台本概要

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タイトル 【第3話】爆食戦士アクアミート「遅れて来た侵略者」
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男1、女4) ※兼役あり
時間 50 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
ひょんなことから人類を救う魔法少女に選ばれた松嶋 仁美(まつしま ひとみ)。
仁美の家に何度も果たし状を送り付けた北条 華恵は彼女と同じ組織に所属する専属魔法少女だった。闇に囚(とら)われた華恵を進化した力で何とか浄化した仁美だったが…。

待望のアクションコメディ第3弾が早くもリリース!
※本作は前作【第2話】爆食戦士アクアミート「え?魔法少女失格?」の続編となっております。物語の構成上、続き物となっておりますので、初めて演じる方は第1話から演じていただけると話の内容がより理解できて楽しめるかと思います。


【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
仁美 82 松嶋 仁美(まつしま ひとみ)35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。「爆食戦士アクアミート」に変身し、悪と戦う。
政信 44 荒木 政信(あらき まさのぶ)30歳。侵略文明対策組織(しんりゃくぶんめいたいさくそしき)アークに所属する男。仁美の専属バディとして、陰ながらサポートする。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。
響子 48 田村 響子(たむら きょうこ)34歳。仁美と同じ会社に勤めるOL。以前、闇の変身アイテムに操られ「魔導戦士ミスティブラック」になって仁美と戦い浄化された過去を持つ。 兼役(ハムスター型怪人、猫型怪人、子犬型怪人、ゴリラ型怪人の悲鳴)
華恵 39 北条 華恵(ほうじょう はなえ)、侵略文明対策組織(しんりゃくぶんめいたきさくそしき)アークに所属する魔法少女の一人で「獄炎戦士(ごくえんせんし)クリスタルフレア」に変身する。
少女 58 デパートで出会った迷子の女の子。5歳くらいの少女。
謎の人物 不問 3 敵の本拠地に鎮座(ちんざ)する謎の人物。セリフは無い。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:【第3話】爆食戦士アクアミート「遅れて来た侵略者」 : 登場人物: 仁美:*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。「爆食戦士アクアミート」に変身し、悪と戦う。 政信:*荒木 政信《あらき まさのぶ》30歳。*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する男。仁美の専属バディとして、陰ながらサポートする。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。 響子:*田村 響子《たむら きょうこ》34歳。仁美と同じ会社に勤めるOL。以前、闇の変身アイテムに操られ「魔導戦士ミスティブラック」になって仁美と戦い浄化された過去を持つ。兼役(ハムスター型怪人、猫型怪人、子犬型怪人、ゴリラ型怪人の悲鳴) 華恵:*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたきさくそしき》アークに所属する魔法少女の一人で「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」に変身する。 少女:デパートで出会った迷子の女の子。5歳くらいの少女。 謎の人物:敵の本拠地に*鎮座《ちんざ》する謎の人物。セリフは無い。 : :〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 政信:さぁて、良い子のみんな!お待ちかね、前回のあらすじの時間だよ!仁美、よろしく! 仁美:おい!何当たり前のように私に丸投げしてんのよ! 政信:だって、仁美はこの物語の主人公だろ? 仁美:だから? 政信:みんな君の勇姿を期待しているんだよ!ワクワク! 仁美:ワクワクしてんのはアンタだけでしょーが! 政信:良いから早く!あんま時間ないよ! 仁美:はぁ…分かったわよ!…じゃあ行くわよ。前回のあらすじ。「私の専属バディの政信から魔法少女としてのレベルを上げるため特訓を受けるよう言い渡された私は、渋々ながらもトレーニングに励むこととなった。そんな中、私の家に差出人不明の果たし状が届く。最初は不審に思い無視し続けていた私だったが、あまりにもしつこいため*嫌々《いやいや》ながらも約束の場所に行ってみると、そこには私と同じ*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する専属魔法少女、*北条 華恵《ほうじょう はなえ》が待ち構えていた。*執拗《しつよう》に私との決闘にこだわる彼女は、私の制止も聞かず『*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア』に変身すると問答無用で襲いかかって来た。仕方なく変身して応戦した私だったが、究極の強さを求める彼女は戦いの*最中《さなか》闇の力に飲まれ『魔導戦士シャドウフレア』に変貌してしまう。激闘の末、私は新たな力『アクアミート フルエナジーフォーム』に進化し、何とかシャドウフレアを浄化することに成功したのだった。」 仁美:ふぅ…やっと終わった。これで満足かしら? 政信:〈拍手する〉さすが仁美だ!じゃあこの流れでタイトルコールも任せたぜ!キラン☆ 仁美:何が「キラン☆」よ!あー腹立つ!アンタも少しは仕事しなさいよ! 政信:何言ってんだよ仁美。俺の仕事は*陰《かげ》ながら仁美をサポートすることなんだぜ!キラン☆ 仁美:だからその「キラン☆」やめろって!はぁ…じゃあ良いかしら? 政信:おう!ドンと来い! 仁美:〈元気で明るく〉そんじゃ、「爆食戦士アクアミート第3話」始まるわよ!!今回も、あなたの全て、食べちゃうぞ♡」…あいつ後で絶対シバく! : :〈仁美の会社にて〉 仁美:響子、おはよう。 響子:仁美、おはよう。 仁美:怪我の具合はどう? 響子:うん。お陰様でもう大丈夫。 仁美:でも退院したばかりなんだからあんま無理しちゃダメだよ。 響子:ありがとう。 仁美:今度の休みに気晴らしにショッピングでもして来たら? 響子:でも、今月お金ないし…。 仁美:色々見て回るだけでもリフレッシュになるわよ。まあ無理にとは言わないけど。 響子:じゃあ仁美も一緒に行こうよ。 仁美:ごめんね。行きたいのはやまやまなんだけど最近休みの日は色々と忙しくてさ。 響子:そうなんだ…。仁美こそちゃんと休みなよ。無理して倒れでもしたら私が困るんだからね。 仁美:はいはい。心配してくれてありがとね。それじゃ今日も一日頑張りましょう。 響子:ええ。 : :〈土曜日、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク特別トレーニングルームにて〉 仁美:98…99…これで最後よ!必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!うぉりゃああ!! ハムスター型怪人:チューー!!! 仁美:はぁ…はぁ…よし!100体目クリア! 華恵:そこぉ!*火炎連撃魔法《かえんれんげきまほう》「ファイヤーブラスト・マルチシューティング」!! 猫型怪人:フギャアアア!! 子犬型怪人:キャイーン!! ゴリラ型怪人:ウホーー!! 華恵:おっしゃあ!まとめて3体撃破!私も100体クリアよ! 政信:よし!二人ともノルマ達成だな!一度無限戦闘シミュレーターから出て休んでくれ。 仁美:はぁ…はぁ…了解よ。 華恵:ふぅ…良い汗かいたわ。 :〈休憩時間〉 仁美:*華《はな》ちゃんは良いなぁ。魔法使えるしまとめて敵を攻撃出来るし。私なんてさ、一体一体全力で叩き潰していくしかないから正直キツいのよね。 華恵:何言ってんのよ。仁美のような圧倒的なパワーは私には出せないわ。それに、イーターモードやフォームチェンジとか色々戦闘のバリエーション持ってるんだから*羨《うらや》ましいわよ。 仁美:でも、あれだってどっちもめちゃめちゃ体力持って行かれるし、使った後は動けなくなるし…。 政信:まあそのための訓練だ。仁美の当面の目標は体力の向上だな。せめてイーターモード使用後にフルエナジーフォームにチェンジして必殺技が出せるくらいにはなってもらわないとな。 仁美:鬼か!アンタ、あれがどれだけ大変か知らないからそんなことが言えるのよ! 政信:華恵は魔力の鍛錬と攻撃力の強化が課題だな。アクアミート以外の魔法少女は保有する魔力量と魔法の威力が重要になってくるからそのあたりを意識しながら訓練に励むと良いだろう。 華恵:はーい。頑張りまーす。 仁美:逆に私だけ魔力関係ないのが不思議だわ…魔法少女なのに。 政信:まあそれは良いとして。仁美、前々から言おうとは思っていたんだが…。 仁美:コラ!サラっと流すな!…って何よ? 政信:以前、仁美に変身ブレスレットの説明をした際にアクアミートは変身後に体重が2倍になるって話をしたよな? 仁美:ええ。それがどうしたのよ? 政信:実はそれは筋肉の密度が増えるからであって、決してメタボになるからではない。だから無理して声まで太らせる必要は無いんだぞ。 仁美:え?それ…今言う?私、今までずっと頑張って太った声出してたのに!どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ! 政信:いや、特に聞かれなかったから。 仁美:それを言うのがバディの仕事でしょーが! 政信:*特段《とくだん》戦闘に支障がないと思ったから*敢《あ》えて言わなかったんだ。むしろノリノリでやってたみたいだったし。 仁美:このー!私の無駄な努力をどうしてくれんのよ!敵の前にアンタの頭の中を浄化してやるー!〈政信を頭を殴る〉 政信:痛い!や、やめろ!暴力反対!! 華恵:まあ、仲の良いことで。さてと、お二人さん、休憩時間とっくに過ぎてるわよ。そろそろ午後のトレーニング始めるよ。 仁美:あ、もうそんな時間か。くそ…政信のせいで貴重な休憩時間が無駄になったわ。後で甘い物でも*奢《おご》りなさいよ! 政信:えー。今月金欠なのに…。 仁美:問答無用!もちろん私だけじゃなくて華ちゃんの分もよ! 政信:仁美、そんなの食べたらまた太るよ。 仁美:またって言うな!バカ! : :〈日曜日〉 響子:さてと、今日は退院して初めての日曜日だ!やっぱり週末のデパートは活気があって良いわね。久しぶりにカフェでゆっくりお茶でもしようかしら。 少女:うえ~ん…どこにいるの?〈泣き叫ぶ〉 響子:(あら?迷子かしら?)お嬢ちゃん、どうしたの? 少女:ひっく…あのね、わたしデパートでまいごになっちゃったの…うう。 響子:あらあら、それは大変ね。じゃあお姉ちゃんが一緒に家族の人を探してあげるわね。 少女:ほんと?わぁ!うれしい!じゃあさ、おててつないでいい? 響子:良いわよ。はい。 少女:ありがとう!おねえちゃん!〈少女と手を繋ぐ〉 響子:それで今日は誰と来たの? 少女:うーんとね、ひとりできたの。 響子:え?ひとりでこんな広いデパートに来ちゃったの?…えっと、どうしようかな…それじゃあお姉ちゃんがおうちまで送ってあげるね。 少女:ううん。だいじょうぶ。さがしものはみつかったから。 響子:ん?どういうこと? 少女:わたしね、おねえちゃんをさがしてたの。 響子:私を? 少女:イリュージョ二ストワールド展開!〈周りの全ての時間が止まる〉 響子:(こ、これは?) 少女:(ここは私とあなただけの世界。) 響子:(ほんとだ…私達以外の時間が止まっているわ。) 少女:(そんなことより*田村 響子《たむら きょうこ》さん…もう一度思い出して。闇に包まれる心地良さを。) 響子:(え?何で私の名前を知ってるの?……って、あぁ…繋いだ手から何かが私の中に入って来る…この感覚…何だかとっても懐かしい感じがするわ…) 少女:(可哀想に…記憶を書き換えられちゃったのね。大丈夫…私が全部思い出させてあげるから。) 響子:(ふぁぁ…気持ち良い♡……そうだ…私はあのお方にお仕えする忠実な戦士「魔導戦士ミスティブラック」…) 少女:(うふふ…ようやく思い出したわね。そうよ。あなたはあのお方の野望を実現するための貴重な戦力だったの。) 響子:(でも…私はあの時敵に浄化されて全ての力を失った…) 少女:(そうだったわね。ちなみに誰にやられたか覚えてる?) 響子:(確か…「爆食戦士アクアミート」…ああ!!そうだ!あのふざけた魔法少女に私は負けたんだ!) 少女:(へぇー…爆食戦士アクアミートって言うのね。確かにヘンテコなネーミングだわ。ねぇ、響子さん、そいつに負けて悔しい?) 響子:(悔しいに決まってるわよ!あんな*舐《な》めた相手に手も足も出なかったんだから。しかもあのお方の力をお借りした「*影憑《《かげつ》》き」で第二形態にまでなったのに結局勝てなかった…。今思い出しても弱い自分が本当に情けない!うう…。) 少女:(じゃあ、私がリベンジするチャンスをあげるって言ったらどうする?) 響子:(え?私にもう一度あいつを倒すチャンスをくれるの?欲しい…お願いします!私に力をください!) 少女:(うふふ…良いわよ。それじゃあ私があなたに新たな力を与えてあげる。これを受け取りなさい。)〈響子に指輪を渡す〉 響子:(この指輪は…?) 少女:(これは「魔導リング」と言ってね、あのお方から分けていただいた闇の力が凝縮された貴重な指輪なのよ。) 響子:(わぁ…綺麗。でも良いんですか?そんな大事な指輪をいただいても?) 少女:(もちろんよ。あなたには我々の戦士としてまだまだ役に立ってもらわないとね。だけど一つ気を付けてね。これを指にはめた瞬間からあなたは人ではなくなり、私たちと同じ闇の存在になっちゃうけど、それでも良いの?) 響子:(私が…人じゃなくなる?…良いわ!あの*憎《に》っくきアクアミートを倒せるなら私はどうなったって構わない!) 少女:(うふふ…素晴らしい覚悟ね。気に入ったわ。それじゃあ私が*直々《じきじき》にはめてあげる♡)〈響子に指輪をはめる〉 響子:(あ…あああ!!指輪が私の中に溶け込んでどす黒い闇になって体の中を駆け巡っていくわ!それと同時に徐々に私が内側から作り替えられていくのが分かる!ぐっ…ああ…きゃああああ!!) 少女:(どう?自分の体が別の物に変わっていく気分は?) 響子:(…はぁ♡何て気持ち良いの!……これが人を捨てて闇の存在になるということなのね!…うふふ…最高だわ♡) 少女:(どうやら転生は完了したようね。) 響子:〈その場に膝まづいて〉(この度は私を闇の一員に加えていただき光栄に存じます。よろしければ*私《わたくし》めにあなた様のお名前をお教えくださいませ。) 少女:(私は*幻惑魔導士《げんわくまどうし》チャルムよ。そしてあなたはこれから我々「ダークメサイア」*幹部5人衆《かんぶごにんしゅう》の一人「*破滅魔導騎士《はめつまどうきし》ジャミラス」として世界に破壊と*混沌《こんとん》をもたらすの。分かったかしら?) 響子:(ははっ!チャルム様!このジャミラス、あのお方の野望実現のためこの命の全てを捧げる*所存《しょぞん》でございます。) 少女:(うふふ…とっても良い子ね。それじゃあ手始めに…ごにょごにょ〈内容を伝える〉。どう?お願いできるかしら?それと、あなたに私の*手駒《てごま》を貸してあげるから好きに使って良いわよ。) 響子:(承知しました。お任せください。) 少女:(よろしくね。じゃあ元の世界に戻すわよ。リリースワールド!) :〈元の世界に戻る〉 少女:おねえちゃん。わたしもうひとりでだいじょうぶだから。 響子:分かったわ。 少女:いっしょにいてくれてありがとう。 響子:どういたしまして。じゃあ気を付けて帰るのよ。 少女:うん!またね!ばいばい! 響子:ばいばい! : :〈訓練終了後〉 仁美:あー…今日も疲れた。さすがに毎週土日休みなしっていうのは*堪《こた》えるわ。まあでも約束通り政信にスイーツ*奢《おご》ってもらったから良しとするか。さぁて、早く帰って食べよっと。 仁美:〈緊急アラームが鳴る〉え?緊急アラーム?これって非常招集の合図よね? 政信:〈通信〉二人ともすまない。今、ポイントB*307《さんまるなな》とC*508《ごーまるはち》で同時に複数の怪人と魔導戦士らしき人物が暴れているとの通報があった。華恵はポイントB*307《さんまるなな》へ、仁美はC*508《ごーまるはち》にそれぞれ急行してくれ! 華恵:〈通信〉了解したわ! 仁美:(ったく…せっかくスイーツタイムを楽しみにしてたのに!)〈通信〉こっちも了解よ! : :〈ポイントB307〉 華恵:〈通信〉こちら華恵。ポイントB*307《さんまるなな》に到着したわ。通報のあった通り、怪人及び魔導戦士らしき人物を確認。いずれも街を攻撃しているわ。すぐに対処する。 政信:〈通信〉了解!くれぐれも気を付けろよ。〈通信切れる〉 華恵:分かってるって!そんじゃ行くわよ!『エクスプロージョン!』〈華恵の体が赤い炎で包まれていく〉 華恵:〈変身完了〉『*燃え盛る《もえさかる》炎は全ての悪を焼き尽くす!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア参上!さあ、*塵《ちり》一つ残さず燃やし尽くしてあげるわ!』 華恵:最初から飛ばして行くわよ!*火炎連撃魔法《かえんれんげきまほう》「ファイヤーブラスト・マルチシューティング」!!いっけぇぇぇ!! : :〈ポイントC508〉 仁美:〈通信〉こっちもポイントC*508《ごーまるはち》に到着したわ。え?何これ…。 政信:〈通信〉どうした? 仁美:〈通信〉何て数なの?ざっと数えても100体以上はいるわ。 政信:〈通信〉何だと!とにかく敵の*殲滅《せんめつ》を急いでくれ! 仁美:〈通信〉了解よ!じゃあ行くわよ!『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉 仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』よっしゃあ!特訓の成果見せてやるんだから! 仁美:*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!〈巨大なボンレスハム型ハンマーが出現する〉 仁美:必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!どぉりゃああ!! : :〈30分後、ポイントB307〉 華恵:〈通信〉こちら*華恵《はなえ》。こっちは何とか片付いたわ。 政信:〈通信〉ご苦労様。帰還してくれ。 華恵:〈通信〉仁美の方はどうなの? 政信:〈通信〉奮闘してるみたいだが、あっちはかなりの数の敵がいるらしい。報告では100体以上とか…。 華恵:〈通信〉(そんなに?…おかしい。こっちはせいぜい30体程度だったのに。)政信、私も急いで加勢に向かうわ。もしかしたら敵の狙いは仁美かもしれない! 政信:〈通信〉何?どういうことだ? 華恵:〈通信〉とにかく急がないと手遅れになる! 政信:〈通信〉分かった。よろしく頼む。 華恵:〈通信〉了解!〈通信切る〉 華恵:(もし敵の狙いが仁美だとしたら…くそっ!間に合ってちょうだい!) :〈響子が変身した姿で現れる〉 響子:あら、流石は*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレアね。私の用意した*手駒《てごま》たちをあっという間に片付けるとはなかなかやるじゃない。 華恵:誰!?(ひょっとして新手の敵?でもこんなやつ見たことないわ!) 響子:残念だけど今はまだ名乗れないの。ただ、あなた達の敵だということだけは確かよ。それじゃ行くわよ! 華恵:くっ!やるしかないのね!はああああ!! : :〈1時間後、ポイントC508〉 仁美:はぁ…はぁ…おかしい。倒しても倒しても敵の数が一向に減らない。このままじゃマズイわね。 政信:〈通信〉仁美、だいぶ敵の反応が消えてきた。もう少しだ。頑張ってくれ。 仁美:(もう少し?) 仁美:〈通信〉分かったわ。 政信:〈通信〉無理しすぎるなよ。 仁美:〈通信〉了解!〈通信切る〉 少女:うえ~ん! 仁美:(こんな所に女の子?)お嬢ちゃん!ここは危ないから安全な場所に隠れてて。 少女:うん…ぐすん。 :〈少女に向かって敵の攻撃が飛んで来る〉 仁美:危ない!〈少女を*庇《かば》って攻撃を食らう〉ぐああ!!くそ…何とかしないと市民に被害が広がってしまう。 少女:怖いよぉ…おねえちゃん。 仁美:大丈夫よ。お嬢ちゃんは私が守るから!ふぅ…こうなりゃ片っ端から*殲滅《せんめつ》あるのみ!うぉりゃああ!! : :〈30分後〉 仁美:はぁ…はぁ…政信のやつ、何があと少しよ。倒した*傍《そば》からワラワラと湧いてくるじゃない!はああああ!!〈怪人を撃破する〉 仁美:はぁ…はぁ…ダメ…もう動けない…。〈その場に*蹲《うずくま》る〉 少女:おねえちゃん、大丈夫? 仁美:(はっ!あれはさっきの女の子!)出て来ちゃダメ! 少女:(そろそろかしら。)イリュージョ二ストワールド展開!〈周りの全ての時間が止まる〉 仁美:(え?何これ?周りの時間が停止している…) 少女:(ここは私とあなただけの世界。) 仁美:(はっ!さっきのお嬢ちゃん!あなた、一体何者なの?) 少女:(初めまして。爆食戦士アクアミートさん。) 仁美:(私の事を知っている?もしかして…敵!?) 少女:(そんなに身構えないで。私はあなたとお話がしたいだけなの。) 仁美:(お話…?) 少女:(私はチャルム。あなたとっても強いのね。でも何でそんなヘンテコな名前と格好をしているの?) 仁美:(うっさいわね!余計なお世話よ!てか、出会って*早々《そうそう》ディスってくるとは良い度胸してんじゃないの!) 少女:(あら、気に*障《さわ》ったのならごめんなさい。でもあなた、本当はもっとキュートでチャーミングな魔法少女になりたかったんじゃないの?) 仁美:(うっ…それは…そうだけど。) 少女:(キラキラステッキで可愛く変身して、魔法で*華麗《かれい》に敵を倒していく…本当はそんな魔法少女に憧れていた。) 仁美:(ぐっ…) 少女:(でも現実は違った。こんなギトギトの*脂《あぶら》に*塗《まみ》れて、超ダサい変身と物理攻撃しか使えない理想とは程遠い存在。) 仁美:(くそ…全部当たっていて何も言い返せない…。) 少女:〈仁美の手を握りながら〉(可哀想に…せっかくの綺麗な手がこんなにマメだらけになって…。) 仁美:(ちょっと!勝手に触らないでよ!)〈手を振り払う〉 少女:(そんなに*邪険《じゃけん》にしないで。ねぇ、私があなたを今よりもっと素敵な魔法少女にしてあげよっか?) 仁美:(え?私、もっと素敵な魔法少女になれるの?) 少女:(ええ、なれるわよ。さあ…もう一度私の手を握って…) 仁美:(うん…。)〈少女の手を握る〉 少女:(そして闇の力を受け入れるの…) 仁美:(闇の力を…受け入れる?) 少女:(そう…安心して。何も恐れることはないわ。あなたは私に全てを委ねれば良いの。それじゃあ行くわよ…) 仁美:(ふん!)〈手を振り払う〉 少女:(え?何で手を離すの?) 仁美:(へぇー、そうやって闇の力を流し込んで夢見る乙女たちを悪の手先に変えて来たってわけね。) 少女:(な、何を言っているの?私ならあなたの夢を叶えてあげられるのよ!) 仁美:(冗談じゃないわ!確かにアンタの言う通り、全身*脂《あぶら》ギトギトだし、変身シーンは超ダサいし、魔法なんて一切使えない物理攻撃*一択《いったく》の理想とはかけ離れた魔法少女だけどね!ピュアな乙女の気持ちを踏みにじるアンタみたいな存在を私は絶対に許さない!私はね!そのために魔法少女になったのよ!) 少女:(そ、そんな…私の誘惑に打ち勝てるやつなんているはずがないのに…。) 仁美:(行くわよ!覚悟しなさい!) 少女:((ちっ…こうなったら仕方ない。)うえ~ん…おねえちゃんごめんなさい。わたしをいじめないで!) 仁美:(はぁ…〈溜息〉) 少女:((うふふ…こうやって*幼気《いたいけ》な少女を演じていれば流石に攻撃して来れないわよね…)) 仁美:(やっぱり日々の訓練って大事よね。こんなに可愛らしい女の子を前にしても可哀想だなんて気持ち、*微塵《みじん》も起きないわ。さぁて、全力で行くわよ!) 少女:(へ?) 仁美:(こいつで消し飛びなさい!必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!どぉりゃああ!!) 少女:(ちょ!待っ!ひぃぃぃ!!鬼ぃぃぃ!!!) : 仁美:ちっ…仕留め損なったか。まあ良いわ。 :〈元の世界に戻る〉 仁美:お!元の世界に戻ったようね。それにあんなにうじゃうじゃいた敵も全部消えていくわ。やっぱりあいつが作り出していた幻影だったのね。 仁美:〈通信〉政信、こっちはとりあえず終わったわよ。 政信:〈通信〉仁美!無事だったのか!良かったぁ…途中で通信が途切れた時は心配で心配で…。 仁美:〈通信〉それより華ちゃんの方は大丈夫なの? 政信:〈通信〉それが謎の敵と交戦中らしい。 仁美:〈通信〉分かった。私も今からそっちに向かうわ。 : :〈ポイントB307〉 華恵:はぁ…はぁ。喰らえ火炎魔法「*爆炎業火球《ばくえんごうかきゅう》」!!うぉりゃああ! 響子:無駄無駄!そんな攻撃が私に効くと思って?闇魔法!「ダークネスボール!」 :〈ダークネスボールのパワーに競り負ける〉 華恵:くっ…私の*爆炎業火球《ばくえんごうかきゅう》が押されてる…きゃあああ!! 響子:強い!何て強さなの!ふふふ…素晴らしいわ! 華恵:ぐっ…やるじゃない。でもさすがにこのままじゃこっちの身が持たない…。 響子:どうしたの?天下の魔法少女がこの程度なんてことはないわよね?さあ、もっと全力でかかって来なさい! 華恵:言われなくてもやってやるわよ!*火炎究極魔法《かえんきゅうきょくまほう》!「バーニングファイヤー・フルバースト」!!おりゃああ!! 響子:うふふ…これが究極魔法?まるで子供の火遊びね。闇魔法!「ミラーリング・リバース」! 華恵:うそ…私の攻撃がそのまま闇魔法に変換されて戻って来る!…ぐああああ!! 響子:あははは!!これは*傑作《けっさく》だわ!…そうねぇ、いっその事このままトドメを刺しちゃおうかしら?ペロリ♡〈舌なめずりをする〉 華恵:ぐっ…くそ…。 響子:さあ覚悟なさい!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア!!はあああ!! 華恵:くっ! 少女:(ジャミラス、任務失敗よ。*一旦《いったん》*退《ひ》くわよ!) 響子:(は、はい。分かりました。)ちっ…あと少しだったのに。あなた命拾いしたわね。まぁ私としてはもうちょっと遊んでいたかったけど、すぐに帰らなきゃいけなくなっちゃったみたいなの。ってことで、じゃあね子猫ちゃん。また遊びましょ!〈消える〉 華恵:ま、待て!…くそ、逃げられたか…。 仁美:華ちゃーん! 華恵:仁美…無事だったのね。良かった。 仁美:ええ、何とか。それより華ちゃんこそ大丈夫?酷い怪我してるじゃない!誰にやられたの? 華恵:うぐっ…誰だか分からないけど、初めて見る敵だったわ。何か事態が急変したみたいで向こうからいなくなっちゃったけどね。 仁美:そう…とにかく無事で良かったわ。帰りましょう。 華恵:ええ…。 仁美:〈通信〉政信、華ちゃんは無事よ。敵もいなくなったから私たちの転送と*諸々《もろもろ》の処理をお願い。 政信:〈通信〉分かった。後のことはこっちに任せとけ。それじゃ二人を作戦本部に転送する!〈二人を転送する〉 : :〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク作戦会議室にて〉 政信:二人ともお疲れ様。良く頑張ったな…っておい!華恵!大丈夫か? 華恵:え、ええ…これくらい平気よ…。 政信:すぐに救護室で手当てしてもらうんだ。 華恵:分かった。後で行くわ…。 政信:仁美の方は大丈夫なのか? 仁美:私は大丈夫。でも正直今回はかなりヤバかったけどね。私も敵に洗脳されそうになったし。 政信:え!?それは本当なのか? 仁美:ええ。 政信:よくはねのけたな。 仁美:まあね。私の正義を愛する心の強さの前では闇の力なんて全然効かないのだ! 華恵:うふふ…仁美らしいわ。 仁美:でもこれで奴らの手口が明らかになったわ。あいつらは人の心の弱みに付け込んで闇の力を流し込み、自分たちの*手駒《てごま》を増やしているのよ。 華恵:そう…私の時もそうだった。相手の欲望を*煽《あお》って闇に引きずり込むの。 政信:ふむ…しかしそうなると、これからはそれを防ぐ手立ても考えていかないとな。 華恵:そうね…でないとキリがないわ。 仁美:それよりさっきから気になってだんだけど、テーブルに並んでいる美味しそうなスイーツの山は何? 政信:さすが仁美、*目敏《めざと》いな。今回は非常招集で満足に食べられなかっただろ?だから俺が改めて用意しといた。二人ともゆっくり味わってくれ。 仁美:え?いいの?政信ありがとう! 華恵:私もちょうど甘い物が食べたかったの。 仁美:見直したわ!政信! 華恵:*流石《さすが》バディの鏡ね。 政信:いやぁ…それ程でも。どうせ俺の金じゃないし…。 仁美:え…?今…何て? 華恵:「俺の金じゃないし」って聞こえたような気がしたんだけど。 政信:い、いやぁ…これは今回の任務成功に伴って政府から下りた特別報酬の一部を利用してだな…。 仁美:特別報酬ですって? 華恵:ってことは本来は私達に入るはずのお金ってことよね? 政信:いや、それは、その…は…ははは。 仁美:人のお金を! 華恵:勝手に! 仁美:使うな!〈同時に〉 華恵:使うな!〈同時に〉 政信:ひえ~!!お許しを~!! : 政信:こうして、爆食戦士アクアミートと*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレアの活躍により、新たに出現した闇の敵は追い払われ、街の被害は最小限に抑えられた。だがその頃…。 : :〈「闇組織ダークメサイア」本部にて〉 少女:*幻惑魔導士《げんわくまどうし》チャルム、ただ今戻りました。大変申し上げにくいのですが今回の任務、失敗してしまいました。誠に申し訳ございませんでした。 謎の人物:……。 少女:ただ、大きな収穫もありました。さあ入りなさい。 響子:お初にお目にかかります。この度、チャルム様の手により*幹部5人衆《かんぶごにんしゅう》の一人に加えていただきました「*破滅魔導騎士《はめつまどうきし》ジャミラス」と申します。この命、全てあなた様に捧げますので、どうぞご自由にお使いくださいませ。 謎の人物:……。 少女:おお!ジャミラスよ、喜びなさい。あのお方がお認めくださったわ!今後の活躍を期待していると仰っているわ! 響子:はっ!ありがたき幸せ!このジャミラス、そのご期待にお応え出来るよう誠心誠意尽くさせていただきます! 少女:では、当面お前には*田村 響子《たむら きょうこ》として爆食戦士アクアミートこと*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》の監視及び街の*破壊工作任務《はかいこうさくにんむ》に*就《つ》いてもらう。 響子:なっ!お言葉ですが、私なら今すぐにでもヤツを闇に葬ることが出来ます!ぜひ私にあの時の*屈辱《くつじょく》を晴らさせてください! 少女:まあそう焦るなジャミラスよ。それに、私は今回の一件で少々ヤツの力に興味が湧いた。今はまだ青い果実だが、今にもっと進化するだろう。そして、その実が完全に熟した所を…うふふ。 響子:…。 : :〈次回予告〉 仁美:何とか闇の敵の脅威を退けた私と華ちゃんだったが、その日を境に敵の攻撃はより激しさを増していった。次々と襲い来る敵を前にどんどん*疲弊《ひへい》していく私達。そんな時、新たな魔法少女が現れる!次回!爆食戦士アクアミート第4話「ついに登場!3人目の魔法少女!」あなたの全て、食べちゃうぞ♡…あー、もう慣れたわこのセリフ。 : :~完~

タイトル:【第3話】爆食戦士アクアミート「遅れて来た侵略者」 : 登場人物: 仁美:*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。「爆食戦士アクアミート」に変身し、悪と戦う。 政信:*荒木 政信《あらき まさのぶ》30歳。*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する男。仁美の専属バディとして、陰ながらサポートする。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。 響子:*田村 響子《たむら きょうこ》34歳。仁美と同じ会社に勤めるOL。以前、闇の変身アイテムに操られ「魔導戦士ミスティブラック」になって仁美と戦い浄化された過去を持つ。兼役(ハムスター型怪人、猫型怪人、子犬型怪人、ゴリラ型怪人の悲鳴) 華恵:*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたきさくそしき》アークに所属する魔法少女の一人で「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」に変身する。 少女:デパートで出会った迷子の女の子。5歳くらいの少女。 謎の人物:敵の本拠地に*鎮座《ちんざ》する謎の人物。セリフは無い。 : :〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 政信:さぁて、良い子のみんな!お待ちかね、前回のあらすじの時間だよ!仁美、よろしく! 仁美:おい!何当たり前のように私に丸投げしてんのよ! 政信:だって、仁美はこの物語の主人公だろ? 仁美:だから? 政信:みんな君の勇姿を期待しているんだよ!ワクワク! 仁美:ワクワクしてんのはアンタだけでしょーが! 政信:良いから早く!あんま時間ないよ! 仁美:はぁ…分かったわよ!…じゃあ行くわよ。前回のあらすじ。「私の専属バディの政信から魔法少女としてのレベルを上げるため特訓を受けるよう言い渡された私は、渋々ながらもトレーニングに励むこととなった。そんな中、私の家に差出人不明の果たし状が届く。最初は不審に思い無視し続けていた私だったが、あまりにもしつこいため*嫌々《いやいや》ながらも約束の場所に行ってみると、そこには私と同じ*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する専属魔法少女、*北条 華恵《ほうじょう はなえ》が待ち構えていた。*執拗《しつよう》に私との決闘にこだわる彼女は、私の制止も聞かず『*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア』に変身すると問答無用で襲いかかって来た。仕方なく変身して応戦した私だったが、究極の強さを求める彼女は戦いの*最中《さなか》闇の力に飲まれ『魔導戦士シャドウフレア』に変貌してしまう。激闘の末、私は新たな力『アクアミート フルエナジーフォーム』に進化し、何とかシャドウフレアを浄化することに成功したのだった。」 仁美:ふぅ…やっと終わった。これで満足かしら? 政信:〈拍手する〉さすが仁美だ!じゃあこの流れでタイトルコールも任せたぜ!キラン☆ 仁美:何が「キラン☆」よ!あー腹立つ!アンタも少しは仕事しなさいよ! 政信:何言ってんだよ仁美。俺の仕事は*陰《かげ》ながら仁美をサポートすることなんだぜ!キラン☆ 仁美:だからその「キラン☆」やめろって!はぁ…じゃあ良いかしら? 政信:おう!ドンと来い! 仁美:〈元気で明るく〉そんじゃ、「爆食戦士アクアミート第3話」始まるわよ!!今回も、あなたの全て、食べちゃうぞ♡」…あいつ後で絶対シバく! : :〈仁美の会社にて〉 仁美:響子、おはよう。 響子:仁美、おはよう。 仁美:怪我の具合はどう? 響子:うん。お陰様でもう大丈夫。 仁美:でも退院したばかりなんだからあんま無理しちゃダメだよ。 響子:ありがとう。 仁美:今度の休みに気晴らしにショッピングでもして来たら? 響子:でも、今月お金ないし…。 仁美:色々見て回るだけでもリフレッシュになるわよ。まあ無理にとは言わないけど。 響子:じゃあ仁美も一緒に行こうよ。 仁美:ごめんね。行きたいのはやまやまなんだけど最近休みの日は色々と忙しくてさ。 響子:そうなんだ…。仁美こそちゃんと休みなよ。無理して倒れでもしたら私が困るんだからね。 仁美:はいはい。心配してくれてありがとね。それじゃ今日も一日頑張りましょう。 響子:ええ。 : :〈土曜日、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク特別トレーニングルームにて〉 仁美:98…99…これで最後よ!必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!うぉりゃああ!! ハムスター型怪人:チューー!!! 仁美:はぁ…はぁ…よし!100体目クリア! 華恵:そこぉ!*火炎連撃魔法《かえんれんげきまほう》「ファイヤーブラスト・マルチシューティング」!! 猫型怪人:フギャアアア!! 子犬型怪人:キャイーン!! ゴリラ型怪人:ウホーー!! 華恵:おっしゃあ!まとめて3体撃破!私も100体クリアよ! 政信:よし!二人ともノルマ達成だな!一度無限戦闘シミュレーターから出て休んでくれ。 仁美:はぁ…はぁ…了解よ。 華恵:ふぅ…良い汗かいたわ。 :〈休憩時間〉 仁美:*華《はな》ちゃんは良いなぁ。魔法使えるしまとめて敵を攻撃出来るし。私なんてさ、一体一体全力で叩き潰していくしかないから正直キツいのよね。 華恵:何言ってんのよ。仁美のような圧倒的なパワーは私には出せないわ。それに、イーターモードやフォームチェンジとか色々戦闘のバリエーション持ってるんだから*羨《うらや》ましいわよ。 仁美:でも、あれだってどっちもめちゃめちゃ体力持って行かれるし、使った後は動けなくなるし…。 政信:まあそのための訓練だ。仁美の当面の目標は体力の向上だな。せめてイーターモード使用後にフルエナジーフォームにチェンジして必殺技が出せるくらいにはなってもらわないとな。 仁美:鬼か!アンタ、あれがどれだけ大変か知らないからそんなことが言えるのよ! 政信:華恵は魔力の鍛錬と攻撃力の強化が課題だな。アクアミート以外の魔法少女は保有する魔力量と魔法の威力が重要になってくるからそのあたりを意識しながら訓練に励むと良いだろう。 華恵:はーい。頑張りまーす。 仁美:逆に私だけ魔力関係ないのが不思議だわ…魔法少女なのに。 政信:まあそれは良いとして。仁美、前々から言おうとは思っていたんだが…。 仁美:コラ!サラっと流すな!…って何よ? 政信:以前、仁美に変身ブレスレットの説明をした際にアクアミートは変身後に体重が2倍になるって話をしたよな? 仁美:ええ。それがどうしたのよ? 政信:実はそれは筋肉の密度が増えるからであって、決してメタボになるからではない。だから無理して声まで太らせる必要は無いんだぞ。 仁美:え?それ…今言う?私、今までずっと頑張って太った声出してたのに!どうしてもっと早く言ってくれなかったのよ! 政信:いや、特に聞かれなかったから。 仁美:それを言うのがバディの仕事でしょーが! 政信:*特段《とくだん》戦闘に支障がないと思ったから*敢《あ》えて言わなかったんだ。むしろノリノリでやってたみたいだったし。 仁美:このー!私の無駄な努力をどうしてくれんのよ!敵の前にアンタの頭の中を浄化してやるー!〈政信を頭を殴る〉 政信:痛い!や、やめろ!暴力反対!! 華恵:まあ、仲の良いことで。さてと、お二人さん、休憩時間とっくに過ぎてるわよ。そろそろ午後のトレーニング始めるよ。 仁美:あ、もうそんな時間か。くそ…政信のせいで貴重な休憩時間が無駄になったわ。後で甘い物でも*奢《おご》りなさいよ! 政信:えー。今月金欠なのに…。 仁美:問答無用!もちろん私だけじゃなくて華ちゃんの分もよ! 政信:仁美、そんなの食べたらまた太るよ。 仁美:またって言うな!バカ! : :〈日曜日〉 響子:さてと、今日は退院して初めての日曜日だ!やっぱり週末のデパートは活気があって良いわね。久しぶりにカフェでゆっくりお茶でもしようかしら。 少女:うえ~ん…どこにいるの?〈泣き叫ぶ〉 響子:(あら?迷子かしら?)お嬢ちゃん、どうしたの? 少女:ひっく…あのね、わたしデパートでまいごになっちゃったの…うう。 響子:あらあら、それは大変ね。じゃあお姉ちゃんが一緒に家族の人を探してあげるわね。 少女:ほんと?わぁ!うれしい!じゃあさ、おててつないでいい? 響子:良いわよ。はい。 少女:ありがとう!おねえちゃん!〈少女と手を繋ぐ〉 響子:それで今日は誰と来たの? 少女:うーんとね、ひとりできたの。 響子:え?ひとりでこんな広いデパートに来ちゃったの?…えっと、どうしようかな…それじゃあお姉ちゃんがおうちまで送ってあげるね。 少女:ううん。だいじょうぶ。さがしものはみつかったから。 響子:ん?どういうこと? 少女:わたしね、おねえちゃんをさがしてたの。 響子:私を? 少女:イリュージョ二ストワールド展開!〈周りの全ての時間が止まる〉 響子:(こ、これは?) 少女:(ここは私とあなただけの世界。) 響子:(ほんとだ…私達以外の時間が止まっているわ。) 少女:(そんなことより*田村 響子《たむら きょうこ》さん…もう一度思い出して。闇に包まれる心地良さを。) 響子:(え?何で私の名前を知ってるの?……って、あぁ…繋いだ手から何かが私の中に入って来る…この感覚…何だかとっても懐かしい感じがするわ…) 少女:(可哀想に…記憶を書き換えられちゃったのね。大丈夫…私が全部思い出させてあげるから。) 響子:(ふぁぁ…気持ち良い♡……そうだ…私はあのお方にお仕えする忠実な戦士「魔導戦士ミスティブラック」…) 少女:(うふふ…ようやく思い出したわね。そうよ。あなたはあのお方の野望を実現するための貴重な戦力だったの。) 響子:(でも…私はあの時敵に浄化されて全ての力を失った…) 少女:(そうだったわね。ちなみに誰にやられたか覚えてる?) 響子:(確か…「爆食戦士アクアミート」…ああ!!そうだ!あのふざけた魔法少女に私は負けたんだ!) 少女:(へぇー…爆食戦士アクアミートって言うのね。確かにヘンテコなネーミングだわ。ねぇ、響子さん、そいつに負けて悔しい?) 響子:(悔しいに決まってるわよ!あんな*舐《な》めた相手に手も足も出なかったんだから。しかもあのお方の力をお借りした「*影憑《《かげつ》》き」で第二形態にまでなったのに結局勝てなかった…。今思い出しても弱い自分が本当に情けない!うう…。) 少女:(じゃあ、私がリベンジするチャンスをあげるって言ったらどうする?) 響子:(え?私にもう一度あいつを倒すチャンスをくれるの?欲しい…お願いします!私に力をください!) 少女:(うふふ…良いわよ。それじゃあ私があなたに新たな力を与えてあげる。これを受け取りなさい。)〈響子に指輪を渡す〉 響子:(この指輪は…?) 少女:(これは「魔導リング」と言ってね、あのお方から分けていただいた闇の力が凝縮された貴重な指輪なのよ。) 響子:(わぁ…綺麗。でも良いんですか?そんな大事な指輪をいただいても?) 少女:(もちろんよ。あなたには我々の戦士としてまだまだ役に立ってもらわないとね。だけど一つ気を付けてね。これを指にはめた瞬間からあなたは人ではなくなり、私たちと同じ闇の存在になっちゃうけど、それでも良いの?) 響子:(私が…人じゃなくなる?…良いわ!あの*憎《に》っくきアクアミートを倒せるなら私はどうなったって構わない!) 少女:(うふふ…素晴らしい覚悟ね。気に入ったわ。それじゃあ私が*直々《じきじき》にはめてあげる♡)〈響子に指輪をはめる〉 響子:(あ…あああ!!指輪が私の中に溶け込んでどす黒い闇になって体の中を駆け巡っていくわ!それと同時に徐々に私が内側から作り替えられていくのが分かる!ぐっ…ああ…きゃああああ!!) 少女:(どう?自分の体が別の物に変わっていく気分は?) 響子:(…はぁ♡何て気持ち良いの!……これが人を捨てて闇の存在になるということなのね!…うふふ…最高だわ♡) 少女:(どうやら転生は完了したようね。) 響子:〈その場に膝まづいて〉(この度は私を闇の一員に加えていただき光栄に存じます。よろしければ*私《わたくし》めにあなた様のお名前をお教えくださいませ。) 少女:(私は*幻惑魔導士《げんわくまどうし》チャルムよ。そしてあなたはこれから我々「ダークメサイア」*幹部5人衆《かんぶごにんしゅう》の一人「*破滅魔導騎士《はめつまどうきし》ジャミラス」として世界に破壊と*混沌《こんとん》をもたらすの。分かったかしら?) 響子:(ははっ!チャルム様!このジャミラス、あのお方の野望実現のためこの命の全てを捧げる*所存《しょぞん》でございます。) 少女:(うふふ…とっても良い子ね。それじゃあ手始めに…ごにょごにょ〈内容を伝える〉。どう?お願いできるかしら?それと、あなたに私の*手駒《てごま》を貸してあげるから好きに使って良いわよ。) 響子:(承知しました。お任せください。) 少女:(よろしくね。じゃあ元の世界に戻すわよ。リリースワールド!) :〈元の世界に戻る〉 少女:おねえちゃん。わたしもうひとりでだいじょうぶだから。 響子:分かったわ。 少女:いっしょにいてくれてありがとう。 響子:どういたしまして。じゃあ気を付けて帰るのよ。 少女:うん!またね!ばいばい! 響子:ばいばい! : :〈訓練終了後〉 仁美:あー…今日も疲れた。さすがに毎週土日休みなしっていうのは*堪《こた》えるわ。まあでも約束通り政信にスイーツ*奢《おご》ってもらったから良しとするか。さぁて、早く帰って食べよっと。 仁美:〈緊急アラームが鳴る〉え?緊急アラーム?これって非常招集の合図よね? 政信:〈通信〉二人ともすまない。今、ポイントB*307《さんまるなな》とC*508《ごーまるはち》で同時に複数の怪人と魔導戦士らしき人物が暴れているとの通報があった。華恵はポイントB*307《さんまるなな》へ、仁美はC*508《ごーまるはち》にそれぞれ急行してくれ! 華恵:〈通信〉了解したわ! 仁美:(ったく…せっかくスイーツタイムを楽しみにしてたのに!)〈通信〉こっちも了解よ! : :〈ポイントB307〉 華恵:〈通信〉こちら華恵。ポイントB*307《さんまるなな》に到着したわ。通報のあった通り、怪人及び魔導戦士らしき人物を確認。いずれも街を攻撃しているわ。すぐに対処する。 政信:〈通信〉了解!くれぐれも気を付けろよ。〈通信切れる〉 華恵:分かってるって!そんじゃ行くわよ!『エクスプロージョン!』〈華恵の体が赤い炎で包まれていく〉 華恵:〈変身完了〉『*燃え盛る《もえさかる》炎は全ての悪を焼き尽くす!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア参上!さあ、*塵《ちり》一つ残さず燃やし尽くしてあげるわ!』 華恵:最初から飛ばして行くわよ!*火炎連撃魔法《かえんれんげきまほう》「ファイヤーブラスト・マルチシューティング」!!いっけぇぇぇ!! : :〈ポイントC508〉 仁美:〈通信〉こっちもポイントC*508《ごーまるはち》に到着したわ。え?何これ…。 政信:〈通信〉どうした? 仁美:〈通信〉何て数なの?ざっと数えても100体以上はいるわ。 政信:〈通信〉何だと!とにかく敵の*殲滅《せんめつ》を急いでくれ! 仁美:〈通信〉了解よ!じゃあ行くわよ!『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉 仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』よっしゃあ!特訓の成果見せてやるんだから! 仁美:*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!〈巨大なボンレスハム型ハンマーが出現する〉 仁美:必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!どぉりゃああ!! : :〈30分後、ポイントB307〉 華恵:〈通信〉こちら*華恵《はなえ》。こっちは何とか片付いたわ。 政信:〈通信〉ご苦労様。帰還してくれ。 華恵:〈通信〉仁美の方はどうなの? 政信:〈通信〉奮闘してるみたいだが、あっちはかなりの数の敵がいるらしい。報告では100体以上とか…。 華恵:〈通信〉(そんなに?…おかしい。こっちはせいぜい30体程度だったのに。)政信、私も急いで加勢に向かうわ。もしかしたら敵の狙いは仁美かもしれない! 政信:〈通信〉何?どういうことだ? 華恵:〈通信〉とにかく急がないと手遅れになる! 政信:〈通信〉分かった。よろしく頼む。 華恵:〈通信〉了解!〈通信切る〉 華恵:(もし敵の狙いが仁美だとしたら…くそっ!間に合ってちょうだい!) :〈響子が変身した姿で現れる〉 響子:あら、流石は*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレアね。私の用意した*手駒《てごま》たちをあっという間に片付けるとはなかなかやるじゃない。 華恵:誰!?(ひょっとして新手の敵?でもこんなやつ見たことないわ!) 響子:残念だけど今はまだ名乗れないの。ただ、あなた達の敵だということだけは確かよ。それじゃ行くわよ! 華恵:くっ!やるしかないのね!はああああ!! : :〈1時間後、ポイントC508〉 仁美:はぁ…はぁ…おかしい。倒しても倒しても敵の数が一向に減らない。このままじゃマズイわね。 政信:〈通信〉仁美、だいぶ敵の反応が消えてきた。もう少しだ。頑張ってくれ。 仁美:(もう少し?) 仁美:〈通信〉分かったわ。 政信:〈通信〉無理しすぎるなよ。 仁美:〈通信〉了解!〈通信切る〉 少女:うえ~ん! 仁美:(こんな所に女の子?)お嬢ちゃん!ここは危ないから安全な場所に隠れてて。 少女:うん…ぐすん。 :〈少女に向かって敵の攻撃が飛んで来る〉 仁美:危ない!〈少女を*庇《かば》って攻撃を食らう〉ぐああ!!くそ…何とかしないと市民に被害が広がってしまう。 少女:怖いよぉ…おねえちゃん。 仁美:大丈夫よ。お嬢ちゃんは私が守るから!ふぅ…こうなりゃ片っ端から*殲滅《せんめつ》あるのみ!うぉりゃああ!! : :〈30分後〉 仁美:はぁ…はぁ…政信のやつ、何があと少しよ。倒した*傍《そば》からワラワラと湧いてくるじゃない!はああああ!!〈怪人を撃破する〉 仁美:はぁ…はぁ…ダメ…もう動けない…。〈その場に*蹲《うずくま》る〉 少女:おねえちゃん、大丈夫? 仁美:(はっ!あれはさっきの女の子!)出て来ちゃダメ! 少女:(そろそろかしら。)イリュージョ二ストワールド展開!〈周りの全ての時間が止まる〉 仁美:(え?何これ?周りの時間が停止している…) 少女:(ここは私とあなただけの世界。) 仁美:(はっ!さっきのお嬢ちゃん!あなた、一体何者なの?) 少女:(初めまして。爆食戦士アクアミートさん。) 仁美:(私の事を知っている?もしかして…敵!?) 少女:(そんなに身構えないで。私はあなたとお話がしたいだけなの。) 仁美:(お話…?) 少女:(私はチャルム。あなたとっても強いのね。でも何でそんなヘンテコな名前と格好をしているの?) 仁美:(うっさいわね!余計なお世話よ!てか、出会って*早々《そうそう》ディスってくるとは良い度胸してんじゃないの!) 少女:(あら、気に*障《さわ》ったのならごめんなさい。でもあなた、本当はもっとキュートでチャーミングな魔法少女になりたかったんじゃないの?) 仁美:(うっ…それは…そうだけど。) 少女:(キラキラステッキで可愛く変身して、魔法で*華麗《かれい》に敵を倒していく…本当はそんな魔法少女に憧れていた。) 仁美:(ぐっ…) 少女:(でも現実は違った。こんなギトギトの*脂《あぶら》に*塗《まみ》れて、超ダサい変身と物理攻撃しか使えない理想とは程遠い存在。) 仁美:(くそ…全部当たっていて何も言い返せない…。) 少女:〈仁美の手を握りながら〉(可哀想に…せっかくの綺麗な手がこんなにマメだらけになって…。) 仁美:(ちょっと!勝手に触らないでよ!)〈手を振り払う〉 少女:(そんなに*邪険《じゃけん》にしないで。ねぇ、私があなたを今よりもっと素敵な魔法少女にしてあげよっか?) 仁美:(え?私、もっと素敵な魔法少女になれるの?) 少女:(ええ、なれるわよ。さあ…もう一度私の手を握って…) 仁美:(うん…。)〈少女の手を握る〉 少女:(そして闇の力を受け入れるの…) 仁美:(闇の力を…受け入れる?) 少女:(そう…安心して。何も恐れることはないわ。あなたは私に全てを委ねれば良いの。それじゃあ行くわよ…) 仁美:(ふん!)〈手を振り払う〉 少女:(え?何で手を離すの?) 仁美:(へぇー、そうやって闇の力を流し込んで夢見る乙女たちを悪の手先に変えて来たってわけね。) 少女:(な、何を言っているの?私ならあなたの夢を叶えてあげられるのよ!) 仁美:(冗談じゃないわ!確かにアンタの言う通り、全身*脂《あぶら》ギトギトだし、変身シーンは超ダサいし、魔法なんて一切使えない物理攻撃*一択《いったく》の理想とはかけ離れた魔法少女だけどね!ピュアな乙女の気持ちを踏みにじるアンタみたいな存在を私は絶対に許さない!私はね!そのために魔法少女になったのよ!) 少女:(そ、そんな…私の誘惑に打ち勝てるやつなんているはずがないのに…。) 仁美:(行くわよ!覚悟しなさい!) 少女:((ちっ…こうなったら仕方ない。)うえ~ん…おねえちゃんごめんなさい。わたしをいじめないで!) 仁美:(はぁ…〈溜息〉) 少女:((うふふ…こうやって*幼気《いたいけ》な少女を演じていれば流石に攻撃して来れないわよね…)) 仁美:(やっぱり日々の訓練って大事よね。こんなに可愛らしい女の子を前にしても可哀想だなんて気持ち、*微塵《みじん》も起きないわ。さぁて、全力で行くわよ!) 少女:(へ?) 仁美:(こいつで消し飛びなさい!必殺!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!どぉりゃああ!!) 少女:(ちょ!待っ!ひぃぃぃ!!鬼ぃぃぃ!!!) : 仁美:ちっ…仕留め損なったか。まあ良いわ。 :〈元の世界に戻る〉 仁美:お!元の世界に戻ったようね。それにあんなにうじゃうじゃいた敵も全部消えていくわ。やっぱりあいつが作り出していた幻影だったのね。 仁美:〈通信〉政信、こっちはとりあえず終わったわよ。 政信:〈通信〉仁美!無事だったのか!良かったぁ…途中で通信が途切れた時は心配で心配で…。 仁美:〈通信〉それより華ちゃんの方は大丈夫なの? 政信:〈通信〉それが謎の敵と交戦中らしい。 仁美:〈通信〉分かった。私も今からそっちに向かうわ。 : :〈ポイントB307〉 華恵:はぁ…はぁ。喰らえ火炎魔法「*爆炎業火球《ばくえんごうかきゅう》」!!うぉりゃああ! 響子:無駄無駄!そんな攻撃が私に効くと思って?闇魔法!「ダークネスボール!」 :〈ダークネスボールのパワーに競り負ける〉 華恵:くっ…私の*爆炎業火球《ばくえんごうかきゅう》が押されてる…きゃあああ!! 響子:強い!何て強さなの!ふふふ…素晴らしいわ! 華恵:ぐっ…やるじゃない。でもさすがにこのままじゃこっちの身が持たない…。 響子:どうしたの?天下の魔法少女がこの程度なんてことはないわよね?さあ、もっと全力でかかって来なさい! 華恵:言われなくてもやってやるわよ!*火炎究極魔法《かえんきゅうきょくまほう》!「バーニングファイヤー・フルバースト」!!おりゃああ!! 響子:うふふ…これが究極魔法?まるで子供の火遊びね。闇魔法!「ミラーリング・リバース」! 華恵:うそ…私の攻撃がそのまま闇魔法に変換されて戻って来る!…ぐああああ!! 響子:あははは!!これは*傑作《けっさく》だわ!…そうねぇ、いっその事このままトドメを刺しちゃおうかしら?ペロリ♡〈舌なめずりをする〉 華恵:ぐっ…くそ…。 響子:さあ覚悟なさい!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア!!はあああ!! 華恵:くっ! 少女:(ジャミラス、任務失敗よ。*一旦《いったん》*退《ひ》くわよ!) 響子:(は、はい。分かりました。)ちっ…あと少しだったのに。あなた命拾いしたわね。まぁ私としてはもうちょっと遊んでいたかったけど、すぐに帰らなきゃいけなくなっちゃったみたいなの。ってことで、じゃあね子猫ちゃん。また遊びましょ!〈消える〉 華恵:ま、待て!…くそ、逃げられたか…。 仁美:華ちゃーん! 華恵:仁美…無事だったのね。良かった。 仁美:ええ、何とか。それより華ちゃんこそ大丈夫?酷い怪我してるじゃない!誰にやられたの? 華恵:うぐっ…誰だか分からないけど、初めて見る敵だったわ。何か事態が急変したみたいで向こうからいなくなっちゃったけどね。 仁美:そう…とにかく無事で良かったわ。帰りましょう。 華恵:ええ…。 仁美:〈通信〉政信、華ちゃんは無事よ。敵もいなくなったから私たちの転送と*諸々《もろもろ》の処理をお願い。 政信:〈通信〉分かった。後のことはこっちに任せとけ。それじゃ二人を作戦本部に転送する!〈二人を転送する〉 : :〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク作戦会議室にて〉 政信:二人ともお疲れ様。良く頑張ったな…っておい!華恵!大丈夫か? 華恵:え、ええ…これくらい平気よ…。 政信:すぐに救護室で手当てしてもらうんだ。 華恵:分かった。後で行くわ…。 政信:仁美の方は大丈夫なのか? 仁美:私は大丈夫。でも正直今回はかなりヤバかったけどね。私も敵に洗脳されそうになったし。 政信:え!?それは本当なのか? 仁美:ええ。 政信:よくはねのけたな。 仁美:まあね。私の正義を愛する心の強さの前では闇の力なんて全然効かないのだ! 華恵:うふふ…仁美らしいわ。 仁美:でもこれで奴らの手口が明らかになったわ。あいつらは人の心の弱みに付け込んで闇の力を流し込み、自分たちの*手駒《てごま》を増やしているのよ。 華恵:そう…私の時もそうだった。相手の欲望を*煽《あお》って闇に引きずり込むの。 政信:ふむ…しかしそうなると、これからはそれを防ぐ手立ても考えていかないとな。 華恵:そうね…でないとキリがないわ。 仁美:それよりさっきから気になってだんだけど、テーブルに並んでいる美味しそうなスイーツの山は何? 政信:さすが仁美、*目敏《めざと》いな。今回は非常招集で満足に食べられなかっただろ?だから俺が改めて用意しといた。二人ともゆっくり味わってくれ。 仁美:え?いいの?政信ありがとう! 華恵:私もちょうど甘い物が食べたかったの。 仁美:見直したわ!政信! 華恵:*流石《さすが》バディの鏡ね。 政信:いやぁ…それ程でも。どうせ俺の金じゃないし…。 仁美:え…?今…何て? 華恵:「俺の金じゃないし」って聞こえたような気がしたんだけど。 政信:い、いやぁ…これは今回の任務成功に伴って政府から下りた特別報酬の一部を利用してだな…。 仁美:特別報酬ですって? 華恵:ってことは本来は私達に入るはずのお金ってことよね? 政信:いや、それは、その…は…ははは。 仁美:人のお金を! 華恵:勝手に! 仁美:使うな!〈同時に〉 華恵:使うな!〈同時に〉 政信:ひえ~!!お許しを~!! : 政信:こうして、爆食戦士アクアミートと*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレアの活躍により、新たに出現した闇の敵は追い払われ、街の被害は最小限に抑えられた。だがその頃…。 : :〈「闇組織ダークメサイア」本部にて〉 少女:*幻惑魔導士《げんわくまどうし》チャルム、ただ今戻りました。大変申し上げにくいのですが今回の任務、失敗してしまいました。誠に申し訳ございませんでした。 謎の人物:……。 少女:ただ、大きな収穫もありました。さあ入りなさい。 響子:お初にお目にかかります。この度、チャルム様の手により*幹部5人衆《かんぶごにんしゅう》の一人に加えていただきました「*破滅魔導騎士《はめつまどうきし》ジャミラス」と申します。この命、全てあなた様に捧げますので、どうぞご自由にお使いくださいませ。 謎の人物:……。 少女:おお!ジャミラスよ、喜びなさい。あのお方がお認めくださったわ!今後の活躍を期待していると仰っているわ! 響子:はっ!ありがたき幸せ!このジャミラス、そのご期待にお応え出来るよう誠心誠意尽くさせていただきます! 少女:では、当面お前には*田村 響子《たむら きょうこ》として爆食戦士アクアミートこと*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》の監視及び街の*破壊工作任務《はかいこうさくにんむ》に*就《つ》いてもらう。 響子:なっ!お言葉ですが、私なら今すぐにでもヤツを闇に葬ることが出来ます!ぜひ私にあの時の*屈辱《くつじょく》を晴らさせてください! 少女:まあそう焦るなジャミラスよ。それに、私は今回の一件で少々ヤツの力に興味が湧いた。今はまだ青い果実だが、今にもっと進化するだろう。そして、その実が完全に熟した所を…うふふ。 響子:…。 : :〈次回予告〉 仁美:何とか闇の敵の脅威を退けた私と華ちゃんだったが、その日を境に敵の攻撃はより激しさを増していった。次々と襲い来る敵を前にどんどん*疲弊《ひへい》していく私達。そんな時、新たな魔法少女が現れる!次回!爆食戦士アクアミート第4話「ついに登場!3人目の魔法少女!」あなたの全て、食べちゃうぞ♡…あー、もう慣れたわこのセリフ。 : :~完~