声劇台本置き場

謎の人：自殺かい？ 謎の人：あぁ、私のことは気にせず飛びなさい。 謎の人：さぁ、どうぞ？ 謎の人：……どうしたんだい？飛ばないのかい？ 謎の人：あぁ、私が背中を押してやろうか？ 謎の人：それなら景気よく行けそうだもんな。 謎の人：……おや？ 謎の人：そんなに怯えた顔をして、どうしたんだい？ 謎の人：まるで私が恐ろしい人だと言わんばかりの表情だ。 謎の人：……私が君を殺そうとしているのが怖いか？ 謎の人：だが君は、自殺をしようとしていたのだろう？ 謎の人：どうせ死ぬんだ。 謎の人：私に殺されようと、君の意思でここから飛ぼうと…… 謎の人：死に方なんてどうだって良いじゃないか？ 謎の人：それともなにかい？ 謎の人：ここまで来て……死ぬことが怖くなったかい？ 謎の人：（嘲笑） 謎の人：……安心したまえ。 謎の人：それが『普通』だ。 謎の人：死とは本来、人間にとって 謎の人：もっとも恐れるべき存在だ。 謎の人：死にたくないから飯を食い 謎の人：死にたくないから危険を遠ざけ 謎の人：死にたくないから平和を望み 謎の人：……死にたくないから 謎の人：今君は、ここに立っている。 謎の人：……君は此処へ、死にに来たんじゃない。 謎の人：君自身が生きる価値を知るために、此処へ来たんだ。 謎の人：だからこそ、私を……死を恐怖していた。 謎の人：本当に死にたいと願うやつは、死ぬことを 謎の人：『今生きる地獄から抜け出す手段』 謎の人：としてしか、考えない。 謎の人：故に、恐怖さえも覆（くつがえす）行動力を発揮してしまう。 謎の人：そうなったら、もう誰にも止められない。 謎の人：気づいた頃にはポックリ…… 謎の人：この世とのお別れが済んだ後だろうね。 謎の人：だが少なくとも君は、此処に来て 謎の人：今までのことを振り返ったりしていたんじゃないかい？ 謎の人：……どうだった？君の人生は。 謎の人：──最悪な人生だったか！そいつは良い 謎の人：なら、最悪だった今までの人生とはここでお別れだ。 謎の人：ここから飛ぼうとも、飛ばずとも 謎の人：君の人生は、ここで一度終わりだ。 謎の人：ここから飛べばそれで終了。 謎の人：もしあの世というのが存在するのならば、天国なり地獄なり 謎の人：死後の世界とやらへ、行くことができるだろうね。 謎の人：だがもし、もう一度ここから……１からやり直すと言うのなら 謎の人：今までの君とは違う、二度目の人生のスタートだ。 謎の人：そして君の二度目の人生は、最底辺からのスタート…… 謎の人：最高じゃないか。 謎の人：最底辺からスタートなら、ここから先は上がっていくだけなのだから。 謎の人：……まぁのんびり考えたまえ。 謎の人：そう急ぐ必要はないのだから。 謎の人：君がどちらの選択をしようと、私は君の背中を押してやるさ。 謎の人：二つの意味でねｗ 謎の人：ま、君が前者を選ばないことを祈ってるよ。 謎の人：それじゃ、また会おう。 謎の人：ここか、あの世か、はたまた来世か…… 謎の人：どこで会うかは、わからんがねｗ 謎の人：楽しみにしているよ。