台本概要
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タイトル | 蠱毒 |
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作者名 | なあのん (@miyuMORINAA) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 4人用台本(女4) |
時間 | 50 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
ミステリー?。3つ子入れ替わりストーリーです。演者さんは、入れ替わってのなりきりも楽しんでください!虐待をほのめかす表現などあるので苦手な方はご注意下さい。 3つ子は20代前半、ママは40代くらいな感じです。 295 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
弥那 |
女 ![]() |
57 | 読みは、やな。 イメージはクール。搾取子。 弥那→与那 |
夕那 |
女 ![]() |
45 | 読みは、ゆな。 イメージは根暗。放置子。 夕那→弥那 |
与那 |
女 ![]() |
38 | 読みは、よな。 イメージはぶりっ子。愛玩子。 与那→夕那 |
ママ |
女 ![]() |
48 | イメージは傲慢 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
夕那:(M)私たちはいつも一緒だった。
夕那:生まれる前からずーっと...。
夕那:大人になって別々に住んでいても同じ箱の中。
夕那:抜け出せないそれは呪いのようで...。
:
与那:箱の世界は、与那が中心だった。
:
夕那:頭が良くて冷静沈着の姉の弥那。
夕那:いつも笑顔で愛嬌のある妹の与那。
夕那: …2人の出涸らしの私、夕那。
夕那︰私はいつも比べられた。
夕那:弥那みたいに頭がよければね〜。
夕那:与那みたいにかわいげがあればね〜。
夕那:そう言われる度に悲しくなってうつむいていた。
夕那︰特に与那はみんなから愛されてた。
夕那︰よく喋ってよく笑って…。
夕那:コロコロかわる表情にあざとい仕草。
夕那︰…私にはママしかいなかったのに。
夕那:ママの愛を独占していた。
夕那:可愛い与那…。
夕那:大事な大事なママの与那。
夕那:弥那は、頭がよかったけど…。
夕那:愛想がなくてママの1番にはなれなかった。
夕那:でも、成績が良かったから推薦で大学まで行って。
夕那:親に手間をかけさせないで偉いねっていつも言われてた。
夕那:アンタがいれば将来も安心ねって…。
夕那:私は…なんにもない子だった。
夕那:だから、与那との違いをいつも突きつけられた。
夕那︰与那だったら…与那なら…。
夕那:アンタだから…アンタなんか…。
夕那︰私はずっとこれが続いてくと思っていた。
夕那:あの時までは…。
夕那:そう、気がついたんだ。
夕那:私達は【蠱毒】だった 。
:
:
与那:弥那ぁ〜、久しぶりっ!
弥那:んっ!!
弥那:与那、危ないから飛びつかないで…。
与那:え〜、久しぶりじゃん?
与那:弥那に会うのなんてさ。
与那:一年に…1回?2回だしぃ?
与那:私からの溢れる愛情表現!
弥那:はぁ…与那。
弥那:私に対してそんなことしなくていいから。
与那:え〜?なんでそんなふうにいうの?
与那:私は弥那の事好きなのにっ!
弥那:あー…はいはい。ありがとうね。
弥那:…夕那?久しぶり。元気?
夕那:…うん。元気。
与那:弥菜ぁーー!私には!?
与那:私には聞てくれないの!?
弥那:はいはい…与那は元気でしょ?
弥那:どう見てもさ。
与那:私はっ!!聞いて欲しいのっ!!!
弥那:はぁ…で、与那は?元気?
与那:うん!めっちゃ元気だよ!
与那:これだけ元気な理由は...。
与那:私がいつも完璧なご飯作ってるからなの!
与那: 今、お料理教室行通ってるんだけどね。
与那:ママにご飯作ってあげるとー。
与那:栄養がきちんと考えてあって味も美味しいし、もうプロ並みだねっ!って!めっちゃ褒めてくれるのっ!
弥那:……そう、仕事は?
与那:んーと、家で色々してるよ!
与那:だってママがねー。
与那:私がいないと寂しいっていうからさ…。
与那:ご飯作ってるし!掃除とかもしてる!
弥那:……へぇ。相変わらずなんだね。
与那:相変わらずってなにぃ?
与那:モットーは、私はみんなのために!
与那:みんなは私のために!
与那:One for all, All for one.だよ!!
弥那:はぁ…。夕那は?仕事してるの?
夕那:あっ…えっと、いちおぅネット…。
与那:(被せて)夕那はねー。
与那:なんかよくわらないけどぉ。
与那:仕事はしてるみたい!ママがねー。
与那:家にお金入れなさいっていってたから!
与那:んー、何してるかは知らないけど!!
弥那:そうなの?夕那?
夕那:………ん。して…る。
弥那:…そっ。……あのさ。
弥那:そろそろ家、行こうよ。
与那:そだね!早く家にかえろー!
与那:ママも待ってるよ!
弥那:ちょっと!
弥那:そんなに腕、引っ張らないで!
弥那:1人で歩いてよ…。重いんだから。
弥那:……夕那、帰るよ。
夕那:………ん。
与那:今日の夕飯はね。
与那:私が好きなオムライスなんだぁー!
与那:めっちゃたのしみぃー!!
弥那:はぁ…。そうだね。楽しみだねぇー…。
:
:
夕那:(M)……私は、世界一オムライスが嫌いだ。
:
:
与那:ただいまぁ!ママー!!
与那:…あれぇ?
夕那:…ただいま…。
弥那:…ただいま。
弥那:…お邪魔します。
与那:弥那!お邪魔します。
与那:なんて、他人の家みたいなこと言わないでよ!
弥那:いや、だって…。
弥那:私ほぼココの家の思い出ないし。
与那:あー、まーそうだよねぇー。
与那:ここは高校ん時に引っ越したとこだもん。
与那:弥那は、中高一貫の全寮制の特進学校いってたしぃ。
与那:そんでそのまま今はー。
与那:一流企業に勤めてるんだもんねぇー!!
弥那:…だから…お邪魔しますでいいんだよ。
与那:えー!それでもさ!家族じゃん!
与那:そんな事いわないでよぉー。
与那:私、泣いちゃぅぅ。
弥那:はぁ…泣くとめんどうだからやめてくれる?
弥那:あの人が見たら怒られるのウチらなんだけど。
与那:だってさ!
与那:弥那が他人みたいなこと言うからぁ…。
与那:家族なのにぃ!!
弥那:…はぁ、ゴメンゴメン。
弥那:家族じゃないとかそんな意味じゃないから。
弥那:………泣くのやめて?
与那:グスン…。
与那:なら、そんなこといわないでよぉ。
弥那:…いちいち、そんなことで泣かないでよ…。
与那:弥那のいじわるぅ!ううう…。
弥那:だから!泣かないでよ!
弥那:…ちっ!あーーもう!わかったわよ!ごめん!
与那:うぅ、仕方ないから許してあげる…。
与那:また…そんなこと言ったら…。
与那:もっと泣いちゃうからね?
弥那:ハイハイ。わかりましたよ。
弥那:…んで、あの人は何処なの?
与那:えー、わかんなぁーい。
与那:どっかに出かけたみたい?
与那:…あっ、もしかして…。
与那:駅前のケーキ!
与那:買ってきてくれてるのかも♪
与那:私が朝、食べたいって言ったから!
弥那:…そっ。じゃ、私ここで休ませてもらうから。
与那:えー!
与那:リビングじゃなくて私の部屋行こ?
弥那:与那の部屋さ…。
弥那:絶対散らかってるでしょ。
弥那:下手に部屋入ったらなんか壊しそうだしヤダ。
弥那:…少しは整理したら?
与那:むぅー全部宝物なんだもん...。
与那:大事だから捨てられないの!
与那:弥那と違って物を大切にしてるの!
弥那:ふん。...あっそ。
弥那:ま、私はここでいいから。お構いなく。
与那:もう!テレビ付けるんじゃなくてさ!
与那:お話しようよぉ!
与那:久しぶりなのに!つめたーい!
与那:…そんなんだからー…。
与那:ママに、何考えてるかわからない!
与那:とか言われるんだよー。
弥那:っ……!!(リモコンを置く)
弥那:……んで、何を話したい訳?話題は?
与那:ふふっ最近の弥那の事聞きたいなぁー。
弥那:…別に話すことなんてないけど。
与那:えー!そんなことないでしょ?
与那:仕事の事とかお給料の事とか…。
与那:結婚考えてる彼氏がいるかとか?
弥那:…別に与那に言う必要なくない?
与那:弥那はさぁ…。
与那:昔からしっかりしてるなぁっておもってるよー。
与那:でも、今の時代っ…。
与那:いつ職が無くなるかわかんないじゃん?
与那:それに、結婚とかしちゃってー。
与那:仕送りとか減らされたら困るしー…。
与那:そんな事になったら大変なんだよ!
与那:私たちっ!
弥那:……………。なら、与那…働けば?
与那:えぇ!無理だよぉ!
与那:バイトもしたことないのに!
与那:私はね、お婿さんとってー…。
与那:ママと一緒に住むの!
与那:ママの老後見てあげるんだからー。
与那:私が結婚するまでの間だけでもちゃんと見てよ?
弥那:私はねっ!
弥那:あんたのお金の面倒まで見るつもりないけどっ!!
与那:別に弥那からもらってないよぉ?
与那:私がさー弥那にちょうだいっていったことあるー?
弥那:っ……それで?いつ結婚するわけ?
与那:まだ未定!
与那:だってさ、中々いい感じの人いないんだよねぇー。
与那:ほら!あれだよ!
与那:天は二物を与えずっていうのかな?
与那:なかなか条件にピッタシの人いないの…。
弥那:はぁ…。
弥那:なんか疲れた。
弥那:私、ここでテレビ見てるからほっといて。
与那:えー、暇なんですけどぉー。
与那:…かまってよぉー。
弥那:はいはい。あとでね。テレビ見てからね。
与那:むぅー!もういい!部屋行く!
:
:
弥那:すぅーっ…はぁーー。(深呼吸)
弥那:…これだから…。
弥那:帰ってきたくなかったのにっ…。
弥那:…夕那?聞きたいんだけどさ。
弥那:あの人の次の相手はどんな人なの?
弥那:また、変な人につかまってない?
夕那:あ…えと…あの…。
夕那:ふつうの?人だと思う…。
夕那:見た目は…。
弥那:…若いチャラチャラしたヤツとか。
弥那:勧誘目的のヤツとか詐欺目的のヤツではない。
弥那:ってことでオーケー?
夕那:あっ…うん。
夕那:それはたぶん…だけど…。
弥那:毎度毎度…。
弥那:新しい男作る度に連絡してくるの。
弥那:やめて欲しいんだけど!
弥那:まぁ、変なヤツであろうと…。
弥那:こっちに迷惑かけないヤツならいいけどね。
夕那:……でも、ちょっと……。(小声)
弥那:(聞いてない)てかさ…。
弥那: この歳で父親なんていらないわよ。
夕那:あっ…のね、弥那、話がっ…!
弥那:(被せて)あのさ、そろそろ休みたいし。
弥那:1人にしてくれない?
弥那:誰かいるとおちつかないんだよね…。
夕那:弥那…!えっと…。
弥那:聞こえない?
弥那:わ・た・し、1人になりたいんだけど?
夕那:っ…。わかっ…た。
:
:
夕那:(M)私はリビングを出て納戸へ行く。
夕那:そこが私の部屋。私の居場所。
夕那:荷物に囲まれて私は考える。
夕那:わ・た・し、1人になりたいんだけど?
夕那:むぅー!もういい!部屋行く!
夕那:私はブツブツと2人の会話を思い出して声に出す。
夕那:何度も何度も…。
:
:
:ここから弥那が与那、夕那が与那、与那が夕那になります。与那を演じてる弥那のイメージで与那になりきって下さい。
:
:
ママ:ただいまぁー!今帰ったわよー。
ママ:与那ぁー?
弥那:(ここから与那になりきります)
弥那:おっ…かえりなさい!
弥那:ママ!遅かったね!
ママ:そう?いつも通りじゃない?
ママ:とりあえず朝言ってたケーキ!
ママ:買ってきてあげたわよ!
弥那:(与那)…ありがとうママ!嬉しい!!
弥那:みんなで食べよ?
ママ:??与那の分だから1人で食べたらいいじゃない。
ママ:遠慮なんてしないで!
弥那:(与那)あっ!そうだね!
弥那:でもね、弥那が帰って来てるからー。
弥那:弥那にもあげようかなーって!
ママ:あぁ…そういえばそうだったわね!
ママ:弥那いつ帰ってきてたの?
ママ:ママすっかり忘れちゃってた。
弥那:(与那)…ふふ!えーとねぇー。
弥那:3時?くらいかなぁー?
弥那:うっかりだねママ!
ママ:あらぁ、3時間も前じゃない…。
ママ:ついつい忘れちゃうのよね…。
ママ:与那の事なら忘れないのに!
弥那:(与那)っ…!とりあえずケーキ見ていい?
弥那:すごく気になるぅー!
ママ:あ…ごめんね与那ぁ。
ママ:ちょっとだけ待ってくれる?
ママ:弥那と…夕那いるわよね?
ママ:リビングに連れてきてくれる?
弥那:(与那)はぁーい!
弥那:(リビングのドアを開けて)
弥那:…ゆなぁー!っやなぁー!!
:
:
ママ:…えっと、3人が揃ったところで報告するわね。
ママ:私は、山本さんという方と…。
ママ:今、お付き合いさせて頂いてるの!
夕那:(ここから弥那になりきります)
夕那:…それ何回目?
夕那:また、変なヤツなんじゃないの?
ママ:弥那ったら!ふつーの人よ。
ママ:…私のことを愛してくれてるの!
ママ:いつもかわいいね素敵だね愛してるって…。
ママ:言ってくれるの。
ママ:今までも運命を感じた事はあったけど…。
ママ:今回はね!本物なの!赤い糸が見えるのよ!!
夕那:(弥那)……はぁ…。それで?
夕那:話が終わりなら帰りたいんだけど?
ママ:あら?冷たいじゃない弥那。
ママ:いつもなら相手の事、根掘り葉掘り聞くくせに。
夕那:(弥那)…どうせ、聞いても無駄でしょ?
夕那:……運命?なんでしょ?
ママ:そうね!運命だから!!
ママ:ふふ、弥那もわかってきたじゃない。
ママ:運命には逆らえない…。
ママ:反対なんて許されないわ…。
夕那:(弥那)…そう。なら…。
夕那:それでいいじゃない。
夕那:この話は終わりでいい?
ママ:待って…。大事な事まだ終わってないわ…。
夕那:(弥那)…運命の相手にあった以上に?
夕那:大事な話なんてあるんだ?
ママ:関することよ。…私には人生を左右する事。
ママ:……夕那。こっちに来なさい?
与那:(ここから夕那になりきります)
与那:っ……!?
ママ:早く!!こっちに来なさいといってるの。
与那:(夕那)えっ!……えとぉ……。
ママ:ちょっと、2人で話したいことあるの。
ママ:ほら…こっち。
ママ:(腕を掴んで引っ張る。)
与那:(夕那)っ!!んっ!!イタイっ!!
ママ:静かにしなさい!
ママ:…近所に聞こえちゃうでしょ?
与那:(夕那)…はな…して!イタイ…から…。
与那:ちゃんと歩くからっ…!
ママ:そっ…。ならこっちよ。納屋に来なさい?
与那:(夕那)…うっ。弥那ぁっ……。
与那:たす...。
夕那:(弥那)…。早く行きなよ。
夕那:…あとでバレたらヤバいのは…。
夕那:そっちだよ?
与那:(夕那)っ!あんたっ……。うぅ…。
与那:(小声)......あとで、覚えてときなさいよ...。
:
:
:ママの後を追ってリビングを出る夕那。その後、ガタゴトと何か争っているような音が聞こえる。そして、しばらくすると音が止んでだ。リビングに静寂が流れている。しばらくして母親だけもどってくる
:
:
ママ:待たせてごめんね与那。弥那も。
ママ:最後まで手間をかけさせるんだから…。
ママ:ホント…困った子だわぁ。
弥那:(与那)…えっと。ママ。……夕那は…?
ママ:あら、与那。ママとのお話忘れたの?
ママ:ダメじゃない大切な事なのに。
ママ:…でも、与那には少し難しかったかしら?
ママ:ならもう一度、お話してあげる。
ママ:…弥那にも説明するわね。
ママ:さっきも言ってた山本さんなんだけどね。
ママ:将来は、一緒になれたらなって…。
ママ:お互い真剣に話し合ってるの!
ママ:でもね、問題があって…。
ママ:今、山本さんのビジネスでお金が必要なのよ。
ママ:それが成功したらすぐにでも結婚しようって言ってくれてるのに…。
ママ:協力したいけど私はそんな大金持っていないし…。
ママ:そしたらね……。
ママ:思い出したのよ!!
ママ:ほら!昔、無理やり入らされた保険!
ママ:私は…アイツに騙されたんじゃない。
ママ:今この時のために…。
ママ:全て繋がってたんだってわかったの!
ママ:…ね?凄いでしょ運命なのよ…。
弥那:(与那)えっ……。あの…ママ…?。
弥那:それって…さ…。
弥那:私...、馬鹿だから!!
弥那:変なこと考えちゃうよ…?
弥那:ママっ?…ユナに何をしたの…?
ママ:何って…ヤったのよ?
ママ:…幸せになる為だもの仕方ないわ。
ママ:私が生んだんだから…。
ママ:私の役に立つべきよね?
ママ:私の幸せのために、この時のために…。
ママ:あの子は生まれてきてくれたんだと思うの。
ママ:ねっ…?そうでしょ?
弥那:(与那)…うそ!
弥那:そんなの…おかしいよ!
弥那:私は…私たちは…。
弥那:アンタのために生まれてきたんじゃない!
ママ:…(困惑)どうしたの?与那?
ママ:アナタ今日、ちょっとおかしいわよ?
ママ:ママの言うことが聞けないの?
ママ:今までそんな事なんてなかったじゃない…。
:
ママ:(じっと弥那を見つめる)
ママ:っ………アンタァ…。
ママ:与那じゃないわねっ!!
:
ママ:与那のフリして…!!
ママ:何を企んでるの!!
ママ: …与那はドコ?何処にいるの!!
弥那:(与那)っ!ママっ…!!
弥那:ちょっ…待ってっ!!
弥那:落ち着いてっ!!
ママ:落ち着いて?ですって!
ママ:何を考えてるの!!
ママ:こんな大事な時に……。
ママ:馬鹿なことして楽しいのっ!?
ママ:私を騙して楽しいのっ!!??
ママ:…すーはぁー。(深呼吸)
ママ:早く与那を連れてきなさい…。
ママ:早く…早くっ!はやくはやくはやくっ!!!
弥那:(ここから与那の演技をやめて弥那自身に戻ります)
弥那:与那はっ……ぅうっ…。
弥那:よなっ…は……っ。
弥那:うっうえ…。ぅうううっうぅ…。
弥那:(すすり泣き)
ママ:……っ
ママ:…も…しかして…。
弥那:うぅっ……納屋にぃ……っ!?
弥那:(弥那に掴みかかるママ)
ママ:嘘っ!…うそうそうそっっ!!
ママ:有り得ないわっ!そんなハズないっっ!!
ママ:あの子は夕那よ……。与那のはずがないのっ!
ママ:だって…。おかしいじゃない…。
ママ:与那が…。
ママ:夕那のフリなんてするわけないじゃないっ!
弥那:ママの…大事な着物を汚しちゃって…。
弥那:ママの部屋に入れるのは…っ。
弥那:与那だけ……だから…っ。
弥那:見つかったら怒られるっていったの…うぅ。
弥那:それで、怒られるのイヤだからってっ…!
弥那:私はねっ!
弥那:絶対にバレるからって言った!
弥那:…なのにぃ…与那聞いてくれなくてっ………。うぅ。
ママ:ハッ…!…嘘よ…有り得ないわ…。
ママ:アンタが嘘ついて与那を…っ。
ママ:素直な与那をぉ!!
ママ:騙したんでしょ!!
弥那:ホントなの!信じてっっ!!
弥那:ママっっ!!(号泣)
ママ:五月蝿い…。
ママ:うるさいぃぃぃぃっっ!!(怒号)
ママ:この嘘つきがっ!!
ママ:妬ましかったんでしょ?
ママ:羨ましかったんでしょ??
ママ:…着物だってアンタがっ…。
ママ:仕組んでしたに決まってるわ!
ママ:与那はホントに素直でイイ子だもの…。
ママ:それをぉ……それをっ!!
ママ:純真なあの子の心に漬け込んでっっ!!
弥那:違うの!与那はっ…!!
弥那:ウチらに罪を擦り付けようとしてた!!
弥那:私は、絶対に気付かれるから…。
弥那:無理だから辞めようっていったのにっ!!
弥那:聞かなかったのは与那なのっ!
弥那:ママ…私のことも信じてよっ!
ママ:はぁ?信じられるわけないじゃない…。
ママ:私の期待には、一切答えてくれないアンタと。
ママ:いつも可愛くて私を癒してくれる与那…。
ママ:どっちを信じるか明白よね?
ママ:っ……あぁぁぁっっー!(嘆き)
ママ:可哀想な与那ぁ……!!
ママ:辛かったでしょ……。
ママ:苦しかったでしょ…っっ。
ママ:与那だと分かってたら…!!
ママ:…あんな事しなかったのに……。
ママ:全部…ぜんぶぜんぶ!!
ママ:アンタがぁっ悪いのよぉ……。
弥那:わたし…のせいじゃない!
弥那:だって、あの子がっ!与那が言ってきた!
ママ:アンタ…恨んでたものね…。
ママ:いつも与那を妬んでた…。
弥那:……ママはっ……。
弥那:与那しかっ…見てなかったからっ!
弥那:いつも...いつも!
弥那:私、頑張って来たのに!
弥那:なんで、あの子ばっかり贔屓するのよっ!
弥那:あの子が選んだのっ!
弥那: 反対したのに聞かなかったのはあの子!
弥那: …この結果は自業自得よっ!!
ママ:ほら、やっぱりそうじゃない...。
ママ:…何も出来ないくせにっ!
ママ:家に置いてやったのに!!
ママ:その恩をこんな形で返されるなんて…。
ママ:こんな事になるなら。
ママ:もっと早く…しとけばよかったわね。
弥那:はぁ?…ママ…ねぇ?
弥那:なにを言ってるの?
ママ:アンタなんて…。
ママ:最初っからいらなかったのよ。
ママ:与那と弥那だけでよかったのに…。
弥那:っ!ママまってっ……!!
弥那:くっぅっ!!…かはっ…!!
弥那:(弥那に飛びかかるママ)
ママ:アンタはいつもお荷物!
ママ:そんなアンタがっ!!
ママ:与那にあげたものを…っ。
ママ:つけてんじゃないわよっ!
ママ:そのチョーカーはねっ!
ママ:誕生日に買ってあげた物よっ!
ママ:返しなさいぃぃっ!!
弥那:がっ……!ぐぅっ…!
弥那:まっ!て …かっ……!!まっ…てぇ…。
弥那:あっうっ……!!あ゛っがァっ!!
弥那:うぇっ…ぐぁっ……!たす……ゆっ…なぁ………。
:
:
ママ:…はぁーはぁー…はぁ…。
夕那:(ここから弥那になりきります)
夕那:…ママ…。
ママ:っ!弥那……。
夕那:(弥那)ママ?落ち着いて?
ママ:弥那っ。うぅぅぅー。
ママ:なんでっ…こんなことにっ…。(嗚咽)
夕那:(弥那)ママ…。
ママ:どうしよう…こんなハズじゃなかった…。
ママ:これじゃ…山本さんとも…。
ママ:ダメになっちゃう…!
ママ:なんとかしなきゃ…!!
夕那:(弥那)…ふふっ…。
夕那:ママ?大丈夫だよ。
ママ:えっ?弥那。あんた……。
夕那:(弥那)ママ。大丈夫。
夕那:私がなんとかするから。
ママ:弥那…。そうよね…。
ママ:頭のいいアンタならなんとか出来るわよね!
ママ:ママの将来がかかってるの!
ママ:頼むわねっ!!
夕那:(弥那)ふふ…。
夕那:じゃあ、まずお茶でも飲も?
夕那:…ちょうどケーキもあるし。
ママ:えっ…。どうして?
夕那:(弥那)こんな時こそ…。
夕那:落ち着いて行動しないといけない。
夕那:だから…ね?
夕那:お茶飲みながら今後の事、話そ?
ママ:…そうなの?
ママ:…でも…時間無駄じゃないかしら?
夕那:(弥那)今は興奮状態だから。
夕那:お茶でも飲んで落ち着いて考えないと…。
夕那:冷静に判断できないでしょ?
ママ:…まぁ…そうかも、知れないわね…。
ママ: 冷静にならなきゃね。
夕那:(弥那)なら、お茶入れるね?
夕那:ちょうどお土産にもってきてたのがあるの。
夕那:(キッチンへ移動する)
ママ:……ポットの場所わかるの?
夕那:(弥那)…与那がコーヒー入れるの見てたからわかるわよ。
ママ:………アンタは……弥那…よね?
夕那:(弥那)はぁ…ママ…。考えすぎ。
夕那:私を疑ってどうするの?
夕那:……私も殺すの?
ママ:ちがうのよ!
ママ:なんというかまだ騙されてるんじゃないかって…。
ママ:弥那は…弥那なのにごめんなさいね?
夕那:(弥那)いいの。
夕那:そうなる気持ちもわからなくはないけど。
夕那:でも、そこを疑われるようなら…。
夕那:私は何も出来ないから。
ママ:ごめんなさい!
ママ:そういう意味じゃないのよっ!!
ママ:ただ、確認がしたくて…。
ママ:少し疑い深くなってるの。
ママ:許して?
夕那:(弥那)ま、いいよ。席座って。
夕那:とりあえず、煎れたから。
ママ:…ありがとう。
ママ:…っ……嫌味?
ママ:夕那の席なんて座って。
夕那:(弥那)適当に座っただけだけど?
夕那:私が誰がドコに座ってるかなんて…。
夕那:知るわけないじゃない。
ママ:…はぁー…。神経が過敏になってる。
ママ:ホント、落ち着かなきゃ。
ママ:…お茶頂くわね。
夕那:(弥那)どーぞ。
夕那:リラックス成分入ってるから…。
夕那: ちょっと苦味があると思うけどそれが効くの。
夕那:全部飲んでね?
ママ:(ごくりごくり)
ママ:……っ。ホント…。苦いわね…。
ママ:でも、お陰でなんかスッキリした気分になったわ。
ママ:それで…これか…らぁの…こ……とぉ?
ママ:(倒れるママ)
夕那:(ここから与那の演技をやめて弥那自身に戻ります)
夕那:…おやすみ…。ママ。
:
:
夕那:(M)私はそれからすぐに110をして…。
夕那:自分も睡眠薬を飲んで倒れた。
夕那:次に目を覚ましたのは病院で。
夕那:それからは、怒涛の日々だった。
夕那:医者からの質問。
夕那:警察からの聴取。
夕那:報道機関からの取材。
夕那:目まぐるしい環境の変化の中。
夕那:ママが捕まった。
夕那:弥那と夕那を殺した罪で…。
夕那:…あのまま死ねば楽だったのに。
夕那:神様はママを連れていってくれなかった。
夕那:ついでに、ママの運命の人も殺人教唆の罪で捕まったらしい。
夕那:まさに運命共同体だと思って笑えた。
:
夕那:(M)…私はママの計画を知ってた。
夕那:ママと与那はリビングで計画の話を笑いながら話してたから。
夕那:夢中でどうやったら助かるか一生懸命考えた。
夕那:そして…思い付いたのが【入れ替わり】だった。
夕那:私たちは3つ子だから出来ないことはない。
夕那:でも、ママはきっと…。
夕那:与那じゃない事を見抜いてしまう。
夕那:もし、なれるとするなら…弥那だった。
夕那:計画は弥那が帰ってくる時期っていってたから…。
夕那:弥那が帰ってくる時がピンチでありチャンスだった。
夕那:罪悪感があったから少し話をしようとしたけど…。
夕那:拒否されたんだから仕方ないよね?
夕那:それから、仕掛けた細工が上手くいって。
夕那:与那がママの着物を汚してパニックになった所で一時的な入れ替わりを提案した。
夕那:私に与那の振りが出来ないとわかると仕方なく弥那が与那になる事になった。
夕那:そして…弥那は私が与那になるなら…。
夕那:与那は夕那になれといった。
夕那:きっと…嫌がらせだったんだと思う。
夕那:弥那はバレるとわかってたのに軽くかんがえてた。
夕那:家族の異常さを…。
夕那:計画の事も知らずに…ね。
夕那:それから…与那と弥那は。
夕那:私と間違えられて死んでった。
夕那:そして、私はママの名前でネット購入した薬をお茶に仕込んで今に至る。
:
夕那:(M)誘導もしてたけど…。
夕那:こんなに上手くいくとは思わなかった。
夕那:私は…これから与那として生きていく。
夕那:与那は働きにも出てなかったし。
夕那:今、世間との関わりはお料理教室ぐらい。
夕那:何かあっても、事件のショックで…。
夕那:となんとでも誤魔化せる。
夕那:世間的には、ママによる一家心中事件となっているらしい。
夕那:ちらっと聞いたことによると今のママの状態は狂って意思疎通が出来ないみたい。
夕那:…誰も信じられないんだって。ふふっ。
夕那:あぁ…。
夕那:やっと…あの家から...。
夕那:箱から逃げられた。
夕那:いや、生き残った。
夕那:出涸らしの私は生まれ変わったの。
夕那:…今日、初めて報道機関の取材を直に受ける。
夕那:悲しくてうつむいているばかりだったけど…。
夕那:今は、笑顔を隠すためにうつむいて悲しい振りをしてる。
夕那:あぁ、人生はここからはじまる。
夕那:…私は自由になった。
夕那:(M)私たちはいつも一緒だった。
夕那:生まれる前からずーっと...。
夕那:大人になって別々に住んでいても同じ箱の中。
夕那:抜け出せないそれは呪いのようで...。
:
与那:箱の世界は、与那が中心だった。
:
夕那:頭が良くて冷静沈着の姉の弥那。
夕那:いつも笑顔で愛嬌のある妹の与那。
夕那: …2人の出涸らしの私、夕那。
夕那︰私はいつも比べられた。
夕那:弥那みたいに頭がよければね〜。
夕那:与那みたいにかわいげがあればね〜。
夕那:そう言われる度に悲しくなってうつむいていた。
夕那︰特に与那はみんなから愛されてた。
夕那︰よく喋ってよく笑って…。
夕那:コロコロかわる表情にあざとい仕草。
夕那︰…私にはママしかいなかったのに。
夕那:ママの愛を独占していた。
夕那:可愛い与那…。
夕那:大事な大事なママの与那。
夕那:弥那は、頭がよかったけど…。
夕那:愛想がなくてママの1番にはなれなかった。
夕那:でも、成績が良かったから推薦で大学まで行って。
夕那:親に手間をかけさせないで偉いねっていつも言われてた。
夕那:アンタがいれば将来も安心ねって…。
夕那:私は…なんにもない子だった。
夕那:だから、与那との違いをいつも突きつけられた。
夕那︰与那だったら…与那なら…。
夕那:アンタだから…アンタなんか…。
夕那︰私はずっとこれが続いてくと思っていた。
夕那:あの時までは…。
夕那:そう、気がついたんだ。
夕那:私達は【蠱毒】だった 。
:
:
与那:弥那ぁ〜、久しぶりっ!
弥那:んっ!!
弥那:与那、危ないから飛びつかないで…。
与那:え〜、久しぶりじゃん?
与那:弥那に会うのなんてさ。
与那:一年に…1回?2回だしぃ?
与那:私からの溢れる愛情表現!
弥那:はぁ…与那。
弥那:私に対してそんなことしなくていいから。
与那:え〜?なんでそんなふうにいうの?
与那:私は弥那の事好きなのにっ!
弥那:あー…はいはい。ありがとうね。
弥那:…夕那?久しぶり。元気?
夕那:…うん。元気。
与那:弥菜ぁーー!私には!?
与那:私には聞てくれないの!?
弥那:はいはい…与那は元気でしょ?
弥那:どう見てもさ。
与那:私はっ!!聞いて欲しいのっ!!!
弥那:はぁ…で、与那は?元気?
与那:うん!めっちゃ元気だよ!
与那:これだけ元気な理由は...。
与那:私がいつも完璧なご飯作ってるからなの!
与那: 今、お料理教室行通ってるんだけどね。
与那:ママにご飯作ってあげるとー。
与那:栄養がきちんと考えてあって味も美味しいし、もうプロ並みだねっ!って!めっちゃ褒めてくれるのっ!
弥那:……そう、仕事は?
与那:んーと、家で色々してるよ!
与那:だってママがねー。
与那:私がいないと寂しいっていうからさ…。
与那:ご飯作ってるし!掃除とかもしてる!
弥那:……へぇ。相変わらずなんだね。
与那:相変わらずってなにぃ?
与那:モットーは、私はみんなのために!
与那:みんなは私のために!
与那:One for all, All for one.だよ!!
弥那:はぁ…。夕那は?仕事してるの?
夕那:あっ…えっと、いちおぅネット…。
与那:(被せて)夕那はねー。
与那:なんかよくわらないけどぉ。
与那:仕事はしてるみたい!ママがねー。
与那:家にお金入れなさいっていってたから!
与那:んー、何してるかは知らないけど!!
弥那:そうなの?夕那?
夕那:………ん。して…る。
弥那:…そっ。……あのさ。
弥那:そろそろ家、行こうよ。
与那:そだね!早く家にかえろー!
与那:ママも待ってるよ!
弥那:ちょっと!
弥那:そんなに腕、引っ張らないで!
弥那:1人で歩いてよ…。重いんだから。
弥那:……夕那、帰るよ。
夕那:………ん。
与那:今日の夕飯はね。
与那:私が好きなオムライスなんだぁー!
与那:めっちゃたのしみぃー!!
弥那:はぁ…。そうだね。楽しみだねぇー…。
:
:
夕那:(M)……私は、世界一オムライスが嫌いだ。
:
:
与那:ただいまぁ!ママー!!
与那:…あれぇ?
夕那:…ただいま…。
弥那:…ただいま。
弥那:…お邪魔します。
与那:弥那!お邪魔します。
与那:なんて、他人の家みたいなこと言わないでよ!
弥那:いや、だって…。
弥那:私ほぼココの家の思い出ないし。
与那:あー、まーそうだよねぇー。
与那:ここは高校ん時に引っ越したとこだもん。
与那:弥那は、中高一貫の全寮制の特進学校いってたしぃ。
与那:そんでそのまま今はー。
与那:一流企業に勤めてるんだもんねぇー!!
弥那:…だから…お邪魔しますでいいんだよ。
与那:えー!それでもさ!家族じゃん!
与那:そんな事いわないでよぉー。
与那:私、泣いちゃぅぅ。
弥那:はぁ…泣くとめんどうだからやめてくれる?
弥那:あの人が見たら怒られるのウチらなんだけど。
与那:だってさ!
与那:弥那が他人みたいなこと言うからぁ…。
与那:家族なのにぃ!!
弥那:…はぁ、ゴメンゴメン。
弥那:家族じゃないとかそんな意味じゃないから。
弥那:………泣くのやめて?
与那:グスン…。
与那:なら、そんなこといわないでよぉ。
弥那:…いちいち、そんなことで泣かないでよ…。
与那:弥那のいじわるぅ!ううう…。
弥那:だから!泣かないでよ!
弥那:…ちっ!あーーもう!わかったわよ!ごめん!
与那:うぅ、仕方ないから許してあげる…。
与那:また…そんなこと言ったら…。
与那:もっと泣いちゃうからね?
弥那:ハイハイ。わかりましたよ。
弥那:…んで、あの人は何処なの?
与那:えー、わかんなぁーい。
与那:どっかに出かけたみたい?
与那:…あっ、もしかして…。
与那:駅前のケーキ!
与那:買ってきてくれてるのかも♪
与那:私が朝、食べたいって言ったから!
弥那:…そっ。じゃ、私ここで休ませてもらうから。
与那:えー!
与那:リビングじゃなくて私の部屋行こ?
弥那:与那の部屋さ…。
弥那:絶対散らかってるでしょ。
弥那:下手に部屋入ったらなんか壊しそうだしヤダ。
弥那:…少しは整理したら?
与那:むぅー全部宝物なんだもん...。
与那:大事だから捨てられないの!
与那:弥那と違って物を大切にしてるの!
弥那:ふん。...あっそ。
弥那:ま、私はここでいいから。お構いなく。
与那:もう!テレビ付けるんじゃなくてさ!
与那:お話しようよぉ!
与那:久しぶりなのに!つめたーい!
与那:…そんなんだからー…。
与那:ママに、何考えてるかわからない!
与那:とか言われるんだよー。
弥那:っ……!!(リモコンを置く)
弥那:……んで、何を話したい訳?話題は?
与那:ふふっ最近の弥那の事聞きたいなぁー。
弥那:…別に話すことなんてないけど。
与那:えー!そんなことないでしょ?
与那:仕事の事とかお給料の事とか…。
与那:結婚考えてる彼氏がいるかとか?
弥那:…別に与那に言う必要なくない?
与那:弥那はさぁ…。
与那:昔からしっかりしてるなぁっておもってるよー。
与那:でも、今の時代っ…。
与那:いつ職が無くなるかわかんないじゃん?
与那:それに、結婚とかしちゃってー。
与那:仕送りとか減らされたら困るしー…。
与那:そんな事になったら大変なんだよ!
与那:私たちっ!
弥那:……………。なら、与那…働けば?
与那:えぇ!無理だよぉ!
与那:バイトもしたことないのに!
与那:私はね、お婿さんとってー…。
与那:ママと一緒に住むの!
与那:ママの老後見てあげるんだからー。
与那:私が結婚するまでの間だけでもちゃんと見てよ?
弥那:私はねっ!
弥那:あんたのお金の面倒まで見るつもりないけどっ!!
与那:別に弥那からもらってないよぉ?
与那:私がさー弥那にちょうだいっていったことあるー?
弥那:っ……それで?いつ結婚するわけ?
与那:まだ未定!
与那:だってさ、中々いい感じの人いないんだよねぇー。
与那:ほら!あれだよ!
与那:天は二物を与えずっていうのかな?
与那:なかなか条件にピッタシの人いないの…。
弥那:はぁ…。
弥那:なんか疲れた。
弥那:私、ここでテレビ見てるからほっといて。
与那:えー、暇なんですけどぉー。
与那:…かまってよぉー。
弥那:はいはい。あとでね。テレビ見てからね。
与那:むぅー!もういい!部屋行く!
:
:
弥那:すぅーっ…はぁーー。(深呼吸)
弥那:…これだから…。
弥那:帰ってきたくなかったのにっ…。
弥那:…夕那?聞きたいんだけどさ。
弥那:あの人の次の相手はどんな人なの?
弥那:また、変な人につかまってない?
夕那:あ…えと…あの…。
夕那:ふつうの?人だと思う…。
夕那:見た目は…。
弥那:…若いチャラチャラしたヤツとか。
弥那:勧誘目的のヤツとか詐欺目的のヤツではない。
弥那:ってことでオーケー?
夕那:あっ…うん。
夕那:それはたぶん…だけど…。
弥那:毎度毎度…。
弥那:新しい男作る度に連絡してくるの。
弥那:やめて欲しいんだけど!
弥那:まぁ、変なヤツであろうと…。
弥那:こっちに迷惑かけないヤツならいいけどね。
夕那:……でも、ちょっと……。(小声)
弥那:(聞いてない)てかさ…。
弥那: この歳で父親なんていらないわよ。
夕那:あっ…のね、弥那、話がっ…!
弥那:(被せて)あのさ、そろそろ休みたいし。
弥那:1人にしてくれない?
弥那:誰かいるとおちつかないんだよね…。
夕那:弥那…!えっと…。
弥那:聞こえない?
弥那:わ・た・し、1人になりたいんだけど?
夕那:っ…。わかっ…た。
:
:
夕那:(M)私はリビングを出て納戸へ行く。
夕那:そこが私の部屋。私の居場所。
夕那:荷物に囲まれて私は考える。
夕那:わ・た・し、1人になりたいんだけど?
夕那:むぅー!もういい!部屋行く!
夕那:私はブツブツと2人の会話を思い出して声に出す。
夕那:何度も何度も…。
:
:
:ここから弥那が与那、夕那が与那、与那が夕那になります。与那を演じてる弥那のイメージで与那になりきって下さい。
:
:
ママ:ただいまぁー!今帰ったわよー。
ママ:与那ぁー?
弥那:(ここから与那になりきります)
弥那:おっ…かえりなさい!
弥那:ママ!遅かったね!
ママ:そう?いつも通りじゃない?
ママ:とりあえず朝言ってたケーキ!
ママ:買ってきてあげたわよ!
弥那:(与那)…ありがとうママ!嬉しい!!
弥那:みんなで食べよ?
ママ:??与那の分だから1人で食べたらいいじゃない。
ママ:遠慮なんてしないで!
弥那:(与那)あっ!そうだね!
弥那:でもね、弥那が帰って来てるからー。
弥那:弥那にもあげようかなーって!
ママ:あぁ…そういえばそうだったわね!
ママ:弥那いつ帰ってきてたの?
ママ:ママすっかり忘れちゃってた。
弥那:(与那)…ふふ!えーとねぇー。
弥那:3時?くらいかなぁー?
弥那:うっかりだねママ!
ママ:あらぁ、3時間も前じゃない…。
ママ:ついつい忘れちゃうのよね…。
ママ:与那の事なら忘れないのに!
弥那:(与那)っ…!とりあえずケーキ見ていい?
弥那:すごく気になるぅー!
ママ:あ…ごめんね与那ぁ。
ママ:ちょっとだけ待ってくれる?
ママ:弥那と…夕那いるわよね?
ママ:リビングに連れてきてくれる?
弥那:(与那)はぁーい!
弥那:(リビングのドアを開けて)
弥那:…ゆなぁー!っやなぁー!!
:
:
ママ:…えっと、3人が揃ったところで報告するわね。
ママ:私は、山本さんという方と…。
ママ:今、お付き合いさせて頂いてるの!
夕那:(ここから弥那になりきります)
夕那:…それ何回目?
夕那:また、変なヤツなんじゃないの?
ママ:弥那ったら!ふつーの人よ。
ママ:…私のことを愛してくれてるの!
ママ:いつもかわいいね素敵だね愛してるって…。
ママ:言ってくれるの。
ママ:今までも運命を感じた事はあったけど…。
ママ:今回はね!本物なの!赤い糸が見えるのよ!!
夕那:(弥那)……はぁ…。それで?
夕那:話が終わりなら帰りたいんだけど?
ママ:あら?冷たいじゃない弥那。
ママ:いつもなら相手の事、根掘り葉掘り聞くくせに。
夕那:(弥那)…どうせ、聞いても無駄でしょ?
夕那:……運命?なんでしょ?
ママ:そうね!運命だから!!
ママ:ふふ、弥那もわかってきたじゃない。
ママ:運命には逆らえない…。
ママ:反対なんて許されないわ…。
夕那:(弥那)…そう。なら…。
夕那:それでいいじゃない。
夕那:この話は終わりでいい?
ママ:待って…。大事な事まだ終わってないわ…。
夕那:(弥那)…運命の相手にあった以上に?
夕那:大事な話なんてあるんだ?
ママ:関することよ。…私には人生を左右する事。
ママ:……夕那。こっちに来なさい?
与那:(ここから夕那になりきります)
与那:っ……!?
ママ:早く!!こっちに来なさいといってるの。
与那:(夕那)えっ!……えとぉ……。
ママ:ちょっと、2人で話したいことあるの。
ママ:ほら…こっち。
ママ:(腕を掴んで引っ張る。)
与那:(夕那)っ!!んっ!!イタイっ!!
ママ:静かにしなさい!
ママ:…近所に聞こえちゃうでしょ?
与那:(夕那)…はな…して!イタイ…から…。
与那:ちゃんと歩くからっ…!
ママ:そっ…。ならこっちよ。納屋に来なさい?
与那:(夕那)…うっ。弥那ぁっ……。
与那:たす...。
夕那:(弥那)…。早く行きなよ。
夕那:…あとでバレたらヤバいのは…。
夕那:そっちだよ?
与那:(夕那)っ!あんたっ……。うぅ…。
与那:(小声)......あとで、覚えてときなさいよ...。
:
:
:ママの後を追ってリビングを出る夕那。その後、ガタゴトと何か争っているような音が聞こえる。そして、しばらくすると音が止んでだ。リビングに静寂が流れている。しばらくして母親だけもどってくる
:
:
ママ:待たせてごめんね与那。弥那も。
ママ:最後まで手間をかけさせるんだから…。
ママ:ホント…困った子だわぁ。
弥那:(与那)…えっと。ママ。……夕那は…?
ママ:あら、与那。ママとのお話忘れたの?
ママ:ダメじゃない大切な事なのに。
ママ:…でも、与那には少し難しかったかしら?
ママ:ならもう一度、お話してあげる。
ママ:…弥那にも説明するわね。
ママ:さっきも言ってた山本さんなんだけどね。
ママ:将来は、一緒になれたらなって…。
ママ:お互い真剣に話し合ってるの!
ママ:でもね、問題があって…。
ママ:今、山本さんのビジネスでお金が必要なのよ。
ママ:それが成功したらすぐにでも結婚しようって言ってくれてるのに…。
ママ:協力したいけど私はそんな大金持っていないし…。
ママ:そしたらね……。
ママ:思い出したのよ!!
ママ:ほら!昔、無理やり入らされた保険!
ママ:私は…アイツに騙されたんじゃない。
ママ:今この時のために…。
ママ:全て繋がってたんだってわかったの!
ママ:…ね?凄いでしょ運命なのよ…。
弥那:(与那)えっ……。あの…ママ…?。
弥那:それって…さ…。
弥那:私...、馬鹿だから!!
弥那:変なこと考えちゃうよ…?
弥那:ママっ?…ユナに何をしたの…?
ママ:何って…ヤったのよ?
ママ:…幸せになる為だもの仕方ないわ。
ママ:私が生んだんだから…。
ママ:私の役に立つべきよね?
ママ:私の幸せのために、この時のために…。
ママ:あの子は生まれてきてくれたんだと思うの。
ママ:ねっ…?そうでしょ?
弥那:(与那)…うそ!
弥那:そんなの…おかしいよ!
弥那:私は…私たちは…。
弥那:アンタのために生まれてきたんじゃない!
ママ:…(困惑)どうしたの?与那?
ママ:アナタ今日、ちょっとおかしいわよ?
ママ:ママの言うことが聞けないの?
ママ:今までそんな事なんてなかったじゃない…。
:
ママ:(じっと弥那を見つめる)
ママ:っ………アンタァ…。
ママ:与那じゃないわねっ!!
:
ママ:与那のフリして…!!
ママ:何を企んでるの!!
ママ: …与那はドコ?何処にいるの!!
弥那:(与那)っ!ママっ…!!
弥那:ちょっ…待ってっ!!
弥那:落ち着いてっ!!
ママ:落ち着いて?ですって!
ママ:何を考えてるの!!
ママ:こんな大事な時に……。
ママ:馬鹿なことして楽しいのっ!?
ママ:私を騙して楽しいのっ!!??
ママ:…すーはぁー。(深呼吸)
ママ:早く与那を連れてきなさい…。
ママ:早く…早くっ!はやくはやくはやくっ!!!
弥那:(ここから与那の演技をやめて弥那自身に戻ります)
弥那:与那はっ……ぅうっ…。
弥那:よなっ…は……っ。
弥那:うっうえ…。ぅうううっうぅ…。
弥那:(すすり泣き)
ママ:……っ
ママ:…も…しかして…。
弥那:うぅっ……納屋にぃ……っ!?
弥那:(弥那に掴みかかるママ)
ママ:嘘っ!…うそうそうそっっ!!
ママ:有り得ないわっ!そんなハズないっっ!!
ママ:あの子は夕那よ……。与那のはずがないのっ!
ママ:だって…。おかしいじゃない…。
ママ:与那が…。
ママ:夕那のフリなんてするわけないじゃないっ!
弥那:ママの…大事な着物を汚しちゃって…。
弥那:ママの部屋に入れるのは…っ。
弥那:与那だけ……だから…っ。
弥那:見つかったら怒られるっていったの…うぅ。
弥那:それで、怒られるのイヤだからってっ…!
弥那:私はねっ!
弥那:絶対にバレるからって言った!
弥那:…なのにぃ…与那聞いてくれなくてっ………。うぅ。
ママ:ハッ…!…嘘よ…有り得ないわ…。
ママ:アンタが嘘ついて与那を…っ。
ママ:素直な与那をぉ!!
ママ:騙したんでしょ!!
弥那:ホントなの!信じてっっ!!
弥那:ママっっ!!(号泣)
ママ:五月蝿い…。
ママ:うるさいぃぃぃぃっっ!!(怒号)
ママ:この嘘つきがっ!!
ママ:妬ましかったんでしょ?
ママ:羨ましかったんでしょ??
ママ:…着物だってアンタがっ…。
ママ:仕組んでしたに決まってるわ!
ママ:与那はホントに素直でイイ子だもの…。
ママ:それをぉ……それをっ!!
ママ:純真なあの子の心に漬け込んでっっ!!
弥那:違うの!与那はっ…!!
弥那:ウチらに罪を擦り付けようとしてた!!
弥那:私は、絶対に気付かれるから…。
弥那:無理だから辞めようっていったのにっ!!
弥那:聞かなかったのは与那なのっ!
弥那:ママ…私のことも信じてよっ!
ママ:はぁ?信じられるわけないじゃない…。
ママ:私の期待には、一切答えてくれないアンタと。
ママ:いつも可愛くて私を癒してくれる与那…。
ママ:どっちを信じるか明白よね?
ママ:っ……あぁぁぁっっー!(嘆き)
ママ:可哀想な与那ぁ……!!
ママ:辛かったでしょ……。
ママ:苦しかったでしょ…っっ。
ママ:与那だと分かってたら…!!
ママ:…あんな事しなかったのに……。
ママ:全部…ぜんぶぜんぶ!!
ママ:アンタがぁっ悪いのよぉ……。
弥那:わたし…のせいじゃない!
弥那:だって、あの子がっ!与那が言ってきた!
ママ:アンタ…恨んでたものね…。
ママ:いつも与那を妬んでた…。
弥那:……ママはっ……。
弥那:与那しかっ…見てなかったからっ!
弥那:いつも...いつも!
弥那:私、頑張って来たのに!
弥那:なんで、あの子ばっかり贔屓するのよっ!
弥那:あの子が選んだのっ!
弥那: 反対したのに聞かなかったのはあの子!
弥那: …この結果は自業自得よっ!!
ママ:ほら、やっぱりそうじゃない...。
ママ:…何も出来ないくせにっ!
ママ:家に置いてやったのに!!
ママ:その恩をこんな形で返されるなんて…。
ママ:こんな事になるなら。
ママ:もっと早く…しとけばよかったわね。
弥那:はぁ?…ママ…ねぇ?
弥那:なにを言ってるの?
ママ:アンタなんて…。
ママ:最初っからいらなかったのよ。
ママ:与那と弥那だけでよかったのに…。
弥那:っ!ママまってっ……!!
弥那:くっぅっ!!…かはっ…!!
弥那:(弥那に飛びかかるママ)
ママ:アンタはいつもお荷物!
ママ:そんなアンタがっ!!
ママ:与那にあげたものを…っ。
ママ:つけてんじゃないわよっ!
ママ:そのチョーカーはねっ!
ママ:誕生日に買ってあげた物よっ!
ママ:返しなさいぃぃっ!!
弥那:がっ……!ぐぅっ…!
弥那:まっ!て …かっ……!!まっ…てぇ…。
弥那:あっうっ……!!あ゛っがァっ!!
弥那:うぇっ…ぐぁっ……!たす……ゆっ…なぁ………。
:
:
ママ:…はぁーはぁー…はぁ…。
夕那:(ここから弥那になりきります)
夕那:…ママ…。
ママ:っ!弥那……。
夕那:(弥那)ママ?落ち着いて?
ママ:弥那っ。うぅぅぅー。
ママ:なんでっ…こんなことにっ…。(嗚咽)
夕那:(弥那)ママ…。
ママ:どうしよう…こんなハズじゃなかった…。
ママ:これじゃ…山本さんとも…。
ママ:ダメになっちゃう…!
ママ:なんとかしなきゃ…!!
夕那:(弥那)…ふふっ…。
夕那:ママ?大丈夫だよ。
ママ:えっ?弥那。あんた……。
夕那:(弥那)ママ。大丈夫。
夕那:私がなんとかするから。
ママ:弥那…。そうよね…。
ママ:頭のいいアンタならなんとか出来るわよね!
ママ:ママの将来がかかってるの!
ママ:頼むわねっ!!
夕那:(弥那)ふふ…。
夕那:じゃあ、まずお茶でも飲も?
夕那:…ちょうどケーキもあるし。
ママ:えっ…。どうして?
夕那:(弥那)こんな時こそ…。
夕那:落ち着いて行動しないといけない。
夕那:だから…ね?
夕那:お茶飲みながら今後の事、話そ?
ママ:…そうなの?
ママ:…でも…時間無駄じゃないかしら?
夕那:(弥那)今は興奮状態だから。
夕那:お茶でも飲んで落ち着いて考えないと…。
夕那:冷静に判断できないでしょ?
ママ:…まぁ…そうかも、知れないわね…。
ママ: 冷静にならなきゃね。
夕那:(弥那)なら、お茶入れるね?
夕那:ちょうどお土産にもってきてたのがあるの。
夕那:(キッチンへ移動する)
ママ:……ポットの場所わかるの?
夕那:(弥那)…与那がコーヒー入れるの見てたからわかるわよ。
ママ:………アンタは……弥那…よね?
夕那:(弥那)はぁ…ママ…。考えすぎ。
夕那:私を疑ってどうするの?
夕那:……私も殺すの?
ママ:ちがうのよ!
ママ:なんというかまだ騙されてるんじゃないかって…。
ママ:弥那は…弥那なのにごめんなさいね?
夕那:(弥那)いいの。
夕那:そうなる気持ちもわからなくはないけど。
夕那:でも、そこを疑われるようなら…。
夕那:私は何も出来ないから。
ママ:ごめんなさい!
ママ:そういう意味じゃないのよっ!!
ママ:ただ、確認がしたくて…。
ママ:少し疑い深くなってるの。
ママ:許して?
夕那:(弥那)ま、いいよ。席座って。
夕那:とりあえず、煎れたから。
ママ:…ありがとう。
ママ:…っ……嫌味?
ママ:夕那の席なんて座って。
夕那:(弥那)適当に座っただけだけど?
夕那:私が誰がドコに座ってるかなんて…。
夕那:知るわけないじゃない。
ママ:…はぁー…。神経が過敏になってる。
ママ:ホント、落ち着かなきゃ。
ママ:…お茶頂くわね。
夕那:(弥那)どーぞ。
夕那:リラックス成分入ってるから…。
夕那: ちょっと苦味があると思うけどそれが効くの。
夕那:全部飲んでね?
ママ:(ごくりごくり)
ママ:……っ。ホント…。苦いわね…。
ママ:でも、お陰でなんかスッキリした気分になったわ。
ママ:それで…これか…らぁの…こ……とぉ?
ママ:(倒れるママ)
夕那:(ここから与那の演技をやめて弥那自身に戻ります)
夕那:…おやすみ…。ママ。
:
:
夕那:(M)私はそれからすぐに110をして…。
夕那:自分も睡眠薬を飲んで倒れた。
夕那:次に目を覚ましたのは病院で。
夕那:それからは、怒涛の日々だった。
夕那:医者からの質問。
夕那:警察からの聴取。
夕那:報道機関からの取材。
夕那:目まぐるしい環境の変化の中。
夕那:ママが捕まった。
夕那:弥那と夕那を殺した罪で…。
夕那:…あのまま死ねば楽だったのに。
夕那:神様はママを連れていってくれなかった。
夕那:ついでに、ママの運命の人も殺人教唆の罪で捕まったらしい。
夕那:まさに運命共同体だと思って笑えた。
:
夕那:(M)…私はママの計画を知ってた。
夕那:ママと与那はリビングで計画の話を笑いながら話してたから。
夕那:夢中でどうやったら助かるか一生懸命考えた。
夕那:そして…思い付いたのが【入れ替わり】だった。
夕那:私たちは3つ子だから出来ないことはない。
夕那:でも、ママはきっと…。
夕那:与那じゃない事を見抜いてしまう。
夕那:もし、なれるとするなら…弥那だった。
夕那:計画は弥那が帰ってくる時期っていってたから…。
夕那:弥那が帰ってくる時がピンチでありチャンスだった。
夕那:罪悪感があったから少し話をしようとしたけど…。
夕那:拒否されたんだから仕方ないよね?
夕那:それから、仕掛けた細工が上手くいって。
夕那:与那がママの着物を汚してパニックになった所で一時的な入れ替わりを提案した。
夕那:私に与那の振りが出来ないとわかると仕方なく弥那が与那になる事になった。
夕那:そして…弥那は私が与那になるなら…。
夕那:与那は夕那になれといった。
夕那:きっと…嫌がらせだったんだと思う。
夕那:弥那はバレるとわかってたのに軽くかんがえてた。
夕那:家族の異常さを…。
夕那:計画の事も知らずに…ね。
夕那:それから…与那と弥那は。
夕那:私と間違えられて死んでった。
夕那:そして、私はママの名前でネット購入した薬をお茶に仕込んで今に至る。
:
夕那:(M)誘導もしてたけど…。
夕那:こんなに上手くいくとは思わなかった。
夕那:私は…これから与那として生きていく。
夕那:与那は働きにも出てなかったし。
夕那:今、世間との関わりはお料理教室ぐらい。
夕那:何かあっても、事件のショックで…。
夕那:となんとでも誤魔化せる。
夕那:世間的には、ママによる一家心中事件となっているらしい。
夕那:ちらっと聞いたことによると今のママの状態は狂って意思疎通が出来ないみたい。
夕那:…誰も信じられないんだって。ふふっ。
夕那:あぁ…。
夕那:やっと…あの家から...。
夕那:箱から逃げられた。
夕那:いや、生き残った。
夕那:出涸らしの私は生まれ変わったの。
夕那:…今日、初めて報道機関の取材を直に受ける。
夕那:悲しくてうつむいているばかりだったけど…。
夕那:今は、笑顔を隠すためにうつむいて悲しい振りをしてる。
夕那:あぁ、人生はここからはじまる。
夕那:…私は自由になった。