台本概要

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タイトル ガールズバンド・ボイス(仮)
作者名 チキンリトルの末裔  (@Tikin_spoon)
ジャンル その他
演者人数 8人用台本(男2、女4、不問2) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ガールズバンド系の話(今はバンド要素無し)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
92 AnotherMoonギター担当 誰にでも優しい女の子 動画投稿サイトSeeTubeでオリジナル曲を投稿している 中学でのトラウマを思い出さないために知ってる人が誰もいない華咲高校に入学した。
41 AnotherMoonキーボード担当 めっちゃ元気で周りも見れる女の子 誰にでも優しく接するため友達も多い 趣味はランニングとカフェ巡りとキーボード。
雪城 20 麗たち1年B組の担当 厳しい口調だがみんなの事を大切に思う優しい一面もある。いじめや喧嘩が大嫌いで破ったものには厳しい処罰が下される。
小春 10 麗の妹 ゲームが大好きな女の子。 いつも大切な時に麗を起こす役目を担わされている プリンが大好物
美咲 9 AnotherMoonドラム担当 人と付き合うのが大嫌い、一人で過ごす時間が好きな女の子。 だが仲間思いな一面もあったりするかも。
双葉 5 Black Roseのベース担当 ライブを開けば会場は満員になると言われている。 真面目で周りを見ながら行動する。
裕子 17 麗の母 優しく接する聖母 有章とは大学からの付き合い。
有章 4 麗の父 月宮有章 月宮家の大黒柱であり、かつてロック界で知らないものはいなかった有名バンドMoondirectionのリードギターをしていた、しかし時代の流れによる人気の低迷でバンドは解散、路頭に迷っていた時に大学の同級生である母の裕子に支えてもらい今はライブハウス建設会社の部長をしている。
記憶 不問 1 麗が思い出したくない記憶 思い出すとトラウマが蘇ってくる
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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麗:よし!円陣しよう!! 凛:つーちゃん、了解だよ! 双葉:分かった。 美咲:はーい。 麗:みんな輪になって! 0:みんなで輪になる。 凛:えっと...今日の担当はつーちゃんかな? 麗:あっ、そっか...、皆やっとこのステージまで来れた、本当にありがとう! 双葉:ふふっ...今さらそれを言う...? 麗:こんな時だから、言うんだよ。こんな時じゃないと感謝の言葉も言えないし。 美咲:麗はいつもみんなに感謝言ってるじゃん。 凛:くふっ...確かに。 麗:確かにそうだけど〜!!今言わないでよ!こほん! 続けるよ!ここからのステージは私たちの演奏でここに来てるお客さんを笑顔にさせていこう!みんな手を出して!! 0:1人ずつ手を重ねていく。 麗:いくよ!ワンフォーオール! 3人:オールフォーワン! 麗:私たちの演奏でみんなを笑顔にさせよう!*Another Moon!《アナザームーン》 みんな:おー!!!! :伸ばした手を天に掲げ、歓声の響くステージに足を進めていく。これはバラバラの個性を持った4人がバンドを通じて1つになり、有名バンドになるまでのお話。 : 小春:起きて!朝だよ!お姉ちゃん! 麗:まだ...起きる時間じゃないでしょ...。 小春:なに寝ぼけたこと言ってるの!今日入学式でしょ!起きないと遅刻するよ!! 麗:なに言って...って入学式!? 0:そこで一気に頭が覚めるバッと上半身を勢いよく起こしたことで横で私を起こそうとしてくれていた妹の小春のおでこに頭がぶつかってしまう。ゴチンと鈍い音を響かせながら小さい時に電柱に頭をぶつけた子供のようにおでこを押さえて小春は後ろに倒れる。 小春:痛〜い!!お姉ちゃんの石頭!!ほんと最悪なんだけど!? おでこ赤くなったし...! 麗:ふわぁ...おはよ...小春。 小春:いたた...おはようじゃないよ!なんでいつも早く起きてパソコンで曲作ってるのに、こういう大事な日に限って、私が起こさないといけないの!? 麗:大事な日...?って今日入学式じゃん!!今何時! えっと...スマホ...。やばい!7時じゃん!完全に寝過ごした!!早く準備しないと...ってうわぁ!! 0:布団に足を取られ、床に頭をぶつける 小春:お姉ちゃんも私の痛みが分かって良かったね...、早く顔洗ってきて、私は朝食食べてくるから。 麗:あそこまで冷たい目をした小春久しぶりに見た...いてて...布団に足引っ掛けるなんて...本当についてない。絶対おでこ赤くなった...。とりあえず顔洗ってこよ...。 :私の名前は*月宮 麗《つきみやれい》16歳 今日から私立華咲高校に入学する高校1年生。 趣味で動画投稿サイト*SeeTube《しーちゅーぶ》にオリジナル曲をあげている。今は完全に寝過ごして早足で洗面所に向かっているところです。 麗:うわぁ...凄い寝癖...、実験に失敗した科学者みたいになってる、しかも目のクマも凄いし...。まぁ新しい学生生活が楽しみで昨日は寝れなかったからな...。昨日の自分のばかやろう...! 0:静かな怒りを沸かしつつも、顔を洗い爆発した寝癖を丁寧に整えていく。 麗:よし!とりあえずはこんなところでいいや。今日の朝ごはんはなんだろうな...?早くキッチンに行こっと! : 麗:みんなおはよ...。 裕子:麗、おはよう、もう朝ごはん出来てるよ。 麗:ありがとう...お母さん...。 小春:くふっ...お姉ちゃんのおでこ...。 麗:小春、うるさい。 裕子:ほらほら喧嘩しないの、はい朝ごはん。 麗:今日は鮭とご飯とお味噌汁か...!!The日本の朝ごはんだ!ってあれ?お父さんがこんな時間に起きてる...。珍しい。 0:いつもそこにいるはずのない人が新聞を読みながら朝ごはんを食べている。 有章:麗、おはよう...今日は大事な会議があってね...早く出ないといけないんだよ...ふわぁ...眠たい...。 麗:会議って確か...ライブハウス建設のやつ?駅前に出来るって話だよね? 有章:そう、外装の案は固まってるんだけど内装がね...なかなか決まらなくて...だから今日も話し合いしなきゃいけなくて...。 麗:へぇ...建物作るってのも大変なんだな...。 小春:お姉ちゃん、そんなにのんびり食べてて大丈夫なの?制服もまだ着てないけど...。 麗:まだそんなに時間経ってないから大丈夫...ってもう7時30分回ってる!?やばい!! 裕子:そんなに早く食べたら詰まっちゃうよ...。 麗:大丈夫だよ!ごちそうさま!お母さん後はよろしくね!制服に着替えてくる! 小春:急げ〜お姉ちゃん〜。 麗:もうちょい早く教えてよね! 0:階段を登りながらべーっと舌を出す。 小春:教えましたけど...! 0:お返しと言わんばかりに舌を出し返す 有章:朝から騒がしいね...。でもこれが子供の良さでもあるね...。 裕子:そうですね...有章さん 小春:こっちもラブラブで気まずい...。 : 麗:小春め〜!もう少し早く教えてよね...えっと制服は...あった! 流石に制服着るのは慣れてるし、急ごう!!よし着れた!着崩れなし、髪型もOK!急げ〜。 0:倒れてる写真立てに目が行く。 麗:写真立てまた倒れてる...、立てとかないともう仲直りすることもないのに...なんでまだ持ってるんだろうな...。今はそんなこといいや!急ごう! 小春:おっお姉ちゃん着替えるの早い...。あっそうだ帰りプリン買ってきてね。 麗:え〜めんどくさい...でも今日は小春に助けられたし帰りに買ってくる。じゃあ行ってきます! 裕子:麗、気を付けてね! 麗:分かってるよ!お母さんもちゃんと学校来てよね!お父さん行ってくる! 有章:うん、気を付けてね...!! 麗:今から行けば、8時20分には着く!ここからが新しい私の第一歩だ! : 凛:今日から、新しい学生生活が始まるんだ...!!友達たくさん作らなきゃ!!まずは入学式頑張っていかなきゃ...うぅ〜!!緊張する...いたっ...! 麗:あっ!ごめんね!大丈夫?周り見てなくて...ぶつかっちゃった...。 凛:うん、大丈夫!こういう時だしねテンション上がっちゃうもん!あれ?その制服...もしかして*華咲高校《はなさきこうこう》の制服だよね? 麗:うん!そう!今日入学式なんだ〜!いやぁ...緊張するな〜! 凛:嘘!?私も今日から華咲高校だよ!!えへへなんか嬉しいな!もしよかったら高校まで一緒に行かない?1人だと道分からなくなりそうだし。 麗:全然OKだよ!!1人だけだと寂しかったからめっちゃ嬉しい!!えっと...まだ名前聞いてなかったね、私は月宮 麗よろしく! 凛:月宮さんか〜!!私は*雨那 凛《あまなりん》! 麗:よろしくね!雨那さん! 凛:よろしく!じゃあ一緒に学校行こう!!入学式に遅れちゃう〜!! 麗:ちょ...雨那さん!!走らなくても間に合うから! 美咲:前の奴ら騒がしかったな...。 : 凛:華咲高校着いた〜!!! 麗:雨那さん...足速いんだね...私体力ある方なんだけど...負けた...。 凛:趣味でランニングしてるから、体力だけは自信あるんだ! 麗:それは勝てないな...。 凛:よし!中入ろ!玄関口にクラス分け表貼ってるっぽいから! 麗:えっ...ちょっとは休憩させてよ〜! : 麗:さっき、趣味でランニングやってるって言ってたけど中学では陸上とかしてたの? 凛:いや、してないよ。昔から体力だけはあってランニングしだしたら何故か足まで速くなってね...。 麗:ランニングするだけであんなに足速くなるなんて...凄すぎる...。 凛:そういう凛ちゃんは?中学の時...何してたの? 記憶:麗ちゃんって、本当に何がしたいんだろうね...。 麗:えっと...音楽を作ってた...。 凛:嘘!? 麗ちゃんって音楽作れるの!凄いじゃん! 麗:別に凄くもないよ...私なんて...。 凛:...? 麗:あっほら!、玄関口が見えてきたよ!人いっぱいいる! 凛:うん...!クラス表楽しみだぁ〜!!行こう!月宮さん! : 凛:雨那...あった!!私B組だって!月宮さんは? 麗:えっと...あった!私もB組だ!同じクラス! 凛:やった〜!!これからもよろしくね!!月宮さん! 麗:こちらこそだよ!よろしくね!じゃあ、B組のクラスに行こうか...っていたっ...ごめん!大丈夫? 美咲:別に...大丈夫...、それじゃ...。 凛:大丈夫?月宮さん。 麗:うん、大丈夫だよ。今日はやけに周りにぶつかっちゃうな...気を付けないと...。 凛:それに今の子、なんか感じ悪そうだったな...。 麗:そんなこと言わないの、私が周り見てなかったのが悪いんだから。じゃあ改めてB組に行こう! : 麗:ここが...1年B組...どんな人たちがいるんだろう...緊張する...。 凛:緊張なんてしないで、こうパーっと!扉を開ければいいんだよっと!! 0:勢いよく教室の扉を開ける 麗:ちょ...!!雨那さん! 凛:みんな、やっほー!!おはよう! 麗:あっ...どうも...です。 モブA:おはよう!元気な子がやってきたね〜! モブB:そうだね〜!! 凛:ねっ?大丈夫だったでしょ? 麗:確かに大丈夫だったけど、これはこれで恥ずかしいよ。 凛:最初はインパクトが大事ってよく言うじゃん!これでいいんだよ!ほら席座ろ! 麗:それは果たしていいのかな…雨那さんも席座りに行ったし、私も座ろう…。 麗:自分の席は…あっここか、後ろ側だけど黒板は見えるからよし。あれ?あの子って確か…。 美咲:…。 麗:ねえ、確かクラス表見てた時にぶつかっちゃった子だよね?ごめんね大丈夫だった? 美咲:さっきも言った、別に大丈夫だって。 麗:そっか…、それならよかったよ。えっと、私は月宮 麗。あなたの名前は? 美咲:教えてなんになるの? 麗:それは、仲良くなるため?席も近いしあなたのこと知りたいなって…。 美咲:はぁ…*星峰美咲《ほしみねみさき》、お願いだからこれ以上話しかけてこないで。 麗:えぇ...雨那さんの言うとおり冷たい子だった...。 雪城:はい、みんな席につけ〜、1年B組の担任になる*雪城 愛美《ゆきしろまなみ》だ。お前らにこれからの流れを説明していく。 雪城:これから廊下に並んで体育館に行って入学式が始まる。そしてそれが終わったら軽くホームルームをして今日は下校だ。 凛:説明が簡潔だ…。 麗:説明が簡潔すぎる 雪城:今日はお前達の晴れ舞台だしっかり楽しんでこい!よし、説明は終わりだ、名前順に廊下に並べ〜! 麗:ついに始まる…入学式が…。 : 教頭:ただいまより、第25回 華咲高校 入学式を始めます。 0:そこからは、何事もなく入学式は進んでいった。 三上校長:これからはあなた達が進む道を決め1歩1歩歩んでいく番です、私たち教師達も精一杯応援してます。 麗:校長先生、めっちゃ綺麗だな…。肌ツルツルそう…。 教頭:続いては、新入生代表挨拶 1年A組 *双葉 莉音《ふたばりおん》。 双葉:はい。 麗:双葉 莉音…、どこかで見たことあるけど…どこで見たんだっけ…?思い出せない。 双葉:私たちは華咲高校に入学出来て嬉しく思います。 麗:透き通るようなとても綺麗な声だな…。それに可愛い…。 双葉:...ここでの生活を糧に我々は日々成長していきたいと思います!4月8日 新入生代表 双葉莉音。 :こうして何事もなく入学式は幕を閉じた。教室へと戻りながらも私はどこかで見たことのある双葉莉音を思い出せずにいた。 : モブA:さっきの新入生代表挨拶聞いた!? めっちゃ良かったよね...! モブB:確かに凄い良かった!それに代表挨拶してたのあの双葉莉音だよ!? モブA:双葉莉音って*Black Rose《ブラックローズ》の? モブB:そう!黒薔薇の双葉莉音!同い年だってのは分かってたけどまさか華咲の生徒だとは思わなかったな...!! 麗:みんな、双葉莉音の話題しかしてない...それに...黒薔薇ってどこかで...。あっ!思い出した!昨日見たネットニュース!確か…先生まだ来てないしえっと、スマホスマホ…。 :今大人気のガールズバンド、ギターボーカル*紫藤 渚《しどうなぎさ》リードギター*諏訪 燈《すわあかり》キーボード*夜宮 雫《よみやしずく》ドラム*大宮たえ《おおみや》そしてベースの*双葉莉音《ふたばりおん》この5人からなるバンドそれが*Black Rose《ブラックローズ》。ライブを開催すれば会場は満員、ネット記事によればもうすぐメジャーデビューするのではないかとも言われている。 麗:そんな凄い子がこの高校に入学したなんて…。 雪城:すまない遅くなった、今からホームルームを始めるぞ! 麗:やば、先生きた。 雪城:改めてだが、今日から1年B組の担任になる雪城愛美だ、よろしくな!まずみんなに自己紹介をしてもらうからな。よし雨那からよろしく頼む! 凛:はい!えっと、雨那凛です!気軽に凛ちゃんって呼んでください!趣味はランニングと、カフェ巡りとキーボード弾くことです!よろしくお願いします! 0:次々と自己紹介が終わっていく。 雪城:次!月宮! :ついに自分の番がやってきた何を話せばいいか決めてない…。 麗:えっと…、初めまして…月宮麗です。趣味と言えるかは分からないですけど…。 記憶:麗ちゃんって調子乗ってるよね〜楽器も出来ないのに三船先輩に楯突いたって、本当に何がしたいんだろうね。 0:言葉が止まり手が少し震える。 雪城:月宮、どうした?大丈夫か? 麗:えっ…あっはい大丈夫です。すいません色々と思い出してしまって。続けますね。 :もう思い出すこともないはずなのになんでなんだろ。今は続けなきゃ。 麗:趣味は…ギターと曲作りをしてます、よろしくお願いします。 :なんでまた思い出したの…思い出さないために誰もいないここに来たのに。そう思いながら席に座る。 雪城:月宮ありがとうな、それじゃ自己紹介続けていこうか。 :その後も自己紹介は続いていく、私の暗い気持ちを置いていきながら。 雪城:次、星峰よろしく。 0:面倒くさそうにゆっくりと席を立つ。 美咲:はい、星峰美咲。 雪城:それだけか? 美咲:そうです、私は人と仲良くなるとかそういうの一切興味無いので。 雪城:お...おう、分かったよろしくな。 0:美咲の発言で周りの女子がざわざわし始める。 雪城:静かにしろ!まだみんなの自己紹介は終わってないんだからな。 0:何事もないように美咲は席に座り外を眺める。 :星峰さんの紹介で雰囲気が暗くなったのかその後の自己紹介は少しみんなのテンションが落ちていた。 : 雪城:よし!まぁ色々とあったが、無事に自己紹介が終わったな!そしたら、今からの先生の話が終わり次第下校となる!ちゃんと聞くように! みんな:はーい! 雪城:私はこのクラスでいじめや喧嘩は絶対に許さない!もしそういうことが起これば、厳正な処罰が下ると思え!それ以外は自分の範囲で楽しんでこい!以上だ! 凛:やっぱり話が簡潔すぎる...! 雪城:予定より少し早く終わったが、周りはまだホームルームだから静かに下校するように!それじゃ!下校! 0:礼の挨拶が終わると同時にみんな急いで下校していく。 麗:なんでなんで...もう忘れたはずだったのに...。記憶からも消したのに...!!なんで...なんで... 凛:月宮さん、大丈夫?身体凄い震えてる...。雪城先生も分かるよね? 雪城:確かに...、自己紹介の時も何か思い出してしまったって言ってたからな...入学式の日にこんなこと聞くのは嫌だろうが...過去に何かあったのか? 麗:いえ...!!何も無いですよ...ははっ...、自分は大丈夫なので...雨那さんも心配してくれてありがとう。それじゃ...失礼します...。 0:ふらついて倒れる。 凛:月宮さん!! 雪城:月宮!大丈夫か!雨那、大人を何人か呼んでくるから月宮を保健室に運んでてくれ! 凛:先生は!? 雪城:月宮の家族を呼んでくる!参列の中には居たはずだからな、放送で呼ぶ!それが終わったら私も向かう! 凛:分かりました! 0:倒れてる麗を心配そうに見つめる。 凛:月宮さん...過去に一体何があったの...? : 過去麗:今日から、軽音部にお世話になります!月宮麗です!まだ楽器はそんなに上手くないですけど、精一杯努力して頑張っていきます!よろしくお願いします! :こんな風にたった一言みんなの前で言っただけなのに、この日を境に中学校に私の居場所はなくなった。 過去麗:皆さん、おはようございます!今日もよろしく...。 過去モブA:麗ちゃんって楽器弾けないくせに、自分でギターやりたいって言って、ただ歌が上手いだけで他の先輩から優しくされてさ、本当にウザいよね。 過去モブB:それな〜!!歌が上手いだけなら軽音部じゃなくて、合唱部にでも行けばいいのに。 :他の人より楽器が出来ない、歌が少し上手いだけで馬鹿にされ貶され陰口を言われる。 過去モブA:麗ちゃんって本当に何がしたいんだろうね...。 :その言葉を聞いて私は背を逆にして逃げていた、暗闇に向かって一歩も歩みを止める事もなく、ただひたすらに逃げて...逃げて...。 過去麗:私が一体何をしたって言うの...誰か...助けてよ...。 :暗闇に向かって走っていた時に一筋の光を見つけた。 誰か:月宮さん! 過去麗:誰...?誰が私を呼んで...。 誰か:月宮さん!こっちだよ!! :光の中から優しくも頼りになって導いてくれるそんな声が...。今だけ...その言葉を信じていいなら...。 :光の中に手を伸ばす、たとえ届かなくてもいいその優しい光で私を包んでくれるなら…。 誰か:月宮さん!...掴まえた! :身体が光に包まれていく、それだけで心が軽く幸せに身体が軽くなって...。 : 麗:んんっ...。 凛:月宮さん!気が付いた! 麗:雨那さん...?ここは...。 凛:保健室だよ...、身体が震えたあと月宮さん倒れただもん...、雪城先生に頼まれて保健室まで他の先生達と運んできたってわけ。 麗:ここまでしてくれてありがとう...。 凛:別にいいよ!心配してたのには変わりないから。とりあえず、雪城先生呼んでくるね!月宮さんはもう少し休んでて大丈夫だから。 麗:分かった...本当にありがとう...。 :色々と思い出してここまでなるなんて...やっぱりまだ忘れられてないのかな...。 麗:でもあの時の声...一体誰だったんだろ...、どこかで聞いたことあるのに思い出せない。 0:ドアが開く 雪城:月宮、大丈夫か? 麗:雪城先生...、すみません入学初日にこんなことになってしまって...。 雪城:それは別にいい、緊張から精神が不安定になる事もあるからな、まぁ月宮の場合は他の理由があるんだろうがな...。 麗:...。 雪城:それは後々聞いていく。言える範囲でいい、話せる時に聞かせてくれ。 麗:はい...、すみません。 雪城:そうだ月宮のお母さんを呼んできた、少し話すといい。入って大丈夫だぞ! 裕子:麗来たよ...。大丈夫? 麗:お母さん...ごめんねまだ忘れられてなかった...。 裕子:いいのいいの...こっちで信頼出来る友達見つけて、あの時出来なかった学生生活を送ってくれたらお母さんはそれだけで幸せだから。雪城先生も色々とすみませんでした...、そして麗をありがとうございます。 雪城:私はただお母さんを呼んだだけで、異変に気が付いたのは雨那が居たおかげですから...。 裕子:雨那さん、私からもお礼を言わせて、本当にありがとう...! 凛:全然大丈夫ですよ!月宮さん早くよくなるといいですね...! 裕子:そうね...!!今、麗は心の中にあるトラウマから抜け出せてないけど、雨那さんだったらそこから救い出してくれそう! 凛:私にそんなこと出来るのかな...、でも頑張ってみます! 麗:雨那さんありがとう...。 凛:全然大丈夫だよ!私は月宮さんの友達だし!これから仲良くなろ! 麗:うん!よろしくね凛ちゃん! 凛:よろしく!つーちゃん! 麗:もうあだ名付けてる...! 凛:いいじゃん!仲良しの証! 0:2人を眺めながら 裕子:入学式の日にこんなこともあるんですね...! 雪城:そうですね、私もここまでの事は初めて見ましたけど...! 0:微笑みながら言う : 裕子:さてそろそろ帰ろうか...、表に車は回してるから麗大丈夫?立てそう? 麗:うん...、立てるよ大丈夫。 凛:月宮さん!また明日ね...!学校で待ってるから! 麗:うん!また明日! :笑顔を浮かべながら保健室を後にする、帰りの車内で窓の外の景色を眺めながら、ポツリと言葉を漏らす。 麗:凛ちゃんのあの優しく話す感じ、なんか桜ちゃんに似てるかも...。 裕子:確かに、私もなんとなく思ったな...、雨那さんが持ってる優しさのオーラが桜ちゃんに似てるのよね...! 麗:また会ってくれるかな...桜ちゃん...。 裕子:どうだろうね...。でも麗が思い続けてたらいつか会えるよ。 麗:だといいな...。 :こうして入学式は色々とあったが幕を閉じた、雪城先生たちには迷惑をかけてしまったが、友達が出来た!今度こそ楽しい学生生活を送っていけそう! 麗:あっそうだお母さん。 裕子:何? 麗:私この学校でバンドしようと思う。 裕子:えっ!?まだ無理しない方が...! 麗:自分の中にはまだあの時の記憶が残ってるけど、そんなのはどうでもいい!この学校には私の中学の時の事を知る人なんて居ないんだから!ここが変わっていくチャンスなんだよ!だから大丈夫だよ。 裕子:それで本当にいいのね...? 麗:覚悟は出来てるよ! 裕子:うん分かった...、1度決めたら曲げないところ本当に有章さんにそっくり...!!お父さんと小春には私から言っとくから十分に楽しんできなさい! 麗:お母さん、ありがとう! :あの時守れなかった全ての想いを抱きしめて、ここから変わっていく!月宮麗としての新たな第一歩をここから歩みだそう!夢へと続くスタートラインを!!

麗:よし!円陣しよう!! 凛:つーちゃん、了解だよ! 双葉:分かった。 美咲:はーい。 麗:みんな輪になって! 0:みんなで輪になる。 凛:えっと...今日の担当はつーちゃんかな? 麗:あっ、そっか...、皆やっとこのステージまで来れた、本当にありがとう! 双葉:ふふっ...今さらそれを言う...? 麗:こんな時だから、言うんだよ。こんな時じゃないと感謝の言葉も言えないし。 美咲:麗はいつもみんなに感謝言ってるじゃん。 凛:くふっ...確かに。 麗:確かにそうだけど〜!!今言わないでよ!こほん! 続けるよ!ここからのステージは私たちの演奏でここに来てるお客さんを笑顔にさせていこう!みんな手を出して!! 0:1人ずつ手を重ねていく。 麗:いくよ!ワンフォーオール! 3人:オールフォーワン! 麗:私たちの演奏でみんなを笑顔にさせよう!*Another Moon!《アナザームーン》 みんな:おー!!!! :伸ばした手を天に掲げ、歓声の響くステージに足を進めていく。これはバラバラの個性を持った4人がバンドを通じて1つになり、有名バンドになるまでのお話。 : 小春:起きて!朝だよ!お姉ちゃん! 麗:まだ...起きる時間じゃないでしょ...。 小春:なに寝ぼけたこと言ってるの!今日入学式でしょ!起きないと遅刻するよ!! 麗:なに言って...って入学式!? 0:そこで一気に頭が覚めるバッと上半身を勢いよく起こしたことで横で私を起こそうとしてくれていた妹の小春のおでこに頭がぶつかってしまう。ゴチンと鈍い音を響かせながら小さい時に電柱に頭をぶつけた子供のようにおでこを押さえて小春は後ろに倒れる。 小春:痛〜い!!お姉ちゃんの石頭!!ほんと最悪なんだけど!? おでこ赤くなったし...! 麗:ふわぁ...おはよ...小春。 小春:いたた...おはようじゃないよ!なんでいつも早く起きてパソコンで曲作ってるのに、こういう大事な日に限って、私が起こさないといけないの!? 麗:大事な日...?って今日入学式じゃん!!今何時! えっと...スマホ...。やばい!7時じゃん!完全に寝過ごした!!早く準備しないと...ってうわぁ!! 0:布団に足を取られ、床に頭をぶつける 小春:お姉ちゃんも私の痛みが分かって良かったね...、早く顔洗ってきて、私は朝食食べてくるから。 麗:あそこまで冷たい目をした小春久しぶりに見た...いてて...布団に足引っ掛けるなんて...本当についてない。絶対おでこ赤くなった...。とりあえず顔洗ってこよ...。 :私の名前は*月宮 麗《つきみやれい》16歳 今日から私立華咲高校に入学する高校1年生。 趣味で動画投稿サイト*SeeTube《しーちゅーぶ》にオリジナル曲をあげている。今は完全に寝過ごして早足で洗面所に向かっているところです。 麗:うわぁ...凄い寝癖...、実験に失敗した科学者みたいになってる、しかも目のクマも凄いし...。まぁ新しい学生生活が楽しみで昨日は寝れなかったからな...。昨日の自分のばかやろう...! 0:静かな怒りを沸かしつつも、顔を洗い爆発した寝癖を丁寧に整えていく。 麗:よし!とりあえずはこんなところでいいや。今日の朝ごはんはなんだろうな...?早くキッチンに行こっと! : 麗:みんなおはよ...。 裕子:麗、おはよう、もう朝ごはん出来てるよ。 麗:ありがとう...お母さん...。 小春:くふっ...お姉ちゃんのおでこ...。 麗:小春、うるさい。 裕子:ほらほら喧嘩しないの、はい朝ごはん。 麗:今日は鮭とご飯とお味噌汁か...!!The日本の朝ごはんだ!ってあれ?お父さんがこんな時間に起きてる...。珍しい。 0:いつもそこにいるはずのない人が新聞を読みながら朝ごはんを食べている。 有章:麗、おはよう...今日は大事な会議があってね...早く出ないといけないんだよ...ふわぁ...眠たい...。 麗:会議って確か...ライブハウス建設のやつ?駅前に出来るって話だよね? 有章:そう、外装の案は固まってるんだけど内装がね...なかなか決まらなくて...だから今日も話し合いしなきゃいけなくて...。 麗:へぇ...建物作るってのも大変なんだな...。 小春:お姉ちゃん、そんなにのんびり食べてて大丈夫なの?制服もまだ着てないけど...。 麗:まだそんなに時間経ってないから大丈夫...ってもう7時30分回ってる!?やばい!! 裕子:そんなに早く食べたら詰まっちゃうよ...。 麗:大丈夫だよ!ごちそうさま!お母さん後はよろしくね!制服に着替えてくる! 小春:急げ〜お姉ちゃん〜。 麗:もうちょい早く教えてよね! 0:階段を登りながらべーっと舌を出す。 小春:教えましたけど...! 0:お返しと言わんばかりに舌を出し返す 有章:朝から騒がしいね...。でもこれが子供の良さでもあるね...。 裕子:そうですね...有章さん 小春:こっちもラブラブで気まずい...。 : 麗:小春め〜!もう少し早く教えてよね...えっと制服は...あった! 流石に制服着るのは慣れてるし、急ごう!!よし着れた!着崩れなし、髪型もOK!急げ〜。 0:倒れてる写真立てに目が行く。 麗:写真立てまた倒れてる...、立てとかないともう仲直りすることもないのに...なんでまだ持ってるんだろうな...。今はそんなこといいや!急ごう! 小春:おっお姉ちゃん着替えるの早い...。あっそうだ帰りプリン買ってきてね。 麗:え〜めんどくさい...でも今日は小春に助けられたし帰りに買ってくる。じゃあ行ってきます! 裕子:麗、気を付けてね! 麗:分かってるよ!お母さんもちゃんと学校来てよね!お父さん行ってくる! 有章:うん、気を付けてね...!! 麗:今から行けば、8時20分には着く!ここからが新しい私の第一歩だ! : 凛:今日から、新しい学生生活が始まるんだ...!!友達たくさん作らなきゃ!!まずは入学式頑張っていかなきゃ...うぅ〜!!緊張する...いたっ...! 麗:あっ!ごめんね!大丈夫?周り見てなくて...ぶつかっちゃった...。 凛:うん、大丈夫!こういう時だしねテンション上がっちゃうもん!あれ?その制服...もしかして*華咲高校《はなさきこうこう》の制服だよね? 麗:うん!そう!今日入学式なんだ〜!いやぁ...緊張するな〜! 凛:嘘!?私も今日から華咲高校だよ!!えへへなんか嬉しいな!もしよかったら高校まで一緒に行かない?1人だと道分からなくなりそうだし。 麗:全然OKだよ!!1人だけだと寂しかったからめっちゃ嬉しい!!えっと...まだ名前聞いてなかったね、私は月宮 麗よろしく! 凛:月宮さんか〜!!私は*雨那 凛《あまなりん》! 麗:よろしくね!雨那さん! 凛:よろしく!じゃあ一緒に学校行こう!!入学式に遅れちゃう〜!! 麗:ちょ...雨那さん!!走らなくても間に合うから! 美咲:前の奴ら騒がしかったな...。 : 凛:華咲高校着いた〜!!! 麗:雨那さん...足速いんだね...私体力ある方なんだけど...負けた...。 凛:趣味でランニングしてるから、体力だけは自信あるんだ! 麗:それは勝てないな...。 凛:よし!中入ろ!玄関口にクラス分け表貼ってるっぽいから! 麗:えっ...ちょっとは休憩させてよ〜! : 麗:さっき、趣味でランニングやってるって言ってたけど中学では陸上とかしてたの? 凛:いや、してないよ。昔から体力だけはあってランニングしだしたら何故か足まで速くなってね...。 麗:ランニングするだけであんなに足速くなるなんて...凄すぎる...。 凛:そういう凛ちゃんは?中学の時...何してたの? 記憶:麗ちゃんって、本当に何がしたいんだろうね...。 麗:えっと...音楽を作ってた...。 凛:嘘!? 麗ちゃんって音楽作れるの!凄いじゃん! 麗:別に凄くもないよ...私なんて...。 凛:...? 麗:あっほら!、玄関口が見えてきたよ!人いっぱいいる! 凛:うん...!クラス表楽しみだぁ〜!!行こう!月宮さん! : 凛:雨那...あった!!私B組だって!月宮さんは? 麗:えっと...あった!私もB組だ!同じクラス! 凛:やった〜!!これからもよろしくね!!月宮さん! 麗:こちらこそだよ!よろしくね!じゃあ、B組のクラスに行こうか...っていたっ...ごめん!大丈夫? 美咲:別に...大丈夫...、それじゃ...。 凛:大丈夫?月宮さん。 麗:うん、大丈夫だよ。今日はやけに周りにぶつかっちゃうな...気を付けないと...。 凛:それに今の子、なんか感じ悪そうだったな...。 麗:そんなこと言わないの、私が周り見てなかったのが悪いんだから。じゃあ改めてB組に行こう! : 麗:ここが...1年B組...どんな人たちがいるんだろう...緊張する...。 凛:緊張なんてしないで、こうパーっと!扉を開ければいいんだよっと!! 0:勢いよく教室の扉を開ける 麗:ちょ...!!雨那さん! 凛:みんな、やっほー!!おはよう! 麗:あっ...どうも...です。 モブA:おはよう!元気な子がやってきたね〜! モブB:そうだね〜!! 凛:ねっ?大丈夫だったでしょ? 麗:確かに大丈夫だったけど、これはこれで恥ずかしいよ。 凛:最初はインパクトが大事ってよく言うじゃん!これでいいんだよ!ほら席座ろ! 麗:それは果たしていいのかな…雨那さんも席座りに行ったし、私も座ろう…。 麗:自分の席は…あっここか、後ろ側だけど黒板は見えるからよし。あれ?あの子って確か…。 美咲:…。 麗:ねえ、確かクラス表見てた時にぶつかっちゃった子だよね?ごめんね大丈夫だった? 美咲:さっきも言った、別に大丈夫だって。 麗:そっか…、それならよかったよ。えっと、私は月宮 麗。あなたの名前は? 美咲:教えてなんになるの? 麗:それは、仲良くなるため?席も近いしあなたのこと知りたいなって…。 美咲:はぁ…*星峰美咲《ほしみねみさき》、お願いだからこれ以上話しかけてこないで。 麗:えぇ...雨那さんの言うとおり冷たい子だった...。 雪城:はい、みんな席につけ〜、1年B組の担任になる*雪城 愛美《ゆきしろまなみ》だ。お前らにこれからの流れを説明していく。 雪城:これから廊下に並んで体育館に行って入学式が始まる。そしてそれが終わったら軽くホームルームをして今日は下校だ。 凛:説明が簡潔だ…。 麗:説明が簡潔すぎる 雪城:今日はお前達の晴れ舞台だしっかり楽しんでこい!よし、説明は終わりだ、名前順に廊下に並べ〜! 麗:ついに始まる…入学式が…。 : 教頭:ただいまより、第25回 華咲高校 入学式を始めます。 0:そこからは、何事もなく入学式は進んでいった。 三上校長:これからはあなた達が進む道を決め1歩1歩歩んでいく番です、私たち教師達も精一杯応援してます。 麗:校長先生、めっちゃ綺麗だな…。肌ツルツルそう…。 教頭:続いては、新入生代表挨拶 1年A組 *双葉 莉音《ふたばりおん》。 双葉:はい。 麗:双葉 莉音…、どこかで見たことあるけど…どこで見たんだっけ…?思い出せない。 双葉:私たちは華咲高校に入学出来て嬉しく思います。 麗:透き通るようなとても綺麗な声だな…。それに可愛い…。 双葉:...ここでの生活を糧に我々は日々成長していきたいと思います!4月8日 新入生代表 双葉莉音。 :こうして何事もなく入学式は幕を閉じた。教室へと戻りながらも私はどこかで見たことのある双葉莉音を思い出せずにいた。 : モブA:さっきの新入生代表挨拶聞いた!? めっちゃ良かったよね...! モブB:確かに凄い良かった!それに代表挨拶してたのあの双葉莉音だよ!? モブA:双葉莉音って*Black Rose《ブラックローズ》の? モブB:そう!黒薔薇の双葉莉音!同い年だってのは分かってたけどまさか華咲の生徒だとは思わなかったな...!! 麗:みんな、双葉莉音の話題しかしてない...それに...黒薔薇ってどこかで...。あっ!思い出した!昨日見たネットニュース!確か…先生まだ来てないしえっと、スマホスマホ…。 :今大人気のガールズバンド、ギターボーカル*紫藤 渚《しどうなぎさ》リードギター*諏訪 燈《すわあかり》キーボード*夜宮 雫《よみやしずく》ドラム*大宮たえ《おおみや》そしてベースの*双葉莉音《ふたばりおん》この5人からなるバンドそれが*Black Rose《ブラックローズ》。ライブを開催すれば会場は満員、ネット記事によればもうすぐメジャーデビューするのではないかとも言われている。 麗:そんな凄い子がこの高校に入学したなんて…。 雪城:すまない遅くなった、今からホームルームを始めるぞ! 麗:やば、先生きた。 雪城:改めてだが、今日から1年B組の担任になる雪城愛美だ、よろしくな!まずみんなに自己紹介をしてもらうからな。よし雨那からよろしく頼む! 凛:はい!えっと、雨那凛です!気軽に凛ちゃんって呼んでください!趣味はランニングと、カフェ巡りとキーボード弾くことです!よろしくお願いします! 0:次々と自己紹介が終わっていく。 雪城:次!月宮! :ついに自分の番がやってきた何を話せばいいか決めてない…。 麗:えっと…、初めまして…月宮麗です。趣味と言えるかは分からないですけど…。 記憶:麗ちゃんって調子乗ってるよね〜楽器も出来ないのに三船先輩に楯突いたって、本当に何がしたいんだろうね。 0:言葉が止まり手が少し震える。 雪城:月宮、どうした?大丈夫か? 麗:えっ…あっはい大丈夫です。すいません色々と思い出してしまって。続けますね。 :もう思い出すこともないはずなのになんでなんだろ。今は続けなきゃ。 麗:趣味は…ギターと曲作りをしてます、よろしくお願いします。 :なんでまた思い出したの…思い出さないために誰もいないここに来たのに。そう思いながら席に座る。 雪城:月宮ありがとうな、それじゃ自己紹介続けていこうか。 :その後も自己紹介は続いていく、私の暗い気持ちを置いていきながら。 雪城:次、星峰よろしく。 0:面倒くさそうにゆっくりと席を立つ。 美咲:はい、星峰美咲。 雪城:それだけか? 美咲:そうです、私は人と仲良くなるとかそういうの一切興味無いので。 雪城:お...おう、分かったよろしくな。 0:美咲の発言で周りの女子がざわざわし始める。 雪城:静かにしろ!まだみんなの自己紹介は終わってないんだからな。 0:何事もないように美咲は席に座り外を眺める。 :星峰さんの紹介で雰囲気が暗くなったのかその後の自己紹介は少しみんなのテンションが落ちていた。 : 雪城:よし!まぁ色々とあったが、無事に自己紹介が終わったな!そしたら、今からの先生の話が終わり次第下校となる!ちゃんと聞くように! みんな:はーい! 雪城:私はこのクラスでいじめや喧嘩は絶対に許さない!もしそういうことが起これば、厳正な処罰が下ると思え!それ以外は自分の範囲で楽しんでこい!以上だ! 凛:やっぱり話が簡潔すぎる...! 雪城:予定より少し早く終わったが、周りはまだホームルームだから静かに下校するように!それじゃ!下校! 0:礼の挨拶が終わると同時にみんな急いで下校していく。 麗:なんでなんで...もう忘れたはずだったのに...。記憶からも消したのに...!!なんで...なんで... 凛:月宮さん、大丈夫?身体凄い震えてる...。雪城先生も分かるよね? 雪城:確かに...、自己紹介の時も何か思い出してしまったって言ってたからな...入学式の日にこんなこと聞くのは嫌だろうが...過去に何かあったのか? 麗:いえ...!!何も無いですよ...ははっ...、自分は大丈夫なので...雨那さんも心配してくれてありがとう。それじゃ...失礼します...。 0:ふらついて倒れる。 凛:月宮さん!! 雪城:月宮!大丈夫か!雨那、大人を何人か呼んでくるから月宮を保健室に運んでてくれ! 凛:先生は!? 雪城:月宮の家族を呼んでくる!参列の中には居たはずだからな、放送で呼ぶ!それが終わったら私も向かう! 凛:分かりました! 0:倒れてる麗を心配そうに見つめる。 凛:月宮さん...過去に一体何があったの...? : 過去麗:今日から、軽音部にお世話になります!月宮麗です!まだ楽器はそんなに上手くないですけど、精一杯努力して頑張っていきます!よろしくお願いします! :こんな風にたった一言みんなの前で言っただけなのに、この日を境に中学校に私の居場所はなくなった。 過去麗:皆さん、おはようございます!今日もよろしく...。 過去モブA:麗ちゃんって楽器弾けないくせに、自分でギターやりたいって言って、ただ歌が上手いだけで他の先輩から優しくされてさ、本当にウザいよね。 過去モブB:それな〜!!歌が上手いだけなら軽音部じゃなくて、合唱部にでも行けばいいのに。 :他の人より楽器が出来ない、歌が少し上手いだけで馬鹿にされ貶され陰口を言われる。 過去モブA:麗ちゃんって本当に何がしたいんだろうね...。 :その言葉を聞いて私は背を逆にして逃げていた、暗闇に向かって一歩も歩みを止める事もなく、ただひたすらに逃げて...逃げて...。 過去麗:私が一体何をしたって言うの...誰か...助けてよ...。 :暗闇に向かって走っていた時に一筋の光を見つけた。 誰か:月宮さん! 過去麗:誰...?誰が私を呼んで...。 誰か:月宮さん!こっちだよ!! :光の中から優しくも頼りになって導いてくれるそんな声が...。今だけ...その言葉を信じていいなら...。 :光の中に手を伸ばす、たとえ届かなくてもいいその優しい光で私を包んでくれるなら…。 誰か:月宮さん!...掴まえた! :身体が光に包まれていく、それだけで心が軽く幸せに身体が軽くなって...。 : 麗:んんっ...。 凛:月宮さん!気が付いた! 麗:雨那さん...?ここは...。 凛:保健室だよ...、身体が震えたあと月宮さん倒れただもん...、雪城先生に頼まれて保健室まで他の先生達と運んできたってわけ。 麗:ここまでしてくれてありがとう...。 凛:別にいいよ!心配してたのには変わりないから。とりあえず、雪城先生呼んでくるね!月宮さんはもう少し休んでて大丈夫だから。 麗:分かった...本当にありがとう...。 :色々と思い出してここまでなるなんて...やっぱりまだ忘れられてないのかな...。 麗:でもあの時の声...一体誰だったんだろ...、どこかで聞いたことあるのに思い出せない。 0:ドアが開く 雪城:月宮、大丈夫か? 麗:雪城先生...、すみません入学初日にこんなことになってしまって...。 雪城:それは別にいい、緊張から精神が不安定になる事もあるからな、まぁ月宮の場合は他の理由があるんだろうがな...。 麗:...。 雪城:それは後々聞いていく。言える範囲でいい、話せる時に聞かせてくれ。 麗:はい...、すみません。 雪城:そうだ月宮のお母さんを呼んできた、少し話すといい。入って大丈夫だぞ! 裕子:麗来たよ...。大丈夫? 麗:お母さん...ごめんねまだ忘れられてなかった...。 裕子:いいのいいの...こっちで信頼出来る友達見つけて、あの時出来なかった学生生活を送ってくれたらお母さんはそれだけで幸せだから。雪城先生も色々とすみませんでした...、そして麗をありがとうございます。 雪城:私はただお母さんを呼んだだけで、異変に気が付いたのは雨那が居たおかげですから...。 裕子:雨那さん、私からもお礼を言わせて、本当にありがとう...! 凛:全然大丈夫ですよ!月宮さん早くよくなるといいですね...! 裕子:そうね...!!今、麗は心の中にあるトラウマから抜け出せてないけど、雨那さんだったらそこから救い出してくれそう! 凛:私にそんなこと出来るのかな...、でも頑張ってみます! 麗:雨那さんありがとう...。 凛:全然大丈夫だよ!私は月宮さんの友達だし!これから仲良くなろ! 麗:うん!よろしくね凛ちゃん! 凛:よろしく!つーちゃん! 麗:もうあだ名付けてる...! 凛:いいじゃん!仲良しの証! 0:2人を眺めながら 裕子:入学式の日にこんなこともあるんですね...! 雪城:そうですね、私もここまでの事は初めて見ましたけど...! 0:微笑みながら言う : 裕子:さてそろそろ帰ろうか...、表に車は回してるから麗大丈夫?立てそう? 麗:うん...、立てるよ大丈夫。 凛:月宮さん!また明日ね...!学校で待ってるから! 麗:うん!また明日! :笑顔を浮かべながら保健室を後にする、帰りの車内で窓の外の景色を眺めながら、ポツリと言葉を漏らす。 麗:凛ちゃんのあの優しく話す感じ、なんか桜ちゃんに似てるかも...。 裕子:確かに、私もなんとなく思ったな...、雨那さんが持ってる優しさのオーラが桜ちゃんに似てるのよね...! 麗:また会ってくれるかな...桜ちゃん...。 裕子:どうだろうね...。でも麗が思い続けてたらいつか会えるよ。 麗:だといいな...。 :こうして入学式は色々とあったが幕を閉じた、雪城先生たちには迷惑をかけてしまったが、友達が出来た!今度こそ楽しい学生生活を送っていけそう! 麗:あっそうだお母さん。 裕子:何? 麗:私この学校でバンドしようと思う。 裕子:えっ!?まだ無理しない方が...! 麗:自分の中にはまだあの時の記憶が残ってるけど、そんなのはどうでもいい!この学校には私の中学の時の事を知る人なんて居ないんだから!ここが変わっていくチャンスなんだよ!だから大丈夫だよ。 裕子:それで本当にいいのね...? 麗:覚悟は出来てるよ! 裕子:うん分かった...、1度決めたら曲げないところ本当に有章さんにそっくり...!!お父さんと小春には私から言っとくから十分に楽しんできなさい! 麗:お母さん、ありがとう! :あの時守れなかった全ての想いを抱きしめて、ここから変わっていく!月宮麗としての新たな第一歩をここから歩みだそう!夢へと続くスタートラインを!!