台本概要

 244 views 

タイトル ぱすたやぱにっく
作者名 遠野太陽  (@10nonbsun)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 とあるパスタ屋さんを舞台に勘違いが連鎖してこんがらがっていくシチュエーションコメディ。
5人全員主役です。
ボイコネ版より少しだけ加筆してます。

 244 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
大宮 211 大宮(おおみや)和也。アルバイト。近江谷と親友でツッコミ担当。
近江谷 173 近江谷(おうみや)淳一。アルバイト。大宮と親友でボケ担当。
さくら 170 川口さくら。アルバイト。笑い方が残念な妹。
あかね 154 川口あかね。会社員。性格が残念な姉。
店長 132 頼りになるパスタ屋の店長。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:バックヤード。 近江谷:おっつかっれさ〜ん。 さくら:お疲れ様。近江谷くんも5時上がり? 近江谷:そうなのよ。今日は川口さんがバイト5時上がりだって知ってたから、それに合わせたんだ。一緒に帰ろうと思って。 さくら:同じ時間だったのはたまたまでしょ。 近江谷:あ、バレた? さくら:ホント、近江谷くんは冗談ばっかり。 近江谷:一緒に帰りたかったのは本当だよ。 大宮:お疲れさん。おまたせ。 近江谷:ほーい、お疲れぃ。 さくら:大宮くん、お疲れ様。 大宮:何話してたの? 近江谷:いや、たいしたことじゃないんだけど。ごめんね、川口さんが俺と一緒に帰りたいって言ってくれたのは嬉しいんだけど、俺、これから和也とデートだから。 さくら:え、私、一緒に帰りたいなんて一言も言ってないよ。 大宮:デートじゃないだろ。俺の部屋で一緒にゲームするだけ。 さくら:大宮くん、私、そんなこと言ってないからね。 大宮:あ、うん。 近江谷:あのさ、なんで川口さんは和也に弁解してるの? 大宮:お前がややこしいこと言うからだろ。 近江谷:ああ、なるほどね。そうゆうことか。 さくら:そ、そういうことって? 近江谷:和也が嫉妬すると思ったんだろ? 大宮:俺が? 近江谷:大丈夫だよ。俺は和也一筋だから。(大宮の肩を組む) 大宮:(近江谷の手を外して)やめろって。なんで俺が川口さんに嫉妬するんだよ。 近江谷:えええぇ。嫉妬してくれないの? 俺たち、近江谷・大宮コンビじゃん。あの日、二人でエムワン優勝しようぜって約束したの忘れたのかよ。 大宮:コンビを組んだ覚えもそんな約束した覚えねぇよ。 さくら:(笑)大宮くんと近江谷くん、ホントに仲いいね。 近江谷:いやぁん、それほどでもぉ。 大宮:気持ち悪いよ。 近江谷:川口さん、あのさ。 さくら:何? 近江谷:大宮くん、近江谷くんじゃややこしいだろ。同じバイト仲間なんだから、そろそろ俺たちのこと名前で呼んでくれてもいいんだよ。って言うか、名前で呼んでほしいんだけど。俺のことは淳一で、和也は和也で。 さくら:淳一と・・・和也? 近江谷:うん。 さくら:大宮くんはいいの? 大宮:うん。別にいいよ。 さくら:和也。 大宮:なに? さくら:ええぇぇ、なんか恥ずかしいから、そのままでいい! 今までどおり近江谷くんと大宮くんで。 近江谷:じゃ、俺だけでも淳一って呼んでよ。 大宮:やめろって。川口さんが困ってるだろ。 0:店長が来る。 店長:お疲れさん。 さくら:店長、お疲れ様です。 大宮:お疲れ様です。 近江谷:お疲れ様でーす。 店長:なになに、なんの話? 近江谷:店長には1ミリも関係ない話です。 店長:うわ、そっけねぇ。おじさんは若い子との世間話に飢えてんだよ。少しくらい仲間に入れてくれよ。 大宮:店に戻らなくて大丈夫なんですか? 店長:ちょっと休憩。それよりオオミヤ。 大宮:はい。 店長:お前じゃなくて、こっちのオオミヤ。 近江谷:俺は大宮じゃなくて近江谷です。 店長:一緒だろ、どっちもオオミヤだろうが。 大宮:全然違いますよ。 さくら:そうですよ。こっちが大宮くんで、こっちが近江谷くん。 店長:おんなじだよ、ややこしいんだよ、お前ら。どっちかクビにするぞ。 大宮:そんな横暴な。 近江谷:で、なんですか? 店長:お前、頼んでた掃除やってないだろ。 近江谷:あ、すいません。忘れてました。 店長:今度忘れたらクビにするからな。 近江谷:マジっすか。 店長:冗談だよ。 0:チャイムの音。 店長:あ、呼び出しチャイム鳴ってる。なんだよ。一服させてくれよ。んじゃ、フロア戻るわ。お疲れさん。 大宮:お疲れ様でーす。 さくら:店長、お仕事頑張ってくださいね。 店長:川口さん、ありがと。元気出たわ。 近江谷:店長、頑張ってくださいね♪ 店長:うるせぇ。気持ち悪いわ。 0:店長が去る。 大宮:んじゃ、俺たちも行くか。 近江谷:おっけぃ。じゃあね、川口さん。 さくら:うん。バイバイ。 大宮:明日もシフト? さくら:うん。 大宮:じゃあ、また明日。 さくら:また明日。 0:大宮と近江谷が去る。 さくら:(ため息)今日も大宮くんかっこよかったなぁ。 さくら:(気持ち悪い笑い)えへへへぇ。 さくら:「和也」「なに?」 さくら:えへへへぇ。 0:大宮が戻ってくる。 大宮:あの、川口さん。 さくら:ぅえっ! おおおお、大宮くん!? 大宮:あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど。 さくら:なに? どしたの? 大宮:あのさ、お願いがあるんだけど。 さくら:うん。 大宮:来週の日曜のシフト代わってくれないかな。急に予定出来ちゃって。12時から17時なんだけど。 さくら:うん。あ、ごめん。明日返事してもいいかな? お姉ちゃんとお寿司食べに行く約束してたから、お姉ちゃんに聞いてみる。 大宮:大丈夫? さくら:うん。約束って言っても、ぼんやりと約束しただけだから。明日、返事するね。 大宮:オッケー。じゃあ、また明日。 さくら:うん。バイバイ。  :  0:川口家 さくら:ただいまー。 あかね:さくら、おかえり。 さくら:あれ? お母さんは? あかね:買い物行ってる。 さくら:お姉ちゃん、来週の日曜なんだけど、一緒にお寿司食べに行こうって言ってたの、キャンセルしていい? バイトのシフト代わって欲しいって頼まれちゃって。 あかね:いいよ。お寿司はまた今度ってことで。 さくら:ありがと。 あかね:パスタ屋さんのバイト、楽しい? さくら:うん。まあね。 あかね:友達は出来た? さくら:うん。まぁね。 あかね:彼氏は出来た? さくら:出来ないよ。何言ってんの。 あかね:ええぇ、イケメンの男子はいないの? 気になる男子はいないの? さくら:さっきからなんなの? あかね:こっちは恋バナに飢えて、恋に飢えてんのよ。妹の恋バナを聞いてトキメキたいのよ。わかるでしょ。 さくら:わかんない。 あかね:それでどうなの? さくら:まあ、いいなぁって思う人はいるけど。 あかね:ウェ~イ。名前は? さくら:そんなの教えないよ。 あかね:イニシャルだけ。イニシャルだけでいいから。 さくら:・・・オー。 あかね:オー! 大谷?太田?大島?大原?なになに? さくら:全部違う。 あかね:そっか。明日、お店に行って確かめるしかないか。 さくら:来ないでよ。恥ずかしいから。絶対来ちゃダメだからね。 あかね:はーい。わかりましたー。 さくら:じゃ、私、お母さん帰って来る前にお風呂入っちゃうから。 あかね:うん、わかった。 さくら:ホントにお店に来ちゃダメだからね。 あかね:はいはーい。 0:さくらが去る。 あかね:これはアレよね。押すな押すなって言いつつ、ホントは押してほしいっていうアレだよねぇ。 0:着信メロディ。 あかね:あ、さくらのスマホ鳴ってる。 あかね:えっと・・・オオミヤ? オー! オー! オ・オ・ミ・ヤ! キタコレー! あかね:(咳払い) あかね:(さくらの声を真似て)はい、もしもし・・・。 0:大宮の部屋。 近江谷:イェーイ。これで俺の3連勝。 大宮:くっそぉ。また負けた。 近江谷:和也は修行が足りねぇんだよ。 大宮:いや、今のは惜しかっただろ。次は絶対勝つ。 近江谷:ちょっと休憩しようぜ。 大宮:おう。いいけど。最近なんか面白い話ないの? 近江谷:ええ、いきなり? そうだなぁ。あ、思い出した。昨日、俺の姉ちゃんから衝撃の昔話を聞いた。 大宮:なになに? 近江谷:俺の姉ちゃん、店長と昔つきあってたんだって。 大宮:店長って、あの店長? 近江谷:うん。姉ちゃん、この前、初めて店に来たんだけどさ。その時に店長の顔見て思い出したんだって。 大宮:凄い偶然だな。 近江谷:別れて5年くらい経つらしいから。店長は忙しくて全然気づかなかったらしいよ。 大宮:へぇぇ。淳一の姉ちゃん、今、彼氏いるの? 近江谷:たぶんいないけど。 大宮:おおお。だったら会わせちゃえば。店長も彼女いないって言ってたし。 近江谷:余計なことしなくていいよ。 大宮:面白そうじゃん。 近江谷:それはそうと。3連勝したらコンビニスイーツおごってくれるんだろ。 大宮:ちっ、覚えてたか。 近江谷:え、和也、ごまかそうとしてたの? 大宮:買ってくりゃいいんだろ。プリンでいいか。 近江谷:おう。よろしく〜。 大宮:ちょっと待ってろ。 0:大宮が去る。 近江谷:あれ? アイツ、スマホ忘れてるよ。あ、ロック掛かってない。なんだよ。このホーム画面、和也と俺と川口さんの3人でカラオケ行った時に一緒に撮ったやつじゃん。この川口さん可愛いなぁ。・・・やっぱり和也も川口さん狙ってんのか・・・。 近江谷:(笑)先手必勝だよな。それと、サプライズも込みで。えっと、川口さんは・・・あった。 0:近江谷が電話をかける。 あかね:(さくらの声を真似て)はい、もしもし。 近江谷:もしもし、大宮だけど。 あかね:うん。 近江谷:俺、大宮和也。いま大丈夫かな? あかね:うん。 近江谷:うっそーん! 大宮じゃなくて近江谷でしたー。ビックリした? あかね:うん・・・ん? 近江谷:あれ? 気づかなかった? あかね:・・・うん。 近江谷:そっかー。電話だとわかんないかもね。 あかね:・・・うん。 近江谷:実はさ、川口さん。 あかね:うん。 近江谷:俺、川口さんのこと好きなんだ。 あかね:え? 近江谷:いつもは冗談ばっかり言ってるけど、これは本気だから。 あかね:う、うん。 近江谷:俺とつきあってください。 あかね:えっとぉ・・・。 近江谷:あ、いきなりこんなこと言われても困るよな。ごめん。返事は今すぐじゃなくていいから。 あかね:オオミヤくん。 近江谷:なに? あかね:(早口で)返事はちょっと待ってくれるかなぁ。間違いないとは思うんだけど大事な話だから一応本人に確認しないとと言うか、考える時間がほしいというか。じゃあ、また。おやすみなさい。 近江谷:え、あ、ちょ・・・あ、切れた。 近江谷:(笑)川口さん、すげぇ焦ってたな。可愛い。でもなんかいつもと声違って聴こえたけど。まあ、無料アプリの通話品質だとこんなもんか。  :  あかね:焦ったー! いきなり告白されるとは思わなかった。私がドキドキしちゃった。いやぁん。両想いじゃん、さくら。羨ましいなぁ。  :  近江谷:あのリアクションは脈ありだよな? すぐには返事貰えなかったけど、感触は悪くなかったし。あ、和也が戻って来る前に発信履歴削除しとかなきゃ。  :  さくら:お姉ちゃん、私のスマホ抱きしめて何やってんの? あかね:え? さくら:変な顔して腰クネクネして、キモいよ。 あかね:さっき、オオミヤくんから電話があってね。 さくら:えええっ! 大宮くん!? あかね:で、私が代わりに出たんだけど。 さくら:は!? なんで出たの!? 意味わかんない! あかね:そんなことはどうでもいいのよ。 さくら:よくないよくない。 あかね:大宮くんね、さくらのこと好きなんだって。 さくら:え? あかね:なんか、私のことをさくらだと勘違いしたみたいで、さっき熱烈に告白されちゃった。 さくら:はああああ!? あかね:ごめんね。返事は待って貰ったから。明日にでも伝えてあげて。 さくら:ええええ、ホントに? 大宮くんが私のこと好きだって言ったの? あかね:お姉ちゃんがさくらに嘘ついたことある? 「俺とつきあってください」って、とっても真剣に告白されちゃったんだから。お姉ちゃんドキドキしちゃった。 さくら:ホントに? ホントに大宮くん? あかね:何度も言わせないでよ。 さくら:あ、着信履歴・・・。あ、ホントだ。大宮くんから電話が掛かってきてる。 あかね:だから言ったでしょ。 さくら:ええええええ! マジで!? 大宮くんが私のことを!? ぎやあああああ! あかね:おめでとー! さくら:ヤバい。ニヤけた顔が元に戻らない。明日、どんな顔してバイト行ったらいいかわかんない。 あかね:とりあえず告白されたんだから、自分の気持ちをちゃんと伝えなさいよ。 さくら:うん。わかった。あああああああ・・・どうしよう・・・うひょひょひょひょ〜。  :  大宮:おーい、買ってきたぞ。 近江谷:あ、悪い。俺、そろそろ帰るわ。 大宮:ええ、プリンは? せっかく買ってきたのに。 近江谷:食べていいよ。 大宮:あ、そう。 近江谷:和也、俺、絶対お前に負けないから。 大宮:(笑)次は俺が勝つって言っただろ。修行しとくからまた遊ぼうぜ。 近江谷:おう。またな。 大宮:おう。  :  0:翌日 大宮:あ、店長おはようございます。 店長:お疲れさん。大宮、早いな。 大宮:ちょっと早く着いちゃいました。 店長:時間までのんびりしてろよ。 大宮:はい。それはそうと店長。 店長:どした? 大宮:淳一の姉ちゃんとつきあってたって本当ですか? 店長:ぶほっ! お前、それ誰に聞いた? って、アイツに決まってるよな。なんだよ、知ってたのかよ。 大宮:昨日淳一から聞いたんですよ。淳一も最近姉ちゃんから聞いたらしいですよ。 店長:なんでわかったんだ? 大宮:淳一の姉ちゃん、少し前に店に来たらしくて。 店長:マジで!? 来てたの? 大宮:店長、忙しくて気づかなかったって言ってました。 店長:うわぁぁ。なにやってんの、俺。せっかく美咲(みさき)が来てくれたのに。 大宮:そのリアクション。まさか、まだ好きなんですか? 店長:俺は結婚するなら美咲しかいないって思ってる。色々あって別れちゃったけど、再会した時はプロポーズしようって思ってた。 大宮:美咲さん、また来てくれるといいですね。 店長:でもさ。あっちは俺に気づいたのに俺に声をかけなかったってことだろ。その時点で脈はなさそうだよな。 大宮:店長が気づいてくれるのを待ってたのかもしれませんよ。 店長:そうかなぁ。また来てくれるといいなぁ。 大宮:今度来た時に、美咲さんから「大切な話がある」って言われたらどうします? 店長:「俺もあるんだ」って言うに決まってんだろ。あー、また来てくれないかなぁ。 大宮:淳一をバイトに採用したのは、アイツが弟だって知ってたからですか? 店長:まあな。近江(おうみ)に谷(たに)で近江谷。そんな変わった名字の奴、そういないだろ。目元が似てたからすぐにわかったよ。面接で姉がいるって言ってたし。まあ、でも、アイツには秘密な。そんな理由で採用はしたけど、アイツはよく働くし、頼りにしてるから。 大宮:わかりました。 店長:でもそのうちアイツにも同じこと聞かれるんだろうな。面倒くせぇ。やっぱりクビにするか。 大宮:(笑) 0:さくらが来る。 さくら:おはようございます。 店長:おう、川口さんお疲れ。んじゃ、後でな。 大宮:はい。 0:店長が去る。 さくら:あ、大宮くん、おはよ。 大宮:おう。おはよ。 さくら:・・・あー・・・。 大宮:なに? さくら:えっと・・・。 大宮:どうしたの? さくら:二人っきりだね。 大宮:そうだね。 さくら:・・・。 大宮:え、なに? さくら:大宮くん、昨日の話なんだけど・・・。 大宮:昨日の? ああ、うん。昨日の。(シフトのことね) さくら:オッケーです。(告白のこと) 大宮:え、ホントに? ありがとう。じゃあ、よろしくね。 さくら:あ、はい。こちらこしょ。よろしゅくお願いしゅます。 大宮:なんでそんなカミカミなの? さくら:だって・・・。 大宮:じゃあ、店長には俺から伝えておくから。 さくら:ええ!? なんで店長に報告するの? 大宮:いや、こういうのはちゃんと言わなきゃダメでしょ。 さくら:そうなの? そういうもん? 大宮:当たり前だよ。 さくら:当たり前なんだ・・・。でもなんか恥ずかしい。 大宮:恥ずかしがることは何もないよ。 さくら:そっか。 0:近江谷が来る。 近江谷:おいざーす。(おはようございます) 大宮:おーす。 さくら:近江谷くん、おはよ。 近江谷:うわっと。川口さん、おはよぉぉぉ。 さくら:ん、どしたの? 近江谷:いや、別に。普通だけど。 大宮:なんでそんな挙動不審なんだよ。 近江谷:なんでもないって。ほら、早く着替えないと。行くぞ。 大宮:まだ大丈夫だろ。 近江谷:いいからいいから。ほら。 大宮:わかったよ。 近江谷:川口さん、また後でね。 さくら:うん。 近江谷:(念を押す)川口さん、また、後でね。 さくら:うん。 0:大宮と近江谷が去る。 さくら:なんで2回言ったの? まいっか。じゃ、私も着替えよっかな。  :  大宮:なぁ淳一。 近江谷:ん? 大宮:来週の日曜、サバゲー行くって言ってたの、俺も一緒に行っていいか? 近江谷:マジで? バイトじゃなかったの? 大宮:川口さんが代わってくれた。「オッケーです」って。 近江谷:あ、そうなんだ。全然オッケーよ。一人増えるって伝えとくわ。 大宮:俺、サバゲー初めてだからよくわかんないけど、大丈夫かな? 近江谷:俺が手取り足取りくんずほぐれつ教えてやるから心配すんな。 大宮:気持ち悪いよ。普通に教えてくれ。 近江谷:任せとけ。 大宮:そう言えばさ。さっきの川口さん、なんか変だったんだよな。こちらこそよろしくって、どういう意味だったんだろ。 近江谷:バイト代わってあげたんだから、ちゃんとお礼を用意しとけって意味なんじゃねぇの? 大宮:あ、そういうことか。なるほどな。  :  店長:いらっしゃいませ。お客様は2名様でよろしいですか? こちらのお席へどうぞ。  :  さくら:おはようございます。よろしくお願いしまーす。 大宮:おはようございます。よろしくお願いしまーす。 近江谷:おいざーす。よろっしゃーす。 店長:はーい。今日もよろしく。 大宮:あ、店長。 店長:なに? 大宮:すいません。俺の名札が見当たらなくて。今日、名札なしでもいいですか? 店長:ダメだよ。じゃ、今日はこれつけろ。 大宮:え、田中さんの名札? 店長:そう。お前、今日は田中だから。 大宮:わかりました。俺、田中です。 近江谷:田中! 大宮:なんだよ。気安く呼ぶな。 さくら:田中くん! 大宮:別に大宮って呼んでくれてもいいんだからね。 店長:田中! 大宮:はい、田中です! 店長:いつもオオミヤが二人いるから田中になってくれてよかったよ。呼びやすい。 大宮:あーそうですか。好きにしてください。 店長:(客に呼ばれて)はい、お伺いします。 店長:田中、32番テーブル。 大宮:はい。  :  さくら:いらっしゃいま・・・ちょ、何しに来たの!? あかね:やっほ〜。パスタ食べに来た〜。 店長:いらっしゃいませ。お客様は1名様でよろしいですか? あかね:はい。一人です。 店長:ではご案内します。こちらへどうぞ。 さくら:ああ、ちょっと! 店長:え、なに? 川口さんのお知り合い? さくら:・・・姉です。 あかね:いつもウチの子がお世話になってます。 店長:あ、そうなんですね。いらっしゃいませ。ごゆっくりしていってください。 あかね:はい。ありがとうございます。 さくら:もぉぉぉ。  :  近江谷:お待たせしました。こちらカルボナーラ大盛りでございます。こちらがペペロンチーノでございます。ごゆっくりお召し上がりください。  :  あかね:さくら、さくら。 さくら:なに? あかね:店長さん、カッコいいね。 さくら:そうかな? あかね:私の好きな顔。 さくら:へー、そーなんだ。 あかね:で、オオミヤくんってどれ? さくら:もぉぉ、大人しくしててよ。 あかね:教えなさいよ。せっかく来たのに。 さくら:もう帰って。お願い。 あかね:やだ。 さくら:お姉ちゃん。 あかね:昨日の告白の返事はもうしたの? さくら:教えない。 あかね:教えてよ。そしたら大人しくしてるから。 さくら:ホントに? 約束する? あかね:もちろん。それで、返事はしたの? さくら:うん。さっきオッケーした。 あかね:で、相手はなんて言ったの? さくら:「じゃあよろしくね」って。 あかね:そっかぁ。やったね。おめでとう。 さくら:うん。ありがとう。注文はどうする? あかね:じゃあ、明太子クリームで。 さくら:明太子クリームおひとつですね。かしこまりました。  :  店長:はい、お会計ですね。伝票お預かりいたします。  :  あかね:お兄さん、お兄さん。 近江谷:はい。ご注文、お決まりですか? あかね:オオミヤくんってどこにいるの? 近江谷:え、俺ですか? あかね:あなたがオオミヤくん? あかね:あ、近江に谷でオオミヤくんだったんだ。 近江谷:はい。そうです。 あかね:私、川口さくらの姉。 近江谷:ええ!? そうなんですか。うわ、美人姉妹。 あかね:やだな、なに言ってるの。昨日、電話くれた人だよね? 近江谷:ああ、はい。妹さんから聞きました? あかね:え? あー、そうそう。さくらから聞いた。オオミヤくんは、さくらが好きなんだよね? 近江谷:はい。 あかね:両想いだね。おめでとう。 近江谷:え!? 川口さんがそう言ってたんですか? あかね:そうよ。昨日、あの電話の後、さくら嬉しくて踊ってたんだから。 近江谷:そっかぁ。そうだったんですか! あかね:妹のこと、よろしくね。 近江谷:はい! 任せてください!  :  大宮:ああ、店長。ちょっといいですか。 店長:なに? 大宮:忘れないうちに言っとこうと思って。来週の日曜の俺のシフト、川口さんに代わってもらいました。 店長:今言われてもなぁ。なんかあるの? 大宮:いや、淳一と遊びに行くだけなんですけど。 店長:おう、そうか。わかったよ。 大宮:すいません。  :  近江谷:そっかぁ。そうなのかぁ。川口さんも俺のこと・・・。 さくら:近江谷くん、近江谷くん。 近江谷:か、川口さん! どしたの? さくら:さっき、お姉ちゃんと何話してたの? 近江谷:見てたの? さくら:見えた。余計なことするなって言ったのに。 近江谷:いや、まあ、なんて言うか・・・。 さくら:なに? 近江谷:妹のことよろしくって。 さくら:あ、そう。 近江谷:任せてくださいって答えといた。 さくら:私ってそんなに頼りないかな。それだけ? 近江谷:うん。まあね。うへへへへ。 さくら:近江谷くん、気持ち悪いよ。 近江谷:川口さんは恥ずかしがり屋さんだね。 さくら:なに言ってんの?  :  大宮:お冷(ひや)失礼いたします。 あかね:お兄さん、お兄さん。 大宮:はい、お伺いします。 あかね:えっと、田中くん? 大宮:はい、田中です。 あかね:田中くんはあの二人と仲いいの? 大宮:え? あ、そうですね。川口さんとも近江谷ともけっこう仲はいいですけど。 あかね:そうなんだ。私、あの子の姉なの。 大宮:あっ、(近江谷の)お姉さん! お噂はかねがね。 あかね:どんな話を聞いてるのよ? 大宮:いや、昨日もアイツ、俺の部屋に遊びに来てたんですよ。その時にも色々。 あかね:え? 昨日、あの子、あなたの家に行ってたの? 大宮:はい。ゲームしてました。 あかね:そうなんだ。そんなに仲良かったんだ。 大宮:今度一緒にサバゲー行くんです。 あかね:そんな約束もしてるんだ? でも、これからは出来るだけあの二人の邪魔しないであげてね。 大宮:どういう意味ですか? あかね:あの二人つきあってるから。 大宮:えっ! それホントですか? あかね:うん。昨日告白されて、今日オーケーしたんだって。さっき言ってた。 大宮:(ショック)知らなかった。そうだったんですね。あの二人が・・・。 あかね:あれ? ひょっとして田中くんも、ウチの子が好きだったの? 大宮:違いますよ。もう一人のほう(さくら)です。 あかね:えええ、もう一人のほう(近江谷)? 田中くんって、そっちの人だったの!? 大宮:はい。好きでした。でも確かにあの二人はお似合いですよね。ははは・・・。 あかね:いや、私はそういうのはアリって言うか、大好物なんだけど。でもごめんね。 大宮:いいんです。気にしないでください。俺の気持ちは封印します。二人には内緒にしておいてくださいね。 あかね:わかった。そうするね。  :  近江谷:(絶好調)ありがとうございました! またお越しくださいませ!  :  店長:どうした大宮、じゃなかった。田中、元気ないな? 大宮:そんなことないです。 店長:顔色も悪いぞ。 大宮:大丈夫です。あっ、そう言えば! 店長:どうした? 大宮:来てます。近江谷の姉ちゃん。 店長:え、嘘? 美咲が? どこに? 大宮:奥のテーブルです。そうか。弟の様子を見に来たのかと思ったら、店長に会いに来てたのか。 店長:マジで? ちょっと行ってくる。 さくら:店長、エリアマネージャーからお電話です。 店長:はーい。今行く。くっそ。美咲に帰らないでって伝えといて。 大宮:わかりました。 店長:はい、お電話代わりました!  :  近江谷:(ハイテンション)お待たせしました、シーザーサラダでございます! あ、はい。今お持ちいたします! 少々お待ちください!  :  大宮:お待たせしました。明太子クリームでございます。 あかね:ああ、ありがと。 大宮:えっと、あの、すいません。 あかね:なに? 大宮:いえ、あの、店長から伝言を預かってます。 あかね:伝言? 大宮:伝えたいことがあるから、帰らないで待っててくれって。 あかね:店長さんが? 私に? 大宮:はい。 あかね:なんだろ、見当がつかない。 大宮:さっき聞いたんですけど。お姉さんのこと、ずっと大好きだったみたいですよ。 あかね:店長さんが!? 大宮:はい。プロポーズするって言ってました。 あかね:いきなりプロポーズ!? 積極的かつ情熱的。やだ、どうしよう。 大宮:お姉さんも、店長のことが気になってたから、店に来たんですよね? あかね:違う違う。 大宮:照れなくもいいですよ。俺にはわかってますから。 あかね:(嬉しい)え〜、どうしよ〜。いつの間に店長さんに惚れられてたんだろ。ひょっとして一目惚れ? 全く身に覚えがないけど嬉しい。ドキドキしてきた。  :  店長:おい、オオミヤ、さっきから元気いいな。何かいいことでもあったのか。 近江谷:店長、俺、この店でバイトやっててよかったです。 店長:そうか。そりゃよかったな。 近江谷:はい。 店長:俺もお前を採用してよかったよ。 近江谷:ありがとうございます。 店長:それはそうと。お前のお姉さん、来てるらしいな。 近江谷:え、また来たんですか? いつの間に・・・。 店長:奥のテーブルに来てるらしいよ。 近江谷:店長は見てないんですか? 店長:なんか緊張しちゃってさ。 近江谷:会いにいけばいいじゃないですか。姉ちゃんとつきあってたんでしょ? 店長:そうなんだけどさぁ。お前、それ他の奴らにベラベラ喋るなよ。 近江谷:はい。すいません。 店長:なあ、なんでまた俺に会いに来てくれたんだと思う? 近江谷:そりゃあ、会いたかったから、じゃないですか? 店長:だよな。やっぱりそうだよな。大切な話とかあるのかな。また店に来てくれたんだから、「やりなおしたい」って言葉は、俺から言うべきだよな。 近江谷:男なら覚悟決めて、声かけてきてください。 店長:わかった。行ってくる。  :  大宮:川口さん。 さくら:は、はい! 大宮:あのさ・・・。 さくら:大宮くん、どしたの? 大宮:ちょっと話したいことがあって。 さくら:(嬉しい)えぇぇ。恥ずかしいよ。今バイト中だよ。 大宮:え? あ、ごめん。 さくら:えへへへぇ。で、なぁに? 大宮:さっきの話、ホントによかったの?(バイト代わってくれて) さくら:うん。もちろん。(告白オッケーなこと) 大宮:いや、デートすればいいのにって思って。(近江谷と) さくら:デート!?(大宮と?) 大宮:あ、今日のバイトの後なら空いてるか。 さくら:うん。空いてる。全然空いてる。 大宮:じゃあ初デートだね。(近江谷と) さくら:うん。(大宮と)初デートだね。えへへへぇ。 大宮:すっごい嬉しそうだね。 さくら:そりゃそうだよ。 大宮:そっか。そうだよな・・・。 さくら:どうしたの大宮くん? 疲れてる? 大宮:俺、二人のこと応援してるから。 さくら:え、何が? なんのこと? 大宮:(客に呼ばれて)あ、はい。お伺いします。 さくら:(他の客に)お会計ですね。伝票お預かりしまーす。  :  あかね:オオミヤくん、オオミヤくん。 近江谷:あ、はい。なんですか、お姉さん。 あかね:オオミヤくんは田中くんと仲いいんだよね? 近江谷:田中? ああ、仲いいですよ。田中と。(大宮のことね) あかね:彼、あなたのこと好きなんだって。 近江谷:俺を!? あかね:恋愛対象として好きだったみたいよ。 近江谷:マジで!? あかね:本人から聞いたから間違いない。思い当たることはない? 近江谷:和也が俺のこと・・・。そう言えば、スマホのホーム画面に俺が写ってました。 あかね:ほらぁ。 近江谷:サバゲーに一緒に行きたいって言ったのも、俺と一緒にいたかったからなのか。 あかね:ほらほらぁ。 近江谷:嫌そうな顔してたのに、ホントは俺にくんずほぐれつ教えて欲しかったってことか。ツンデレかよ! あかね:でもオオミヤくんはこれから妹とつきあうんでしょ? 近江谷:え、あっ、そ、そうですね。 あかね:だからはっきり彼に言っておいたほうがいいと思う。そんな気はないって。 近江谷:わかりました。教えてくれてありがとうございます。  :  店長:あれぇ、なんだよ、どこにもいないじゃねぇか。おい、オオミヤ。 近江谷:はい。 店長:美咲はどこにいるの? 近江谷:え、あれ? いませんね。 店長:「いませんね」じゃねぇよ。あの野郎、嘘つきやがったな。(舌打ち)緊張して損した。 近江谷:俺に言われても困ります。 店長:あー、そうだよな。55番のテーブル片付けて。後、81番にお冷。 近江谷:はい。わかりました。 あかね:店長さん。 店長:はい、お伺いします。 あかね:あのぉ・・・。 店長:ご注文ですか? あかね:さっき頼みました。 店長:あ、そうですか。 あかね:店長さん。 店長:はい。 あかね:私、腕まくりしてる男の人、いいなぁっていうか・・・。 店長:はあ? あかね:店長さん、カッコいいですね。 店長:え、あ、ありがとうございます。 あかね:(照れ笑い) 店長:あの、お姉さん? あかね:お姉さんじゃなくて、あかねって呼んでください。 店長:ええ!? じゃあ、あかねさん。 あかね:はい。 店長:何か私にご用ですか? あかね:(早口で)私のこと好きなんですか? 店長:え、なんですか? もう一回お願いします。 あかね:だから、プロ・・・プロポ・・・。 店長:プロシュートのサラダおひとつ追加でよろしいですか? あかね:そうじゃなくて! 店長:はい、すいません。 あかね:私、待ってます。(プロポーズを) 店長:あ、はい。すぐにお持ちいたします。もう少々お待ちください。(料理を) あかね:え、あれ?  :  あかね:あぁ、行っちゃった。ん〜。ダメだ私。意識されてると思うと、こっちも意識しちゃって上手く喋れない。  :  近江谷:おい、和也。 大宮:なんだよ、もう田中って呼ばないのか? 近江谷:色々ごめんな。 大宮:何が? 近江谷:お前の気持ちに気づかなくて。 大宮:ええ? ああぁ、バレてたのかよ。(川口さんが好きなこと) 近江谷:まぁな。教えてもらった。(俺のことが好きなこと) 大宮:言わないでって頼んだのに。 近江谷:聞いちゃった。やっぱり、そうなんだ? 大宮:まぁな。 近江谷:(言葉にならない)あぁぁ、なんて言ったらいいのか・・・。 大宮:気にすんなって。淳一と川口さん、お似合いだと思うよ。おめでとう。 近江谷:ありがと。和也とはこれからも、いい友達のままでいたいんだけど。 大宮:当たり前だろ。 近江谷:いや、でも、しばらくはお前の部屋に行くの遠慮しとこうかな。 大宮:なんで? 近江谷:襲われたら困るし。 大宮:そんなことしねぇよ。 近江谷:もしそんなことになったら、俺も流されてしまうかもしれない。 大宮:なに言ってんの? 襲わないよ。 近江谷:(パニック)もうどうしたらいいかわかんないよ! 大宮:だから襲わないって言ってんだろ! 近江谷:(想像が膨らんで言葉にならない)・・・。 大宮:(笑いながら肩を組む)わかってるって。俺と遊ぶより川口さんを優先しろよ。ちょっと寂しいけど我慢するから。 近江谷:(硬直)おう。ホントにごめんな。 大宮:だからもう気にすんなって。 近江谷:それと、肩に回した手を離してもらってもいいですか。 大宮:なんだよ。いつもはお前からやってくるくせに。  :  さくら:あの、店長。 店長:なに? さくら:あの、えっと、大宮くんから聞きました? 店長:なにを? さくら:だから、私と大宮くんが、その・・・。(つきあってるって) 店長:ああ、おお。聞いた聞いた。(シフト代わるって) さくら:実は、そういうことなんで。 店長:おお、わかったよ。 さくら:・・・あー、あの。 店長:なに? どしたの? さくら:(不満)リアクション薄くないですか? 店長:え、なにが? さくら:もうちょっとビックリしてくれてもいいのに。 店長:そんなことでいちいち驚いてらんないよ。 さくら:そんなことって、よくあることなんですか? 店長:多い時は一日に三回くらいあったよ。 さくら:そんなに沢山? 知らなかった。誰と誰? 店長:そういう時はちゃんと俺に言ってくれれば問題ないから。 さくら:あ、やっぱり報告しなきゃダメだったんですね。 店長:当たり前だろ。あー、そんなことより川口さん。 さくら:はい。 店長:川口さんのお姉さんって肉食系? さくら:は? 店長:さっき、すっごいアプローチされたんだけど。ドキドキしちゃった。 さくら:えー、なにやってんのお姉ちゃん。 店長:俺のこと何か言ってた? さくら:さっき店長のこと「好きな顔だ」って言ってました。 店長:マジか! ひょっとしてモテ期が来ちゃった? あんな美人が俺のことを!? さくら:お姉ちゃん美人かなぁ。 店長:川口さん、俺、そろそろ新しい恋を始める時かもしれない。 さくら:は? 店長:お姉さんとつきあってもいいかな? さくら:勝手にしてください。 店長:いつか俺のこと、お義兄さんって呼んでくれよ。 さくら:それは絶対嫌です。  :  近江谷:あの、お姉さん。 あかね:ん、なに? 近江谷:やっぱりアイツ、俺のこと好きだったみたいです。 あかね:だから言ったでしょ。 近江谷:ありがとうございました。教えてくれなかったら、どうなっていたか。 あかね:どうなってたの? 気になる。 近江谷:でも大丈夫です。ちゃんと「いい友達のままでいたい」って、ハッキリ言いました。 あかね:そしたら? 近江谷:「当たり前だろ」って。寂しそうに笑ってました。 あかね:そっか。青春だね。  :  店長:田中! 大宮:はい、田中です。 店長:お前、すっかり田中が板についてきたな。 大宮:なんなんですかそれ。 店長:お前、嘘ついたな。美咲・・・オオミヤのお姉さん、どこにもいないじゃん。 大宮:いますよ。71番に。 店長:71番にいるのは川口さんのお姉さんだろ。 大宮:え!? そうなんですか!? 店長:顔似てるだろ。なんで気づかないんだよ。 大宮:言われてみれば確かに。え、ちょっと待ってください。俺はさっきまで、川口さんのお姉さんと話してたってことですか? 店長:だからそう言ってるだろ。 大宮:ということは・・・あれ? どういうこと? ああああ! 店長:なんだよ!? 大宮:俺はもしかしたら、川口さんのお姉さんにとんでもない誤解をされているかもしれません。 店長:なんだよそれ? 大宮:たぶん、俺が淳一のことを好きだと思われてる・・・。 店長:え、お前らやっぱりそういう関係だったの? 大宮:違いますよ!  :  近江谷:川口さん。 さくら:なに? 近江谷:今日のバイト終わった後、どうする? さくら:あ、ちょっと用事が。えへへへぇ。 近江谷:そうなんだ。 さくら:何かあったの? 近江谷:いや。返事聞かせてくれたら嬉しいなって。 さくら:返事? 近江谷:いや、川口さんの気持ちはもうお姉さんから聞いてるんだけど、ちゃんと川口さんの口からも聞きたいなぁって。 さくら:なんの話?  :  大宮:淳一! 近江谷:おう、どうした? 大宮:ちょっと来てくれ。 近江谷:どこに? 大宮:71番。川口さんのお姉さんがいるテーブル。 近江谷:何かあったの? 大宮:誤解を解くためにお前も一緒に来てほしいんだよ。 近江谷:誤解ってなに? 大宮:いいから。 さくら:どうしたの、大宮くん? 大宮:川口さん、少し抜けるけど、お願い出来る? さくら:ひょっとして、お姉ちゃんが何かやらかしたの? 大宮:そうじゃない。とりあえず、川口さんは来なくて大丈夫。 さくら:よくわかんないけど、わかった。  :  近江谷:お姉さん。 あかね:あ、オオミヤくん。ごちそうさま。パスタ美味しかったよ。 近江谷:ありがとうございます。 大宮:すいません。俺、お姉さんのこと、コイツのお姉さんだと勘違いしてて。 あかね:あれ? そうだったの? 大宮:川口さんのお姉さんだったんですね。 あかね:当たり前じゃない。見ればわかるでしょ。それで? 大宮:だから、さっき俺が「好きだ」って言ったのはコイツのことじゃないんです。 あかね:え? じゃあ誰が好きなの? 大宮:それは・・・。 近江谷:和也? 大宮:俺が好きなのは川口さんです。 あかね:ええええ! 私!? 大宮:違います。妹さんのほう。 あかね:そうだよね。そりゃそうだよね。びっくりしたぁ。 大宮:だから・・・。 近江谷:お前やっぱり川口さんが好きだったの? 大宮:そうだよ。 あかね:じゃ、オオミヤくんも田中くんも、私の妹が好きってこと? 大宮:はい。 あかね:さくらってモテるのねぇ。羨ましい。 近江谷:和也は俺のことが好きなんじゃないの!? 大宮:なんで俺がお前のこと好きにならなきゃいけないんだよ。 近江谷:そうだよな。おかしいと思ったんだ。だけどなんかそれはそれでちょっとショック。 大宮:おかしいのはお前の頭と顔だ。 近江谷:ええ、ひどい。俺たち近江谷・大宮コンビだろ。 大宮:コンビは今日で解散。 近江谷:なんで? 近江谷:近江谷・大宮コンビでエムワンで優勝するって約束したのに。 大宮:だからしてねぇよ。それに、俺がお前の隣にいたら川口さんの邪魔になるだろ。 あかね:ちょ、ちょっと待って。一つ質問があるんだけど。 大宮:はい。 あかね:オオミヤオオミヤコンビってなに? 近江谷:俺が近江谷で、こっちが大宮だから、近江谷・大宮コンビなんです。 あかね:あなた、田中くんでしょ? 大宮:今日は田中なんですけど、普段は大宮なんです。 あかね:よくわかんないんだけど、つまりあなたもオオミヤくんってことね? 大宮:はい。俺が大宮で、こっちが近江谷です。 あかね:・・・えーっと・・・オオミヤが二人いるってことは・・・あれぇ? さくらー! さくら:お姉ちゃん、大声で呼ばないでよ、恥ずかしい! あかね:聞きたいことがあるんだけど・・・。 さくら:なに? 忙しいから早くしてよ。 あかね:さくらの彼氏って、どっち? さくら:ええっ、なんなの? あかね:教えて。 さくら:大宮くん。 大宮:俺!? 近江谷:へ? 彼氏は俺でしょ? さくら:二人ともなんでそんなに驚いてるの? 大宮:俺、いつの間に川口さんの彼氏になったの? さくら:さっき、告白の返事したじゃん。 大宮:いつ!? さくら:忘れちゃったの? 大宮:川口さんが淳一に告白して、淳一がオッケーしたんじゃなかったの? さくら:は? 大宮:いやいや違う違う。そもそもそれが勘違いなんだから・・・。 近江谷:川口さんに告白したのは俺だよ! 大宮:お前が!? さくら:近江谷くんが私に告白!? 近江谷:なんで川口さんまでそんな顔するの!? 昨日、電話で告白しただろ! さくら:されてない! あかね:あ、告白されたのは私。 近江谷:お姉さん!? 大宮:ええ!? 淳一は川口さんじゃなくて、お姉さんが好きなの!? 近江谷:違ぇよ! 店長:お前ら、いい加減にしろよ。早く手伝え! 近江谷:店長は黙っててください! 店長:なんだと!? 大宮:今、大事な話をしてるんです! 店長:俺だってあかねさんと話したいのに我慢して仕事してんだぞ! あかね:やだ、嬉しい。 大宮:店長、この人は淳一のお姉さんじゃなくて、川口さんのお姉さんなんですよ!? 店長:そんなこと知ってるよ! あかね:店長さん、私もあなたとお話したい! さくら:お姉ちゃんと店長はちょっと黙ってて! 店長:川口さんまでそんなこと言うの!? さくら:みんな、いったん落ち着いて。 大宮:おう。 近江谷:わかった。 さくら:はい、みんな、一回深呼吸。  :  0:全員で深呼吸。  :  あかね:つまり・・・どういうこと? さくら:昨日、電話で私に告白してくれたのは、近江谷くん? 近江谷:そうだよ。 さくら:電話に出たお姉ちゃんは、それを大宮くんだと勘違いして・・・。え、でも着信履歴は大宮くんだったよね? 近江谷:それは俺が和也のスマホからかけたから。 さくら:なんでそんなことしたの? 近江谷:ビックリするかなと思って。 あかね:つまり私がこっちのオオミヤくんを、こっちのオオミヤくんと勘違いしたってこと? いや、わかんない。同じ名前じゃない。 さくら:全然違う。こっちが大宮くんで、こっちが近江谷くん。 あかね:わかんないわよ。 店長:わかんないですよねぇ。 あかね:気が合いますね。 店長:合いますねぇ。 さくら:ごめんなさい、近江谷くん。 近江谷:えっ・・・。 さくら:私が好きなのは、大宮くんだから。 大宮:川口さん・・・。 さくら:大宮くん、さっき「じゃあよろしくね」って言ってくれたよね? 大宮:あっ! さくら:あれはどういうこと? 大宮:シフト代わってくれるって話かと思ってた。 さくら:そっちかー! 私、あの時、超嬉しかったのに。 近江谷:俺の告白を和也が横取りしたってこと? 大宮:そもそも淳一が俺のスマホで電話したから、ややこしくなったんだろ。 近江谷:そうだけどさ。なんか納得いかねぇ。 さくら:私は告白されてないのに、オッケーの返事しちゃったの? 大宮:そうなるのかな。 さくら:じゃあ大宮くんは私のことなんとも思ってなかったってこと? 大宮:川口さん。 さくら:はい。 大宮:あのさ。なんか、順番が逆になっちゃったけど。俺、川口さんが好きです。つきあってください。 さくら:はい。よろしゅくお願いしゅます! あかね:(拍手)おぉぉ。 店長:青春だねぇ。 あかね:おめでとう、さくら。 店長:って言うか、仕事中に告白すんなよ。 近江谷:(無理して笑う)二人ともよかったなー。俺が協力した甲斐があったよ。 大宮:え? 近江谷:二人が好き同士だってことはバレバレだったからさ。二人をくっつけるために、俺がピエロになってやったんだよ。 大宮:え、でも。 近江谷:わかるだろ。そういうことだよ。 大宮:どういうこと? 近江谷:だから、そういうことだよ。 大宮:もうちょっとわかりやすく言ってくれよ。 近江谷:察しろよ。なんでわかんねぇんだよ。お前と川口さんをくっつけるための作戦だったの。そういうことにしてくれって言ってんだよ! 大宮:・・・淳一。 さくら:近江谷くん・・・。 近江谷:たまには俺とも遊んでくれよ。 大宮:当たり前だろ。また3人で遊びに行こうぜ。 さくら:そうだよ。 近江谷:俺、邪魔じゃない? 大宮:そんなわけないだろ。 あかね:これで一件落着ね。 店長:じゃあ、そろそろ仕事に戻れ。近江谷、レジにお客さん! 近江谷:はい! 店長:田中、料理出てる。急げ! 大宮:はい! 店長:川口さん、52番片付けて! さくら:はい! 店長:(ため息)やれやれ。 あかね:テキパキと指示を出す店長さん、ステキです。 店長:えっ、ありがとうございます。照れますねぇ。 あかね:(笑) 店長:(笑) あかね:それで・・・。 店長:はい。 あかね:さっき、私に話したいことがあるって言ってませんでした? 店長:あっ、はい。あかねさん。 あかね:はい。 店長:俺と・・・。俺と結婚を前提におつきあいして下さい! あかね:・・・はい。 大宮:店長、仕事中に告白しないで下さい。 店長:お前にだけは言われたくねぇよ! 大宮:早く仕事に戻って! 店長:わかってるよ。今いいところなんだよ! 近江谷:店長! 店長:なんだよ、お前まで! 近江谷:姉ちゃんが来ました! 店長:はあ!? 近江谷:俺の姉ちゃんが来ました! 店長に大切な話があるそうです。 店長:帰ってもらええええ! 近江谷:そんなあ! さっきと言ってること違いますよ!? 大宮:なに言ってるんですか。店長がずっと大好きだった人が店に来たんですよ! 店長:そうだけど! 大宮:今度店に来たらプロポーズするって言ってたじゃないですか! 店長:それはもういいんだよ! さくら:はああ!? 店長、私のお姉ちゃんとは遊びだったんですか!? 店長:なんでそうなるんだよ! さくら:店長の浮気者! 店長:ああああ、うるせぇ、お前ら仕事しろ! あかね:店長さん。 店長:はっ、はい! あかね:どういうことなのか、説明してもらえますか? 店長:ええっと、それはそのぉ・・・。今は仕事中なんで勘弁して下さーい!  :  0:おしまい。

0:バックヤード。 近江谷:おっつかっれさ〜ん。 さくら:お疲れ様。近江谷くんも5時上がり? 近江谷:そうなのよ。今日は川口さんがバイト5時上がりだって知ってたから、それに合わせたんだ。一緒に帰ろうと思って。 さくら:同じ時間だったのはたまたまでしょ。 近江谷:あ、バレた? さくら:ホント、近江谷くんは冗談ばっかり。 近江谷:一緒に帰りたかったのは本当だよ。 大宮:お疲れさん。おまたせ。 近江谷:ほーい、お疲れぃ。 さくら:大宮くん、お疲れ様。 大宮:何話してたの? 近江谷:いや、たいしたことじゃないんだけど。ごめんね、川口さんが俺と一緒に帰りたいって言ってくれたのは嬉しいんだけど、俺、これから和也とデートだから。 さくら:え、私、一緒に帰りたいなんて一言も言ってないよ。 大宮:デートじゃないだろ。俺の部屋で一緒にゲームするだけ。 さくら:大宮くん、私、そんなこと言ってないからね。 大宮:あ、うん。 近江谷:あのさ、なんで川口さんは和也に弁解してるの? 大宮:お前がややこしいこと言うからだろ。 近江谷:ああ、なるほどね。そうゆうことか。 さくら:そ、そういうことって? 近江谷:和也が嫉妬すると思ったんだろ? 大宮:俺が? 近江谷:大丈夫だよ。俺は和也一筋だから。(大宮の肩を組む) 大宮:(近江谷の手を外して)やめろって。なんで俺が川口さんに嫉妬するんだよ。 近江谷:えええぇ。嫉妬してくれないの? 俺たち、近江谷・大宮コンビじゃん。あの日、二人でエムワン優勝しようぜって約束したの忘れたのかよ。 大宮:コンビを組んだ覚えもそんな約束した覚えねぇよ。 さくら:(笑)大宮くんと近江谷くん、ホントに仲いいね。 近江谷:いやぁん、それほどでもぉ。 大宮:気持ち悪いよ。 近江谷:川口さん、あのさ。 さくら:何? 近江谷:大宮くん、近江谷くんじゃややこしいだろ。同じバイト仲間なんだから、そろそろ俺たちのこと名前で呼んでくれてもいいんだよ。って言うか、名前で呼んでほしいんだけど。俺のことは淳一で、和也は和也で。 さくら:淳一と・・・和也? 近江谷:うん。 さくら:大宮くんはいいの? 大宮:うん。別にいいよ。 さくら:和也。 大宮:なに? さくら:ええぇぇ、なんか恥ずかしいから、そのままでいい! 今までどおり近江谷くんと大宮くんで。 近江谷:じゃ、俺だけでも淳一って呼んでよ。 大宮:やめろって。川口さんが困ってるだろ。 0:店長が来る。 店長:お疲れさん。 さくら:店長、お疲れ様です。 大宮:お疲れ様です。 近江谷:お疲れ様でーす。 店長:なになに、なんの話? 近江谷:店長には1ミリも関係ない話です。 店長:うわ、そっけねぇ。おじさんは若い子との世間話に飢えてんだよ。少しくらい仲間に入れてくれよ。 大宮:店に戻らなくて大丈夫なんですか? 店長:ちょっと休憩。それよりオオミヤ。 大宮:はい。 店長:お前じゃなくて、こっちのオオミヤ。 近江谷:俺は大宮じゃなくて近江谷です。 店長:一緒だろ、どっちもオオミヤだろうが。 大宮:全然違いますよ。 さくら:そうですよ。こっちが大宮くんで、こっちが近江谷くん。 店長:おんなじだよ、ややこしいんだよ、お前ら。どっちかクビにするぞ。 大宮:そんな横暴な。 近江谷:で、なんですか? 店長:お前、頼んでた掃除やってないだろ。 近江谷:あ、すいません。忘れてました。 店長:今度忘れたらクビにするからな。 近江谷:マジっすか。 店長:冗談だよ。 0:チャイムの音。 店長:あ、呼び出しチャイム鳴ってる。なんだよ。一服させてくれよ。んじゃ、フロア戻るわ。お疲れさん。 大宮:お疲れ様でーす。 さくら:店長、お仕事頑張ってくださいね。 店長:川口さん、ありがと。元気出たわ。 近江谷:店長、頑張ってくださいね♪ 店長:うるせぇ。気持ち悪いわ。 0:店長が去る。 大宮:んじゃ、俺たちも行くか。 近江谷:おっけぃ。じゃあね、川口さん。 さくら:うん。バイバイ。 大宮:明日もシフト? さくら:うん。 大宮:じゃあ、また明日。 さくら:また明日。 0:大宮と近江谷が去る。 さくら:(ため息)今日も大宮くんかっこよかったなぁ。 さくら:(気持ち悪い笑い)えへへへぇ。 さくら:「和也」「なに?」 さくら:えへへへぇ。 0:大宮が戻ってくる。 大宮:あの、川口さん。 さくら:ぅえっ! おおおお、大宮くん!? 大宮:あ、ごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど。 さくら:なに? どしたの? 大宮:あのさ、お願いがあるんだけど。 さくら:うん。 大宮:来週の日曜のシフト代わってくれないかな。急に予定出来ちゃって。12時から17時なんだけど。 さくら:うん。あ、ごめん。明日返事してもいいかな? お姉ちゃんとお寿司食べに行く約束してたから、お姉ちゃんに聞いてみる。 大宮:大丈夫? さくら:うん。約束って言っても、ぼんやりと約束しただけだから。明日、返事するね。 大宮:オッケー。じゃあ、また明日。 さくら:うん。バイバイ。  :  0:川口家 さくら:ただいまー。 あかね:さくら、おかえり。 さくら:あれ? お母さんは? あかね:買い物行ってる。 さくら:お姉ちゃん、来週の日曜なんだけど、一緒にお寿司食べに行こうって言ってたの、キャンセルしていい? バイトのシフト代わって欲しいって頼まれちゃって。 あかね:いいよ。お寿司はまた今度ってことで。 さくら:ありがと。 あかね:パスタ屋さんのバイト、楽しい? さくら:うん。まあね。 あかね:友達は出来た? さくら:うん。まぁね。 あかね:彼氏は出来た? さくら:出来ないよ。何言ってんの。 あかね:ええぇ、イケメンの男子はいないの? 気になる男子はいないの? さくら:さっきからなんなの? あかね:こっちは恋バナに飢えて、恋に飢えてんのよ。妹の恋バナを聞いてトキメキたいのよ。わかるでしょ。 さくら:わかんない。 あかね:それでどうなの? さくら:まあ、いいなぁって思う人はいるけど。 あかね:ウェ~イ。名前は? さくら:そんなの教えないよ。 あかね:イニシャルだけ。イニシャルだけでいいから。 さくら:・・・オー。 あかね:オー! 大谷?太田?大島?大原?なになに? さくら:全部違う。 あかね:そっか。明日、お店に行って確かめるしかないか。 さくら:来ないでよ。恥ずかしいから。絶対来ちゃダメだからね。 あかね:はーい。わかりましたー。 さくら:じゃ、私、お母さん帰って来る前にお風呂入っちゃうから。 あかね:うん、わかった。 さくら:ホントにお店に来ちゃダメだからね。 あかね:はいはーい。 0:さくらが去る。 あかね:これはアレよね。押すな押すなって言いつつ、ホントは押してほしいっていうアレだよねぇ。 0:着信メロディ。 あかね:あ、さくらのスマホ鳴ってる。 あかね:えっと・・・オオミヤ? オー! オー! オ・オ・ミ・ヤ! キタコレー! あかね:(咳払い) あかね:(さくらの声を真似て)はい、もしもし・・・。 0:大宮の部屋。 近江谷:イェーイ。これで俺の3連勝。 大宮:くっそぉ。また負けた。 近江谷:和也は修行が足りねぇんだよ。 大宮:いや、今のは惜しかっただろ。次は絶対勝つ。 近江谷:ちょっと休憩しようぜ。 大宮:おう。いいけど。最近なんか面白い話ないの? 近江谷:ええ、いきなり? そうだなぁ。あ、思い出した。昨日、俺の姉ちゃんから衝撃の昔話を聞いた。 大宮:なになに? 近江谷:俺の姉ちゃん、店長と昔つきあってたんだって。 大宮:店長って、あの店長? 近江谷:うん。姉ちゃん、この前、初めて店に来たんだけどさ。その時に店長の顔見て思い出したんだって。 大宮:凄い偶然だな。 近江谷:別れて5年くらい経つらしいから。店長は忙しくて全然気づかなかったらしいよ。 大宮:へぇぇ。淳一の姉ちゃん、今、彼氏いるの? 近江谷:たぶんいないけど。 大宮:おおお。だったら会わせちゃえば。店長も彼女いないって言ってたし。 近江谷:余計なことしなくていいよ。 大宮:面白そうじゃん。 近江谷:それはそうと。3連勝したらコンビニスイーツおごってくれるんだろ。 大宮:ちっ、覚えてたか。 近江谷:え、和也、ごまかそうとしてたの? 大宮:買ってくりゃいいんだろ。プリンでいいか。 近江谷:おう。よろしく〜。 大宮:ちょっと待ってろ。 0:大宮が去る。 近江谷:あれ? アイツ、スマホ忘れてるよ。あ、ロック掛かってない。なんだよ。このホーム画面、和也と俺と川口さんの3人でカラオケ行った時に一緒に撮ったやつじゃん。この川口さん可愛いなぁ。・・・やっぱり和也も川口さん狙ってんのか・・・。 近江谷:(笑)先手必勝だよな。それと、サプライズも込みで。えっと、川口さんは・・・あった。 0:近江谷が電話をかける。 あかね:(さくらの声を真似て)はい、もしもし。 近江谷:もしもし、大宮だけど。 あかね:うん。 近江谷:俺、大宮和也。いま大丈夫かな? あかね:うん。 近江谷:うっそーん! 大宮じゃなくて近江谷でしたー。ビックリした? あかね:うん・・・ん? 近江谷:あれ? 気づかなかった? あかね:・・・うん。 近江谷:そっかー。電話だとわかんないかもね。 あかね:・・・うん。 近江谷:実はさ、川口さん。 あかね:うん。 近江谷:俺、川口さんのこと好きなんだ。 あかね:え? 近江谷:いつもは冗談ばっかり言ってるけど、これは本気だから。 あかね:う、うん。 近江谷:俺とつきあってください。 あかね:えっとぉ・・・。 近江谷:あ、いきなりこんなこと言われても困るよな。ごめん。返事は今すぐじゃなくていいから。 あかね:オオミヤくん。 近江谷:なに? あかね:(早口で)返事はちょっと待ってくれるかなぁ。間違いないとは思うんだけど大事な話だから一応本人に確認しないとと言うか、考える時間がほしいというか。じゃあ、また。おやすみなさい。 近江谷:え、あ、ちょ・・・あ、切れた。 近江谷:(笑)川口さん、すげぇ焦ってたな。可愛い。でもなんかいつもと声違って聴こえたけど。まあ、無料アプリの通話品質だとこんなもんか。  :  あかね:焦ったー! いきなり告白されるとは思わなかった。私がドキドキしちゃった。いやぁん。両想いじゃん、さくら。羨ましいなぁ。  :  近江谷:あのリアクションは脈ありだよな? すぐには返事貰えなかったけど、感触は悪くなかったし。あ、和也が戻って来る前に発信履歴削除しとかなきゃ。  :  さくら:お姉ちゃん、私のスマホ抱きしめて何やってんの? あかね:え? さくら:変な顔して腰クネクネして、キモいよ。 あかね:さっき、オオミヤくんから電話があってね。 さくら:えええっ! 大宮くん!? あかね:で、私が代わりに出たんだけど。 さくら:は!? なんで出たの!? 意味わかんない! あかね:そんなことはどうでもいいのよ。 さくら:よくないよくない。 あかね:大宮くんね、さくらのこと好きなんだって。 さくら:え? あかね:なんか、私のことをさくらだと勘違いしたみたいで、さっき熱烈に告白されちゃった。 さくら:はああああ!? あかね:ごめんね。返事は待って貰ったから。明日にでも伝えてあげて。 さくら:ええええ、ホントに? 大宮くんが私のこと好きだって言ったの? あかね:お姉ちゃんがさくらに嘘ついたことある? 「俺とつきあってください」って、とっても真剣に告白されちゃったんだから。お姉ちゃんドキドキしちゃった。 さくら:ホントに? ホントに大宮くん? あかね:何度も言わせないでよ。 さくら:あ、着信履歴・・・。あ、ホントだ。大宮くんから電話が掛かってきてる。 あかね:だから言ったでしょ。 さくら:ええええええ! マジで!? 大宮くんが私のことを!? ぎやあああああ! あかね:おめでとー! さくら:ヤバい。ニヤけた顔が元に戻らない。明日、どんな顔してバイト行ったらいいかわかんない。 あかね:とりあえず告白されたんだから、自分の気持ちをちゃんと伝えなさいよ。 さくら:うん。わかった。あああああああ・・・どうしよう・・・うひょひょひょひょ〜。  :  大宮:おーい、買ってきたぞ。 近江谷:あ、悪い。俺、そろそろ帰るわ。 大宮:ええ、プリンは? せっかく買ってきたのに。 近江谷:食べていいよ。 大宮:あ、そう。 近江谷:和也、俺、絶対お前に負けないから。 大宮:(笑)次は俺が勝つって言っただろ。修行しとくからまた遊ぼうぜ。 近江谷:おう。またな。 大宮:おう。  :  0:翌日 大宮:あ、店長おはようございます。 店長:お疲れさん。大宮、早いな。 大宮:ちょっと早く着いちゃいました。 店長:時間までのんびりしてろよ。 大宮:はい。それはそうと店長。 店長:どした? 大宮:淳一の姉ちゃんとつきあってたって本当ですか? 店長:ぶほっ! お前、それ誰に聞いた? って、アイツに決まってるよな。なんだよ、知ってたのかよ。 大宮:昨日淳一から聞いたんですよ。淳一も最近姉ちゃんから聞いたらしいですよ。 店長:なんでわかったんだ? 大宮:淳一の姉ちゃん、少し前に店に来たらしくて。 店長:マジで!? 来てたの? 大宮:店長、忙しくて気づかなかったって言ってました。 店長:うわぁぁ。なにやってんの、俺。せっかく美咲(みさき)が来てくれたのに。 大宮:そのリアクション。まさか、まだ好きなんですか? 店長:俺は結婚するなら美咲しかいないって思ってる。色々あって別れちゃったけど、再会した時はプロポーズしようって思ってた。 大宮:美咲さん、また来てくれるといいですね。 店長:でもさ。あっちは俺に気づいたのに俺に声をかけなかったってことだろ。その時点で脈はなさそうだよな。 大宮:店長が気づいてくれるのを待ってたのかもしれませんよ。 店長:そうかなぁ。また来てくれるといいなぁ。 大宮:今度来た時に、美咲さんから「大切な話がある」って言われたらどうします? 店長:「俺もあるんだ」って言うに決まってんだろ。あー、また来てくれないかなぁ。 大宮:淳一をバイトに採用したのは、アイツが弟だって知ってたからですか? 店長:まあな。近江(おうみ)に谷(たに)で近江谷。そんな変わった名字の奴、そういないだろ。目元が似てたからすぐにわかったよ。面接で姉がいるって言ってたし。まあ、でも、アイツには秘密な。そんな理由で採用はしたけど、アイツはよく働くし、頼りにしてるから。 大宮:わかりました。 店長:でもそのうちアイツにも同じこと聞かれるんだろうな。面倒くせぇ。やっぱりクビにするか。 大宮:(笑) 0:さくらが来る。 さくら:おはようございます。 店長:おう、川口さんお疲れ。んじゃ、後でな。 大宮:はい。 0:店長が去る。 さくら:あ、大宮くん、おはよ。 大宮:おう。おはよ。 さくら:・・・あー・・・。 大宮:なに? さくら:えっと・・・。 大宮:どうしたの? さくら:二人っきりだね。 大宮:そうだね。 さくら:・・・。 大宮:え、なに? さくら:大宮くん、昨日の話なんだけど・・・。 大宮:昨日の? ああ、うん。昨日の。(シフトのことね) さくら:オッケーです。(告白のこと) 大宮:え、ホントに? ありがとう。じゃあ、よろしくね。 さくら:あ、はい。こちらこしょ。よろしゅくお願いしゅます。 大宮:なんでそんなカミカミなの? さくら:だって・・・。 大宮:じゃあ、店長には俺から伝えておくから。 さくら:ええ!? なんで店長に報告するの? 大宮:いや、こういうのはちゃんと言わなきゃダメでしょ。 さくら:そうなの? そういうもん? 大宮:当たり前だよ。 さくら:当たり前なんだ・・・。でもなんか恥ずかしい。 大宮:恥ずかしがることは何もないよ。 さくら:そっか。 0:近江谷が来る。 近江谷:おいざーす。(おはようございます) 大宮:おーす。 さくら:近江谷くん、おはよ。 近江谷:うわっと。川口さん、おはよぉぉぉ。 さくら:ん、どしたの? 近江谷:いや、別に。普通だけど。 大宮:なんでそんな挙動不審なんだよ。 近江谷:なんでもないって。ほら、早く着替えないと。行くぞ。 大宮:まだ大丈夫だろ。 近江谷:いいからいいから。ほら。 大宮:わかったよ。 近江谷:川口さん、また後でね。 さくら:うん。 近江谷:(念を押す)川口さん、また、後でね。 さくら:うん。 0:大宮と近江谷が去る。 さくら:なんで2回言ったの? まいっか。じゃ、私も着替えよっかな。  :  大宮:なぁ淳一。 近江谷:ん? 大宮:来週の日曜、サバゲー行くって言ってたの、俺も一緒に行っていいか? 近江谷:マジで? バイトじゃなかったの? 大宮:川口さんが代わってくれた。「オッケーです」って。 近江谷:あ、そうなんだ。全然オッケーよ。一人増えるって伝えとくわ。 大宮:俺、サバゲー初めてだからよくわかんないけど、大丈夫かな? 近江谷:俺が手取り足取りくんずほぐれつ教えてやるから心配すんな。 大宮:気持ち悪いよ。普通に教えてくれ。 近江谷:任せとけ。 大宮:そう言えばさ。さっきの川口さん、なんか変だったんだよな。こちらこそよろしくって、どういう意味だったんだろ。 近江谷:バイト代わってあげたんだから、ちゃんとお礼を用意しとけって意味なんじゃねぇの? 大宮:あ、そういうことか。なるほどな。  :  店長:いらっしゃいませ。お客様は2名様でよろしいですか? こちらのお席へどうぞ。  :  さくら:おはようございます。よろしくお願いしまーす。 大宮:おはようございます。よろしくお願いしまーす。 近江谷:おいざーす。よろっしゃーす。 店長:はーい。今日もよろしく。 大宮:あ、店長。 店長:なに? 大宮:すいません。俺の名札が見当たらなくて。今日、名札なしでもいいですか? 店長:ダメだよ。じゃ、今日はこれつけろ。 大宮:え、田中さんの名札? 店長:そう。お前、今日は田中だから。 大宮:わかりました。俺、田中です。 近江谷:田中! 大宮:なんだよ。気安く呼ぶな。 さくら:田中くん! 大宮:別に大宮って呼んでくれてもいいんだからね。 店長:田中! 大宮:はい、田中です! 店長:いつもオオミヤが二人いるから田中になってくれてよかったよ。呼びやすい。 大宮:あーそうですか。好きにしてください。 店長:(客に呼ばれて)はい、お伺いします。 店長:田中、32番テーブル。 大宮:はい。  :  さくら:いらっしゃいま・・・ちょ、何しに来たの!? あかね:やっほ〜。パスタ食べに来た〜。 店長:いらっしゃいませ。お客様は1名様でよろしいですか? あかね:はい。一人です。 店長:ではご案内します。こちらへどうぞ。 さくら:ああ、ちょっと! 店長:え、なに? 川口さんのお知り合い? さくら:・・・姉です。 あかね:いつもウチの子がお世話になってます。 店長:あ、そうなんですね。いらっしゃいませ。ごゆっくりしていってください。 あかね:はい。ありがとうございます。 さくら:もぉぉぉ。  :  近江谷:お待たせしました。こちらカルボナーラ大盛りでございます。こちらがペペロンチーノでございます。ごゆっくりお召し上がりください。  :  あかね:さくら、さくら。 さくら:なに? あかね:店長さん、カッコいいね。 さくら:そうかな? あかね:私の好きな顔。 さくら:へー、そーなんだ。 あかね:で、オオミヤくんってどれ? さくら:もぉぉ、大人しくしててよ。 あかね:教えなさいよ。せっかく来たのに。 さくら:もう帰って。お願い。 あかね:やだ。 さくら:お姉ちゃん。 あかね:昨日の告白の返事はもうしたの? さくら:教えない。 あかね:教えてよ。そしたら大人しくしてるから。 さくら:ホントに? 約束する? あかね:もちろん。それで、返事はしたの? さくら:うん。さっきオッケーした。 あかね:で、相手はなんて言ったの? さくら:「じゃあよろしくね」って。 あかね:そっかぁ。やったね。おめでとう。 さくら:うん。ありがとう。注文はどうする? あかね:じゃあ、明太子クリームで。 さくら:明太子クリームおひとつですね。かしこまりました。  :  店長:はい、お会計ですね。伝票お預かりいたします。  :  あかね:お兄さん、お兄さん。 近江谷:はい。ご注文、お決まりですか? あかね:オオミヤくんってどこにいるの? 近江谷:え、俺ですか? あかね:あなたがオオミヤくん? あかね:あ、近江に谷でオオミヤくんだったんだ。 近江谷:はい。そうです。 あかね:私、川口さくらの姉。 近江谷:ええ!? そうなんですか。うわ、美人姉妹。 あかね:やだな、なに言ってるの。昨日、電話くれた人だよね? 近江谷:ああ、はい。妹さんから聞きました? あかね:え? あー、そうそう。さくらから聞いた。オオミヤくんは、さくらが好きなんだよね? 近江谷:はい。 あかね:両想いだね。おめでとう。 近江谷:え!? 川口さんがそう言ってたんですか? あかね:そうよ。昨日、あの電話の後、さくら嬉しくて踊ってたんだから。 近江谷:そっかぁ。そうだったんですか! あかね:妹のこと、よろしくね。 近江谷:はい! 任せてください!  :  大宮:ああ、店長。ちょっといいですか。 店長:なに? 大宮:忘れないうちに言っとこうと思って。来週の日曜の俺のシフト、川口さんに代わってもらいました。 店長:今言われてもなぁ。なんかあるの? 大宮:いや、淳一と遊びに行くだけなんですけど。 店長:おう、そうか。わかったよ。 大宮:すいません。  :  近江谷:そっかぁ。そうなのかぁ。川口さんも俺のこと・・・。 さくら:近江谷くん、近江谷くん。 近江谷:か、川口さん! どしたの? さくら:さっき、お姉ちゃんと何話してたの? 近江谷:見てたの? さくら:見えた。余計なことするなって言ったのに。 近江谷:いや、まあ、なんて言うか・・・。 さくら:なに? 近江谷:妹のことよろしくって。 さくら:あ、そう。 近江谷:任せてくださいって答えといた。 さくら:私ってそんなに頼りないかな。それだけ? 近江谷:うん。まあね。うへへへへ。 さくら:近江谷くん、気持ち悪いよ。 近江谷:川口さんは恥ずかしがり屋さんだね。 さくら:なに言ってんの?  :  大宮:お冷(ひや)失礼いたします。 あかね:お兄さん、お兄さん。 大宮:はい、お伺いします。 あかね:えっと、田中くん? 大宮:はい、田中です。 あかね:田中くんはあの二人と仲いいの? 大宮:え? あ、そうですね。川口さんとも近江谷ともけっこう仲はいいですけど。 あかね:そうなんだ。私、あの子の姉なの。 大宮:あっ、(近江谷の)お姉さん! お噂はかねがね。 あかね:どんな話を聞いてるのよ? 大宮:いや、昨日もアイツ、俺の部屋に遊びに来てたんですよ。その時にも色々。 あかね:え? 昨日、あの子、あなたの家に行ってたの? 大宮:はい。ゲームしてました。 あかね:そうなんだ。そんなに仲良かったんだ。 大宮:今度一緒にサバゲー行くんです。 あかね:そんな約束もしてるんだ? でも、これからは出来るだけあの二人の邪魔しないであげてね。 大宮:どういう意味ですか? あかね:あの二人つきあってるから。 大宮:えっ! それホントですか? あかね:うん。昨日告白されて、今日オーケーしたんだって。さっき言ってた。 大宮:(ショック)知らなかった。そうだったんですね。あの二人が・・・。 あかね:あれ? ひょっとして田中くんも、ウチの子が好きだったの? 大宮:違いますよ。もう一人のほう(さくら)です。 あかね:えええ、もう一人のほう(近江谷)? 田中くんって、そっちの人だったの!? 大宮:はい。好きでした。でも確かにあの二人はお似合いですよね。ははは・・・。 あかね:いや、私はそういうのはアリって言うか、大好物なんだけど。でもごめんね。 大宮:いいんです。気にしないでください。俺の気持ちは封印します。二人には内緒にしておいてくださいね。 あかね:わかった。そうするね。  :  近江谷:(絶好調)ありがとうございました! またお越しくださいませ!  :  店長:どうした大宮、じゃなかった。田中、元気ないな? 大宮:そんなことないです。 店長:顔色も悪いぞ。 大宮:大丈夫です。あっ、そう言えば! 店長:どうした? 大宮:来てます。近江谷の姉ちゃん。 店長:え、嘘? 美咲が? どこに? 大宮:奥のテーブルです。そうか。弟の様子を見に来たのかと思ったら、店長に会いに来てたのか。 店長:マジで? ちょっと行ってくる。 さくら:店長、エリアマネージャーからお電話です。 店長:はーい。今行く。くっそ。美咲に帰らないでって伝えといて。 大宮:わかりました。 店長:はい、お電話代わりました!  :  近江谷:(ハイテンション)お待たせしました、シーザーサラダでございます! あ、はい。今お持ちいたします! 少々お待ちください!  :  大宮:お待たせしました。明太子クリームでございます。 あかね:ああ、ありがと。 大宮:えっと、あの、すいません。 あかね:なに? 大宮:いえ、あの、店長から伝言を預かってます。 あかね:伝言? 大宮:伝えたいことがあるから、帰らないで待っててくれって。 あかね:店長さんが? 私に? 大宮:はい。 あかね:なんだろ、見当がつかない。 大宮:さっき聞いたんですけど。お姉さんのこと、ずっと大好きだったみたいですよ。 あかね:店長さんが!? 大宮:はい。プロポーズするって言ってました。 あかね:いきなりプロポーズ!? 積極的かつ情熱的。やだ、どうしよう。 大宮:お姉さんも、店長のことが気になってたから、店に来たんですよね? あかね:違う違う。 大宮:照れなくもいいですよ。俺にはわかってますから。 あかね:(嬉しい)え〜、どうしよ〜。いつの間に店長さんに惚れられてたんだろ。ひょっとして一目惚れ? 全く身に覚えがないけど嬉しい。ドキドキしてきた。  :  店長:おい、オオミヤ、さっきから元気いいな。何かいいことでもあったのか。 近江谷:店長、俺、この店でバイトやっててよかったです。 店長:そうか。そりゃよかったな。 近江谷:はい。 店長:俺もお前を採用してよかったよ。 近江谷:ありがとうございます。 店長:それはそうと。お前のお姉さん、来てるらしいな。 近江谷:え、また来たんですか? いつの間に・・・。 店長:奥のテーブルに来てるらしいよ。 近江谷:店長は見てないんですか? 店長:なんか緊張しちゃってさ。 近江谷:会いにいけばいいじゃないですか。姉ちゃんとつきあってたんでしょ? 店長:そうなんだけどさぁ。お前、それ他の奴らにベラベラ喋るなよ。 近江谷:はい。すいません。 店長:なあ、なんでまた俺に会いに来てくれたんだと思う? 近江谷:そりゃあ、会いたかったから、じゃないですか? 店長:だよな。やっぱりそうだよな。大切な話とかあるのかな。また店に来てくれたんだから、「やりなおしたい」って言葉は、俺から言うべきだよな。 近江谷:男なら覚悟決めて、声かけてきてください。 店長:わかった。行ってくる。  :  大宮:川口さん。 さくら:は、はい! 大宮:あのさ・・・。 さくら:大宮くん、どしたの? 大宮:ちょっと話したいことがあって。 さくら:(嬉しい)えぇぇ。恥ずかしいよ。今バイト中だよ。 大宮:え? あ、ごめん。 さくら:えへへへぇ。で、なぁに? 大宮:さっきの話、ホントによかったの?(バイト代わってくれて) さくら:うん。もちろん。(告白オッケーなこと) 大宮:いや、デートすればいいのにって思って。(近江谷と) さくら:デート!?(大宮と?) 大宮:あ、今日のバイトの後なら空いてるか。 さくら:うん。空いてる。全然空いてる。 大宮:じゃあ初デートだね。(近江谷と) さくら:うん。(大宮と)初デートだね。えへへへぇ。 大宮:すっごい嬉しそうだね。 さくら:そりゃそうだよ。 大宮:そっか。そうだよな・・・。 さくら:どうしたの大宮くん? 疲れてる? 大宮:俺、二人のこと応援してるから。 さくら:え、何が? なんのこと? 大宮:(客に呼ばれて)あ、はい。お伺いします。 さくら:(他の客に)お会計ですね。伝票お預かりしまーす。  :  あかね:オオミヤくん、オオミヤくん。 近江谷:あ、はい。なんですか、お姉さん。 あかね:オオミヤくんは田中くんと仲いいんだよね? 近江谷:田中? ああ、仲いいですよ。田中と。(大宮のことね) あかね:彼、あなたのこと好きなんだって。 近江谷:俺を!? あかね:恋愛対象として好きだったみたいよ。 近江谷:マジで!? あかね:本人から聞いたから間違いない。思い当たることはない? 近江谷:和也が俺のこと・・・。そう言えば、スマホのホーム画面に俺が写ってました。 あかね:ほらぁ。 近江谷:サバゲーに一緒に行きたいって言ったのも、俺と一緒にいたかったからなのか。 あかね:ほらほらぁ。 近江谷:嫌そうな顔してたのに、ホントは俺にくんずほぐれつ教えて欲しかったってことか。ツンデレかよ! あかね:でもオオミヤくんはこれから妹とつきあうんでしょ? 近江谷:え、あっ、そ、そうですね。 あかね:だからはっきり彼に言っておいたほうがいいと思う。そんな気はないって。 近江谷:わかりました。教えてくれてありがとうございます。  :  店長:あれぇ、なんだよ、どこにもいないじゃねぇか。おい、オオミヤ。 近江谷:はい。 店長:美咲はどこにいるの? 近江谷:え、あれ? いませんね。 店長:「いませんね」じゃねぇよ。あの野郎、嘘つきやがったな。(舌打ち)緊張して損した。 近江谷:俺に言われても困ります。 店長:あー、そうだよな。55番のテーブル片付けて。後、81番にお冷。 近江谷:はい。わかりました。 あかね:店長さん。 店長:はい、お伺いします。 あかね:あのぉ・・・。 店長:ご注文ですか? あかね:さっき頼みました。 店長:あ、そうですか。 あかね:店長さん。 店長:はい。 あかね:私、腕まくりしてる男の人、いいなぁっていうか・・・。 店長:はあ? あかね:店長さん、カッコいいですね。 店長:え、あ、ありがとうございます。 あかね:(照れ笑い) 店長:あの、お姉さん? あかね:お姉さんじゃなくて、あかねって呼んでください。 店長:ええ!? じゃあ、あかねさん。 あかね:はい。 店長:何か私にご用ですか? あかね:(早口で)私のこと好きなんですか? 店長:え、なんですか? もう一回お願いします。 あかね:だから、プロ・・・プロポ・・・。 店長:プロシュートのサラダおひとつ追加でよろしいですか? あかね:そうじゃなくて! 店長:はい、すいません。 あかね:私、待ってます。(プロポーズを) 店長:あ、はい。すぐにお持ちいたします。もう少々お待ちください。(料理を) あかね:え、あれ?  :  あかね:あぁ、行っちゃった。ん〜。ダメだ私。意識されてると思うと、こっちも意識しちゃって上手く喋れない。  :  近江谷:おい、和也。 大宮:なんだよ、もう田中って呼ばないのか? 近江谷:色々ごめんな。 大宮:何が? 近江谷:お前の気持ちに気づかなくて。 大宮:ええ? ああぁ、バレてたのかよ。(川口さんが好きなこと) 近江谷:まぁな。教えてもらった。(俺のことが好きなこと) 大宮:言わないでって頼んだのに。 近江谷:聞いちゃった。やっぱり、そうなんだ? 大宮:まぁな。 近江谷:(言葉にならない)あぁぁ、なんて言ったらいいのか・・・。 大宮:気にすんなって。淳一と川口さん、お似合いだと思うよ。おめでとう。 近江谷:ありがと。和也とはこれからも、いい友達のままでいたいんだけど。 大宮:当たり前だろ。 近江谷:いや、でも、しばらくはお前の部屋に行くの遠慮しとこうかな。 大宮:なんで? 近江谷:襲われたら困るし。 大宮:そんなことしねぇよ。 近江谷:もしそんなことになったら、俺も流されてしまうかもしれない。 大宮:なに言ってんの? 襲わないよ。 近江谷:(パニック)もうどうしたらいいかわかんないよ! 大宮:だから襲わないって言ってんだろ! 近江谷:(想像が膨らんで言葉にならない)・・・。 大宮:(笑いながら肩を組む)わかってるって。俺と遊ぶより川口さんを優先しろよ。ちょっと寂しいけど我慢するから。 近江谷:(硬直)おう。ホントにごめんな。 大宮:だからもう気にすんなって。 近江谷:それと、肩に回した手を離してもらってもいいですか。 大宮:なんだよ。いつもはお前からやってくるくせに。  :  さくら:あの、店長。 店長:なに? さくら:あの、えっと、大宮くんから聞きました? 店長:なにを? さくら:だから、私と大宮くんが、その・・・。(つきあってるって) 店長:ああ、おお。聞いた聞いた。(シフト代わるって) さくら:実は、そういうことなんで。 店長:おお、わかったよ。 さくら:・・・あー、あの。 店長:なに? どしたの? さくら:(不満)リアクション薄くないですか? 店長:え、なにが? さくら:もうちょっとビックリしてくれてもいいのに。 店長:そんなことでいちいち驚いてらんないよ。 さくら:そんなことって、よくあることなんですか? 店長:多い時は一日に三回くらいあったよ。 さくら:そんなに沢山? 知らなかった。誰と誰? 店長:そういう時はちゃんと俺に言ってくれれば問題ないから。 さくら:あ、やっぱり報告しなきゃダメだったんですね。 店長:当たり前だろ。あー、そんなことより川口さん。 さくら:はい。 店長:川口さんのお姉さんって肉食系? さくら:は? 店長:さっき、すっごいアプローチされたんだけど。ドキドキしちゃった。 さくら:えー、なにやってんのお姉ちゃん。 店長:俺のこと何か言ってた? さくら:さっき店長のこと「好きな顔だ」って言ってました。 店長:マジか! ひょっとしてモテ期が来ちゃった? あんな美人が俺のことを!? さくら:お姉ちゃん美人かなぁ。 店長:川口さん、俺、そろそろ新しい恋を始める時かもしれない。 さくら:は? 店長:お姉さんとつきあってもいいかな? さくら:勝手にしてください。 店長:いつか俺のこと、お義兄さんって呼んでくれよ。 さくら:それは絶対嫌です。  :  近江谷:あの、お姉さん。 あかね:ん、なに? 近江谷:やっぱりアイツ、俺のこと好きだったみたいです。 あかね:だから言ったでしょ。 近江谷:ありがとうございました。教えてくれなかったら、どうなっていたか。 あかね:どうなってたの? 気になる。 近江谷:でも大丈夫です。ちゃんと「いい友達のままでいたい」って、ハッキリ言いました。 あかね:そしたら? 近江谷:「当たり前だろ」って。寂しそうに笑ってました。 あかね:そっか。青春だね。  :  店長:田中! 大宮:はい、田中です。 店長:お前、すっかり田中が板についてきたな。 大宮:なんなんですかそれ。 店長:お前、嘘ついたな。美咲・・・オオミヤのお姉さん、どこにもいないじゃん。 大宮:いますよ。71番に。 店長:71番にいるのは川口さんのお姉さんだろ。 大宮:え!? そうなんですか!? 店長:顔似てるだろ。なんで気づかないんだよ。 大宮:言われてみれば確かに。え、ちょっと待ってください。俺はさっきまで、川口さんのお姉さんと話してたってことですか? 店長:だからそう言ってるだろ。 大宮:ということは・・・あれ? どういうこと? ああああ! 店長:なんだよ!? 大宮:俺はもしかしたら、川口さんのお姉さんにとんでもない誤解をされているかもしれません。 店長:なんだよそれ? 大宮:たぶん、俺が淳一のことを好きだと思われてる・・・。 店長:え、お前らやっぱりそういう関係だったの? 大宮:違いますよ!  :  近江谷:川口さん。 さくら:なに? 近江谷:今日のバイト終わった後、どうする? さくら:あ、ちょっと用事が。えへへへぇ。 近江谷:そうなんだ。 さくら:何かあったの? 近江谷:いや。返事聞かせてくれたら嬉しいなって。 さくら:返事? 近江谷:いや、川口さんの気持ちはもうお姉さんから聞いてるんだけど、ちゃんと川口さんの口からも聞きたいなぁって。 さくら:なんの話?  :  大宮:淳一! 近江谷:おう、どうした? 大宮:ちょっと来てくれ。 近江谷:どこに? 大宮:71番。川口さんのお姉さんがいるテーブル。 近江谷:何かあったの? 大宮:誤解を解くためにお前も一緒に来てほしいんだよ。 近江谷:誤解ってなに? 大宮:いいから。 さくら:どうしたの、大宮くん? 大宮:川口さん、少し抜けるけど、お願い出来る? さくら:ひょっとして、お姉ちゃんが何かやらかしたの? 大宮:そうじゃない。とりあえず、川口さんは来なくて大丈夫。 さくら:よくわかんないけど、わかった。  :  近江谷:お姉さん。 あかね:あ、オオミヤくん。ごちそうさま。パスタ美味しかったよ。 近江谷:ありがとうございます。 大宮:すいません。俺、お姉さんのこと、コイツのお姉さんだと勘違いしてて。 あかね:あれ? そうだったの? 大宮:川口さんのお姉さんだったんですね。 あかね:当たり前じゃない。見ればわかるでしょ。それで? 大宮:だから、さっき俺が「好きだ」って言ったのはコイツのことじゃないんです。 あかね:え? じゃあ誰が好きなの? 大宮:それは・・・。 近江谷:和也? 大宮:俺が好きなのは川口さんです。 あかね:ええええ! 私!? 大宮:違います。妹さんのほう。 あかね:そうだよね。そりゃそうだよね。びっくりしたぁ。 大宮:だから・・・。 近江谷:お前やっぱり川口さんが好きだったの? 大宮:そうだよ。 あかね:じゃ、オオミヤくんも田中くんも、私の妹が好きってこと? 大宮:はい。 あかね:さくらってモテるのねぇ。羨ましい。 近江谷:和也は俺のことが好きなんじゃないの!? 大宮:なんで俺がお前のこと好きにならなきゃいけないんだよ。 近江谷:そうだよな。おかしいと思ったんだ。だけどなんかそれはそれでちょっとショック。 大宮:おかしいのはお前の頭と顔だ。 近江谷:ええ、ひどい。俺たち近江谷・大宮コンビだろ。 大宮:コンビは今日で解散。 近江谷:なんで? 近江谷:近江谷・大宮コンビでエムワンで優勝するって約束したのに。 大宮:だからしてねぇよ。それに、俺がお前の隣にいたら川口さんの邪魔になるだろ。 あかね:ちょ、ちょっと待って。一つ質問があるんだけど。 大宮:はい。 あかね:オオミヤオオミヤコンビってなに? 近江谷:俺が近江谷で、こっちが大宮だから、近江谷・大宮コンビなんです。 あかね:あなた、田中くんでしょ? 大宮:今日は田中なんですけど、普段は大宮なんです。 あかね:よくわかんないんだけど、つまりあなたもオオミヤくんってことね? 大宮:はい。俺が大宮で、こっちが近江谷です。 あかね:・・・えーっと・・・オオミヤが二人いるってことは・・・あれぇ? さくらー! さくら:お姉ちゃん、大声で呼ばないでよ、恥ずかしい! あかね:聞きたいことがあるんだけど・・・。 さくら:なに? 忙しいから早くしてよ。 あかね:さくらの彼氏って、どっち? さくら:ええっ、なんなの? あかね:教えて。 さくら:大宮くん。 大宮:俺!? 近江谷:へ? 彼氏は俺でしょ? さくら:二人ともなんでそんなに驚いてるの? 大宮:俺、いつの間に川口さんの彼氏になったの? さくら:さっき、告白の返事したじゃん。 大宮:いつ!? さくら:忘れちゃったの? 大宮:川口さんが淳一に告白して、淳一がオッケーしたんじゃなかったの? さくら:は? 大宮:いやいや違う違う。そもそもそれが勘違いなんだから・・・。 近江谷:川口さんに告白したのは俺だよ! 大宮:お前が!? さくら:近江谷くんが私に告白!? 近江谷:なんで川口さんまでそんな顔するの!? 昨日、電話で告白しただろ! さくら:されてない! あかね:あ、告白されたのは私。 近江谷:お姉さん!? 大宮:ええ!? 淳一は川口さんじゃなくて、お姉さんが好きなの!? 近江谷:違ぇよ! 店長:お前ら、いい加減にしろよ。早く手伝え! 近江谷:店長は黙っててください! 店長:なんだと!? 大宮:今、大事な話をしてるんです! 店長:俺だってあかねさんと話したいのに我慢して仕事してんだぞ! あかね:やだ、嬉しい。 大宮:店長、この人は淳一のお姉さんじゃなくて、川口さんのお姉さんなんですよ!? 店長:そんなこと知ってるよ! あかね:店長さん、私もあなたとお話したい! さくら:お姉ちゃんと店長はちょっと黙ってて! 店長:川口さんまでそんなこと言うの!? さくら:みんな、いったん落ち着いて。 大宮:おう。 近江谷:わかった。 さくら:はい、みんな、一回深呼吸。  :  0:全員で深呼吸。  :  あかね:つまり・・・どういうこと? さくら:昨日、電話で私に告白してくれたのは、近江谷くん? 近江谷:そうだよ。 さくら:電話に出たお姉ちゃんは、それを大宮くんだと勘違いして・・・。え、でも着信履歴は大宮くんだったよね? 近江谷:それは俺が和也のスマホからかけたから。 さくら:なんでそんなことしたの? 近江谷:ビックリするかなと思って。 あかね:つまり私がこっちのオオミヤくんを、こっちのオオミヤくんと勘違いしたってこと? いや、わかんない。同じ名前じゃない。 さくら:全然違う。こっちが大宮くんで、こっちが近江谷くん。 あかね:わかんないわよ。 店長:わかんないですよねぇ。 あかね:気が合いますね。 店長:合いますねぇ。 さくら:ごめんなさい、近江谷くん。 近江谷:えっ・・・。 さくら:私が好きなのは、大宮くんだから。 大宮:川口さん・・・。 さくら:大宮くん、さっき「じゃあよろしくね」って言ってくれたよね? 大宮:あっ! さくら:あれはどういうこと? 大宮:シフト代わってくれるって話かと思ってた。 さくら:そっちかー! 私、あの時、超嬉しかったのに。 近江谷:俺の告白を和也が横取りしたってこと? 大宮:そもそも淳一が俺のスマホで電話したから、ややこしくなったんだろ。 近江谷:そうだけどさ。なんか納得いかねぇ。 さくら:私は告白されてないのに、オッケーの返事しちゃったの? 大宮:そうなるのかな。 さくら:じゃあ大宮くんは私のことなんとも思ってなかったってこと? 大宮:川口さん。 さくら:はい。 大宮:あのさ。なんか、順番が逆になっちゃったけど。俺、川口さんが好きです。つきあってください。 さくら:はい。よろしゅくお願いしゅます! あかね:(拍手)おぉぉ。 店長:青春だねぇ。 あかね:おめでとう、さくら。 店長:って言うか、仕事中に告白すんなよ。 近江谷:(無理して笑う)二人ともよかったなー。俺が協力した甲斐があったよ。 大宮:え? 近江谷:二人が好き同士だってことはバレバレだったからさ。二人をくっつけるために、俺がピエロになってやったんだよ。 大宮:え、でも。 近江谷:わかるだろ。そういうことだよ。 大宮:どういうこと? 近江谷:だから、そういうことだよ。 大宮:もうちょっとわかりやすく言ってくれよ。 近江谷:察しろよ。なんでわかんねぇんだよ。お前と川口さんをくっつけるための作戦だったの。そういうことにしてくれって言ってんだよ! 大宮:・・・淳一。 さくら:近江谷くん・・・。 近江谷:たまには俺とも遊んでくれよ。 大宮:当たり前だろ。また3人で遊びに行こうぜ。 さくら:そうだよ。 近江谷:俺、邪魔じゃない? 大宮:そんなわけないだろ。 あかね:これで一件落着ね。 店長:じゃあ、そろそろ仕事に戻れ。近江谷、レジにお客さん! 近江谷:はい! 店長:田中、料理出てる。急げ! 大宮:はい! 店長:川口さん、52番片付けて! さくら:はい! 店長:(ため息)やれやれ。 あかね:テキパキと指示を出す店長さん、ステキです。 店長:えっ、ありがとうございます。照れますねぇ。 あかね:(笑) 店長:(笑) あかね:それで・・・。 店長:はい。 あかね:さっき、私に話したいことがあるって言ってませんでした? 店長:あっ、はい。あかねさん。 あかね:はい。 店長:俺と・・・。俺と結婚を前提におつきあいして下さい! あかね:・・・はい。 大宮:店長、仕事中に告白しないで下さい。 店長:お前にだけは言われたくねぇよ! 大宮:早く仕事に戻って! 店長:わかってるよ。今いいところなんだよ! 近江谷:店長! 店長:なんだよ、お前まで! 近江谷:姉ちゃんが来ました! 店長:はあ!? 近江谷:俺の姉ちゃんが来ました! 店長に大切な話があるそうです。 店長:帰ってもらええええ! 近江谷:そんなあ! さっきと言ってること違いますよ!? 大宮:なに言ってるんですか。店長がずっと大好きだった人が店に来たんですよ! 店長:そうだけど! 大宮:今度店に来たらプロポーズするって言ってたじゃないですか! 店長:それはもういいんだよ! さくら:はああ!? 店長、私のお姉ちゃんとは遊びだったんですか!? 店長:なんでそうなるんだよ! さくら:店長の浮気者! 店長:ああああ、うるせぇ、お前ら仕事しろ! あかね:店長さん。 店長:はっ、はい! あかね:どういうことなのか、説明してもらえますか? 店長:ええっと、それはそのぉ・・・。今は仕事中なんで勘弁して下さーい!  :  0:おしまい。