台本概要

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タイトル 御魔守(おまもり)を抱きしめて
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
たとえ生まれ変わってもあなたのことは忘れない。この御魔守(おまもり)がある限り。

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
玲奈 42 本城 玲奈(ほんじょう れな)。高校1年生(16歳)。明るくて活発な女の子。レミアと兼役。
母親 2 玲奈の母親。天使長と兼役。
龍彦 40 大川 龍彦(おおかわ たつひこ)。玲奈の幼馴染でクラスメイト。「オカルト研究部」所属。割と物事をハッキリというタイプ。
すみれ 22 山岡(やまおか) すみれ。龍彦と同じ「オカルト研究部」の部長。好奇心旺盛で謎解きが大好き。天使長と兼役。
レミア 18 天使レミア。優しい心を持つ天使。玲奈と兼役。
ギルス 26 上位悪魔ギルス。悪魔でありながら優しい心の持ち主。
天使長 12 天使長ファウエル。レミアたち天使を束ねる存在で天界裁判所の裁判長も兼ねる。玲奈の母親、すみれと兼役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:*御魔守《おまもり》を抱き締めて : 登場人物: 玲奈:*本城 玲奈《ほんじょう れな》。高校1年生(16歳)。明るくて活発な女の子。レミアと兼役。 母親:玲奈の母親。天使長と兼役。 龍彦:*大川 龍彦《おおかわ たつひこ》。玲奈の幼馴染でクラスメイト。「オカルト研究部」所属。割と物事をハッキリというタイプ。 すみれ:*山岡《やまおか》 すみれ。龍彦と同じ「オカルト研究部」の部長。好奇心旺盛で謎解きが大好き。天使長と兼役。 レミア:天使レミア。優しい心を持つ天使。玲奈と兼役。 ギルス:上位悪魔ギルス。悪魔でありながら優しい心の持ち主。 天使長:天使長ファウエル。レミアたち天使を束ねる存在で天界裁判所の裁判長も兼ねる。玲奈の母親、すみれと兼役。 :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 玲奈:お母さん、行ってきまーす! 母親:玲奈、行ってらっしゃい!気を付けてね! 玲奈:はーい! 玲奈:(M)私の名前は*本城 玲奈《ほんじょう れな》。明るく元気な女子高生だ。ただ一つ人と違う所があるとすれば、生まれつき胸の中央に星形の*痣《あざ》があるということくらいだ。私は優しい両親の元で毎日元気に日々の生活をエンジョイしている。 : 玲奈:さぁて、今日も一日頑張るか! 龍彦:おはよう玲奈! 玲奈:おはよう!*龍彦《たつひこ》。 龍彦:なあ、知ってるか?例の心霊スポットでまた女子高生が失踪したんだってよ。 玲奈:もう!朝からテンション下がるような話やめてよね。ただでさえお化けとかオカルトチックな話は苦手なんだから。 龍彦:あ、そうだったな。ごめんな。 玲奈:分かればよろしい。それで?その話、具体的にはどんな内容なの? 龍彦:結局聞きたいのかよ!お前、今さっきこの手の話はするなって言ったばかりじゃんか。 玲奈:い、一応予備知識として知っておきたいだけよ。それとも何?龍彦は私が失踪事件に巻き込まれてもいいって言うの? 龍彦:いや、そういうわけじゃないけどさ。*興味津々《きょうみしんしん》にしか見えなかったから。 玲奈:そんなことあるわけないじゃん!お化け屋敷だって怖くて入れないのに。 龍彦:分かったよ。そういうことにしとくよ。それでさっきの話だけど、学校の裏山に小さな泉があるんだけどな、そこが冥界と繋がっているって噂があるんだ。 玲奈:冥界…つまり死者の世界ってこと? 龍彦:ああ、昔は神聖な水が湧き出す不思議な泉っていうことで*一時《いっとき》テレビでも取り上げられたくらい有名な場所だったんだけどな、ある時期からピタリと水が湧いて来なくなって、代わりにどんどん泉の水が*淀《よど》み始めたんだ。そのあたりからかな、近付く者は冥界に引きずり込まれるなんて噂が流れるようになったのは。 玲奈:ふぅん。そんなことがあったのね。龍彦、ヤケに詳しいじゃない? 龍彦:そりゃ俺だって一応「オカルト研究部」の部員だからな。それくらい知ってて当然だよ。 玲奈:学校の裏山にある泉ねぇ…。 龍彦:おい、言っとくけどマジで行こうなんて思うんじゃねーぞ! 玲奈:行かないわよ。 龍彦:なら良いけどよ。 玲奈:あら?珍しく心配してくれるじゃない? 龍彦:お、俺はお前の幼馴染として心配してやってるだけだかんな! 玲奈:うふふ…龍彦可愛い。 龍彦:か、からかうなって!さっさと学校行くぞ! ギルス:(ほう…あれが我らが*仇《かたき》、天使レミアの生まれ変わりか。魔王様も人遣いが荒い。あの程度の小娘一人殺るのにわざわざ上位悪魔の俺を指名するなんてな。まあいい、せっかく人間界まで来たんだ。じっくりといたぶってからその魂を喰らい尽くしてやる。) 玲奈:(ん?何か胸の辺りがソワソワする…。) 龍彦:おーい!玲奈!グズグズしてると置いてくぞ! 玲奈:あ、待ってよー! ギルス:(ん?俺の気配に気付いたか。ふふふ…さて、どうやって始末するか。) : :〈昼休みにて〉 龍彦:んー!〈大きく伸びをする〉ようやく昼休みか。さぁて、先日仕入れた心霊現象の情報でもまとめるか。 すみれ:…ねぇ龍彦君。今時間ある? 龍彦:ん?すみれ、どうしたんだ?オカルト研究部部長から*直々《じきじき》に頼み事なんて珍しいじゃないか。 すみれ:あなたにしか頼めないことなの。ここじゃ話せない事だから一緒に部室に行きましょ。 龍彦:ああ。分かった。 : :〈オカルト研究部部室〉 龍彦:で、部室に着いたけど、俺に頼み事って何だ? すみれ:ねぇ…龍彦君。私と一緒に裏山の泉の調査に付き合ってくれない? 龍彦:いやいや無理だって! すみれ:どうして?あの泉の謎が解明出来たらうちのオカルト研究部の株も爆上がりするのよ。 龍彦:いや、それはそうかもしれないけど、あそこがどれだけ危険な場所かお前が誰よりも分かってるだろ? すみれ:あら?龍彦君、もしかしてビビってんの? 龍彦:ちげーよ!こないだも失踪事件があったばかりなんだぞ!そんな危険な所に調査に行くだなんてどうかしてるぞ! すみれ:じゃあさ。龍彦君、その代わり私の目をじっと見て。 龍彦:えっ…?(何だこの感覚…すみれの目が赤く光って…だんだん意識が吸い込まれていく…) すみれ:うふふ…龍彦君。それじゃあ私と一緒に行きましょうか。 龍彦:うん…。 すみれ:あ、そうだ。玲奈さんにも連絡入れといてね。 龍彦:分かった…。 : :〈放課後〉 玲奈:(もう放課後なのに龍彦どこ行ったんだろ?いつもならこの時間には校門で待ってるはずなんだけどな。)おっ…龍彦からメールだ。 龍彦:〈メール内容〉「今から裏山の泉の調査に行ってくるから先に帰っててくれ。」 玲奈:え!?裏山の泉って今朝話してた失踪事件があった泉のことよね?龍彦があれだけ行くなって言ってた場所に自分から行こうとするなんて絶対におかしい…何か胸騒ぎがする。こうしちゃいられないわ!私も行かなきゃ! : 玲奈:はぁ…はぁ…結構歩いたけどまだ着かないのかしら?あれ?あそこに小さく「*神来《しんき》の泉」って標識があるわ。 龍彦:よう、玲奈…来てくれたのか。 玲奈:ひっ!びっくりした!何だ龍彦かぁ。良かった…無事だったのね! 龍彦:おう。 玲奈:そちらの方は? 龍彦:この人はオカルト研究部部長の*山岡《やまおか》 すみれだ。 すみれ:玲奈さんね。初めまして。あなたのことは龍彦君から聞いているわ。よろしくね、 玲奈:は、初めまして。すみれさん。よろしくお願いします。 龍彦:この先が泉だ。じゃあ行くぞ。 すみれ:ええ。行きましょう。 玲奈:ちょ、ちょっと慎重に進まないと危ないわよ。 : :〈神来の泉〉 すみれ:さあ着いたわ。ここが「*神来《しんき》の泉」よ。 龍彦:噂通りの*禍々《まがまか》しい所だな。 玲奈:ひぃぃ…ねぇ、もう帰らない?いかにも何か出そうって感じじゃん。 龍彦:何を言ってるんだ?お楽しみはこれからだぞ。 すみれ:そうね。ああ…私、もう待ちきれないわ! 玲奈:待ちきれない…? ギルス:我が*眷属《けんぞく》たちよ!よくぞその者をこの地へ導いてくれた! すみれ:ああ!ギルス様。お褒めに預かり光栄に存じます。 龍彦:ギルス様のお役に立てて何よりです。 玲奈:ギルス様って誰?っていうか二人ともどうしちゃったの?正気に戻ってよ! ギルス:俺の名は上位悪魔ギルス。お前を闇へ葬る者だ。 玲奈:え?それってつまり私をここで殺すってこと? ギルス:理解が早くて助かる。それでは早速お前の魂を喰らうとしよう。 玲奈:その前に!何で私があんたなんかに命を狙われなきゃいけないのよ! ギルス:ふむ…まあ確かに*理由《わけ》も分からず殺されるのは納得がいかぬであろう。ならば冥土の土産に教えてやろう。お前は人間界に来る前、天使レミアとして*数多《あまた》の同胞達を葬った憎むべき*仇《かたき》 なのだ。よって俺は魔王様の*命《めい》を受け貴様を八つ裂きにしに参ったのだ。 玲奈:天使レミア?あなたの仲間を葬った?そんなの知らないわよ!人間界に来る前だかなんだか知らないけど、こんな所でみすみす殺されてたまるもんですか! ギルス:ふふふ…甘いな!転生したからと言ってお前の犯した過去の罪まで消えるわけではないのだ!やれ!二人とも! すみれ:はい!〈玲奈の右腕を抑える〉 龍彦:仰せのままに!〈玲奈の左腕を掴む〉 玲奈:ちょ!ちょっと二人とも離してよ! ギルス:それじゃあ自らの罪の重さを悔いながら死ぬがよい! 玲奈:いやあああ!!〈胸の*痣《あざ》が光を放つ〉 すみれ:きゃあああ!!眩しい! 龍彦:ぐあああ!! ギルス:な、何だこの光は!これはまさか!! : :〈回想シーン〉 ギルス:君と出会えたことを俺は心から幸せに思うよ。 レミア:ええ。私もよ。 ギルス:愛してるよ。レミア。 レミア:私も愛してるわ。ギルス。 ギルス:レミア…一つ君にお願いがあるんだ。 レミア:お願い? ギルス:ああ。君にこれを受け取って欲しい。〈小さな小箱を渡す〉 レミア:何かしら? ギルス:開けてごらん。 レミア:〈小箱を開ける〉これは…? ギルス:*御魔守《おまもり》だよ。君のために俺が心を込めて作ったんだ。だからどんな時も肌身離さず持っていて欲しい。きっと君の事を守ってくれるはずだから。 レミア:ギルスが私のために…嬉しい!ありがとう!私、一生大事にするね! ギルス:ありがとう。これから先、俺達に何があろうとも俺はずっと君の傍にいるから。 レミア:ギルス…私もあなたとずっと一緒よ。 : :〈天界裁判所〉 天使長:私は天使長ファウエル。天使レミアよ。あなたがこの天界裁判の法廷に呼ばれた理由について理解していますか? レミア:いいえ。私は何も悪いことなどしておりません。 天使長:ほう。では質問を変えましょう。あなたはギルスという悪魔を知っていますか? レミア:ええ。私の大切な恋人です。 天使長:では、あなたは天使と悪魔が交わることがいかに罪深きことか理解していますか。 レミア:何故罪深いのですか?お言葉ですが、天使長様はただ種族が違うというだけで愛し合う二人を罪に問おうとおっしゃるのですか? 天使長:当たり前です!天使にとって悪魔は忌むべき存在。そんな悪魔と恋に落ちるなど言語道断です!はぁ…〈溜息〉あなたはもう少し賢い天使だと思っておりましたが私の買い被りだったようですね。よってあなたには罰として天使の資格の*剥奪《はくだつ》ならびに天界での記憶を消去した上で人間界への追放を命じます。 レミア:そ、そんな…天使長様、私の天使の資格の剥奪と人間界への追放は*慎《つつし》んでお受けします…ですが、どうか記憶の消去だけはお許しください! 天使長:いいえ。断じて認めません!あなたはそれほど大きな罪を犯したのです。…それと、あなたが首から下げているその*穢《けが》らわしい魔力の塊のような物も没収します。 レミア:こ、これだけは!これだけは誰にもお渡し出来ません! 天使長:ふふふ…いくら抵抗しても無駄ですよ。先に記憶を消した後でゆっくりと取り上げますので。 レミア:い、いやぁ!!(ギルス!お願い!助けて!)〈御魔守が黒く光り出す〉 天使長:なっ!首にかけた物が漆黒の光に包まれて、レミアの体に吸収されていく! レミア:(ああ…ギルス、私の中にあなたの存在を感じるわ。なんて温かいの…) 天使長:おのれ…仕方ありません。没収は諦めましょう。ただし、その他の罰は受けてもらいます。 レミア:ま、待ってください!どうか、ご慈悲を! 天使長:忘却の光『オブリビオンライト!』 レミア:きゃあああ!!(いや…ギルス…私、あなたを忘れたくない!)〈レミアが*眩《まばゆ》い光につつまれる〉 天使長:さて、処置は終わりました。さあ答えなさい。あなたは何者ですか? レミア:…わたしは…だれ?ここはどこなの? 天使長:ふふふ…これで記憶の消去は完了しました。それではこれから天使の資格を剥奪した上で人間界に転生させます!さようなら天使レミア…。 :〈回想シーン終わり〉 : 玲奈:(そうだ…私は天使レミア。人間界に来る前ここにいる悪魔ギルスと恋に落ちて天界を追放された…)ギルス!私全てを思い出したの!天使だった時の記憶もあなたの事を誰よりも愛していたということも!だからお願い!元の優しいギルスに戻って! ギルス:ぐああ!!何て眩しい光なんだ!……あれ?俺は何をしていたんだ?何故人間界にいる?はっ!そこにいるのはもしかしてレミアなのか?姿形は違っても俺には分かる。その胸の*痣《あさ》は紛れもなく俺が君にあげた*御魔守《おまもり》の印だ! 玲奈:ああ!ギルス!ようやく記憶が戻ったのね! ギルス:うう…どうやら俺は天使である君と交わった罰として君を抹殺するよう記憶を*改竄《かいざん》されていたらしい…危うく俺は一番大切な人を自らの手で*殺《あや》めてしまうところだった。 玲奈:そういえば、すみれと龍彦は? ギルス:大丈夫だ。あの二人なら*御魔守《おまもり》に込められた魔力で眠っているだけだ。*直《じき》に正気に戻るだろう。 玲奈:そう…それなら良かった。ギルス…私、あなたに会いたかった! ギルス:ああ、俺もだ!レミア、俺はもう君を離さない! 玲奈:ええ。私もよ! ギルス:なあ、レミア。俺と一緒に冥界に行かないか? 玲奈:え?冥界に? ギルス:そうだ。冥界は死者が行く世界。天界でも魔界でもないあの世と呼ばれる世界だ。 玲奈:でも…それって二人とも死んじゃうってことでしょ?ねぇ、ギルスは人間界に転生出来ないの? ギルス:それは無理だ。魔界の者たちはその多くがたくさんの魂を喰らって来た罪深き存在。だから俺たちは人間として転生することは決して出来ないんだよ。 玲奈:そうなのね…分かったわ。私、あなたとずっと一緒にいるって決めたもの!だから冥界だろうが何だろうがどこへだって着いて行くわ! ギルス:ありがとう…レミア。それじゃあ行こうか!「冥界のゲートよ!我らを*彼《か》の地へ導きたまえ!」 ギルス:レミア、今度こそ幸せになろうな。 玲奈:ええ。向こうで幸せに暮らしましょ。 ギルス:愛してるよレミア。 玲奈:私もよ。愛してるわギルス。〈冥界の門が閉まる〉 : :〈数日後〉 すみれ:ねえ聞いた?例の「*神来《しんき》の泉」が復活したって話! 龍彦:ああ!噂じゃ天使と悪魔が協力して冥界の門を閉じたんだってな! すみれ:それにしても私たち何であんな所で寝てたんだろう? 龍彦:ああ、気付いたら二人とも裏山の入口で倒れてたもんな。 すみれ:他に誰かいたような気がするんだけど…龍彦、何か覚えてない? 龍彦:いいや。なーんにも思い出せない。 すみれ:ねぇ!もしかしたら私達だけが奇跡の瞬間を目撃してたりして! 龍彦:まさか。でもまあ、泉が復活して以降は謎の失踪事件も起きてないって言うし、めでたしめでたしなんじゃないか? すみれ:そうね。誰だか分からないけど、その天使と悪魔には感謝しないとね。 龍彦:そうだな。さて、まだまだ解き明かさなきゃならないミステリーは山積みなんだ。頑張ろうぜ!すみれ部長! すみれ:ええ。頑張りましょう! : 龍彦:(M)こうして不可解な失踪事件は二度と起きなくなり、やがて「*神来《しんき》の泉」は「恋結びの泉」として名前を変え、末永く人々に愛されることになったという。 : :~完~

タイトル:*御魔守《おまもり》を抱き締めて : 登場人物: 玲奈:*本城 玲奈《ほんじょう れな》。高校1年生(16歳)。明るくて活発な女の子。レミアと兼役。 母親:玲奈の母親。天使長と兼役。 龍彦:*大川 龍彦《おおかわ たつひこ》。玲奈の幼馴染でクラスメイト。「オカルト研究部」所属。割と物事をハッキリというタイプ。 すみれ:*山岡《やまおか》 すみれ。龍彦と同じ「オカルト研究部」の部長。好奇心旺盛で謎解きが大好き。天使長と兼役。 レミア:天使レミア。優しい心を持つ天使。玲奈と兼役。 ギルス:上位悪魔ギルス。悪魔でありながら優しい心の持ち主。 天使長:天使長ファウエル。レミアたち天使を束ねる存在で天界裁判所の裁判長も兼ねる。玲奈の母親、すみれと兼役。 :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: 玲奈:お母さん、行ってきまーす! 母親:玲奈、行ってらっしゃい!気を付けてね! 玲奈:はーい! 玲奈:(M)私の名前は*本城 玲奈《ほんじょう れな》。明るく元気な女子高生だ。ただ一つ人と違う所があるとすれば、生まれつき胸の中央に星形の*痣《あざ》があるということくらいだ。私は優しい両親の元で毎日元気に日々の生活をエンジョイしている。 : 玲奈:さぁて、今日も一日頑張るか! 龍彦:おはよう玲奈! 玲奈:おはよう!*龍彦《たつひこ》。 龍彦:なあ、知ってるか?例の心霊スポットでまた女子高生が失踪したんだってよ。 玲奈:もう!朝からテンション下がるような話やめてよね。ただでさえお化けとかオカルトチックな話は苦手なんだから。 龍彦:あ、そうだったな。ごめんな。 玲奈:分かればよろしい。それで?その話、具体的にはどんな内容なの? 龍彦:結局聞きたいのかよ!お前、今さっきこの手の話はするなって言ったばかりじゃんか。 玲奈:い、一応予備知識として知っておきたいだけよ。それとも何?龍彦は私が失踪事件に巻き込まれてもいいって言うの? 龍彦:いや、そういうわけじゃないけどさ。*興味津々《きょうみしんしん》にしか見えなかったから。 玲奈:そんなことあるわけないじゃん!お化け屋敷だって怖くて入れないのに。 龍彦:分かったよ。そういうことにしとくよ。それでさっきの話だけど、学校の裏山に小さな泉があるんだけどな、そこが冥界と繋がっているって噂があるんだ。 玲奈:冥界…つまり死者の世界ってこと? 龍彦:ああ、昔は神聖な水が湧き出す不思議な泉っていうことで*一時《いっとき》テレビでも取り上げられたくらい有名な場所だったんだけどな、ある時期からピタリと水が湧いて来なくなって、代わりにどんどん泉の水が*淀《よど》み始めたんだ。そのあたりからかな、近付く者は冥界に引きずり込まれるなんて噂が流れるようになったのは。 玲奈:ふぅん。そんなことがあったのね。龍彦、ヤケに詳しいじゃない? 龍彦:そりゃ俺だって一応「オカルト研究部」の部員だからな。それくらい知ってて当然だよ。 玲奈:学校の裏山にある泉ねぇ…。 龍彦:おい、言っとくけどマジで行こうなんて思うんじゃねーぞ! 玲奈:行かないわよ。 龍彦:なら良いけどよ。 玲奈:あら?珍しく心配してくれるじゃない? 龍彦:お、俺はお前の幼馴染として心配してやってるだけだかんな! 玲奈:うふふ…龍彦可愛い。 龍彦:か、からかうなって!さっさと学校行くぞ! ギルス:(ほう…あれが我らが*仇《かたき》、天使レミアの生まれ変わりか。魔王様も人遣いが荒い。あの程度の小娘一人殺るのにわざわざ上位悪魔の俺を指名するなんてな。まあいい、せっかく人間界まで来たんだ。じっくりといたぶってからその魂を喰らい尽くしてやる。) 玲奈:(ん?何か胸の辺りがソワソワする…。) 龍彦:おーい!玲奈!グズグズしてると置いてくぞ! 玲奈:あ、待ってよー! ギルス:(ん?俺の気配に気付いたか。ふふふ…さて、どうやって始末するか。) : :〈昼休みにて〉 龍彦:んー!〈大きく伸びをする〉ようやく昼休みか。さぁて、先日仕入れた心霊現象の情報でもまとめるか。 すみれ:…ねぇ龍彦君。今時間ある? 龍彦:ん?すみれ、どうしたんだ?オカルト研究部部長から*直々《じきじき》に頼み事なんて珍しいじゃないか。 すみれ:あなたにしか頼めないことなの。ここじゃ話せない事だから一緒に部室に行きましょ。 龍彦:ああ。分かった。 : :〈オカルト研究部部室〉 龍彦:で、部室に着いたけど、俺に頼み事って何だ? すみれ:ねぇ…龍彦君。私と一緒に裏山の泉の調査に付き合ってくれない? 龍彦:いやいや無理だって! すみれ:どうして?あの泉の謎が解明出来たらうちのオカルト研究部の株も爆上がりするのよ。 龍彦:いや、それはそうかもしれないけど、あそこがどれだけ危険な場所かお前が誰よりも分かってるだろ? すみれ:あら?龍彦君、もしかしてビビってんの? 龍彦:ちげーよ!こないだも失踪事件があったばかりなんだぞ!そんな危険な所に調査に行くだなんてどうかしてるぞ! すみれ:じゃあさ。龍彦君、その代わり私の目をじっと見て。 龍彦:えっ…?(何だこの感覚…すみれの目が赤く光って…だんだん意識が吸い込まれていく…) すみれ:うふふ…龍彦君。それじゃあ私と一緒に行きましょうか。 龍彦:うん…。 すみれ:あ、そうだ。玲奈さんにも連絡入れといてね。 龍彦:分かった…。 : :〈放課後〉 玲奈:(もう放課後なのに龍彦どこ行ったんだろ?いつもならこの時間には校門で待ってるはずなんだけどな。)おっ…龍彦からメールだ。 龍彦:〈メール内容〉「今から裏山の泉の調査に行ってくるから先に帰っててくれ。」 玲奈:え!?裏山の泉って今朝話してた失踪事件があった泉のことよね?龍彦があれだけ行くなって言ってた場所に自分から行こうとするなんて絶対におかしい…何か胸騒ぎがする。こうしちゃいられないわ!私も行かなきゃ! : 玲奈:はぁ…はぁ…結構歩いたけどまだ着かないのかしら?あれ?あそこに小さく「*神来《しんき》の泉」って標識があるわ。 龍彦:よう、玲奈…来てくれたのか。 玲奈:ひっ!びっくりした!何だ龍彦かぁ。良かった…無事だったのね! 龍彦:おう。 玲奈:そちらの方は? 龍彦:この人はオカルト研究部部長の*山岡《やまおか》 すみれだ。 すみれ:玲奈さんね。初めまして。あなたのことは龍彦君から聞いているわ。よろしくね、 玲奈:は、初めまして。すみれさん。よろしくお願いします。 龍彦:この先が泉だ。じゃあ行くぞ。 すみれ:ええ。行きましょう。 玲奈:ちょ、ちょっと慎重に進まないと危ないわよ。 : :〈神来の泉〉 すみれ:さあ着いたわ。ここが「*神来《しんき》の泉」よ。 龍彦:噂通りの*禍々《まがまか》しい所だな。 玲奈:ひぃぃ…ねぇ、もう帰らない?いかにも何か出そうって感じじゃん。 龍彦:何を言ってるんだ?お楽しみはこれからだぞ。 すみれ:そうね。ああ…私、もう待ちきれないわ! 玲奈:待ちきれない…? ギルス:我が*眷属《けんぞく》たちよ!よくぞその者をこの地へ導いてくれた! すみれ:ああ!ギルス様。お褒めに預かり光栄に存じます。 龍彦:ギルス様のお役に立てて何よりです。 玲奈:ギルス様って誰?っていうか二人ともどうしちゃったの?正気に戻ってよ! ギルス:俺の名は上位悪魔ギルス。お前を闇へ葬る者だ。 玲奈:え?それってつまり私をここで殺すってこと? ギルス:理解が早くて助かる。それでは早速お前の魂を喰らうとしよう。 玲奈:その前に!何で私があんたなんかに命を狙われなきゃいけないのよ! ギルス:ふむ…まあ確かに*理由《わけ》も分からず殺されるのは納得がいかぬであろう。ならば冥土の土産に教えてやろう。お前は人間界に来る前、天使レミアとして*数多《あまた》の同胞達を葬った憎むべき*仇《かたき》 なのだ。よって俺は魔王様の*命《めい》を受け貴様を八つ裂きにしに参ったのだ。 玲奈:天使レミア?あなたの仲間を葬った?そんなの知らないわよ!人間界に来る前だかなんだか知らないけど、こんな所でみすみす殺されてたまるもんですか! ギルス:ふふふ…甘いな!転生したからと言ってお前の犯した過去の罪まで消えるわけではないのだ!やれ!二人とも! すみれ:はい!〈玲奈の右腕を抑える〉 龍彦:仰せのままに!〈玲奈の左腕を掴む〉 玲奈:ちょ!ちょっと二人とも離してよ! ギルス:それじゃあ自らの罪の重さを悔いながら死ぬがよい! 玲奈:いやあああ!!〈胸の*痣《あざ》が光を放つ〉 すみれ:きゃあああ!!眩しい! 龍彦:ぐあああ!! ギルス:な、何だこの光は!これはまさか!! : :〈回想シーン〉 ギルス:君と出会えたことを俺は心から幸せに思うよ。 レミア:ええ。私もよ。 ギルス:愛してるよ。レミア。 レミア:私も愛してるわ。ギルス。 ギルス:レミア…一つ君にお願いがあるんだ。 レミア:お願い? ギルス:ああ。君にこれを受け取って欲しい。〈小さな小箱を渡す〉 レミア:何かしら? ギルス:開けてごらん。 レミア:〈小箱を開ける〉これは…? ギルス:*御魔守《おまもり》だよ。君のために俺が心を込めて作ったんだ。だからどんな時も肌身離さず持っていて欲しい。きっと君の事を守ってくれるはずだから。 レミア:ギルスが私のために…嬉しい!ありがとう!私、一生大事にするね! ギルス:ありがとう。これから先、俺達に何があろうとも俺はずっと君の傍にいるから。 レミア:ギルス…私もあなたとずっと一緒よ。 : :〈天界裁判所〉 天使長:私は天使長ファウエル。天使レミアよ。あなたがこの天界裁判の法廷に呼ばれた理由について理解していますか? レミア:いいえ。私は何も悪いことなどしておりません。 天使長:ほう。では質問を変えましょう。あなたはギルスという悪魔を知っていますか? レミア:ええ。私の大切な恋人です。 天使長:では、あなたは天使と悪魔が交わることがいかに罪深きことか理解していますか。 レミア:何故罪深いのですか?お言葉ですが、天使長様はただ種族が違うというだけで愛し合う二人を罪に問おうとおっしゃるのですか? 天使長:当たり前です!天使にとって悪魔は忌むべき存在。そんな悪魔と恋に落ちるなど言語道断です!はぁ…〈溜息〉あなたはもう少し賢い天使だと思っておりましたが私の買い被りだったようですね。よってあなたには罰として天使の資格の*剥奪《はくだつ》ならびに天界での記憶を消去した上で人間界への追放を命じます。 レミア:そ、そんな…天使長様、私の天使の資格の剥奪と人間界への追放は*慎《つつし》んでお受けします…ですが、どうか記憶の消去だけはお許しください! 天使長:いいえ。断じて認めません!あなたはそれほど大きな罪を犯したのです。…それと、あなたが首から下げているその*穢《けが》らわしい魔力の塊のような物も没収します。 レミア:こ、これだけは!これだけは誰にもお渡し出来ません! 天使長:ふふふ…いくら抵抗しても無駄ですよ。先に記憶を消した後でゆっくりと取り上げますので。 レミア:い、いやぁ!!(ギルス!お願い!助けて!)〈御魔守が黒く光り出す〉 天使長:なっ!首にかけた物が漆黒の光に包まれて、レミアの体に吸収されていく! レミア:(ああ…ギルス、私の中にあなたの存在を感じるわ。なんて温かいの…) 天使長:おのれ…仕方ありません。没収は諦めましょう。ただし、その他の罰は受けてもらいます。 レミア:ま、待ってください!どうか、ご慈悲を! 天使長:忘却の光『オブリビオンライト!』 レミア:きゃあああ!!(いや…ギルス…私、あなたを忘れたくない!)〈レミアが*眩《まばゆ》い光につつまれる〉 天使長:さて、処置は終わりました。さあ答えなさい。あなたは何者ですか? レミア:…わたしは…だれ?ここはどこなの? 天使長:ふふふ…これで記憶の消去は完了しました。それではこれから天使の資格を剥奪した上で人間界に転生させます!さようなら天使レミア…。 :〈回想シーン終わり〉 : 玲奈:(そうだ…私は天使レミア。人間界に来る前ここにいる悪魔ギルスと恋に落ちて天界を追放された…)ギルス!私全てを思い出したの!天使だった時の記憶もあなたの事を誰よりも愛していたということも!だからお願い!元の優しいギルスに戻って! ギルス:ぐああ!!何て眩しい光なんだ!……あれ?俺は何をしていたんだ?何故人間界にいる?はっ!そこにいるのはもしかしてレミアなのか?姿形は違っても俺には分かる。その胸の*痣《あさ》は紛れもなく俺が君にあげた*御魔守《おまもり》の印だ! 玲奈:ああ!ギルス!ようやく記憶が戻ったのね! ギルス:うう…どうやら俺は天使である君と交わった罰として君を抹殺するよう記憶を*改竄《かいざん》されていたらしい…危うく俺は一番大切な人を自らの手で*殺《あや》めてしまうところだった。 玲奈:そういえば、すみれと龍彦は? ギルス:大丈夫だ。あの二人なら*御魔守《おまもり》に込められた魔力で眠っているだけだ。*直《じき》に正気に戻るだろう。 玲奈:そう…それなら良かった。ギルス…私、あなたに会いたかった! ギルス:ああ、俺もだ!レミア、俺はもう君を離さない! 玲奈:ええ。私もよ! ギルス:なあ、レミア。俺と一緒に冥界に行かないか? 玲奈:え?冥界に? ギルス:そうだ。冥界は死者が行く世界。天界でも魔界でもないあの世と呼ばれる世界だ。 玲奈:でも…それって二人とも死んじゃうってことでしょ?ねぇ、ギルスは人間界に転生出来ないの? ギルス:それは無理だ。魔界の者たちはその多くがたくさんの魂を喰らって来た罪深き存在。だから俺たちは人間として転生することは決して出来ないんだよ。 玲奈:そうなのね…分かったわ。私、あなたとずっと一緒にいるって決めたもの!だから冥界だろうが何だろうがどこへだって着いて行くわ! ギルス:ありがとう…レミア。それじゃあ行こうか!「冥界のゲートよ!我らを*彼《か》の地へ導きたまえ!」 ギルス:レミア、今度こそ幸せになろうな。 玲奈:ええ。向こうで幸せに暮らしましょ。 ギルス:愛してるよレミア。 玲奈:私もよ。愛してるわギルス。〈冥界の門が閉まる〉 : :〈数日後〉 すみれ:ねえ聞いた?例の「*神来《しんき》の泉」が復活したって話! 龍彦:ああ!噂じゃ天使と悪魔が協力して冥界の門を閉じたんだってな! すみれ:それにしても私たち何であんな所で寝てたんだろう? 龍彦:ああ、気付いたら二人とも裏山の入口で倒れてたもんな。 すみれ:他に誰かいたような気がするんだけど…龍彦、何か覚えてない? 龍彦:いいや。なーんにも思い出せない。 すみれ:ねぇ!もしかしたら私達だけが奇跡の瞬間を目撃してたりして! 龍彦:まさか。でもまあ、泉が復活して以降は謎の失踪事件も起きてないって言うし、めでたしめでたしなんじゃないか? すみれ:そうね。誰だか分からないけど、その天使と悪魔には感謝しないとね。 龍彦:そうだな。さて、まだまだ解き明かさなきゃならないミステリーは山積みなんだ。頑張ろうぜ!すみれ部長! すみれ:ええ。頑張りましょう! : 龍彦:(M)こうして不可解な失踪事件は二度と起きなくなり、やがて「*神来《しんき》の泉」は「恋結びの泉」として名前を変え、末永く人々に愛されることになったという。 : :~完~