台本概要

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タイトル マリーゴールドの遺書
作者名 よぉげるとサマー  (@gerutohoukai)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 女性1人台本ですが、お好きに性別は変更してください。
劇の音声が残るようにしてくれる場合は、ご共有下されば幸いです。是非、聴きたいです。
あと、感想もくれると喜びます

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
金鞠 1 たぶん最後の人類
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
金鞠:あー、あー。 金鞠:どうだろ、これで? 金鞠:んー……OK? 金鞠:あぁ……うん、いいね。 金鞠:じゃ、本番ってことで。 金鞠:…………えー、どうも。 金鞠:皆さん……お一人かもしれないけど。 金鞠:とりあえず、私の見た限りだけど……って感じにはなっちゃいますが。 金鞠:たぶん、人類は滅びました。 金鞠:きっと、もう私一人なんだろうなって思うんですけど。 金鞠:…………。 金鞠:やることも無いし、もしかしたら私の他にも人類を探している人が居たとしたら……って思ってね。 金鞠:映像記録に残してみてます、いぇーい、見てるー? 金鞠:見てたからって、なんだって感じですけどねっ。 金鞠:いやー、見切り発車な感じで、喋ること決めて無いから、ぐだぐだと中身の無い情報になるなぁ、これ。 金鞠:この記録を見てる時間は、もしかしたら無駄以外の何物でも無いかもよっ、て……まぁ、自己満足だから、いっか。 金鞠:……んー、ちょっと世間話とかしようか。 金鞠:いやー、まさか人類が滅びるなんて思わなかったよね。 金鞠:まあ、人口は百年以上前から減少傾向にあったらしいけどさ。 金鞠:そこに今回のこれだからね。 金鞠:…………。 金鞠:減ってるとこに、減るようなことされたらねー……終わりだよ、それはさ。 金鞠:ウィルスとか、ゾンビとか、隕石とか。 金鞠:なんか、そういう色々を乗り越えて来た我々がさ。 金鞠:こんな感じで追い詰められて、呆気なく……かと言うと、そうでも無いけど、三十年経たずに絶滅してしまうなんてさ……。 金鞠:すごいなぁ、みたいな。 金鞠:感動に近いものを感じたりするよね。 金鞠:…………はぁ。 金鞠:結構なんか……それなりに盤石に思えてたんだよね、傍観者側からするとさ。 金鞠:偉い立場の人とか、なんとかしようとしてくれてた人の側からしたら、必死だったんだろうなぁ。 金鞠:下手にね、馬鹿正直に公表してたら……もっと早く絶滅してたろうし、私だって今生きて、これ撮れて無かったかもだし。 金鞠:……うん、まあ、結局は結局ね。 金鞠:ダメだったってことですけど。 金鞠:漠然と妄想していた『終わり』ってやつが、ちゃんと現実になったよ、ってね。 金鞠:……ははっ。 金鞠:…………ねぇ、考えたことなかった? 金鞠:人類が滅んだ世界で、自分だけが一人生き残るって。 金鞠:……私は考えたことあるよ、しかも現実になってるけど、たぶんね。 金鞠:あぁ、たぶんって、何回もそんな感じの言葉使うけどさ、許してね。 金鞠:もしかしたらって、まだ思ってたいから。 金鞠:…………うん、でさ、あれよ。 金鞠:……なんだっけ……あ、そうそう……えっと? 金鞠:あー…………そう、自分だけ生き残るって考えたことあるよねってやつ! 金鞠:いやぁ、すぐ話、脱線すると思い出せなくなる。 金鞠:これもあるあるだよね? 金鞠:歳のせいとか……なんかじゃなく、ね? 金鞠:……っと、忘れる前に話戻すか。 金鞠:……はぁ。 金鞠:夢は叶うって言うけど、そんな妄想さ、現実になんなくて良いのにね、実際。 金鞠:誰だって、特殊なシュチュエーションで、特別な存在になりたいって思うじゃない? 金鞠:そんで、なんだかんだ起こっても、自分の思っている以上に、自分は優秀で力強くて、意欲的で、勇気があって、頼れて、カッコ良くて……あはは、この時点で自分じゃ無いのにね。 金鞠:そんな別人になれたらなって……思い描いちゃうことって、あるじゃん? 金鞠:仕方ないよね、自分なんて弱くて、ダサくて、何にもできなくて……ほんと、どうしてまだ生きてんのやら、ってさ。 金鞠:…………思うねぇ……ほんと。 金鞠:……実際のところ、逃げたり、運が良かったりね。 金鞠:何にもできないのが幸いしたりして、上手いこと今に至ってるんだけど。 金鞠:……すんごい自分嫌いになったわ! 金鞠:ほんと、こんな何もできない? ってなるね! 金鞠:自分にすごいイラつくんだけどね、何にも改善しようとしないの自分! 金鞠:なんなの! いや、私自身の話なんだけど、なんなの! 金鞠:次は死ぬ、もうダメだ、早く終わりにして、って思うのに、なーんか生き残ってさ。 金鞠:……なんなの、自分。 金鞠:周りに居た人は、皆死んじゃったのに。 金鞠:……自分なんかが、どうしてって。 金鞠:……思っちゃうよね。 金鞠:……思っちゃうよ……どうしてもさ。 金鞠:もっと、上手くできたと思う。 金鞠:私じゃ無かったら。 金鞠:全然、違ってたはず。 金鞠:……だから、だよね。 金鞠:強い……自分じゃない誰かを……妄想しちゃうのは。 金鞠:…………ごめん。 金鞠:つまんないし、意味ないね、こんなの。 金鞠:結論は、私以外、もう居ない。 金鞠:そんで、できる限りの方法を使って、生き残りを探したけど……見つかんない。 金鞠:そういうことです。 金鞠:……あ、言うてあんま努力してないだろ、って思ってない? 金鞠:それがね……一人になってもう五年経ちました。 金鞠:…………。 金鞠:もう、必死に探してたよ。 金鞠:一年くらい鬱みたいになって全然喋んないでいたら、言葉発せなくなりかけたこともあったし。 金鞠:すごい怪我して、いよいよダメだって思ったことも何度かあったよ。 金鞠:でもねー……なんでかね。 金鞠:……死にたくは、無かったんだろうなぁ。 金鞠:…………弱いんだなぁ、そういう道も選べないくらい。 金鞠:……これ撮ってる間もね、ずーっと、広域に聴こえるスピーカーでさ、リアルタイムに声を発信してたりさ。 金鞠:生きてる電波使って、音声通信も飛ばしてるんだけどね。 金鞠:……っつ。 金鞠:……まぁ……どうだろうね。 金鞠:三年、試してるけど、このざまだから。 金鞠:……うん。 金鞠:……外にいる間、自分の声なんて聴きたく無かったから、やってなかったけど。 金鞠:ここを去るまでには、録音ずっと流してるのに切り替えないとなぁ。 金鞠:めんどくさいんだよね、そういう設定も。 金鞠:……あー、やりたく、なぁい。 金鞠:…………まあ、やるけど。 金鞠:…………いてて……はははっ。 金鞠:…………くそぅ。 金鞠:……ねぇ、誰か居る? 金鞠:……誰か、聴いてる? 金鞠:……聞こえてる? 金鞠:…………これは、遺書になるんだよね、私の。 金鞠:だからって、誰にも、何も残せやしないけどさ。 金鞠:……ここ見つけた誰かが、同じように使えるように、マニュアル作っておかないとなぁ。 金鞠:……世界は広いから、きっと誰かいるよね。 金鞠:……私が、助けてあげられる、誰かが。 金鞠:…………大したこと、できないけどさ。 金鞠:……あのね。 金鞠:…………なんか、抱きしめたい。 金鞠:……それで、抱きしめて欲しい。 金鞠:…………いや、やっぱいいんだ。 金鞠:……最後の人類って……なんかカッコいいし。 金鞠:それで……いいか。 金鞠:…………あ、そうか。 金鞠:まだ、だめか。 金鞠:……そうだそうだ……このままじゃ……そうだ。 金鞠:…………ん。 金鞠:……あぁ……だめだめ。 金鞠:ほら、だめだから。 金鞠:……私、まださ……できてないし。 金鞠:……音が、ね。 金鞠:聞こえなくなるって……誰にも。 金鞠:…………そ、う。 金鞠:…………うん。 金鞠:……だけど、さ。 金鞠:…………そう……ね。 金鞠:……まだ、作って、ないよ? 金鞠:…………なん、にも。 金鞠:…………の、こせない、よ? 金鞠:…………たすけ、られない。 金鞠:………………。 金鞠:…………きっと。 金鞠:…………私。 金鞠:………から。 金鞠:………………。 金鞠:………………。 金鞠:………………。 0:…………すごい。 0:……がんばったね。 0:……えらいよ。 0:…………疲れたね。 0:……ありがとう。 0:すごく、助かったよ。 0:…………おやすみ。 0:  0:おわり

金鞠:あー、あー。 金鞠:どうだろ、これで? 金鞠:んー……OK? 金鞠:あぁ……うん、いいね。 金鞠:じゃ、本番ってことで。 金鞠:…………えー、どうも。 金鞠:皆さん……お一人かもしれないけど。 金鞠:とりあえず、私の見た限りだけど……って感じにはなっちゃいますが。 金鞠:たぶん、人類は滅びました。 金鞠:きっと、もう私一人なんだろうなって思うんですけど。 金鞠:…………。 金鞠:やることも無いし、もしかしたら私の他にも人類を探している人が居たとしたら……って思ってね。 金鞠:映像記録に残してみてます、いぇーい、見てるー? 金鞠:見てたからって、なんだって感じですけどねっ。 金鞠:いやー、見切り発車な感じで、喋ること決めて無いから、ぐだぐだと中身の無い情報になるなぁ、これ。 金鞠:この記録を見てる時間は、もしかしたら無駄以外の何物でも無いかもよっ、て……まぁ、自己満足だから、いっか。 金鞠:……んー、ちょっと世間話とかしようか。 金鞠:いやー、まさか人類が滅びるなんて思わなかったよね。 金鞠:まあ、人口は百年以上前から減少傾向にあったらしいけどさ。 金鞠:そこに今回のこれだからね。 金鞠:…………。 金鞠:減ってるとこに、減るようなことされたらねー……終わりだよ、それはさ。 金鞠:ウィルスとか、ゾンビとか、隕石とか。 金鞠:なんか、そういう色々を乗り越えて来た我々がさ。 金鞠:こんな感じで追い詰められて、呆気なく……かと言うと、そうでも無いけど、三十年経たずに絶滅してしまうなんてさ……。 金鞠:すごいなぁ、みたいな。 金鞠:感動に近いものを感じたりするよね。 金鞠:…………はぁ。 金鞠:結構なんか……それなりに盤石に思えてたんだよね、傍観者側からするとさ。 金鞠:偉い立場の人とか、なんとかしようとしてくれてた人の側からしたら、必死だったんだろうなぁ。 金鞠:下手にね、馬鹿正直に公表してたら……もっと早く絶滅してたろうし、私だって今生きて、これ撮れて無かったかもだし。 金鞠:……うん、まあ、結局は結局ね。 金鞠:ダメだったってことですけど。 金鞠:漠然と妄想していた『終わり』ってやつが、ちゃんと現実になったよ、ってね。 金鞠:……ははっ。 金鞠:…………ねぇ、考えたことなかった? 金鞠:人類が滅んだ世界で、自分だけが一人生き残るって。 金鞠:……私は考えたことあるよ、しかも現実になってるけど、たぶんね。 金鞠:あぁ、たぶんって、何回もそんな感じの言葉使うけどさ、許してね。 金鞠:もしかしたらって、まだ思ってたいから。 金鞠:…………うん、でさ、あれよ。 金鞠:……なんだっけ……あ、そうそう……えっと? 金鞠:あー…………そう、自分だけ生き残るって考えたことあるよねってやつ! 金鞠:いやぁ、すぐ話、脱線すると思い出せなくなる。 金鞠:これもあるあるだよね? 金鞠:歳のせいとか……なんかじゃなく、ね? 金鞠:……っと、忘れる前に話戻すか。 金鞠:……はぁ。 金鞠:夢は叶うって言うけど、そんな妄想さ、現実になんなくて良いのにね、実際。 金鞠:誰だって、特殊なシュチュエーションで、特別な存在になりたいって思うじゃない? 金鞠:そんで、なんだかんだ起こっても、自分の思っている以上に、自分は優秀で力強くて、意欲的で、勇気があって、頼れて、カッコ良くて……あはは、この時点で自分じゃ無いのにね。 金鞠:そんな別人になれたらなって……思い描いちゃうことって、あるじゃん? 金鞠:仕方ないよね、自分なんて弱くて、ダサくて、何にもできなくて……ほんと、どうしてまだ生きてんのやら、ってさ。 金鞠:…………思うねぇ……ほんと。 金鞠:……実際のところ、逃げたり、運が良かったりね。 金鞠:何にもできないのが幸いしたりして、上手いこと今に至ってるんだけど。 金鞠:……すんごい自分嫌いになったわ! 金鞠:ほんと、こんな何もできない? ってなるね! 金鞠:自分にすごいイラつくんだけどね、何にも改善しようとしないの自分! 金鞠:なんなの! いや、私自身の話なんだけど、なんなの! 金鞠:次は死ぬ、もうダメだ、早く終わりにして、って思うのに、なーんか生き残ってさ。 金鞠:……なんなの、自分。 金鞠:周りに居た人は、皆死んじゃったのに。 金鞠:……自分なんかが、どうしてって。 金鞠:……思っちゃうよね。 金鞠:……思っちゃうよ……どうしてもさ。 金鞠:もっと、上手くできたと思う。 金鞠:私じゃ無かったら。 金鞠:全然、違ってたはず。 金鞠:……だから、だよね。 金鞠:強い……自分じゃない誰かを……妄想しちゃうのは。 金鞠:…………ごめん。 金鞠:つまんないし、意味ないね、こんなの。 金鞠:結論は、私以外、もう居ない。 金鞠:そんで、できる限りの方法を使って、生き残りを探したけど……見つかんない。 金鞠:そういうことです。 金鞠:……あ、言うてあんま努力してないだろ、って思ってない? 金鞠:それがね……一人になってもう五年経ちました。 金鞠:…………。 金鞠:もう、必死に探してたよ。 金鞠:一年くらい鬱みたいになって全然喋んないでいたら、言葉発せなくなりかけたこともあったし。 金鞠:すごい怪我して、いよいよダメだって思ったことも何度かあったよ。 金鞠:でもねー……なんでかね。 金鞠:……死にたくは、無かったんだろうなぁ。 金鞠:…………弱いんだなぁ、そういう道も選べないくらい。 金鞠:……これ撮ってる間もね、ずーっと、広域に聴こえるスピーカーでさ、リアルタイムに声を発信してたりさ。 金鞠:生きてる電波使って、音声通信も飛ばしてるんだけどね。 金鞠:……っつ。 金鞠:……まぁ……どうだろうね。 金鞠:三年、試してるけど、このざまだから。 金鞠:……うん。 金鞠:……外にいる間、自分の声なんて聴きたく無かったから、やってなかったけど。 金鞠:ここを去るまでには、録音ずっと流してるのに切り替えないとなぁ。 金鞠:めんどくさいんだよね、そういう設定も。 金鞠:……あー、やりたく、なぁい。 金鞠:…………まあ、やるけど。 金鞠:…………いてて……はははっ。 金鞠:…………くそぅ。 金鞠:……ねぇ、誰か居る? 金鞠:……誰か、聴いてる? 金鞠:……聞こえてる? 金鞠:…………これは、遺書になるんだよね、私の。 金鞠:だからって、誰にも、何も残せやしないけどさ。 金鞠:……ここ見つけた誰かが、同じように使えるように、マニュアル作っておかないとなぁ。 金鞠:……世界は広いから、きっと誰かいるよね。 金鞠:……私が、助けてあげられる、誰かが。 金鞠:…………大したこと、できないけどさ。 金鞠:……あのね。 金鞠:…………なんか、抱きしめたい。 金鞠:……それで、抱きしめて欲しい。 金鞠:…………いや、やっぱいいんだ。 金鞠:……最後の人類って……なんかカッコいいし。 金鞠:それで……いいか。 金鞠:…………あ、そうか。 金鞠:まだ、だめか。 金鞠:……そうだそうだ……このままじゃ……そうだ。 金鞠:…………ん。 金鞠:……あぁ……だめだめ。 金鞠:ほら、だめだから。 金鞠:……私、まださ……できてないし。 金鞠:……音が、ね。 金鞠:聞こえなくなるって……誰にも。 金鞠:…………そ、う。 金鞠:…………うん。 金鞠:……だけど、さ。 金鞠:…………そう……ね。 金鞠:……まだ、作って、ないよ? 金鞠:…………なん、にも。 金鞠:…………の、こせない、よ? 金鞠:…………たすけ、られない。 金鞠:………………。 金鞠:…………きっと。 金鞠:…………私。 金鞠:………から。 金鞠:………………。 金鞠:………………。 金鞠:………………。 0:…………すごい。 0:……がんばったね。 0:……えらいよ。 0:…………疲れたね。 0:……ありがとう。 0:すごく、助かったよ。 0:…………おやすみ。 0:  0:おわり