台本概要

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タイトル 植物に聞いてみた ~ アオキ
作者名 ねこつう  (@nekonotsuuro)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(男1、不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 戦に敗れ、洞窟に隠れて泣き言を言っている落ち武者に、不思議な声が聞こえてくる。
声は、自分のことを「物の怪」だと言い、なぜか落ち武者をからかい、挑発してくるのだが……

https://note.com/nekonotsuuro/n/n0e687cd30c2a
より転載

・この作品は朗読、配信などで、非商用に限り、無料にて利用していただけますが著作権は放棄しておりません。テキストの著作権は、ねこつうに帰属します。
・配信の際は、概要欄または、サムネイルなどに、作品タイトル、作者名、掲載URLのクレジットをお願いいたします。
・語尾や接続詞、物語の内容や意味を改変しない程度に、言いやすい言い回しに変える事は、構いません。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
落ち武者 22 戦に大敗して洞窟に隠れている。
アオキ 不問 21 落ち武者をからかい挑発する正体不明の声。実は植物の精霊。
語り 不問 1 落ち武者と兼ね役も可
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
落ち武者: はぁはぁ… 落ち武者: まったく、何故こんなことに…… 落ち武者: 与平が帰って来なければ、 落ち武者: わしはこの洞窟で野垂れ死にではないか…… アオキ: ……うぅむ アオキ: さきほどから聞いておれば アオキ: うじうじと泣き言ばかり… アオキ: ほとほとあきれ果てるというものだ 落ち武者: ……!? 落ち武者: 何奴! いったいどこにおる! 落ち武者: (刀を抜こうと構えるくらいの感じで) アオキ: ……(笑う) アオキ: ぉお、落ち武者が威勢のいいことだ アオキ: アオキ: 我は人間ごときの目には見えぬ アオキ: ぬしらは、我を「物の怪」と呼んでおるらしいなぁ 落ち武者: ぬっ? アオキ: そう、殺気をたてなくてもよい アオキ: おぬしに、危害を加えるつもりなぞない アオキ: 最後に誰かと会話とやらをしてみたかっただけじゃ 落ち武者: ……? アオキ: ……のう、落ち武者 アオキ: おぬしは哀れじゃなぁ 落ち武者: 黙れっ、物の怪… 落ち武者: 味方の十倍の敵が攻めてきたのだ 落ち武者: わしは…わしはっ、 落ち武者: それでも勇敢に戦った! アオキ: なんと杜撰(ずさん)な作戦じゃ アオキ: 十倍の敵と戦うなど、阿呆な大将がすること アオキ: 下についたものどもは苦労するばかりじゃな…… 落ち武者: 杜撰なことなどない! 落ち武者: しかし 落ち武者: 大雨で川が増水し、援軍が間に合わなかったのだ 落ち武者: わしの策に落ち度はなかった! アオキ: なんとっ アオキ: おぬしが、阿呆の大将であったか! 落ち武者: 阿呆の大将ではない! アオキ: (笑う) では、捕まったら敵に言うがよい アオキ: 「援軍が間に合わなかっただけで、 アオキ: 負けたわけではないのだ!」と。 アオキ: 最後に笑ってもらえるネタだぞ? 落ち武者: ネタとか言うなッ! アオキ: いくらでも吠えればよい アオキ: お前はただの哀れな落ち武者じゃ アオキ: 今のままでは、な (笑う) 落ち武者: ぬううう! 落ち武者: …………二十年も、耐えておったのに。 落ち武者: ……(トホホな感じで)初戦で負け、物の怪にまでからかわれるなぞ… 落ち武者: 思うてもみなんだ アオキ: なんだ アオキ: また、落ち込んでおるのか アオキ: せわしない奴じゃのう アオキ: …そうじゃ アオキ: 想う者くらい、おらんのか? 落ち武者: ……おもうもの…マサコ…… アオキ: いるではないか アオキ: して、それはお主の一方的な恋か? 落ち武者: 無礼なことを言うでない! 落ち武者: 城を埋め尽くすほどの女子(おなご)が 落ち武者: 方々(ほうぼう)でわしの帰りを待ちわびておる 落ち武者: こんな洞窟で朽ち果ててなるものか! アオキ: ほぉ アオキ: そんなに、おぬしはもてるのか…… アオキ: 落ち武者を好むとは アオキ: 悪趣味な女子(おなご)も多いのじゃのう…… 落ち武者: うるさい! 黙れっ! 落ち武者: 貴様、無礼にも程があるぞ! アオキ: 無礼?(笑う) アオキ: 無礼か…ならば、せいぜいきばってみせればよい アオキ: 阿呆の大将? 落ち武者: 先程から貴様は…… 落ち武者: ………ぃや、待て 落ち武者: そもそも、落ち武者とバカにしてくるためだけに話しかけるなどあるか? 落ち武者: 落ち武者: 落ち武者: 貴様…… 落ち武者: 何か魂胆があって、 落ち武者: わしを挑発しておるのか? アオキ: ほう アオキ: 阿呆な落ち武者大将にしては、なかなか賢いではないか 落ち武者: これでも一軍の大将だからな 落ち武者: ……そういえば貴様、妙なことを言っていたな 落ち武者: 最後に誰かと話したかったと。 アオキ: 簡単なことよ。 アオキ: お前と同じ理由じゃ。 落ち武者: わしと同じ理由だと? アオキ: 生き残るためじゃ。 落ち武者: わからぬ…… 落ち武者: 物の怪なら、いくらでも長生きできるのではないのか? アオキ: いや、我はおぬしに切られたのだ。 アオキ: おぬしは我の仇(かたき)だ。 落ち武者: なに? アオキ: 正確には、与平とかいうおぬしの仲間が我を切った。 アオキ: そして、切り取った我の体で、 アオキ: この洞窟の入り口を隠したのじゃ。 アオキ: 葉っぱだけではなく枝も青いゆえ、 アオキ: 我はアオキと呼ばれておる。 アオキ: 我はアオキの精霊じゃ! アオキ: 生命力強く萎れにくいゆえ、利用したのであろうが、 アオキ: いくら我でも、切り取られてはなぁ アオキ: いずれ枯れてしまう 落ち武者: じゅ、樹木の精霊であったか! 落ち武者: ……それは……悪いことを…した 落ち武者: しかし、それでも、なぜ…… アオキ: ……落ち武者になったおぬしにもしもまだ他を思う心があるのなら、 アオキ: 我の枝を切って清潔な砂に挿し(さし)水をやってはくれぬか。 アオキ: そうしてくれれば我は苗木になり生き延びる 落ち武者: それだけで根付くのか……なんというしぶとさじゃ! 落ち武者: 見習いたいものだ! 落ち武者: そうか! 物の怪。 落ち武者: 貴様はそのために 落ち武者: わざと挑発して、わしの気を引いたな? アオキ: どうせ互いに瀬戸際ならば、仇であっても、 アオキ: 水を向けて賭けてみようとな アオキ: そう思ったのだ 落ち武者: なんと肝の座った駆け引き上手 落ち武者: 気に入った! 落ち武者: 貴様を配下に加えたいくらいだ! アオキ: なんという戯れ(たわむれ)を! アオキ: 草木と話しておっては、阿呆がとうとう乱心したと言われるぞ? アオキ: それに、おぬしは間もなく、我の声が聞こえなくなる。 落ち武者: ……? アオキ: 我らと話ができるのは、特別な力のある者か、 アオキ: あるいは、生と死の境界線にいるもののみ アオキ: しかし、おぬしはこれ以上振り返ることも、 アオキ: 死を思うことも、もうあるまい…… 落ち武者: …………そうだな…… 落ち武者: 貴様のお陰で、覚悟がついた! 落ち武者: わしを信じてついてきてくれた者たち…… 落ち武者: 生きている者、散っていった者たちのために…… 落ち武者: もうわしは、負けぬ! 落ち武者: アオキの精霊よ。 落ち武者: 貴様の声が聞こえなくなっても…… 落ち武者: この頼朝……ここを脱出するときに、 落ち武者: 誓って配下の者に命じよう! 落ち武者: 必ず貴様の枝を土に植えて根付かせるようにと。 落ち武者: そして、平家との戦いに、わしが勝利した暁には、 落ち武者: お主に敬意を払い生涯大事に育ててやる 落ち武者: もうわしは、絶対に負けぬ! 落ち武者: このいまいましい世の中を、 落ち武者: この源頼朝(みなもとのよりとも)が作り替えてくれる! 語り: 西暦一一八〇年。 語り: のちに鎌倉幕府を開く源頼朝は 語り: 二十年もの沈黙を破り、伊豆で兵を挙げた。 語り: しかし、運悪く大雨で増水した川に阻まれて 語り: 味方の軍勢は足止めされる。 語り: そのため 語り: 頼朝は、十倍もの敵軍と戦うことになり 語り: 初戦は大敗。 語り: その逃亡中、 語り: 頼朝が隠れていた洞窟の入り口を隠すために、 語り: 萎れにくいアオキの木が使われ、 語り: それを持ってきた土地の者に 語り: 頼朝が青木という名字を与えたという伝説がある。

落ち武者: はぁはぁ… 落ち武者: まったく、何故こんなことに…… 落ち武者: 与平が帰って来なければ、 落ち武者: わしはこの洞窟で野垂れ死にではないか…… アオキ: ……うぅむ アオキ: さきほどから聞いておれば アオキ: うじうじと泣き言ばかり… アオキ: ほとほとあきれ果てるというものだ 落ち武者: ……!? 落ち武者: 何奴! いったいどこにおる! 落ち武者: (刀を抜こうと構えるくらいの感じで) アオキ: ……(笑う) アオキ: ぉお、落ち武者が威勢のいいことだ アオキ: アオキ: 我は人間ごときの目には見えぬ アオキ: ぬしらは、我を「物の怪」と呼んでおるらしいなぁ 落ち武者: ぬっ? アオキ: そう、殺気をたてなくてもよい アオキ: おぬしに、危害を加えるつもりなぞない アオキ: 最後に誰かと会話とやらをしてみたかっただけじゃ 落ち武者: ……? アオキ: ……のう、落ち武者 アオキ: おぬしは哀れじゃなぁ 落ち武者: 黙れっ、物の怪… 落ち武者: 味方の十倍の敵が攻めてきたのだ 落ち武者: わしは…わしはっ、 落ち武者: それでも勇敢に戦った! アオキ: なんと杜撰(ずさん)な作戦じゃ アオキ: 十倍の敵と戦うなど、阿呆な大将がすること アオキ: 下についたものどもは苦労するばかりじゃな…… 落ち武者: 杜撰なことなどない! 落ち武者: しかし 落ち武者: 大雨で川が増水し、援軍が間に合わなかったのだ 落ち武者: わしの策に落ち度はなかった! アオキ: なんとっ アオキ: おぬしが、阿呆の大将であったか! 落ち武者: 阿呆の大将ではない! アオキ: (笑う) では、捕まったら敵に言うがよい アオキ: 「援軍が間に合わなかっただけで、 アオキ: 負けたわけではないのだ!」と。 アオキ: 最後に笑ってもらえるネタだぞ? 落ち武者: ネタとか言うなッ! アオキ: いくらでも吠えればよい アオキ: お前はただの哀れな落ち武者じゃ アオキ: 今のままでは、な (笑う) 落ち武者: ぬううう! 落ち武者: …………二十年も、耐えておったのに。 落ち武者: ……(トホホな感じで)初戦で負け、物の怪にまでからかわれるなぞ… 落ち武者: 思うてもみなんだ アオキ: なんだ アオキ: また、落ち込んでおるのか アオキ: せわしない奴じゃのう アオキ: …そうじゃ アオキ: 想う者くらい、おらんのか? 落ち武者: ……おもうもの…マサコ…… アオキ: いるではないか アオキ: して、それはお主の一方的な恋か? 落ち武者: 無礼なことを言うでない! 落ち武者: 城を埋め尽くすほどの女子(おなご)が 落ち武者: 方々(ほうぼう)でわしの帰りを待ちわびておる 落ち武者: こんな洞窟で朽ち果ててなるものか! アオキ: ほぉ アオキ: そんなに、おぬしはもてるのか…… アオキ: 落ち武者を好むとは アオキ: 悪趣味な女子(おなご)も多いのじゃのう…… 落ち武者: うるさい! 黙れっ! 落ち武者: 貴様、無礼にも程があるぞ! アオキ: 無礼?(笑う) アオキ: 無礼か…ならば、せいぜいきばってみせればよい アオキ: 阿呆の大将? 落ち武者: 先程から貴様は…… 落ち武者: ………ぃや、待て 落ち武者: そもそも、落ち武者とバカにしてくるためだけに話しかけるなどあるか? 落ち武者: 落ち武者: 落ち武者: 貴様…… 落ち武者: 何か魂胆があって、 落ち武者: わしを挑発しておるのか? アオキ: ほう アオキ: 阿呆な落ち武者大将にしては、なかなか賢いではないか 落ち武者: これでも一軍の大将だからな 落ち武者: ……そういえば貴様、妙なことを言っていたな 落ち武者: 最後に誰かと話したかったと。 アオキ: 簡単なことよ。 アオキ: お前と同じ理由じゃ。 落ち武者: わしと同じ理由だと? アオキ: 生き残るためじゃ。 落ち武者: わからぬ…… 落ち武者: 物の怪なら、いくらでも長生きできるのではないのか? アオキ: いや、我はおぬしに切られたのだ。 アオキ: おぬしは我の仇(かたき)だ。 落ち武者: なに? アオキ: 正確には、与平とかいうおぬしの仲間が我を切った。 アオキ: そして、切り取った我の体で、 アオキ: この洞窟の入り口を隠したのじゃ。 アオキ: 葉っぱだけではなく枝も青いゆえ、 アオキ: 我はアオキと呼ばれておる。 アオキ: 我はアオキの精霊じゃ! アオキ: 生命力強く萎れにくいゆえ、利用したのであろうが、 アオキ: いくら我でも、切り取られてはなぁ アオキ: いずれ枯れてしまう 落ち武者: じゅ、樹木の精霊であったか! 落ち武者: ……それは……悪いことを…した 落ち武者: しかし、それでも、なぜ…… アオキ: ……落ち武者になったおぬしにもしもまだ他を思う心があるのなら、 アオキ: 我の枝を切って清潔な砂に挿し(さし)水をやってはくれぬか。 アオキ: そうしてくれれば我は苗木になり生き延びる 落ち武者: それだけで根付くのか……なんというしぶとさじゃ! 落ち武者: 見習いたいものだ! 落ち武者: そうか! 物の怪。 落ち武者: 貴様はそのために 落ち武者: わざと挑発して、わしの気を引いたな? アオキ: どうせ互いに瀬戸際ならば、仇であっても、 アオキ: 水を向けて賭けてみようとな アオキ: そう思ったのだ 落ち武者: なんと肝の座った駆け引き上手 落ち武者: 気に入った! 落ち武者: 貴様を配下に加えたいくらいだ! アオキ: なんという戯れ(たわむれ)を! アオキ: 草木と話しておっては、阿呆がとうとう乱心したと言われるぞ? アオキ: それに、おぬしは間もなく、我の声が聞こえなくなる。 落ち武者: ……? アオキ: 我らと話ができるのは、特別な力のある者か、 アオキ: あるいは、生と死の境界線にいるもののみ アオキ: しかし、おぬしはこれ以上振り返ることも、 アオキ: 死を思うことも、もうあるまい…… 落ち武者: …………そうだな…… 落ち武者: 貴様のお陰で、覚悟がついた! 落ち武者: わしを信じてついてきてくれた者たち…… 落ち武者: 生きている者、散っていった者たちのために…… 落ち武者: もうわしは、負けぬ! 落ち武者: アオキの精霊よ。 落ち武者: 貴様の声が聞こえなくなっても…… 落ち武者: この頼朝……ここを脱出するときに、 落ち武者: 誓って配下の者に命じよう! 落ち武者: 必ず貴様の枝を土に植えて根付かせるようにと。 落ち武者: そして、平家との戦いに、わしが勝利した暁には、 落ち武者: お主に敬意を払い生涯大事に育ててやる 落ち武者: もうわしは、絶対に負けぬ! 落ち武者: このいまいましい世の中を、 落ち武者: この源頼朝(みなもとのよりとも)が作り替えてくれる! 語り: 西暦一一八〇年。 語り: のちに鎌倉幕府を開く源頼朝は 語り: 二十年もの沈黙を破り、伊豆で兵を挙げた。 語り: しかし、運悪く大雨で増水した川に阻まれて 語り: 味方の軍勢は足止めされる。 語り: そのため 語り: 頼朝は、十倍もの敵軍と戦うことになり 語り: 初戦は大敗。 語り: その逃亡中、 語り: 頼朝が隠れていた洞窟の入り口を隠すために、 語り: 萎れにくいアオキの木が使われ、 語り: それを持ってきた土地の者に 語り: 頼朝が青木という名字を与えたという伝説がある。