台本概要
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タイトル | 運命のデュエット |
---|---|
作者名 | ねこつう (@nekonotsuuro) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女1、不問1) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
男は奇妙な夢を見ていたこと語り始め、女もまた自分の見ていた夢を語り始める。 二人は、運命を変えられるのか? https://note.com/nekonotsuuro/n/ndfd2aa7bc829 からの転載。 ここに掲載している台本では、 モブがたくさん必要な戦闘シーンは省略しています。 ・この作品は朗読、配信などで、非商用に限り、無料にて利用していただけますが著作権は放棄しておりません。テキストの著作権は、ねこつうに帰属します。 ・配信の際は、概要欄または、サムネイルなどに、作品タイトル、作者名、掲載URLのクレジットをお願いいたします。 ・語尾や接続詞、物語の内容や意味を改変しない程度に、言いやすい言い回しに変える事は、構いません。 263 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
男 |
男 ![]() |
10 | 20歳代半ばくらい。奇妙な夢を見て、悩んでいる。真面目で暗い性格。 |
女 |
女 ![]() |
10 | 17歳~20歳くらい。気が強い。 |
語り | 不問 | 1 | 男の役か、女の役が、語りを兼ねるのも可。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
女: お目覚めですか?
男: ……夢を見ていた。
女: 夢ですか?
男: …… そうだ、狂った子どもと言われていた頃から
男: 見ていた夢だ
女: …………
男: その夢の中でも、わしは変わり者だった。
男: 人と違うという事が、許されておらず、
男: 酷く狭い世界で生きていた。
男: 閉じ込められたように生きる……
男: わしにとっては、その書物を読みながら、
男: そこに登場する人たちを想像する。
男: それが何よりも慰めであった。
男: どのように、この人物たちが躍動したのか……
男: そのような 常軌を逸脱した夢の話を、
男: 父や 母に話しても相手にされることなど……まあない。
男: 夢の中だけでなく、
男: 現実でも居場所がない折に、お前に出会った。
男: お前はわしの言う事を面白がった。
男: そなたの父上も、面白がってくれたのだ。
男: 両親を相次いで亡くした、
男: そんな わしにそなたらは親切にしてくれた。
女: 私(わたくし)は、この姿形なので、
女: 蛮族、そう罵られて育ちました。
女: その程度の事は、なんでもございません。
女: それに、私も小さい頃から、夢を見ていたのです。
男: ふむ、それは、初めて聞く……
女: ふふ、聞きたそうですね。いいでしょう。お話をして差し上げます。
女: 夢の中で、私は小娘で、
女: やはりカナモノ……金属の
女: 精緻(せいち)な……精密……
女: 細かなカラクリばかりを触っておりました。
女: 酷く燃えあがる粉や油、
女: おのずから長い間、動き続けるカラクリ……
女: それらを、思い起こして、
女: それを木で作ってみたり。
女: 幼い頃から、そんなことばかりしていました。
女: 母にはよく叱られたものです。
女: 父は、まあ、あの性格ですから、
女: やはり、面白がって、記録にも書いておりました。
女: …そんな時に、私は、あなた様に出会ったのです。
女: 私と同じ。
女: このお方は
女: この世界の枠に捉われない知識と考えを持っている。
女: このお方と何かをしてみたい。
女: そう思ってしまったのです。
男: 村を襲った馬賊どもを仕留めた
男: あの罠もその夢のカラクリが、もとか?
女: はい…… しかし、
女: 穴に落ち、火に焼かれ、体を貫かれ、
女: 泣きながら死ぬ者を見るのは、
女: さすがに辛うございました。
女: いくら同胞を殺めた悪党共であったとしても……
女: それと……
女: 私(わたくし)はこの赤毛に肌なので、
女: 蛮族と罵られて育ちました。
女: 馬賊がいなくなり平和が戻ると、
女: 人々は「人殺しの鬼女」と呼び、私に近寄らなくなりました。
女: 私は、幼い頃、
女: めずらしいというだけで
女: 売り飛ばされそうになっている所を
女: 父に助けられました。
女: そして そのまま引き取りもしてくれました。
女: 母は母で、
女: 実の子でもなく自分たちに似ても似つかぬ私を
女: 本当にかわいがってくれました。
女: 私が疎まれるだけならともかく、
女: 母がそのことで 嘆き 悲しむのを見ているのは、
女: こんな私でも耐えがたき辛さがありました。
女: そんな時、あなたは優しく微笑んだのです。
女: 「人殺しというのなら、
女: 策を立てた わしも、同じ罪だ。
女: お前をわかろうとしないものたちを相手にするな。
女: お前のお陰で、この地域の人々の命が救われたのだ」
女: と私を慰めてくださいました。
男: (和む笑い声)……
男: 『あの男の嫁選びを真似てはならぬ』
男: そう人々は言ったものだ。
男: しかし、あの出来事 以来
男: 我らを嘲ける(あざける)者もいなくなったが、
男: 近づくものも現れぬ…… 難しいものだ。
女: あなた様は各地の『いくさ』の勝敗を、予言され、
女: それがまた想像を超えた当たり方をしてしまう。
女: 似た者夫婦という所でございましょうか(くすくす)。
男: ……わしが 夢の中で読んでいた書物には、
男: 様々な事が書かれていた。
男: その内容が、現実と一致する事が多い。
男: 断片を繋ぎ合わせてみると、
男: それは、歴史書のようじゃ。
男: 詳細な地図や地名、
男: 起こる戦いや変事の内容と日時……
男: そして、それに関わる者たちの名前が載っていた。
男: 予想は それで当たりをつけているだけだ。
男: もし、
男: 前世というものがあるならば、
男: わしは、それを夢で見ているのだろう。
男: …… この地域にも、近々、大軍が攻めてくる……
女: 乱世ゆえ……
女: 父以外にも、あなた様の才覚を知り、
女: 出仕(しゅっし)を請う方も多くなりましたね…………
女: この地域が馬賊(ばぞく)に狙われているとわかった時、
女: 付近の地形を調べ、
女: 罠をかける場所、
女: 村の若者を埋伏(まいふく)させる場所、
女: 手はずを整え、
女: 馬賊を殲滅(せんめつ)した、あなた様の才覚には
女: 心底、驚きました。
女: これは夢のお告げの力ではありますまい。
女: そもそも、
女: あなた様が夢に見た、その『歴史書』の中に、
女: あなた様のお名前もあったのではございませんか?
女: その行く末が芳しく(かんばしく)なく、
女: 腐っておられるのではありませんか?
男: ……………… 月英(げつえい)………
女: あなた様が昼寝をしている間、
女: また、あの御方が来られました。
女: 『起こして来ます』
女: というのに、
女: あなた様が『起きるまで、待っている』
女: とおっしゃって、
女: 長い間、外でお待ちです。
女: 尊い御方が、
女: 一介の農夫を三度も御自ら(おんみずから)訪ね
女: 教えを請うなど、あの御方は筋金入りですよ?
女: どうなさいますか? 孔明様……?
男: (ため息) あの御方が 来られることもわかっていた……
男: 運命は変えられるだろうか?
女: あの御方に付かれるかどうかはともかく、
女: 『これは運命だ』と諦めたくなるような事にでも、
女: 挑んでいくことは
女: 生きる上で価値あることではないでしょうか?
女: お気持ちがあるのなら、
女: どこまでも、ついていきますよ。
女: その方が面白そうですし(くすくす)。
男: (漏れ笑い) お前には、敵わぬ。
男: わしは着替えねばならぬ。
男: もう少し、お待ちいただくよう、客人に伝えてくれ。
語り: 歴史書、三国志によると、
語り: 古代中国、
語り: 西暦一八一年に生まれた諸葛亮孔明という人物がいた。
語り: 知略に優れ、天才と呼ばれるのにふさわしい策士であった。
語り: 彼は、弱小勢力であった劉備(りゅうび)という者に、
語り: 三度請われて、配下に加わる。
語り: 孔明は劉備をよく助け、
語り: 劉備は魏、呉、蜀という三大勢力の一角にまでになった。
語り: しかし、そののち強敵に何度も阻まれ苦戦し、
語り: 孔明は志を果たせぬまま、天に召される。
語り: そのような孔明の妻、月英は、
語り: 醜い容姿の女性だったという記述が残されている。
語り: このことから考えられるのは、
語り: 異民族の血を引いた
語り: エキゾチックな容姿だったのではないか
語り: という一つの説である
女: お目覚めですか?
男: ……夢を見ていた。
女: 夢ですか?
男: …… そうだ、狂った子どもと言われていた頃から
男: 見ていた夢だ
女: …………
男: その夢の中でも、わしは変わり者だった。
男: 人と違うという事が、許されておらず、
男: 酷く狭い世界で生きていた。
男: 閉じ込められたように生きる……
男: わしにとっては、その書物を読みながら、
男: そこに登場する人たちを想像する。
男: それが何よりも慰めであった。
男: どのように、この人物たちが躍動したのか……
男: そのような 常軌を逸脱した夢の話を、
男: 父や 母に話しても相手にされることなど……まあない。
男: 夢の中だけでなく、
男: 現実でも居場所がない折に、お前に出会った。
男: お前はわしの言う事を面白がった。
男: そなたの父上も、面白がってくれたのだ。
男: 両親を相次いで亡くした、
男: そんな わしにそなたらは親切にしてくれた。
女: 私(わたくし)は、この姿形なので、
女: 蛮族、そう罵られて育ちました。
女: その程度の事は、なんでもございません。
女: それに、私も小さい頃から、夢を見ていたのです。
男: ふむ、それは、初めて聞く……
女: ふふ、聞きたそうですね。いいでしょう。お話をして差し上げます。
女: 夢の中で、私は小娘で、
女: やはりカナモノ……金属の
女: 精緻(せいち)な……精密……
女: 細かなカラクリばかりを触っておりました。
女: 酷く燃えあがる粉や油、
女: おのずから長い間、動き続けるカラクリ……
女: それらを、思い起こして、
女: それを木で作ってみたり。
女: 幼い頃から、そんなことばかりしていました。
女: 母にはよく叱られたものです。
女: 父は、まあ、あの性格ですから、
女: やはり、面白がって、記録にも書いておりました。
女: …そんな時に、私は、あなた様に出会ったのです。
女: 私と同じ。
女: このお方は
女: この世界の枠に捉われない知識と考えを持っている。
女: このお方と何かをしてみたい。
女: そう思ってしまったのです。
男: 村を襲った馬賊どもを仕留めた
男: あの罠もその夢のカラクリが、もとか?
女: はい…… しかし、
女: 穴に落ち、火に焼かれ、体を貫かれ、
女: 泣きながら死ぬ者を見るのは、
女: さすがに辛うございました。
女: いくら同胞を殺めた悪党共であったとしても……
女: それと……
女: 私(わたくし)はこの赤毛に肌なので、
女: 蛮族と罵られて育ちました。
女: 馬賊がいなくなり平和が戻ると、
女: 人々は「人殺しの鬼女」と呼び、私に近寄らなくなりました。
女: 私は、幼い頃、
女: めずらしいというだけで
女: 売り飛ばされそうになっている所を
女: 父に助けられました。
女: そして そのまま引き取りもしてくれました。
女: 母は母で、
女: 実の子でもなく自分たちに似ても似つかぬ私を
女: 本当にかわいがってくれました。
女: 私が疎まれるだけならともかく、
女: 母がそのことで 嘆き 悲しむのを見ているのは、
女: こんな私でも耐えがたき辛さがありました。
女: そんな時、あなたは優しく微笑んだのです。
女: 「人殺しというのなら、
女: 策を立てた わしも、同じ罪だ。
女: お前をわかろうとしないものたちを相手にするな。
女: お前のお陰で、この地域の人々の命が救われたのだ」
女: と私を慰めてくださいました。
男: (和む笑い声)……
男: 『あの男の嫁選びを真似てはならぬ』
男: そう人々は言ったものだ。
男: しかし、あの出来事 以来
男: 我らを嘲ける(あざける)者もいなくなったが、
男: 近づくものも現れぬ…… 難しいものだ。
女: あなた様は各地の『いくさ』の勝敗を、予言され、
女: それがまた想像を超えた当たり方をしてしまう。
女: 似た者夫婦という所でございましょうか(くすくす)。
男: ……わしが 夢の中で読んでいた書物には、
男: 様々な事が書かれていた。
男: その内容が、現実と一致する事が多い。
男: 断片を繋ぎ合わせてみると、
男: それは、歴史書のようじゃ。
男: 詳細な地図や地名、
男: 起こる戦いや変事の内容と日時……
男: そして、それに関わる者たちの名前が載っていた。
男: 予想は それで当たりをつけているだけだ。
男: もし、
男: 前世というものがあるならば、
男: わしは、それを夢で見ているのだろう。
男: …… この地域にも、近々、大軍が攻めてくる……
女: 乱世ゆえ……
女: 父以外にも、あなた様の才覚を知り、
女: 出仕(しゅっし)を請う方も多くなりましたね…………
女: この地域が馬賊(ばぞく)に狙われているとわかった時、
女: 付近の地形を調べ、
女: 罠をかける場所、
女: 村の若者を埋伏(まいふく)させる場所、
女: 手はずを整え、
女: 馬賊を殲滅(せんめつ)した、あなた様の才覚には
女: 心底、驚きました。
女: これは夢のお告げの力ではありますまい。
女: そもそも、
女: あなた様が夢に見た、その『歴史書』の中に、
女: あなた様のお名前もあったのではございませんか?
女: その行く末が芳しく(かんばしく)なく、
女: 腐っておられるのではありませんか?
男: ……………… 月英(げつえい)………
女: あなた様が昼寝をしている間、
女: また、あの御方が来られました。
女: 『起こして来ます』
女: というのに、
女: あなた様が『起きるまで、待っている』
女: とおっしゃって、
女: 長い間、外でお待ちです。
女: 尊い御方が、
女: 一介の農夫を三度も御自ら(おんみずから)訪ね
女: 教えを請うなど、あの御方は筋金入りですよ?
女: どうなさいますか? 孔明様……?
男: (ため息) あの御方が 来られることもわかっていた……
男: 運命は変えられるだろうか?
女: あの御方に付かれるかどうかはともかく、
女: 『これは運命だ』と諦めたくなるような事にでも、
女: 挑んでいくことは
女: 生きる上で価値あることではないでしょうか?
女: お気持ちがあるのなら、
女: どこまでも、ついていきますよ。
女: その方が面白そうですし(くすくす)。
男: (漏れ笑い) お前には、敵わぬ。
男: わしは着替えねばならぬ。
男: もう少し、お待ちいただくよう、客人に伝えてくれ。
語り: 歴史書、三国志によると、
語り: 古代中国、
語り: 西暦一八一年に生まれた諸葛亮孔明という人物がいた。
語り: 知略に優れ、天才と呼ばれるのにふさわしい策士であった。
語り: 彼は、弱小勢力であった劉備(りゅうび)という者に、
語り: 三度請われて、配下に加わる。
語り: 孔明は劉備をよく助け、
語り: 劉備は魏、呉、蜀という三大勢力の一角にまでになった。
語り: しかし、そののち強敵に何度も阻まれ苦戦し、
語り: 孔明は志を果たせぬまま、天に召される。
語り: そのような孔明の妻、月英は、
語り: 醜い容姿の女性だったという記述が残されている。
語り: このことから考えられるのは、
語り: 異民族の血を引いた
語り: エキゾチックな容姿だったのではないか
語り: という一つの説である