台本概要

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タイトル 告白
作者名 E縞パンだ  (@eshimapanda33)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男4)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 野郎三人が深夜テンションで書き上げました。

*こちらの台本は
みなみさん(@sun_mixx )、ペル・セイウチさん(@per_seiuchi )、E縞パンだの合作台本となります。
下ネタ、LGBTに関する台詞が含まれます。苦手な方はご注意ください。

もしアーカイブ等が残る形で使って頂ける際は、告知等でメンション等付けて頂けましたら可能な限り拝見に伺わせて頂きます!活力に繋がります故、気が向いたらで結構ですのでどうぞ宜しくお願い致します!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
有野 49 有野(ありの) 結婚した。潜在的ゲイだった。28歳。
吉原 98 吉原(よしわら) 昔は女、今は男。28歳。
森内 84 森内(もりうち) ツッコミ、一途。中性的。27歳。
堀田 59 堀田(ほりた) 物静か、バイ。26歳。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
四人:かんぱーい! 吉原:しかし有野が結婚とはなー、未だに信じられないわ 森内:あの堅物有野がなー 有野:僻(ひが)むな、僻(ひが)むな 吉原:うわ、出た! 結婚した途端これだよ! 好きで独身だからいいんですー 有野:言ってろ 森内:でもほんと有野には勿体無いほどいい奥さんだよなー。美人だし、すげー気効くし。まじ妬(ねた)ましい 吉原:で、で? どうだったの? 式からもう一週間経ったけど、どうなの? 有野:どうって、何が? 吉原:なにって、お前、それはもうお前、ナニだよ 森内:あ、俺も聞きたい聞きたい! 0:堀田静かに手を上げる 有野:なんだよお前ら! 堀田まで! 吉原:いいじゃんいいじゃん、男だけなんだし 有野:いや、男だけとかそういう問題じゃ 森内:恥ずかしがんなよ、もういい年だろ! 堀田:聞きたい 有野:……わかった、わかったよ。実際ちょっと相談したいこともあったし……。でも、他の奴等には言わないでくれよ。お前らだから、言うんだぞ 吉原:おーおーおー、嬉しいねぇ。なんでも、聞いちゃうぜ 森内:なんだそのテンション(笑) 堀田:準備万端 有野:知っての通り、俺達結婚するまではしないって決めてただろ? 森内:おう、未だに信じられないけどな。貞操観念(ていそうかんねん)固すぎだろ 吉原:有野らしいっちゃ有野らしいけどな。お前今までの彼女も一切手出さなかったんだろ? 有野:おう、やっぱり男としてな。婚前交渉は俺は反対だ。で、まぁなんというか結ばれてだな、ようやくってところまで来たんだ。よくいう、結婚初夜だ。うん 吉原:おう、それでそれで? 有野:急かすなって。んで、まぁ、こう、お互い恥ずかしがりながらも裸になったんだ。俺は初めて、生の女性の裸を見たわけだ 森内:生の女性の裸って(笑)初めて聞いたぞそんな言い回し 有野:しょうがないだろ、事実なんだから。で、まぁ、こう、な?致そうと、するだろ? 吉原:致す(笑) 有野:そしたら、な。その……なかったんだ 森内:ん? なんて? よく聞こえなかった 有野:だ、だから……た、勃たなかったんだよ! 三人:あー 有野:な、なんだよその反応! 俺はほんとに 吉原:まぁまぁまぁ、落ち着け落ち着け。よくあることだから 森内:懐かしいなぁー、俺も初めての時は勃たなかったわ 吉原:まじで(笑)俺も俺も 堀田:あるある。気にすることない 有野:え、そ、そうなのか……? 俺がおかしい訳じゃなかったんだな……? 森内:おう、大丈夫。大体のやつが経験してるよ。やっぱ初めてだと緊張もあるしなぁ 有野:よ、良かったー……。慣れれば普通に勃つようになるのか? 吉原:おう、もうバッキバキよ(笑) 森内:お前そんなでかくねぇだろ(笑) 吉原:うるせぇ、男は固さで勝負だ! 有野:良かった、ほんと良かった……。俺てっきり自分がホモなんじゃないかと疑ってたんだけど、そうじゃなかったんだな。良かった 森内:ん? 0:堀田目を輝かせる 堀田:kwsk(くわしく) 有野:え、いや最近流行ってるしEDとかじゃないのかなって心配になって、お気にのAV観たんだ。で、普通に勃ってさ。一先ずEDではないっぽいって安心して、その次の日、またすることにしたんだ。そしたら、やっぱり勃たないんだよ。でもAV観ると勃つんだ。だから原因探そうと思って先ずは勃つ理由を突き止めるためにAVを隈(くま)無く観たんだ 吉原:なんだそれ(笑)AVガン見してる有野とか超見てぇ(笑) 有野:茶化すなよ、真剣だったんだ。しょうがないだろ。でな、あることに気付いたんだ。 森内:お、なになに 有野:男優の尻がアップになった時に一番興奮してた 森内:ん? 堀田:ktkr(きたこれ) 森内:ん? 堀田:続けて、どうぞ 有野:試しに写真で男の尻と女の裸見比べてみたんだ。そしたら、男の方に反応してた 森内:Oh…… 有野:でも安心したよ、これって多分よくあることなんだろ? 女に対して緊張しちゃうからーとかそんな感じの 0:森内黙って首を横に振る 堀田:ようこそ 森内:え? 堀田:気にしないで 有野:え、じゃあ俺やっぱり…… 吉原:まぁまぁまぁ! まだそうと決まった訳じゃないし! 有野の言う通り緊張でちょっとおかしくなってるだけかもしれないし! ね? 有野:でも…… 森内:気にしすぎ気にしすぎ! 大丈夫だって! 奥さんの事好きなんだろ? 有野:それはそうだけど、でもやっぱ子供の事とか 吉原:養子だってなんだってあるじゃん、そんなの後から幾らでも考えられるし、お前が今やるべき事は違うっしょ? 有野:俺がいまやるべき事……? 吉原:うん。お前もお前で大変だろうけど、奥さんはもっと傷付いてると思うよ。自分で勃って貰えないって女として否定された様に感じるんだ。それも自分の全てを捧げようって人にだよ?お前も大変だと思う。でも先ずは奥さんの事労(いたわ)ってやって。お互い好き同士で一緒になったんだ。こんな事でダメになったら勿体ないでしょ。これから幾らでも時間はあるんだから、先ずは目の前の相手を大切にしてあげよう? 有野:吉原……! ありがとう! そうだよな、俺自分の事しか考えてなかった 森内:ま、しょうがねえよ。有野も大変だっただろうしな。それにしても吉原良いこと言うじゃん 堀田:意外な一面 吉原:よ、よせやい 森内:なに、誰かに言われたの? 否定されてるように感じるって下り 吉原:あ、あーうん 森内:まるで自分の事みたいに言ってて、痺(しび)れたぜ 吉原:うん、そうだね 堀田:なんか変? 吉原:な、なーにが!? 何にもおかしい所は御座いません!? 森内:どうしたんだよ(笑)今頃恥ずかしくなったのか? 吉原:そ、そうそれ! いやー我ながらクサい台詞言っちまったなって! 堀田:怪しい 吉原:な、なにが! 怪しい所なんてなんにもないだろ!? 森内:まじでどうしたんだよ(笑)お前おかしいぞ(笑) 吉原:お、おかしい? 俺おかしいかな!? なぁ!? 森内:いや、まじでどうしたんだよ。大丈夫か? 吉原:ちょ、ちょっと飲み過ぎちまったかなwははは! トイレいってくるわ! 森内:おう、気を付けろよー 0:吉原トイレへ 有野:吉原、なんか変だったな……。もしかして俺のせいかな 森内:大丈夫だよwちげーから気にしすぎんなw 有野:お、おう…… 堀田:所で 有野:ん? 堀田:有野はこれからどうするの? 有野:どうするって言われても、俺自身こんがらがっててよくわかんないんだよな…… 森内:時間が解決してくれるって類(たぐ)いでも無さそうだしな。緊張ってだけならいいんだけど 堀田:なら、試してみる? 有野:へ? 堀田:男とやってみて自分の性癖確認してみる? 森内:はぁ!? なに言ってんだ堀田 堀田:言ってなかったけど、俺バイだから 森内:Whats!? 有野:それもありかもしんないな…… 森内:有野!? 落ち着け有野!? 堀田:因みにこれも言ってなかったけど、有野は一番好み 森内:なんのカミングアウトだよ!? 有野:そっか、なんか、そう言われると嬉しいな…… 森内:頬を赤らめるなぁぁ!! お前やっぱ単なるホモだろ! 有野:やっぱそうなのかな…… 森内:いやいやいや! 納得すんな! 自我を持て! 堀田:やっぱり、試してみる? なんなら今からでも…… 森内:お前も何を言ってんだよ!! 今からでもじゃねぇよ馬鹿野郎!! 堀田:うるさいなぁ、当人同士の問題だから別にいいじゃん。どう? 有野? 有野:う~ん、因みに今からやるってのは具体的にどういう 森内:聞くな阿呆! 聞かすな阿呆! 堀田:でも有野はやる気あるみたいだし、ねぇ? 有野:ちょっと興味は、あるかも 森内:なんで好奇心疼(うず)いちゃってんだよ! 今すぐ捨てろそんなもん! 有野:だって、堀田は俺の事好みって言ってくれてるんだぜ? 堀田:うん、有野が一番好み 森内:それはさっき聞いたよ!! 堀田:てか、そんなにこの話嫌なら他の話題提供してよ 森内:は? なんだよ、ほかの話題って 堀田:ん~、例えば、森内の好きな人とか 有野:そういや、森内のそういう話って大学いるときもあんま聞いた事なかったなぁ 堀田:どんな子がタイプなの? 森内:あー……まぁ、いや、この際しょうがないか……。んーと、タイプっていうか、中学の頃好きだった先輩がずっと忘れられなくてさぁ 堀田:意外と一途 有野:その先輩の名前は? 森内:泉(いずみ)。泉先輩だよ。そういえば……吉原ってな~んか…… 0:吉原ピッチャーを手に戻ってくる 吉原:なーになに、なに盛り下がってんの~? テンション低いよ飲め飲め~! 森内:おう、おかえりーって、お前何でピッチャー持ってんだよ!? トイレ行ったんじゃなかったのかよ? 吉原:行ったよー。これ途中でお客さんに貰ったの。で、なんの話? 0:吉原、ピッチャーをテーブルに置く 森内:ピッチャーて……あー、なんか俺の好きなタイプの話 吉原:えーどんな人!? 聞きたい聞きたい 森内:何その食いつきよう……あー、俺中学の時ずっと好きだった先輩がいてさぁ、未だに忘れられないんだよなぁ…… 吉原:おー森内いっちずぅー! 名前は? 名前は? 森内:……泉先輩 吉原:え……泉? ……そのいずみって……どんな字? 森内:温泉の「泉」の、いずみ 吉原:はぁー……ほぉー…… 堀田:そういえば下の名前は? 森内:えーと、確かー……まこと。 あーそうそう。泉真(いずみ まこと)先輩だ 吉原:……ちなみにその「まこと」の字は……? 森内:真実の「真」 吉原:……んー? ちょっと待って……森内って、出身どこだったっけ……? 森内:岡山 吉原:おぉ………… 森内:なんだ変な顔して? え! もしかして知り合いだったりする? 吉原:ま、まあ知り合いって言えば知り合い…… 森内:マジで!? え、もし可能だったらさ、連絡先とか教えてもらえねーかなぁ? あーもちろん先輩がOKて言ってくれたらだけど…… 吉原:んー…………後で、聞いてみる、ね? 堀田:あれ、そういえば吉原も真だよね? 吉原:へ? う、うん、まこと……です…… 有野:面白い偶然もあるもんだなぁ 吉原:ほんと、ね!? 偶然って、怖いね! 堀田:なんでそんな慌ててるの? 吉原:い、いやぁなんか、突然知り合いの話が出たからビックリしちゃって……ね!? 森内:ま、まあ……それもそうか……いやーでもこんな所で先輩の知り合いに会えると思わなかったー。え、てか吉原も岡山だっけ? 吉原:あー、うん……一応…… 森内:あぁ、そういえば大学の頃岡山の話で盛り上がった事あったなぁ! 吉原:う……うん……そうだね……。(小声で)そういえばそうだった……。と、ところでその先輩の事は、どんな所が好きだったの? 森内:いやー先輩さぁ、いわゆるスケバンってやつでさぁ。綺麗な顔してんのに、めっっちゃ喧嘩つえーの。しかも誰彼構わず喧嘩ふっかけるんじゃなくて、弱いやつの味方してんの、いっつも。それがカッコよくてさー、気づいたらいっつも目で追っかけてた。今でも元気にしてんのかなー……あ、近況とか聞いてる? 吉原:(あー……これ完っっ全に私だわ……)んー、なんか最近はそんな連絡取ってないからちょっとわかんないかなー、うーん…… 森内:そっかー、残念……まぁ、今でも多分、人のこと助けてんだろうなー 吉原:うん……まあ、そうじゃないかな。昔よりはちょっと落ち着いたみたいだけど 森内:へぇー……さすが先輩。大人だぁ 吉原:うん………… 堀田:あ、吉原、肩に虫 吉原:えっ!? どっち、どっち!? 堀田:左 吉原:えっやだ!? 森内取って!!(森内に抱きつく) 森内:おおう!? え、別に虫なんかいねぇけど 吉原:えっほんと!?(吉原顔を上げる) 森内:ん? あれ、吉原の顔……なんか見覚えが…… 吉原:(森内から慌てて離れる) えっ!? え、え? 何が!? 森内:なーんかどっっかで見た事ある気がするんだよなー……んー? 吉原:いや、き、気のせいじゃない!? てか、虫は!? 堀田:あーごめん。見間違いだったかも 吉原:もーやめてよほんと! ……びっくりしたぁ…… 有野:そういえば吉原、いつもと口調違くないか? 吉原:えっ……え、あ、そ、そうかなあ? 堀田:なんか変 森内:んー?? んー……えっ、ちょっと吉原。一回顔よく見せてもらっていい? 吉原:えっ……あっ……と……ちょっと、今は……ヤダ…… 森内:えー別にいいだろ減るもんじゃなし 吉原:いや……減る……わたしの……なんか、色々が…… 森内:まぁ、嫌ならいいけどさぁ……んー……ここまで出かかってんだけどなぁ(喉に手を当てながら) 堀田:そういえば吉原ってご両親離婚したって言ってたよね。苗字って変わった? 吉原:んおっ……! ん……うん……ち、ちょっと待ってもらっていい? 堀田、ちょっとこっち来て?(席を立ちながら) 堀田:イェス、マム 0:吉原、堀田。人の居ない通路の隅で 吉原:ねぇ堀田、あんたもしかして……気づいてる? 堀田:え、何が 吉原:いや、だから、その、私が…… 堀田:泉真だってこと? 吉原:やっぱり!! え、私話したっけ? 堀田:いや、なんか明らか挙動おかしいから 吉原:マジか……え、そんな私わかりやすい? 堀田:うん。ていうかさっきからずっと一人称私になってるよ、あと微妙に女言葉出てる 吉原:おおぉ、やっば……あぁ……えー……え、ちなみにいつから気づいてた? 堀田:なんかおかしいなと思ったのは、有野に説教してる辺り。完全におかしくなったのは森内の話聞いてから 吉原:いや……いやだってさぁー? あの、堀田、言わないでくれる? 堀田:内容による 吉原:えー……? じゃあ逆に今私がこれ言わなかったら堀田どうする? 堀田:んー、一番面白そうなのは森内に、吉原が泉先輩だって伝える 吉原:いやそれは待って……? 逆に今秘密もう一個言ったら内緒にしてくれたりしない? 堀田:内容による 吉原:んー……分かった、分かった。堀田を信じて言うよ? 堀田:ドンと来い 吉原:あの、ね、私……大学の頃から森内のこと結構好みなんだよ……ね…… 堀田:ほほう 吉原:性的に、とかそういうのじゃなくて、でもなんかその、好みなんだよねぇ…… 堀田:それでそれで? 吉原:え、だから、両思いな事知れて嬉しいんだけど……森内が好きなのって泉の頃の私だから……しかも一番やんちゃしてた頃だし…… 堀田:じゃあ、どうする? 吉原:いやだから、それを今すごく困って……るのよぉー……えぇ……? 私どうしたらいいと思う? 堀田:吉原は、自分が泉だってバレるのが怖いの? それとも、今まで森内と仲良くしてきた吉原を否定されるのが怖いの? 吉原:んー…………どっちも……? 堀田:じゃあまずは、軽くジャブ入れてみる? 吉原:えっ、ジ、ジャブ? 堀田:ひとまず、自分が昔女だったって、二人に明かしてみる? 吉原:いきなりそこまでいくぅ!? ジャブどころかどストレートじゃない!? 堀田:まぁまぁ、それを二人が受け入れてくれたら、吉原の旧姓が泉だってことを明かしてみるとか。実際、森内さっきからずっと吉原の顔見て引っかかってるから、思い出しかけてるんじゃないかなぁ。あっちに先に言われてドギマギするよりこっちが心決めて先に言っちゃったほうが、吉原も楽なんじゃない? あぁ、まこっちゃんも楽なんじゃない? 吉原:まこっちゃんなんか今まで呼んだことないじゃん! 絶対面白がってんでしょあんた!! 堀田:多少 吉原:もー……でも……どっちにしろあんたにバラされるか、森内にバレる可能性あるなら……自分で言っちゃった方が楽かぁ…… 堀田:GOOD LUCK 吉原:無駄に発音良くすんな!! 0:吉原肩を落としながら、堀田少し上機嫌で帰ってくる 森内:おーどうした? 何かあったの? 吉原さっきからずっと様子おかしいな 吉原:う、うん……あの……ちょっと、聞いてほしいことが……あるんだけど…… 森内:おー何どうした? 有野:なんだなんだ? 吉原:えーとね……うーんとね……その……んー………… 堀田:吉原がね 吉原:待っ……て! 言うから! ちゃんと自分で言うから! 堀田:イェス、マム 吉原:えー……その……本日はお日柄もよく……えー……お足元の悪い中で 堀田:吉原がね 吉原:だから待って!! 自分の言葉にするからちょっと時間をください…………! 堀田:FIGHT 吉原:だから無駄に発音良くすんな! えーっと……その……二人はさぁ……オナベってどう思う? 森内:お鍋? あー、俺はすき焼きが好きかなぁ 有野:俺は水炊きかなぁ   吉原:いやそっちのお鍋じゃなくて! いや分かりづらかったのはごめんだけど……いやほらあるじゃない? オカマの逆でさ、オナベって…… 森内:あーそっちねー。そのオナベが何? 吉原:いや……その……なんかこう……気持ち悪いなぁとか思ったり……しない……? 森内:いや別に? その人の個性みたいなもんだし、いんじゃねーの? なぁ、有野 有野:うん、俺も別に偏見(へんけん)とかはないかなぁ 吉原:あぁ……そっかぁ……じゃあ、もし……仮に……その……その……私がオナベだって言ったら、どう思う? 森内:いや、だから別に、どうとも思わねえって 有野:うん、右に同じ 森内:えっ、てか何? 何が言いたいの? 吉原:えー……その……私!……オナベなんよ…… 森内:ん? あぁ、あーそういうことね。へぇー……そっかぁ 有野:マジか……全然分からなんだ…… 森内:あれ、でもさ、昔なんべんかこの四人で銭湯行ったよな? その時お前生えてたよな? え、アレつけたの!? 吉原:うん……手術で……え、あの……二人はその……なんか嫌だったりしない……の……? 森内:いやだから言ったべ? 別にお前はお前じゃん 有野:うん、俺らが仲良くしてたのは、あくまでお前だから。男とか女とか関係ないから 吉原:そっか……うん……ありがと……よかった、二人に話せて。なんか肩の荷が降りたっていうか、なんだろ……うん……気持ちが楽になった……ありがと 堀田:まだ残ってるよ 吉原:えっ……あぁ……いやーでもこの際……もーいっか!……いっか!……あのね……森内……私……両親離婚したって話、さっき堀田が言ったけど…… 森内:あー……そういえば。それが? 吉原:えーっと、今の吉原って、母親の旧姓で……高校上がる寸前に離婚したんだけど……私、旧姓……泉っていうんだ…… 森内:え……それは、温泉の泉の、いずみ……? 吉原:……うん…… 森内:で、下の名前が……真実の、真の……まこと……? 吉原:……はい…… 森内:いずみ……まこと……さん……? 吉原:……はい…… 森内:出身は……岡山……? 吉原:……ええ…… 森内:んー……昔、スケバンだったことがおありになったり、する? 吉原:……させていただいておりました…… 森内:……そっかぁ……そっかぁ…………いやどーりでなんか見覚えある顔だと思ったんだよ! え、マジ!? あ、マジ泉先輩!? 吉原:……泉先輩だったものです…… 森内:はー……んー……いやー……人生何があるかわかんねーなー……そっかーでも先輩オナベってことは、女の子の方がすきなの? 吉原:んー……まぁ基本はそうなんだけど……実は……森内の事大学の頃からずっと結構好みで…… 森内:え、マジ!? もしかして、ワンチャンあるってこと? 吉原:んー……ワンチャンというか満塁ホームランというか逆転サヨナラホームランというか…… 森内:マジかよ!! え、じゃあさ、いやなんかこんな場で言うのもなんかあれだけど、吉原さえよかったら、……あ! あれ、吉原っていまフリーだっけ!? 吉原:うん、超フリー……1回表、第一打者、第一投目ぐらいフリー…… 森内:そのちょくちょく入る野球みたいな例え何? ……まぁいいや、もし、吉原さえ良かったら、俺と付き合ってくんない? 吉原:えっ……あっ……えぇ……喜んでぃ!! 堀田:めでたしめでたし 有野:おー。なんかよくわからんけど、おめでとー 吉原:(軽く泣きながら) うん……二人とも……ありがとう…… 森内:ありがとう。いやーなんか……言って良かったわ。まさかこんな事になるとは思わなんだ 堀田:じゃあ、俺たちも、確めに行こっか? 有野:そうだな。確かめて見なきゃ、わかんないもんな! 森内:いやそれは別も……! いや……でも、人生何があるか……わかんないもんなぁ……

四人:かんぱーい! 吉原:しかし有野が結婚とはなー、未だに信じられないわ 森内:あの堅物有野がなー 有野:僻(ひが)むな、僻(ひが)むな 吉原:うわ、出た! 結婚した途端これだよ! 好きで独身だからいいんですー 有野:言ってろ 森内:でもほんと有野には勿体無いほどいい奥さんだよなー。美人だし、すげー気効くし。まじ妬(ねた)ましい 吉原:で、で? どうだったの? 式からもう一週間経ったけど、どうなの? 有野:どうって、何が? 吉原:なにって、お前、それはもうお前、ナニだよ 森内:あ、俺も聞きたい聞きたい! 0:堀田静かに手を上げる 有野:なんだよお前ら! 堀田まで! 吉原:いいじゃんいいじゃん、男だけなんだし 有野:いや、男だけとかそういう問題じゃ 森内:恥ずかしがんなよ、もういい年だろ! 堀田:聞きたい 有野:……わかった、わかったよ。実際ちょっと相談したいこともあったし……。でも、他の奴等には言わないでくれよ。お前らだから、言うんだぞ 吉原:おーおーおー、嬉しいねぇ。なんでも、聞いちゃうぜ 森内:なんだそのテンション(笑) 堀田:準備万端 有野:知っての通り、俺達結婚するまではしないって決めてただろ? 森内:おう、未だに信じられないけどな。貞操観念(ていそうかんねん)固すぎだろ 吉原:有野らしいっちゃ有野らしいけどな。お前今までの彼女も一切手出さなかったんだろ? 有野:おう、やっぱり男としてな。婚前交渉は俺は反対だ。で、まぁなんというか結ばれてだな、ようやくってところまで来たんだ。よくいう、結婚初夜だ。うん 吉原:おう、それでそれで? 有野:急かすなって。んで、まぁ、こう、お互い恥ずかしがりながらも裸になったんだ。俺は初めて、生の女性の裸を見たわけだ 森内:生の女性の裸って(笑)初めて聞いたぞそんな言い回し 有野:しょうがないだろ、事実なんだから。で、まぁ、こう、な?致そうと、するだろ? 吉原:致す(笑) 有野:そしたら、な。その……なかったんだ 森内:ん? なんて? よく聞こえなかった 有野:だ、だから……た、勃たなかったんだよ! 三人:あー 有野:な、なんだよその反応! 俺はほんとに 吉原:まぁまぁまぁ、落ち着け落ち着け。よくあることだから 森内:懐かしいなぁー、俺も初めての時は勃たなかったわ 吉原:まじで(笑)俺も俺も 堀田:あるある。気にすることない 有野:え、そ、そうなのか……? 俺がおかしい訳じゃなかったんだな……? 森内:おう、大丈夫。大体のやつが経験してるよ。やっぱ初めてだと緊張もあるしなぁ 有野:よ、良かったー……。慣れれば普通に勃つようになるのか? 吉原:おう、もうバッキバキよ(笑) 森内:お前そんなでかくねぇだろ(笑) 吉原:うるせぇ、男は固さで勝負だ! 有野:良かった、ほんと良かった……。俺てっきり自分がホモなんじゃないかと疑ってたんだけど、そうじゃなかったんだな。良かった 森内:ん? 0:堀田目を輝かせる 堀田:kwsk(くわしく) 有野:え、いや最近流行ってるしEDとかじゃないのかなって心配になって、お気にのAV観たんだ。で、普通に勃ってさ。一先ずEDではないっぽいって安心して、その次の日、またすることにしたんだ。そしたら、やっぱり勃たないんだよ。でもAV観ると勃つんだ。だから原因探そうと思って先ずは勃つ理由を突き止めるためにAVを隈(くま)無く観たんだ 吉原:なんだそれ(笑)AVガン見してる有野とか超見てぇ(笑) 有野:茶化すなよ、真剣だったんだ。しょうがないだろ。でな、あることに気付いたんだ。 森内:お、なになに 有野:男優の尻がアップになった時に一番興奮してた 森内:ん? 堀田:ktkr(きたこれ) 森内:ん? 堀田:続けて、どうぞ 有野:試しに写真で男の尻と女の裸見比べてみたんだ。そしたら、男の方に反応してた 森内:Oh…… 有野:でも安心したよ、これって多分よくあることなんだろ? 女に対して緊張しちゃうからーとかそんな感じの 0:森内黙って首を横に振る 堀田:ようこそ 森内:え? 堀田:気にしないで 有野:え、じゃあ俺やっぱり…… 吉原:まぁまぁまぁ! まだそうと決まった訳じゃないし! 有野の言う通り緊張でちょっとおかしくなってるだけかもしれないし! ね? 有野:でも…… 森内:気にしすぎ気にしすぎ! 大丈夫だって! 奥さんの事好きなんだろ? 有野:それはそうだけど、でもやっぱ子供の事とか 吉原:養子だってなんだってあるじゃん、そんなの後から幾らでも考えられるし、お前が今やるべき事は違うっしょ? 有野:俺がいまやるべき事……? 吉原:うん。お前もお前で大変だろうけど、奥さんはもっと傷付いてると思うよ。自分で勃って貰えないって女として否定された様に感じるんだ。それも自分の全てを捧げようって人にだよ?お前も大変だと思う。でも先ずは奥さんの事労(いたわ)ってやって。お互い好き同士で一緒になったんだ。こんな事でダメになったら勿体ないでしょ。これから幾らでも時間はあるんだから、先ずは目の前の相手を大切にしてあげよう? 有野:吉原……! ありがとう! そうだよな、俺自分の事しか考えてなかった 森内:ま、しょうがねえよ。有野も大変だっただろうしな。それにしても吉原良いこと言うじゃん 堀田:意外な一面 吉原:よ、よせやい 森内:なに、誰かに言われたの? 否定されてるように感じるって下り 吉原:あ、あーうん 森内:まるで自分の事みたいに言ってて、痺(しび)れたぜ 吉原:うん、そうだね 堀田:なんか変? 吉原:な、なーにが!? 何にもおかしい所は御座いません!? 森内:どうしたんだよ(笑)今頃恥ずかしくなったのか? 吉原:そ、そうそれ! いやー我ながらクサい台詞言っちまったなって! 堀田:怪しい 吉原:な、なにが! 怪しい所なんてなんにもないだろ!? 森内:まじでどうしたんだよ(笑)お前おかしいぞ(笑) 吉原:お、おかしい? 俺おかしいかな!? なぁ!? 森内:いや、まじでどうしたんだよ。大丈夫か? 吉原:ちょ、ちょっと飲み過ぎちまったかなwははは! トイレいってくるわ! 森内:おう、気を付けろよー 0:吉原トイレへ 有野:吉原、なんか変だったな……。もしかして俺のせいかな 森内:大丈夫だよwちげーから気にしすぎんなw 有野:お、おう…… 堀田:所で 有野:ん? 堀田:有野はこれからどうするの? 有野:どうするって言われても、俺自身こんがらがっててよくわかんないんだよな…… 森内:時間が解決してくれるって類(たぐ)いでも無さそうだしな。緊張ってだけならいいんだけど 堀田:なら、試してみる? 有野:へ? 堀田:男とやってみて自分の性癖確認してみる? 森内:はぁ!? なに言ってんだ堀田 堀田:言ってなかったけど、俺バイだから 森内:Whats!? 有野:それもありかもしんないな…… 森内:有野!? 落ち着け有野!? 堀田:因みにこれも言ってなかったけど、有野は一番好み 森内:なんのカミングアウトだよ!? 有野:そっか、なんか、そう言われると嬉しいな…… 森内:頬を赤らめるなぁぁ!! お前やっぱ単なるホモだろ! 有野:やっぱそうなのかな…… 森内:いやいやいや! 納得すんな! 自我を持て! 堀田:やっぱり、試してみる? なんなら今からでも…… 森内:お前も何を言ってんだよ!! 今からでもじゃねぇよ馬鹿野郎!! 堀田:うるさいなぁ、当人同士の問題だから別にいいじゃん。どう? 有野? 有野:う~ん、因みに今からやるってのは具体的にどういう 森内:聞くな阿呆! 聞かすな阿呆! 堀田:でも有野はやる気あるみたいだし、ねぇ? 有野:ちょっと興味は、あるかも 森内:なんで好奇心疼(うず)いちゃってんだよ! 今すぐ捨てろそんなもん! 有野:だって、堀田は俺の事好みって言ってくれてるんだぜ? 堀田:うん、有野が一番好み 森内:それはさっき聞いたよ!! 堀田:てか、そんなにこの話嫌なら他の話題提供してよ 森内:は? なんだよ、ほかの話題って 堀田:ん~、例えば、森内の好きな人とか 有野:そういや、森内のそういう話って大学いるときもあんま聞いた事なかったなぁ 堀田:どんな子がタイプなの? 森内:あー……まぁ、いや、この際しょうがないか……。んーと、タイプっていうか、中学の頃好きだった先輩がずっと忘れられなくてさぁ 堀田:意外と一途 有野:その先輩の名前は? 森内:泉(いずみ)。泉先輩だよ。そういえば……吉原ってな~んか…… 0:吉原ピッチャーを手に戻ってくる 吉原:なーになに、なに盛り下がってんの~? テンション低いよ飲め飲め~! 森内:おう、おかえりーって、お前何でピッチャー持ってんだよ!? トイレ行ったんじゃなかったのかよ? 吉原:行ったよー。これ途中でお客さんに貰ったの。で、なんの話? 0:吉原、ピッチャーをテーブルに置く 森内:ピッチャーて……あー、なんか俺の好きなタイプの話 吉原:えーどんな人!? 聞きたい聞きたい 森内:何その食いつきよう……あー、俺中学の時ずっと好きだった先輩がいてさぁ、未だに忘れられないんだよなぁ…… 吉原:おー森内いっちずぅー! 名前は? 名前は? 森内:……泉先輩 吉原:え……泉? ……そのいずみって……どんな字? 森内:温泉の「泉」の、いずみ 吉原:はぁー……ほぉー…… 堀田:そういえば下の名前は? 森内:えーと、確かー……まこと。 あーそうそう。泉真(いずみ まこと)先輩だ 吉原:……ちなみにその「まこと」の字は……? 森内:真実の「真」 吉原:……んー? ちょっと待って……森内って、出身どこだったっけ……? 森内:岡山 吉原:おぉ………… 森内:なんだ変な顔して? え! もしかして知り合いだったりする? 吉原:ま、まあ知り合いって言えば知り合い…… 森内:マジで!? え、もし可能だったらさ、連絡先とか教えてもらえねーかなぁ? あーもちろん先輩がOKて言ってくれたらだけど…… 吉原:んー…………後で、聞いてみる、ね? 堀田:あれ、そういえば吉原も真だよね? 吉原:へ? う、うん、まこと……です…… 有野:面白い偶然もあるもんだなぁ 吉原:ほんと、ね!? 偶然って、怖いね! 堀田:なんでそんな慌ててるの? 吉原:い、いやぁなんか、突然知り合いの話が出たからビックリしちゃって……ね!? 森内:ま、まあ……それもそうか……いやーでもこんな所で先輩の知り合いに会えると思わなかったー。え、てか吉原も岡山だっけ? 吉原:あー、うん……一応…… 森内:あぁ、そういえば大学の頃岡山の話で盛り上がった事あったなぁ! 吉原:う……うん……そうだね……。(小声で)そういえばそうだった……。と、ところでその先輩の事は、どんな所が好きだったの? 森内:いやー先輩さぁ、いわゆるスケバンってやつでさぁ。綺麗な顔してんのに、めっっちゃ喧嘩つえーの。しかも誰彼構わず喧嘩ふっかけるんじゃなくて、弱いやつの味方してんの、いっつも。それがカッコよくてさー、気づいたらいっつも目で追っかけてた。今でも元気にしてんのかなー……あ、近況とか聞いてる? 吉原:(あー……これ完っっ全に私だわ……)んー、なんか最近はそんな連絡取ってないからちょっとわかんないかなー、うーん…… 森内:そっかー、残念……まぁ、今でも多分、人のこと助けてんだろうなー 吉原:うん……まあ、そうじゃないかな。昔よりはちょっと落ち着いたみたいだけど 森内:へぇー……さすが先輩。大人だぁ 吉原:うん………… 堀田:あ、吉原、肩に虫 吉原:えっ!? どっち、どっち!? 堀田:左 吉原:えっやだ!? 森内取って!!(森内に抱きつく) 森内:おおう!? え、別に虫なんかいねぇけど 吉原:えっほんと!?(吉原顔を上げる) 森内:ん? あれ、吉原の顔……なんか見覚えが…… 吉原:(森内から慌てて離れる) えっ!? え、え? 何が!? 森内:なーんかどっっかで見た事ある気がするんだよなー……んー? 吉原:いや、き、気のせいじゃない!? てか、虫は!? 堀田:あーごめん。見間違いだったかも 吉原:もーやめてよほんと! ……びっくりしたぁ…… 有野:そういえば吉原、いつもと口調違くないか? 吉原:えっ……え、あ、そ、そうかなあ? 堀田:なんか変 森内:んー?? んー……えっ、ちょっと吉原。一回顔よく見せてもらっていい? 吉原:えっ……あっ……と……ちょっと、今は……ヤダ…… 森内:えー別にいいだろ減るもんじゃなし 吉原:いや……減る……わたしの……なんか、色々が…… 森内:まぁ、嫌ならいいけどさぁ……んー……ここまで出かかってんだけどなぁ(喉に手を当てながら) 堀田:そういえば吉原ってご両親離婚したって言ってたよね。苗字って変わった? 吉原:んおっ……! ん……うん……ち、ちょっと待ってもらっていい? 堀田、ちょっとこっち来て?(席を立ちながら) 堀田:イェス、マム 0:吉原、堀田。人の居ない通路の隅で 吉原:ねぇ堀田、あんたもしかして……気づいてる? 堀田:え、何が 吉原:いや、だから、その、私が…… 堀田:泉真だってこと? 吉原:やっぱり!! え、私話したっけ? 堀田:いや、なんか明らか挙動おかしいから 吉原:マジか……え、そんな私わかりやすい? 堀田:うん。ていうかさっきからずっと一人称私になってるよ、あと微妙に女言葉出てる 吉原:おおぉ、やっば……あぁ……えー……え、ちなみにいつから気づいてた? 堀田:なんかおかしいなと思ったのは、有野に説教してる辺り。完全におかしくなったのは森内の話聞いてから 吉原:いや……いやだってさぁー? あの、堀田、言わないでくれる? 堀田:内容による 吉原:えー……? じゃあ逆に今私がこれ言わなかったら堀田どうする? 堀田:んー、一番面白そうなのは森内に、吉原が泉先輩だって伝える 吉原:いやそれは待って……? 逆に今秘密もう一個言ったら内緒にしてくれたりしない? 堀田:内容による 吉原:んー……分かった、分かった。堀田を信じて言うよ? 堀田:ドンと来い 吉原:あの、ね、私……大学の頃から森内のこと結構好みなんだよ……ね…… 堀田:ほほう 吉原:性的に、とかそういうのじゃなくて、でもなんかその、好みなんだよねぇ…… 堀田:それでそれで? 吉原:え、だから、両思いな事知れて嬉しいんだけど……森内が好きなのって泉の頃の私だから……しかも一番やんちゃしてた頃だし…… 堀田:じゃあ、どうする? 吉原:いやだから、それを今すごく困って……るのよぉー……えぇ……? 私どうしたらいいと思う? 堀田:吉原は、自分が泉だってバレるのが怖いの? それとも、今まで森内と仲良くしてきた吉原を否定されるのが怖いの? 吉原:んー…………どっちも……? 堀田:じゃあまずは、軽くジャブ入れてみる? 吉原:えっ、ジ、ジャブ? 堀田:ひとまず、自分が昔女だったって、二人に明かしてみる? 吉原:いきなりそこまでいくぅ!? ジャブどころかどストレートじゃない!? 堀田:まぁまぁ、それを二人が受け入れてくれたら、吉原の旧姓が泉だってことを明かしてみるとか。実際、森内さっきからずっと吉原の顔見て引っかかってるから、思い出しかけてるんじゃないかなぁ。あっちに先に言われてドギマギするよりこっちが心決めて先に言っちゃったほうが、吉原も楽なんじゃない? あぁ、まこっちゃんも楽なんじゃない? 吉原:まこっちゃんなんか今まで呼んだことないじゃん! 絶対面白がってんでしょあんた!! 堀田:多少 吉原:もー……でも……どっちにしろあんたにバラされるか、森内にバレる可能性あるなら……自分で言っちゃった方が楽かぁ…… 堀田:GOOD LUCK 吉原:無駄に発音良くすんな!! 0:吉原肩を落としながら、堀田少し上機嫌で帰ってくる 森内:おーどうした? 何かあったの? 吉原さっきからずっと様子おかしいな 吉原:う、うん……あの……ちょっと、聞いてほしいことが……あるんだけど…… 森内:おー何どうした? 有野:なんだなんだ? 吉原:えーとね……うーんとね……その……んー………… 堀田:吉原がね 吉原:待っ……て! 言うから! ちゃんと自分で言うから! 堀田:イェス、マム 吉原:えー……その……本日はお日柄もよく……えー……お足元の悪い中で 堀田:吉原がね 吉原:だから待って!! 自分の言葉にするからちょっと時間をください…………! 堀田:FIGHT 吉原:だから無駄に発音良くすんな! えーっと……その……二人はさぁ……オナベってどう思う? 森内:お鍋? あー、俺はすき焼きが好きかなぁ 有野:俺は水炊きかなぁ   吉原:いやそっちのお鍋じゃなくて! いや分かりづらかったのはごめんだけど……いやほらあるじゃない? オカマの逆でさ、オナベって…… 森内:あーそっちねー。そのオナベが何? 吉原:いや……その……なんかこう……気持ち悪いなぁとか思ったり……しない……? 森内:いや別に? その人の個性みたいなもんだし、いんじゃねーの? なぁ、有野 有野:うん、俺も別に偏見(へんけん)とかはないかなぁ 吉原:あぁ……そっかぁ……じゃあ、もし……仮に……その……その……私がオナベだって言ったら、どう思う? 森内:いや、だから別に、どうとも思わねえって 有野:うん、右に同じ 森内:えっ、てか何? 何が言いたいの? 吉原:えー……その……私!……オナベなんよ…… 森内:ん? あぁ、あーそういうことね。へぇー……そっかぁ 有野:マジか……全然分からなんだ…… 森内:あれ、でもさ、昔なんべんかこの四人で銭湯行ったよな? その時お前生えてたよな? え、アレつけたの!? 吉原:うん……手術で……え、あの……二人はその……なんか嫌だったりしない……の……? 森内:いやだから言ったべ? 別にお前はお前じゃん 有野:うん、俺らが仲良くしてたのは、あくまでお前だから。男とか女とか関係ないから 吉原:そっか……うん……ありがと……よかった、二人に話せて。なんか肩の荷が降りたっていうか、なんだろ……うん……気持ちが楽になった……ありがと 堀田:まだ残ってるよ 吉原:えっ……あぁ……いやーでもこの際……もーいっか!……いっか!……あのね……森内……私……両親離婚したって話、さっき堀田が言ったけど…… 森内:あー……そういえば。それが? 吉原:えーっと、今の吉原って、母親の旧姓で……高校上がる寸前に離婚したんだけど……私、旧姓……泉っていうんだ…… 森内:え……それは、温泉の泉の、いずみ……? 吉原:……うん…… 森内:で、下の名前が……真実の、真の……まこと……? 吉原:……はい…… 森内:いずみ……まこと……さん……? 吉原:……はい…… 森内:出身は……岡山……? 吉原:……ええ…… 森内:んー……昔、スケバンだったことがおありになったり、する? 吉原:……させていただいておりました…… 森内:……そっかぁ……そっかぁ…………いやどーりでなんか見覚えある顔だと思ったんだよ! え、マジ!? あ、マジ泉先輩!? 吉原:……泉先輩だったものです…… 森内:はー……んー……いやー……人生何があるかわかんねーなー……そっかーでも先輩オナベってことは、女の子の方がすきなの? 吉原:んー……まぁ基本はそうなんだけど……実は……森内の事大学の頃からずっと結構好みで…… 森内:え、マジ!? もしかして、ワンチャンあるってこと? 吉原:んー……ワンチャンというか満塁ホームランというか逆転サヨナラホームランというか…… 森内:マジかよ!! え、じゃあさ、いやなんかこんな場で言うのもなんかあれだけど、吉原さえよかったら、……あ! あれ、吉原っていまフリーだっけ!? 吉原:うん、超フリー……1回表、第一打者、第一投目ぐらいフリー…… 森内:そのちょくちょく入る野球みたいな例え何? ……まぁいいや、もし、吉原さえ良かったら、俺と付き合ってくんない? 吉原:えっ……あっ……えぇ……喜んでぃ!! 堀田:めでたしめでたし 有野:おー。なんかよくわからんけど、おめでとー 吉原:(軽く泣きながら) うん……二人とも……ありがとう…… 森内:ありがとう。いやーなんか……言って良かったわ。まさかこんな事になるとは思わなんだ 堀田:じゃあ、俺たちも、確めに行こっか? 有野:そうだな。確かめて見なきゃ、わかんないもんな! 森内:いやそれは別も……! いや……でも、人生何があるか……わかんないもんなぁ……