台本概要

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タイトル 暦戦隊カレンジャー ~VS寒さ編~
作者名 白輝翼
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男3、女2) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 今日も基地に集まったカレンジャーのメンバー。しかし、基地には暖房が無い!!
果たしてこの危機をどうやって乗り切るのか!?

叫びレベル:1(ほとんどなし、もしくは調節可能)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
レッド 70 サンデーレッド。カレンジャーの(自称)リーダー。ヒーローにあこがれている
ブルー 67 ウェンズデーブルー。強い。ドS。一応ヒロイン。ヲタク系の知識もある。
オレンジ 45 チューズデーオレンジ。楽観的な性格。ある程度イケメン。ちょっとかっこつけてる部分もある。
メリー 31 メリーさん。(ブルーと兼役可)
26 謎の男。(幽霊と兼役推奨。)
幽霊 8 この基地に住み憑いている幽霊。(男と兼役推奨。)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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 :  暦戦隊カレンジャー ~VS寒さ編~  : キャスト (男4、女2 うち男と幽霊が兼役) レッド:男 《サンデーレッド。カレンジャーの(自称)リーダー。ヒーローにあこがれている》 ブルー:女 《ウェンズデーブルー。強い。ドS。一応ヒロイン。ヲタク系の知識もある。》 オレンジ:男 《チューズデーオレンジ。楽観的な性格。ある程度イケメン。ちょっとかっこつけてる部分もある。》 メリー:女 《メリーさん。》 男:男 《謎の男。幽霊と兼役。》 幽霊:男 《この基地に住み憑いている幽霊。男と兼役。》  : ===================== レッド:あー、寒ぃ。寒い、寒いー。 ブルー:もう、あんまり寒い寒いって言わないでよ。 レッド:そんな事言ってもさ、寒いから仕方ないだろ。 ブルー:寒い寒いって言うと、余計寒くなるじゃん。 レッド:そんなわけないだろ。寒いって言うだけで寒くなってたら、地球温暖化なんかとっくに解決してるよ。 ブルー:気持ちの問題だってば。 レッド:じゃあお前は今から暑い暑いって言えばいいじゃん。 ブルー:は? レッド:寒いって言って寒くなるんなら、暑いって言えば暑くなるんだろ? ブルー:そんなわけないじゃん。暑いって言って暑くなってたら、今こんな苦労してないって。 レッド:気持ちの問題なんだろ? ブルー:う。 レッド:いいから言ってみろよ。 ブルー:はいはい。もう、うるさいな。あー、暑い暑い暑い暑い暑い暑い寒い。 レッド:おい! ブルー:何? レッド:今、寒いって。 ブルー:だって、結局寒いんだもん。 レッド:おまえ、さっきから言ってることがばらばら過ぎるぞ。 ブルー:あのね、女の子の気持ちは複雑且つ繊細なの。 レッド:今それあんまり関係ないよね。 ブルー:つまり、あんたみたいに単純じゃないの。 レッド:はぁ。 ブルー:そして、それは時に優雅で、時に激しく、深海の底よりも深く、青い空よりも澄み渡って……、それはまるでそう、ひとつの芸術作品の様な! レッド:そんな熱く語られても……。 ブルー:だから、寒いんだって! レッド:そういう意味の「あつく」じゃないって。 ブルー:大体、この基地、何で暖房無いわけ?おかしいでしょ、今時暖房もないなんて! レッド:それはほら、いろいろ経費の問題とか。 ブルー:「とか」じゃなくて、それしかないでしょ。 レッド:まあ、そうだけど。 ブルー:暖房くらい、大した出費じゃないでしょ。その程度のお金もないわけ?この基地には。 レッド:今の時代、厳しいから。 ブルー:全く、変な新兵器とか買ってるから、お金がなくなるんじゃない。 レッド:いや、兵器はやっぱり必要経費だし。 ブルー:私たちの戦いに兵器なんて使わないじゃない。 レッド:あ、確かに。 ブルー:結局物干し竿代わりになるのがオチでしょ。 レッド:否定できない。 ブルー:だから、そんな無駄なものよりも、エアコンを買うべきだって。どうせ総督は暖房のきいた部屋でぬくぬくしてるんだから、私たちだけ寒いなんて不公平だっ! レッド:いや、総督の部屋にも暖房なんて無い。 ブルー:え!? レッド:あるのはコタツだけだ。 ブルー:あ、なるほど。 レッド:理解したか。 ブルー:あの総督だったら仕方ないか。 レッド:まあ、あの総督だからな。 ブルー:でも、コタツにしても結局ぬくぬくしてることには変わりないじゃない! レッド:まあそうだが……。 ブルー:あー、やっぱり暖房ほしいいいっ!! オレンジ:何をわめいてるの? ブルー:あ、オレンジ。 レッド:いやな、あまりに寒いから暖房くらい欲しいな、と。 オレンジ:なるほど。確かに今日もかなり寒いからねぇ。 ブルー:ねぇねぇオレンジ、暖房持ってない? オレンジ:あー、さすがにそれは。 ブルー:チッ。 レッド:おい、「チッ」って。 ブルー:あー、だめだ。このままじゃ凍てついてしまうー。 オレンジ:じゃあさ、気を紛らわすために何か暖かくなりそうなことしない? レッド:なんだ、「何か暖かくなりそうなこと」って? オレンジ:うーん、そうだねぇ、 ブルー:おしくらまんじゅうとか? オレンジ:あ、いいね、それ。 レッド:ブルーと、おしくらまんじゅう……。 ブルー:あ、やっぱり却下。 レッド:な、なぜ!? ブルー:乙女の危機を感じたから。 レッド:こっちを見るな。 ブルー:おしくらまんじゅうは却下。それ以外で他にない? レッド:おしくらまんじゅうでいいじゃん。 ブルー:ぁあ? レッド:あ、すいません。なんでもないです。 オレンジ:うーん、だったら……、あ、そうだ! ブルー:何か思いついたの? オレンジ:うん、やっぱこういう寒い日は、 レッド:寒い日は? オレンジ:怪談でしょ! レッド:……。え、なんで? オレンジ:ほら、怪談すると寒くなるって言うでしょ? レッド:うん、だからダメじゃん。 オレンジ:でも、暑い日に熱いもの食べると良いとも言うよね。 ブルー:うん、まぁ。 オレンジ:だから、その逆で寒い日に余計寒くなって、相対的に暖かくなるんじゃないかなって。 レッド:うん、言わんとしてることは間違ってない気もするが、どうにも更なる極寒の地へいざなわれてるように思えてならない。 オレンジ:えー、ダメかな? ブルー:オレンジ、 オレンジ:? ブルー:それ、アリだね! レッド:マジで!? ブルー:よーし、じゃあ早速はじめるよ。ほら、レッドもぼさっとしてないで!で、誰から行くの? オレンジ:じゃあ、ここは僕から。 ブルー:いや、やっぱ私からやらせて。 オレンジ:いや、僕が言いだしっぺだし、僕から。 ブルー:でもでも、私最初やりたいし。 オレンジ:僕から。 ブルー:私だって。 オレンジ:僕が! ブルー:私! レッド:あー、もう、じゃあ俺がやるよ! ブルー:(同時に)どうぞどうぞ。 オレンジ:(同時に)どうぞどうぞ。 レッド:ダチョウ倶楽部かっ! ブルー:さ、早く話して、怖い話。あ、言っとくけど、中途半端なやつだったら左手の中指の骨折るからね。 レッド:そんな!やけにリアルな部分を!! オレンジ:では、どうぞはじめちゃって下さい。 レッド:え、えーっと。急に言われてもなぁ。あ、じゃあ。おれが小学校の時の話なんだけど、二宮金次郎ってあるじゃん?中庭とかに。 ブルー:ああ、うん。 レッド:それで、やっぱりそういうのってよく学校の七不思議になるでしょ。で、うちの学校の七不思議にもやっぱり二宮金次郎の話があって。 レッド:他の七不思議は、勝手に音楽室のピアノが鳴る、だとか女子トイレから女の子のすすり泣く声が聞こえる、とか レッド:まあ、どこの学校にでもあるようなやつだったんだけど、その二宮金次郎の話だけはちょっと特殊でさ、 レッド:普通は夜中になると歩きだしたり薪を投げたりってとこなんだけど、 レッド:うちの学校のはなんと、 ブルー:……。 オレンジ:……。 レッド:夜中になると、……目からビームを出すんだ! ブルー:……。 オレンジ:……。 レッド:あ、えっと、あの、そう、だから、あの、ビームを、ね。 ブルー:おわり? レッド:あ、はい。 ブルー:オレンジ。 オレンジ:了解。 レッド:あ、おいちょ、やめろ、離せ!いたい、いたい、本気で折れるって!! ブルー:あんたねえ、ずいぶん寒くしてくれて、どうもあ、り、が、と、う!! レッド:いだい、いだだだだっ!やめてー!!ぐは。 ブルー:はあ、はあ、はあ、バカが落ちたところで、はいじゃあ、さっさと次、やって! オレンジ:じゃ、じゃあ僕が話そうかな。 オレンジ:えーっと、これは本当にあった話らしいんだけど、 オレンジ:ある一人の男が、ある日、携帯電話を壊したんだって。 オレンジ:仕事柄電話することも多くて、どうしても必要だったから、次の日にショップに買いにいったんだ。 オレンジ:でもその日、ショップにはたくさん人がいて品揃えが悪かったこともあり、 オレンジ:男は欲しかった携帯が買えなくて、代わりに真っ赤な携帯を買ったんだ。 オレンジ:あまり気に入らなかったけど、それしか残ってなくて。仕方なく、男はそれ使ってたんだけど、 オレンジ:ある日、いつもの仕事の電話とは違う、妙な電話がかかってきたんだよ。 男:もしもし。 メリー:私、メリーさん。 男:仕事の依頼かい? メリー:今、成田空港にいるの。 男:あ?おい。もしもし?チッ、切れてやがる。 オレンジ:それからというもの、たびたび同じような電話がかかってくるようになった。 メリー:私、メリーさん。 男:またあんたか。 メリー:今、駅の改札辺りにいるの。 男:おい、メリーさんとやら、おい!また切りやがった。 オレンジ:その電話は、 メリー:私、メリーさん。 男:あんたなぁ、いったいなにが目的なんだ? メリー:今、あなたの住んでるマンションの下にいるの。 オレンジ:どんどん自分のほうに近づいてきて、ついに! メリー:私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。 男:残念だったな。 メリー:なに!残像!?どこに行ったの!? 男:始めましてだな、メリーさん。 オレンジ:動揺するメリーさんの後頭部に男が銃口を突きつけた。 メリー:う、後ろに?この私が、背後を取られるなんて。 男:さあ、聞かせてもらおうか、あんた何者だ? メリー:それはこっちのセリフなの。この私の不意を突いた人間なんて、あなたが初めてなの。 男:あんたが俺の後ろに立つから悪いんだ。 メリー:そう。それはごめんなのッ! オレンジ:メリーさんは素早い動きで男の手を掴むと、そのまま一本背負いの形で男を投げ飛ばした。 男:ぐっ! メリー:全く、てこずらせないでほしいの。 オレンジ:メリーさんの手から霧のようなものが立ち込める。そしてそれは、まがまがしい形の鎌へと姿を変えた。 メリー:さっさとやられるの。 オレンジ:メリーさんの鎌が振り下ろされる!しかし、鎌は男ではなく床に突き刺さった。 メリー:なん……なの? 男:ひゅ~、あっぶね。お嬢ちゃん、物騒なもん持ってんじゃん。 メリー:あなた、なかなかやるじゃないの。 男:そりゃどうも。 オレンジ:男は、銃をホルスターに戻すと、次は短刀を握り、構えた。 男:いくぜ! メリー:甘いの! オレンジ:低い姿勢で向かって来る男を、メリーさんは鎌で一閃した!男は弾き飛ばされ、窓ガラスを突き破った。 メリー:さすがにこの高さから落ちたら即死なの。 オレンジ:メリーさんはベランダに出て下を覗き込む。目のくらむような高さだ。だがしかし、 メリー:!?死体がない!? 男:あー、ガラス、また割っちまったか。 メリー:な、何で屋上にいるの? 男:あぁ、吹き飛ばされたときにな、ベランダの手すりを利用してジャンプしたんだ。 メリー:な、なんて奴なの。 男:どうした?早く続きしねえのか。ここならさっきよりずっと広いし、思いっきりできるぜ。 メリー:心配しなくても、すぐ行くの。 オレンジ:そういうと、メリーさんはふわりと体を浮かせ、屋上に降り立った。 男:さーて、そろそろ本気出すとするか。 メリー:それは面白いの。さあ、かかってくるといいの。遊んであげるの。 オレンジ:月の明かりが照らす屋上で、いくつもの火花が散り、幾重もの光が交差する。 メリー:あははははは。もう終わりなの? 男:へっ、バカ言ってんじゃねえよ! メリー:っ!? オレンジ:男が、メリーさんの鎌を弾き飛ばし、そのままメリーさんの体を押さえつけた。鎌は空中で何回転かした後、コンクリートに突き刺さる。メリーさんの首には短刀が突きつけられている。 男:チェックメイトだな。 メリー:あ、あはは。私の負けなの。さあ、さっさと殺すといいの。 男:は、なに言ってんだ。何故俺があんたを殺さなきゃなんねぇんだ? メリー:え? 男:俺は、依頼のあった人間しか殺さねぇ。それに、あんたみてえな奴、殺すのは勿体無ぇだろ。 メリー:……。 男:なぁ、あんた、俺の仕事手伝ってみねえか? メリー:仕事、なの? 男:ああ。あんたと組んだら、絶対最強になれるぜ。どうだ?面白そうだろ? メリー:う、うん。面白そうなの。 男:よし、じゃあ決まりだな。 メリー:うん、私、がんばるの。 オレンジ:こうして二人は、その世界で長く名を残す、伝説のアサシンとなった。めでたし、めでたし。 ブルー:……。 レッド:……。 オレンジ:どうだった? レッド:なげえよ!他にも色々言いたいことあるけど、とりあえずなげえよ!! オレンジ:まあいいじゃない、それくらい。 レッド:それからさ、話がめちゃくちゃじゃねえか。しかも最後ハッピーエンドっぽくなってるしさ。あと、あー、もう、何から突っ込んでいいやら。 レッド:おい、ブルー!お前も何か言ってやれよ。 ブルー:オレンジ。 オレンジ:ん? ブルー:すごく良かった!! レッド:おい、待て! ブルー:なに? レッド:あのさ、いいの?あれで。 ブルー:面白かったじゃん。 レッド:いや、でも、全然怪談でも何でも無くなってたし。 ブルー:熱い話だったからいいの。 レッド:え?最初のコンセプトは? ブルー:あーもう、うるさい! レッド:は、はあ。すいません。 ブルー:じゃ、最後は私ね。 レッド:まだやるのか。 ブルー:とっておきの話してあげる。実はこの秘密基地、もともとお墓だったところを潰して作ったんだって。 ブルー:でね、怖い話すると、よく霊が集まるって言うでしょ。 ブルー:ふふ。いいこと教えてあげる。 ブルー:今も、来てるよ、ここ。 レッド:え、ど、どこに? ブルー:ほら、レッド、後ろ。 レッド:!?うあ、あ、あ、あぁ、 幽霊:あ、どうも。こんちわっす。 レッド:えええええええええええっ?軽っ!挨拶、軽っ! 幽霊:いや、そんなこと言われましても。 レッド:いや、うらめしや~とか言うべきとこでしょ、ここ。 幽霊:いや、自分、別に恨めしくも無いんで。はい。 レッド:え、じゃあなんで、幽霊に? 幽霊:さあ? レッド:え、あのさあ、ブルーはずっと知ってたの、この人のこと。 ブルー:うん。 レッド:オレンジは? オレンジ:僕も知ってたよ。 レッド:早く教えてくれればいいのに。 ブルー:いや、教えるの忘れててちょうど今来てたから。 レッド:適当だな。 オレンジ:それよりさ、次いこ。次。 レッド:次って? ブルー:この人の番。 幽霊:あ、自分っすか。 レッド:え、この人も話すの!? ブルー:当然。 幽霊:でも自分、あんまそういう話詳しくなくて。 レッド:そんな半透明な体で言われても。 オレンジ:なんか一つくらいあるでしょ。ほら、早く。 幽霊:あ、は、はい。じゃあ話します。この話は……。  :  ー終ー

 :  暦戦隊カレンジャー ~VS寒さ編~  : キャスト (男4、女2 うち男と幽霊が兼役) レッド:男 《サンデーレッド。カレンジャーの(自称)リーダー。ヒーローにあこがれている》 ブルー:女 《ウェンズデーブルー。強い。ドS。一応ヒロイン。ヲタク系の知識もある。》 オレンジ:男 《チューズデーオレンジ。楽観的な性格。ある程度イケメン。ちょっとかっこつけてる部分もある。》 メリー:女 《メリーさん。》 男:男 《謎の男。幽霊と兼役。》 幽霊:男 《この基地に住み憑いている幽霊。男と兼役。》  : ===================== レッド:あー、寒ぃ。寒い、寒いー。 ブルー:もう、あんまり寒い寒いって言わないでよ。 レッド:そんな事言ってもさ、寒いから仕方ないだろ。 ブルー:寒い寒いって言うと、余計寒くなるじゃん。 レッド:そんなわけないだろ。寒いって言うだけで寒くなってたら、地球温暖化なんかとっくに解決してるよ。 ブルー:気持ちの問題だってば。 レッド:じゃあお前は今から暑い暑いって言えばいいじゃん。 ブルー:は? レッド:寒いって言って寒くなるんなら、暑いって言えば暑くなるんだろ? ブルー:そんなわけないじゃん。暑いって言って暑くなってたら、今こんな苦労してないって。 レッド:気持ちの問題なんだろ? ブルー:う。 レッド:いいから言ってみろよ。 ブルー:はいはい。もう、うるさいな。あー、暑い暑い暑い暑い暑い暑い寒い。 レッド:おい! ブルー:何? レッド:今、寒いって。 ブルー:だって、結局寒いんだもん。 レッド:おまえ、さっきから言ってることがばらばら過ぎるぞ。 ブルー:あのね、女の子の気持ちは複雑且つ繊細なの。 レッド:今それあんまり関係ないよね。 ブルー:つまり、あんたみたいに単純じゃないの。 レッド:はぁ。 ブルー:そして、それは時に優雅で、時に激しく、深海の底よりも深く、青い空よりも澄み渡って……、それはまるでそう、ひとつの芸術作品の様な! レッド:そんな熱く語られても……。 ブルー:だから、寒いんだって! レッド:そういう意味の「あつく」じゃないって。 ブルー:大体、この基地、何で暖房無いわけ?おかしいでしょ、今時暖房もないなんて! レッド:それはほら、いろいろ経費の問題とか。 ブルー:「とか」じゃなくて、それしかないでしょ。 レッド:まあ、そうだけど。 ブルー:暖房くらい、大した出費じゃないでしょ。その程度のお金もないわけ?この基地には。 レッド:今の時代、厳しいから。 ブルー:全く、変な新兵器とか買ってるから、お金がなくなるんじゃない。 レッド:いや、兵器はやっぱり必要経費だし。 ブルー:私たちの戦いに兵器なんて使わないじゃない。 レッド:あ、確かに。 ブルー:結局物干し竿代わりになるのがオチでしょ。 レッド:否定できない。 ブルー:だから、そんな無駄なものよりも、エアコンを買うべきだって。どうせ総督は暖房のきいた部屋でぬくぬくしてるんだから、私たちだけ寒いなんて不公平だっ! レッド:いや、総督の部屋にも暖房なんて無い。 ブルー:え!? レッド:あるのはコタツだけだ。 ブルー:あ、なるほど。 レッド:理解したか。 ブルー:あの総督だったら仕方ないか。 レッド:まあ、あの総督だからな。 ブルー:でも、コタツにしても結局ぬくぬくしてることには変わりないじゃない! レッド:まあそうだが……。 ブルー:あー、やっぱり暖房ほしいいいっ!! オレンジ:何をわめいてるの? ブルー:あ、オレンジ。 レッド:いやな、あまりに寒いから暖房くらい欲しいな、と。 オレンジ:なるほど。確かに今日もかなり寒いからねぇ。 ブルー:ねぇねぇオレンジ、暖房持ってない? オレンジ:あー、さすがにそれは。 ブルー:チッ。 レッド:おい、「チッ」って。 ブルー:あー、だめだ。このままじゃ凍てついてしまうー。 オレンジ:じゃあさ、気を紛らわすために何か暖かくなりそうなことしない? レッド:なんだ、「何か暖かくなりそうなこと」って? オレンジ:うーん、そうだねぇ、 ブルー:おしくらまんじゅうとか? オレンジ:あ、いいね、それ。 レッド:ブルーと、おしくらまんじゅう……。 ブルー:あ、やっぱり却下。 レッド:な、なぜ!? ブルー:乙女の危機を感じたから。 レッド:こっちを見るな。 ブルー:おしくらまんじゅうは却下。それ以外で他にない? レッド:おしくらまんじゅうでいいじゃん。 ブルー:ぁあ? レッド:あ、すいません。なんでもないです。 オレンジ:うーん、だったら……、あ、そうだ! ブルー:何か思いついたの? オレンジ:うん、やっぱこういう寒い日は、 レッド:寒い日は? オレンジ:怪談でしょ! レッド:……。え、なんで? オレンジ:ほら、怪談すると寒くなるって言うでしょ? レッド:うん、だからダメじゃん。 オレンジ:でも、暑い日に熱いもの食べると良いとも言うよね。 ブルー:うん、まぁ。 オレンジ:だから、その逆で寒い日に余計寒くなって、相対的に暖かくなるんじゃないかなって。 レッド:うん、言わんとしてることは間違ってない気もするが、どうにも更なる極寒の地へいざなわれてるように思えてならない。 オレンジ:えー、ダメかな? ブルー:オレンジ、 オレンジ:? ブルー:それ、アリだね! レッド:マジで!? ブルー:よーし、じゃあ早速はじめるよ。ほら、レッドもぼさっとしてないで!で、誰から行くの? オレンジ:じゃあ、ここは僕から。 ブルー:いや、やっぱ私からやらせて。 オレンジ:いや、僕が言いだしっぺだし、僕から。 ブルー:でもでも、私最初やりたいし。 オレンジ:僕から。 ブルー:私だって。 オレンジ:僕が! ブルー:私! レッド:あー、もう、じゃあ俺がやるよ! ブルー:(同時に)どうぞどうぞ。 オレンジ:(同時に)どうぞどうぞ。 レッド:ダチョウ倶楽部かっ! ブルー:さ、早く話して、怖い話。あ、言っとくけど、中途半端なやつだったら左手の中指の骨折るからね。 レッド:そんな!やけにリアルな部分を!! オレンジ:では、どうぞはじめちゃって下さい。 レッド:え、えーっと。急に言われてもなぁ。あ、じゃあ。おれが小学校の時の話なんだけど、二宮金次郎ってあるじゃん?中庭とかに。 ブルー:ああ、うん。 レッド:それで、やっぱりそういうのってよく学校の七不思議になるでしょ。で、うちの学校の七不思議にもやっぱり二宮金次郎の話があって。 レッド:他の七不思議は、勝手に音楽室のピアノが鳴る、だとか女子トイレから女の子のすすり泣く声が聞こえる、とか レッド:まあ、どこの学校にでもあるようなやつだったんだけど、その二宮金次郎の話だけはちょっと特殊でさ、 レッド:普通は夜中になると歩きだしたり薪を投げたりってとこなんだけど、 レッド:うちの学校のはなんと、 ブルー:……。 オレンジ:……。 レッド:夜中になると、……目からビームを出すんだ! ブルー:……。 オレンジ:……。 レッド:あ、えっと、あの、そう、だから、あの、ビームを、ね。 ブルー:おわり? レッド:あ、はい。 ブルー:オレンジ。 オレンジ:了解。 レッド:あ、おいちょ、やめろ、離せ!いたい、いたい、本気で折れるって!! ブルー:あんたねえ、ずいぶん寒くしてくれて、どうもあ、り、が、と、う!! レッド:いだい、いだだだだっ!やめてー!!ぐは。 ブルー:はあ、はあ、はあ、バカが落ちたところで、はいじゃあ、さっさと次、やって! オレンジ:じゃ、じゃあ僕が話そうかな。 オレンジ:えーっと、これは本当にあった話らしいんだけど、 オレンジ:ある一人の男が、ある日、携帯電話を壊したんだって。 オレンジ:仕事柄電話することも多くて、どうしても必要だったから、次の日にショップに買いにいったんだ。 オレンジ:でもその日、ショップにはたくさん人がいて品揃えが悪かったこともあり、 オレンジ:男は欲しかった携帯が買えなくて、代わりに真っ赤な携帯を買ったんだ。 オレンジ:あまり気に入らなかったけど、それしか残ってなくて。仕方なく、男はそれ使ってたんだけど、 オレンジ:ある日、いつもの仕事の電話とは違う、妙な電話がかかってきたんだよ。 男:もしもし。 メリー:私、メリーさん。 男:仕事の依頼かい? メリー:今、成田空港にいるの。 男:あ?おい。もしもし?チッ、切れてやがる。 オレンジ:それからというもの、たびたび同じような電話がかかってくるようになった。 メリー:私、メリーさん。 男:またあんたか。 メリー:今、駅の改札辺りにいるの。 男:おい、メリーさんとやら、おい!また切りやがった。 オレンジ:その電話は、 メリー:私、メリーさん。 男:あんたなぁ、いったいなにが目的なんだ? メリー:今、あなたの住んでるマンションの下にいるの。 オレンジ:どんどん自分のほうに近づいてきて、ついに! メリー:私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。 男:残念だったな。 メリー:なに!残像!?どこに行ったの!? 男:始めましてだな、メリーさん。 オレンジ:動揺するメリーさんの後頭部に男が銃口を突きつけた。 メリー:う、後ろに?この私が、背後を取られるなんて。 男:さあ、聞かせてもらおうか、あんた何者だ? メリー:それはこっちのセリフなの。この私の不意を突いた人間なんて、あなたが初めてなの。 男:あんたが俺の後ろに立つから悪いんだ。 メリー:そう。それはごめんなのッ! オレンジ:メリーさんは素早い動きで男の手を掴むと、そのまま一本背負いの形で男を投げ飛ばした。 男:ぐっ! メリー:全く、てこずらせないでほしいの。 オレンジ:メリーさんの手から霧のようなものが立ち込める。そしてそれは、まがまがしい形の鎌へと姿を変えた。 メリー:さっさとやられるの。 オレンジ:メリーさんの鎌が振り下ろされる!しかし、鎌は男ではなく床に突き刺さった。 メリー:なん……なの? 男:ひゅ~、あっぶね。お嬢ちゃん、物騒なもん持ってんじゃん。 メリー:あなた、なかなかやるじゃないの。 男:そりゃどうも。 オレンジ:男は、銃をホルスターに戻すと、次は短刀を握り、構えた。 男:いくぜ! メリー:甘いの! オレンジ:低い姿勢で向かって来る男を、メリーさんは鎌で一閃した!男は弾き飛ばされ、窓ガラスを突き破った。 メリー:さすがにこの高さから落ちたら即死なの。 オレンジ:メリーさんはベランダに出て下を覗き込む。目のくらむような高さだ。だがしかし、 メリー:!?死体がない!? 男:あー、ガラス、また割っちまったか。 メリー:な、何で屋上にいるの? 男:あぁ、吹き飛ばされたときにな、ベランダの手すりを利用してジャンプしたんだ。 メリー:な、なんて奴なの。 男:どうした?早く続きしねえのか。ここならさっきよりずっと広いし、思いっきりできるぜ。 メリー:心配しなくても、すぐ行くの。 オレンジ:そういうと、メリーさんはふわりと体を浮かせ、屋上に降り立った。 男:さーて、そろそろ本気出すとするか。 メリー:それは面白いの。さあ、かかってくるといいの。遊んであげるの。 オレンジ:月の明かりが照らす屋上で、いくつもの火花が散り、幾重もの光が交差する。 メリー:あははははは。もう終わりなの? 男:へっ、バカ言ってんじゃねえよ! メリー:っ!? オレンジ:男が、メリーさんの鎌を弾き飛ばし、そのままメリーさんの体を押さえつけた。鎌は空中で何回転かした後、コンクリートに突き刺さる。メリーさんの首には短刀が突きつけられている。 男:チェックメイトだな。 メリー:あ、あはは。私の負けなの。さあ、さっさと殺すといいの。 男:は、なに言ってんだ。何故俺があんたを殺さなきゃなんねぇんだ? メリー:え? 男:俺は、依頼のあった人間しか殺さねぇ。それに、あんたみてえな奴、殺すのは勿体無ぇだろ。 メリー:……。 男:なぁ、あんた、俺の仕事手伝ってみねえか? メリー:仕事、なの? 男:ああ。あんたと組んだら、絶対最強になれるぜ。どうだ?面白そうだろ? メリー:う、うん。面白そうなの。 男:よし、じゃあ決まりだな。 メリー:うん、私、がんばるの。 オレンジ:こうして二人は、その世界で長く名を残す、伝説のアサシンとなった。めでたし、めでたし。 ブルー:……。 レッド:……。 オレンジ:どうだった? レッド:なげえよ!他にも色々言いたいことあるけど、とりあえずなげえよ!! オレンジ:まあいいじゃない、それくらい。 レッド:それからさ、話がめちゃくちゃじゃねえか。しかも最後ハッピーエンドっぽくなってるしさ。あと、あー、もう、何から突っ込んでいいやら。 レッド:おい、ブルー!お前も何か言ってやれよ。 ブルー:オレンジ。 オレンジ:ん? ブルー:すごく良かった!! レッド:おい、待て! ブルー:なに? レッド:あのさ、いいの?あれで。 ブルー:面白かったじゃん。 レッド:いや、でも、全然怪談でも何でも無くなってたし。 ブルー:熱い話だったからいいの。 レッド:え?最初のコンセプトは? ブルー:あーもう、うるさい! レッド:は、はあ。すいません。 ブルー:じゃ、最後は私ね。 レッド:まだやるのか。 ブルー:とっておきの話してあげる。実はこの秘密基地、もともとお墓だったところを潰して作ったんだって。 ブルー:でね、怖い話すると、よく霊が集まるって言うでしょ。 ブルー:ふふ。いいこと教えてあげる。 ブルー:今も、来てるよ、ここ。 レッド:え、ど、どこに? ブルー:ほら、レッド、後ろ。 レッド:!?うあ、あ、あ、あぁ、 幽霊:あ、どうも。こんちわっす。 レッド:えええええええええええっ?軽っ!挨拶、軽っ! 幽霊:いや、そんなこと言われましても。 レッド:いや、うらめしや~とか言うべきとこでしょ、ここ。 幽霊:いや、自分、別に恨めしくも無いんで。はい。 レッド:え、じゃあなんで、幽霊に? 幽霊:さあ? レッド:え、あのさあ、ブルーはずっと知ってたの、この人のこと。 ブルー:うん。 レッド:オレンジは? オレンジ:僕も知ってたよ。 レッド:早く教えてくれればいいのに。 ブルー:いや、教えるの忘れててちょうど今来てたから。 レッド:適当だな。 オレンジ:それよりさ、次いこ。次。 レッド:次って? ブルー:この人の番。 幽霊:あ、自分っすか。 レッド:え、この人も話すの!? ブルー:当然。 幽霊:でも自分、あんまそういう話詳しくなくて。 レッド:そんな半透明な体で言われても。 オレンジ:なんか一つくらいあるでしょ。ほら、早く。 幽霊:あ、は、はい。じゃあ話します。この話は……。  :  ー終ー