声劇台本置き場

0：大停電になる夜に（西日本編） ： 課長：ほい、お疲れ 0：飲み物をわたす 部下：あ！ありがとうございます。 課長：今週夜勤か？ 部下：はい 課長：俺もだ（笑） 部下：よろしくおねがいします（笑） 課長：ははは、今日も静かな夜だ 部下：はい、そうですね 課長：こんな夜はうまい酒でも飲んで、真っ赤なスポーツカーで首都高をかっ飛ばして 部下：古いですよ先輩 課長：はは、そうか？ 部下：それにしても、夜の街の灯りがテールランプみたいできれいですね 課長：お前も古くないか？ 部下：え？そうですか？ 課長：しかし、自分たちが日本全国に電気を届けてるなんて、いまだに実感ないよな 部下：確かにそうですね。だからこそ自分はこの仕事に誇りを持ってます。 課長：そうか 部下：この前も学生の時の友達から同窓会の誘いがあったんですが 課長：ほー、同窓会いいじゃないか 部下：… 課長：ん？どうした 部下：実はそれ、行きませんでした 課長：そうなのか？ 部下：これが返信したやつです 課長：どれどれ 部下N：ごめん、同級会にはいけません。 部下N：いま、会社にいます。 部下N：この国を南北に縦断する電気の連絡係を、私はやっています。 部下N：本当は、あの頃が恋しいけれど、でも… 部下N：今はもう少しだけ、知らないふりをします。 部下N：私の残業も、きっといつか、誰かの青春を乗せるから。 課長：… 部下：先輩？ 課長：なんかどこかで見たか聞いたような… 部下：え？ 課長：あ、いや、なんでもない。そうか、立派だな 部下：ありがとうございます 課長：この仕事は安全第一だ。あまり気を張らずに、心には常に余裕をもっておけよ 部下：はい。あ、でも急な事故とかで停電になったりしないんですか？ 課長：仮になったとしても俺たちは保安協会に加盟してるし 課長：連絡会もあるからな。安心だ 部下：でも、どこかの地域が意図的に停電とかさせたらパニックになりませんか？ 課長：そりゃなるだろうな 部下：どうなりますか？ 課長：どうなるって、そんなもん犯罪者にはうってつけだからな。 課長：自動ドアやオートロック、金庫に監視カメラとか電気系統は機能を失うだろうな 部下：…怖いですね 課長：間違ってもそんなことにはならんから大丈夫だ。ははは ： 0：突然停電になる ： 部下：え！！？ 課長：な、なんだ！停電か！？ 部下：何が起こったんですか！ 課長：わからん。連絡だ。準備しろ 部下：はい！あ、でも停電でも通信は生きてるんですか 課長：予備の通信は電池で動いてるから大丈夫だ。 部下：電池！？この令和に…なるほど 課長：よし、まずは北海道と、あと東北と関東電気保安協会に連絡しろ！ 部下：わかりました。それと中部と北陸にも連絡します 課長：ああ、頼む 部下：関西電気保安協会はいいのですか？ 課長：ああ、まだ関西電気保安協会はいい 部下：了解です 課長：まだ復旧しないのか…この停電はまさか誰かが意図的に… 部下：課長！ 課長：どうした！ 部下：中国と四国、あと九州電気保安協会から連絡がありまして、 部下：あっちの地域も全域停電らしいです。 課長：なんだと！？そんなバカな 部下：これって…全国の電気が落ちてませんか？ 課長：まさか、ありえないぞ。 部下：やっぱり、関西電気保安協会にも連絡したほうがいいですよね？ 課長：「んー…」 部下：「課長？どうしました？」 課長：ああ。もう一刻の猶予もない。関西電気保安協会にも連絡しろ。 部下：わかりました、関西電気保安協会にはFAX送ります 課長：一体この停電は、、なんだ 部下：課長！FAXを送ろうと思ったらすでに関西電気保安協会からFAXがきてました。 課長：そうか、関西電気保安協会からは何て？ 部下：それが…関西、電気、保安協会、も停電してるそうです… 課長：やはり…関西、電気、保安協会、もか… 　　　一体何なんだこれは…