台本概要

 177 views 

タイトル ようこそ猫の手霊障事務所へ ~堕ちた焔~
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男2、女2、不問1)
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 復讐の毒牙を携えて
自問自答の成れの果て
淀んだ魂の内なる火

※ようこそ ねこのて れいしょうじむしょへ おちたほのお

8/13

※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡下さい。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

 177 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
92 木花臣(きのはな おみ)16~18歳 高校生。闇から解放され、自身の霊力で戦えるようになった。 優しい性格、愛美が好き。
愛美 118 桜木愛美(さくらぎ めぐみ)16~18歳 高校生。あることがきっかけで事務所に入った。 影から触手を出し、それを用いて様々な攻撃やサポートをする。 料理上手。臣が好き。
サンズイ 103 普段はキャップを被った河童の青年。 水を変形させて戦う。 陽気な性格。冷凍キュウリが好き。
火車 不問 55 中性的な見た目をし、太く長い鎖とそこから車輪を出して戦う。 自問自答を常にしており、淡々と喋る。
清姫 63 普段は派手めなギャルの恰好をしている、本当の姿は全身に鱗が浮き出て、尻尾が生え両肩からは蛇が出現する妖怪。 拳や蛇を用いた攻撃をする。 男勝りな口調だが、どこか優しさを感じる。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
臣:【N】先日パンプさんから貰ったこの手紙、その中身には僕の奥に眠る謎の霊力についてが書かれている 臣:非常に強力である為、連発は避ける事…連続使用した際の身体への反動 臣:そして……猫又さんの霊力についても書かれていた… 0: 0: 0: 0:放課後 愛美:「おーみー!」 臣:「愛美、お疲れ。どうかしたの?」 愛美:「どうかしたのじゃないよ!なんでさっさと1人で帰ろうとしてるの!」 臣:「え、だって愛美、委員会あるかなって思って…」 愛美:「今日一緒に事務所行こうって話をしたじゃん。」 臣:「あれ、そうだったっけ。」 愛美:「そうだよ!またボーっとして人の話聞いてなかったなー?」 臣:「ごめんごめん…えっと…じゃあ一緒に行こうか。」 愛美:「んもう…やっぱりまだ体が本調子じゃないんじゃない?大丈夫なの?」 臣:「大丈夫大丈夫。もう2週間経つし、今日まで霊障も何も起きてないしね。全然余裕だよ。」 愛美:「それならいいけど、絶対無理しないでよね!もうあんな思いをするの嫌なんだから!」 臣:「わ、分かってるって。」 愛美:「臣ってば目を離すとすぐに無理するんだもん。」 臣:「だってそれはほら、仕方ないって言うか…」 愛美:「分かってるよ、それが臣なんだもん。でも…臣が居なくなるのは嫌だから…」 臣:「愛美……うん、ごめん。」 愛美:「うん…」 臣:「僕は愛美の傍から居なくなったりしないから。だから、安心して。」 愛美:「臣…うん。」 0:臣が愛美の手を握ろうとする 臣:「愛美……」 愛美:「臣……」 臣:「……。」 愛美:「……っ」 サンズイ:「おー!やっと2人来たー!!」 臣:「どひゃあああ!!?」 愛美:「サンズイさん!」 サンズイ:「やっほー、おみっち、めぐみん!」 臣:「さ、さささサンズイさんっ!?どどどどうして学校に!?」 サンズイ:「いやぁ、仕事がこの近くだったからついでに迎えに行こうかなって思ってね。」 臣:「あ、あー!そうなんですね!」 サンズイ:「おみっち、なんでそんなに驚いてんのよ?」 臣:「えっ!?いや、なんでもないです!」 サンズイ:「ホントにぃ?」 臣:「ほ、ほんとですよ…!!」 サンズイ:「そー?ならいいけど。ほら、事務所に行こうよ。」 愛美:「はい。ほら行くよ、臣。」 臣:「あ、う、うん!」 0: 0: 0: 0:事務所までの帰り道 サンズイ:「いやあそれにしても、おみっちが元気になってよかった。」 愛美:「嬉しいのは分かりますけど、それ何回目ですかぁ?」 臣:「本当に皆には迷惑かけてごめん。」 サンズイ:「もうさあ、おみっちが倒れたって聞いた時、ココも俺もこの世の終わりみたいな空気になったもんね。 サンズイ:おみっち達が霊界に行ってる時なんかは、めぐみんずーっと泣いててさ、家に帰ろうとしなかったし。」 愛美:「ちょっとサンズイさん!それ言わないでって言ったじゃないですか!」 サンズイ:「なっははは、そうだったっけ?」 臣:「愛美、家に帰らなかったの?」 愛美:「だって…心配で……いつ帰って来ても良いように待っていたかったから。」 臣:「そっか……ありがとね…」 サンズイ:「でもこうしてまた皆元気に笑顔になってホントに良かったよ。」 臣:「サンズイさん…うん、そうですね。皆のお陰です、本当にありがとう。」 サンズイ:「いーって事よ!ていうかさ、ここ数日なんか気温高くなったよね。もう暑くてたまんないんだけど。」 愛美:「そうですね…季節的にもう少し気温は下がっててもいいのに。」 サンズイ:「俺暑いの苦手なんよねぇ…勘弁してくれって感じぃ…」 臣:「河童って夏のイメージが強いからてっきり暑さには慣れてるかと思ってました…」 サンズイ:「いやいや、そんなこと無いよ?人間も暑いのが平気な人とそうじゃない人が居るでしょ?それと同じよ。俺は暑いのが苦手な河童ってだけ。」 愛美:「妖怪にも色々あるんですね。」 サンズイ:「そりゃもちろんよ。特にうちの事務所は変わり者が多いからね。リーダーがあれだしさ。」 臣:「ああ…」 サンズイ:「そいやおみっちはこの間初めておやっさんと会ったんだよね?どうだった?」 臣:「えっと、なんというか…サンズイさんみたいな方でした。」 サンズイ:「え?俺みたい?」 愛美:「あー…なんとなく言いたい事分かるかも。」 サンズイ:「え、え?どういうこと?」 臣:「あ、えっと、凄く優しくて楽しい方でした!」 サンズイ:「えー、ほんとぉ?なーんかあやしいなぁ…」 臣:「ホントですよー!!」 0: 0: 0: 0: 0: 火車:「自分は何の為に…自分は…あの方の為に……自分は…果たさなければならない… 火車:今度こそ、自分は……あの方の為に…自分の為に……あいつらを……必ず…そう……必ず…」 0: 0: 0: 0: 0:事務所 サンズイ:「ささ、上がって上がって。」 愛美:「お邪魔しまーす。」 臣:「ココさんと猫又さんはいないんですか?」 サンズイ:「2人はパンプのダンナのとこ。なんか手伝いとかなんとかって言ってたね。」 臣:「そうなんですか…部屋壊しちゃったし、改めてパンプさんに謝りたかったな…」 サンズイ:「それはしゃーないよおみっち!いつまでもクヨクヨしてちゃ駄目だぜ!」 愛美:「そうだよ、まずは体を休めなきゃ。」 臣:「うん…わかったよ…もう無茶はしない。」 サンズイ:「それと、ココの言いつけも守るんだぞ?」 臣:「あ……はい…『リンクをしない』ですよね。」 サンズイ:「そ!これ以上誰ともリンクをしない!今回は何とかなったけどさ、次もまた無事で済むとは限らないしね。今度暴走したらその時こそ最悪の結果が待ってるかもしんないから。」 臣:「そうですよね…」 愛美:「大丈夫、私も強くなるし臣1人でどうにかしようとしなくていいんだからね。」 サンズイ:「おうよ。もっと俺らを頼ってくれていいんだぜ。皆でこの事務所を守るって約束したろ?」 臣:「2人共…うん、そうだね。少し僕は焦ってたかも…皆で守るんだもんね、一緒に強くならなきゃ。」 サンズイ:「そういうこと。」 愛美:「あ、そうだ!忘れてた!」 サンズイ:「どしたのめぐみん?」 愛美:「臣、今日事務所に用があったんでしょ?それはいいの?」 臣:「あ、そうだった!あの、サンズイさんに聞きたい事があって。」 サンズイ:「お兄さんに何でも聞きなさい。」 臣:「猫又さんについてなんですが…」 サンズイ:「…又っちについて?」 臣:「猫又さんの過去の話とかって本人から何か聞いた事ありますか?」 サンズイ:「過去について?んー…又っちは自分の事ほとんど話さないしなぁ……実は名前も聞いた事無いんだ。」 愛美:「皆さん『猫又』って種族名?から取った呼び方をされてますもんね。ずっと気にはなってました。」 サンズイ:「そそ。ただ1つだけ、軽く聞いた事があるのがあるんだけど。 サンズイ:その昔、又っちは大切な人を助けられなかったらしい。そしてその人は悪霊になって…又っち自ら浄化したんだってさ。」 愛美:「そんな過去が…」 臣:「……だから愛美が悪霊になった時に……悪霊になった人は帰ってこないって……」 サンズイ:「この話、俺から聞いたって言うの無しね。又っちこの話をしたくないだろうしさ。」 臣:「もちろん、しません。」 サンズイ:「でもなんで急に又っちの事を知りたいって言ったの?」 臣:「出会ってからもうだいぶ時間経ったのに皆の事知らないなって思って…猫又さんは特に。それにパンプさんからのメモの事もあって…」 サンズイ:「メモ?」 臣:「はい、これなんですけど……」 0:メモを受けとる サンズイ:「これは………そっか…なるほどね。」 臣:「サンズイさん?」 サンズイ:「おみっち。」 臣:「はい?」 サンズイ:「又っちの事は好きかい?」 臣:「そりゃあもちろん…口は悪いですけど、皆の事が大好きで大切にしてるなって思ってます。」 サンズイ:「そうだよねぇ、ホント又っちって素直じゃないよねぇ。」 愛美:「そこが凄く可愛いと思います!」 サンズイ:「分かるぅ!その好きって気持ちを忘れないであげてね。又っちはめちゃくちゃいい奴なんだ。」 臣:「はい、分かっているつもりです。」 サンズイ:「ならよろしい!」 0: 0: 0: 0: 0: 愛美:「それじゃあ私達帰りますね。」 サンズイ:「もう遅いし送っていくよ。」 愛美:「誰も居ないから暇なんですね。ありがとうございます。」 サンズイ:「めぐみん辛辣ぅ~、でもせーかい!1人だと退屈なのよ。」 臣:「猫又さんとココさんはいつ帰ってくる予定なんですか?」 サンズイ:「明日か明後日って言ってたかなぁ?」 愛美:「割と直ぐ帰って来るんですね、それなら少しの辛抱……」 サンズイ:「待って。」 愛美:「え?どうかしたんですか、サンズイさん?」 サンズイ:「……何かいる。」 愛美:「え?ど、どこに!?」 臣:「何か……何か聞こえる…?遠くから徐々にこっちに向かって来るような…」 愛美:「…え?」 サンズイ:「おいおいこの音…」 愛美:「…鉄が擦れるような…まさか…これって…」 0:鎖を引きずりながら 火車:「自分は何の為に……自分の為に……あの方の為に…お前らを消し炭にしに来た。」 愛美:「あれは…」 臣:「お前は……火車っ…!」 サンズイ:「おいおい…金輪際会いたくないって言わなかったかぁ?また何しに来たんだよヨーヨーさん…」 火車:「何しに来た…か……愚問だな……あの方の悲願の為に…お前らという障害を排除しに来たのだ…」 サンズイ:「又っちもココも居ないこのタイミングで最悪だな…明後日に出直してくんない?」 火車:「それは出来ない…相談だ…なっ!!*紅蓮花火《ぐれんはなび》!!」 0:爆発を誘発する燃える車輪が襲う サンズイ:「やっぱこうなるよねぇえ!*衝渦水壁《しょうかすいへき》!!」 0:渦巻く水の壁で受け止める 愛美:「サンズイさん!!」 サンズイ:「くっうう!!前よりも火力上がってやがる…!!」 火車:「自分は無数の自問自答を繰り返してきた…自分は何の為に生まれ…誰の為に生き…何を目的に行動し…何が欲しくて思考してきたのかを…… 火車:今の自分は以前の自分とは違う…この業火でお前らを痛み無く蒸発させてやる。」 臣:「*水泡連弾《すいほうれんだん》!!」 0:無数の水の弾が火車を襲う 火車:「っ!」 0:火車が飛び退く サンズイ:「おみっち、助かった!」 火車:「人間の子供…お前……以前とは比べ物にならない程の霊力量だな…」 臣:「強くなったのはお前だけじゃないぞ。」 愛美:「私達全員、あの頃とは違うんだから。今度こそ浄化する!」 火車:「…そうか……しかしそう上手く行くとは思わない事だな…」 愛美:「え?」 清姫:「噛みつけ!*蛇餓羅《じゃがら》!!」 0:蛇が高速で噛みつきに飛んでくる 愛美:「っ!!」 臣:「危ない!!」 サンズイ:「間一髪で避けれて良かった…でも今のは一体……」 愛美:「……そんな…なんでここに…」 0:1人の女性が歩いてくる 清姫:「なんでってそりゃあ…アンタがアタシに情けを与えちまったからに決まってるじゃないか。」 愛美:「清姫さん…」 臣:「あの人は…愛美、知ってるの?」 愛美:「あの人は…清姫さん…蛇の妖怪で……私達の………敵、だよ…」 清姫:「そう、敵。なんだ分かっているじゃないか。」 愛美:「………。」 清姫:「理解はしても、納得したくないって顔だね。その顔、本当に腹が立つね。」 愛美:「当たり前じゃない…私はアナタと友達になりたいんだもの。」 清姫:「まだ言うのかい?懲りないね。」 愛美:「何度だって言うよ、私はアナタと友達になる!」 清姫:「……火車、先にこのガキを喰わせてもらうよ!!」 火車:「……好きにしろ。」 臣:「愛美…僕も…」 愛美:「ううん、ここは私1人でやらせて。そうじゃなきゃダメな気がするの。」 臣:「愛美…」 清姫:「へぇ……タイマン張るってのかい?」 愛美:「アナタとちゃんと話がしたいから。」 清姫:「はんっ………だから…無駄なんだよ!!小娘!」 0:拳を握り愛美に向かっていく サンズイ:「お前は俺…ね。その目は……はぁ…逃がしてはくれそうにないみたいね。」 火車:「河童、お前はこの手で必ず始末する。」 サンズイ:「遠慮したい所なんだけど。」 火車:「それは、無理な相談…だ!」 サンズイ:「変なのに好かれちまったねぇ…俺はお前みたいな根暗は好みじゃないんだよ!*閃澪濁洪《せんれいだっこう》!」 0:手から凝縮された無数の水が放出される 火車:「そんなもの…蒸発させてやる……なっ!?」 0:火車の腕に影の触手が絡みつき動きを封じる 臣:「させない!」 火車:「人間貴様…!!」 サンズイ:「ナイス!おみっち!火車、くらいやがれぇええ!」 火車:「ぐっ…がぁああっ…」 サンズイ:「っしゃ!クリーンヒットぉおお!!って、あっちいいいい!」 臣:「サンズイさん!?」 火車:「周りが見えないのはお互い様なようだな…*秋葬蓮華《しゅうそうれんげ》。」 0:サンズイの周りに燃え盛る火がサンズイに集まる サンズイ:「ぐわぁああああ!!」 臣:「なっ!!サンズイさんが…!!くそ!*水泡連弾《すいほうれんだん》!*水泡連弾《すいほうれんだん》!!消えろおおお!!」 火車:「目障りだ…人間。*蛇頭烈華《じゃとうれっか》。」 臣:「うぐうううああ!!」 火車:「このまま灰になれ、河童、人間。」 サンズイ:「こんの……あんま…調子に乗んなよ…!うおおおらあああ!!」 火車:「……あれだけの炎を掻き消したか……」 サンズイ:「はあ…はあ……俺って、見ての通りの河童だからよ……暑いの大嫌いなんだわ。だからさ、目の前から消えろよ。炎なんて目に入るだけで嫌なのよ。」 火車:「奇遇だな。自分は水を何よりも嫌悪している。そこまで炎が嫌いなのであれば、その身諸共蒸発させてやろう。」 サンズイ:「やれるもんならやってみやがれっ!!*水守之刃《みなかみのやいば》ぁあああ!!」 火車:「燃えろ…!*炎矛杜若《えんむかきつばた》!」 0:水の刃と炎の鎖がぶつかり合う 0: 0: 0: 清姫:「おらおらおらぁああ!!」 愛美:「うっ、ぐっ!!」 清姫:「どうしたどうしたぁあああ!!いつまでも受け身ばっかじゃアタシに傷1つ付けらんないよ!!」 愛美:「そんなの…分かってる…よ!!」 清姫:「触手伸ばしてんの分かってんだよ!*蛇餓羅《じゃがら》ぁああ!!」 0:背後の触手に肩の蛇が食らいつく 愛美:「そんな!」 清姫:「甘いっつってんだよ!!*闘雅《とうが》ぁあああ!!」 0:拳から波動が放たれる 愛美:「ぐっあっ…!!」 清姫:「ちいいっ!防ぎやがった!」 愛美:「これでも、私だって強くなってるんだから!!お願い、貫いて!」 清姫:「くっ!!」 愛美:「ズレた…!」 清姫:「まだ制御が甘いくせに粋がるなよ!ガキがぁあ!」 愛美:「きゃあああ!!」 0:拳を腹に受ける 清姫:「…はぁ…散々アタシの事を煽っておいてこの程度かよ、アンタ。ああ?」 愛美:「ごほっ、げほっ!はぁ、はあ……ま、まだ…」 清姫:「…ちっ……気にくわねえ………その目が気にくわねえんだよ!」 0:倒れる愛美を蹴り飛ばす 愛美:「あぁぁあ!!」 清姫:「どうしてその目を向けるんだ…どうしてそんな目をまだ出来るんだ!アタシはアンタの敵だぞ!傷付ける敵なんだぞ!」 愛美:「ぐっ…ふぅ…ふう……」 清姫:「前にも言ったがアタシはアンタが大嫌いだ。その目も、言葉もなにもかも。」 愛美:「嫌いでも、いい……それでも私は、アナタと友達になりたい…それからでも好きになって貰える…から…」 清姫:「………いい加減黙れよ…」 愛美:「清姫さんは悪い人じゃないって、私はそう思うから!」 清姫:「黙れって言ってんだろっ!!!」 愛美:「っ!」 0:清姫の肩の2匹の蛇と影から産まれた無数の蛇が1つになっていく 愛美:「なにこれ…………………」 清姫:「*双頭影噛蛇餓羅大蛇《そうとうようごうじゃがらおろち》……このガキを骨の髄まで嚙み砕け。」 0: 0: 0: 0: サンズイ:「うおおおおお!!」 火車:「んんんあぁああ!!」 サンズイ:「なんだよ自分語りの根暗ヨーヨー、いい顔になってんじゃないの!」 火車:「黙れ、河童…!*紅蓮花火《ぐれんはなび》!」 サンズイ:「*衝渦水壁《しょうかすいへき》!!」 火車:「この…!」 サンズイ:「どうしてお前は戦ってんだ?どうしてあの方って奴に従ってんだ?」 火車:「そんな事を聞いてどうする…」 サンズイ:「さあな、どうするかどうかはお前次第だ。俺はお前が指示に従っているだけでお前の中にお前の意思がないのかって知りたいんだ。」 火車:「自分は…当然自分の意思で……」 サンズイ:「時々お前の攻撃に迷いを感じるんだ。どうなんだ火車!」 火車:「自分は…自分は…何の為に…いや、自分は自分の為に…いや、あの方の為に……?」 サンズイ:「自分で自分が分からないか?お前は、ただあの方って奴に良いように使われてるだけなんじゃないのか?」 火車:「自分が、良いように使われてる……?自分が?何の為に?」 サンズイ:「お前は何がしたい?何を思ってる?何を感じてるんだ?」 火車:「自分は…自分は……?自分は?何を……」 サンズイ:「火車!!」 火車:「あ、あぁ……あああああ!!!うるさい、うるさい、うるさい…!!」 サンズイ:「あっちい…!!全身から火が吹き出やがった…!ホント嫌だね炎って奴は!」 火車:「これ以上…自分の中を搔き乱すな…!!」 0:車輪と鎖の炎が大きくなる サンズイ:「これはまずいな…おみっち!おみっち!!起きて!」 臣:「うっ…サンズイさん…」 サンズイ:「早くここから離れてめぐみんの所に行くんだ!」 臣:「…え?」 サンズイ:「あのバカヨーヨーは俺がやる、俺がやらないといけないんだ。おみっちはめぐみんを助けてあげて。」 臣:「サンズイさん………はい、わかりました。気を付けてくださいね!」 サンズイ:「おうよ。おみっちも気をつけてね。」 火車:「あああああああ!!!」 サンズイ:「…さーって、消火活動始めますか。」 火車:「*灰燼《かいじん》と化せ!*曼珠灼華《まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「これ以上、炎なんかに俺から奪わせねえ!*瀑流喝破《ばくりゅうかっぱ》ぁあああ!!」 火車:「おおおおおおお!!!」 サンズイ:「おらあああああああああ!!!」 0:高圧の水と巨大な炎の車輪がぶつかり辺りが蒸気に包まれる 0: 0: 0: 0: 愛美:「あ……あ…いや……」 清姫:「アタシにコイツを使わせた時点でアンタは終わりだ。獲物を捕食するまでコイツは止まらない。」 愛美:「清姫さん……」 清姫:「…アタシは良い奴なんかじゃないしアンタと仲良しごっこをする気もない。アタシはアタシの目的の為に動いている。その為なら誰であろうと手にかける。そんなバケモノなんだ。」 愛美:「私は清姫さんをバケモノだなんて思ってない…」 清姫:「何を言ってもアンタはそう言う…だからさ……もう耳障りなんだよ。大人しく、喰われてくれ。」 愛美:「清姫さん…私、私…」 清姫:「噛み砕け、*蛇餓羅《じゃがら》。」 0:巨大な蛇が愛美に襲い掛かる 愛美:「…っ!!」 臣:「*仙狸《せんり》!!」 清姫:「っ!?」 臣:「はぁ…はあ……間に合った………大丈夫、愛美?」 愛美:「え…お、おみ…?なんで…」 臣:「サンズイさんが愛美の所に行けって。」 愛美:「そんな、火車と2人きりだなんて危ないよ!」 臣:「きっと火車になにか思う事があるんだと思う。あんな真剣な顔をしたサンズイさん初めて見たんだ。」 愛美:「火車に…?」 清姫:「男…お前、アタシの可愛い蛇をよくも吹っ飛ばしてくれたね?」 臣:「……キミこそ。よくも僕の大切な愛美に手を出してくれたね。」 清姫:「汚らわしい…アタシの視界から消えろ!!」 0:蛇餓羅が起き上がり臣に立ちはだかる 臣:「なっ!」 清姫:「あんな攻撃1発で沈むわけがないだろ!さあ新しい餌だ!食らえ!」 愛美:「臣!!」 臣:「*流旋《りゅうせん》の構え!」 0:蛇餓羅は動きを止め尻尾で臣を吹き飛ばす 臣:「なっ、ぐっあぁああ!」 愛美:「臣いいい!!」 清姫:「そんなもので止められると思うなよ。アタシの*蛇餓羅《じゃがら》は霊力の感知が鋭いんだ。どんな性質の技なのかを理解し対応が出来る。」 臣:「く…そ…」 愛美:「臣!危ない!お願い、守って!」 0:蛇餓羅が連続で影のバリアに攻撃をする 愛美:「くっ…重すぎる…」 清姫:「うざいねホント…!いい加減倒れろよ!*闘雅《とうが》!」 愛美:「ぐっ…きゃああああ!!」 臣:「愛美!」 愛美:「くっ…はあ…はあ……うっ…」 清姫:「*蛇餓羅《じゃがら》ぁああ!!」 臣:「お願い、捕らえて!」 0:蛇餓羅に影の触手が巻き付く 臣:「愛美、愛美!!大丈夫!?」 愛美:「まだ…動ける…よ…」 臣:「良かった……これ以上愛美に近づけさせない!!お前は僕が倒す!あまり使うなって言われたけど…愛美を守るんだ! 臣:はぁああああ!!倒れろおおおお*仙狸・結び《せんり・むすび》!!」 清姫:「なっ!?なんだあの攻撃は!?アタシの蛇を沈めやがった…!?」 愛美:「今のは…」 臣:「はあ…はあ……僕の元々ある霊力を少し使えるようにしてもらったんだ。」 愛美:「そうなんだ…やっとつかえるようになったんだ凄いね!」 臣:「これも全部、皆のお陰だよ。」 愛美:「臣のお陰でこれでまたやっと清姫さんへの道が開いた。」 清姫:「ちい…まだやるってのか……どうしてそこまでしてアンタは!」 愛美:「だから…」 清姫:「友達になりたいってだけじゃもう通用しないよアンタ…」 愛美:「………清姫さん、辛そうだから…」 清姫:「は…?」 愛美:「…ずっと辛そうな顔をしてるから…寂しそうな顔をしてるから……」 清姫:「アタシがそんな顔を?何を言ってるんだアンタは…」 愛美:「私は清姫さんの味方になりたいの。少しでも力になりたいの…!」 清姫:「なんで…なんでそんな事を言うんだ……これ以上アタシの心の中に入って来るな…!!!」 臣:「凄い霊力…!」 清姫:「アンタと会ってからというもの、アタシの心の中はぐちゃぐちゃだ!!アタシが辛そう?寂しそう?アンタに関係ないだろ…!」 愛美:「関係なくないよ、猫又さん、サンズイさん、ココさん、リーダーさん。私達は人間だけど、妖怪の皆と友達になれたんだもん。清姫さんとも仲良くなれる!清姫さんに力を…猫の手を貸してあげたいの!」 清姫:「だから、関係ないって言ってるだろ!!来い!!*蛇餓羅《じゃがら》!!」 0:蛇餓羅が清姫の中に取り込まれていく 臣:「蛇が…」 清姫:「これだけは使いたくなかった……でもしょうがないね…それもこれも全部アンタが訳の分からない事を言うからだ 清姫:……アタシの命を懸けたこの拳でアンタら消し飛ばしてやるよ。」 愛美:「清姫さん…!」 清姫:「さあ、最後の勝負と行こうか。クソガキ。」 愛美:「……ねえ、臣。」 臣:「…なに?」 愛美:「ここは私に任せて欲しいの。」 臣:「………分かった。」 愛美:「ありがとう。」 清姫:「男の力は借りないつもりかい?」 愛美:「これは私の戦いだから。」 清姫:「…そうかい。それじゃあ、そのまま死ね! 清姫:うおおおおおおおお!!*蛇昂拳・大蛇鬼門《じゃこんけん・だいじゃおにのと》!!」 愛美:「はぁああああ!!!お願い、力を!*影纏い・腕帯《かげまとい・うでおび》!」 0:蛇状の拳と影を纏った拳が衝突する 0: 0: 0: 0: 火車:「おおおおおお!!!」 サンズイ:「はああああああ!!!」 火車:「河童!お前に自分の何が分かる!なぜ自分の中を搔き乱す!!」 サンズイ:「分かんねえから聞いてんだろ!何が知りたくて何を感じたくて、何をどうしたいのか!それを聞きたいし、そこにお前の意思があるのかを知りたいんだ!」 火車:「自分は…自分はそれが分からない!だから自問自答を繰り返して…繰り返して繰り返して…!!全ては自分を救ってくださったあの方の為に…!その為にひたすら!」 サンズイ:「おいおい、言ってる事が訳わかんないぞ…」 火車:「自分には幼少期の記憶はない、気が付いた時には燃え盛る業火の中に居た…そこであの方に手を差し伸べてもらった。 火車:何もない自分に全てを与えて下さったのはあの方だ。息絶え炭と化した者の香りとあの方の手の感触のみが自分の古い記憶。それしか自分にはないのだ。 火車:何もないから繰り返し考え、何もないから縋るしかない。そこに自分の意思など不要、空っぽの意思など無意味だ!」 サンズイ:「なんだ?生まれた時から1人の可哀そうな私だから勘弁してくれって?ふざけんな!!そんな理由で人を殺していい理由にならないし、悪霊化させていい理由にならない! サンズイ:ましてや、自分の心が空っぽだからってそのまま放置していい理由にも相手に依存していい理由にもならねえんだよ!」 火車:「自分はそれしかない、選択肢は他にない!」 サンズイ:「無いなら自分の中に作れ!人に縋ってそれで満足するな!」 火車:「お前には…分からない!!更に燃え上がれ!*曼珠灼華《まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「分かんねえよ!!更に押し返せ!*瀑流喝破《ばくりゅうかっぱ》ぁああ!!」 火車:「自分は…自分は……!!」 サンズイ:「くっ!!」 0:水蒸気爆発が起きる 火車:「ぐっ…ああ!!」 サンズイ:「うああああ!!」 火車:「分からない、分からない……自分は…何の為に…どうして…なぜ…?」 サンズイ:「はあ…はあ……火車……?」 火車:「自分は…?火車?どうしたら……誰の為に…?」 サンズイ:「おい、火車!」 火車:「ああ…分からない……分からない……!あああああ!!」 0:周囲に炎が立ち、まき散らされる サンズイ:「あっつ!!今までのより熱い…!おい、火車!!」 火車:「あああぁぁあぁぁあああぁ!!」 0: 0: 0: 清姫:「アンタ…その姿は!!」 愛美:「清姫さんと戦って思ったの、ずっと後ろに居るばかりじゃダメだって!私も前で戦いたいって!」 清姫:「正直驚いたよ、でもまだまだ甘いね!!」 愛美:「ぐっ!!」 清姫:「動きがトロいんだよ!」 愛美:「ぐあぁ!!」 清姫:「そらそらそらぁああ!!」 愛美:「やられっぱなしじゃないんだから!!」 0:拳の周りから触手が伸びて清姫を縛る 清姫:「なにっ!?」 愛美:「はああああ!!!」 清姫:「がっ!!」 愛美:「私の想いを全部乗せる!!いっけええええ!!」 清姫:「甘い…っつってんだ!!」 愛美:「え、きゃあああああああ!!!」 臣:「愛美!!」 清姫:「はぁ…はぁ、最後の1発は…結構効いたよ…でも、アタシの勝ちだ。」 愛美:「う、うう………」 清姫:「アンタが心からアタシに何かしたいって思ってんのは理解はしたよ。 清姫:ただ、それは受けられない。これはアタシの問題だ。」 愛美:「……分からず屋…」 清姫:「お互い様だ。」 愛美:「………清姫さん、私は…」 清姫:「っ!!はぁああ!!!」 0:愛美を蹴り飛ばす 愛美:「え?きゃぁああああっ!!」 臣:「愛美!大丈夫!?めぐ……え?」 愛美:「うっ……え…清姫さん?」 清姫:「……はぁ……なーにしてんだアタシは…」 0:火車の流れ弾を受け燃えている清姫 愛美:「清姫…さん?清姫さん!!」 清姫:「近づくんじゃないよ!!この炎は火車のだ!燃え移ったらアンタなんか一瞬で死んじまう!!早くここから離れるんだよ!」 愛美:「でも…!!」 清姫:「元よりアタシはこの技を使った時点で浄化されちまうんだ、早いか遅いかの違いでしかない。それにしても…火車のバカ、何か暴れてやがるな……こんな所まで流れ弾飛ばしやがって…お陰でこのザマだ。」 愛美:「清姫さん……」 清姫:「……アタシはね。生前、好きな男に浮気された上に殺されたんだ。」 愛美:「…え?」 清姫:「心から愛していた、結婚もしたかった。それでも相手からしたら遊びでしかなかったんだろうね。鬱陶しくなったアタシを毒蛇を予め用意してあった枯れ井戸に突き落としたんだ。 清姫:蛇達がアタシの身体に群がり、皮膚を牙で食い破る痛みと、毒が体中に回る痛みで気が狂ったよ 清姫:それ以降アタシは男が大嫌いなんだ…アンタの純粋で綺麗な目を見てたら昔のアタシを見ているようで腹が立った……」 愛美:「清姫さんだって綺麗な目をしてます!私なんかよりもずっと!」 清姫:「…そうかい……昔の男もそう言ってくれたよ………コレを受け取れ…」 0:霊力の球を投げ、愛美の中に吸い込まれていく 愛美:「なに…胸が暖かくなる…これは……?」 清姫:「アタシの…最後の霊力だ……アンタは…アタシみたいになるなよ………そこのガキ…この女を…最後まで守るんだよ………じゃなきゃ今度こそ…嚙み殺…す……」 0:燃え尽きて消えていく 臣:「…もちろん……当たり前だよ…」 愛美:「清姫さん…清姫さん……!!清姫さん…………!!やっぱり…悪い人なんかじゃなかった…絶対友達になれたのに……分からず屋…!」 臣:「愛美…」 サンズイ:「おみっち、めぐみん!!逃げろ!」 臣:「え?」 火車:「うおおおおおああああああ!!」 愛美:「なにあれ…火車?元の姿から大きくかけ離れて…」 サンズイ:「もうアイツは完全に自分を失っちまった。ただのバケモノだ。」 臣:「一体どうしてそんな事に…」 サンズイ:「まぁ…俺が刺激しちまった。」 火車:「自分は…自分は…ぐうううう…!」 愛美:「火車の炎が…」 臣:「黒く濁っていく…!?」 火車:「がぁあああっ!!」 サンズイ:「おいおいおい……まじかよ…!こんなのって…!」 臣:「あれはなんですかサンズイさん!さっきまでの霊力と明らかに何か違います!」 サンズイ:「あれは…*堕落化《だらくか》。悪霊とは違うまた別のものだよ………」 愛美:「堕落…?」 サンズイ:「魂が穢れたのは悪霊、魂を閉ざしたのが堕落…って言った感じかな。完全に自分自身を見失って、目を背けて、閉じちまった成れの果てだ。」 火車:「自分は…間違っていない、自分は…自分の為に…!ぅぐぁアアアア!!!」 0:黒炎が大きく燃え上がる サンズイ:「おいマズいぞ!!」 臣:「ダメだ…さっきの戦いで霊力が…」 愛美:「っ…!」 火車:「*堕落・曼珠灼華《だらく・まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「*衝渦水壁《しょうかすいへき》いいいい!!」 0:巨大な黒炎を纏った車輪を受け止める サンズイ:「ぬううううぅぅぅぅううおおおおお!!」 火車:「っ!!ぐうああっ…ああ……!」 0:炎が消える 臣:「な、なんだ…?」 火車:「自分は…自分は…!!あああ…!!」 サンズイ:「……火車、お前……」 火車:「*焼炎華壇《しょうえんかだん》!」 臣:「くっ…!」 火車:「……っ!」 0:炎の中に消えていく火車 愛美:「火車!!!」 サンズイ:「めぐみん。」 愛美:「サンズイさん…!」 サンズイ:「もう俺らに戦う力なんか残っちゃいないっしょ。それにアイツも…まだ引き戻せるはずだ。」 臣:「…どういう事ですか?」 サンズイ:「さっきも言ったように堕落化は魂が閉ざされている状態だ。簡単に言えば、無理やり開かせてやればいいんだ。アイツは自分が無いとか空っぽだとか言ってるけど、アイツにはアイツの魂がある。だからずっと考えてんだ。そいつを引っ張り出してやるんだ。 サンズイ:これは、俺にしかできない事だと思う。」 臣:「サンズイさん。」 愛美:「私も…清姫さんから力を貰ってもっともっと強くならなきゃって…清姫さんみたいな人にならなきゃって思いました。強くなって、皆をもっと守りたい。」 サンズイ:「さっきの蛇さん、めぐみんに力をくれたんだね。きっとめぐみんなら強くなれるさ、大丈夫!」 愛美:「はい…!ありがとうございます!」 サンズイ:「さ、とりあえず帰ろうか。俺らの事務所に。」 0: 0: 0: 0: 0: 火車:「自分は…自分は……なぜ…何を………自分は…一体……なんなんだ…」 0:

臣:【N】先日パンプさんから貰ったこの手紙、その中身には僕の奥に眠る謎の霊力についてが書かれている 臣:非常に強力である為、連発は避ける事…連続使用した際の身体への反動 臣:そして……猫又さんの霊力についても書かれていた… 0: 0: 0: 0:放課後 愛美:「おーみー!」 臣:「愛美、お疲れ。どうかしたの?」 愛美:「どうかしたのじゃないよ!なんでさっさと1人で帰ろうとしてるの!」 臣:「え、だって愛美、委員会あるかなって思って…」 愛美:「今日一緒に事務所行こうって話をしたじゃん。」 臣:「あれ、そうだったっけ。」 愛美:「そうだよ!またボーっとして人の話聞いてなかったなー?」 臣:「ごめんごめん…えっと…じゃあ一緒に行こうか。」 愛美:「んもう…やっぱりまだ体が本調子じゃないんじゃない?大丈夫なの?」 臣:「大丈夫大丈夫。もう2週間経つし、今日まで霊障も何も起きてないしね。全然余裕だよ。」 愛美:「それならいいけど、絶対無理しないでよね!もうあんな思いをするの嫌なんだから!」 臣:「わ、分かってるって。」 愛美:「臣ってば目を離すとすぐに無理するんだもん。」 臣:「だってそれはほら、仕方ないって言うか…」 愛美:「分かってるよ、それが臣なんだもん。でも…臣が居なくなるのは嫌だから…」 臣:「愛美……うん、ごめん。」 愛美:「うん…」 臣:「僕は愛美の傍から居なくなったりしないから。だから、安心して。」 愛美:「臣…うん。」 0:臣が愛美の手を握ろうとする 臣:「愛美……」 愛美:「臣……」 臣:「……。」 愛美:「……っ」 サンズイ:「おー!やっと2人来たー!!」 臣:「どひゃあああ!!?」 愛美:「サンズイさん!」 サンズイ:「やっほー、おみっち、めぐみん!」 臣:「さ、さささサンズイさんっ!?どどどどうして学校に!?」 サンズイ:「いやぁ、仕事がこの近くだったからついでに迎えに行こうかなって思ってね。」 臣:「あ、あー!そうなんですね!」 サンズイ:「おみっち、なんでそんなに驚いてんのよ?」 臣:「えっ!?いや、なんでもないです!」 サンズイ:「ホントにぃ?」 臣:「ほ、ほんとですよ…!!」 サンズイ:「そー?ならいいけど。ほら、事務所に行こうよ。」 愛美:「はい。ほら行くよ、臣。」 臣:「あ、う、うん!」 0: 0: 0: 0:事務所までの帰り道 サンズイ:「いやあそれにしても、おみっちが元気になってよかった。」 愛美:「嬉しいのは分かりますけど、それ何回目ですかぁ?」 臣:「本当に皆には迷惑かけてごめん。」 サンズイ:「もうさあ、おみっちが倒れたって聞いた時、ココも俺もこの世の終わりみたいな空気になったもんね。 サンズイ:おみっち達が霊界に行ってる時なんかは、めぐみんずーっと泣いててさ、家に帰ろうとしなかったし。」 愛美:「ちょっとサンズイさん!それ言わないでって言ったじゃないですか!」 サンズイ:「なっははは、そうだったっけ?」 臣:「愛美、家に帰らなかったの?」 愛美:「だって…心配で……いつ帰って来ても良いように待っていたかったから。」 臣:「そっか……ありがとね…」 サンズイ:「でもこうしてまた皆元気に笑顔になってホントに良かったよ。」 臣:「サンズイさん…うん、そうですね。皆のお陰です、本当にありがとう。」 サンズイ:「いーって事よ!ていうかさ、ここ数日なんか気温高くなったよね。もう暑くてたまんないんだけど。」 愛美:「そうですね…季節的にもう少し気温は下がっててもいいのに。」 サンズイ:「俺暑いの苦手なんよねぇ…勘弁してくれって感じぃ…」 臣:「河童って夏のイメージが強いからてっきり暑さには慣れてるかと思ってました…」 サンズイ:「いやいや、そんなこと無いよ?人間も暑いのが平気な人とそうじゃない人が居るでしょ?それと同じよ。俺は暑いのが苦手な河童ってだけ。」 愛美:「妖怪にも色々あるんですね。」 サンズイ:「そりゃもちろんよ。特にうちの事務所は変わり者が多いからね。リーダーがあれだしさ。」 臣:「ああ…」 サンズイ:「そいやおみっちはこの間初めておやっさんと会ったんだよね?どうだった?」 臣:「えっと、なんというか…サンズイさんみたいな方でした。」 サンズイ:「え?俺みたい?」 愛美:「あー…なんとなく言いたい事分かるかも。」 サンズイ:「え、え?どういうこと?」 臣:「あ、えっと、凄く優しくて楽しい方でした!」 サンズイ:「えー、ほんとぉ?なーんかあやしいなぁ…」 臣:「ホントですよー!!」 0: 0: 0: 0: 0: 火車:「自分は何の為に…自分は…あの方の為に……自分は…果たさなければならない… 火車:今度こそ、自分は……あの方の為に…自分の為に……あいつらを……必ず…そう……必ず…」 0: 0: 0: 0: 0:事務所 サンズイ:「ささ、上がって上がって。」 愛美:「お邪魔しまーす。」 臣:「ココさんと猫又さんはいないんですか?」 サンズイ:「2人はパンプのダンナのとこ。なんか手伝いとかなんとかって言ってたね。」 臣:「そうなんですか…部屋壊しちゃったし、改めてパンプさんに謝りたかったな…」 サンズイ:「それはしゃーないよおみっち!いつまでもクヨクヨしてちゃ駄目だぜ!」 愛美:「そうだよ、まずは体を休めなきゃ。」 臣:「うん…わかったよ…もう無茶はしない。」 サンズイ:「それと、ココの言いつけも守るんだぞ?」 臣:「あ……はい…『リンクをしない』ですよね。」 サンズイ:「そ!これ以上誰ともリンクをしない!今回は何とかなったけどさ、次もまた無事で済むとは限らないしね。今度暴走したらその時こそ最悪の結果が待ってるかもしんないから。」 臣:「そうですよね…」 愛美:「大丈夫、私も強くなるし臣1人でどうにかしようとしなくていいんだからね。」 サンズイ:「おうよ。もっと俺らを頼ってくれていいんだぜ。皆でこの事務所を守るって約束したろ?」 臣:「2人共…うん、そうだね。少し僕は焦ってたかも…皆で守るんだもんね、一緒に強くならなきゃ。」 サンズイ:「そういうこと。」 愛美:「あ、そうだ!忘れてた!」 サンズイ:「どしたのめぐみん?」 愛美:「臣、今日事務所に用があったんでしょ?それはいいの?」 臣:「あ、そうだった!あの、サンズイさんに聞きたい事があって。」 サンズイ:「お兄さんに何でも聞きなさい。」 臣:「猫又さんについてなんですが…」 サンズイ:「…又っちについて?」 臣:「猫又さんの過去の話とかって本人から何か聞いた事ありますか?」 サンズイ:「過去について?んー…又っちは自分の事ほとんど話さないしなぁ……実は名前も聞いた事無いんだ。」 愛美:「皆さん『猫又』って種族名?から取った呼び方をされてますもんね。ずっと気にはなってました。」 サンズイ:「そそ。ただ1つだけ、軽く聞いた事があるのがあるんだけど。 サンズイ:その昔、又っちは大切な人を助けられなかったらしい。そしてその人は悪霊になって…又っち自ら浄化したんだってさ。」 愛美:「そんな過去が…」 臣:「……だから愛美が悪霊になった時に……悪霊になった人は帰ってこないって……」 サンズイ:「この話、俺から聞いたって言うの無しね。又っちこの話をしたくないだろうしさ。」 臣:「もちろん、しません。」 サンズイ:「でもなんで急に又っちの事を知りたいって言ったの?」 臣:「出会ってからもうだいぶ時間経ったのに皆の事知らないなって思って…猫又さんは特に。それにパンプさんからのメモの事もあって…」 サンズイ:「メモ?」 臣:「はい、これなんですけど……」 0:メモを受けとる サンズイ:「これは………そっか…なるほどね。」 臣:「サンズイさん?」 サンズイ:「おみっち。」 臣:「はい?」 サンズイ:「又っちの事は好きかい?」 臣:「そりゃあもちろん…口は悪いですけど、皆の事が大好きで大切にしてるなって思ってます。」 サンズイ:「そうだよねぇ、ホント又っちって素直じゃないよねぇ。」 愛美:「そこが凄く可愛いと思います!」 サンズイ:「分かるぅ!その好きって気持ちを忘れないであげてね。又っちはめちゃくちゃいい奴なんだ。」 臣:「はい、分かっているつもりです。」 サンズイ:「ならよろしい!」 0: 0: 0: 0: 0: 愛美:「それじゃあ私達帰りますね。」 サンズイ:「もう遅いし送っていくよ。」 愛美:「誰も居ないから暇なんですね。ありがとうございます。」 サンズイ:「めぐみん辛辣ぅ~、でもせーかい!1人だと退屈なのよ。」 臣:「猫又さんとココさんはいつ帰ってくる予定なんですか?」 サンズイ:「明日か明後日って言ってたかなぁ?」 愛美:「割と直ぐ帰って来るんですね、それなら少しの辛抱……」 サンズイ:「待って。」 愛美:「え?どうかしたんですか、サンズイさん?」 サンズイ:「……何かいる。」 愛美:「え?ど、どこに!?」 臣:「何か……何か聞こえる…?遠くから徐々にこっちに向かって来るような…」 愛美:「…え?」 サンズイ:「おいおいこの音…」 愛美:「…鉄が擦れるような…まさか…これって…」 0:鎖を引きずりながら 火車:「自分は何の為に……自分の為に……あの方の為に…お前らを消し炭にしに来た。」 愛美:「あれは…」 臣:「お前は……火車っ…!」 サンズイ:「おいおい…金輪際会いたくないって言わなかったかぁ?また何しに来たんだよヨーヨーさん…」 火車:「何しに来た…か……愚問だな……あの方の悲願の為に…お前らという障害を排除しに来たのだ…」 サンズイ:「又っちもココも居ないこのタイミングで最悪だな…明後日に出直してくんない?」 火車:「それは出来ない…相談だ…なっ!!*紅蓮花火《ぐれんはなび》!!」 0:爆発を誘発する燃える車輪が襲う サンズイ:「やっぱこうなるよねぇえ!*衝渦水壁《しょうかすいへき》!!」 0:渦巻く水の壁で受け止める 愛美:「サンズイさん!!」 サンズイ:「くっうう!!前よりも火力上がってやがる…!!」 火車:「自分は無数の自問自答を繰り返してきた…自分は何の為に生まれ…誰の為に生き…何を目的に行動し…何が欲しくて思考してきたのかを…… 火車:今の自分は以前の自分とは違う…この業火でお前らを痛み無く蒸発させてやる。」 臣:「*水泡連弾《すいほうれんだん》!!」 0:無数の水の弾が火車を襲う 火車:「っ!」 0:火車が飛び退く サンズイ:「おみっち、助かった!」 火車:「人間の子供…お前……以前とは比べ物にならない程の霊力量だな…」 臣:「強くなったのはお前だけじゃないぞ。」 愛美:「私達全員、あの頃とは違うんだから。今度こそ浄化する!」 火車:「…そうか……しかしそう上手く行くとは思わない事だな…」 愛美:「え?」 清姫:「噛みつけ!*蛇餓羅《じゃがら》!!」 0:蛇が高速で噛みつきに飛んでくる 愛美:「っ!!」 臣:「危ない!!」 サンズイ:「間一髪で避けれて良かった…でも今のは一体……」 愛美:「……そんな…なんでここに…」 0:1人の女性が歩いてくる 清姫:「なんでってそりゃあ…アンタがアタシに情けを与えちまったからに決まってるじゃないか。」 愛美:「清姫さん…」 臣:「あの人は…愛美、知ってるの?」 愛美:「あの人は…清姫さん…蛇の妖怪で……私達の………敵、だよ…」 清姫:「そう、敵。なんだ分かっているじゃないか。」 愛美:「………。」 清姫:「理解はしても、納得したくないって顔だね。その顔、本当に腹が立つね。」 愛美:「当たり前じゃない…私はアナタと友達になりたいんだもの。」 清姫:「まだ言うのかい?懲りないね。」 愛美:「何度だって言うよ、私はアナタと友達になる!」 清姫:「……火車、先にこのガキを喰わせてもらうよ!!」 火車:「……好きにしろ。」 臣:「愛美…僕も…」 愛美:「ううん、ここは私1人でやらせて。そうじゃなきゃダメな気がするの。」 臣:「愛美…」 清姫:「へぇ……タイマン張るってのかい?」 愛美:「アナタとちゃんと話がしたいから。」 清姫:「はんっ………だから…無駄なんだよ!!小娘!」 0:拳を握り愛美に向かっていく サンズイ:「お前は俺…ね。その目は……はぁ…逃がしてはくれそうにないみたいね。」 火車:「河童、お前はこの手で必ず始末する。」 サンズイ:「遠慮したい所なんだけど。」 火車:「それは、無理な相談…だ!」 サンズイ:「変なのに好かれちまったねぇ…俺はお前みたいな根暗は好みじゃないんだよ!*閃澪濁洪《せんれいだっこう》!」 0:手から凝縮された無数の水が放出される 火車:「そんなもの…蒸発させてやる……なっ!?」 0:火車の腕に影の触手が絡みつき動きを封じる 臣:「させない!」 火車:「人間貴様…!!」 サンズイ:「ナイス!おみっち!火車、くらいやがれぇええ!」 火車:「ぐっ…がぁああっ…」 サンズイ:「っしゃ!クリーンヒットぉおお!!って、あっちいいいい!」 臣:「サンズイさん!?」 火車:「周りが見えないのはお互い様なようだな…*秋葬蓮華《しゅうそうれんげ》。」 0:サンズイの周りに燃え盛る火がサンズイに集まる サンズイ:「ぐわぁああああ!!」 臣:「なっ!!サンズイさんが…!!くそ!*水泡連弾《すいほうれんだん》!*水泡連弾《すいほうれんだん》!!消えろおおお!!」 火車:「目障りだ…人間。*蛇頭烈華《じゃとうれっか》。」 臣:「うぐうううああ!!」 火車:「このまま灰になれ、河童、人間。」 サンズイ:「こんの……あんま…調子に乗んなよ…!うおおおらあああ!!」 火車:「……あれだけの炎を掻き消したか……」 サンズイ:「はあ…はあ……俺って、見ての通りの河童だからよ……暑いの大嫌いなんだわ。だからさ、目の前から消えろよ。炎なんて目に入るだけで嫌なのよ。」 火車:「奇遇だな。自分は水を何よりも嫌悪している。そこまで炎が嫌いなのであれば、その身諸共蒸発させてやろう。」 サンズイ:「やれるもんならやってみやがれっ!!*水守之刃《みなかみのやいば》ぁあああ!!」 火車:「燃えろ…!*炎矛杜若《えんむかきつばた》!」 0:水の刃と炎の鎖がぶつかり合う 0: 0: 0: 清姫:「おらおらおらぁああ!!」 愛美:「うっ、ぐっ!!」 清姫:「どうしたどうしたぁあああ!!いつまでも受け身ばっかじゃアタシに傷1つ付けらんないよ!!」 愛美:「そんなの…分かってる…よ!!」 清姫:「触手伸ばしてんの分かってんだよ!*蛇餓羅《じゃがら》ぁああ!!」 0:背後の触手に肩の蛇が食らいつく 愛美:「そんな!」 清姫:「甘いっつってんだよ!!*闘雅《とうが》ぁあああ!!」 0:拳から波動が放たれる 愛美:「ぐっあっ…!!」 清姫:「ちいいっ!防ぎやがった!」 愛美:「これでも、私だって強くなってるんだから!!お願い、貫いて!」 清姫:「くっ!!」 愛美:「ズレた…!」 清姫:「まだ制御が甘いくせに粋がるなよ!ガキがぁあ!」 愛美:「きゃあああ!!」 0:拳を腹に受ける 清姫:「…はぁ…散々アタシの事を煽っておいてこの程度かよ、アンタ。ああ?」 愛美:「ごほっ、げほっ!はぁ、はあ……ま、まだ…」 清姫:「…ちっ……気にくわねえ………その目が気にくわねえんだよ!」 0:倒れる愛美を蹴り飛ばす 愛美:「あぁぁあ!!」 清姫:「どうしてその目を向けるんだ…どうしてそんな目をまだ出来るんだ!アタシはアンタの敵だぞ!傷付ける敵なんだぞ!」 愛美:「ぐっ…ふぅ…ふう……」 清姫:「前にも言ったがアタシはアンタが大嫌いだ。その目も、言葉もなにもかも。」 愛美:「嫌いでも、いい……それでも私は、アナタと友達になりたい…それからでも好きになって貰える…から…」 清姫:「………いい加減黙れよ…」 愛美:「清姫さんは悪い人じゃないって、私はそう思うから!」 清姫:「黙れって言ってんだろっ!!!」 愛美:「っ!」 0:清姫の肩の2匹の蛇と影から産まれた無数の蛇が1つになっていく 愛美:「なにこれ…………………」 清姫:「*双頭影噛蛇餓羅大蛇《そうとうようごうじゃがらおろち》……このガキを骨の髄まで嚙み砕け。」 0: 0: 0: 0: サンズイ:「うおおおおお!!」 火車:「んんんあぁああ!!」 サンズイ:「なんだよ自分語りの根暗ヨーヨー、いい顔になってんじゃないの!」 火車:「黙れ、河童…!*紅蓮花火《ぐれんはなび》!」 サンズイ:「*衝渦水壁《しょうかすいへき》!!」 火車:「この…!」 サンズイ:「どうしてお前は戦ってんだ?どうしてあの方って奴に従ってんだ?」 火車:「そんな事を聞いてどうする…」 サンズイ:「さあな、どうするかどうかはお前次第だ。俺はお前が指示に従っているだけでお前の中にお前の意思がないのかって知りたいんだ。」 火車:「自分は…当然自分の意思で……」 サンズイ:「時々お前の攻撃に迷いを感じるんだ。どうなんだ火車!」 火車:「自分は…自分は…何の為に…いや、自分は自分の為に…いや、あの方の為に……?」 サンズイ:「自分で自分が分からないか?お前は、ただあの方って奴に良いように使われてるだけなんじゃないのか?」 火車:「自分が、良いように使われてる……?自分が?何の為に?」 サンズイ:「お前は何がしたい?何を思ってる?何を感じてるんだ?」 火車:「自分は…自分は……?自分は?何を……」 サンズイ:「火車!!」 火車:「あ、あぁ……あああああ!!!うるさい、うるさい、うるさい…!!」 サンズイ:「あっちい…!!全身から火が吹き出やがった…!ホント嫌だね炎って奴は!」 火車:「これ以上…自分の中を搔き乱すな…!!」 0:車輪と鎖の炎が大きくなる サンズイ:「これはまずいな…おみっち!おみっち!!起きて!」 臣:「うっ…サンズイさん…」 サンズイ:「早くここから離れてめぐみんの所に行くんだ!」 臣:「…え?」 サンズイ:「あのバカヨーヨーは俺がやる、俺がやらないといけないんだ。おみっちはめぐみんを助けてあげて。」 臣:「サンズイさん………はい、わかりました。気を付けてくださいね!」 サンズイ:「おうよ。おみっちも気をつけてね。」 火車:「あああああああ!!!」 サンズイ:「…さーって、消火活動始めますか。」 火車:「*灰燼《かいじん》と化せ!*曼珠灼華《まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「これ以上、炎なんかに俺から奪わせねえ!*瀑流喝破《ばくりゅうかっぱ》ぁあああ!!」 火車:「おおおおおおお!!!」 サンズイ:「おらあああああああああ!!!」 0:高圧の水と巨大な炎の車輪がぶつかり辺りが蒸気に包まれる 0: 0: 0: 0: 愛美:「あ……あ…いや……」 清姫:「アタシにコイツを使わせた時点でアンタは終わりだ。獲物を捕食するまでコイツは止まらない。」 愛美:「清姫さん……」 清姫:「…アタシは良い奴なんかじゃないしアンタと仲良しごっこをする気もない。アタシはアタシの目的の為に動いている。その為なら誰であろうと手にかける。そんなバケモノなんだ。」 愛美:「私は清姫さんをバケモノだなんて思ってない…」 清姫:「何を言ってもアンタはそう言う…だからさ……もう耳障りなんだよ。大人しく、喰われてくれ。」 愛美:「清姫さん…私、私…」 清姫:「噛み砕け、*蛇餓羅《じゃがら》。」 0:巨大な蛇が愛美に襲い掛かる 愛美:「…っ!!」 臣:「*仙狸《せんり》!!」 清姫:「っ!?」 臣:「はぁ…はあ……間に合った………大丈夫、愛美?」 愛美:「え…お、おみ…?なんで…」 臣:「サンズイさんが愛美の所に行けって。」 愛美:「そんな、火車と2人きりだなんて危ないよ!」 臣:「きっと火車になにか思う事があるんだと思う。あんな真剣な顔をしたサンズイさん初めて見たんだ。」 愛美:「火車に…?」 清姫:「男…お前、アタシの可愛い蛇をよくも吹っ飛ばしてくれたね?」 臣:「……キミこそ。よくも僕の大切な愛美に手を出してくれたね。」 清姫:「汚らわしい…アタシの視界から消えろ!!」 0:蛇餓羅が起き上がり臣に立ちはだかる 臣:「なっ!」 清姫:「あんな攻撃1発で沈むわけがないだろ!さあ新しい餌だ!食らえ!」 愛美:「臣!!」 臣:「*流旋《りゅうせん》の構え!」 0:蛇餓羅は動きを止め尻尾で臣を吹き飛ばす 臣:「なっ、ぐっあぁああ!」 愛美:「臣いいい!!」 清姫:「そんなもので止められると思うなよ。アタシの*蛇餓羅《じゃがら》は霊力の感知が鋭いんだ。どんな性質の技なのかを理解し対応が出来る。」 臣:「く…そ…」 愛美:「臣!危ない!お願い、守って!」 0:蛇餓羅が連続で影のバリアに攻撃をする 愛美:「くっ…重すぎる…」 清姫:「うざいねホント…!いい加減倒れろよ!*闘雅《とうが》!」 愛美:「ぐっ…きゃああああ!!」 臣:「愛美!」 愛美:「くっ…はあ…はあ……うっ…」 清姫:「*蛇餓羅《じゃがら》ぁああ!!」 臣:「お願い、捕らえて!」 0:蛇餓羅に影の触手が巻き付く 臣:「愛美、愛美!!大丈夫!?」 愛美:「まだ…動ける…よ…」 臣:「良かった……これ以上愛美に近づけさせない!!お前は僕が倒す!あまり使うなって言われたけど…愛美を守るんだ! 臣:はぁああああ!!倒れろおおおお*仙狸・結び《せんり・むすび》!!」 清姫:「なっ!?なんだあの攻撃は!?アタシの蛇を沈めやがった…!?」 愛美:「今のは…」 臣:「はあ…はあ……僕の元々ある霊力を少し使えるようにしてもらったんだ。」 愛美:「そうなんだ…やっとつかえるようになったんだ凄いね!」 臣:「これも全部、皆のお陰だよ。」 愛美:「臣のお陰でこれでまたやっと清姫さんへの道が開いた。」 清姫:「ちい…まだやるってのか……どうしてそこまでしてアンタは!」 愛美:「だから…」 清姫:「友達になりたいってだけじゃもう通用しないよアンタ…」 愛美:「………清姫さん、辛そうだから…」 清姫:「は…?」 愛美:「…ずっと辛そうな顔をしてるから…寂しそうな顔をしてるから……」 清姫:「アタシがそんな顔を?何を言ってるんだアンタは…」 愛美:「私は清姫さんの味方になりたいの。少しでも力になりたいの…!」 清姫:「なんで…なんでそんな事を言うんだ……これ以上アタシの心の中に入って来るな…!!!」 臣:「凄い霊力…!」 清姫:「アンタと会ってからというもの、アタシの心の中はぐちゃぐちゃだ!!アタシが辛そう?寂しそう?アンタに関係ないだろ…!」 愛美:「関係なくないよ、猫又さん、サンズイさん、ココさん、リーダーさん。私達は人間だけど、妖怪の皆と友達になれたんだもん。清姫さんとも仲良くなれる!清姫さんに力を…猫の手を貸してあげたいの!」 清姫:「だから、関係ないって言ってるだろ!!来い!!*蛇餓羅《じゃがら》!!」 0:蛇餓羅が清姫の中に取り込まれていく 臣:「蛇が…」 清姫:「これだけは使いたくなかった……でもしょうがないね…それもこれも全部アンタが訳の分からない事を言うからだ 清姫:……アタシの命を懸けたこの拳でアンタら消し飛ばしてやるよ。」 愛美:「清姫さん…!」 清姫:「さあ、最後の勝負と行こうか。クソガキ。」 愛美:「……ねえ、臣。」 臣:「…なに?」 愛美:「ここは私に任せて欲しいの。」 臣:「………分かった。」 愛美:「ありがとう。」 清姫:「男の力は借りないつもりかい?」 愛美:「これは私の戦いだから。」 清姫:「…そうかい。それじゃあ、そのまま死ね! 清姫:うおおおおおおおお!!*蛇昂拳・大蛇鬼門《じゃこんけん・だいじゃおにのと》!!」 愛美:「はぁああああ!!!お願い、力を!*影纏い・腕帯《かげまとい・うでおび》!」 0:蛇状の拳と影を纏った拳が衝突する 0: 0: 0: 0: 火車:「おおおおおお!!!」 サンズイ:「はああああああ!!!」 火車:「河童!お前に自分の何が分かる!なぜ自分の中を搔き乱す!!」 サンズイ:「分かんねえから聞いてんだろ!何が知りたくて何を感じたくて、何をどうしたいのか!それを聞きたいし、そこにお前の意思があるのかを知りたいんだ!」 火車:「自分は…自分はそれが分からない!だから自問自答を繰り返して…繰り返して繰り返して…!!全ては自分を救ってくださったあの方の為に…!その為にひたすら!」 サンズイ:「おいおい、言ってる事が訳わかんないぞ…」 火車:「自分には幼少期の記憶はない、気が付いた時には燃え盛る業火の中に居た…そこであの方に手を差し伸べてもらった。 火車:何もない自分に全てを与えて下さったのはあの方だ。息絶え炭と化した者の香りとあの方の手の感触のみが自分の古い記憶。それしか自分にはないのだ。 火車:何もないから繰り返し考え、何もないから縋るしかない。そこに自分の意思など不要、空っぽの意思など無意味だ!」 サンズイ:「なんだ?生まれた時から1人の可哀そうな私だから勘弁してくれって?ふざけんな!!そんな理由で人を殺していい理由にならないし、悪霊化させていい理由にならない! サンズイ:ましてや、自分の心が空っぽだからってそのまま放置していい理由にも相手に依存していい理由にもならねえんだよ!」 火車:「自分はそれしかない、選択肢は他にない!」 サンズイ:「無いなら自分の中に作れ!人に縋ってそれで満足するな!」 火車:「お前には…分からない!!更に燃え上がれ!*曼珠灼華《まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「分かんねえよ!!更に押し返せ!*瀑流喝破《ばくりゅうかっぱ》ぁああ!!」 火車:「自分は…自分は……!!」 サンズイ:「くっ!!」 0:水蒸気爆発が起きる 火車:「ぐっ…ああ!!」 サンズイ:「うああああ!!」 火車:「分からない、分からない……自分は…何の為に…どうして…なぜ…?」 サンズイ:「はあ…はあ……火車……?」 火車:「自分は…?火車?どうしたら……誰の為に…?」 サンズイ:「おい、火車!」 火車:「ああ…分からない……分からない……!あああああ!!」 0:周囲に炎が立ち、まき散らされる サンズイ:「あっつ!!今までのより熱い…!おい、火車!!」 火車:「あああぁぁあぁぁあああぁ!!」 0: 0: 0: 清姫:「アンタ…その姿は!!」 愛美:「清姫さんと戦って思ったの、ずっと後ろに居るばかりじゃダメだって!私も前で戦いたいって!」 清姫:「正直驚いたよ、でもまだまだ甘いね!!」 愛美:「ぐっ!!」 清姫:「動きがトロいんだよ!」 愛美:「ぐあぁ!!」 清姫:「そらそらそらぁああ!!」 愛美:「やられっぱなしじゃないんだから!!」 0:拳の周りから触手が伸びて清姫を縛る 清姫:「なにっ!?」 愛美:「はああああ!!!」 清姫:「がっ!!」 愛美:「私の想いを全部乗せる!!いっけええええ!!」 清姫:「甘い…っつってんだ!!」 愛美:「え、きゃあああああああ!!!」 臣:「愛美!!」 清姫:「はぁ…はぁ、最後の1発は…結構効いたよ…でも、アタシの勝ちだ。」 愛美:「う、うう………」 清姫:「アンタが心からアタシに何かしたいって思ってんのは理解はしたよ。 清姫:ただ、それは受けられない。これはアタシの問題だ。」 愛美:「……分からず屋…」 清姫:「お互い様だ。」 愛美:「………清姫さん、私は…」 清姫:「っ!!はぁああ!!!」 0:愛美を蹴り飛ばす 愛美:「え?きゃぁああああっ!!」 臣:「愛美!大丈夫!?めぐ……え?」 愛美:「うっ……え…清姫さん?」 清姫:「……はぁ……なーにしてんだアタシは…」 0:火車の流れ弾を受け燃えている清姫 愛美:「清姫…さん?清姫さん!!」 清姫:「近づくんじゃないよ!!この炎は火車のだ!燃え移ったらアンタなんか一瞬で死んじまう!!早くここから離れるんだよ!」 愛美:「でも…!!」 清姫:「元よりアタシはこの技を使った時点で浄化されちまうんだ、早いか遅いかの違いでしかない。それにしても…火車のバカ、何か暴れてやがるな……こんな所まで流れ弾飛ばしやがって…お陰でこのザマだ。」 愛美:「清姫さん……」 清姫:「……アタシはね。生前、好きな男に浮気された上に殺されたんだ。」 愛美:「…え?」 清姫:「心から愛していた、結婚もしたかった。それでも相手からしたら遊びでしかなかったんだろうね。鬱陶しくなったアタシを毒蛇を予め用意してあった枯れ井戸に突き落としたんだ。 清姫:蛇達がアタシの身体に群がり、皮膚を牙で食い破る痛みと、毒が体中に回る痛みで気が狂ったよ 清姫:それ以降アタシは男が大嫌いなんだ…アンタの純粋で綺麗な目を見てたら昔のアタシを見ているようで腹が立った……」 愛美:「清姫さんだって綺麗な目をしてます!私なんかよりもずっと!」 清姫:「…そうかい……昔の男もそう言ってくれたよ………コレを受け取れ…」 0:霊力の球を投げ、愛美の中に吸い込まれていく 愛美:「なに…胸が暖かくなる…これは……?」 清姫:「アタシの…最後の霊力だ……アンタは…アタシみたいになるなよ………そこのガキ…この女を…最後まで守るんだよ………じゃなきゃ今度こそ…嚙み殺…す……」 0:燃え尽きて消えていく 臣:「…もちろん……当たり前だよ…」 愛美:「清姫さん…清姫さん……!!清姫さん…………!!やっぱり…悪い人なんかじゃなかった…絶対友達になれたのに……分からず屋…!」 臣:「愛美…」 サンズイ:「おみっち、めぐみん!!逃げろ!」 臣:「え?」 火車:「うおおおおおああああああ!!」 愛美:「なにあれ…火車?元の姿から大きくかけ離れて…」 サンズイ:「もうアイツは完全に自分を失っちまった。ただのバケモノだ。」 臣:「一体どうしてそんな事に…」 サンズイ:「まぁ…俺が刺激しちまった。」 火車:「自分は…自分は…ぐうううう…!」 愛美:「火車の炎が…」 臣:「黒く濁っていく…!?」 火車:「がぁあああっ!!」 サンズイ:「おいおいおい……まじかよ…!こんなのって…!」 臣:「あれはなんですかサンズイさん!さっきまでの霊力と明らかに何か違います!」 サンズイ:「あれは…*堕落化《だらくか》。悪霊とは違うまた別のものだよ………」 愛美:「堕落…?」 サンズイ:「魂が穢れたのは悪霊、魂を閉ざしたのが堕落…って言った感じかな。完全に自分自身を見失って、目を背けて、閉じちまった成れの果てだ。」 火車:「自分は…間違っていない、自分は…自分の為に…!ぅぐぁアアアア!!!」 0:黒炎が大きく燃え上がる サンズイ:「おいマズいぞ!!」 臣:「ダメだ…さっきの戦いで霊力が…」 愛美:「っ…!」 火車:「*堕落・曼珠灼華《だらく・まんじゅしゃげ》!!」 サンズイ:「*衝渦水壁《しょうかすいへき》いいいい!!」 0:巨大な黒炎を纏った車輪を受け止める サンズイ:「ぬううううぅぅぅぅううおおおおお!!」 火車:「っ!!ぐうああっ…ああ……!」 0:炎が消える 臣:「な、なんだ…?」 火車:「自分は…自分は…!!あああ…!!」 サンズイ:「……火車、お前……」 火車:「*焼炎華壇《しょうえんかだん》!」 臣:「くっ…!」 火車:「……っ!」 0:炎の中に消えていく火車 愛美:「火車!!!」 サンズイ:「めぐみん。」 愛美:「サンズイさん…!」 サンズイ:「もう俺らに戦う力なんか残っちゃいないっしょ。それにアイツも…まだ引き戻せるはずだ。」 臣:「…どういう事ですか?」 サンズイ:「さっきも言ったように堕落化は魂が閉ざされている状態だ。簡単に言えば、無理やり開かせてやればいいんだ。アイツは自分が無いとか空っぽだとか言ってるけど、アイツにはアイツの魂がある。だからずっと考えてんだ。そいつを引っ張り出してやるんだ。 サンズイ:これは、俺にしかできない事だと思う。」 臣:「サンズイさん。」 愛美:「私も…清姫さんから力を貰ってもっともっと強くならなきゃって…清姫さんみたいな人にならなきゃって思いました。強くなって、皆をもっと守りたい。」 サンズイ:「さっきの蛇さん、めぐみんに力をくれたんだね。きっとめぐみんなら強くなれるさ、大丈夫!」 愛美:「はい…!ありがとうございます!」 サンズイ:「さ、とりあえず帰ろうか。俺らの事務所に。」 0: 0: 0: 0: 0: 火車:「自分は…自分は……なぜ…何を………自分は…一体……なんなんだ…」 0: