台本概要
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タイトル | 彩る春に〜イロハル〜【3話-黄色】 |
---|---|
作者名 | ゆる男 (@yuruyurumanno11) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 5人用台本(男2、女3) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
憧れの先輩、天宮心春と相合傘をすることになった青哉はその後浮かれ続ける。 それを見てイラつく紅だが、心春は悪い人でもないと気付く? 黄色の気持ち 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 シリーズ物のラブコメなので続きは追って投稿します! 楽しんでくださいませー! キャラの性別を変えなければ異性のキャラを演じても大丈夫です! 過度なアドリブなどは控えてくださいませ! 野良劇や約束劇で使用する時に X(ツイッター)で呟いて頂けると今後のモチベーションに繋がります!! 246 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
青哉 |
男 ![]() |
96 | (せいや)青と呼ばれてる。アホな性格だが臆病でもあり、真っ直ぐでもある |
紅 |
女 ![]() |
66 | (べに)赤と呼ばれてる。気が強い性格だが、どこか弱さがある |
黄金 |
男 ![]() |
59 | (こがね)黄色と呼ばれてる。優しい性格だが言うことはちゃんと言う |
心春 |
女 ![]() |
129 | (こはる)独特な感性を持っている。一度自分の世界に入ると周りが見えない |
紗雪 |
女 ![]() |
58 | (さゆ)ノリがいい陽キャ。それでも心春にはどこか敵わない所がある |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
彩る春に〜イロハル〜【3話-黄色】
青哉:(どうして……)
心春:……ひっ!
青哉:(どうして!)
心春:怖い〜
青哉:(どうして〜〜!!)
0:【間】
0:SE『明るい3』
0:【タイトルコール】
黄金:『彩る春に』
紗雪:『イロハル』
0:【間】
0:BGM『リコーダービート』
青哉:(今、とんでもない事が起きていますので状況を説明しましょう!現場の青哉(せいや)さーん!)
青哉:(はーい!今は激しく雨が降っております!雨雲の様子から落雷などに注意した方がいいかもしれません!だって落雷が落ちたら……その瞬間に)
0:雷が落ちる
心春:わあああああーー!!!
青哉:ある意味俺に落雷が落ちるからですーー!!
0:【間】
0:SE『シーン切り替え』
0:しばらく、駅のホームで休む
0:BGM『てくてく』
心春:取り乱してしまって大変ごめん
青哉:あ、ああ、よかったです。落ち着いたみたいで
心春:空が落ち着かない限りはあたしも落ち着くことは無いよ
青哉:ああ。そうですか。でも天宮(あまみや)先輩が雷怖いなんて意外だなー
心春:地震雷火事親父は怖いって教わってるから
青哉:ビビり方が尋常じゃないですけどね
心春:子供の頃に、どうしてもたんぽぽの絵が描きたくてさ、外に出たことがあったの
青哉:子供の頃から絵、描くの好きだったんですね
心春:そしたら急に雨が降り出して、気づいた時には雷の稲妻みたいなのが沢山見えて、泣きながら家に帰ったんだ
青哉:それはトラウマになりますね
心春:ずぶ濡れになったもんだから、その時はお母さんにこっぴどく…
青哉:こっぴどく……?
心春:褒められた
青哉:なんでだよ!……あ、ごめんなさい
心春:久々に叫んだらお腹空いた
青哉:あ、俺コロッケサンドありますよ?食べます?
心春:いいの?
青哉:はい。1つは昼に食ったんであげます
心春:ありがとう
青哉:はい
心春:ん?
青哉:え?いらないです?
心春:食べる準備は出来てる。あーん
青哉:へ?
心春:ああーーー
青哉:まさか、
心春:はあうー(早くー)
青哉:あ……
心春:あーん。んーんー。
青哉:ふわあ。うさぎ見てるみたいだ……いや、そうじゃなかった!ど、どうですか?コロッケサンドのお味は
心春:んー。雪見だいふくの味がする
青哉:嘘だろ!?
心春:でも、この味、気に入った。ありがとう
青哉:……ほ、ほんとですか!?やったー!
心春:……またそれやってる
青哉:嬉しい時はやったーなんですよ!
心春:そうなんだ
青哉:ほら、先輩もやってみて下さい。やったー!って
心春:や、やったー
青哉:そうそう!やったー!やったー!
心春:やったー。やったー(青哉のやったーと同時に)
青哉:ははっ。何色か見えてきました?
心春:………何となく?
青哉:そうですか。今度ははっきり見えてくるといいですね!
心春:……ありがとう。覚えとく。嬉しい時はやったーって
青哉:はい!是非!
心春:……アオは、心が豊かだね
青哉:………はい?
心春:んじゃ。また明日
青哉:……は、はい。さようなら
0:2人は別れる
青哉:……うふっ!うへへへへ〜〜!また明日かー!
0:SE『シーン切り替え』
0:【間】
0:次の日
0:『昼下がり気分』
紗雪:おはよーこはるん!
心春:おはよー
紗雪:今日もいい天気だね!
心春:いい天気だね。やったー
紗雪:……え?
心春:何か?
紗雪:あ、いや、なんでも
心春:そっか。やったー
紗雪:ごめんやっぱ気になる!なにそれ!?
心春:知らないの?嬉しい時はやったーって言うの
紗雪:いや、わかるけど、普通、本当に嬉しい時に言わない?
心春:嬉しい時?
紗雪:そう、滅多に言わないと思うけどな、やったーなんか
心春:そうなんだ。……んー。難しいなー。
紗雪:あ、じゃあまたこはるんの絵でも描いてあげようか?
心春:それはいらない
紗雪:なんでよ!やったーって言ってよ!
0:場面転換。別の教室にて
黄金:おーい。青ー?
青哉:んにへ〜!
紅:きもっ
青哉:あ〜。うふん〜!
黄金:とまあ、こんな感じで朝からニヤニヤしてるんだ
紅:ふーん。……全く、昨日の放課後に何かあったのかしらね?
黄金:さあ?
紅:天宮先輩と雨の中相合傘してたとか?
青哉:ぎ、ギクゥゥ!おい赤、なんでそれを!
紅:いや、言ってみただけよ
黄金:ほ、本当なのか?
青哉:ああ。それは酷く大雨の昨日だった。あの日は雷も鳴っていてな…その後……その後に……あへっ。あへへっ。あへへへへへーー!!
紅:二度と笑うなーー!!
青哉:スマーーイル!!(殴られる)
黄金:でも、いつの間にそんな仲良くなったんだ?
青哉:いや、俺にもわかんねーよ。嫌われたと思ってたからさ。でも傘持ってなかったみたいだし。んで、あの後……あへっ。……いかんいかん。笑ってはいけない!うふふ!
紅:いいんじゃない?嫌われてたと思ってたけど、結局何ともなかったんでしょ?ハッピーエンドじゃない
青哉:ハッピーエンドってなんだよ!別にエンドはしてないし!
黄金:でもさー。青。相合傘してる時にドキドキした?
青哉:そりゃあもちろん!ドキドキし過ぎて死ぬかと思ったわ
黄金:認めちゃえよ。もう先輩が好きなんだろ?
青哉:……え!?いやいや!好きとかそんなんじゃ!
紅:好きでしょ。どう考えても
青哉:……そんなんじゃねーって!本当に!
黄金:………そうなんだな
青哉:……まあ、可愛らしい人だなーとは思ってる
黄金:ああ。キモイな
紅:うん。キモイ
青哉:お前ら心ってやつ知らないのか!?
紅:今回ばかりは仕方ないでしょ
青哉:はあ。そんなこと言ってたら今すぐ天宮先輩に会いたくなってきたな……
心春:あたし?
青哉:そう。あたしに会いた……え!?えええーー!!天宮先輩!?いいい、いつから!?
心春:いまさっき来た。
黄金:あっはっは!こんな展開あるんだなー
紗雪:こはるん!待ってよー!
青哉:わ、若菜先輩まで!?
紗雪:ほえ?おお!青哉くんじゃん!あれ?こはるんと知り合い?
心春:サユも知り合いだったの?
紗雪:そうだよ。なーんだ、お互い知り合いだったんだね。……あ、その子は
紅:……っ!
紗雪:名前なんだっけ?
紅:……福田紅(ふくだべに)です
紗雪:紅ちゃんねー!昨日ぶりだね
紅:あ、はい
青哉:赤も知り合いだったの?
紅:う、うん。ちょっとね
紗雪:その子は?
黄金:ああ、沖田黄金(おきたこがね)です。天宮先輩とはちょっとだけ話したことあるくらいですけど、青がいつもお世話になってます
紗雪:君は礼儀正しいね!
黄金:ああ、まあ。父親が社長なんでちょっと真似しちゃってるのかも
紗雪:凄いねー!しっかりしてそうなのもそういうことか〜!
黄金:とんでもないです
紗雪:んでー!?こはるんは何しに2年生の教室まで来たの?
心春:あ、そうだった。アオ
青哉:……え?あ、はい?
心春:おはよー
青哉:お、おはようございます
心春:やったー
青哉:え?
心春:これだけ言いに来た
紗雪:何それー!またやったーなの?
心春:んじゃ
青哉:ああ、お、お疲れ様です
紗雪:あ、待ってよー!3人ともー!あでゅー!
0:2人は自分たちの教室に戻る
青哉:ああー。かわいい
黄金:心の声漏れてるな
紅:………
黄金:赤?大丈夫?
紅:……何が?
黄金:さっきから笑ってないように見えるけど
紅:うるさいわね。ほっときなさい
黄金:……はいよ
0:BGMストップ
0:SE『シーン切り替え2』
0:場面転換。放課後
紗雪:ふぅー!やっと授業終わったー!こはるん!今日はすぐ帰る?
心春:ううん。少し描いてから帰る
紗雪:好きだねー。うちはバイトあるからすぐ帰るよ?
心春:うん。いってらっしゃい
紗雪:あ、ちょっと!いってらっしゃいって言いながら先に行かないでよ!
0:【間】
紅:青は今日も補習?
黄金:みたいだな
紅:目付けられてからずっとね
黄金:ほんとだな
紅:………
黄金:元気ないな。赤
紅:そう?別に
黄金:青が遠くに行く感じがする?
紅:何言ってんの?そんなわけないでしょ
黄金:だよな
紅:変なこと言わないで
黄金:青に好きな人が出来たら赤は何も思わないのかなーって思って
紅:……思わない
黄金:本当に?
紅:何とも思ってないって言ってるでしょ!あんたもいい加減殴るわよ!?
黄金:……ああ。ごめん
紅:私、先帰るから
黄金:お、おう。気をつけて
0:紅は先に荷物を持って教室を出る
黄金:はあ。何してんだろ、俺
0:【間】
0:SE『落ち着き4』
紅:『彩る春に』
青哉:『イロハル』
0:BGM『本当の宝物』
黄金:(青に好きな人が出来たらそれは喜ばしい事だと思うけど、どうしてか素直に喜べない自分がいる。それと同時に悲しい顔を浮かべるやつもいるから)
黄金:(友達として、親友として、その恋を応援してやりたい。その気持ちとは裏腹に。お前が居なかったら…。なんて悪いことを考えてしまう。そんな自分を正当化したくて、ついあいつを傷付けてしまうんだ)
黄金:………お?
心春:………
黄金:天宮先輩
心春:……君は
黄金:沖田黄金(おきたこがね)ですよ
心春:どうも
黄金:何か描いてるんですか?
心春:うん
黄金:見ててもいいですか?
心春:邪魔しないならどうぞ
黄金:………
心春:………
黄金:………
心春:……ねえ、キイロくん
黄金:はい?
心春:あたしが絵を描いてるとこ見てて楽しい?
黄金:いいえ?ちっとも楽しくないですよ?
心春:じゃあなんで見てるの?
黄金:んー。先輩がどんな人かを見てるだけです
心春:何それ
黄金:受け流してもらってもいいんですけど、ちょっと話しますね
心春:なに?
黄金:俺、好きな人が居るんです
心春:……へえ
黄金:その子は、いつも見えない何かと戦ってるような子で、時には怒ったり、悲しんだりする繊細な子なんですよ
心春:そう
黄金:だからこそ、俺がその子を守ってやらないとって思って
心春:あの、キイロくん?
黄金:はい?
心春:それをあたしに言ってどうするの?
黄金:どうもしないです。ただ、誰にも言えないから先輩に話しただけですよ
心春:どうして?
黄金:人に興味無さそうだから。こういうのにいちいち干渉しないと思って
心春:………そっか
黄金:まあ、さっきも言った通り俺の独り言だと思って受け流してください
心春:じゃあ1つ訂正させて
黄金:はい?
心春:あたしが人に興味が無いって言ったけど、そんなこともない
黄金:……そうなんですね
心春:うん
黄金:なら、色んな興味を解消してくれる人が居たら尚、良しですね
心春:………うん
黄金:お邪魔してすいません。じゃあ俺はこれで
心春:んじゃ
0:黄金はその場を去った
0:SE『シーン切り替え2』
0:場面転換
青哉:あれ?赤?
紅:青
青哉:何やってんの?こんなとこで
紅:別に?補習終わったの?
青哉:終わったよ。今日も地獄だった〜!
紅:一緒に…帰らない?
青哉:ん?黄色は?
紅:あいつは一人で帰ったよ
青哉:そっか、黄色が赤を1人にするって珍しいなー
紅:……え?たまにはあるでしょ?
青哉:まあそんな日もあるか!じゃあ久しぶりに2人だし奢ってくれー!
紅:調子に乗るな!!
青哉:まっくがいいーー!!(殴られる)
紅:全く…
青哉:お?最近赤はピリピリしてたけど、ちょっとは機嫌良くなったか?
紅:は?いつもこんな感じよ!
青哉:そうかそうか〜!
紅:……ねえ、青
青哉:ん?
紅:………いや、なんでもない
青哉:なんだよ
紅:なんでもない!もうマック奢らないから!
青哉:えー!いーけーずー!
紅:キモイ!
青哉:あ、そういや、シノは相変わらず元気か?
紅:ああ、元気よ。ちょっと太ってきたし
青哉:そっか〜!良かった良かった!
紅:あんたも変わらないわね
青哉:ん?何が?
紅:うるさい
青哉:なんで!?
0:【間】
0:SE『シーン切り替え1』
0:ある日のこと
紗雪:おーーい!紅(べに)ちゃーーん!!
紅:……ん?げっ!
紗雪:げってなに!?おはよー!
紅:お、おはようございます
紗雪:今日はお友達は?
紅:学校行く時くらいは一人ですよ
紗雪:そうなんだ!みんなと居て楽しい?
紅:そ、そりゃ楽しいですけど
紗雪:へぇーそれはよかったー!中学から友達なの?
紅:そうです。青に関しては同じクラスでした
紗雪:仲良しだねぇー!
紅:うるさい人だなー
紗雪:あのさ、そんな紅ちゃんにお願いなんだけどね
紅:なんです?
紗雪:こはるんと、仲良くしてあげてね
紅:……天宮先輩と?
紗雪:うん!こはるんはさ、高1からずっと一人ぼっちで、友達いなかったからさ。一人でも話せる人が増えたらいいなーって思ったの
紅:………そう、ですか
紗雪:うちも最初は大変だったんだからー!話しかけても無視だったし
紅:……え?昔から無視してたんですか?
紗雪:え?昔のこはるん知ってるの?
紅:あ、いや、……そういう訳じゃないですけど
紗雪:そっか。でもまあ、今はちょっとずつ人と話せるようになったからさ。仲良くしてあげて
紅:……わかりました
0:【間】
心春:……お?
紅:あ
心春:おはよう。ベニ
紅:……おはよう…ございます…
心春:やったー
紅:……え?
心春:嬉しい時はやったーって言うんだって
紅:……なんですか?それ
心春:アオが言ってた
紅:そ、そうなんですね。あいつはいつも単純だから
心春:単純になれるのは、あたしも羨ましいけどね
紅:……え?
心春:アオはあたしの知らないことを教えてくれるの。意外とね
紅:……天宮先輩にとって…。青はどんな存在なんですか?
心春:どんな存在?んー。アオイロ?
紅:んにゃ!?そ、そういう事じゃなくて!
心春:どういうこと?
紅:わからないならいいです!話にならない
心春:そっか
黄金:お?珍しい組み合わせですねー。お二人さん
紅:黄色……
心春:おはよう。キイロくん
黄金:おはようございます
心春:やったー
黄金:……それ流行ってるんすか?
心春:わかんない。けど、嬉しい時はやったーって言うんだって
紅:そういうの馬鹿の一つ覚えって言うんですよ?
心春:へぇー
黄金:赤、いつの間に天宮先輩と仲良くなったんだ?
紅:た、たまたまよ。仲良くはない
黄金:ははっ。そうか
紅:早く教室行くよ!
黄金:はいよー
0:
黄金:(まあ、天宮先輩は悪い人でもないしな)
0:【間】
0:そして、放課後になる
0:BGM『ながれぼし』
青哉:……よし!っ!
0:青哉は走って中庭の方へ行く
青哉:はあ。はあ。居た!
心春:……ん?
青哉:天宮先輩が絵を描いてる姿を見に来ました
心春:また1人増えた
青哉:え?なんの事です?
心春:なんでもない。
青哉:そうですか
心春:アオはあたしが描いてるとこ見てて楽しいの?
青哉:はい。楽しいですよ
心春:………なんで?
青哉:だって、絵を描いてる時の先輩、真剣だから
心春:……そう?
青哉:はい。いつ先輩の表情が変わるのかなーって
心春:自分じゃわからないね
青哉:そうですか?でも、それがたのしいんです
心春:……あたしの小学校の時のあだ名聞く?
青哉:なんです?
心春:無色
青哉:……無色?
心春:そう。表情も変えないで、何に対しても無関心で、感情が無い。だから無色ってあだ名を付けられたの
青哉:そ、それは酷い
心春:でも、それは自分でも認めてるからいいの。アオもわかると思うけど、私変だし、だから自分の表情とかはわからない
青哉:天宮先輩は……変では無いです
心春:……なんで?
青哉:だって、先輩は桜の花を笑ってるって言ったんですよ?こんな素敵な人俺は見たことないです!
心春:……アオ
青哉:色が無いって言われたなら、これからどんな色にだってなれますよ!素敵な絵を描く、素敵な先輩なら!俺が保証します!
心春:……じゃあ、あたしがどんな色になるか、アオも手伝ってよ
青哉:もちろんですよ!
心春:ありがとう
青哉:そうだ、3階の渡り廊下に飾られてる桜の絵、あの絵を描いてる時に先輩と初めて会ったんだ
心春:え?そうなの?
青哉:あれ?覚えてるって言ってなかったですか?
心春:………覚えてる。多分
青哉:でも、やっと俺の気持ちが先輩に伝わったのかなって!
心春:なに?気持ちって
青哉:ほら、手紙に書いたじゃないですか!
心春:手紙?あー。アオが渡してくれたやつ?
青哉:そうです!伝わりました!?
心春:メッセージ性とかは感じられなかったな
青哉:えぇ!?俺そんな文才ないかな!?
心春:文才?何言ってるの?
青哉:いや、たった一言ですよ?俺が書いたのは
心春:………え?
青哉:………え?
心春:………ごめん。また後で確認するね
青哉:あ、はい
青哉:(あ、あれー?伝わってなかったのかな?)
0:BGMストップ
0:場面転換
紗雪:やっほー!こはるん!
心春:ども
紗雪:こはるんがビデオ通話なんて珍しいねー!なんかいけないことしてる気分でテンション上がるよー!
心春:どういうこと?
紗雪:いやーこっちの話。んで?どうしたの?
心春:いや、なんかね、身に覚えが無ければいいんだけどさ
紗雪:なに?
心春:前にさ、あたしに絵を描いたって言ってなかった?
紗雪:うん。書いたよ。あれは最高傑作だった!
心春:それってさ。これのこと?
紗雪:……ん?あれ!?なんでこはるんが持ってるの!?
心春:…………やっぱそうなんだ
紗雪:無くしたと思ったのにどうして!?
心春:わかんない!けど、これを渡してきたのがさ……
紗雪:………え?
心春:うん。アオなんだよね
紗雪:ええーー!!なんで青哉くんが!?うちの代わりに渡してくれたとかじゃないの?
心春:いや、どうだろ?多分そうじゃない
紗雪:じゃあどういうこと?
心春:あたしに伝えたい事を書いた手紙だって言ってた
紗雪:な、なにそれー!
心春:どうしよう…。あたしこれ渡された時、最初いらないって言っちゃったんだよ
紗雪:なんでそんなこと言っちゃうのー!?手紙ってラブレターでしょ?
心春:ら、ラブレター?
紗雪:そうだよ!青哉くんが伝えたいことって告白とかじゃないの!?
心春:そ、そんなわけないでしょ。手紙渡される前は全然知らない人だったんだからさ
紗雪:いいや。その前にこはるんの絵をずっと見てたんだから、きっとこはるんのこと好きなんだよ
心春:………
紗雪:どうするの?こはるんは
心春:別にどうもしないけど
紗雪:これからの事だよ!いらないって言っちゃったなら勘違いだったって言うべきだよ!
心春:………
紗雪:こはるん?
心春:ほ、本当にラブレターだとしたら、アオはあたしのこと好きなの?
紗雪:そりゃそうでしょ
心春:………
紗雪:あれ?やったーって言わないの?
心春:え?あ、うん。言わない
紗雪:なんでよ!嬉しくないの!?
心春:さあね。よくわかんない
紗雪:もう!わかってあげてよー!そういう気持ちくらい!
心春:んじゃ
紗雪:あ!こはるん!
0:心春は電話を切る
心春:………んー。…あたしは真実じゃない限りは疑いたい…けど……やったー?
心春:……あれ。なんか見えたかな?やったーの色。ぼんやりと見えたけどこんな感じか
心春:なんか、黄色いな
0:彩る春に〜イロハル〜【3話-黄色】〜END
彩る春に〜イロハル〜【3話-黄色】
青哉:(どうして……)
心春:……ひっ!
青哉:(どうして!)
心春:怖い〜
青哉:(どうして〜〜!!)
0:【間】
0:SE『明るい3』
0:【タイトルコール】
黄金:『彩る春に』
紗雪:『イロハル』
0:【間】
0:BGM『リコーダービート』
青哉:(今、とんでもない事が起きていますので状況を説明しましょう!現場の青哉(せいや)さーん!)
青哉:(はーい!今は激しく雨が降っております!雨雲の様子から落雷などに注意した方がいいかもしれません!だって落雷が落ちたら……その瞬間に)
0:雷が落ちる
心春:わあああああーー!!!
青哉:ある意味俺に落雷が落ちるからですーー!!
0:【間】
0:SE『シーン切り替え』
0:しばらく、駅のホームで休む
0:BGM『てくてく』
心春:取り乱してしまって大変ごめん
青哉:あ、ああ、よかったです。落ち着いたみたいで
心春:空が落ち着かない限りはあたしも落ち着くことは無いよ
青哉:ああ。そうですか。でも天宮(あまみや)先輩が雷怖いなんて意外だなー
心春:地震雷火事親父は怖いって教わってるから
青哉:ビビり方が尋常じゃないですけどね
心春:子供の頃に、どうしてもたんぽぽの絵が描きたくてさ、外に出たことがあったの
青哉:子供の頃から絵、描くの好きだったんですね
心春:そしたら急に雨が降り出して、気づいた時には雷の稲妻みたいなのが沢山見えて、泣きながら家に帰ったんだ
青哉:それはトラウマになりますね
心春:ずぶ濡れになったもんだから、その時はお母さんにこっぴどく…
青哉:こっぴどく……?
心春:褒められた
青哉:なんでだよ!……あ、ごめんなさい
心春:久々に叫んだらお腹空いた
青哉:あ、俺コロッケサンドありますよ?食べます?
心春:いいの?
青哉:はい。1つは昼に食ったんであげます
心春:ありがとう
青哉:はい
心春:ん?
青哉:え?いらないです?
心春:食べる準備は出来てる。あーん
青哉:へ?
心春:ああーーー
青哉:まさか、
心春:はあうー(早くー)
青哉:あ……
心春:あーん。んーんー。
青哉:ふわあ。うさぎ見てるみたいだ……いや、そうじゃなかった!ど、どうですか?コロッケサンドのお味は
心春:んー。雪見だいふくの味がする
青哉:嘘だろ!?
心春:でも、この味、気に入った。ありがとう
青哉:……ほ、ほんとですか!?やったー!
心春:……またそれやってる
青哉:嬉しい時はやったーなんですよ!
心春:そうなんだ
青哉:ほら、先輩もやってみて下さい。やったー!って
心春:や、やったー
青哉:そうそう!やったー!やったー!
心春:やったー。やったー(青哉のやったーと同時に)
青哉:ははっ。何色か見えてきました?
心春:………何となく?
青哉:そうですか。今度ははっきり見えてくるといいですね!
心春:……ありがとう。覚えとく。嬉しい時はやったーって
青哉:はい!是非!
心春:……アオは、心が豊かだね
青哉:………はい?
心春:んじゃ。また明日
青哉:……は、はい。さようなら
0:2人は別れる
青哉:……うふっ!うへへへへ〜〜!また明日かー!
0:SE『シーン切り替え』
0:【間】
0:次の日
0:『昼下がり気分』
紗雪:おはよーこはるん!
心春:おはよー
紗雪:今日もいい天気だね!
心春:いい天気だね。やったー
紗雪:……え?
心春:何か?
紗雪:あ、いや、なんでも
心春:そっか。やったー
紗雪:ごめんやっぱ気になる!なにそれ!?
心春:知らないの?嬉しい時はやったーって言うの
紗雪:いや、わかるけど、普通、本当に嬉しい時に言わない?
心春:嬉しい時?
紗雪:そう、滅多に言わないと思うけどな、やったーなんか
心春:そうなんだ。……んー。難しいなー。
紗雪:あ、じゃあまたこはるんの絵でも描いてあげようか?
心春:それはいらない
紗雪:なんでよ!やったーって言ってよ!
0:場面転換。別の教室にて
黄金:おーい。青ー?
青哉:んにへ〜!
紅:きもっ
青哉:あ〜。うふん〜!
黄金:とまあ、こんな感じで朝からニヤニヤしてるんだ
紅:ふーん。……全く、昨日の放課後に何かあったのかしらね?
黄金:さあ?
紅:天宮先輩と雨の中相合傘してたとか?
青哉:ぎ、ギクゥゥ!おい赤、なんでそれを!
紅:いや、言ってみただけよ
黄金:ほ、本当なのか?
青哉:ああ。それは酷く大雨の昨日だった。あの日は雷も鳴っていてな…その後……その後に……あへっ。あへへっ。あへへへへへーー!!
紅:二度と笑うなーー!!
青哉:スマーーイル!!(殴られる)
黄金:でも、いつの間にそんな仲良くなったんだ?
青哉:いや、俺にもわかんねーよ。嫌われたと思ってたからさ。でも傘持ってなかったみたいだし。んで、あの後……あへっ。……いかんいかん。笑ってはいけない!うふふ!
紅:いいんじゃない?嫌われてたと思ってたけど、結局何ともなかったんでしょ?ハッピーエンドじゃない
青哉:ハッピーエンドってなんだよ!別にエンドはしてないし!
黄金:でもさー。青。相合傘してる時にドキドキした?
青哉:そりゃあもちろん!ドキドキし過ぎて死ぬかと思ったわ
黄金:認めちゃえよ。もう先輩が好きなんだろ?
青哉:……え!?いやいや!好きとかそんなんじゃ!
紅:好きでしょ。どう考えても
青哉:……そんなんじゃねーって!本当に!
黄金:………そうなんだな
青哉:……まあ、可愛らしい人だなーとは思ってる
黄金:ああ。キモイな
紅:うん。キモイ
青哉:お前ら心ってやつ知らないのか!?
紅:今回ばかりは仕方ないでしょ
青哉:はあ。そんなこと言ってたら今すぐ天宮先輩に会いたくなってきたな……
心春:あたし?
青哉:そう。あたしに会いた……え!?えええーー!!天宮先輩!?いいい、いつから!?
心春:いまさっき来た。
黄金:あっはっは!こんな展開あるんだなー
紗雪:こはるん!待ってよー!
青哉:わ、若菜先輩まで!?
紗雪:ほえ?おお!青哉くんじゃん!あれ?こはるんと知り合い?
心春:サユも知り合いだったの?
紗雪:そうだよ。なーんだ、お互い知り合いだったんだね。……あ、その子は
紅:……っ!
紗雪:名前なんだっけ?
紅:……福田紅(ふくだべに)です
紗雪:紅ちゃんねー!昨日ぶりだね
紅:あ、はい
青哉:赤も知り合いだったの?
紅:う、うん。ちょっとね
紗雪:その子は?
黄金:ああ、沖田黄金(おきたこがね)です。天宮先輩とはちょっとだけ話したことあるくらいですけど、青がいつもお世話になってます
紗雪:君は礼儀正しいね!
黄金:ああ、まあ。父親が社長なんでちょっと真似しちゃってるのかも
紗雪:凄いねー!しっかりしてそうなのもそういうことか〜!
黄金:とんでもないです
紗雪:んでー!?こはるんは何しに2年生の教室まで来たの?
心春:あ、そうだった。アオ
青哉:……え?あ、はい?
心春:おはよー
青哉:お、おはようございます
心春:やったー
青哉:え?
心春:これだけ言いに来た
紗雪:何それー!またやったーなの?
心春:んじゃ
青哉:ああ、お、お疲れ様です
紗雪:あ、待ってよー!3人ともー!あでゅー!
0:2人は自分たちの教室に戻る
青哉:ああー。かわいい
黄金:心の声漏れてるな
紅:………
黄金:赤?大丈夫?
紅:……何が?
黄金:さっきから笑ってないように見えるけど
紅:うるさいわね。ほっときなさい
黄金:……はいよ
0:BGMストップ
0:SE『シーン切り替え2』
0:場面転換。放課後
紗雪:ふぅー!やっと授業終わったー!こはるん!今日はすぐ帰る?
心春:ううん。少し描いてから帰る
紗雪:好きだねー。うちはバイトあるからすぐ帰るよ?
心春:うん。いってらっしゃい
紗雪:あ、ちょっと!いってらっしゃいって言いながら先に行かないでよ!
0:【間】
紅:青は今日も補習?
黄金:みたいだな
紅:目付けられてからずっとね
黄金:ほんとだな
紅:………
黄金:元気ないな。赤
紅:そう?別に
黄金:青が遠くに行く感じがする?
紅:何言ってんの?そんなわけないでしょ
黄金:だよな
紅:変なこと言わないで
黄金:青に好きな人が出来たら赤は何も思わないのかなーって思って
紅:……思わない
黄金:本当に?
紅:何とも思ってないって言ってるでしょ!あんたもいい加減殴るわよ!?
黄金:……ああ。ごめん
紅:私、先帰るから
黄金:お、おう。気をつけて
0:紅は先に荷物を持って教室を出る
黄金:はあ。何してんだろ、俺
0:【間】
0:SE『落ち着き4』
紅:『彩る春に』
青哉:『イロハル』
0:BGM『本当の宝物』
黄金:(青に好きな人が出来たらそれは喜ばしい事だと思うけど、どうしてか素直に喜べない自分がいる。それと同時に悲しい顔を浮かべるやつもいるから)
黄金:(友達として、親友として、その恋を応援してやりたい。その気持ちとは裏腹に。お前が居なかったら…。なんて悪いことを考えてしまう。そんな自分を正当化したくて、ついあいつを傷付けてしまうんだ)
黄金:………お?
心春:………
黄金:天宮先輩
心春:……君は
黄金:沖田黄金(おきたこがね)ですよ
心春:どうも
黄金:何か描いてるんですか?
心春:うん
黄金:見ててもいいですか?
心春:邪魔しないならどうぞ
黄金:………
心春:………
黄金:………
心春:……ねえ、キイロくん
黄金:はい?
心春:あたしが絵を描いてるとこ見てて楽しい?
黄金:いいえ?ちっとも楽しくないですよ?
心春:じゃあなんで見てるの?
黄金:んー。先輩がどんな人かを見てるだけです
心春:何それ
黄金:受け流してもらってもいいんですけど、ちょっと話しますね
心春:なに?
黄金:俺、好きな人が居るんです
心春:……へえ
黄金:その子は、いつも見えない何かと戦ってるような子で、時には怒ったり、悲しんだりする繊細な子なんですよ
心春:そう
黄金:だからこそ、俺がその子を守ってやらないとって思って
心春:あの、キイロくん?
黄金:はい?
心春:それをあたしに言ってどうするの?
黄金:どうもしないです。ただ、誰にも言えないから先輩に話しただけですよ
心春:どうして?
黄金:人に興味無さそうだから。こういうのにいちいち干渉しないと思って
心春:………そっか
黄金:まあ、さっきも言った通り俺の独り言だと思って受け流してください
心春:じゃあ1つ訂正させて
黄金:はい?
心春:あたしが人に興味が無いって言ったけど、そんなこともない
黄金:……そうなんですね
心春:うん
黄金:なら、色んな興味を解消してくれる人が居たら尚、良しですね
心春:………うん
黄金:お邪魔してすいません。じゃあ俺はこれで
心春:んじゃ
0:黄金はその場を去った
0:SE『シーン切り替え2』
0:場面転換
青哉:あれ?赤?
紅:青
青哉:何やってんの?こんなとこで
紅:別に?補習終わったの?
青哉:終わったよ。今日も地獄だった〜!
紅:一緒に…帰らない?
青哉:ん?黄色は?
紅:あいつは一人で帰ったよ
青哉:そっか、黄色が赤を1人にするって珍しいなー
紅:……え?たまにはあるでしょ?
青哉:まあそんな日もあるか!じゃあ久しぶりに2人だし奢ってくれー!
紅:調子に乗るな!!
青哉:まっくがいいーー!!(殴られる)
紅:全く…
青哉:お?最近赤はピリピリしてたけど、ちょっとは機嫌良くなったか?
紅:は?いつもこんな感じよ!
青哉:そうかそうか〜!
紅:……ねえ、青
青哉:ん?
紅:………いや、なんでもない
青哉:なんだよ
紅:なんでもない!もうマック奢らないから!
青哉:えー!いーけーずー!
紅:キモイ!
青哉:あ、そういや、シノは相変わらず元気か?
紅:ああ、元気よ。ちょっと太ってきたし
青哉:そっか〜!良かった良かった!
紅:あんたも変わらないわね
青哉:ん?何が?
紅:うるさい
青哉:なんで!?
0:【間】
0:SE『シーン切り替え1』
0:ある日のこと
紗雪:おーーい!紅(べに)ちゃーーん!!
紅:……ん?げっ!
紗雪:げってなに!?おはよー!
紅:お、おはようございます
紗雪:今日はお友達は?
紅:学校行く時くらいは一人ですよ
紗雪:そうなんだ!みんなと居て楽しい?
紅:そ、そりゃ楽しいですけど
紗雪:へぇーそれはよかったー!中学から友達なの?
紅:そうです。青に関しては同じクラスでした
紗雪:仲良しだねぇー!
紅:うるさい人だなー
紗雪:あのさ、そんな紅ちゃんにお願いなんだけどね
紅:なんです?
紗雪:こはるんと、仲良くしてあげてね
紅:……天宮先輩と?
紗雪:うん!こはるんはさ、高1からずっと一人ぼっちで、友達いなかったからさ。一人でも話せる人が増えたらいいなーって思ったの
紅:………そう、ですか
紗雪:うちも最初は大変だったんだからー!話しかけても無視だったし
紅:……え?昔から無視してたんですか?
紗雪:え?昔のこはるん知ってるの?
紅:あ、いや、……そういう訳じゃないですけど
紗雪:そっか。でもまあ、今はちょっとずつ人と話せるようになったからさ。仲良くしてあげて
紅:……わかりました
0:【間】
心春:……お?
紅:あ
心春:おはよう。ベニ
紅:……おはよう…ございます…
心春:やったー
紅:……え?
心春:嬉しい時はやったーって言うんだって
紅:……なんですか?それ
心春:アオが言ってた
紅:そ、そうなんですね。あいつはいつも単純だから
心春:単純になれるのは、あたしも羨ましいけどね
紅:……え?
心春:アオはあたしの知らないことを教えてくれるの。意外とね
紅:……天宮先輩にとって…。青はどんな存在なんですか?
心春:どんな存在?んー。アオイロ?
紅:んにゃ!?そ、そういう事じゃなくて!
心春:どういうこと?
紅:わからないならいいです!話にならない
心春:そっか
黄金:お?珍しい組み合わせですねー。お二人さん
紅:黄色……
心春:おはよう。キイロくん
黄金:おはようございます
心春:やったー
黄金:……それ流行ってるんすか?
心春:わかんない。けど、嬉しい時はやったーって言うんだって
紅:そういうの馬鹿の一つ覚えって言うんですよ?
心春:へぇー
黄金:赤、いつの間に天宮先輩と仲良くなったんだ?
紅:た、たまたまよ。仲良くはない
黄金:ははっ。そうか
紅:早く教室行くよ!
黄金:はいよー
0:
黄金:(まあ、天宮先輩は悪い人でもないしな)
0:【間】
0:そして、放課後になる
0:BGM『ながれぼし』
青哉:……よし!っ!
0:青哉は走って中庭の方へ行く
青哉:はあ。はあ。居た!
心春:……ん?
青哉:天宮先輩が絵を描いてる姿を見に来ました
心春:また1人増えた
青哉:え?なんの事です?
心春:なんでもない。
青哉:そうですか
心春:アオはあたしが描いてるとこ見てて楽しいの?
青哉:はい。楽しいですよ
心春:………なんで?
青哉:だって、絵を描いてる時の先輩、真剣だから
心春:……そう?
青哉:はい。いつ先輩の表情が変わるのかなーって
心春:自分じゃわからないね
青哉:そうですか?でも、それがたのしいんです
心春:……あたしの小学校の時のあだ名聞く?
青哉:なんです?
心春:無色
青哉:……無色?
心春:そう。表情も変えないで、何に対しても無関心で、感情が無い。だから無色ってあだ名を付けられたの
青哉:そ、それは酷い
心春:でも、それは自分でも認めてるからいいの。アオもわかると思うけど、私変だし、だから自分の表情とかはわからない
青哉:天宮先輩は……変では無いです
心春:……なんで?
青哉:だって、先輩は桜の花を笑ってるって言ったんですよ?こんな素敵な人俺は見たことないです!
心春:……アオ
青哉:色が無いって言われたなら、これからどんな色にだってなれますよ!素敵な絵を描く、素敵な先輩なら!俺が保証します!
心春:……じゃあ、あたしがどんな色になるか、アオも手伝ってよ
青哉:もちろんですよ!
心春:ありがとう
青哉:そうだ、3階の渡り廊下に飾られてる桜の絵、あの絵を描いてる時に先輩と初めて会ったんだ
心春:え?そうなの?
青哉:あれ?覚えてるって言ってなかったですか?
心春:………覚えてる。多分
青哉:でも、やっと俺の気持ちが先輩に伝わったのかなって!
心春:なに?気持ちって
青哉:ほら、手紙に書いたじゃないですか!
心春:手紙?あー。アオが渡してくれたやつ?
青哉:そうです!伝わりました!?
心春:メッセージ性とかは感じられなかったな
青哉:えぇ!?俺そんな文才ないかな!?
心春:文才?何言ってるの?
青哉:いや、たった一言ですよ?俺が書いたのは
心春:………え?
青哉:………え?
心春:………ごめん。また後で確認するね
青哉:あ、はい
青哉:(あ、あれー?伝わってなかったのかな?)
0:BGMストップ
0:場面転換
紗雪:やっほー!こはるん!
心春:ども
紗雪:こはるんがビデオ通話なんて珍しいねー!なんかいけないことしてる気分でテンション上がるよー!
心春:どういうこと?
紗雪:いやーこっちの話。んで?どうしたの?
心春:いや、なんかね、身に覚えが無ければいいんだけどさ
紗雪:なに?
心春:前にさ、あたしに絵を描いたって言ってなかった?
紗雪:うん。書いたよ。あれは最高傑作だった!
心春:それってさ。これのこと?
紗雪:……ん?あれ!?なんでこはるんが持ってるの!?
心春:…………やっぱそうなんだ
紗雪:無くしたと思ったのにどうして!?
心春:わかんない!けど、これを渡してきたのがさ……
紗雪:………え?
心春:うん。アオなんだよね
紗雪:ええーー!!なんで青哉くんが!?うちの代わりに渡してくれたとかじゃないの?
心春:いや、どうだろ?多分そうじゃない
紗雪:じゃあどういうこと?
心春:あたしに伝えたい事を書いた手紙だって言ってた
紗雪:な、なにそれー!
心春:どうしよう…。あたしこれ渡された時、最初いらないって言っちゃったんだよ
紗雪:なんでそんなこと言っちゃうのー!?手紙ってラブレターでしょ?
心春:ら、ラブレター?
紗雪:そうだよ!青哉くんが伝えたいことって告白とかじゃないの!?
心春:そ、そんなわけないでしょ。手紙渡される前は全然知らない人だったんだからさ
紗雪:いいや。その前にこはるんの絵をずっと見てたんだから、きっとこはるんのこと好きなんだよ
心春:………
紗雪:どうするの?こはるんは
心春:別にどうもしないけど
紗雪:これからの事だよ!いらないって言っちゃったなら勘違いだったって言うべきだよ!
心春:………
紗雪:こはるん?
心春:ほ、本当にラブレターだとしたら、アオはあたしのこと好きなの?
紗雪:そりゃそうでしょ
心春:………
紗雪:あれ?やったーって言わないの?
心春:え?あ、うん。言わない
紗雪:なんでよ!嬉しくないの!?
心春:さあね。よくわかんない
紗雪:もう!わかってあげてよー!そういう気持ちくらい!
心春:んじゃ
紗雪:あ!こはるん!
0:心春は電話を切る
心春:………んー。…あたしは真実じゃない限りは疑いたい…けど……やったー?
心春:……あれ。なんか見えたかな?やったーの色。ぼんやりと見えたけどこんな感じか
心春:なんか、黄色いな
0:彩る春に〜イロハル〜【3話-黄色】〜END