台本概要

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タイトル 【完結編】俺と私のドキドキ恋愛冒険譚(ぼうけんたん)!
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 6人用台本(男3、女3) ※兼役あり
時間 90 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
これは、愛で満ち溢れた新世界「ラブリーニア」を舞台に、かつて闇に支配された世界「デスラバー」を救った勇者で元、恋に見放された男女(木村 裕二、桐谷 愛子)のその後を描いたドタバタハチャメチャ冒険譚である。

※本作品は前作「俺と私のドキドキ恋愛冒険譚(ぼうけんたん)」の続編かつ完結編となっております。続きものとなっておりますので初めて演じる方は前作から演じていただけるとより世界観が分かって楽しめると思います。

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
裕二 127 木村 裕二(きむら ゆうじ)・・・元、恋に見放されていた男子で桐谷 愛子(きりたに あいこ)の彼氏。(22歳)。意外と頭の回転が早く、追い込まれると力を発揮するタイプ。以前、愛子、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。
愛子 129 桐谷 愛子(きりたに あいこ)・・・同じく元、恋に見放されていた女子。(21歳)で木村 裕二(きむら ゆうじ)の彼女。ロマンチックな出会いを渇望しているが、リア充に対する敵対心は強め。意外に武闘派。以前、裕二、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。
神的な人 102 新世界「ラブリーニア」の創造主。とにかく偉い人だが、抜けている所が多々あり。ナレーションと兼役
ククル 55 「デスラバー」に住んでいる女性で優しくおしとやかな性格。(20歳)以前、裕二、愛子と共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。
スライムゾンビ 9 始まりの村の外で出会う最初の敵。ゾンビの世界でもやっぱりこの方なくしては始まらない。マルクス役の方が演じてください。
マッドゾンビ 10 始まりの村の外で出会うネガティブゾンビ。全身が泥で出来ていて身体の形を変幻自在に変えられる。マルクス役の方が演じてください。
スケバンゾンビ 9 地下ダンジョンに現れるネガティブゾンビ。名前の通りグレた女番長の姿をしている。ちなみに女性にしか興味がない。サイファー役の方が演じてください。
サイファー 25 デスラバーの支配を目論む悪の親玉の一人(女性)。相方のマルクスと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。村の女性、スケバンゾンビと兼役。
マルクス 26 デスラバーの支配を目論む親玉の一人(男性)。愛方のサイファーと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。スライムゾンビ、マッドゾンビと兼役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:【完結編】俺と私のドキドキ恋愛冒険譚(ぼうけんたん)! : 登場人物: 裕二:*木村 裕二《きむら ゆうじ》・・・元、恋に見放されていた男子で*桐谷 愛子《きりたに あいこ》の彼氏。(22歳)。意外と頭の回転が早く、追い込まれると力を発揮するタイプ。以前、愛子、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 愛子:*桐谷 愛子《きりたに あいこ》・・・同じく元、恋に見放されていた女子。(21歳)で*木村 裕二《きむら ゆうじ》の彼女。ロマンチックな出会いを渇望しているが、リア充に対する敵対心は強め。意外に武闘派。以前、裕二、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 神的な人:新世界「ラブリーニア」の創造主。とにかく偉い人だが、抜けている所が多々あり。ナレーションと兼役 ククル:「デスラバー」に住んでいる女性で優しくおしとやかな性格。(20歳)以前、裕二、愛子と共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 村の女性:「デスラバー」の始まりの村の住人。サイファー役の方が演じてください。 スライムゾンビ:始まりの村の外で出会う最初の敵。ゾンビの世界でもやっぱりこの方なくしては始まらない。マルクス役の方が演じてください。 マッドゾンビ:始まりの村の外で出会うネガティブゾンビ。全身が泥で出来ていて身体の形を変幻自在に変えられる。マルクス役の方が演じてください。 スケバンゾンビ:地下ダンジョンに現れるネガティブゾンビ。名前の通りグレた女番長の姿をしている。ちなみに女性にしか興味がない。サイファー役の方が演じてください。 サイファー:デスラバーの支配を目論む悪の親玉の一人(女性)。相方のマルクスと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。村の女性、スケバンゾンビと兼役。 マルクス:デスラバーの支配を目論む親玉の一人(男性)。愛方のサイファーと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。スライムゾンビ、マッドゾンビと兼役。 ナレーション:この物語のナレーション。神的な人役の方が演じてください。 : : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: ナレーション:皆さんは覚えているだろうか?かつて、神的な存在の人の思い付き(愛の修行)によって、愛の溢れる新世界「ラブリーニア」から異世界に飛ばされ、苦戦しながらも闇に支配された世界「デスラバー」を救った二人の勇者達の事を。そう…あれから半年。あの冒険がきっかけで付き合い始めた*木村 裕二《きむら ゆうじ》と*桐谷 愛子《きりたに あいこ》に今最大の危機が迫っていた! : :〈デスラバーにて〉 ククル:よいしょっと。ふぅ…午前中の作業終了っと。それにしてもこの世界もだいぶ復興が進んで来たわね。魔物に支配されてた頃は、いつ襲われるんじゃないかとビクビクしながら生活してたけど、裕二と愛子の活躍のおかげでようやくみんなが安心して暮らせる世界になったわ。そういやあの二人、どうしてるかなぁ…。うふふ…また会いたいな。…え?あれは何かしら?空から黒い物体がこっちに向かって落ちて来るわ!ヤバい!みんな早く逃げて!きゃあああ!!! : :〈天界にて〉 神的な人:青い空…白い雲…今日も天界は良い天気じゃわい。さてさて、あれからだいぶ経つがあの二人は仲良うやっとるんかいな? : :〈新世界「ラブリーニア」にて〉 愛子:〈電話〉あ、裕二?今どこにいるの? 裕二:〈電話〉〈寝起きで〉んん…何?今家だけど? 愛子:〈電話〉は?家?アンタまさか今日が何の日か忘れてんじゃないでしょーね? 裕二:〈電話〉ん?今日?あれ…何だっけ?特に何もないはずだけど? 愛子:〈電話〉あのねぇ!今日は付き合って6ヶ月記念日だからデートしようって約束したじゃない! 裕二:〈電話〉ああ?そうだっけ?あー…そういや何かそんな事言ってたような気がするわ…。 愛子:〈電話〉え?嘘でしょ!?はぁ…もう良いから、さっさと着替えて駅前に来なさいよ!待っててあげるから。 裕二:〈電話〉えー…昨日遅くまでゲームしてて疲れてるんだよ…。デートは今度するから今日は寝かせてくれよ。 愛子:〈電話〉そう…分かった。結局裕二は私よりもゲームの方が大事なんだよね…。 裕二:〈電話〉そんな事言ってないだろ。今日はたまたま疲れてるだけで、いつもはちゃんと愛子の事大事にしてるじゃないか。 愛子:〈電話〉…私ね、今日は裕二とデートするからって朝早くからお弁当作ってメイクして、色々と準備して楽しみに待ってたんだよ。 裕二:〈電話〉あー…それはごめん。 愛子:〈電話〉でも裕二にとって私はその程度にしか思われてなかったんだよね…。 裕二:〈電話〉そんな事ないって!ただ今日はうっかりしてて忘れちゃってただけなんだよ!ほら。先月の記念日はちゃんと行っただろ? 愛子:〈電話〉もう良いわ。あなたの気持ちはよく分かった。私達、別れましょ。 裕二:〈電話〉ちょ!待ってくれ愛子!何でそうなるんだよ!俺の話も聞いて… 愛子:〈電話〉〈セリフに被せて〉さようなら…。〈通話切れる〉 裕二:おい!愛子!…って切れちまった。全く何だってんだよ。ちょっと毎月の記念日デートを1回すっぽかしただけじゃんか。それを俺の話も聞かずに一方的に別れるなんて…。だいたい記念日多過ぎなんだよ。はぁ…。また一人になっちまったな。 愛子:ぐすん…何よ!いつも自分勝手な事ばかり言って!全然私の事なんて見てくれてないじゃない!…はぁ…こんなに辛い思いをするならずっと一人でいる方がマシよ…うう。〈泣く〉 : :〈天界にて〉 神的な人:こりゃいかん!ちょーっと見ぬ*間《ま》に二人が別れてしもうたではないか!うーむ…やはりまだ二人とも愛の修行が足りなんだか…。むむ!?ちょっと待て!こ、これはまずい!!この間救ったばかりの「デスラバー」が再び闇に覆われて行くではないか!!ぐぬぬ…困ったのぅ…一体どうすれば…。はっ!今わしの頭の中で何かがキュピーンと閃いたぞ!いける!これならいけるはずじゃ!それでは早速準備に取り掛かるとするかの…。 : 裕二:はぁ…何かすっげーブルーだなぁ。とは言え、いつまでも暗い気持ちを引き*摺《ず》っててもしょうがない。こういう時は美味いもんでも食って気持ちを切替えるか。ってことで、久しぶりに買って来ました!極上ステーキ弁当大盛り2,500円!これ食うと元気出るんだよなぁ。さてと、早速帰って堪能するか。…ん?イチャつくカップルが描かれたマンホール?まだここにあったのか。…何か懐かしいな…これ踏んづけて異世界に飛ばされたんだっけ。確かこんな風に…げしげし〈マンホールを踏み付ける〉ってうわーー!!〈マンホールに吸い込まれる〉 愛子:あーあ…とうとう別れちゃった…。どうして私っていっつもこうなんだろうな。やっぱり私って恋愛に向いてないのかしら。まあ過ぎたことは仕方ない。きっと私はイケメンを追っかけて妄想してる時が一番幸せなのよ。そうそう、あんな感じの…ってヤダ!何あのポスターのイケメン!めちゃめちゃどストライクなんですけど!あー…やっぱり失恋で傷ついた心を癒してくれるのはこういう男の優しい笑顔なのよね…。 :〈ここから一人妄想劇スタート〉 愛子:〈イケボで〉『ねぇ…何をそんなに泣いているんだい?』 愛子:ぐすん…私、 失恋しちゃったの。 愛子:〈イケボで〉『それは辛かったね。僕で良ければ君のその心にぽっかり空いた穴を埋めてあげるよ。』 愛子:え…?本当? 愛子:〈イケボで〉『ああ、君に涙は似合わないからね。さぁ笑ってごらん。』 愛子:はい…えへへ。 愛子:〈イケボで〉『そうそう、その調子だよ。それじゃあ僕が君をもっと笑顔にしてあげよう。』 愛子:え…?どうやって? 愛子:〈イケボで〉『僕と一緒に夢の世界に旅立つんだ!』 愛子:夢の…世界? 愛子:〈イケボで〉『そうだよ。悩みも苦しみもない、まさに夢のような所さ。そこで君は僕と幸せに暮らすんだ。』 愛子:まあ♡なんて素敵なの!王子様、お願い!私を連れて行って! 愛子:〈イケボで〉『ああ、もちろんだとも。さぁ…僕の手を握って…』 愛子:はい…王子様…〈イケメンの手を握る〉…って引き込まれる!きゃあああ!!〈ポスターの中に吸い込まれる〉 : 裕二:ん…んん。ここは…え!?愛子!何でお前がここに?てか俺の弁当は? 愛子:〈寝言で〉ヤダ…王子様ったら…げへへ…。 裕二:どんな夢を見てんだよ。おい!良い加減起きろ! 愛子:うーん…もうちょっとだけ…ん?あれ?私の王子様は? 裕二:王子様?いねーよそんなもん。 愛子:げっ!裕二!何でアンタがここにいんのよ! 裕二:それはこっちの台詞だ。ってか俺の弁当また無くなったんだけど? 愛子:知らないわよ!私はイケメン王子とラブラブチュッチュしてたんだから! 裕二:…ってことはまたアイツか…。 愛子:そうね…。いるんでしょ!隠れてないで出て来なさいよ! 神的な人:〈弁当を食べながら〉モグモグ…ひょっと待たんか…あむ…あとひょっとで…モグモグ…食い終わるから…ゴクン。…はぁ…美味かった!で?何じゃったかいな? 裕二:…*最早《もはや》隠すつもりもないとはな…。おいジジイ!一度ならず二度までも俺の大事な弁当を食いやがって! 神的な人:何を勘違いしとるんじゃ?これはワシの敷地で拾った弁当じゃ。だからワシがどうしようとお前に文句を言われる筋合いはないわ。 裕二:ぐぬぬっ…怒りでどうにかなりそうだぜ…。 愛子:ってことは…あのイケメンも…。 神的な人:ああ…もちろんワシじゃ。お主に手を握られた時は思わず初恋の時を思い出したわい。*女子《おなご》の手を握るのもええが、握られるのもたまらんのぅ…。 愛子:ああ! …一生の不覚だわ!…私、何だかイケメン不信になりそう…。 神的な人:それはそうと裕二に愛子、久しぶりじゃのう。元気にしとったか? 裕二:ああ…少なくとも目の前でアンタに弁当食われるまでは元気だったよ…。 愛子:そうね…私も自分が握った手がアンタのだと分かる前までは幸せだったわ。 神的な人:そうか。それなら良かったわい。 裕二:良くない!〈同時に〉 愛子:良くない!〈同時に〉 神的な人:そんなことより、今回お前達を呼んだのは他でもない。 裕二:そんなことより? 愛子:またサラッとなかったことにしようとして! 神的な人:…お前達、別れたそうじゃな。 裕二:ど、どうしてそれを…? 愛子:わ、別れようが別れまいが私達の勝手でしょ?余計なお世話よ。 神的な人:黙れクソガキども!どうやらお主らにはまだまだ愛の修行が足りんようじゃな。 裕二:え…それってまさか…。 愛子:またどっかに飛ばされるの…? 神的な人:実はな、以前お前達が救った世界「デスラバー」が再び闇に覆われてしまったんじゃ。しかも今回は以前にも増してマズイ状況にあってな。そこで二人には再度「デスラバー」に行って世界に愛を取り戻して来て欲しいんじゃよ。 裕二:俺は行かねぇぞ。愛子と一緒とか気まずくてやってらんねーし。 愛子:私も嫌よ。元カレと冒険なんて出来るわけないじゃない。 神的な人:おお…何と嘆かわしい事じゃ。あんなに絆を深め合った仲じゃと言うのに…。それじゃ仕方ないの。ククル君の事は諦めるしかないわい。ううう…悲しいのぅ。 裕二:く、ククルに何かあったのか! 神的な人:…。 愛子:ねぇ!答えて! 神的な人:そんなに心配か? 裕二:当たり前だろ!アイツは俺達の大切な仲間なんだ! 愛子:放っておける訳ないじゃない! 神的な人:じゃあ…行ってくれるんじゃな? 裕二:ぐっ…し、仕方ねぇな。大事なククルのためだからな。 愛子:そ、そうね。そういう事なら行ってあげるわよ。不本意だけど…。 裕二:おい!不本意って言うな! 愛子:何よ!一緒に行ってあげるだけでも有難く思いなさいよね! 神的な人:これ!わしの前で喧嘩するでない!それじゃ行くぞ!転送の扉オープン!〈転送される〉 : :〈デスラバー、始まりの村にて〉 裕二:ふぅ、着いたか。 愛子:村の雰囲気は前と変わってなさそうだけど。 神的な人:いや、そんな事はないぞ。明らかに前とは違う邪悪な魔力が渦巻いておる。 裕二:そう言われれば何となく空気が重苦しいような…って何でジイさんがここにいるんだよ! 神的な人:何でって、同じパーティじゃからに決まっとるじゃろう。 愛子:え…?それマジなの…? 神的な人:マジもマジ、大マジじゃ。 裕二:いや、年寄りなんだから着いて来なくても良いって。どうせ足でまといになるだけだし。 愛子:そうよ。私達だけで何とかするわよ。 神的な人:いーや!わしゃぜーったいに着いて行くんじゃ! 裕二:全く、ガキかよ…。 愛子:あー…ジジイ同伴の冒険なんて初っ端からテンション下がるわぁ…。 神的な人:まあそう文句言うでない。…てことで行くぞお前達。着いて来るが良い。 裕二:お前が仕切んな! 愛子:私、もう帰りたい…。 : 村の女性:ああ…困ったわ。一体どうしたら良いの…。 愛子:あのー…一体どうされたんですか? 村の女性:実はこの村の近くにネガティブゾンビが現れたんです。 裕二:ネガティブゾンビ?何だそりゃ? 村の女性:奴らはネガティブな思考を持ったゾンビで、心を*抉《えぐ》るような言葉で攻撃してくるの。 愛子:心を*抉《えぐ》るような言葉…?それで攻撃を受け続けたらどうなるの? 村の女性:奴らの攻撃でHPが完全にゼロになった者は、楽しい思い出を全て吸い取られたうえでネガティブな思考を植え付けられて、奴らと同じネガティブゾンビにされてしまうの。そしてそいつの手先となって新たな獲物を求めて彷徨うのよ。 裕二:そいつらを倒す方法はあるのか? 村の女性:確か…愛の言葉で奴らの心の中に眠るトキメキを呼び覚ましてやれば浄化出来るらしいわ。ただし、手先となった人間をいくら倒しても意味は無いの。大元のゾンビを倒すのよ。そうすればその中に封印されていた人々の楽しい思い出が解放され、ゾンビにされた人間を元に戻すことが出来るはずよ。だけどこれはあくまで理論上の話…実際そんな事が出来る者などこの世界にはどこにも…。 神的な人:お嬢さん、安心しなされ。そのためにわしらが来たんじゃ。のう?お前達? 裕二:え?あ、ああ。そうだな。 愛子:ま、まあ一応、私達勇者だしね…。 村の女性:ほんと!嬉しい!!ぜひこの世界を救ってください! 神的な人:うむ。わしらに任せておくが良い。この世界は必ず救ってやるからの。 裕二:お前、よくその言葉を自信たっぷりに言えるよな…。 村の女性:よろしくお願いします! : :〈その辺の草原〉 神的な人:…ということで村の外には出てみたものの、はて、これからどうするかのぅ。 裕二:え?まさかのノープランだったんかい! 愛子:はぁ…有り得ないわ…。 神的な人:まあとりあえずその辺のゾンビと戦ってみれば分かるじゃろうて。ゾンビ…ゾンビはどこかいなっと♪ 裕二:ウキウキしながら探すんじゃない! 愛子:あ!あれなんかそれっぽくない? スライムゾンビ:グ、グエエエ…。 愛子:キモっ!何あれ…。うげぇ…見てるだけで吐きそうだわ。 裕二:まあとりあえずは前と同じ要領でやってみるか!確か、スライムはドM気質で責めの言葉に弱いんだったよな!だったら…。 裕二:〈兄貴風ボイスで〉『お前!どこ行ってたんだよ!あれほどうろつくなって言ったじゃねぇか!』 スライムゾンビ:グエ? 裕二:あ、あれ?効いてない?それなら! 裕二:〈兄貴風ボイスで〉『ちゃんと俺の傍にいろよ。でなきゃ俺が心配になっちまうだろーが。』 スライムゾンビ:〈ゲスボで〉『あ”?黙れクソ虫が…』 裕二:(グサッ!何だ…この人格を根底から否定されたような衝撃は!)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 裕二:こ、こいつ、強いぞ! スライムゾンビ:じゃあ次はボクちんの番だな…。 スライムゾンビ:〈ゲスボで〉『はぁ…これだから自分がイケメンだと勘違いしている奴は困るんだよな…。』 裕二:(グサッ!!か、勘違いなんてしてないわ!)ぐはぁ!!〈ダメージを受ける〉 裕二:ぐっ…俺の自尊心が削られていく…。 スライムゾンビ:グヘヘ…これで最後だよ。お前もボクちんのゾンビにしてやる! 神的な人:〈イケボ〉『まあ待てよ。君は自分で思ってるほど醜くなんてないぞ。』 スライムゾンビ:(トゥンク!う、嘘だ!そんなはずがない!でも…)ぐああ!!〈ダメージを受ける〉 スライムゾンビ:な…何が起こった? 裕二:へっ…? 神的な人:〈イケボで〉『ほら、周りを見てみなよ。色んな生物が生きているじゃないか。そして、どれ一つとして醜い者など存在しない。もちろん君もだ。』 スライムゾンビ:(トゥンク!!このボクちんを受け入れてくれると言うのか?)がはぁ!!〈ダメージを受ける〉 スライムゾンビ:や、やめろ!どうせお前も心の中ではボクちんの事をバカにしてるんだろ! 愛子:私…一体何を見させられているのかしら? 神的な人:〈イケボで〉『はぁ…俺は悲しいよ。結局君自身が勝手に醜いと思い込んでいるだけじゃないか。そんなにもイカしてるのによ。勿体ないぜ!』 スライムゾンビ:(トゥンク!!!ああ…こんなに嬉しい気持ちはいつぶりだろうか…)ぎゃあああ!!…お前の言葉、心に沁みたよ…〈消滅する〉 裕二:じ、ジイさん…アンタすごいな。 神的な人:ほっほっほ。なぁに、伊達に長くは生きとらんて。それよりもこれで分かったじゃろ? 裕二:あ、ああ…。 愛子:まあ、何となくはね…。 神的な人:さて、このまま次のゾンビを探すぞい。 裕二:え?一度村に帰らないのか? 愛子:そうよ。裕二もダメージを負ってるんだし、このまま進んだら危険だわ。 神的な人:何を言うておる!ろくに実戦経験も積んでおらんのに村になど帰れるものか。さあ行くぞ! 愛子:嘘でしょ…。 裕二:スパルタかよ…。 神的な人:ほれ、あそこに別のゾンビがおる。愛子や、次はお前が行ってくるんじゃ。 愛子:え?わ、私?分かったわ…。 マッドゾンビ:グヒヒヒ…。 愛子:チェンジで…。 神的な人:ダメじゃ。どんな相手に対してもちゃんと向き合うんじゃ。さすれば勝機は自ずと見えてくるはずじゃ。 愛子:え、えーっと…。 愛子:〈カワボで〉『あら!あなた良く見るととっても素敵な姿をしてるじゃない!わ、私、思わずドキドキしちゃった!』 マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『心にもねーことほざいてんじゃねーぞ!クソアマが!』 愛子:(グサッ!な、何ですって!その姿と声で言われると余計にムカつくんですけど!)ぐあっ!〈ダメージを受ける〉 愛子:こ、これは結構効くわね…。 じゃあこういうのはどうかしら? 愛子:〈カワボで〉『そんなにカリカリしないで。そのスベスベの肌、羨ましいわぁ。』 マッドゾンビ:(トゥンク!わ、分かってるじゃねぇか、こいつ。)グハッ!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:ほう…少しはやるようだな。 裕二:お!愛子の言葉で敵がダメージを受けているぞ! 神的な人:いいや…今のはたまたまじゃ。ほれ、見てみぃ。ネタが尽きかけとるわい。 愛子:えっと…〈カワボで〉『どうやったらそんなに潤いが保てるのか知りたいわ。やっぱり泥パックとかかしら?』 マッドゾンビ:俺はもともと泥で出来てんだよ!バカにしやがって。それじゃこういうのはどうだ? マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『お前のその砂漠のように干からびた肌じゃ、いくら水分があっても足りねぇよ。泥パックの無駄使いだぜ。』 愛子:(グサッ!!こ、この野郎!人が気にしてることを!)うぐぁ!〈ダメージを受ける〉 愛子:や、ヤバい…一体どうしたら? マッドゾンビ:さあ、トドメだ。 愛子:やだ…助けて… 裕二:ジイさん!どうにか出来ねぇのかよ! 神的な人:待て…今分析中じゃ。 裕二:急いでくれ!早くしないと愛子がゾンビになっちまうじゃねぇか! 神的な人:わ、分かっとるわい! マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『俺のゾンビになりゃ少しはその肌もマシになるかもな。ハハハ!おっと…つい本音が出ちまったぜ』 愛子:(グサッ!!!そうよ…どうせ私の肌なんて水をあげるだけ無駄なのよ…)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 愛子:ふふふ…愛子はマッドゾンビ様だけのネガティブゾンビですわ。…まあ、それくらいしか私に価値なんてありませんけど…。 裕二:あ、愛子が…ゾンビになっちまった…。おい、ジイさん!どうすんだよ! 神的な人:落ち着け裕二。こういう時こそ相手の良い所を見つけるんじゃ。 裕二:そんなこと言われたってよ…。 愛子:あら、裕二じゃない。 裕二:あ、愛子…お前、大丈夫なのか? 愛子:〈冷たい声で〉『まあ、今さらあなたに期待することなんて何にもないんだけどね。』 裕二:(グサッ!!!そ、そうだよな…俺なんて期待するにも値しない人間だもんな…)ぐあああ!!〈HPが0になる〉 裕二:マッドゾンビ様ぁ…こんな使えない俺だけど、どうかゾンビとしてコキ使ってください。 神的な人:やれやれ…二人ともゾンビになってしもうたか。仕方ない…やるとするかの。 神的な人:〈ショタボで〉『あ!あんな所に探していた泥がたくさんあるぞ!』 マッドゾンビ:(トゥンク!え?こんな俺を探していた?)ぐおお!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:こ、この俺が…ダメージを! 神的な人:〈ショタボで〉『ねぇねぇ!触っても良い?お願い…触らせてよ!』 マッドゾンビ:(トゥンク!!こんな俺に触れてくれるのか…)がはぁ!!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:あ、ああ…良いよ。触るくらいなら。 神的な人:〈ショタボで〉『やったぁ!ありがとう!ああ…なんて滑らかでキメ細かい泥なんだろう…。これなら母ちゃんに最高の泥団子をプレゼントしてあげられるよ。ねぇ、君の身体を僕に分けてくれないかな?』 マッドゾンビ:(トゥンク!!!何て優しい子なんだ。ああ!好きなだけ持って行くと良い!)グギャアア!! マッドゾンビ:…ボク、母ちゃんに最高のプレゼントをしてやるんだぞ…〈消滅する〉 裕二:う…うう…。はっ!俺は一体? 愛子:んん…え?私どうなったの? 神的な人:おお!二人とも元に戻ったか! 裕二:そっか俺達二人ともアイツのゾンビになっちまってたのか…。 愛子:ああ…私、裕二になんて事を…。 神的な人:まあそう気にするでない。ほれ、一度村へ戻るぞ。 裕二:ああ…そうだな。 愛子:…帰りましょう。 : :〈始まりの村、宿屋にて〉 裕二:はぁ…〈深い溜息〉 愛子:うう…〈泣く〉 神的な人:これ、二人とも。そんなに落ち込むでない。 裕二:落ち込むに決まってんだろ!あー…情けねぇ。 愛子:うう…あんな奴のゾンビになるなんて…うわーん!〈号泣する〉 神的な人:これで良く分かったじゃろ?敵は相当手強い。以前のようにはいかぬということじゃ。 裕二:そうだな…。 愛子:うう…。 神的な人:そこでじゃ。少し敵を想定した訓練をやってみんか? 裕二:訓練? 愛子:何をするの? 神的な人:ほれ、二人とも向かい合ってみぃ。 裕二:あ、ああ…〈愛子の方を向く〉 愛子:ええ…〈裕二の方を向く〉 神的な人:それじゃまずは愛子がゾンビ役として、裕二の心を*抉《えぐ》るような言葉を投げ掛けてみるんじゃ。 愛子:え…でも。 裕二:遠慮するな愛子、俺なら大丈夫だ。 愛子:じゃ、じゃあ…〈冷たい声で〉『アンタなんてどうせ私のことなんて何とも思ってないんでしょ!』 裕二:(グサッ!そ、そんなことねーし…)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 神的な人:では今度は裕二がゾンビ役をやってみぃ。 裕二:お、おう…。〈ボソっと〉『愛子は承認欲求の塊だからな。まあ自分に自信ねーもんな、お前。』 愛子:(グサッ!そ、そこまで言うことないじゃない!)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 神的な人:どうじゃ?二人とも? 裕二:心にグサッと来た…。 愛子:私も。…っていうかちょっと言い過ぎじゃない? 裕二:い、いや悪かったって。あくまで訓練だからさ。 愛子:それにしたってもう少しオブラートに包むとか出来るでしょうが! 神的な人:ほっほっほ…余程*堪《こた》えたようじゃな。今のでも分かるように、もし心にやましい部分がなければ人は何を言われても心にダメージなど受けぬ。ダメージを受けたということは己の心の中に相手や自分に対する後ろめたさがあるからじゃ。 裕二:言われてみれば確かに。 愛子:なるほどね。 神的な人:じゃあ今度は愛子はゾンビ役のままで裕二が勇者役じゃ。裕二は愛子をよく見て一番心に響く言葉を言うてみぃ。 裕二:や、やってみるよ。えーっと…(愛子を良く見て、一番響く言葉を言うか…そういや、あいつが*偶《たま》に見せる笑顔にドキっとさせられる時があるよな。よし!) 裕二:〈素の声で〉『お、お前ってさ、笑顔めっちゃ可愛いよな。俺、お前の笑ってるとこ、ずっと傍で見ていたいって思ってるんだぜ。』 愛子:(トゥンク!え?裕二が私の笑顔を褒めてくれた。何か嬉しい…)あ、ありがと…。 神的な人:じゃあ今度は愛子が勇者役じゃ。 愛子:分かったわ。(裕二の良い所か…いつも私に関心ない風に見えるけど、いざって時には必ず守ってくれるんだよね。それなら!) 愛子:〈素の声で〉『裕二って何気にかっこ良いとこあるよね。私が困ってたらさり気なく手を差し伸べてくれるし…。私、裕二のそういうとこ、凄いなって思ってるんだ。』 裕二:(トゥンク!愛子…ちゃんと俺の事見ててくれてたんだ…。)そう言ってくれると、う、嬉しいよ。 神的な人:どうじゃ? 愛子:純粋に褒めてもらえて嬉しかった。 裕二:俺も。ちゃんと愛子の心に届いてたんだって思ったら嬉しかった。 神的な人:そう言うことじゃ。上辺だけの言葉をいくら並べた所で決して相手には届かぬ。大事なのは相手の良い所や認めて欲しい所をちゃんと見極めて、それを言葉で伝えることが大事なんじゃ。そうすればどんな相手の心にも必ず届くはずじゃよ。 裕二:うん!分かったぜ!ありがとなジイさん! 愛子:私も腑に落ちたわ。ジイさんもたまには良いこと言うじゃない。 神的な人:「たまには」は余計じゃ…。それにしても未だに二人してジイさん呼びとは…もう少しわしを敬わんかい! 裕二:それじゃHPが回復したらさ、今度はダンジョンの方に行ってみようぜ! 神的な人:無視か…地味に傷付くのぅ。しかし裕二や、ヤケにやる気ではないか。 愛子:そんなに慌てなくてももう少しこの辺で何匹か相手にしてからでも良くない? 裕二:そうだけど、こうしてる間にもククルに危険が迫ってるかと思うと心配でさ…。 愛子:分かったわ。裕二がそこまで言うなら行きましょう。 神的な人:そうじゃな。あんまりちんたらしていても無駄に尺が長くなるだけじゃしな。 裕二:尺?何のことだ? 神的な人:気にするでない。こっちの話じゃ。裕二、帰還ワープの羽根と回復ポーションは持ったか? 裕二:ああ。ちゃんとあるぜ! 愛子:それじゃ行きましょうか! : :〈地下ダンジョンにて〉 裕二:このダンジョンに来るのも久しぶりだな。 愛子:そうね。あれ?あそこに*蹲《うずくま》っているのってもしかして…。 裕二:ククル!?〈ククルの元に駆け寄る〉 神的な人:待つんじゃ裕二!何か様子がおかしいわい! ククル:〈振り返って睨み付けながら〉〈不良ボイスで〉『は?私に気安く声掛けてんじゃねーよ。それ以上近づくと金取んぞ!』 裕二:(グサッ!ククル?おい…嘘だろ…あのククルがそんな言葉を…)ぐはぁ!!〈ダメージを受ける〉 愛子:裕二!大丈夫!?ククル!あなたどうしちゃったのよ! ククル:…ふん!今の私はスケバンゾンビ様のために命を捧げるしか能のない生きる*屍《しかばね》なんだよ。コラっ! 裕二:スケバンゾンビ? 神的な人:何ということじゃ…既にククル君もネガティブゾンビになっておったとは…。 ククル:ふふふ…安心しな。おめぇらもすぐにスケバンゾンビ様の手先にしてやんよ! 愛子:くっ! スケバンゾンビ:待ちな。そいつらはアタイがやる。 ククル:す、スケバンゾンビ様!お願いします!やっちゃってください! 裕二:お前がククルをこんな風にした親玉だな!許せねぇ…。 スケバンゾンビ:*生憎《あいにく》だけど、アタイは男には興味がなくてね。おい!そこの女!アタイと勝負しな。 愛子:わ、分かったわよ。 裕二:愛子!気を付けろ! スケバンゾンビ:じゃあいくぜ!〈お嬢様ボイスで〉『あらあら、あなた可哀想ね。そんな貧祖な胸じゃ嫁の*貰《もら》い手もいないでしょうに…。』 愛子:(グサッ!む、胸は関係ないでしょうが!)ぐっ!!〈ダメージを受ける〉 神的な人:おい、大丈夫か! 愛子:(落ち着いて…相手をよく観察するの。…あ!これならいけるかも!) 愛子:〈お姉さんボイスで〉『うふふ…そんなに強がっちゃって。可愛いわね。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!か、か、可愛いとかそんなことねーし!)うぐっ! 愛子:(効いてるわ!) スケバンゾンビ:…へぇ、なかなかやるじゃない。それならこういうのはどうだい! スケバンゾンビ:〈煽り口調で〉『まあ、あなたに言い寄って来る男性なんて、たかが知れてるだろうけど。』 愛子:そうね。そうかもしれないわね。 スケバンゾンビ:(何!ノーダメージだと!?) 愛子:〈包み込むような声で〉『でもあなたは違うわ。だってこんなに素敵なんですもの。それにあなたは男性に興味がないんじゃない。きっと過去に辛いことがあったのね。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!!あ、アタイのことを包み込むこの優しさは…)ぐああ!! スケバンゾンビ:や、やめろ!アタイは男なんか大っ嫌いなんだ! 愛子:〈優しい声で〉『もっと自分に自信を持って。そうすればきっとあなたの事を幸せにしてくれる素敵な男性に必ず出会えるはずだから。私はあなたの幸せを心から願っているわ。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!!!ああ…あなたは女神様なの!あれ…目から零れ落ちるこれは…涙?)グギャアア!! スケバンゾンビ:ありがとう…私、スケバンなんかやめて女としての幸せを掴むわ…。〈消滅する〉 裕二:あ、愛子がスケバンゾンビに勝った…。 愛子:ふぅ…何とか倒せたわ。 神的な人:見事じゃったぞ! ククル:ん…んん。あ、あれ?私こんな所で何をしていたのかしら? 裕二:ククル! 愛子:大丈夫?怪我はない? ククル:え?えーー!裕二に愛子!何で二人がここにいるの? 裕二:ジイさんにこの世界がまた闇に覆われたって聞いて愛子と二人で駆け付けて来たんだ。 愛子:ククル。またあなたに会えて嬉しいわ! ククル:私もよ!また二人に会えるなんて夢のようだわ!本当にありがとう!! 神的な人:あー…一応わしもおるんじゃが…。 ククル:じゃあまたみんなで冒険出来るのね! 裕二:ああ! 愛子:とりあえず、この回復ポーションを飲んで。 ククル:ありがとう!…んっ〈ポーションを飲む〉はぁ…生き返ったわ! 神的な人:早速じゃが、ククル君や。このようになってしまった経緯について説明してくれんかの? ククル:はい。実は先日、復興作業中に空から黒い物体が降ってきて、中から異様な姿をした魔物が現れて次々とゾンビを生み出して人々を襲い始めたの。私も必死に村人達を誘導しながら応戦したんだけど全く歯が立たなくて、気付けば自分もネガティブゾンビにされちゃってたの。 裕二:その黒い物体から出て来た魔物の数は覚えているか? ククル:確か二体だったと思うわ。そしてそいつらが生み出した様々な種類のネガティブゾンビによって、あっという間に世界が侵略されてしまったの。 愛子:つまりはその二体を倒せば他のゾンビ達も消滅するって訳ね。 ククル:ええ。おそらくは。 裕二:じゃあ早速そいつらを倒しに行こうぜ! 愛子:どこに? 裕二:へっ? ククル:残念ながら二体の居場所は分からないんです。だから探そうにも探せず、このダンジョンで迷っている所をゾンビに襲われたって訳なんです。 愛子:そうだったの…。 裕二:なぁジイさん、何か良いアイテムとかないの?前回の高性能レーダー「見守る君」みたいなやつとか。 神的な人:そう都合良く持っとる訳がなかろうが!それにあれは味方の位置を把握するためのアイテムじゃ。とりあえずはそれっぽい所を*虱潰《しらみつぶ》しに探して行くしかなかろうて。 : ククル:(M)それから私達はありとあらゆる場所を探し回った。でも結局二体の魔物を見つける事は出来なかった。 : 裕二:はぁ…今日もダメだったか…。ちくしょう!一体どこにいるんだよ。 愛子:流石にこれ以上は探しようがないわ。 神的な人:とりあえず今日はここの宿屋で休むとするかの。 ククル:ええ。そうしましょう。 : :〈宿屋ポルテにて〉 裕二:グー…グー…。 愛子:すー…すー。 神的な人:ぐがぁ…むにゃむにゃ… ククル:みんな良く寝てるようね。はぁ…何だか目が冴えて眠れないわ。ちょっと外の風にでも当たって来ようかしら?〈宿屋の外に出る〉 ククル:ああ…風が涼しくて気持ち良い。それにしてもまさかこんな所で裕二と愛子に会えるなんてね。ほんとビックリだわ。あの二人が帰ってからずっと一人ぼっちだったもんね。…でももしこの冒険が終わったらまた二人と離れ離れになっちゃうのかな…。 サイファー:あら、お嬢さん。何を物思いに*耽《ふけ》っているのかしら? マルクス:こんな時間に女の子の一人歩きは危ないよ。 ククル:あ、あなた達は何者なの?それに私に何の用? サイファー:私達はね、この星を侵略しに来た存在と言えば分かるかしら? ククル:え!?もしかしてあなた達が! マルクス:おっと!仲間を呼ぼうとしても無駄だよ。ここには結界を張らせてもらったからね。 ククル:くっ…私をどうするつもりなの!? サイファー:そんなに*怯《おび》えないで。別に取って食おうって訳じゃないわよ。ただ…。 マルクス:僕達はね、知っての通り醜いゾンビしか生み出せないんだ。だから君のような可愛らしい娘が欲しいとずっと思っていたんだよ。 ククル:娘?な、何の事よ!それより、やっぱりあなた達がゾンビ達を撒き散らした元凶なのね!許さない! サイファー:そう怒らないで。これもこの世界のためにやった事なのよ。 ククル:良い加減なこと言わないで!あなた達が生み出したゾンビのおかげでこの世界のみんなが苦しんでいるのよ! マルクス:良いねえ、その反抗的な目。僕らの娘にピッタリだ。なぁサイファー? サイファー:そうね。どう?私達の娘になって一緒に世界を支配しましょう。 ククル:お断りよ!誰がアンタ達の娘なんかになるもんですか!それよりも、ここであなた達を倒してこの世界を救ってみせるわ! マルクス:それで君は良いのかい? ククル:え? マルクス:〈囁きボイスで〉『この世界が平和になったらまた一人ぼっちになっちゃうよ。』 ククル:(グサッ!わ、私はそれでも…世界を…)きゃあ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:くっ…そんな言葉に負けない! サイファー:じゃあ次は私が。 サイファー:〈優しく包み込むような声で〉『寂しかったのよね。あなたはずっと仲間が欲しかった。でも、冒険が終わればみんな元の世界に帰ってしまう。もう別れの辛さなんて味わいたくない。違うかしら?』 ククル:(グサッ!!そう…いつも、みんな私を置いて帰ってしまうの…)くはぁ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:わ、私は寂しくなんか…。 マルクス:これで最後だよ。 マルクス:〈イケボで〉『世界の平和なんてどうでも良いじゃないか。それともまだ一人で抱え込むのかい?誰もお願いしていないのに。』 ククル:(グサッ!!!そ、そうだわ…私が勝手に背負い込んでるだけじゃないの…。本当は…)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 ククル:…ああ、お願い…私を二人の娘にしてください…。〈気を失う〉 サイファー:うふふ…もちろんよ。 マルクス:これで可愛い娘の誕生だ。そうだ。せっかくなら新しい名前を付けてあげようよ。 サイファー:そうね…「シルフィ」ってのはどうかしら? マルクス:良いんじゃないかな。さぁ俺達の可愛い娘シルフィよ。目を覚ましておくれ。 ククル:ん…んん。あれ?お父様、お母様、私は何をしていたの? サイファー:あなたは疲れて眠っていたのよ。 ククル:そっかー。あのねお父様。シルフィね、夢を見たの。 マルクス:ほう、どんな夢だい? ククル:お父様とお母様と三人でこの世界を支配する夢。 サイファー:まあ!なんて素敵な夢なの!それじゃあその夢、一緒に叶えましょうか。 ククル:うん! マルクス:さぁシルフィ。一緒に帰ろう。 ククル:えへへ…お父様もお母様もだーいすき!〈三人が立ち去る〉 : :〈翌日〉 裕二:ふあああ!よく寝た! 愛子:んんん!〈伸びをする〉流石に昨日は歩き疲れたわね。 神的な人:むにゃむにゃ…げへへ。愛子のフニフニの手はいつ触ってもええのう…。 愛子:コラっ!良い加減起きんか!エロジジイ!!〈頭を叩く〉 神的な人:痛っ!急に何をするんじゃ! 裕二:あれ?そういやククルは? 愛子:ほんとだわ。どこに行っちゃったのかしら?ククルー!もしかして外かしら? :〈宿屋の外に出てみる〉 神的な人:(こ、この魔力…もしや!)二人とも、よく聞くんじゃ。ククル君は何者かに*攫《さら》われたかもしれん。 裕二:え?攫われた?どうしてそんな事が分かるんだ? 神的な人:ここに*微《かす》かじゃが、結界が張られた形跡が残っておる。残った魔力の流れから見ても何者かがククル君をここへ呼び出し連れ去った可能性は極めて高い。 愛子:そんな…。*後《あと》は追えそうなの? 神的な人:ふむ…これなら何とかなりそうじゃ。二人とも早速じゃが出掛けるぞ! 裕二:分かった! 愛子:行きましょう! : :〈ブラッディキャッスル〉 神的な人:着いたぞ。 裕二:ん?何もないけど? 愛子:本当にここで合ってるの? 神的な人:巧妙に魔力でカモフラージュされてて外からは分からんようになっとる。今からわしがそれを解くから二人とも下がっておれ。 裕二:ああ。 愛子:分かったわ。 神的な人:結界解除呪文『リリーサー!』〈結界が解除される〉 裕二:な!なんじゃこりゃ! 愛子:こんな巨大なお城が隠れていたの! 神的な人:ああ。そうじゃ。コレを見るだけでも敵は相当強いと見た。二人とも、心して入るぞ。 裕二:あ、ああ。 愛子:ククル、お願い、無事でいて。 : :〈ブラッディキャッスル内部〉 マルクス:おや?誰かが結界を解いたみたいだよ。 サイファー:へぇ…なかなかやるじゃない。 ククル:ねぇ、お父様。これから敵が攻めて来るの? マルクス:そうだよ。だからシルフィ。僕ら三人でやっつけよう! ククル:うん!私頑張る! サイファー:来るとしたらもうそろそろね。 : 裕二:何て広いお城なんだ…。 愛子:本当にここにククルはいるのかしら? 神的な人:おそらくはな。 : マルクス:これはこれは勇者の皆さん。ようこそ我がブラッディキャッスルへ。我々は皆さんを大いに歓迎いたします。 裕二:何だアイツは?ゾンビじゃない! サイファー:ゾンビ?失礼ね。私達はこの世界の新たな統治者となるべき存在。 愛子:ねぇ!あそこにいるのってククルじゃない? 裕二:本当だ!ククルー! マルクス:ククル?もしかしてうちの娘の事を言っているのですか?それじゃシルフィ、改めてご挨拶しなさい。 ククル:私の名前はシルフィ。マルクスお父様、サイファーお母様と共にこの世界を支配する者。誰だか知らないけど私達の邪魔をするなら容赦しないわ! サイファー:シルフィ、よく出来たわね。偉いわね。 ククル:えへへ…ありがとう。お母様! 裕二:ククル…。 愛子:私達の事まで忘れてるって言うの? 神的な人:どうやらククル君はあの二人の強力な魔力で自分の事を二人の娘じゃと思い込まされとるようじゃな。 裕二:ジイさん!ククルを元に戻す方法はねぇのかよ! 愛子:アンタ神的な人でしょ?それこそ前に使った「気付けの護符」をククルの首に掛けたら正気に戻るんじゃないの? 神的な人:ダメじゃ。「気付けの護符」はあくまで前の時のような「魅了」に対しては効果があるが、魔力による洗脳には効かんのじゃ。 愛子:そんな…じゃあどうやったら良いの? 神的な人:一つ方法があるとすれば、あの二人を倒すしかないのう。 裕二:倒すって…力でか? 愛子:それこそ武器なんて持ってないわよ。 神的な人:いいや。倒すのはあくまで言葉でじゃ。やり方は今まで嫌という程経験して来たはずじゃろ?それをあの二人にぶつけるだけじゃ! 裕二:分かった!行くぞ! 愛子:ええ! 神的な人:ちょっと待つんじゃ。 裕二:何だよ!今から行こうって時に! 愛子:そうよ!こういうのはノリと勢いが大事なのに。途中で水差すんじゃないわよ! 神的な人:あの二人はわしが相手をする。お前達はククル君を頼む。 裕二:いや無理だって。やられに行くつもりか? 愛子:言っとくけど、私アンタがゾンビになってもそのまま放置して帰るわよ。 神的な人:なぁに、心配せんでも若いもんにはまだまだ負けんて。それに、これはお前達にしか出来んことじゃからの。 裕二:ジイさん…アンタ…。 愛子:分かったわ。ククルの事は私達に任せて。その代わり、やられんじゃないわよ! 神的な人:誰にモノ言っとんじゃ。それじゃ行くぞい! 裕二:おう! 愛子:ええ! マルクス:おやおや、先程まで何やらコソコソと作戦会議を開いていたようですが、一体何を話したらこういう結果になるのですか? サイファー:まさかこんなジイさん一人で私達二人を相手にするつもり?はぁ…私達も舐められたものね。 神的な人:まあそう言うでない。わしは意外と手強いぞよ。 マルクス:そういうのってさ、自分で言う事じゃないんじゃない?まあいいさ。そんなに負けるのがお望みなら相手をしてあげよう。 サイファー:ふふふ…そうねぇ。あなたが負けたらうちの専属執事にでもしてあげるわよ。 神的な人:ほう…そりゃまた夢のような話じゃの。では行くぞ! : 裕二:ククル!頼む!正気に戻ってくれ! 愛子:お願いククル!私達の事思い出して。 ククル:…私、知らない人と無闇に話しちゃいけませんってお父様から言われてるの。それにさっきから私の名前はシルフィだって言ってるでしょ?あなた達、ちゃんと人の話聞いてた? 裕二:ククル…。 ククル:まあいいわ。暇つぶしに特別に相手をしてあげる。まずはあなたからよ。 裕二:やはり戦わないといけないのか…。くそっ! ククル:〈害虫に対して言うかのように〉『頼むからこれ以上その暑苦しい顔をこっちに向けないでくれる?陰キャが*伝染《うつ》るじゃない。』 裕二:(グサッ!いや、確かに俺は陰キャだけどさぁ…*伝染《うつ》るって酷くね?)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 裕二:く…ククル…。 愛子:ククル、私があなたを助けてあげる! 愛子:〈優しいお姉さんボイスで〉『さあククル。私をよく見るのよ。そして思い出して。私達と冒険したあの日々を!』 ククル:〈冷たく〉『はぁ?何言ってんの?アンタの*幸薄《さちうす》そうな顔を見るくらいなら*蟻《あり》んこの行列見てる方がまだ幸せよ。』 愛子:(グサッ!な、何よ*幸薄《さちうす》そうな顔って!どーせ私の顔は蟻の行列以下ですよーだ。)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 愛子:うう…強い…。 : サイファー:あっちも始まったみたいね。どう?うちの娘もなかなかやるでしょ? 神的な人:大丈夫じゃ。あの二人ならきっと何とかしてくれるわい。 マルクス:おやおや、その自信はどっから湧いて来るんだろうねぇ。まあ良いさ。それじゃこっちも始めようか。 マルクス:〈ショタボで〉『おじいちゃん!早くお小遣いちょうだいよ!それとも何?まさかボクが何の見返りもなしに会いに来たとでも思った?あはは!そんな訳ないじゃん!』 神的な人:ほっほっほ。それがどうしたんじゃ?年寄りはな、どんな理由であれ孫が来てくれるだけで嬉しいんもんなんじゃ。 マルクス:くっ…ノーダメージか…。 神的な人:ではこちらからも行くぞ! 神的な人:〈素の声で〉『お主ら、本当は人間が羨ましいんじゃろ?わしには分かるぞお主らの心の痛みが。』 マルクス:(トゥンク!そ、そんなわけないじゃないか!)ぐおお!〈ダメージを受ける〉 マルクス:な、こいつ…! サイファー:(トゥンク!わ、私達が人間にそんな感情を抱く訳ないじゃない!)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 サイファー:つ、強いわ…。 神的な人:ふむ…なるほどの。今の反応で確信したわい。 サイファー:な、何よ!ちょっとダメージを与えたくらいで調子に乗らないでよね! マルクス:そうだ!お前なんかすぐにでも倒してやるんだからな! サイファー:〈*嘲笑《あざわら》う感じで〉『はっ!年寄りが一丁前に冒険なんてしてんじゃないわよ。禿げてるくせに!』 神的な人:(グサッ!禿げてることは関係ないじゃろーて!)うぐっ!(ダメージを受ける) 神的な人:…おっと、不覚にもダメージを負ってしまったわい。 サイファー:ふん…口程にもないじゃない。 マルクス:よし!良いぞ!そのまま一気にやっちまえ! サイファー:アンタも私に頼ってばかりいないであのジイさんにガツンと言ってやりなさいよ! マルクス:俺だってちゃんとやってるじゃないか! 神的な人:これ!わしの前で喧嘩するでない!はぁ…仕方ないのぅ。 神的な人:(ショタボで)『お願い!二人とも喧嘩はやめて!ボク…二人にはずっと仲良しでいて欲しいのに…うう…〈泣く〉』 サイファー:(トゥンク!!はっ!そうだわ…私達何で喧嘩なんてしてるのかしら)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 サイファー:そ、そんな馬鹿な…。 マルクス:(トゥンク!!ああ…本当は争いなんてしたくないのに…)うぐっ!!〈ダメージを受ける〉 マルクス:こ、こんな奴に… 神的な人:さてと、そろそろ終わりにするかの。 神的な人:〈素の声で〉『二人とも。もう他人と比較して卑屈にならんでもええんじゃよ。例えゾンビしか生み出せない身体じゃとしても、お前達にはお互いを大切に思う相手がおる。それで十分じゃないのかの?』 サイファー:(トゥンク!!!そうだわ…私には愛するマルクスがいる!)ああああ!〈HPが0になる〉 サイファー:マルクス…愛してるわ…〈気を失う〉 マルクス:(トゥンク!!!サイファー、君さえいてくれたら僕は幸せだよ!)ぐあああ!〈HPが0になる〉 マルクス:サイファー…ずっと一緒だよ…〈気を失う〉 : 裕二:くそっ!それなら! 裕二:〈イケボで〉『俺はいつもお前のことを大切に思っているぞ。』 ククル:〈突き放すように〉『キモっ!ちょっとやめてくんない?一瞬で鳥肌立ったわ!』 裕二:(グサッ!!そんな…そこまで言わなくても…)がはっ!!〈ダメージを受ける〉 裕二:う…うう…。 愛子:裕二!大丈夫!?くっ…こうなったら! 愛子:〈女王様ボイスで〉『ククル!あなた誰の許可を得てそんな真似をしているの!さあ!今すぐ土下座して私に許しを*請《こ》いなさい!』 ククル:〈冷めきった声で〉『はぁ?アンタ何言ってんの?その容姿で女王様気取ってるとかマジ笑えるんですけど!ぷぷぷ…』 愛子:(グサッ!!わ、悪かったわね!こっちだってやってて恥ずかしいのよ!)きゃああ!!〈ダメージを受ける〉 愛子:くっ…うぁ…。 ククル:あはは!どうしたの?二人とも全然大したことないじゃない。さっさとあなた達を倒して、私はお父様とお母様の元で仲良く暮らすの。 裕二:(仲良く暮らす…?待てよ、もしかしてククルは…) 裕二:〈素の声で〉『ごめんなククル。ずっと寂しいを思いさせて…。』 ククル:(トゥンク!そ、そんなことないもん!私にはお父様とお母様が…)くはぁ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:そ、そんな…私がダメージを受けるなんて…。 愛子:(素の声で)『私達が帰った後、ずっと一人ぼっちだったんだね。気付いてあげられなくてごめんね。』 ククル(トゥンク!!そう…私はほんとは二人と一緒に…)あああ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:わ、私はシルフィ…アンタ達なんて知らないはずなのに…どうして…。 裕二:さぁククル。これで俺達がお前を取り戻す!行くぞ愛子! 愛子:ええ! 裕二:〈素の声で〉『ククル!俺達と一緒に暮らそう!』 愛子:〈素の声で〉『もうどこにも行かないわ!これからはずっと一緒よ!』 ククル:(トゥンク!!!!ああ…なんて温かい言葉なの!)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 ククル:…裕二、愛子…ありがとう…〈気を失う〉 : :〈数日後〉 裕二:そういや、あれからあの二人はどうなったんだ? 神的な人:サイファーとマルクスのことか?あの二人ならわしの言葉でお互いにとって何が幸せなのかに気付いて自分達の世界に帰って行ったわい。 愛子:じゃああのネガティブゾンビ達は? 神的な人:全て消滅したわい。そもそもあれは二人が感じておった「嫉妬」や「*羨望《せんぼう》」、「諦め」といった負の感情が生み出した産物じゃったからの。あの二人からネガティブな感情が消えたと同時にそいつらも消滅したんじゃ。 ククル:じゃあゾンビにされていたこの世界のみんなは? 神的な人:もちろん元の人間に戻ったわい。 ククル:良かったぁ!…あ、それと、今回もこの世界と私を救ってくれてありがとう。私のせいでみんなには色々迷惑かけてごめんなさい。 裕二:なに言ってんだよ。俺達大切な親友だろ? 愛子:そうよ!だから気にしないで。それよりククルが元に戻ってくれて嬉しいわ。 ククル:ありがとう、裕二、愛子…それとおジイさんも。 神的な人:あくまでお主もジイさん呼びなんじゃな…まあ良いわい。じゃあそろそろ帰るとするかの。 ククル:あ…そうだよね…やっぱり二人は元の世界に帰っちゃうんだよね…。 裕二:あれ?そういや言ってなかったっけ? 愛子:私達、この世界に残ることに決めたのよ。 ククル:え?それじゃあこれからはずっと一緒にいられるの? 裕二:ああ!その通りだ! 愛子:三人で仲良く暮らしましょ! ククル:うう…ありがとう!二人とも! 神的な人:それじゃあわしは天界に帰るから、お前達は幸せに暮らすんじゃぞ! 裕二:ああ!色々とありがとな!ジイさん! 愛子:気を付けて帰ってね! ククル:本当にありがとうございました! 神的な人:うむ…ではさらばじゃ!〈消える〉 裕二:さて、ジイさんもいなくなった事だし、まずは三人で暮らす家でも作るか! 愛子:そうね!それじゃあどんな家にするか一緒に考えましょうか。 ククル:賛成!! : ナレーション:こうして、再び彼らの活躍によって「デスラバー」に平和が戻った。そして、裕二と愛子は故郷「ラブリーニア」を離れ、ククルのいる「デスラバー」で三人仲良く暮らすことになったのであった。 : :〈天界にて〉 神的な人:ふぅ…今回は少し大変じゃったが、わしも久しぶりに冒険出来て楽しかったぞい。裕二、愛子、そしてククルや。これからは三人で手を取り合って幸せに暮らすんじゃぞ。わしはいつでも空の上からお前達を見守っておるからの。ほっほっほ。 : :~完~

タイトル:【完結編】俺と私のドキドキ恋愛冒険譚(ぼうけんたん)! : 登場人物: 裕二:*木村 裕二《きむら ゆうじ》・・・元、恋に見放されていた男子で*桐谷 愛子《きりたに あいこ》の彼氏。(22歳)。意外と頭の回転が早く、追い込まれると力を発揮するタイプ。以前、愛子、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 愛子:*桐谷 愛子《きりたに あいこ》・・・同じく元、恋に見放されていた女子。(21歳)で*木村 裕二《きむら ゆうじ》の彼女。ロマンチックな出会いを渇望しているが、リア充に対する敵対心は強め。意外に武闘派。以前、裕二、ククルと共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 神的な人:新世界「ラブリーニア」の創造主。とにかく偉い人だが、抜けている所が多々あり。ナレーションと兼役 ククル:「デスラバー」に住んでいる女性で優しくおしとやかな性格。(20歳)以前、裕二、愛子と共に闇に支配されていた世界「デスラバー」を救った勇者の一人。 村の女性:「デスラバー」の始まりの村の住人。サイファー役の方が演じてください。 スライムゾンビ:始まりの村の外で出会う最初の敵。ゾンビの世界でもやっぱりこの方なくしては始まらない。マルクス役の方が演じてください。 マッドゾンビ:始まりの村の外で出会うネガティブゾンビ。全身が泥で出来ていて身体の形を変幻自在に変えられる。マルクス役の方が演じてください。 スケバンゾンビ:地下ダンジョンに現れるネガティブゾンビ。名前の通りグレた女番長の姿をしている。ちなみに女性にしか興味がない。サイファー役の方が演じてください。 サイファー:デスラバーの支配を目論む悪の親玉の一人(女性)。相方のマルクスと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。村の女性、スケバンゾンビと兼役。 マルクス:デスラバーの支配を目論む親玉の一人(男性)。愛方のサイファーと共にネガティブゾンビを生み出す能力を持つ。スライムゾンビ、マッドゾンビと兼役。 ナレーション:この物語のナレーション。神的な人役の方が演じてください。 : : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : : 本編: ナレーション:皆さんは覚えているだろうか?かつて、神的な存在の人の思い付き(愛の修行)によって、愛の溢れる新世界「ラブリーニア」から異世界に飛ばされ、苦戦しながらも闇に支配された世界「デスラバー」を救った二人の勇者達の事を。そう…あれから半年。あの冒険がきっかけで付き合い始めた*木村 裕二《きむら ゆうじ》と*桐谷 愛子《きりたに あいこ》に今最大の危機が迫っていた! : :〈デスラバーにて〉 ククル:よいしょっと。ふぅ…午前中の作業終了っと。それにしてもこの世界もだいぶ復興が進んで来たわね。魔物に支配されてた頃は、いつ襲われるんじゃないかとビクビクしながら生活してたけど、裕二と愛子の活躍のおかげでようやくみんなが安心して暮らせる世界になったわ。そういやあの二人、どうしてるかなぁ…。うふふ…また会いたいな。…え?あれは何かしら?空から黒い物体がこっちに向かって落ちて来るわ!ヤバい!みんな早く逃げて!きゃあああ!!! : :〈天界にて〉 神的な人:青い空…白い雲…今日も天界は良い天気じゃわい。さてさて、あれからだいぶ経つがあの二人は仲良うやっとるんかいな? : :〈新世界「ラブリーニア」にて〉 愛子:〈電話〉あ、裕二?今どこにいるの? 裕二:〈電話〉〈寝起きで〉んん…何?今家だけど? 愛子:〈電話〉は?家?アンタまさか今日が何の日か忘れてんじゃないでしょーね? 裕二:〈電話〉ん?今日?あれ…何だっけ?特に何もないはずだけど? 愛子:〈電話〉あのねぇ!今日は付き合って6ヶ月記念日だからデートしようって約束したじゃない! 裕二:〈電話〉ああ?そうだっけ?あー…そういや何かそんな事言ってたような気がするわ…。 愛子:〈電話〉え?嘘でしょ!?はぁ…もう良いから、さっさと着替えて駅前に来なさいよ!待っててあげるから。 裕二:〈電話〉えー…昨日遅くまでゲームしてて疲れてるんだよ…。デートは今度するから今日は寝かせてくれよ。 愛子:〈電話〉そう…分かった。結局裕二は私よりもゲームの方が大事なんだよね…。 裕二:〈電話〉そんな事言ってないだろ。今日はたまたま疲れてるだけで、いつもはちゃんと愛子の事大事にしてるじゃないか。 愛子:〈電話〉…私ね、今日は裕二とデートするからって朝早くからお弁当作ってメイクして、色々と準備して楽しみに待ってたんだよ。 裕二:〈電話〉あー…それはごめん。 愛子:〈電話〉でも裕二にとって私はその程度にしか思われてなかったんだよね…。 裕二:〈電話〉そんな事ないって!ただ今日はうっかりしてて忘れちゃってただけなんだよ!ほら。先月の記念日はちゃんと行っただろ? 愛子:〈電話〉もう良いわ。あなたの気持ちはよく分かった。私達、別れましょ。 裕二:〈電話〉ちょ!待ってくれ愛子!何でそうなるんだよ!俺の話も聞いて… 愛子:〈電話〉〈セリフに被せて〉さようなら…。〈通話切れる〉 裕二:おい!愛子!…って切れちまった。全く何だってんだよ。ちょっと毎月の記念日デートを1回すっぽかしただけじゃんか。それを俺の話も聞かずに一方的に別れるなんて…。だいたい記念日多過ぎなんだよ。はぁ…。また一人になっちまったな。 愛子:ぐすん…何よ!いつも自分勝手な事ばかり言って!全然私の事なんて見てくれてないじゃない!…はぁ…こんなに辛い思いをするならずっと一人でいる方がマシよ…うう。〈泣く〉 : :〈天界にて〉 神的な人:こりゃいかん!ちょーっと見ぬ*間《ま》に二人が別れてしもうたではないか!うーむ…やはりまだ二人とも愛の修行が足りなんだか…。むむ!?ちょっと待て!こ、これはまずい!!この間救ったばかりの「デスラバー」が再び闇に覆われて行くではないか!!ぐぬぬ…困ったのぅ…一体どうすれば…。はっ!今わしの頭の中で何かがキュピーンと閃いたぞ!いける!これならいけるはずじゃ!それでは早速準備に取り掛かるとするかの…。 : 裕二:はぁ…何かすっげーブルーだなぁ。とは言え、いつまでも暗い気持ちを引き*摺《ず》っててもしょうがない。こういう時は美味いもんでも食って気持ちを切替えるか。ってことで、久しぶりに買って来ました!極上ステーキ弁当大盛り2,500円!これ食うと元気出るんだよなぁ。さてと、早速帰って堪能するか。…ん?イチャつくカップルが描かれたマンホール?まだここにあったのか。…何か懐かしいな…これ踏んづけて異世界に飛ばされたんだっけ。確かこんな風に…げしげし〈マンホールを踏み付ける〉ってうわーー!!〈マンホールに吸い込まれる〉 愛子:あーあ…とうとう別れちゃった…。どうして私っていっつもこうなんだろうな。やっぱり私って恋愛に向いてないのかしら。まあ過ぎたことは仕方ない。きっと私はイケメンを追っかけて妄想してる時が一番幸せなのよ。そうそう、あんな感じの…ってヤダ!何あのポスターのイケメン!めちゃめちゃどストライクなんですけど!あー…やっぱり失恋で傷ついた心を癒してくれるのはこういう男の優しい笑顔なのよね…。 :〈ここから一人妄想劇スタート〉 愛子:〈イケボで〉『ねぇ…何をそんなに泣いているんだい?』 愛子:ぐすん…私、 失恋しちゃったの。 愛子:〈イケボで〉『それは辛かったね。僕で良ければ君のその心にぽっかり空いた穴を埋めてあげるよ。』 愛子:え…?本当? 愛子:〈イケボで〉『ああ、君に涙は似合わないからね。さぁ笑ってごらん。』 愛子:はい…えへへ。 愛子:〈イケボで〉『そうそう、その調子だよ。それじゃあ僕が君をもっと笑顔にしてあげよう。』 愛子:え…?どうやって? 愛子:〈イケボで〉『僕と一緒に夢の世界に旅立つんだ!』 愛子:夢の…世界? 愛子:〈イケボで〉『そうだよ。悩みも苦しみもない、まさに夢のような所さ。そこで君は僕と幸せに暮らすんだ。』 愛子:まあ♡なんて素敵なの!王子様、お願い!私を連れて行って! 愛子:〈イケボで〉『ああ、もちろんだとも。さぁ…僕の手を握って…』 愛子:はい…王子様…〈イケメンの手を握る〉…って引き込まれる!きゃあああ!!〈ポスターの中に吸い込まれる〉 : 裕二:ん…んん。ここは…え!?愛子!何でお前がここに?てか俺の弁当は? 愛子:〈寝言で〉ヤダ…王子様ったら…げへへ…。 裕二:どんな夢を見てんだよ。おい!良い加減起きろ! 愛子:うーん…もうちょっとだけ…ん?あれ?私の王子様は? 裕二:王子様?いねーよそんなもん。 愛子:げっ!裕二!何でアンタがここにいんのよ! 裕二:それはこっちの台詞だ。ってか俺の弁当また無くなったんだけど? 愛子:知らないわよ!私はイケメン王子とラブラブチュッチュしてたんだから! 裕二:…ってことはまたアイツか…。 愛子:そうね…。いるんでしょ!隠れてないで出て来なさいよ! 神的な人:〈弁当を食べながら〉モグモグ…ひょっと待たんか…あむ…あとひょっとで…モグモグ…食い終わるから…ゴクン。…はぁ…美味かった!で?何じゃったかいな? 裕二:…*最早《もはや》隠すつもりもないとはな…。おいジジイ!一度ならず二度までも俺の大事な弁当を食いやがって! 神的な人:何を勘違いしとるんじゃ?これはワシの敷地で拾った弁当じゃ。だからワシがどうしようとお前に文句を言われる筋合いはないわ。 裕二:ぐぬぬっ…怒りでどうにかなりそうだぜ…。 愛子:ってことは…あのイケメンも…。 神的な人:ああ…もちろんワシじゃ。お主に手を握られた時は思わず初恋の時を思い出したわい。*女子《おなご》の手を握るのもええが、握られるのもたまらんのぅ…。 愛子:ああ! …一生の不覚だわ!…私、何だかイケメン不信になりそう…。 神的な人:それはそうと裕二に愛子、久しぶりじゃのう。元気にしとったか? 裕二:ああ…少なくとも目の前でアンタに弁当食われるまでは元気だったよ…。 愛子:そうね…私も自分が握った手がアンタのだと分かる前までは幸せだったわ。 神的な人:そうか。それなら良かったわい。 裕二:良くない!〈同時に〉 愛子:良くない!〈同時に〉 神的な人:そんなことより、今回お前達を呼んだのは他でもない。 裕二:そんなことより? 愛子:またサラッとなかったことにしようとして! 神的な人:…お前達、別れたそうじゃな。 裕二:ど、どうしてそれを…? 愛子:わ、別れようが別れまいが私達の勝手でしょ?余計なお世話よ。 神的な人:黙れクソガキども!どうやらお主らにはまだまだ愛の修行が足りんようじゃな。 裕二:え…それってまさか…。 愛子:またどっかに飛ばされるの…? 神的な人:実はな、以前お前達が救った世界「デスラバー」が再び闇に覆われてしまったんじゃ。しかも今回は以前にも増してマズイ状況にあってな。そこで二人には再度「デスラバー」に行って世界に愛を取り戻して来て欲しいんじゃよ。 裕二:俺は行かねぇぞ。愛子と一緒とか気まずくてやってらんねーし。 愛子:私も嫌よ。元カレと冒険なんて出来るわけないじゃない。 神的な人:おお…何と嘆かわしい事じゃ。あんなに絆を深め合った仲じゃと言うのに…。それじゃ仕方ないの。ククル君の事は諦めるしかないわい。ううう…悲しいのぅ。 裕二:く、ククルに何かあったのか! 神的な人:…。 愛子:ねぇ!答えて! 神的な人:そんなに心配か? 裕二:当たり前だろ!アイツは俺達の大切な仲間なんだ! 愛子:放っておける訳ないじゃない! 神的な人:じゃあ…行ってくれるんじゃな? 裕二:ぐっ…し、仕方ねぇな。大事なククルのためだからな。 愛子:そ、そうね。そういう事なら行ってあげるわよ。不本意だけど…。 裕二:おい!不本意って言うな! 愛子:何よ!一緒に行ってあげるだけでも有難く思いなさいよね! 神的な人:これ!わしの前で喧嘩するでない!それじゃ行くぞ!転送の扉オープン!〈転送される〉 : :〈デスラバー、始まりの村にて〉 裕二:ふぅ、着いたか。 愛子:村の雰囲気は前と変わってなさそうだけど。 神的な人:いや、そんな事はないぞ。明らかに前とは違う邪悪な魔力が渦巻いておる。 裕二:そう言われれば何となく空気が重苦しいような…って何でジイさんがここにいるんだよ! 神的な人:何でって、同じパーティじゃからに決まっとるじゃろう。 愛子:え…?それマジなの…? 神的な人:マジもマジ、大マジじゃ。 裕二:いや、年寄りなんだから着いて来なくても良いって。どうせ足でまといになるだけだし。 愛子:そうよ。私達だけで何とかするわよ。 神的な人:いーや!わしゃぜーったいに着いて行くんじゃ! 裕二:全く、ガキかよ…。 愛子:あー…ジジイ同伴の冒険なんて初っ端からテンション下がるわぁ…。 神的な人:まあそう文句言うでない。…てことで行くぞお前達。着いて来るが良い。 裕二:お前が仕切んな! 愛子:私、もう帰りたい…。 : 村の女性:ああ…困ったわ。一体どうしたら良いの…。 愛子:あのー…一体どうされたんですか? 村の女性:実はこの村の近くにネガティブゾンビが現れたんです。 裕二:ネガティブゾンビ?何だそりゃ? 村の女性:奴らはネガティブな思考を持ったゾンビで、心を*抉《えぐ》るような言葉で攻撃してくるの。 愛子:心を*抉《えぐ》るような言葉…?それで攻撃を受け続けたらどうなるの? 村の女性:奴らの攻撃でHPが完全にゼロになった者は、楽しい思い出を全て吸い取られたうえでネガティブな思考を植え付けられて、奴らと同じネガティブゾンビにされてしまうの。そしてそいつの手先となって新たな獲物を求めて彷徨うのよ。 裕二:そいつらを倒す方法はあるのか? 村の女性:確か…愛の言葉で奴らの心の中に眠るトキメキを呼び覚ましてやれば浄化出来るらしいわ。ただし、手先となった人間をいくら倒しても意味は無いの。大元のゾンビを倒すのよ。そうすればその中に封印されていた人々の楽しい思い出が解放され、ゾンビにされた人間を元に戻すことが出来るはずよ。だけどこれはあくまで理論上の話…実際そんな事が出来る者などこの世界にはどこにも…。 神的な人:お嬢さん、安心しなされ。そのためにわしらが来たんじゃ。のう?お前達? 裕二:え?あ、ああ。そうだな。 愛子:ま、まあ一応、私達勇者だしね…。 村の女性:ほんと!嬉しい!!ぜひこの世界を救ってください! 神的な人:うむ。わしらに任せておくが良い。この世界は必ず救ってやるからの。 裕二:お前、よくその言葉を自信たっぷりに言えるよな…。 村の女性:よろしくお願いします! : :〈その辺の草原〉 神的な人:…ということで村の外には出てみたものの、はて、これからどうするかのぅ。 裕二:え?まさかのノープランだったんかい! 愛子:はぁ…有り得ないわ…。 神的な人:まあとりあえずその辺のゾンビと戦ってみれば分かるじゃろうて。ゾンビ…ゾンビはどこかいなっと♪ 裕二:ウキウキしながら探すんじゃない! 愛子:あ!あれなんかそれっぽくない? スライムゾンビ:グ、グエエエ…。 愛子:キモっ!何あれ…。うげぇ…見てるだけで吐きそうだわ。 裕二:まあとりあえずは前と同じ要領でやってみるか!確か、スライムはドM気質で責めの言葉に弱いんだったよな!だったら…。 裕二:〈兄貴風ボイスで〉『お前!どこ行ってたんだよ!あれほどうろつくなって言ったじゃねぇか!』 スライムゾンビ:グエ? 裕二:あ、あれ?効いてない?それなら! 裕二:〈兄貴風ボイスで〉『ちゃんと俺の傍にいろよ。でなきゃ俺が心配になっちまうだろーが。』 スライムゾンビ:〈ゲスボで〉『あ”?黙れクソ虫が…』 裕二:(グサッ!何だ…この人格を根底から否定されたような衝撃は!)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 裕二:こ、こいつ、強いぞ! スライムゾンビ:じゃあ次はボクちんの番だな…。 スライムゾンビ:〈ゲスボで〉『はぁ…これだから自分がイケメンだと勘違いしている奴は困るんだよな…。』 裕二:(グサッ!!か、勘違いなんてしてないわ!)ぐはぁ!!〈ダメージを受ける〉 裕二:ぐっ…俺の自尊心が削られていく…。 スライムゾンビ:グヘヘ…これで最後だよ。お前もボクちんのゾンビにしてやる! 神的な人:〈イケボ〉『まあ待てよ。君は自分で思ってるほど醜くなんてないぞ。』 スライムゾンビ:(トゥンク!う、嘘だ!そんなはずがない!でも…)ぐああ!!〈ダメージを受ける〉 スライムゾンビ:な…何が起こった? 裕二:へっ…? 神的な人:〈イケボで〉『ほら、周りを見てみなよ。色んな生物が生きているじゃないか。そして、どれ一つとして醜い者など存在しない。もちろん君もだ。』 スライムゾンビ:(トゥンク!!このボクちんを受け入れてくれると言うのか?)がはぁ!!〈ダメージを受ける〉 スライムゾンビ:や、やめろ!どうせお前も心の中ではボクちんの事をバカにしてるんだろ! 愛子:私…一体何を見させられているのかしら? 神的な人:〈イケボで〉『はぁ…俺は悲しいよ。結局君自身が勝手に醜いと思い込んでいるだけじゃないか。そんなにもイカしてるのによ。勿体ないぜ!』 スライムゾンビ:(トゥンク!!!ああ…こんなに嬉しい気持ちはいつぶりだろうか…)ぎゃあああ!!…お前の言葉、心に沁みたよ…〈消滅する〉 裕二:じ、ジイさん…アンタすごいな。 神的な人:ほっほっほ。なぁに、伊達に長くは生きとらんて。それよりもこれで分かったじゃろ? 裕二:あ、ああ…。 愛子:まあ、何となくはね…。 神的な人:さて、このまま次のゾンビを探すぞい。 裕二:え?一度村に帰らないのか? 愛子:そうよ。裕二もダメージを負ってるんだし、このまま進んだら危険だわ。 神的な人:何を言うておる!ろくに実戦経験も積んでおらんのに村になど帰れるものか。さあ行くぞ! 愛子:嘘でしょ…。 裕二:スパルタかよ…。 神的な人:ほれ、あそこに別のゾンビがおる。愛子や、次はお前が行ってくるんじゃ。 愛子:え?わ、私?分かったわ…。 マッドゾンビ:グヒヒヒ…。 愛子:チェンジで…。 神的な人:ダメじゃ。どんな相手に対してもちゃんと向き合うんじゃ。さすれば勝機は自ずと見えてくるはずじゃ。 愛子:え、えーっと…。 愛子:〈カワボで〉『あら!あなた良く見るととっても素敵な姿をしてるじゃない!わ、私、思わずドキドキしちゃった!』 マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『心にもねーことほざいてんじゃねーぞ!クソアマが!』 愛子:(グサッ!な、何ですって!その姿と声で言われると余計にムカつくんですけど!)ぐあっ!〈ダメージを受ける〉 愛子:こ、これは結構効くわね…。 じゃあこういうのはどうかしら? 愛子:〈カワボで〉『そんなにカリカリしないで。そのスベスベの肌、羨ましいわぁ。』 マッドゾンビ:(トゥンク!わ、分かってるじゃねぇか、こいつ。)グハッ!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:ほう…少しはやるようだな。 裕二:お!愛子の言葉で敵がダメージを受けているぞ! 神的な人:いいや…今のはたまたまじゃ。ほれ、見てみぃ。ネタが尽きかけとるわい。 愛子:えっと…〈カワボで〉『どうやったらそんなに潤いが保てるのか知りたいわ。やっぱり泥パックとかかしら?』 マッドゾンビ:俺はもともと泥で出来てんだよ!バカにしやがって。それじゃこういうのはどうだ? マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『お前のその砂漠のように干からびた肌じゃ、いくら水分があっても足りねぇよ。泥パックの無駄使いだぜ。』 愛子:(グサッ!!こ、この野郎!人が気にしてることを!)うぐぁ!〈ダメージを受ける〉 愛子:や、ヤバい…一体どうしたら? マッドゾンビ:さあ、トドメだ。 愛子:やだ…助けて… 裕二:ジイさん!どうにか出来ねぇのかよ! 神的な人:待て…今分析中じゃ。 裕二:急いでくれ!早くしないと愛子がゾンビになっちまうじゃねぇか! 神的な人:わ、分かっとるわい! マッドゾンビ:〈俺様風ボイスで〉『俺のゾンビになりゃ少しはその肌もマシになるかもな。ハハハ!おっと…つい本音が出ちまったぜ』 愛子:(グサッ!!!そうよ…どうせ私の肌なんて水をあげるだけ無駄なのよ…)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 愛子:ふふふ…愛子はマッドゾンビ様だけのネガティブゾンビですわ。…まあ、それくらいしか私に価値なんてありませんけど…。 裕二:あ、愛子が…ゾンビになっちまった…。おい、ジイさん!どうすんだよ! 神的な人:落ち着け裕二。こういう時こそ相手の良い所を見つけるんじゃ。 裕二:そんなこと言われたってよ…。 愛子:あら、裕二じゃない。 裕二:あ、愛子…お前、大丈夫なのか? 愛子:〈冷たい声で〉『まあ、今さらあなたに期待することなんて何にもないんだけどね。』 裕二:(グサッ!!!そ、そうだよな…俺なんて期待するにも値しない人間だもんな…)ぐあああ!!〈HPが0になる〉 裕二:マッドゾンビ様ぁ…こんな使えない俺だけど、どうかゾンビとしてコキ使ってください。 神的な人:やれやれ…二人ともゾンビになってしもうたか。仕方ない…やるとするかの。 神的な人:〈ショタボで〉『あ!あんな所に探していた泥がたくさんあるぞ!』 マッドゾンビ:(トゥンク!え?こんな俺を探していた?)ぐおお!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:こ、この俺が…ダメージを! 神的な人:〈ショタボで〉『ねぇねぇ!触っても良い?お願い…触らせてよ!』 マッドゾンビ:(トゥンク!!こんな俺に触れてくれるのか…)がはぁ!!〈ダメージを受ける〉 マッドゾンビ:あ、ああ…良いよ。触るくらいなら。 神的な人:〈ショタボで〉『やったぁ!ありがとう!ああ…なんて滑らかでキメ細かい泥なんだろう…。これなら母ちゃんに最高の泥団子をプレゼントしてあげられるよ。ねぇ、君の身体を僕に分けてくれないかな?』 マッドゾンビ:(トゥンク!!!何て優しい子なんだ。ああ!好きなだけ持って行くと良い!)グギャアア!! マッドゾンビ:…ボク、母ちゃんに最高のプレゼントをしてやるんだぞ…〈消滅する〉 裕二:う…うう…。はっ!俺は一体? 愛子:んん…え?私どうなったの? 神的な人:おお!二人とも元に戻ったか! 裕二:そっか俺達二人ともアイツのゾンビになっちまってたのか…。 愛子:ああ…私、裕二になんて事を…。 神的な人:まあそう気にするでない。ほれ、一度村へ戻るぞ。 裕二:ああ…そうだな。 愛子:…帰りましょう。 : :〈始まりの村、宿屋にて〉 裕二:はぁ…〈深い溜息〉 愛子:うう…〈泣く〉 神的な人:これ、二人とも。そんなに落ち込むでない。 裕二:落ち込むに決まってんだろ!あー…情けねぇ。 愛子:うう…あんな奴のゾンビになるなんて…うわーん!〈号泣する〉 神的な人:これで良く分かったじゃろ?敵は相当手強い。以前のようにはいかぬということじゃ。 裕二:そうだな…。 愛子:うう…。 神的な人:そこでじゃ。少し敵を想定した訓練をやってみんか? 裕二:訓練? 愛子:何をするの? 神的な人:ほれ、二人とも向かい合ってみぃ。 裕二:あ、ああ…〈愛子の方を向く〉 愛子:ええ…〈裕二の方を向く〉 神的な人:それじゃまずは愛子がゾンビ役として、裕二の心を*抉《えぐ》るような言葉を投げ掛けてみるんじゃ。 愛子:え…でも。 裕二:遠慮するな愛子、俺なら大丈夫だ。 愛子:じゃ、じゃあ…〈冷たい声で〉『アンタなんてどうせ私のことなんて何とも思ってないんでしょ!』 裕二:(グサッ!そ、そんなことねーし…)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 神的な人:では今度は裕二がゾンビ役をやってみぃ。 裕二:お、おう…。〈ボソっと〉『愛子は承認欲求の塊だからな。まあ自分に自信ねーもんな、お前。』 愛子:(グサッ!そ、そこまで言うことないじゃない!)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 神的な人:どうじゃ?二人とも? 裕二:心にグサッと来た…。 愛子:私も。…っていうかちょっと言い過ぎじゃない? 裕二:い、いや悪かったって。あくまで訓練だからさ。 愛子:それにしたってもう少しオブラートに包むとか出来るでしょうが! 神的な人:ほっほっほ…余程*堪《こた》えたようじゃな。今のでも分かるように、もし心にやましい部分がなければ人は何を言われても心にダメージなど受けぬ。ダメージを受けたということは己の心の中に相手や自分に対する後ろめたさがあるからじゃ。 裕二:言われてみれば確かに。 愛子:なるほどね。 神的な人:じゃあ今度は愛子はゾンビ役のままで裕二が勇者役じゃ。裕二は愛子をよく見て一番心に響く言葉を言うてみぃ。 裕二:や、やってみるよ。えーっと…(愛子を良く見て、一番響く言葉を言うか…そういや、あいつが*偶《たま》に見せる笑顔にドキっとさせられる時があるよな。よし!) 裕二:〈素の声で〉『お、お前ってさ、笑顔めっちゃ可愛いよな。俺、お前の笑ってるとこ、ずっと傍で見ていたいって思ってるんだぜ。』 愛子:(トゥンク!え?裕二が私の笑顔を褒めてくれた。何か嬉しい…)あ、ありがと…。 神的な人:じゃあ今度は愛子が勇者役じゃ。 愛子:分かったわ。(裕二の良い所か…いつも私に関心ない風に見えるけど、いざって時には必ず守ってくれるんだよね。それなら!) 愛子:〈素の声で〉『裕二って何気にかっこ良いとこあるよね。私が困ってたらさり気なく手を差し伸べてくれるし…。私、裕二のそういうとこ、凄いなって思ってるんだ。』 裕二:(トゥンク!愛子…ちゃんと俺の事見ててくれてたんだ…。)そう言ってくれると、う、嬉しいよ。 神的な人:どうじゃ? 愛子:純粋に褒めてもらえて嬉しかった。 裕二:俺も。ちゃんと愛子の心に届いてたんだって思ったら嬉しかった。 神的な人:そう言うことじゃ。上辺だけの言葉をいくら並べた所で決して相手には届かぬ。大事なのは相手の良い所や認めて欲しい所をちゃんと見極めて、それを言葉で伝えることが大事なんじゃ。そうすればどんな相手の心にも必ず届くはずじゃよ。 裕二:うん!分かったぜ!ありがとなジイさん! 愛子:私も腑に落ちたわ。ジイさんもたまには良いこと言うじゃない。 神的な人:「たまには」は余計じゃ…。それにしても未だに二人してジイさん呼びとは…もう少しわしを敬わんかい! 裕二:それじゃHPが回復したらさ、今度はダンジョンの方に行ってみようぜ! 神的な人:無視か…地味に傷付くのぅ。しかし裕二や、ヤケにやる気ではないか。 愛子:そんなに慌てなくてももう少しこの辺で何匹か相手にしてからでも良くない? 裕二:そうだけど、こうしてる間にもククルに危険が迫ってるかと思うと心配でさ…。 愛子:分かったわ。裕二がそこまで言うなら行きましょう。 神的な人:そうじゃな。あんまりちんたらしていても無駄に尺が長くなるだけじゃしな。 裕二:尺?何のことだ? 神的な人:気にするでない。こっちの話じゃ。裕二、帰還ワープの羽根と回復ポーションは持ったか? 裕二:ああ。ちゃんとあるぜ! 愛子:それじゃ行きましょうか! : :〈地下ダンジョンにて〉 裕二:このダンジョンに来るのも久しぶりだな。 愛子:そうね。あれ?あそこに*蹲《うずくま》っているのってもしかして…。 裕二:ククル!?〈ククルの元に駆け寄る〉 神的な人:待つんじゃ裕二!何か様子がおかしいわい! ククル:〈振り返って睨み付けながら〉〈不良ボイスで〉『は?私に気安く声掛けてんじゃねーよ。それ以上近づくと金取んぞ!』 裕二:(グサッ!ククル?おい…嘘だろ…あのククルがそんな言葉を…)ぐはぁ!!〈ダメージを受ける〉 愛子:裕二!大丈夫!?ククル!あなたどうしちゃったのよ! ククル:…ふん!今の私はスケバンゾンビ様のために命を捧げるしか能のない生きる*屍《しかばね》なんだよ。コラっ! 裕二:スケバンゾンビ? 神的な人:何ということじゃ…既にククル君もネガティブゾンビになっておったとは…。 ククル:ふふふ…安心しな。おめぇらもすぐにスケバンゾンビ様の手先にしてやんよ! 愛子:くっ! スケバンゾンビ:待ちな。そいつらはアタイがやる。 ククル:す、スケバンゾンビ様!お願いします!やっちゃってください! 裕二:お前がククルをこんな風にした親玉だな!許せねぇ…。 スケバンゾンビ:*生憎《あいにく》だけど、アタイは男には興味がなくてね。おい!そこの女!アタイと勝負しな。 愛子:わ、分かったわよ。 裕二:愛子!気を付けろ! スケバンゾンビ:じゃあいくぜ!〈お嬢様ボイスで〉『あらあら、あなた可哀想ね。そんな貧祖な胸じゃ嫁の*貰《もら》い手もいないでしょうに…。』 愛子:(グサッ!む、胸は関係ないでしょうが!)ぐっ!!〈ダメージを受ける〉 神的な人:おい、大丈夫か! 愛子:(落ち着いて…相手をよく観察するの。…あ!これならいけるかも!) 愛子:〈お姉さんボイスで〉『うふふ…そんなに強がっちゃって。可愛いわね。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!か、か、可愛いとかそんなことねーし!)うぐっ! 愛子:(効いてるわ!) スケバンゾンビ:…へぇ、なかなかやるじゃない。それならこういうのはどうだい! スケバンゾンビ:〈煽り口調で〉『まあ、あなたに言い寄って来る男性なんて、たかが知れてるだろうけど。』 愛子:そうね。そうかもしれないわね。 スケバンゾンビ:(何!ノーダメージだと!?) 愛子:〈包み込むような声で〉『でもあなたは違うわ。だってこんなに素敵なんですもの。それにあなたは男性に興味がないんじゃない。きっと過去に辛いことがあったのね。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!!あ、アタイのことを包み込むこの優しさは…)ぐああ!! スケバンゾンビ:や、やめろ!アタイは男なんか大っ嫌いなんだ! 愛子:〈優しい声で〉『もっと自分に自信を持って。そうすればきっとあなたの事を幸せにしてくれる素敵な男性に必ず出会えるはずだから。私はあなたの幸せを心から願っているわ。』 スケバンゾンビ:(トゥンク!!!ああ…あなたは女神様なの!あれ…目から零れ落ちるこれは…涙?)グギャアア!! スケバンゾンビ:ありがとう…私、スケバンなんかやめて女としての幸せを掴むわ…。〈消滅する〉 裕二:あ、愛子がスケバンゾンビに勝った…。 愛子:ふぅ…何とか倒せたわ。 神的な人:見事じゃったぞ! ククル:ん…んん。あ、あれ?私こんな所で何をしていたのかしら? 裕二:ククル! 愛子:大丈夫?怪我はない? ククル:え?えーー!裕二に愛子!何で二人がここにいるの? 裕二:ジイさんにこの世界がまた闇に覆われたって聞いて愛子と二人で駆け付けて来たんだ。 愛子:ククル。またあなたに会えて嬉しいわ! ククル:私もよ!また二人に会えるなんて夢のようだわ!本当にありがとう!! 神的な人:あー…一応わしもおるんじゃが…。 ククル:じゃあまたみんなで冒険出来るのね! 裕二:ああ! 愛子:とりあえず、この回復ポーションを飲んで。 ククル:ありがとう!…んっ〈ポーションを飲む〉はぁ…生き返ったわ! 神的な人:早速じゃが、ククル君や。このようになってしまった経緯について説明してくれんかの? ククル:はい。実は先日、復興作業中に空から黒い物体が降ってきて、中から異様な姿をした魔物が現れて次々とゾンビを生み出して人々を襲い始めたの。私も必死に村人達を誘導しながら応戦したんだけど全く歯が立たなくて、気付けば自分もネガティブゾンビにされちゃってたの。 裕二:その黒い物体から出て来た魔物の数は覚えているか? ククル:確か二体だったと思うわ。そしてそいつらが生み出した様々な種類のネガティブゾンビによって、あっという間に世界が侵略されてしまったの。 愛子:つまりはその二体を倒せば他のゾンビ達も消滅するって訳ね。 ククル:ええ。おそらくは。 裕二:じゃあ早速そいつらを倒しに行こうぜ! 愛子:どこに? 裕二:へっ? ククル:残念ながら二体の居場所は分からないんです。だから探そうにも探せず、このダンジョンで迷っている所をゾンビに襲われたって訳なんです。 愛子:そうだったの…。 裕二:なぁジイさん、何か良いアイテムとかないの?前回の高性能レーダー「見守る君」みたいなやつとか。 神的な人:そう都合良く持っとる訳がなかろうが!それにあれは味方の位置を把握するためのアイテムじゃ。とりあえずはそれっぽい所を*虱潰《しらみつぶ》しに探して行くしかなかろうて。 : ククル:(M)それから私達はありとあらゆる場所を探し回った。でも結局二体の魔物を見つける事は出来なかった。 : 裕二:はぁ…今日もダメだったか…。ちくしょう!一体どこにいるんだよ。 愛子:流石にこれ以上は探しようがないわ。 神的な人:とりあえず今日はここの宿屋で休むとするかの。 ククル:ええ。そうしましょう。 : :〈宿屋ポルテにて〉 裕二:グー…グー…。 愛子:すー…すー。 神的な人:ぐがぁ…むにゃむにゃ… ククル:みんな良く寝てるようね。はぁ…何だか目が冴えて眠れないわ。ちょっと外の風にでも当たって来ようかしら?〈宿屋の外に出る〉 ククル:ああ…風が涼しくて気持ち良い。それにしてもまさかこんな所で裕二と愛子に会えるなんてね。ほんとビックリだわ。あの二人が帰ってからずっと一人ぼっちだったもんね。…でももしこの冒険が終わったらまた二人と離れ離れになっちゃうのかな…。 サイファー:あら、お嬢さん。何を物思いに*耽《ふけ》っているのかしら? マルクス:こんな時間に女の子の一人歩きは危ないよ。 ククル:あ、あなた達は何者なの?それに私に何の用? サイファー:私達はね、この星を侵略しに来た存在と言えば分かるかしら? ククル:え!?もしかしてあなた達が! マルクス:おっと!仲間を呼ぼうとしても無駄だよ。ここには結界を張らせてもらったからね。 ククル:くっ…私をどうするつもりなの!? サイファー:そんなに*怯《おび》えないで。別に取って食おうって訳じゃないわよ。ただ…。 マルクス:僕達はね、知っての通り醜いゾンビしか生み出せないんだ。だから君のような可愛らしい娘が欲しいとずっと思っていたんだよ。 ククル:娘?な、何の事よ!それより、やっぱりあなた達がゾンビ達を撒き散らした元凶なのね!許さない! サイファー:そう怒らないで。これもこの世界のためにやった事なのよ。 ククル:良い加減なこと言わないで!あなた達が生み出したゾンビのおかげでこの世界のみんなが苦しんでいるのよ! マルクス:良いねえ、その反抗的な目。僕らの娘にピッタリだ。なぁサイファー? サイファー:そうね。どう?私達の娘になって一緒に世界を支配しましょう。 ククル:お断りよ!誰がアンタ達の娘なんかになるもんですか!それよりも、ここであなた達を倒してこの世界を救ってみせるわ! マルクス:それで君は良いのかい? ククル:え? マルクス:〈囁きボイスで〉『この世界が平和になったらまた一人ぼっちになっちゃうよ。』 ククル:(グサッ!わ、私はそれでも…世界を…)きゃあ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:くっ…そんな言葉に負けない! サイファー:じゃあ次は私が。 サイファー:〈優しく包み込むような声で〉『寂しかったのよね。あなたはずっと仲間が欲しかった。でも、冒険が終わればみんな元の世界に帰ってしまう。もう別れの辛さなんて味わいたくない。違うかしら?』 ククル:(グサッ!!そう…いつも、みんな私を置いて帰ってしまうの…)くはぁ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:わ、私は寂しくなんか…。 マルクス:これで最後だよ。 マルクス:〈イケボで〉『世界の平和なんてどうでも良いじゃないか。それともまだ一人で抱え込むのかい?誰もお願いしていないのに。』 ククル:(グサッ!!!そ、そうだわ…私が勝手に背負い込んでるだけじゃないの…。本当は…)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 ククル:…ああ、お願い…私を二人の娘にしてください…。〈気を失う〉 サイファー:うふふ…もちろんよ。 マルクス:これで可愛い娘の誕生だ。そうだ。せっかくなら新しい名前を付けてあげようよ。 サイファー:そうね…「シルフィ」ってのはどうかしら? マルクス:良いんじゃないかな。さぁ俺達の可愛い娘シルフィよ。目を覚ましておくれ。 ククル:ん…んん。あれ?お父様、お母様、私は何をしていたの? サイファー:あなたは疲れて眠っていたのよ。 ククル:そっかー。あのねお父様。シルフィね、夢を見たの。 マルクス:ほう、どんな夢だい? ククル:お父様とお母様と三人でこの世界を支配する夢。 サイファー:まあ!なんて素敵な夢なの!それじゃあその夢、一緒に叶えましょうか。 ククル:うん! マルクス:さぁシルフィ。一緒に帰ろう。 ククル:えへへ…お父様もお母様もだーいすき!〈三人が立ち去る〉 : :〈翌日〉 裕二:ふあああ!よく寝た! 愛子:んんん!〈伸びをする〉流石に昨日は歩き疲れたわね。 神的な人:むにゃむにゃ…げへへ。愛子のフニフニの手はいつ触ってもええのう…。 愛子:コラっ!良い加減起きんか!エロジジイ!!〈頭を叩く〉 神的な人:痛っ!急に何をするんじゃ! 裕二:あれ?そういやククルは? 愛子:ほんとだわ。どこに行っちゃったのかしら?ククルー!もしかして外かしら? :〈宿屋の外に出てみる〉 神的な人:(こ、この魔力…もしや!)二人とも、よく聞くんじゃ。ククル君は何者かに*攫《さら》われたかもしれん。 裕二:え?攫われた?どうしてそんな事が分かるんだ? 神的な人:ここに*微《かす》かじゃが、結界が張られた形跡が残っておる。残った魔力の流れから見ても何者かがククル君をここへ呼び出し連れ去った可能性は極めて高い。 愛子:そんな…。*後《あと》は追えそうなの? 神的な人:ふむ…これなら何とかなりそうじゃ。二人とも早速じゃが出掛けるぞ! 裕二:分かった! 愛子:行きましょう! : :〈ブラッディキャッスル〉 神的な人:着いたぞ。 裕二:ん?何もないけど? 愛子:本当にここで合ってるの? 神的な人:巧妙に魔力でカモフラージュされてて外からは分からんようになっとる。今からわしがそれを解くから二人とも下がっておれ。 裕二:ああ。 愛子:分かったわ。 神的な人:結界解除呪文『リリーサー!』〈結界が解除される〉 裕二:な!なんじゃこりゃ! 愛子:こんな巨大なお城が隠れていたの! 神的な人:ああ。そうじゃ。コレを見るだけでも敵は相当強いと見た。二人とも、心して入るぞ。 裕二:あ、ああ。 愛子:ククル、お願い、無事でいて。 : :〈ブラッディキャッスル内部〉 マルクス:おや?誰かが結界を解いたみたいだよ。 サイファー:へぇ…なかなかやるじゃない。 ククル:ねぇ、お父様。これから敵が攻めて来るの? マルクス:そうだよ。だからシルフィ。僕ら三人でやっつけよう! ククル:うん!私頑張る! サイファー:来るとしたらもうそろそろね。 : 裕二:何て広いお城なんだ…。 愛子:本当にここにククルはいるのかしら? 神的な人:おそらくはな。 : マルクス:これはこれは勇者の皆さん。ようこそ我がブラッディキャッスルへ。我々は皆さんを大いに歓迎いたします。 裕二:何だアイツは?ゾンビじゃない! サイファー:ゾンビ?失礼ね。私達はこの世界の新たな統治者となるべき存在。 愛子:ねぇ!あそこにいるのってククルじゃない? 裕二:本当だ!ククルー! マルクス:ククル?もしかしてうちの娘の事を言っているのですか?それじゃシルフィ、改めてご挨拶しなさい。 ククル:私の名前はシルフィ。マルクスお父様、サイファーお母様と共にこの世界を支配する者。誰だか知らないけど私達の邪魔をするなら容赦しないわ! サイファー:シルフィ、よく出来たわね。偉いわね。 ククル:えへへ…ありがとう。お母様! 裕二:ククル…。 愛子:私達の事まで忘れてるって言うの? 神的な人:どうやらククル君はあの二人の強力な魔力で自分の事を二人の娘じゃと思い込まされとるようじゃな。 裕二:ジイさん!ククルを元に戻す方法はねぇのかよ! 愛子:アンタ神的な人でしょ?それこそ前に使った「気付けの護符」をククルの首に掛けたら正気に戻るんじゃないの? 神的な人:ダメじゃ。「気付けの護符」はあくまで前の時のような「魅了」に対しては効果があるが、魔力による洗脳には効かんのじゃ。 愛子:そんな…じゃあどうやったら良いの? 神的な人:一つ方法があるとすれば、あの二人を倒すしかないのう。 裕二:倒すって…力でか? 愛子:それこそ武器なんて持ってないわよ。 神的な人:いいや。倒すのはあくまで言葉でじゃ。やり方は今まで嫌という程経験して来たはずじゃろ?それをあの二人にぶつけるだけじゃ! 裕二:分かった!行くぞ! 愛子:ええ! 神的な人:ちょっと待つんじゃ。 裕二:何だよ!今から行こうって時に! 愛子:そうよ!こういうのはノリと勢いが大事なのに。途中で水差すんじゃないわよ! 神的な人:あの二人はわしが相手をする。お前達はククル君を頼む。 裕二:いや無理だって。やられに行くつもりか? 愛子:言っとくけど、私アンタがゾンビになってもそのまま放置して帰るわよ。 神的な人:なぁに、心配せんでも若いもんにはまだまだ負けんて。それに、これはお前達にしか出来んことじゃからの。 裕二:ジイさん…アンタ…。 愛子:分かったわ。ククルの事は私達に任せて。その代わり、やられんじゃないわよ! 神的な人:誰にモノ言っとんじゃ。それじゃ行くぞい! 裕二:おう! 愛子:ええ! マルクス:おやおや、先程まで何やらコソコソと作戦会議を開いていたようですが、一体何を話したらこういう結果になるのですか? サイファー:まさかこんなジイさん一人で私達二人を相手にするつもり?はぁ…私達も舐められたものね。 神的な人:まあそう言うでない。わしは意外と手強いぞよ。 マルクス:そういうのってさ、自分で言う事じゃないんじゃない?まあいいさ。そんなに負けるのがお望みなら相手をしてあげよう。 サイファー:ふふふ…そうねぇ。あなたが負けたらうちの専属執事にでもしてあげるわよ。 神的な人:ほう…そりゃまた夢のような話じゃの。では行くぞ! : 裕二:ククル!頼む!正気に戻ってくれ! 愛子:お願いククル!私達の事思い出して。 ククル:…私、知らない人と無闇に話しちゃいけませんってお父様から言われてるの。それにさっきから私の名前はシルフィだって言ってるでしょ?あなた達、ちゃんと人の話聞いてた? 裕二:ククル…。 ククル:まあいいわ。暇つぶしに特別に相手をしてあげる。まずはあなたからよ。 裕二:やはり戦わないといけないのか…。くそっ! ククル:〈害虫に対して言うかのように〉『頼むからこれ以上その暑苦しい顔をこっちに向けないでくれる?陰キャが*伝染《うつ》るじゃない。』 裕二:(グサッ!いや、確かに俺は陰キャだけどさぁ…*伝染《うつ》るって酷くね?)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 裕二:く…ククル…。 愛子:ククル、私があなたを助けてあげる! 愛子:〈優しいお姉さんボイスで〉『さあククル。私をよく見るのよ。そして思い出して。私達と冒険したあの日々を!』 ククル:〈冷たく〉『はぁ?何言ってんの?アンタの*幸薄《さちうす》そうな顔を見るくらいなら*蟻《あり》んこの行列見てる方がまだ幸せよ。』 愛子:(グサッ!な、何よ*幸薄《さちうす》そうな顔って!どーせ私の顔は蟻の行列以下ですよーだ。)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 愛子:うう…強い…。 : サイファー:あっちも始まったみたいね。どう?うちの娘もなかなかやるでしょ? 神的な人:大丈夫じゃ。あの二人ならきっと何とかしてくれるわい。 マルクス:おやおや、その自信はどっから湧いて来るんだろうねぇ。まあ良いさ。それじゃこっちも始めようか。 マルクス:〈ショタボで〉『おじいちゃん!早くお小遣いちょうだいよ!それとも何?まさかボクが何の見返りもなしに会いに来たとでも思った?あはは!そんな訳ないじゃん!』 神的な人:ほっほっほ。それがどうしたんじゃ?年寄りはな、どんな理由であれ孫が来てくれるだけで嬉しいんもんなんじゃ。 マルクス:くっ…ノーダメージか…。 神的な人:ではこちらからも行くぞ! 神的な人:〈素の声で〉『お主ら、本当は人間が羨ましいんじゃろ?わしには分かるぞお主らの心の痛みが。』 マルクス:(トゥンク!そ、そんなわけないじゃないか!)ぐおお!〈ダメージを受ける〉 マルクス:な、こいつ…! サイファー:(トゥンク!わ、私達が人間にそんな感情を抱く訳ないじゃない!)きゃあ!〈ダメージを受ける〉 サイファー:つ、強いわ…。 神的な人:ふむ…なるほどの。今の反応で確信したわい。 サイファー:な、何よ!ちょっとダメージを与えたくらいで調子に乗らないでよね! マルクス:そうだ!お前なんかすぐにでも倒してやるんだからな! サイファー:〈*嘲笑《あざわら》う感じで〉『はっ!年寄りが一丁前に冒険なんてしてんじゃないわよ。禿げてるくせに!』 神的な人:(グサッ!禿げてることは関係ないじゃろーて!)うぐっ!(ダメージを受ける) 神的な人:…おっと、不覚にもダメージを負ってしまったわい。 サイファー:ふん…口程にもないじゃない。 マルクス:よし!良いぞ!そのまま一気にやっちまえ! サイファー:アンタも私に頼ってばかりいないであのジイさんにガツンと言ってやりなさいよ! マルクス:俺だってちゃんとやってるじゃないか! 神的な人:これ!わしの前で喧嘩するでない!はぁ…仕方ないのぅ。 神的な人:(ショタボで)『お願い!二人とも喧嘩はやめて!ボク…二人にはずっと仲良しでいて欲しいのに…うう…〈泣く〉』 サイファー:(トゥンク!!はっ!そうだわ…私達何で喧嘩なんてしてるのかしら)ぐああ!〈ダメージを受ける〉 サイファー:そ、そんな馬鹿な…。 マルクス:(トゥンク!!ああ…本当は争いなんてしたくないのに…)うぐっ!!〈ダメージを受ける〉 マルクス:こ、こんな奴に… 神的な人:さてと、そろそろ終わりにするかの。 神的な人:〈素の声で〉『二人とも。もう他人と比較して卑屈にならんでもええんじゃよ。例えゾンビしか生み出せない身体じゃとしても、お前達にはお互いを大切に思う相手がおる。それで十分じゃないのかの?』 サイファー:(トゥンク!!!そうだわ…私には愛するマルクスがいる!)ああああ!〈HPが0になる〉 サイファー:マルクス…愛してるわ…〈気を失う〉 マルクス:(トゥンク!!!サイファー、君さえいてくれたら僕は幸せだよ!)ぐあああ!〈HPが0になる〉 マルクス:サイファー…ずっと一緒だよ…〈気を失う〉 : 裕二:くそっ!それなら! 裕二:〈イケボで〉『俺はいつもお前のことを大切に思っているぞ。』 ククル:〈突き放すように〉『キモっ!ちょっとやめてくんない?一瞬で鳥肌立ったわ!』 裕二:(グサッ!!そんな…そこまで言わなくても…)がはっ!!〈ダメージを受ける〉 裕二:う…うう…。 愛子:裕二!大丈夫!?くっ…こうなったら! 愛子:〈女王様ボイスで〉『ククル!あなた誰の許可を得てそんな真似をしているの!さあ!今すぐ土下座して私に許しを*請《こ》いなさい!』 ククル:〈冷めきった声で〉『はぁ?アンタ何言ってんの?その容姿で女王様気取ってるとかマジ笑えるんですけど!ぷぷぷ…』 愛子:(グサッ!!わ、悪かったわね!こっちだってやってて恥ずかしいのよ!)きゃああ!!〈ダメージを受ける〉 愛子:くっ…うぁ…。 ククル:あはは!どうしたの?二人とも全然大したことないじゃない。さっさとあなた達を倒して、私はお父様とお母様の元で仲良く暮らすの。 裕二:(仲良く暮らす…?待てよ、もしかしてククルは…) 裕二:〈素の声で〉『ごめんなククル。ずっと寂しいを思いさせて…。』 ククル:(トゥンク!そ、そんなことないもん!私にはお父様とお母様が…)くはぁ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:そ、そんな…私がダメージを受けるなんて…。 愛子:(素の声で)『私達が帰った後、ずっと一人ぼっちだったんだね。気付いてあげられなくてごめんね。』 ククル(トゥンク!!そう…私はほんとは二人と一緒に…)あああ!!〈ダメージを受ける〉 ククル:わ、私はシルフィ…アンタ達なんて知らないはずなのに…どうして…。 裕二:さぁククル。これで俺達がお前を取り戻す!行くぞ愛子! 愛子:ええ! 裕二:〈素の声で〉『ククル!俺達と一緒に暮らそう!』 愛子:〈素の声で〉『もうどこにも行かないわ!これからはずっと一緒よ!』 ククル:(トゥンク!!!!ああ…なんて温かい言葉なの!)きゃあああ!!〈HPが0になる〉 ククル:…裕二、愛子…ありがとう…〈気を失う〉 : :〈数日後〉 裕二:そういや、あれからあの二人はどうなったんだ? 神的な人:サイファーとマルクスのことか?あの二人ならわしの言葉でお互いにとって何が幸せなのかに気付いて自分達の世界に帰って行ったわい。 愛子:じゃああのネガティブゾンビ達は? 神的な人:全て消滅したわい。そもそもあれは二人が感じておった「嫉妬」や「*羨望《せんぼう》」、「諦め」といった負の感情が生み出した産物じゃったからの。あの二人からネガティブな感情が消えたと同時にそいつらも消滅したんじゃ。 ククル:じゃあゾンビにされていたこの世界のみんなは? 神的な人:もちろん元の人間に戻ったわい。 ククル:良かったぁ!…あ、それと、今回もこの世界と私を救ってくれてありがとう。私のせいでみんなには色々迷惑かけてごめんなさい。 裕二:なに言ってんだよ。俺達大切な親友だろ? 愛子:そうよ!だから気にしないで。それよりククルが元に戻ってくれて嬉しいわ。 ククル:ありがとう、裕二、愛子…それとおジイさんも。 神的な人:あくまでお主もジイさん呼びなんじゃな…まあ良いわい。じゃあそろそろ帰るとするかの。 ククル:あ…そうだよね…やっぱり二人は元の世界に帰っちゃうんだよね…。 裕二:あれ?そういや言ってなかったっけ? 愛子:私達、この世界に残ることに決めたのよ。 ククル:え?それじゃあこれからはずっと一緒にいられるの? 裕二:ああ!その通りだ! 愛子:三人で仲良く暮らしましょ! ククル:うう…ありがとう!二人とも! 神的な人:それじゃあわしは天界に帰るから、お前達は幸せに暮らすんじゃぞ! 裕二:ああ!色々とありがとな!ジイさん! 愛子:気を付けて帰ってね! ククル:本当にありがとうございました! 神的な人:うむ…ではさらばじゃ!〈消える〉 裕二:さて、ジイさんもいなくなった事だし、まずは三人で暮らす家でも作るか! 愛子:そうね!それじゃあどんな家にするか一緒に考えましょうか。 ククル:賛成!! : ナレーション:こうして、再び彼らの活躍によって「デスラバー」に平和が戻った。そして、裕二と愛子は故郷「ラブリーニア」を離れ、ククルのいる「デスラバー」で三人仲良く暮らすことになったのであった。 : :〈天界にて〉 神的な人:ふぅ…今回は少し大変じゃったが、わしも久しぶりに冒険出来て楽しかったぞい。裕二、愛子、そしてククルや。これからは三人で手を取り合って幸せに暮らすんじゃぞ。わしはいつでも空の上からお前達を見守っておるからの。ほっほっほ。 : :~完~