台本概要

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タイトル Bloody Darkness ‐前編ー
作者名 美兎  (@choco454507213)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女1、不問1) ※兼役あり
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 お待たせしました!「Bloody」シリーズより最新作です!

「Bloody Sisters」より、ブラディー姉妹の前に立ちはだかった強敵・常闇の過去の物語です!

※こちらの台本はBloody Sistersの台本に目を通してからやっていただけると、予備知識無しよりも世界観が楽しめるかと思います

《台本を使用するとき宜しければXにてポストいただけると幸いです!作者も鑑賞したいので!》

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
レイ 不問 156 本名はレイ・グロウリアで、後に「常闇」となる17歳の少年。ディスタニア首都のブレイクシティで早くから親を亡くし、ホームレスとして生きてきた。そんなある日、レイはアンという少女に出会う ※ナレーションと常闇(現在のレイ:セリフ15ほど)兼
アン 99 レイの前に現れた謎の少女。連れ去られた妹を取り返す為にブレイクシティまでやってきた
テオ 39 無所属の殺し屋。果物ナイフを扱う大男だ
八百屋店主 18 八百屋の店主。日頃から商品を盗んできたレイに恨みを募らせている ※通行人もやってください
通行人 12 八百屋店主兼
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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☆本編☆ 常闇:(N)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている 常闇:(N)このディスタニアに混乱を齎す存在…『常闇』。……赤月の殺し屋『Bloody Sisters(ブラッディシスターズ)』との戦いを経て、彼(彼女)は…その傷を癒していた 0:飛行船の中で 常闇:(M)奴ら…16、17程度の小娘達だったが、とんでもない強さだったな…… 常闇:(M)1年前のあの傷の影響で調子が出なくなっているとはいえ、あの2人…俺(私)を追い詰めた戦闘力と判断力の高さは実に厄介だった 常闇:(M)正直…、もう奴らとは戦いたくはない。私がまだ全盛期だったとしても、楽に倒せるような相手ではなかっただろうからな 0:(間) アン:『…レイ……、私ね……、レイに出会えて……良かった……』 レイ:『……アン!…アン!しっかりしろ!!』 アン:『……えへへ…、もう……ダメみたい……、視界が……真っ暗…だもん……』 レイ:『……そうだ……病院!…病院に行くぞ!!今連れてってやるから!!ほら!早く(俺)私の背中に!!』 アン:『……クス……病院って……何言ってるの……レイ……私達、お金、ない……じゃん……』 レイ:『そんなもん!金持ちから盗めばなんとかなる!お前が生きてさえいれば…俺(私)は捕まったっていいんだ!!』 アン:『…ダーメ……。えへへ……私は、レイに、いつまでも……生きていて、ほしいんですぅ…………』 レイ:『ふざけるな!!俺(私)を独りにするつもりか!許さない…、そんなことは!…これからも、ずっと傍にいろ!!』 アン:『……ごめん、ね…………レイ』 0:(間) 常闇:「…!!」 常闇:(N)私は乗っていた飛行船で目を覚ました 常闇:「ハァ……、ハァ……ハァ……!」 常闇:「……夢か………」 常闇:(M)よりにもよって『あの時』の夢を見るとは……。非常に最悪の気分だ…… 常闇:「……お前の仇は、必ず討つからな、アン……」 0:(間) 常闇:(N)私の本当の名はレイ・グロウリア。……アン・フォーエン。彼女は私にとって家族同然の存在であった 常闇:(N)私は、そんな彼女を救えなかった。……あのとき…、もっと強い力を持っていれば、アンを救うことが出来たはずなのに……! 常闇:(N)許せなかった……。アンを殺した「奴」にも……自分自身にさえも…… 常闇:(N)だから俺(私)は強くなった!国に恐怖を与えるほどに強くなったんだ!!私は必ず復讐を果たす……!絶対に……!! 0:ー13年前ーディスタニア、ブレイクシティにて 八百屋店主:「おい!!待てこのドロボー!!」 レイ:「……ハァ……!ハァ、ハァ!」 0:ーレイは路地裏に隠れる 八百屋店主:「クソ!どこ行きやがった!!」 レイ:(N)俺(私)は八百屋から商品のトマトを盗み出して店主から逃げている。……何日か食料にあり付けていなかったので体は早くも疲労を感じ始めていた レイ:「……スゥ……、スゥ……(小さく息を吐きながら呼吸を整えている)」 八百屋店主:「チッ。毎回すばしっこいクソガキだ……!」 レイ:(N)八百屋店主はしばらく探し回ったあと、この場から去っていった レイ:「……やっと行ったか……」 レイ:「カプ……ムシャ…ムシャ…」 レイ:(N)俺(私)は盗んだトマトにかぶりついた……、その直後、俺(私)は視線を感じた レイ:「……」 レイ:(N)視線の主は、銀髪の少女だった アン:「……」 アン:「……(涎を垂らしている)」 レイ:「何ヨダレ垂らして見てんだ。やらないぞ」 アン:「……べ、別にぃ?何も言ってないけど?(顔を逸らす)」 アン:「チラッ」 レイ:「……チッ……」 アン:「…ねぇ、やっぱり、ちょびっと…もらえない?…昨日から何も口にしてなくてさ……」 レイ:「…消えろ」 アン:「お願い…、お願いだよぉ…!先っちょ!先っちょだけでいいから…!あなたのそれ…ちょうだい!!」 レイ:「あぁ〜うるせぇ……。落ち着かない」 アン:「トマトぉ……ちょうだい……!」 レイ:「あ、おい!やめろ!足にしがみつくんじゃねぇ!!」 アン:「ト〜マァト〜〜〜」 レイ:「クソッ!離せ!やめろ!!」 アン:「ちょうだぁぁい〜〜!」 0:(間) レイ:「…………俺(私)の食事を邪魔しやがって」 アン:「モグモグ……ん〜トマト美味しい〜!」 レイ:「クソ、もう一個も食べる予定だったのになんでお前なんかにあげなければならないんだ……」 アン:「…いいじゃん〜。食事は一緒にした方が楽しいよ!」 0:アンはレイにくっついてくる レイ:「あーうざい!やめろ、くっつくのは!」 アン:「えぇ〜?…じゃあ……、もっとくっついちゃおうかな〜!!」 レイ:「あーくそ!面倒臭い女だ!」 アン:「ねぇねぇ!あなたは名前なんて言うの?」 レイ:「お前なんかに名乗る名前はない」 アン:「えぇ〜教えてくれたっていいじゃん〜!何やかんや言いながらトマト分けてくれたあなたの名前を覚えておきたいの!」 レイ:「…………レイ。…レイ・グロウリアだ」 アン:「私はアン!よろしくね、レイ!」 レイ:「……はぁ、こっちは全然よろしくしたくない」 アン:「えぇ〜仲良くしようよ〜」 レイ:「本当に頼むから、もう関わらないでくれないか?お前に構っているほど俺(私)は暇じゃないんだ」 アン:「……わかった、そこまで言うなら……」 レイ:(N)アンと名乗るその女は、俺(私)が冷たく突き放すと寂しそうな顔をしながら去っていった レイ:「はぁ……、面倒な女だったな」 レイ:(M)それにしてもあの女、見かけない顔だったが、別の地域からやってきたのか。…まぁ、キツく言って突き放してしまったし、もう二度と会うこともないだろう…… 0:(間) テオ:「なぁ、そこの人」 通行人:「え、はい、僕ですか?」 テオ:「ああ、そうだ」 通行人:「…何でしょうか?」 テオ:「腹減ってて、飯屋さがしてんだけどなんかいい店知ってる?」 通行人:「ご飯屋さんですか?…えぇ、一応は知ってますよ。どのようなお店をお探しで?」 テオ:「いやーラーメンの気分でさ…ありそ?」 通行人:「あぁ、ラーメン屋ならすぐ近くにありますよ〜。太麺に豚スープが凄い絡んで美味しいんですよね〜」 テオ:「ほう、そいつは美味そうだな。案内してくれよ」 通行人:「わかりました!あ、場所はこっちです!」 0:(間) 通行人:「もうすぐで着きますよ」 テオ:「……」 通行人:「はぁ〜、なんだか僕もラーメン食べたくなってきました。今向かってるラーメン屋は本当に美味しいんで食べたら絶対に頬が落ちると思いますよ〜」 テオ:「そうか…それは期待だ」 0:通行人は立ち止まる 通行人:「ここです」 テオ:「ほぅ…なかなか良い香りがするなぁ……」 通行人:「そうでしょう?僕ここによく食べに来るんですよね〜」 テオ:「あぁ、ありがとさん。……案内してくれた礼をやるよ」 通行人:「え?」 0:ーーードスッ レイ:(N)通行人の腹に灼熱の痛みが走る。……テオへ視線を移すと右手に果物ナイフ。そして自分の腹からは血が流れ出していた 通行人:「……な…、なん……で……」 テオ:「…悪りぃな、お前には特に恨みとかねぇんだが、殺してほしいって奴がいるんだよ。…だから、死んでくれ」 通行人:「……カハ……………」 レイ:(N)通行人は腹から血を流しながら倒れた レイ:(N)テオはポケットの中に入っていたライターと、タバコの箱から1本取り出した テオ:「(煙草を咥えて吸う)…ふぅ………」 レイ:(N)彼の名は…テオ・ドゥーク。どこの組織にも所属しない単独の殺し屋である 0:(間) レイ:(M)腹減ったな……。ここで食料でも探すか…… 0:ーレイは公園に辿り着く レイ:「この公園なら、たまにゴミ箱の中に食料入ってる時があるんだよなぁ……っと」 レイ:「……(ガサゴソ……)んー、何も無さそうだな……。…はぁ、今日はついてない。……仕方がねぇ、『アレ』で我慢するか」 レイ:(N)俺(私)は公園の隅に生い茂る草むらの方へ向かう レイ:「……今日は大量にいるな」 レイ:(N)草むらにいたのはコオロギだった。季節ということもあり、小さい個体を中心に数十匹草むらのなかで元気に跳ね回っている レイ:「正直そんなに美味くはないが、なりふり構わってはいられない。空腹を満たすにはこれしかない」 レイ:(N)俺(私)は予め拾っていたタッパーに可能な限りコオロギを捕まえてそこにいれた レイ:「1、2…、…………20匹程度か。これだけあれば数日間は乗り切れるな…」 レイ:(M)正直しばらくずっとコオロギなのは抵抗があるにはあるが…こればかりはどうしようもない。毎回まともな食料が入手できるとも限らないので食べるものがあるだけありがたい レイ:「今日は食べられそうな野草も探してコオロギ鍋っぽくするか…」 アン:「……ねぇ、そのタッパーの中にいるのはなんなの…?」 レイ:「またお前かよ……何なんだよ」 アン:「むぅ…お前じゃないよ!私にはアンって名前があるんだよ〜!さっき教えたじゃん〜」 レイ:「あーはいはいすまんすまんパンさん」 アン:「パンじゃなくてア・ン…!お腹好きすぎて食べたいけど……、そうじゃなくて私アンだからね!」 レイ:「うるさいなぁ、どっか行けよ食料泥棒」 アン:「泥棒じゃないもん!ちゃんとトマトくれたじゃん!」 レイ:「俺(私)から半ば強引に取ったようなもんだよ。全くいい迷惑だ」 アン:「何を言ってるの?あれって、お店から盗んだものでしょ?」 レイ:「ウッ……見られていたのか……」 アン:「思いっきりみてましたぁ!残念でした!あっかんべーだ!」 レイ:「くそ…腹立つなお前!…だいたい、お前の方こそ盗んだトマト食ってんだからお互い様だろ!」 アン:「だってお腹すいてたんだもん!空腹で死にそうだったんだよ〜」 レイ:「知るか!そんなことはどうでもいいんだよ!俺(私)もお前も共犯者!ただそれだけだバカ!」 アン:「バカ〜〜〜??ねぇ知ってる?バカって言った方がバカなんだよ?知らないの〜??このバカ!レイの大バカ!!」 レイ:「バカバカうるさい!黙ってろこのアホ女!」 アン:「はぁ〜〜〜!あったまくる!何なんのよもう〜〜〜!!」 0:ー10分後 アン:「…ハァ………ハァ…………」 レイ:「ハァ…ハァ…」 アン:「……」 レイ:「……」 アン:「…ぷっ、あはははははは」 レイ:「…ふっ……」 アン:「あー!レイが笑った!」 レイ:「……!…チッ、うるさい……」 アン:「…ふふ、私達なんだか…ずっと前から一緒にいたみたいだね」 レイ:「…なんとなく…な。……俺(私)も、お前とは今日会ったばかりとは思えない」 アン:「私達なんか友達や家族みたいだよね…レイと話してるとさ…不思議とそんな感覚になれるんだよね」 レイ:「家族……か…」 アン:「ねぇ、どうせレイって友達いないんでしょ?」 レイ:「はぁ?なんだ急に…ムカつくな」 アン:「私が友達になってあげるよ!どうせいつも一人で寂しく過ごしてるんでしょ〜。感謝してよね!」 レイ:「よ、余計なお世話だ!さ、寂しいとか、俺(私)にはそんな感情はない…!群れるやつは力がない奴らの集まりだ!」 アン:「……もう長い事ずっと独りなのねあなたは…」 レイ:「……」 レイ:(N)俺(私)は過去にあった出来事を少しだけ振り返ってから、自然と口を開いていた レイ:「………俺(私)は、独りでいたかったわけじゃない。…最初は俺(私)にも家族がいた。でも…失ってしまったんだ」 レイ:「俺(私)がまだ7か8つくらいの頃の話だった。…母と二人で…貧乏ながらも精一杯抗いながら生きていた」 レイ:「まだ幼い年頃であるはずの俺(私)も働かなければならないほど家計は追い詰められていた。だが、不思議と労働に関してはそこまで苦ではなかった…」 レイ:「母さんは生まれつき病気持ちで、働ける時間には限りがあった。俺(私)は幼いながらも母さんが無理をしていることには気づいていた。だからこそ労働をしても苦だとは感じなかった…。雇い先が意外と子供でも捌けるような仕事量に調節してくれていたというのもあるが、一番は母さんの抱えてる病気はもっと大変だったはずだから」 アン:「……」 レイ:(N)アンは今にも泣きそうな表情になりながらもレイの話を聞いていた レイ:「ある日の仕事終わり、俺(私)は給料を持って急いで母さんの元へと向かった。俺(私)は「ただいま」と言って家に入ったがいつもは「おかえり」と言って出迎えてくれるはずの母さんが出てこなかった」 レイ:「嫌な予感がした俺(私)は駆け足で母さんの寝室に向かった。そしたらそこで母さんは寝込んでいた。……体に触れても冷たくなっていて、話をかけても返事はなかったんだよ」 アン:「…そんな……」 レイ:「あとでわかったことだけど、どうやら母さんは、俺(私)が寝ている間も無理をして夜の仕事へ出稼ぎに行っていたらしい。全部俺(私)の為だったんだ。……その時の自分が大人であったならばどれほど母さんに楽をさせてあげれたのかと考えたら悔しい気持ちでいっぱいだった」 アン:「…………」 レイ:「過労になるくらい働いてぶっ倒れて、最期はたった一人の子供の顔を見ることなく先立っていくなんてさ……。ははは、酷い親だろう……?」 レイ:(N)その時、アンは思いっきりレイを抱きしめる レイ:「……なんだよ…、同情してるのか…?」 アン:「違うよ…。私がこうしたいだけなんだ(少し涙を流しながら)哀れでいるんじゃなくて、私がこうしたいだけ。……今まで、辛かったよねレイ……」 レイ:「…何でお前が泣いてるんだよ……」 アン:「……わかんないよ……、そのときのあなたがどんな気持ちだったのか、その後どれくらい独りだったのかも……。……ただ一つ言いたいことはさ……その…、楽しいことも苦しいことも全部共有させてよ……」 レイ:「………」 レイ:(M)なんて…とても温かいんだろう。体の温もりだけじゃなくて、こいつの内側からもそれが伝わってくる。……あぁそうか……そういえば俺(私)は……長いこと人の体にすら触れてすらいなかったんだ レイ:「……その、ア…ア…」 アン:「…ん?」 レイ:「ア…、ア…アン…!」 アン:「うん」 レイ:「……良かったら、ずっと俺(私)の傍に居てくれないか?……家族として」 アン:「え?それってプロポーズ?」 レイ:「ち、違う!…お前は今日から家族って事だ。俺(私)の妹だ……!」 アン:「ふふ、妹って……あなた何歳なの?」 レイ:「……来月で……17だ…」 アン:「え?同い歳なの?じゃあ私の方がお姉さんだね〜。だから、私のことはお姉ちゃんって呼んでいいよ、弟(妹)よ!」 レイ:「ぐっ…なんかムカつくな…」 0:(間) アン:「ねぇ、さっきからも聞いたんだけどそのタッパーの中に入っているものは何なの?」 レイ:「ああ?これか?」 0:レイはタッパーの蓋を取り外す レイ:「ほら」 アン:「………?」 レイ:「公園で採った食料だよ」 アン:「きゃあああああああああ!!」 0:(間) アン:「信じられない!あんなものを平気で見せてくるなんて!」 レイ:「あんなものってなんだよ……コオロギだってな、貧乏人にとっては立派な食材なんだぞ」 アン:「…はぁ?これのどこが食材よ!というか食材って…、まさか今日の夕飯コオロギとか言わないよね!?」 レイ:「は?他に何が用意できんだよ。こっちはもう盗みをする体力もないんだ。我慢しろ」 アン:「嘘でしょ……信じられない……」 レイ:「お前がこのブレイクシティに来る前はどんな生活をしていたか知らないけど、俺(私)と行動する以上、その方針には従ってもらう」 アン:「はぁ…レイの家族やめようかな」 レイ:「……それは困る」 アン:「ふふ。冗談だよ」 レイ:「……お前なぁ…」 アン:「でもコオロギを食べるのはごめんね。どうしても無理。……だから私はこれにする」 レイ:(N)そう言ってアンはパーカー服のポケットから、成人男性の拳サイズくらいの赤い木の実を取り出す レイ:「これって…さっき公園に生えていたやつか」 アン:「うん!私も食材を集めてたの。今後は自分で食料を調達しなきゃいけないなぁと思って」 レイ:「……その木の実はこの国の言葉でブラッディと言ってな。赤い色合いから血を連想するからそう名付けられたんだ」 アン:「…え?血?なんだか物騒だね」 レイ:「まだ幼かった頃に母さんがよく採ってきて食べさせてくれたんだ」 アン:「へぇ、そうなんだ…」 レイ:「ちなみにそれ、めちゃくちゃ甘くて美味いぞ。良かったな運良く採れて」 レイ:(N)その後、レイとアンは数日間過ごしてどんどん距離を縮めていった。そうしていくうちに、いつしか二人は本当の意味での家族になっていったのをお互い感じ始めていた頃ーーー 0:(間) 八百屋店主:「あ…、あんたが殺し屋の人か…?」 テオ:「……お前は?」 八百屋店主:「この街のとある八百屋してんだけどよ、最近クソガキからやたら商品盗まれるんで始末してほしいんだよ!」 テオ:「依頼か。別に構わんが、報酬の方は用意できるのか?」 八百屋店主:「あ、あぁ…。いくらくらいだ?」 テオ:「そうだな………、お前の臓器が売れるくらいの値はかかりそうだ。どうする?」 八百屋店主:「ぞ、臓器……!?」 テオ:「まさか用意できねぇのか?」 八百屋店主:「い、いやできる!すぐに持ってくるから待っててくれないか!」 0:ーーー数分後 八百屋店主:「ほ、ほらよ、これで足りるか?」 テオ:「1、2……ふん、まあいい。……契約成立だ。依頼は必ず完遂してやるから安心しろ。だがもしも途中でやっぱりキャンセルなんて言い出したらその時は…この街を歩けると思うなよ?」 八百屋店主:「わ…わかった……!約束する…!」 テオ:「それで、ターゲットの詳細は?」 八百屋店主:「……ああ…、俺が殺して欲しい奴の名前はレイ?って言ったっけな…確かそんな感じの名前だったはずだ…」 テオ:「…レイ?名前だけか?」 八百屋店主:「姓まではわからねぇんだ!最近この辺に姿を現すようになったもんで……色々と謎が多い…。あの貧乏臭い服装をみた感じだと親もいるかどうかもわからない。もしかしたら独りで生活してるんじゃねぇかな……」 テオ:「……殺し屋に依頼をする時は念入りにそいつの情報を集めろ。もし人違いで殺しちまったら、テメェは責任が取れるのか?」 八百屋店主:「す、すまない……」 八百屋店主:(M)このガキ……まだ18かそれくらいにしか見えないのになんて威圧感だよ…。さっきからずっと身体の震えが止まらない……一体何人殺してきたんだ……? テオ:「今回は大目にみてやる。それで場所は?どの辺の地域にいる?」 八百屋店主:「俺の店のすぐ近くにあるスラムだ…あと公園でもよく目撃されてる…」 テオ:「……わかった。明日の午前中には依頼を完遂するから報告を待っていろ」 八百屋店主:「あ、あの…もしその、未遂とかで終わったら、金は返金してしてもらえるのか…?」 テオ:「あ?……お前俺が依頼を失敗すると思ってんのか?」 八百屋店主:「い、いや!そうじゃなくて…!こっちも貯蓄がそんなにあるわけじゃないし……こんな大金払って、何にもないで終わったら嫌だなと思ってさ…し、心配になんだよ!」 テオ:「舌を引っこ抜かれたいのか?……俺が失敗をするわけがねぇだろ。今まで何百件と依頼を受けてきたが失敗をしたことがない。もちろん、人違いや未遂もな」 八百屋店主:「ひ、ひぃ!ご、ごめんなさい……」 0:(間) レイ:「アン、お前はどこからどうやってきたんだ?」 アン:「ん〜?どこから来たと思う?」 レイ:「………その見た目だとそこそこ普通の生活をしていたことはよくわかるから、割とかなり遠い場所か?」 レイ:(M)アンの服装は長袖のパーカーにミニスカート。この街でもこんな感じのファッションの奴はいるが、アンの場合は髪色と瞳が銀色で、どうにも引っかかる。この街に銀髪の奴はほとんどいない。いても染色している奴だけで地毛の人種ってのはかなり珍しい アン:「遠いかなー。歩きで2日はかかったし。お金がなかったから本当に大変だったよここまで来るのは」 レイ:「この街に来たのにはなにか目的があったからなのか?」 アン:「うん、そだね。……話すとまあ、すこしだけ長くなるんだけど……私ね、妹がいてさ」 レイ:「妹?」 アン:「私達はフォーエン村っていうところに住んでたんだけど、ある日村が盗賊に襲われちゃってね……」 レイ:「……!」 アン:「私達の髪色と瞳って、世界的に見て凄く希少で、わざわざ体の一部を取って高級品として扱われてるんだって。……村の住人私を含めて皆対象だから盗賊の標的にされちゃったんだろうね」 アン:「住人の半数以下はあいつらに殺されたり、何人かは攫われてしまった…。その中には、私の妹も含まれてるの」 レイ:「………胸糞悪い話だな」 アン:「幸い、妹以外は私の家族は無事だったけど、やっぱり皆ショックで…私も悔しくてたまらなくて……皆に内緒でこの街にきたの」 レイ:「……ブレイクシティは人身売買も行なっているしな……。あ、でもなんでお前の妹がこの街にいるってわかった?確かにこの街はディスタニアの首都だが、別の地方や海外に売り飛ばされる可能性だってあっただろ?」 アン:「…盗賊達がそう話していたの。ブレイクシティには高値で人を買収する人達がたくさんいるって」 レイ:「ブレイクシティはこの国の中でも特に腐っているからな……。いつも街中ではたくさんの奴隷を見かけるよ」 アン:「お母さんとお父さんは妹のことはもう、どうにもならないから諦めなさいって言ったけど、私は諦めない…。絶対に妹を探し出して…故郷に帰る…!」 レイ:「……そうか」 アン:「ねぇ、もしも妹が見つかったらレイも一緒に故郷に来てくれない…?」 レイ:「俺(私)が…?アンの故郷に?」 アン:「うん。そしたら村を復興する為に一緒に手伝ってほしいの。その後は、レイを私達の村の住人として迎える。どうかな?」 レイ:「いいのか?俺(私)なんかが一緒に来ても」 アン:「むしろ来て欲しい。だってもう私達家族でしょう?」 レイ:「…家族……。 …あぁ…そうだな。俺(私)達はもう家族だ」 アン:「私との約束ね。絶対だよ?」 レイ:「ああ…!」 0:ーーー数日後 アン:「ねぇレイ。今日のお昼はどうするの?お腹すいてきた…」 レイ:「んー適当にどこかで野草を取ってきて煮るか果実やコオロギしかないな。それか体力と精神はめちゃくちゃ使うけど八百屋から盗む」 アン:「んー、コオロギは嫌だけど、毎回盗んでばかりいたら店主さんに警察へ突き出されちゃうよ。この間約束したでしょ?妹を見つけたら一緒に故郷に行くって」 レイ:「あ、あぁ…それもそうだな。…わかったよ。盗みはもうしない」 アン:「うん。だから何か食べられそうなものを探そう?」 0:(間) アン:「結局今回も野草とかになっちゃったな〜。早く故郷に帰ってちゃんとしたご飯が食べたいよ」 レイ:「…食べられるものがあるだけまだマシだ。ムシャムシャ…」 アン:「そうかもしれないけど……っていうかレイ何食べてるの…?」 レイ:「ゴk…」 アン:「きゃああああああ!やめてお願い!今だけは近づかないで本当に!!」 0:(間) レイ:「………ふぅ、これでしばらくは身体が動くな」 アン:「うぅ…レイって、本当にすごい生活してきたんだね……」 レイ:「別にそんなことないと思うけど…。こっちは生きることに精一杯だっただけだよ」 アン:「いやすごいってば!誰の力にも頼らずに自分の力だけで生きてきたんでしょ?…私ならそんなことできない…。…お母さんが急に居なくなったら、なんて考えたらさ…」 レイ:「……」 アン:「…どうしてそんなに強いの?」 レイ:「……強くなんてないよ。ただ母さんに言われたんだ。『どんなに苦しい状況でも下を見るな、後ろを振り返るなって』……」 アン:「……」 レイ:「『前だけを見て、止まるのではなく、どう進むか、それだけを考える』。幼いながらに俺(私)はそう強く言われた」 アン:「……良いお母さんじゃん」 レイ:「ああ。実際この言葉があったから俺(私)は今まで生きてこれた。…嵐の日も、夏の強い日差しが差す日も、雪降る寒い日もとにかく生きることだけを考え続けた。…それが母さんへの恩返しになるような気がしたから」 アン:「……私も似たようなことを言われたな」 レイ:「そうなのか?」 アン:「うん。たしかね、ずっと後ろ向きな考えでいると前に進むことを恐れてしまうようになるって。留まることは、成長するための栄養を摂る機会を捨てることだって」 レイ:「成長するための栄養…」 アン:「そう!それから逃げていたらいつになっても強くはなれない。体ばかりが成長をしても、中身はずっと子供のままだもん。いや、子供というより赤ちゃんだね!」 レイ:「……ふっ、赤ちゃんって」 アン:「…いつまでも親は私達の面倒を見てくれるわけじゃない。いつのしか自分自身で未来を切り開かなければならない日が必ずくる」 レイ:「………未来か」 アン:「だからレイは本当にすごいよ。お母さんがいなくても教えをちゃんと守ってたくましく生きてるんだから!自信を持って!あなたは強い人だよ」 レイ:「………あ、あぁ……、ありがとうな」 レイ:(N)その直後…俺(私)は物凄い殺気に気がついた レイ:「………!?」 レイ:(N)振り返るとそこには……… テオ:「……お前がレイ・グロウリアか」 レイ:(N)褐色の大男が立っていた レイ:「……なんだお前……」 テオ:「探すのに苦労したぜ?ちょろちょろ動き回るもんだからよ」 レイ:「何…?」 アン:「レイ、誰なのこの人…、知り合い…?」 レイ:「いや、知らない」 レイ:(M)この男…とても危険な匂いがする。……上手く言葉にはできないが……俺(私)を殺そうとしているのだということだけは分かる テオ:「……その表情から察するに、今自分に起きている状況をよくわかっているみたいだな。…そう、俺はテメェを殺しに来たんだよ」 レイ:(M)やっぱりな……。なんでこんなものがやってきたのかは意外と心当たりがあるが……今はそれよりも……アンを避難させないとまずいかもしれない…… アン:「え……」 レイ:「アン、逃げろ!こいつは危険だ!」 アン:「…でも!」 レイ:「お前はまだこの街に目的がある。こんな所で最期を迎える為にここに来たわけじゃないだろ」 アン:「…い、嫌だ……。…レイも一緒に……」 レイ:「アン!!」 テオ:「おいおい…、何か勘違いしてるみたいだけどターゲットはお前だけだ。…別にお前を殺したという事実を、その女が知っていても俺の足が地につくことはねぇ。この街の警察なんて…無能ばかりだからな!」 レイ:「お前みたいな殺し屋の言葉を誰が信じるって言うんだよ」 テオ:「……やれやれ、生意気な奴だな。最初はなんとも思わなかったが、なんだか殺してきたくじゃねぇかよ……お前ェ!!!」 0:テオはいつ取り出したのかわからない果物ナイフで物凄い速度でレイとの距離を縮める アン:「きゃあああ!!」 レイ:「っ!」 テオ:「……なんだ?」 レイ:(M)………危なかった。ほんの少しでも避けるのが遅れていたら……俺(私)はここで死んでいた アン:「……レイ…!」 テオ:「ほう……驚いた。…予め動作を入れていたとはいえ、俺のスピードに対応するとは……、なかなかの洞察力じゃねぇか」 レイ:「……そいつはどうも」 テオ:「でもどうするつもりだ?そのまま避けているだけでは何の解決にもならないぞ」 レイ:「………」 レイ:(M)相手はプロの殺し屋……、こいつと戦って素人の俺(私)が勝てる可能性は0。どう考えたって無謀だ…。…それならできることは1つしかない!先にアンを逃がして、俺(私)もその後を追う。なんとか隙を作ってこの場を離れるんだ! テオ:「……あ?」 レイ:「……」 テオ:(M)こいつ、何故動かない?まさか、俺から逃げられるタイミングがくるのを待ってんのか…? テオ:「おい……、逃げられると思うなよ?」 レイ:「!!」 レイ:(M)速い!さっきよりも!……だがこいつの癖はなんとなくわかっている! レイ:「……ふっ!」 0:レイはテオのナイフの突きを回避する テオ:(M)へぇ、これも避けるのか。……このガキ、洞察力だけではなく判断力まで…… 0:テオは不敵に笑う テオ:「ハハハ!すげぇなお前!俺の攻撃を2回も回避してみせるなんて!なかなか俺の方も愉しくなってきたぜ!」 レイ:「………ふぅ……(深呼吸をしている)」 レイ:(M)集中しろ……。恐怖を捨てて、目の前の敵だけを見る…!……緊張すらも味方にする……! テオ:「いくらお前が素人でも手抜きじゃ殺せないのはわかった。………だから、もう終わらせるわ」 レイ:「……!(レイは避けの構えに出る)」 レイ:(M)来る……!!……だが今度の動きには対応できるかがわからない……! テオ:「ラァァァ!!!」 0:テオは視認できない速度で動く レイ:(M)くっ……、見えない…!…これは……無理だ…。…俺(私)はもうここで……終わり……なのか……? 0:ーーーその直後、ナイフの刺さる鈍い音が鳴り響いた テオ:「……なっ!」 レイ:「………!?」 アン:「……レイ、無事で良かった……」 0:アンの脇腹から血が流れる レイ:「おい……アン…何で…、何でだよ……」 アン:「………ごめ…んね……約束…、守れなくっ…かはっ…(血を吐く)」 レイ:「あ、あ……、あああああああああ!!」 0:「Bloody Darkness(前編)」‐END‐。後編に続く

☆本編☆ 常闇:(N)ここは闇の国・ディスタニア。人間社会から追放された咎人によって構成されている。治安は深刻レベルで、殺人、強盗、強姦、密売など当たり前に犯罪が起きている 常闇:(N)このディスタニアに混乱を齎す存在…『常闇』。……赤月の殺し屋『Bloody Sisters(ブラッディシスターズ)』との戦いを経て、彼(彼女)は…その傷を癒していた 0:飛行船の中で 常闇:(M)奴ら…16、17程度の小娘達だったが、とんでもない強さだったな…… 常闇:(M)1年前のあの傷の影響で調子が出なくなっているとはいえ、あの2人…俺(私)を追い詰めた戦闘力と判断力の高さは実に厄介だった 常闇:(M)正直…、もう奴らとは戦いたくはない。私がまだ全盛期だったとしても、楽に倒せるような相手ではなかっただろうからな 0:(間) アン:『…レイ……、私ね……、レイに出会えて……良かった……』 レイ:『……アン!…アン!しっかりしろ!!』 アン:『……えへへ…、もう……ダメみたい……、視界が……真っ暗…だもん……』 レイ:『……そうだ……病院!…病院に行くぞ!!今連れてってやるから!!ほら!早く(俺)私の背中に!!』 アン:『……クス……病院って……何言ってるの……レイ……私達、お金、ない……じゃん……』 レイ:『そんなもん!金持ちから盗めばなんとかなる!お前が生きてさえいれば…俺(私)は捕まったっていいんだ!!』 アン:『…ダーメ……。えへへ……私は、レイに、いつまでも……生きていて、ほしいんですぅ…………』 レイ:『ふざけるな!!俺(私)を独りにするつもりか!許さない…、そんなことは!…これからも、ずっと傍にいろ!!』 アン:『……ごめん、ね…………レイ』 0:(間) 常闇:「…!!」 常闇:(N)私は乗っていた飛行船で目を覚ました 常闇:「ハァ……、ハァ……ハァ……!」 常闇:「……夢か………」 常闇:(M)よりにもよって『あの時』の夢を見るとは……。非常に最悪の気分だ…… 常闇:「……お前の仇は、必ず討つからな、アン……」 0:(間) 常闇:(N)私の本当の名はレイ・グロウリア。……アン・フォーエン。彼女は私にとって家族同然の存在であった 常闇:(N)私は、そんな彼女を救えなかった。……あのとき…、もっと強い力を持っていれば、アンを救うことが出来たはずなのに……! 常闇:(N)許せなかった……。アンを殺した「奴」にも……自分自身にさえも…… 常闇:(N)だから俺(私)は強くなった!国に恐怖を与えるほどに強くなったんだ!!私は必ず復讐を果たす……!絶対に……!! 0:ー13年前ーディスタニア、ブレイクシティにて 八百屋店主:「おい!!待てこのドロボー!!」 レイ:「……ハァ……!ハァ、ハァ!」 0:ーレイは路地裏に隠れる 八百屋店主:「クソ!どこ行きやがった!!」 レイ:(N)俺(私)は八百屋から商品のトマトを盗み出して店主から逃げている。……何日か食料にあり付けていなかったので体は早くも疲労を感じ始めていた レイ:「……スゥ……、スゥ……(小さく息を吐きながら呼吸を整えている)」 八百屋店主:「チッ。毎回すばしっこいクソガキだ……!」 レイ:(N)八百屋店主はしばらく探し回ったあと、この場から去っていった レイ:「……やっと行ったか……」 レイ:「カプ……ムシャ…ムシャ…」 レイ:(N)俺(私)は盗んだトマトにかぶりついた……、その直後、俺(私)は視線を感じた レイ:「……」 レイ:(N)視線の主は、銀髪の少女だった アン:「……」 アン:「……(涎を垂らしている)」 レイ:「何ヨダレ垂らして見てんだ。やらないぞ」 アン:「……べ、別にぃ?何も言ってないけど?(顔を逸らす)」 アン:「チラッ」 レイ:「……チッ……」 アン:「…ねぇ、やっぱり、ちょびっと…もらえない?…昨日から何も口にしてなくてさ……」 レイ:「…消えろ」 アン:「お願い…、お願いだよぉ…!先っちょ!先っちょだけでいいから…!あなたのそれ…ちょうだい!!」 レイ:「あぁ〜うるせぇ……。落ち着かない」 アン:「トマトぉ……ちょうだい……!」 レイ:「あ、おい!やめろ!足にしがみつくんじゃねぇ!!」 アン:「ト〜マァト〜〜〜」 レイ:「クソッ!離せ!やめろ!!」 アン:「ちょうだぁぁい〜〜!」 0:(間) レイ:「…………俺(私)の食事を邪魔しやがって」 アン:「モグモグ……ん〜トマト美味しい〜!」 レイ:「クソ、もう一個も食べる予定だったのになんでお前なんかにあげなければならないんだ……」 アン:「…いいじゃん〜。食事は一緒にした方が楽しいよ!」 0:アンはレイにくっついてくる レイ:「あーうざい!やめろ、くっつくのは!」 アン:「えぇ〜?…じゃあ……、もっとくっついちゃおうかな〜!!」 レイ:「あーくそ!面倒臭い女だ!」 アン:「ねぇねぇ!あなたは名前なんて言うの?」 レイ:「お前なんかに名乗る名前はない」 アン:「えぇ〜教えてくれたっていいじゃん〜!何やかんや言いながらトマト分けてくれたあなたの名前を覚えておきたいの!」 レイ:「…………レイ。…レイ・グロウリアだ」 アン:「私はアン!よろしくね、レイ!」 レイ:「……はぁ、こっちは全然よろしくしたくない」 アン:「えぇ〜仲良くしようよ〜」 レイ:「本当に頼むから、もう関わらないでくれないか?お前に構っているほど俺(私)は暇じゃないんだ」 アン:「……わかった、そこまで言うなら……」 レイ:(N)アンと名乗るその女は、俺(私)が冷たく突き放すと寂しそうな顔をしながら去っていった レイ:「はぁ……、面倒な女だったな」 レイ:(M)それにしてもあの女、見かけない顔だったが、別の地域からやってきたのか。…まぁ、キツく言って突き放してしまったし、もう二度と会うこともないだろう…… 0:(間) テオ:「なぁ、そこの人」 通行人:「え、はい、僕ですか?」 テオ:「ああ、そうだ」 通行人:「…何でしょうか?」 テオ:「腹減ってて、飯屋さがしてんだけどなんかいい店知ってる?」 通行人:「ご飯屋さんですか?…えぇ、一応は知ってますよ。どのようなお店をお探しで?」 テオ:「いやーラーメンの気分でさ…ありそ?」 通行人:「あぁ、ラーメン屋ならすぐ近くにありますよ〜。太麺に豚スープが凄い絡んで美味しいんですよね〜」 テオ:「ほう、そいつは美味そうだな。案内してくれよ」 通行人:「わかりました!あ、場所はこっちです!」 0:(間) 通行人:「もうすぐで着きますよ」 テオ:「……」 通行人:「はぁ〜、なんだか僕もラーメン食べたくなってきました。今向かってるラーメン屋は本当に美味しいんで食べたら絶対に頬が落ちると思いますよ〜」 テオ:「そうか…それは期待だ」 0:通行人は立ち止まる 通行人:「ここです」 テオ:「ほぅ…なかなか良い香りがするなぁ……」 通行人:「そうでしょう?僕ここによく食べに来るんですよね〜」 テオ:「あぁ、ありがとさん。……案内してくれた礼をやるよ」 通行人:「え?」 0:ーーードスッ レイ:(N)通行人の腹に灼熱の痛みが走る。……テオへ視線を移すと右手に果物ナイフ。そして自分の腹からは血が流れ出していた 通行人:「……な…、なん……で……」 テオ:「…悪りぃな、お前には特に恨みとかねぇんだが、殺してほしいって奴がいるんだよ。…だから、死んでくれ」 通行人:「……カハ……………」 レイ:(N)通行人は腹から血を流しながら倒れた レイ:(N)テオはポケットの中に入っていたライターと、タバコの箱から1本取り出した テオ:「(煙草を咥えて吸う)…ふぅ………」 レイ:(N)彼の名は…テオ・ドゥーク。どこの組織にも所属しない単独の殺し屋である 0:(間) レイ:(M)腹減ったな……。ここで食料でも探すか…… 0:ーレイは公園に辿り着く レイ:「この公園なら、たまにゴミ箱の中に食料入ってる時があるんだよなぁ……っと」 レイ:「……(ガサゴソ……)んー、何も無さそうだな……。…はぁ、今日はついてない。……仕方がねぇ、『アレ』で我慢するか」 レイ:(N)俺(私)は公園の隅に生い茂る草むらの方へ向かう レイ:「……今日は大量にいるな」 レイ:(N)草むらにいたのはコオロギだった。季節ということもあり、小さい個体を中心に数十匹草むらのなかで元気に跳ね回っている レイ:「正直そんなに美味くはないが、なりふり構わってはいられない。空腹を満たすにはこれしかない」 レイ:(N)俺(私)は予め拾っていたタッパーに可能な限りコオロギを捕まえてそこにいれた レイ:「1、2…、…………20匹程度か。これだけあれば数日間は乗り切れるな…」 レイ:(M)正直しばらくずっとコオロギなのは抵抗があるにはあるが…こればかりはどうしようもない。毎回まともな食料が入手できるとも限らないので食べるものがあるだけありがたい レイ:「今日は食べられそうな野草も探してコオロギ鍋っぽくするか…」 アン:「……ねぇ、そのタッパーの中にいるのはなんなの…?」 レイ:「またお前かよ……何なんだよ」 アン:「むぅ…お前じゃないよ!私にはアンって名前があるんだよ〜!さっき教えたじゃん〜」 レイ:「あーはいはいすまんすまんパンさん」 アン:「パンじゃなくてア・ン…!お腹好きすぎて食べたいけど……、そうじゃなくて私アンだからね!」 レイ:「うるさいなぁ、どっか行けよ食料泥棒」 アン:「泥棒じゃないもん!ちゃんとトマトくれたじゃん!」 レイ:「俺(私)から半ば強引に取ったようなもんだよ。全くいい迷惑だ」 アン:「何を言ってるの?あれって、お店から盗んだものでしょ?」 レイ:「ウッ……見られていたのか……」 アン:「思いっきりみてましたぁ!残念でした!あっかんべーだ!」 レイ:「くそ…腹立つなお前!…だいたい、お前の方こそ盗んだトマト食ってんだからお互い様だろ!」 アン:「だってお腹すいてたんだもん!空腹で死にそうだったんだよ〜」 レイ:「知るか!そんなことはどうでもいいんだよ!俺(私)もお前も共犯者!ただそれだけだバカ!」 アン:「バカ〜〜〜??ねぇ知ってる?バカって言った方がバカなんだよ?知らないの〜??このバカ!レイの大バカ!!」 レイ:「バカバカうるさい!黙ってろこのアホ女!」 アン:「はぁ〜〜〜!あったまくる!何なんのよもう〜〜〜!!」 0:ー10分後 アン:「…ハァ………ハァ…………」 レイ:「ハァ…ハァ…」 アン:「……」 レイ:「……」 アン:「…ぷっ、あはははははは」 レイ:「…ふっ……」 アン:「あー!レイが笑った!」 レイ:「……!…チッ、うるさい……」 アン:「…ふふ、私達なんだか…ずっと前から一緒にいたみたいだね」 レイ:「…なんとなく…な。……俺(私)も、お前とは今日会ったばかりとは思えない」 アン:「私達なんか友達や家族みたいだよね…レイと話してるとさ…不思議とそんな感覚になれるんだよね」 レイ:「家族……か…」 アン:「ねぇ、どうせレイって友達いないんでしょ?」 レイ:「はぁ?なんだ急に…ムカつくな」 アン:「私が友達になってあげるよ!どうせいつも一人で寂しく過ごしてるんでしょ〜。感謝してよね!」 レイ:「よ、余計なお世話だ!さ、寂しいとか、俺(私)にはそんな感情はない…!群れるやつは力がない奴らの集まりだ!」 アン:「……もう長い事ずっと独りなのねあなたは…」 レイ:「……」 レイ:(N)俺(私)は過去にあった出来事を少しだけ振り返ってから、自然と口を開いていた レイ:「………俺(私)は、独りでいたかったわけじゃない。…最初は俺(私)にも家族がいた。でも…失ってしまったんだ」 レイ:「俺(私)がまだ7か8つくらいの頃の話だった。…母と二人で…貧乏ながらも精一杯抗いながら生きていた」 レイ:「まだ幼い年頃であるはずの俺(私)も働かなければならないほど家計は追い詰められていた。だが、不思議と労働に関してはそこまで苦ではなかった…」 レイ:「母さんは生まれつき病気持ちで、働ける時間には限りがあった。俺(私)は幼いながらも母さんが無理をしていることには気づいていた。だからこそ労働をしても苦だとは感じなかった…。雇い先が意外と子供でも捌けるような仕事量に調節してくれていたというのもあるが、一番は母さんの抱えてる病気はもっと大変だったはずだから」 アン:「……」 レイ:(N)アンは今にも泣きそうな表情になりながらもレイの話を聞いていた レイ:「ある日の仕事終わり、俺(私)は給料を持って急いで母さんの元へと向かった。俺(私)は「ただいま」と言って家に入ったがいつもは「おかえり」と言って出迎えてくれるはずの母さんが出てこなかった」 レイ:「嫌な予感がした俺(私)は駆け足で母さんの寝室に向かった。そしたらそこで母さんは寝込んでいた。……体に触れても冷たくなっていて、話をかけても返事はなかったんだよ」 アン:「…そんな……」 レイ:「あとでわかったことだけど、どうやら母さんは、俺(私)が寝ている間も無理をして夜の仕事へ出稼ぎに行っていたらしい。全部俺(私)の為だったんだ。……その時の自分が大人であったならばどれほど母さんに楽をさせてあげれたのかと考えたら悔しい気持ちでいっぱいだった」 アン:「…………」 レイ:「過労になるくらい働いてぶっ倒れて、最期はたった一人の子供の顔を見ることなく先立っていくなんてさ……。ははは、酷い親だろう……?」 レイ:(N)その時、アンは思いっきりレイを抱きしめる レイ:「……なんだよ…、同情してるのか…?」 アン:「違うよ…。私がこうしたいだけなんだ(少し涙を流しながら)哀れでいるんじゃなくて、私がこうしたいだけ。……今まで、辛かったよねレイ……」 レイ:「…何でお前が泣いてるんだよ……」 アン:「……わかんないよ……、そのときのあなたがどんな気持ちだったのか、その後どれくらい独りだったのかも……。……ただ一つ言いたいことはさ……その…、楽しいことも苦しいことも全部共有させてよ……」 レイ:「………」 レイ:(M)なんて…とても温かいんだろう。体の温もりだけじゃなくて、こいつの内側からもそれが伝わってくる。……あぁそうか……そういえば俺(私)は……長いこと人の体にすら触れてすらいなかったんだ レイ:「……その、ア…ア…」 アン:「…ん?」 レイ:「ア…、ア…アン…!」 アン:「うん」 レイ:「……良かったら、ずっと俺(私)の傍に居てくれないか?……家族として」 アン:「え?それってプロポーズ?」 レイ:「ち、違う!…お前は今日から家族って事だ。俺(私)の妹だ……!」 アン:「ふふ、妹って……あなた何歳なの?」 レイ:「……来月で……17だ…」 アン:「え?同い歳なの?じゃあ私の方がお姉さんだね〜。だから、私のことはお姉ちゃんって呼んでいいよ、弟(妹)よ!」 レイ:「ぐっ…なんかムカつくな…」 0:(間) アン:「ねぇ、さっきからも聞いたんだけどそのタッパーの中に入っているものは何なの?」 レイ:「ああ?これか?」 0:レイはタッパーの蓋を取り外す レイ:「ほら」 アン:「………?」 レイ:「公園で採った食料だよ」 アン:「きゃあああああああああ!!」 0:(間) アン:「信じられない!あんなものを平気で見せてくるなんて!」 レイ:「あんなものってなんだよ……コオロギだってな、貧乏人にとっては立派な食材なんだぞ」 アン:「…はぁ?これのどこが食材よ!というか食材って…、まさか今日の夕飯コオロギとか言わないよね!?」 レイ:「は?他に何が用意できんだよ。こっちはもう盗みをする体力もないんだ。我慢しろ」 アン:「嘘でしょ……信じられない……」 レイ:「お前がこのブレイクシティに来る前はどんな生活をしていたか知らないけど、俺(私)と行動する以上、その方針には従ってもらう」 アン:「はぁ…レイの家族やめようかな」 レイ:「……それは困る」 アン:「ふふ。冗談だよ」 レイ:「……お前なぁ…」 アン:「でもコオロギを食べるのはごめんね。どうしても無理。……だから私はこれにする」 レイ:(N)そう言ってアンはパーカー服のポケットから、成人男性の拳サイズくらいの赤い木の実を取り出す レイ:「これって…さっき公園に生えていたやつか」 アン:「うん!私も食材を集めてたの。今後は自分で食料を調達しなきゃいけないなぁと思って」 レイ:「……その木の実はこの国の言葉でブラッディと言ってな。赤い色合いから血を連想するからそう名付けられたんだ」 アン:「…え?血?なんだか物騒だね」 レイ:「まだ幼かった頃に母さんがよく採ってきて食べさせてくれたんだ」 アン:「へぇ、そうなんだ…」 レイ:「ちなみにそれ、めちゃくちゃ甘くて美味いぞ。良かったな運良く採れて」 レイ:(N)その後、レイとアンは数日間過ごしてどんどん距離を縮めていった。そうしていくうちに、いつしか二人は本当の意味での家族になっていったのをお互い感じ始めていた頃ーーー 0:(間) 八百屋店主:「あ…、あんたが殺し屋の人か…?」 テオ:「……お前は?」 八百屋店主:「この街のとある八百屋してんだけどよ、最近クソガキからやたら商品盗まれるんで始末してほしいんだよ!」 テオ:「依頼か。別に構わんが、報酬の方は用意できるのか?」 八百屋店主:「あ、あぁ…。いくらくらいだ?」 テオ:「そうだな………、お前の臓器が売れるくらいの値はかかりそうだ。どうする?」 八百屋店主:「ぞ、臓器……!?」 テオ:「まさか用意できねぇのか?」 八百屋店主:「い、いやできる!すぐに持ってくるから待っててくれないか!」 0:ーーー数分後 八百屋店主:「ほ、ほらよ、これで足りるか?」 テオ:「1、2……ふん、まあいい。……契約成立だ。依頼は必ず完遂してやるから安心しろ。だがもしも途中でやっぱりキャンセルなんて言い出したらその時は…この街を歩けると思うなよ?」 八百屋店主:「わ…わかった……!約束する…!」 テオ:「それで、ターゲットの詳細は?」 八百屋店主:「……ああ…、俺が殺して欲しい奴の名前はレイ?って言ったっけな…確かそんな感じの名前だったはずだ…」 テオ:「…レイ?名前だけか?」 八百屋店主:「姓まではわからねぇんだ!最近この辺に姿を現すようになったもんで……色々と謎が多い…。あの貧乏臭い服装をみた感じだと親もいるかどうかもわからない。もしかしたら独りで生活してるんじゃねぇかな……」 テオ:「……殺し屋に依頼をする時は念入りにそいつの情報を集めろ。もし人違いで殺しちまったら、テメェは責任が取れるのか?」 八百屋店主:「す、すまない……」 八百屋店主:(M)このガキ……まだ18かそれくらいにしか見えないのになんて威圧感だよ…。さっきからずっと身体の震えが止まらない……一体何人殺してきたんだ……? テオ:「今回は大目にみてやる。それで場所は?どの辺の地域にいる?」 八百屋店主:「俺の店のすぐ近くにあるスラムだ…あと公園でもよく目撃されてる…」 テオ:「……わかった。明日の午前中には依頼を完遂するから報告を待っていろ」 八百屋店主:「あ、あの…もしその、未遂とかで終わったら、金は返金してしてもらえるのか…?」 テオ:「あ?……お前俺が依頼を失敗すると思ってんのか?」 八百屋店主:「い、いや!そうじゃなくて…!こっちも貯蓄がそんなにあるわけじゃないし……こんな大金払って、何にもないで終わったら嫌だなと思ってさ…し、心配になんだよ!」 テオ:「舌を引っこ抜かれたいのか?……俺が失敗をするわけがねぇだろ。今まで何百件と依頼を受けてきたが失敗をしたことがない。もちろん、人違いや未遂もな」 八百屋店主:「ひ、ひぃ!ご、ごめんなさい……」 0:(間) レイ:「アン、お前はどこからどうやってきたんだ?」 アン:「ん〜?どこから来たと思う?」 レイ:「………その見た目だとそこそこ普通の生活をしていたことはよくわかるから、割とかなり遠い場所か?」 レイ:(M)アンの服装は長袖のパーカーにミニスカート。この街でもこんな感じのファッションの奴はいるが、アンの場合は髪色と瞳が銀色で、どうにも引っかかる。この街に銀髪の奴はほとんどいない。いても染色している奴だけで地毛の人種ってのはかなり珍しい アン:「遠いかなー。歩きで2日はかかったし。お金がなかったから本当に大変だったよここまで来るのは」 レイ:「この街に来たのにはなにか目的があったからなのか?」 アン:「うん、そだね。……話すとまあ、すこしだけ長くなるんだけど……私ね、妹がいてさ」 レイ:「妹?」 アン:「私達はフォーエン村っていうところに住んでたんだけど、ある日村が盗賊に襲われちゃってね……」 レイ:「……!」 アン:「私達の髪色と瞳って、世界的に見て凄く希少で、わざわざ体の一部を取って高級品として扱われてるんだって。……村の住人私を含めて皆対象だから盗賊の標的にされちゃったんだろうね」 アン:「住人の半数以下はあいつらに殺されたり、何人かは攫われてしまった…。その中には、私の妹も含まれてるの」 レイ:「………胸糞悪い話だな」 アン:「幸い、妹以外は私の家族は無事だったけど、やっぱり皆ショックで…私も悔しくてたまらなくて……皆に内緒でこの街にきたの」 レイ:「……ブレイクシティは人身売買も行なっているしな……。あ、でもなんでお前の妹がこの街にいるってわかった?確かにこの街はディスタニアの首都だが、別の地方や海外に売り飛ばされる可能性だってあっただろ?」 アン:「…盗賊達がそう話していたの。ブレイクシティには高値で人を買収する人達がたくさんいるって」 レイ:「ブレイクシティはこの国の中でも特に腐っているからな……。いつも街中ではたくさんの奴隷を見かけるよ」 アン:「お母さんとお父さんは妹のことはもう、どうにもならないから諦めなさいって言ったけど、私は諦めない…。絶対に妹を探し出して…故郷に帰る…!」 レイ:「……そうか」 アン:「ねぇ、もしも妹が見つかったらレイも一緒に故郷に来てくれない…?」 レイ:「俺(私)が…?アンの故郷に?」 アン:「うん。そしたら村を復興する為に一緒に手伝ってほしいの。その後は、レイを私達の村の住人として迎える。どうかな?」 レイ:「いいのか?俺(私)なんかが一緒に来ても」 アン:「むしろ来て欲しい。だってもう私達家族でしょう?」 レイ:「…家族……。 …あぁ…そうだな。俺(私)達はもう家族だ」 アン:「私との約束ね。絶対だよ?」 レイ:「ああ…!」 0:ーーー数日後 アン:「ねぇレイ。今日のお昼はどうするの?お腹すいてきた…」 レイ:「んー適当にどこかで野草を取ってきて煮るか果実やコオロギしかないな。それか体力と精神はめちゃくちゃ使うけど八百屋から盗む」 アン:「んー、コオロギは嫌だけど、毎回盗んでばかりいたら店主さんに警察へ突き出されちゃうよ。この間約束したでしょ?妹を見つけたら一緒に故郷に行くって」 レイ:「あ、あぁ…それもそうだな。…わかったよ。盗みはもうしない」 アン:「うん。だから何か食べられそうなものを探そう?」 0:(間) アン:「結局今回も野草とかになっちゃったな〜。早く故郷に帰ってちゃんとしたご飯が食べたいよ」 レイ:「…食べられるものがあるだけまだマシだ。ムシャムシャ…」 アン:「そうかもしれないけど……っていうかレイ何食べてるの…?」 レイ:「ゴk…」 アン:「きゃああああああ!やめてお願い!今だけは近づかないで本当に!!」 0:(間) レイ:「………ふぅ、これでしばらくは身体が動くな」 アン:「うぅ…レイって、本当にすごい生活してきたんだね……」 レイ:「別にそんなことないと思うけど…。こっちは生きることに精一杯だっただけだよ」 アン:「いやすごいってば!誰の力にも頼らずに自分の力だけで生きてきたんでしょ?…私ならそんなことできない…。…お母さんが急に居なくなったら、なんて考えたらさ…」 レイ:「……」 アン:「…どうしてそんなに強いの?」 レイ:「……強くなんてないよ。ただ母さんに言われたんだ。『どんなに苦しい状況でも下を見るな、後ろを振り返るなって』……」 アン:「……」 レイ:「『前だけを見て、止まるのではなく、どう進むか、それだけを考える』。幼いながらに俺(私)はそう強く言われた」 アン:「……良いお母さんじゃん」 レイ:「ああ。実際この言葉があったから俺(私)は今まで生きてこれた。…嵐の日も、夏の強い日差しが差す日も、雪降る寒い日もとにかく生きることだけを考え続けた。…それが母さんへの恩返しになるような気がしたから」 アン:「……私も似たようなことを言われたな」 レイ:「そうなのか?」 アン:「うん。たしかね、ずっと後ろ向きな考えでいると前に進むことを恐れてしまうようになるって。留まることは、成長するための栄養を摂る機会を捨てることだって」 レイ:「成長するための栄養…」 アン:「そう!それから逃げていたらいつになっても強くはなれない。体ばかりが成長をしても、中身はずっと子供のままだもん。いや、子供というより赤ちゃんだね!」 レイ:「……ふっ、赤ちゃんって」 アン:「…いつまでも親は私達の面倒を見てくれるわけじゃない。いつのしか自分自身で未来を切り開かなければならない日が必ずくる」 レイ:「………未来か」 アン:「だからレイは本当にすごいよ。お母さんがいなくても教えをちゃんと守ってたくましく生きてるんだから!自信を持って!あなたは強い人だよ」 レイ:「………あ、あぁ……、ありがとうな」 レイ:(N)その直後…俺(私)は物凄い殺気に気がついた レイ:「………!?」 レイ:(N)振り返るとそこには……… テオ:「……お前がレイ・グロウリアか」 レイ:(N)褐色の大男が立っていた レイ:「……なんだお前……」 テオ:「探すのに苦労したぜ?ちょろちょろ動き回るもんだからよ」 レイ:「何…?」 アン:「レイ、誰なのこの人…、知り合い…?」 レイ:「いや、知らない」 レイ:(M)この男…とても危険な匂いがする。……上手く言葉にはできないが……俺(私)を殺そうとしているのだということだけは分かる テオ:「……その表情から察するに、今自分に起きている状況をよくわかっているみたいだな。…そう、俺はテメェを殺しに来たんだよ」 レイ:(M)やっぱりな……。なんでこんなものがやってきたのかは意外と心当たりがあるが……今はそれよりも……アンを避難させないとまずいかもしれない…… アン:「え……」 レイ:「アン、逃げろ!こいつは危険だ!」 アン:「…でも!」 レイ:「お前はまだこの街に目的がある。こんな所で最期を迎える為にここに来たわけじゃないだろ」 アン:「…い、嫌だ……。…レイも一緒に……」 レイ:「アン!!」 テオ:「おいおい…、何か勘違いしてるみたいだけどターゲットはお前だけだ。…別にお前を殺したという事実を、その女が知っていても俺の足が地につくことはねぇ。この街の警察なんて…無能ばかりだからな!」 レイ:「お前みたいな殺し屋の言葉を誰が信じるって言うんだよ」 テオ:「……やれやれ、生意気な奴だな。最初はなんとも思わなかったが、なんだか殺してきたくじゃねぇかよ……お前ェ!!!」 0:テオはいつ取り出したのかわからない果物ナイフで物凄い速度でレイとの距離を縮める アン:「きゃあああ!!」 レイ:「っ!」 テオ:「……なんだ?」 レイ:(M)………危なかった。ほんの少しでも避けるのが遅れていたら……俺(私)はここで死んでいた アン:「……レイ…!」 テオ:「ほう……驚いた。…予め動作を入れていたとはいえ、俺のスピードに対応するとは……、なかなかの洞察力じゃねぇか」 レイ:「……そいつはどうも」 テオ:「でもどうするつもりだ?そのまま避けているだけでは何の解決にもならないぞ」 レイ:「………」 レイ:(M)相手はプロの殺し屋……、こいつと戦って素人の俺(私)が勝てる可能性は0。どう考えたって無謀だ…。…それならできることは1つしかない!先にアンを逃がして、俺(私)もその後を追う。なんとか隙を作ってこの場を離れるんだ! テオ:「……あ?」 レイ:「……」 テオ:(M)こいつ、何故動かない?まさか、俺から逃げられるタイミングがくるのを待ってんのか…? テオ:「おい……、逃げられると思うなよ?」 レイ:「!!」 レイ:(M)速い!さっきよりも!……だがこいつの癖はなんとなくわかっている! レイ:「……ふっ!」 0:レイはテオのナイフの突きを回避する テオ:(M)へぇ、これも避けるのか。……このガキ、洞察力だけではなく判断力まで…… 0:テオは不敵に笑う テオ:「ハハハ!すげぇなお前!俺の攻撃を2回も回避してみせるなんて!なかなか俺の方も愉しくなってきたぜ!」 レイ:「………ふぅ……(深呼吸をしている)」 レイ:(M)集中しろ……。恐怖を捨てて、目の前の敵だけを見る…!……緊張すらも味方にする……! テオ:「いくらお前が素人でも手抜きじゃ殺せないのはわかった。………だから、もう終わらせるわ」 レイ:「……!(レイは避けの構えに出る)」 レイ:(M)来る……!!……だが今度の動きには対応できるかがわからない……! テオ:「ラァァァ!!!」 0:テオは視認できない速度で動く レイ:(M)くっ……、見えない…!…これは……無理だ…。…俺(私)はもうここで……終わり……なのか……? 0:ーーーその直後、ナイフの刺さる鈍い音が鳴り響いた テオ:「……なっ!」 レイ:「………!?」 アン:「……レイ、無事で良かった……」 0:アンの脇腹から血が流れる レイ:「おい……アン…何で…、何でだよ……」 アン:「………ごめ…んね……約束…、守れなくっ…かはっ…(血を吐く)」 レイ:「あ、あ……、あああああああああ!!」 0:「Bloody Darkness(前編)」‐END‐。後編に続く