん遠くから来たし 疲れていたから
0:
0:
0:周りには同じような欠片が
0:
0:お互い距離を置いて居てさ
0:
0:居心地良く過ごせた
0:
0:
0:
0:時々ぶつかって、弾き飛ばされて
0:
0:居なくなったのもいれば
0:
0:僕みたいに流れ着いて、周りを回り始める奴もいる
0:
0:
0:
0:ぼくたちは星のかけらだから、
0:
0:内側に ケイ素やニッケル、クロム、ベリリウム 色々詰め込んでいるけど
0:
0:自分で覗き込んでも見えやしない。
0:
0:
0:
0:だけど、君の周りを回っていると
0:
0:時々かけらが瞬く(またたく)のがわかる。
0:
0:赤や、青や、白や、黄色。虹色の光条。
0:
0:
0:
0:僕もあんなだろうか。
0:
0:
0:
0:あんなに光り輝くものが、僕の中にもあるのだろうか。
0:
0:
0:
0:君に見つけてもらいたい。僕の閃き(ひらめき)。
0:
0:一瞬の間でもいいから。
0:
0:自分では見えないけれど、確かに僕も星のかけらなのだと。
0:
0:
0:
0:今、この瞬間だけでも。
0:
0:
0:
0:
0:
0:「プリーズラク」
0:
0:
0:
0:幽霊だったら いいのにな
0:
0:声を聴いて
0:
0:たまに舌打ちしたり 悪態をついたり
0:
0:思い出し笑いをしてたり ため息ついたり
0:
0:
0:
0:そんな音を聞きながら 漂っていたい
0:
0:名前を呼ばれると 形になってしまう
0:
0:
0:
0:そうしたら
0:
0:
0:
0:あなたを戸惑わせるし 傷付けるし
0:
0:驚かせて 怖がらせてしまう
0:
0:
0:
0:幽霊の僕の方が 優しいよ
0:
0:
0:
0:
0:
0:
0:「メタモルフォーシス」
0:
0:
0:
0:薄闇の中で 僕たちはじっと蛹(さなぎ)を見ている
0:
0:
0:
0:「夜明けには羽化するよ。蛹から蝶になるんだ。」
0:
0:
0:
0:蛹は黒く、動かない。
0:
0:
0:
0:「…蛹の中では、いくつかの器官はそのまま残り、ほかの部分はアポトーシスを起こして成虫の体を作る原基(げんき)になる。」
0:
0:「全く別の生き物に見えても、変化はすでに内側で起こっていて、新しい自分になるための準備を始めているんだよ。」
0:
0:
0:
0:それまでの形を捨てて、新しい自分になるために、どれだけの苦痛をこの蛹の中で感じているのだろう。
0:
0:
0:
0:それとも、新しい自分を夢見て 涅槃の傍(ねはんのそば)で微睡(まどろ)んでいるのだろうか。
0:
0:
0:
0:払暁(ふつぎょう)の中で、蛹の形はますますはっきりとし、その薄い皮の中に美しい羽の模様が見える。
0:
0:
0:
0:羽化は間近い。
0:
0:
0:
0:僕たちは見守っている。
0:
0:
0:
0:
0:
0:※メタモルフォーシス(Metamorphosis)…卵から幼虫、サナギ、成虫へと、姿かたちを変えながら成長すること。
0:
0:
0:
0:※アポトーシス(apoptosis)…多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種。積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺、プログラムされた細胞死。
0:
0:
0:
0:
0:
0:
0:「ラングドシャ」
0:
0:
0:
0:「シャノアール(chat noir)って、黒猫って意味だったんだね。」
0:
0:
0:
0:突然そんなことを言い出したので、びっくりした。
0:
0:
0:
0:「そうだね。フランス語かな?白猫だとシャブラン(chat blanc)だね。白のブランって、輝くとか、明るいとかのブライト(braight)と元の言葉は同じかな?」
0:
0:「どうかな?そういえば、ラングドシャってお菓子があるよね。」
0:
0:
0:
0:話が突然、お菓子に飛んだ。
0:
0:猫のような気まぐれ。
0:
0:
0:
0:「それ、今関係ある?」
0:
0:「フランス語で猫の舌って意味じゃなかった?」
0:
0:「え?そうなの?…ラングドシャ(langue de chat)、tongue of a cat(タン オブ ア キャット)…。ああ、似てるね。そうかもしれないね。」
0:
0:「ラングドシャのラング(langue)は、ランゲージ(language)にも似てるね。」
0:
0:「発音は舌を使うからね。そう考えると、どこも似たような言葉を使っているね。ラテン語は偉大だ。」
0:
0:
0:
0:黒猫は遥か後方。
0:
0:舌を出して、わたし達を見送っている。
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0:「ダイヤモンド」
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0:私が不思議に思っているものに、ダイヤモンドがある。
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0:深い深い地層から、地球の身じろぎによって、地表近くまで上がってきたものだけが
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0:私たちの目に触れることとなる。
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0:星の秘密を含んでいる、美しい炭素の塊。
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0:原料の炭素には、様々な同素体があり
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0:特に有機化合物の骨格として、私たちの生活の中で、身近な存在であるはずなのに
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0:それが「特定の条件」に置かれたときのみ、あのように七色に輝く、硬い物質になる。
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0:その奇跡のような事実が、不思議でたまらない。
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0:エネルギーを受け取って、自分の成長に使うことを
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0:「生きる」と定義するのなら
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0:圧力というエネルギーをうけて、結晶として成長していく鉱物と
0:
0:食物をエネルギーに変えて成長する私たちと
0:
0:一体、いくらの違いがあるのだろうか?
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0:もし、宇宙から何者かが私たちを観測していたとして
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0:ダイヤモンドと私たちを見比べたら
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0:「なんだ、ほとんど同じ成分で出来ているじゃないか」なんて
0:
0:兄弟姉妹を見るような感想を持つ かもしれない。
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0:ひるがえって、自分を見たときに
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0:まるで自分が、くず石のように感じることがある。
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0:価値のない、輝きのない路傍の石のように。
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0:
0:じつは、ダイヤモンドも、ほかの美しい宝石たちも
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0:掘り出された直後から、美しいものは少ない。
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0:磨かれて、カットを施されて、美しい輝きを放つようになる。
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0:鉱石よりも いくらか自由に生きられて、鉱石よりも 幾分か寿命の短い私たちも
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0:ダイヤモンドと同じ、炭素を内包している。
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0:自分が輝ける条件を探してみよう。
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0:幾度もの試行錯誤。
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0:失敗し、割れたりしても、炭素がなくなったりはしない。
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0:あなたの中にも、わたしの中にも、生きている限りダイヤモンドは眠っている。
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0:様々な状況、私たちの特性によって
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0:誰もがダイヤモンドのように輝ける可能性があると
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0:わたしは 思っている。
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0:「星のかけら」
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0:君に引かれてきたんだ
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0:大きくて、眩しくて、温かかったから
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0:しばらくは黙って周りを回ってた
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0:なんせ、ずいぶん遠くから来たし 疲れていたから
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0:周りには同じような欠片が
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0:お互い距離を置いて居てさ
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0:居心地良く過ごせた
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0:時々ぶつかって、弾き飛ばされて
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0:居なくなったのもいれば
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0:僕みたいに流れ着いて、周りを回り始める奴もいる
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0:ぼくたちは星のかけらだから、
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0:内側に ケイ素やニッケル、クロム、ベリリウム 色々詰め込んでいるけど
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0:自分で覗き込んでも見えやしない。
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0:
0:だけど、君の周りを回っていると
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0:時々かけらが瞬く(またたく)のがわかる。
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0:赤や、青や、白や、黄色。虹色の光条。
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0:僕もあんなだろうか。
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0:あんなに光り輝くものが、僕の中にもあるのだろうか。
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0:君に見つけてもらいたい。僕の閃き(ひらめき)。
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0:一瞬の間でもいいから。
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0:自分では見えないけれど、確かに僕も星のかけらなのだと。
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0:
0:今、この瞬間だけでも。
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0:「プリーズラク」
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0:幽霊だったら いいのにな
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0:声を聴いて
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0:たまに舌打ちしたり 悪態をついたり
0:
0:思い出し笑いをしてたり ため息ついたり
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0:そんな音を聞きながら 漂っていたい
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0:名前を呼ばれると 形になってしまう
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0:そうしたら
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0:あなたを戸惑わせるし 傷付けるし
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0:驚かせて 怖がらせてしまう
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0:幽霊の僕の方が 優しいよ
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0:「メタモルフォーシス」
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0:薄闇の中で 僕たちはじっと蛹(さなぎ)を見ている
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0:「夜明けには羽化するよ。蛹から蝶になるんだ。」
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0:蛹は黒く、動かない。
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0:「…蛹の中では、いくつかの器官はそのまま残り、ほかの部分はアポトーシスを起こして成虫の体を作る原基(げんき)になる。」
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0:「全く別の生き物に見えても、変化はすでに内側で起こっていて、新しい自分になるための準備を始めているんだよ。」
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0:それまでの形を捨てて、新しい自分になるために、どれだけの苦痛をこの蛹の中で感じているのだろう。
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0:それとも、新しい自分を夢見て 涅槃の傍(ねはんのそば)で微睡(まどろ)んでいるのだろうか。
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0:払暁(ふつぎょう)の中で、蛹の形はますますはっきりとし、その薄い皮の中に美しい羽の模様が見える。
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0:羽化は間近い。
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0:僕たちは見守っている。
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0:※メタモルフォーシス(Metamorphosis)…卵から幼虫、サナギ、成虫へと、姿かたちを変えながら成長すること。
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0:※アポトーシス(apoptosis)…多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種。積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺、プログラムされた細胞死。
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0:「ラングドシャ」
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0:「シャノアール(chat noir)って、黒猫って意味だったんだね。」
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0:突然そんなことを言い出したので、びっくりした。
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0:「そうだね。フランス語かな?白猫だとシャブラン(chat blanc)だね。白のブランって、輝くとか、明るいとかのブライト(braight)と元の言葉は同じかな?」
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0:「どうかな?そういえば、ラングドシャってお菓子があるよね。」
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0:話が突然、お菓子に飛んだ。
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0:猫のような気まぐれ。
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0:「それ、今関係ある?」
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0:「フランス語で猫の舌って意味じゃなかった?」
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0:「え?そうなの?…ラングドシャ(langue de chat)、tongue of a cat(タン オブ ア キャット)…。ああ、似てるね。そうかもしれないね。」
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0:「ラングドシャのラング(langue)は、ランゲージ(language)にも似てるね。」
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0:「発音は舌を使うからね。そう考えると、どこも似たような言葉を使っているね。ラテン語は偉大だ。」
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0:黒猫は遥か後方。
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0:舌を出して、わたし達を見送っている。
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