台本概要

 1162 views 

タイトル 私立イケ女学園
作者名 まりおん  (@marion2009)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男1、女4)
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 わたしに実害が無い範囲で、有料無料に関わらず全て自由にお使いください。
過度のアドリブ、内容や性別、役名の改編も好きにしてください。
わたしへの連絡や、作者名の表記なども特に必要ありません。

 1162 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
薫ヶ原薫 51 主人公
河合伊代 48 かわいい
アクヤ・クレイ・城之内 52 悪役令嬢
病ヶ重篤子 49 病弱(仮病)
宝塚乃星美 45 男前
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
薫ヶ原薫:俺の名前は薫ヶ原薫。この私立イケ女学園の新入生だ。 薫ヶ原薫:俺の姉貴が私立イケメン学園に入学し、金持ちのイケメンを複数捕まえたことでうちの親が味を占めて、 薫ヶ原薫:今度は息子である俺をこの私立イケ女学園に入学させようとした。 薫ヶ原薫:しかし、この学園は男子禁制の女子高。 薫ヶ原薫:男子は決して入れない、・・・はずだったのだが・・・。 薫ヶ原薫:それをうちの親が姉貴に頼み込んで、この学園の理事長の息子を説得し、なぜか俺は女子高に、一人、男子として入学することを許可されてしまった。 薫ヶ原薫:これから先、俺の高校生活はどうなってしまうのやら・・・。 河合伊代:「おはよう。」 薫ヶ原薫:「え?ああ、おはよう。」 河合伊代:「はじめまして。わたし、河合伊代(かわいいよ)って言うの。よろしくね。」 薫ヶ原薫:「河合さん?はじめまして、俺は薫ヶ原薫(かおるがはらかおる)って言うんだ。よろしく。」 河合伊代:「知ってるよ。薫ヶ原くんは有名人だから。」 薫ヶ原薫:「有名人?」 河合伊代:「そりゃそうだよ。伝統ある女子高『私立イケ女学園』の歴史で、唯一の男子生徒なんだから。」 薫ヶ原薫:「そ、そっか。そうだよね。」 河合伊代:「ねえ、薫ヶ原くんのお姉さん、この学園の理事長とお知り合いって本当?」 薫ヶ原薫:「え?なんで?」 河合伊代:「なんか、そんな噂が流れてて。みんな、薫ヶ原くんに興味津々みたいだよ?」 薫ヶ原薫:「そうなんだ?・・・まあ、知り合いっちゃ知り合いだと思う・・・。」 河合伊代:「へえ~、そうなんだ・・・。ちなみに、薫ヶ原くんは、彼女っているの?」 薫ヶ原薫:「え?彼女?・・・いないけど。」 河合伊代:「そうなんだ。・・・じゃあ、わたしが立候補しちゃおうかな。キラッ☆」 薫ヶ原薫:「え・・・?か、河合さん・・・、可愛い・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そこの方。もしかして新入生の方かしら?」 河合伊代:「え?まさか、あの方は!」 薫ヶ原薫:「どうしたの?河合さん。」 河合伊代:「あの方は、金髪に縦ロールの姿があまりにもオーラがありすぎるため、高校生でありながらアクヤ夫人と呼ばれている、アクヤ・クレイ・城之内(じょうのうち)先輩!もちろん独身です!」 薫ヶ原薫:「急な説明口調・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あなた。そこのあなたです。」 薫ヶ原薫:「え?俺?」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうです。そこの汚らわしいあなたのことですわ。」 薫ヶ原薫:「け、汚らわしいって・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ここは男子禁制の女の園。あなたのような者はふさわしくありません。即刻出ておいきなさい。」 薫ヶ原薫:「え?いや、そう言われても・・・。」 河合伊代:「アクヤ夫人。この方、薫ヶ原薫くんは、一応我が校の生徒なんです。」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですって?・・・そういえば、病ヶ重篤子(やまいがじゅうとくこ)さんがそんなことをおっしゃっていたような・・・。」 薫ヶ原薫:「ええ。そういうわけで、これから入学式に出ないといけないんです。なので、失礼します、先輩。」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちなさい。え~と、薫ヶ原薫くん?」 薫ヶ原薫:「は、はい。」 アクヤ・クレイ・城之内:「いくら入学許可が下りているとは言え、ここは男子禁制。 アクヤ・クレイ・城之内: あなたのような男子生徒が、自由に歩き回っていいところではありませんのよ。」 薫ヶ原薫:「いや、でも・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「でももヘチマもありませんわ。とにかく、まずはそこの女子生徒から離れなさい!」 病ヶ重篤子:「ごほっごほっ、どうしたんですか?城之内さん。そんなに声を荒げて。」 河合伊代:「え?まさか、あの方は!」 薫ヶ原薫:「え?誰なの?あの人。」 河合伊代:「あの方は、一般庶民でありながら、才色兼備、あまりの優秀さに、生徒会長まで上り詰めた薄幸の美少女、病ヶ重篤子(やまいがじゅうとくこ)会長!」 薫ヶ原薫:「病ヶ重、篤子・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・あら、生徒会長さまではありませんか?ご機嫌はいかがですか?」 病ヶ重篤子:「ありがとうございます。今日はとても体調がいいです。ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら、それは珍しい。今日は点滴もはずしていらっしゃるのですね。」 病ヶ重篤子:「ええ。今日は新入生を歓迎する日ですもの。点滴つけてなんていられません、ごふっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですの・・・。ところで会長。会長は、この異分子をどう考えていらっしゃるのかしら?」 薫ヶ原薫:「い、異分子?」 病ヶ重篤子:「薫ヶ原薫さんのことですか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわ。まさか生徒会長が、この伝統ある女子高、イケ女学園に男子を入れることを受け入れた、なんてことはございませんわよね?」 病ヶ重篤子:「・・・・・・。」 河合伊代:「まさか、あの噂は本当だったの?」 薫ヶ原薫:「え?なに?」 河合伊代:「生徒会長の病ヶ重篤子さんとアクヤ・クレイ・城之内さんは犬猿の仲だという話よ。」 薫ヶ原薫:「なんだって!?」 アクヤ・クレイ・城之内:「どうなのかしら?病ヶ重さん?この学園に男子がいることをどうお考えですか?」 病ヶ重篤子:「城之内さん。そんなことを心配していたんですか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「な!そんなことですって!男子がいるんですよ!この学園に!汚らわしい!」 病ヶ重篤子:「逆です、城之内さん、ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「逆ですって?いったい何の逆だと言うんです!?」 病ヶ重篤子:「わたしたちも、いつかはこの学園を卒業します。 病ヶ重篤子: その時になって、ごふっ、いきなり男性とお付き合いできますか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「つ、付き合うですって?」 病ヶ重篤子:「付き合うというのは、別に恋愛のことだけではありません。 病ヶ重篤子: 社交の場で男性と楽しくお話しすることもお付き合いのうちです、ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・それは、そうですけど・・・。」 病ヶ重篤子:「そのためにも、彼の存在は必要なんですよ。彼はわたしたちの練習台なんです。」 薫ヶ原薫:「はっきり練習台って言った!」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・わかりましたわ。でも、あなた。そこの女子からは今すぐ離れなさい。 アクヤ・クレイ・城之内: さもなければ、わたくしがあなたを、なんかこう・・・その、すごいことしますわよ!」 薫ヶ原薫:「あ、はい・・・。離れます。」 宝塚乃星美:「ふふ。どうやら、僕の出番は無かったようだね。」 河合伊代:「え?ええ~!まさか、宝塚乃星美(たからづかのほしみ)お姉さま!?」 薫ヶ原薫:「え?えっと、誰?」 河合伊代:「え?知らないの?なんで?ミジンコなの?山の中で埋められて育ったの?」 薫ヶ原薫:「ごめん。一般家庭で育ちました・・・。」 河合伊代:「宝塚乃星美お姉さまと言えば、演劇部の部長でファッション誌wanwan(わんわん)のモデルもやってる、この学園のアイドルにして王子様の星美お姉さまじゃない!」 薫ヶ原薫:「そ、そうなんだ。知らなくてごめん・・・。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん。なかなか出てきてくれないから、ひやひやしましたよ。」 宝塚乃星美:「やっぱり、会長は気づいてたんだね。」 病ヶ重篤子:「ええ。というか、わたしが困っている時は、いつもあなたがそばにいるって思ってます。」 宝塚乃星美:「当然だよ。会長のことは、僕が守るから。」 病ヶ重篤子:「ありがとうございます。ごほごほ。」 宝塚乃星美:「いつかはその病気も、僕が治してあげたい・・・。」 河合伊代:「きゃ~!会長とお姉さまのカプなんて最強~!バシバシバシバシ。」 薫ヶ原薫:「か、河合さん?痛い、痛いんだけど。」 アクヤ・クレイ・城之内:「宝塚乃さんまでいらっしゃったなんて。隠れて見ているなんてお人が悪いですわよ。」 宝塚乃星美:「ごめんね、アクヤ夫人。でも、出て行ったら僕は会長の味方をしなければいけない。 宝塚乃星美: けれど本当は、君とも争いたくは無いんだ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そ、そんなことを言っても、結局あなたは会長派なんでしょう?」 宝塚乃星美:「ごめんね、アクヤ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「よ、呼び捨て・・・。い、いけませんわ。はしたなくてよ、宝塚乃さん・・・。」 河合伊代:「なんてことなの・・・。学園の頂点あるアクヤ夫人、会長、そして星美お姉さままでが一堂に会するなんて・・・。」 薫ヶ原薫:「河合さん?大丈夫?」 河合伊代:「ああ、こんな幸せが入学早々おとずれるなんて最高すぎる!」 宝塚乃星美:「君が薫ヶ原薫くんかい?」 薫ヶ原薫:「え?あ、はい。」 宝塚乃星美:「そうか。・・・君、演劇部に入る気はないかな?」 河合伊代:「え?まさか、薫ヶ原くんをスカウトするつもり!?」 宝塚乃星美:「うちは女子生徒しかいないから、どうしても男性役を女子がやらなければいけない。 宝塚乃星美: でも、君が入ってくれれば、本当の男子に男役をやってもらえる。・・・どうかな?」 薫ヶ原薫:「えっと・・・、俺・・・。」 病ヶ重篤子:「待ってください、宝塚乃さん。彼には生徒会に入ってもらおうと思っています。」 宝塚乃星美:「生徒会に?」 病ヶ重篤子:「ええ。彼には、ごほごほ、男性目線で色々と校則などの見直しを図ってもらおうかと・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちになって!その虫けらを、演劇部や生徒会に入れるですって!?ありえませんわ! アクヤ・クレイ・城之内: そのうじ虫には、三年間クラスの端っこで小さくなって過ごしてもらいます。」 薫ヶ原薫:「ちょっと、なんだよそれ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「おだまりなさい!このミジンコ!」 薫ヶ原薫:「いや、どんどん扱いが酷くなるんだけど・・・。」 宝塚乃星美:「しかし困ったな。もううちの部に入れるつもりで、次の演目を決めちゃったからなぁ。」 病ヶ重篤子:「わたしも、先生に掛け合って、ごほっ、役員の席を増やしてしまいました。」 宝塚乃星美:「さて、どうしたものか・・・。」 河合伊代:「あの!」 宝塚乃星美:「ん?君は新入生の・・・。」 河合伊代:「はい、河合伊代って言います。」 宝塚乃星美:「河合さんか。うん、かわいいね。」 河合伊代:「あ、ありがとうございます!死ねます!」 薫ヶ原薫:「なんで!?」 宝塚乃星美:「で、河合さん、何かな?」 河合伊代:「あの、わたし、噂で聞いたんですけど、この学園には伝統の決闘法があるって・・・。」 宝塚乃星美:「伝統の決闘法?」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですの、それ。わたくし、聞いたことがありませんわ。」 宝塚乃星美:「僕も聞いたことないな。そんなもの、本当にあるのかい?」 河合伊代:「わたしも噂で聞いたことがあるだけなので、なんとも・・・。」 病ヶ重篤子:「・・・あるわ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「病ヶ重さん?」 病ヶ重篤子:「・・・以前、生徒会長室の奥の隠し部屋で見つけた古代の文献に、イケ女学園伝統の決闘法というのがあったの・・・。 病ヶ重篤子: その名も『地獄のイケ女勝負!』、ごほごほっ。」 宝塚乃星美:「それは本当かい?会長。」 病ヶ重篤子:「ええ・・・。でも、それは・・・、とても危険なものよ。」 宝塚乃星美:「危険?どういうことだい?会長。」 病ヶ重篤子:「それは・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「どうやら会長は臆病風に吹かれて、この戦いから降りるみたいですわね。」 病ヶ重篤子:「城之内さん。あなたはこの決闘法がどれだけ危険か知らないからそう言えるのよ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「たとえどんなに危険であろうとも、わたくしはわたくしの身分に掛けて立ち向かいますわ。 アクヤ・クレイ・城之内: それが、上に立つものの責任というものではなくて!?」 病ヶ重篤子:「・・・わかりました。やりましょう。」 薫ヶ原薫:「本当にやるんですか?そんな危険なことしないで、普通にじゃんけんとかでも・・・。」 病ヶ重篤子:「女には、・・・ごほごほ、絶対に引くわけに行かないときがあるの。」 薫ヶ原薫:「・・・今ではない気がするけど。」 宝塚乃星美:「それで?その決闘法というのは?」 病ヶ重篤子:「ええ、それは・・・。」 河合伊代:「・・・え?わたし?え?」 病ヶ重篤子:「それぞれが自らのイケ女っぷりを示して、後輩の女の子を落とす。 病ヶ重篤子: つまり愛の告白をして、その愛を勝ち取ったものが優勝となります。」 アクヤ・クレイ・城之内:「な、なんですって!」 病ヶ重篤子:「ごほっ、城之内さん。まさか、いまさら臆病風に吹かれたなんて言わないですよね?」 アクヤ・クレイ・城之内:「と、当然ですわ!やりますわよ!言われる前から河合さんのことはわたくしのものにしたいと思ってましたから。」 病ヶ重篤子:「あなたはどうします?星美さん?ごほっ。」 宝塚乃星美:「僕は、当然受けて立つよ。会長・・・、申し訳ないけど本気でやらせてもらうよ。」 病ヶ重篤子:「もちろんです。わたしも精一杯頑張ります。」 河合伊代:「え?え?え?どうしよう。え?わたし。死んじゃうかも。わたし今日死んじゃうかも!」 薫ヶ原薫:「お、落ち着いて、河合さん。」 河合伊代:「これが落ち着いていられるかって~の!あの、アクヤ夫人と会長と星美お姉さまから告白されるんだよ!? 河合伊代: もう地獄の底まで落ちるに決まってるじゃない!あ~!もうダメ!死ぬ!ハゲる!アゴ伸びる!」 薫ヶ原薫:「河合さん、はじめとキャラが変わりすぎだよ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「それではまず、わたくしから行かせてもらいますわよ。」 宝塚乃星美:「いいのかい?先に手の内をさらす事になるけど?」 アクヤ・クレイ・城之内:「あなたたちの出番は来ませんわ。だって、わたくしがこの子の心をさらってしまいますから。」 宝塚乃星美:「それはすごい自信だ。しかと見させてもらうよ、アクヤ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「よ、呼び捨てにしたって、手は抜きませんからね!」 河合伊代:「あああ、まさか、あのアクヤ夫人に・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「河合さん、もしよければわたくし専属のメイドになっていただけませんこと? アクヤ・クレイ・城之内: 朝はあなたの入れてくれた紅茶で目を覚まし、夜はあなたの整えてくれたベッドで眠る。 アクヤ・クレイ・城之内: わたくし、どうしてもあなたを手に入れたいの。だから、わたくしの屋敷にいらして。」 河合伊代:「はい、落ちました~。行きます!住みます!お仕えします!なんでも夫人の望むままに!」 薫ヶ原薫:「おい!いいのか?そんな簡単に応えちゃって!まだいるんだぞ?」 河合伊代:「え?はっ!そうだった!まだお二人が残ってたんだった!」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちっ、余計なことを・・・。これだから虫けらは・・・。」 薫ヶ原薫:「あの人ホント、俺にはすげー口悪いよな・・・。」 病ヶ重篤子:「素晴らしかったわ、城之内さん、ごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ふん。これくらい当然のことですわ。」 病ヶ重篤子:「でしょうね。城之内さんならこれくらいできて当然。もちろん予想の範囲内です。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら?負け惜しみかしら?」 病ヶ重篤子:「いえ。冷静な状況分析です。さて、ごほごほ、次はわたしが行かせてもらいます。」 宝塚乃星美:「頑張ってね、会長。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん、今は敵同士ですよ?」 宝塚乃星美:「それでも僕は、会長の味方だよ。」 病ヶ重篤子:「これも作戦ですか?」 宝塚乃星美:「ひどいなぁ。本当なのに。」 病ヶ重篤子:「では・・・。改めまして、河合さん、ごふゴパァッ!」 河合伊代:「は、はい・・・。」 病ヶ重篤子:「わたし、見ての通りとっても可愛くて、頭も良くて、そしてこう見えてスポーツもできるんです。 病ヶ重篤子: でも、身体は弱くて体力はありません。その上病弱で、今も48個の病気に掛かってます。 病ヶ重篤子: だから、ぐぼぶはぁ!・・・あまり長くは生きられないと思います・・・。 病ヶ重篤子: 河合さん、わたしの残り短い人生、あなたと一緒に過ごしたい・・・。 病ヶ重篤子: あなたと最期の時を一緒に生きたいの・・・、お願い・・・ごほごほ、ぶばぁ!」 河合伊代:「会長!わたし、わたし会長と生きたい!会長のために生きていきたい! 河合伊代: わたしの残りの人生を会長に捧げて生きていきたい!」 病ヶ重篤子:「河合さん・・・!」 薫ヶ原薫:「おい!いや、見てないで、誰か救急車呼べよ!血吐いてんだろうが!」 アクヤ・クレイ・城之内:「くっ、やりますわね。自らの病弱を利用した作戦。さすが会長まで上り詰めた病ヶ重さんですわ。」 薫ヶ原薫:「おい~!そんなこと言ってる場合か!?」 宝塚乃星美:「お見事だったよ、会長。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん?」 宝塚乃星美:「でもね、僕もエントリーする前に負けるわけにはいかないからね。」 河合伊代:「はっ!星美お姉さま・・・。」 宝塚乃星美:「河合さん、だったね。」 河合伊代:「は、はい、お姉さま・・・。」 宝塚乃星美:「君、演劇に興味ない?」 河合伊代:「え?演劇ですか?」 宝塚乃星美:「そう。今度やる公演で、まだお姫様の役が決まっていないんだ。 宝塚乃星美: そのお姫様のイメージに、君がピッタリなんだ。ぜひ君にお姫様になって欲しい。 宝塚乃星美: もちろん、相手役の王子はこの僕さ。キスシーンもある。どうかな? 宝塚乃星美: 僕のお姫様になって、その唇を奪わせてくれないかな?」 河合伊代:「はい!なります!捧げます!唇でも操でも、すべてお姉さまに捧げます!わたしの全てはもうお姉さまのものです!」 薫ヶ原薫:「か、河合さん?目が怖いよ?帰って来て!」 病ヶ重篤子:「さすがは宝塚乃さん、これは負けかもしれませんね。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あ、あんなのずるいですわ!あんなこと言われたら、わたくしだって・・・。 アクヤ・クレイ・城之内: あ、その・・・。なんでもないですわ!」 宝塚乃星美:「さあ、河合さん。誰が一番良かったか選んでくれるかい?」 病ヶ重篤子:「河合さん、わたし本当に、ごほごほ、あなたが必要なの・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「河合さん。わたくしのお屋敷で一緒に過ごしましょう。なんなら、わたくしの妹ということでもよろしくてよ。」 宝塚乃星美:「さあ、誰を選ぶんだい?」 河合伊代:「わたし、わたしは・・・、薫ヶ原薫くんを選びます!」 薫ヶ原薫:「え?俺?」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちょっと!どういうことですの!?」 宝塚乃星美:「僕にも、それはわからないな。いったいどういうことなんだい?」 病ヶ重篤子:「教えてください、河合さん。あなたはどうして薫ヶ原くんを選んだんですか?」 河合伊代:「それは・・・、薫ヶ原薫くんのお姉さんがこの学園の理事長の息子と仲がいいからです!」 薫ヶ原薫:「ええええええええ!」 宝塚乃星美:「この学園の理事長の息子と言えば・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「栗原・マクスウェル・シャオロン様でしたわね。」 病ヶ重篤子:「まさか、イケメン学園のイケメンスリーの一人、あの栗原・マクスウェル・シャオロンさんとお知り合いなんですか?」 薫ヶ原薫:「・・・ええ、まあ、姉が、ですが。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そういえば聞いたことがありますわ。シャオロン様たちが一般庶民と婚約されたとか・・・。」 宝塚乃星美:「まさかそれが、この・・・?」 河合伊代:「はい。それがこの、薫ヶ原薫くんのお姉さんなのです!」 病ヶ重篤子:「ということは、薫ヶ原くんはいずれ、あのイケメンスリーの親族になるということ?」 河合伊代:「はい。そうなるとわたしは思ってます。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら、薫ヶ原さま、こんなところにホコリが。」 薫ヶ原薫:「え?」 宝塚乃星美:「薫くん。僕は、ううん、わたしははじめから君だけを見ていたよ。」 薫ヶ原薫:「あ、あの・・・。」 病ヶ重篤子:「薫さま・・・、わたしの最期のお願い、聞いてくださいますか?ごほごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちょっと!お二人とも!薫ヶ原さまが嫌がってますわよ!」 宝塚乃星美:「なにを言ってるんだい?嫌がられてるのは君のほうじゃないか、ミセスアクヤ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「み、ミセスですって!?わたくし、まだ独身ですわよ!」 宝塚乃星美:「あれ~?そうだった?夫人とか呼ばれてるから、てっきり人妻かと思ったわ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですって!」 病ヶ重篤子:「きゃっ!こわ~い。薫さま、ここは危険ですから、向こうへ行きましょう。 病ヶ重篤子: わたし、新入生歓迎の挨拶をするんです~。頑張りますのでどうか見ていてくださいね。」 宝塚乃星美:「こら、会長!一人だけ抜け駆けとはずるいぞ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわよ!この泥棒猫!」 河合伊代:「ちょっと先輩方!薫ヶ原薫くんはわたしものですよ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「うるさい!小娘!」 河合伊代:「ぶべっ!」 宝塚乃星美:「そうだぞ。ガキは向こうへ行ってな。ここは大人の戦場なんだよ!」 河合伊代:「ぎゃふん!」 病ヶ重篤子:「きゃ~、こわ~い。薫さま、篤子のこと守ってください~。」 宝塚乃星美:「おい!なに猫被ってんだよ会長!だいたい、病気はどうしたんだよ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわ!あれ、やっぱりただの仮病だったんじゃありませんの!?」 病ヶ重篤子:「うるさいわね!男女(おとこおんな)に金髪縦ロール!邪魔しないでよ! 病ヶ重篤子: いい!?これはあたしんだからね!欲しけりゃ力づくで奪ってみな!」 宝塚乃星美:「上等だよ、会長。今までみたいに手加減してもらえると思ったら大間違いだぞ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「その顔に、一生消えない傷を残して差し上げますわ!」 病ヶ重篤子:「やってみなさいよ!ほらー!」 女子四人:「わいわいぎゃーぎゃー!わいわいぎゃーぎゃー!わ~!」 0:時間経過 アクヤ・クレイ・城之内:「はあはあ・・・。で、薫ヶ原さま・・・。」 宝塚乃星美:「はあはあ、いったい誰を選ぶんだい・・・?」 病ヶ重篤子:「はあはあ、場合によっては、三人でもいいですよ?法律が変わるという噂もありますし・・・。」 河合伊代:「わたしも入れてください・・・。」 四人:「さあ!」 薫ヶ原薫:「・・・えっと、俺・・・。この学校やめます。」 四人:「え?」 薫ヶ原薫:「じゃあ、そういうことで!」 宝塚乃星美:「あ!」 病ヶ重篤子:「ちょっと!」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちになって!」 河合伊代:「薫ヶ原薫く~ん!」 0:エピローグ 薫ヶ原薫:父さん、母さん。ごめんなさい。俺にはこの学園は無理です。 薫ヶ原薫:来年、普通の高校を受けなおします。 薫ヶ原薫:きっと姉さんが父さんたちのことを幸せにしてくれると思うので、俺は自由に生きて行こうと思います。 薫ヶ原薫:私立イケ女学園・・・。 薫ヶ原薫:俺はここで、女の正体を見た気がする・・・。 薫ヶ原薫:女の園は、男子が入るべきところではありませんでした。 薫ヶ原薫:世の中には知らないほうがいいことが本当にあるのですね。 薫ヶ原薫:そして姉さん、ごめんなさい。 薫ヶ原薫:姉さんのこと変態だと思ってたけど、意外と普通だったんだね・・・。 0:おわり

薫ヶ原薫:俺の名前は薫ヶ原薫。この私立イケ女学園の新入生だ。 薫ヶ原薫:俺の姉貴が私立イケメン学園に入学し、金持ちのイケメンを複数捕まえたことでうちの親が味を占めて、 薫ヶ原薫:今度は息子である俺をこの私立イケ女学園に入学させようとした。 薫ヶ原薫:しかし、この学園は男子禁制の女子高。 薫ヶ原薫:男子は決して入れない、・・・はずだったのだが・・・。 薫ヶ原薫:それをうちの親が姉貴に頼み込んで、この学園の理事長の息子を説得し、なぜか俺は女子高に、一人、男子として入学することを許可されてしまった。 薫ヶ原薫:これから先、俺の高校生活はどうなってしまうのやら・・・。 河合伊代:「おはよう。」 薫ヶ原薫:「え?ああ、おはよう。」 河合伊代:「はじめまして。わたし、河合伊代(かわいいよ)って言うの。よろしくね。」 薫ヶ原薫:「河合さん?はじめまして、俺は薫ヶ原薫(かおるがはらかおる)って言うんだ。よろしく。」 河合伊代:「知ってるよ。薫ヶ原くんは有名人だから。」 薫ヶ原薫:「有名人?」 河合伊代:「そりゃそうだよ。伝統ある女子高『私立イケ女学園』の歴史で、唯一の男子生徒なんだから。」 薫ヶ原薫:「そ、そっか。そうだよね。」 河合伊代:「ねえ、薫ヶ原くんのお姉さん、この学園の理事長とお知り合いって本当?」 薫ヶ原薫:「え?なんで?」 河合伊代:「なんか、そんな噂が流れてて。みんな、薫ヶ原くんに興味津々みたいだよ?」 薫ヶ原薫:「そうなんだ?・・・まあ、知り合いっちゃ知り合いだと思う・・・。」 河合伊代:「へえ~、そうなんだ・・・。ちなみに、薫ヶ原くんは、彼女っているの?」 薫ヶ原薫:「え?彼女?・・・いないけど。」 河合伊代:「そうなんだ。・・・じゃあ、わたしが立候補しちゃおうかな。キラッ☆」 薫ヶ原薫:「え・・・?か、河合さん・・・、可愛い・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そこの方。もしかして新入生の方かしら?」 河合伊代:「え?まさか、あの方は!」 薫ヶ原薫:「どうしたの?河合さん。」 河合伊代:「あの方は、金髪に縦ロールの姿があまりにもオーラがありすぎるため、高校生でありながらアクヤ夫人と呼ばれている、アクヤ・クレイ・城之内(じょうのうち)先輩!もちろん独身です!」 薫ヶ原薫:「急な説明口調・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あなた。そこのあなたです。」 薫ヶ原薫:「え?俺?」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうです。そこの汚らわしいあなたのことですわ。」 薫ヶ原薫:「け、汚らわしいって・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ここは男子禁制の女の園。あなたのような者はふさわしくありません。即刻出ておいきなさい。」 薫ヶ原薫:「え?いや、そう言われても・・・。」 河合伊代:「アクヤ夫人。この方、薫ヶ原薫くんは、一応我が校の生徒なんです。」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですって?・・・そういえば、病ヶ重篤子(やまいがじゅうとくこ)さんがそんなことをおっしゃっていたような・・・。」 薫ヶ原薫:「ええ。そういうわけで、これから入学式に出ないといけないんです。なので、失礼します、先輩。」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちなさい。え~と、薫ヶ原薫くん?」 薫ヶ原薫:「は、はい。」 アクヤ・クレイ・城之内:「いくら入学許可が下りているとは言え、ここは男子禁制。 アクヤ・クレイ・城之内: あなたのような男子生徒が、自由に歩き回っていいところではありませんのよ。」 薫ヶ原薫:「いや、でも・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「でももヘチマもありませんわ。とにかく、まずはそこの女子生徒から離れなさい!」 病ヶ重篤子:「ごほっごほっ、どうしたんですか?城之内さん。そんなに声を荒げて。」 河合伊代:「え?まさか、あの方は!」 薫ヶ原薫:「え?誰なの?あの人。」 河合伊代:「あの方は、一般庶民でありながら、才色兼備、あまりの優秀さに、生徒会長まで上り詰めた薄幸の美少女、病ヶ重篤子(やまいがじゅうとくこ)会長!」 薫ヶ原薫:「病ヶ重、篤子・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・あら、生徒会長さまではありませんか?ご機嫌はいかがですか?」 病ヶ重篤子:「ありがとうございます。今日はとても体調がいいです。ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら、それは珍しい。今日は点滴もはずしていらっしゃるのですね。」 病ヶ重篤子:「ええ。今日は新入生を歓迎する日ですもの。点滴つけてなんていられません、ごふっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですの・・・。ところで会長。会長は、この異分子をどう考えていらっしゃるのかしら?」 薫ヶ原薫:「い、異分子?」 病ヶ重篤子:「薫ヶ原薫さんのことですか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわ。まさか生徒会長が、この伝統ある女子高、イケ女学園に男子を入れることを受け入れた、なんてことはございませんわよね?」 病ヶ重篤子:「・・・・・・。」 河合伊代:「まさか、あの噂は本当だったの?」 薫ヶ原薫:「え?なに?」 河合伊代:「生徒会長の病ヶ重篤子さんとアクヤ・クレイ・城之内さんは犬猿の仲だという話よ。」 薫ヶ原薫:「なんだって!?」 アクヤ・クレイ・城之内:「どうなのかしら?病ヶ重さん?この学園に男子がいることをどうお考えですか?」 病ヶ重篤子:「城之内さん。そんなことを心配していたんですか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「な!そんなことですって!男子がいるんですよ!この学園に!汚らわしい!」 病ヶ重篤子:「逆です、城之内さん、ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「逆ですって?いったい何の逆だと言うんです!?」 病ヶ重篤子:「わたしたちも、いつかはこの学園を卒業します。 病ヶ重篤子: その時になって、ごふっ、いきなり男性とお付き合いできますか?」 アクヤ・クレイ・城之内:「つ、付き合うですって?」 病ヶ重篤子:「付き合うというのは、別に恋愛のことだけではありません。 病ヶ重篤子: 社交の場で男性と楽しくお話しすることもお付き合いのうちです、ごほっごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・それは、そうですけど・・・。」 病ヶ重篤子:「そのためにも、彼の存在は必要なんですよ。彼はわたしたちの練習台なんです。」 薫ヶ原薫:「はっきり練習台って言った!」 アクヤ・クレイ・城之内:「・・・わかりましたわ。でも、あなた。そこの女子からは今すぐ離れなさい。 アクヤ・クレイ・城之内: さもなければ、わたくしがあなたを、なんかこう・・・その、すごいことしますわよ!」 薫ヶ原薫:「あ、はい・・・。離れます。」 宝塚乃星美:「ふふ。どうやら、僕の出番は無かったようだね。」 河合伊代:「え?ええ~!まさか、宝塚乃星美(たからづかのほしみ)お姉さま!?」 薫ヶ原薫:「え?えっと、誰?」 河合伊代:「え?知らないの?なんで?ミジンコなの?山の中で埋められて育ったの?」 薫ヶ原薫:「ごめん。一般家庭で育ちました・・・。」 河合伊代:「宝塚乃星美お姉さまと言えば、演劇部の部長でファッション誌wanwan(わんわん)のモデルもやってる、この学園のアイドルにして王子様の星美お姉さまじゃない!」 薫ヶ原薫:「そ、そうなんだ。知らなくてごめん・・・。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん。なかなか出てきてくれないから、ひやひやしましたよ。」 宝塚乃星美:「やっぱり、会長は気づいてたんだね。」 病ヶ重篤子:「ええ。というか、わたしが困っている時は、いつもあなたがそばにいるって思ってます。」 宝塚乃星美:「当然だよ。会長のことは、僕が守るから。」 病ヶ重篤子:「ありがとうございます。ごほごほ。」 宝塚乃星美:「いつかはその病気も、僕が治してあげたい・・・。」 河合伊代:「きゃ~!会長とお姉さまのカプなんて最強~!バシバシバシバシ。」 薫ヶ原薫:「か、河合さん?痛い、痛いんだけど。」 アクヤ・クレイ・城之内:「宝塚乃さんまでいらっしゃったなんて。隠れて見ているなんてお人が悪いですわよ。」 宝塚乃星美:「ごめんね、アクヤ夫人。でも、出て行ったら僕は会長の味方をしなければいけない。 宝塚乃星美: けれど本当は、君とも争いたくは無いんだ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そ、そんなことを言っても、結局あなたは会長派なんでしょう?」 宝塚乃星美:「ごめんね、アクヤ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「よ、呼び捨て・・・。い、いけませんわ。はしたなくてよ、宝塚乃さん・・・。」 河合伊代:「なんてことなの・・・。学園の頂点あるアクヤ夫人、会長、そして星美お姉さままでが一堂に会するなんて・・・。」 薫ヶ原薫:「河合さん?大丈夫?」 河合伊代:「ああ、こんな幸せが入学早々おとずれるなんて最高すぎる!」 宝塚乃星美:「君が薫ヶ原薫くんかい?」 薫ヶ原薫:「え?あ、はい。」 宝塚乃星美:「そうか。・・・君、演劇部に入る気はないかな?」 河合伊代:「え?まさか、薫ヶ原くんをスカウトするつもり!?」 宝塚乃星美:「うちは女子生徒しかいないから、どうしても男性役を女子がやらなければいけない。 宝塚乃星美: でも、君が入ってくれれば、本当の男子に男役をやってもらえる。・・・どうかな?」 薫ヶ原薫:「えっと・・・、俺・・・。」 病ヶ重篤子:「待ってください、宝塚乃さん。彼には生徒会に入ってもらおうと思っています。」 宝塚乃星美:「生徒会に?」 病ヶ重篤子:「ええ。彼には、ごほごほ、男性目線で色々と校則などの見直しを図ってもらおうかと・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちになって!その虫けらを、演劇部や生徒会に入れるですって!?ありえませんわ! アクヤ・クレイ・城之内: そのうじ虫には、三年間クラスの端っこで小さくなって過ごしてもらいます。」 薫ヶ原薫:「ちょっと、なんだよそれ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「おだまりなさい!このミジンコ!」 薫ヶ原薫:「いや、どんどん扱いが酷くなるんだけど・・・。」 宝塚乃星美:「しかし困ったな。もううちの部に入れるつもりで、次の演目を決めちゃったからなぁ。」 病ヶ重篤子:「わたしも、先生に掛け合って、ごほっ、役員の席を増やしてしまいました。」 宝塚乃星美:「さて、どうしたものか・・・。」 河合伊代:「あの!」 宝塚乃星美:「ん?君は新入生の・・・。」 河合伊代:「はい、河合伊代って言います。」 宝塚乃星美:「河合さんか。うん、かわいいね。」 河合伊代:「あ、ありがとうございます!死ねます!」 薫ヶ原薫:「なんで!?」 宝塚乃星美:「で、河合さん、何かな?」 河合伊代:「あの、わたし、噂で聞いたんですけど、この学園には伝統の決闘法があるって・・・。」 宝塚乃星美:「伝統の決闘法?」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですの、それ。わたくし、聞いたことがありませんわ。」 宝塚乃星美:「僕も聞いたことないな。そんなもの、本当にあるのかい?」 河合伊代:「わたしも噂で聞いたことがあるだけなので、なんとも・・・。」 病ヶ重篤子:「・・・あるわ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「病ヶ重さん?」 病ヶ重篤子:「・・・以前、生徒会長室の奥の隠し部屋で見つけた古代の文献に、イケ女学園伝統の決闘法というのがあったの・・・。 病ヶ重篤子: その名も『地獄のイケ女勝負!』、ごほごほっ。」 宝塚乃星美:「それは本当かい?会長。」 病ヶ重篤子:「ええ・・・。でも、それは・・・、とても危険なものよ。」 宝塚乃星美:「危険?どういうことだい?会長。」 病ヶ重篤子:「それは・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「どうやら会長は臆病風に吹かれて、この戦いから降りるみたいですわね。」 病ヶ重篤子:「城之内さん。あなたはこの決闘法がどれだけ危険か知らないからそう言えるのよ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「たとえどんなに危険であろうとも、わたくしはわたくしの身分に掛けて立ち向かいますわ。 アクヤ・クレイ・城之内: それが、上に立つものの責任というものではなくて!?」 病ヶ重篤子:「・・・わかりました。やりましょう。」 薫ヶ原薫:「本当にやるんですか?そんな危険なことしないで、普通にじゃんけんとかでも・・・。」 病ヶ重篤子:「女には、・・・ごほごほ、絶対に引くわけに行かないときがあるの。」 薫ヶ原薫:「・・・今ではない気がするけど。」 宝塚乃星美:「それで?その決闘法というのは?」 病ヶ重篤子:「ええ、それは・・・。」 河合伊代:「・・・え?わたし?え?」 病ヶ重篤子:「それぞれが自らのイケ女っぷりを示して、後輩の女の子を落とす。 病ヶ重篤子: つまり愛の告白をして、その愛を勝ち取ったものが優勝となります。」 アクヤ・クレイ・城之内:「な、なんですって!」 病ヶ重篤子:「ごほっ、城之内さん。まさか、いまさら臆病風に吹かれたなんて言わないですよね?」 アクヤ・クレイ・城之内:「と、当然ですわ!やりますわよ!言われる前から河合さんのことはわたくしのものにしたいと思ってましたから。」 病ヶ重篤子:「あなたはどうします?星美さん?ごほっ。」 宝塚乃星美:「僕は、当然受けて立つよ。会長・・・、申し訳ないけど本気でやらせてもらうよ。」 病ヶ重篤子:「もちろんです。わたしも精一杯頑張ります。」 河合伊代:「え?え?え?どうしよう。え?わたし。死んじゃうかも。わたし今日死んじゃうかも!」 薫ヶ原薫:「お、落ち着いて、河合さん。」 河合伊代:「これが落ち着いていられるかって~の!あの、アクヤ夫人と会長と星美お姉さまから告白されるんだよ!? 河合伊代: もう地獄の底まで落ちるに決まってるじゃない!あ~!もうダメ!死ぬ!ハゲる!アゴ伸びる!」 薫ヶ原薫:「河合さん、はじめとキャラが変わりすぎだよ・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「それではまず、わたくしから行かせてもらいますわよ。」 宝塚乃星美:「いいのかい?先に手の内をさらす事になるけど?」 アクヤ・クレイ・城之内:「あなたたちの出番は来ませんわ。だって、わたくしがこの子の心をさらってしまいますから。」 宝塚乃星美:「それはすごい自信だ。しかと見させてもらうよ、アクヤ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「よ、呼び捨てにしたって、手は抜きませんからね!」 河合伊代:「あああ、まさか、あのアクヤ夫人に・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「河合さん、もしよければわたくし専属のメイドになっていただけませんこと? アクヤ・クレイ・城之内: 朝はあなたの入れてくれた紅茶で目を覚まし、夜はあなたの整えてくれたベッドで眠る。 アクヤ・クレイ・城之内: わたくし、どうしてもあなたを手に入れたいの。だから、わたくしの屋敷にいらして。」 河合伊代:「はい、落ちました~。行きます!住みます!お仕えします!なんでも夫人の望むままに!」 薫ヶ原薫:「おい!いいのか?そんな簡単に応えちゃって!まだいるんだぞ?」 河合伊代:「え?はっ!そうだった!まだお二人が残ってたんだった!」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちっ、余計なことを・・・。これだから虫けらは・・・。」 薫ヶ原薫:「あの人ホント、俺にはすげー口悪いよな・・・。」 病ヶ重篤子:「素晴らしかったわ、城之内さん、ごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ふん。これくらい当然のことですわ。」 病ヶ重篤子:「でしょうね。城之内さんならこれくらいできて当然。もちろん予想の範囲内です。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら?負け惜しみかしら?」 病ヶ重篤子:「いえ。冷静な状況分析です。さて、ごほごほ、次はわたしが行かせてもらいます。」 宝塚乃星美:「頑張ってね、会長。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん、今は敵同士ですよ?」 宝塚乃星美:「それでも僕は、会長の味方だよ。」 病ヶ重篤子:「これも作戦ですか?」 宝塚乃星美:「ひどいなぁ。本当なのに。」 病ヶ重篤子:「では・・・。改めまして、河合さん、ごふゴパァッ!」 河合伊代:「は、はい・・・。」 病ヶ重篤子:「わたし、見ての通りとっても可愛くて、頭も良くて、そしてこう見えてスポーツもできるんです。 病ヶ重篤子: でも、身体は弱くて体力はありません。その上病弱で、今も48個の病気に掛かってます。 病ヶ重篤子: だから、ぐぼぶはぁ!・・・あまり長くは生きられないと思います・・・。 病ヶ重篤子: 河合さん、わたしの残り短い人生、あなたと一緒に過ごしたい・・・。 病ヶ重篤子: あなたと最期の時を一緒に生きたいの・・・、お願い・・・ごほごほ、ぶばぁ!」 河合伊代:「会長!わたし、わたし会長と生きたい!会長のために生きていきたい! 河合伊代: わたしの残りの人生を会長に捧げて生きていきたい!」 病ヶ重篤子:「河合さん・・・!」 薫ヶ原薫:「おい!いや、見てないで、誰か救急車呼べよ!血吐いてんだろうが!」 アクヤ・クレイ・城之内:「くっ、やりますわね。自らの病弱を利用した作戦。さすが会長まで上り詰めた病ヶ重さんですわ。」 薫ヶ原薫:「おい~!そんなこと言ってる場合か!?」 宝塚乃星美:「お見事だったよ、会長。」 病ヶ重篤子:「宝塚乃さん?」 宝塚乃星美:「でもね、僕もエントリーする前に負けるわけにはいかないからね。」 河合伊代:「はっ!星美お姉さま・・・。」 宝塚乃星美:「河合さん、だったね。」 河合伊代:「は、はい、お姉さま・・・。」 宝塚乃星美:「君、演劇に興味ない?」 河合伊代:「え?演劇ですか?」 宝塚乃星美:「そう。今度やる公演で、まだお姫様の役が決まっていないんだ。 宝塚乃星美: そのお姫様のイメージに、君がピッタリなんだ。ぜひ君にお姫様になって欲しい。 宝塚乃星美: もちろん、相手役の王子はこの僕さ。キスシーンもある。どうかな? 宝塚乃星美: 僕のお姫様になって、その唇を奪わせてくれないかな?」 河合伊代:「はい!なります!捧げます!唇でも操でも、すべてお姉さまに捧げます!わたしの全てはもうお姉さまのものです!」 薫ヶ原薫:「か、河合さん?目が怖いよ?帰って来て!」 病ヶ重篤子:「さすがは宝塚乃さん、これは負けかもしれませんね。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あ、あんなのずるいですわ!あんなこと言われたら、わたくしだって・・・。 アクヤ・クレイ・城之内: あ、その・・・。なんでもないですわ!」 宝塚乃星美:「さあ、河合さん。誰が一番良かったか選んでくれるかい?」 病ヶ重篤子:「河合さん、わたし本当に、ごほごほ、あなたが必要なの・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「河合さん。わたくしのお屋敷で一緒に過ごしましょう。なんなら、わたくしの妹ということでもよろしくてよ。」 宝塚乃星美:「さあ、誰を選ぶんだい?」 河合伊代:「わたし、わたしは・・・、薫ヶ原薫くんを選びます!」 薫ヶ原薫:「え?俺?」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちょっと!どういうことですの!?」 宝塚乃星美:「僕にも、それはわからないな。いったいどういうことなんだい?」 病ヶ重篤子:「教えてください、河合さん。あなたはどうして薫ヶ原くんを選んだんですか?」 河合伊代:「それは・・・、薫ヶ原薫くんのお姉さんがこの学園の理事長の息子と仲がいいからです!」 薫ヶ原薫:「ええええええええ!」 宝塚乃星美:「この学園の理事長の息子と言えば・・・。」 アクヤ・クレイ・城之内:「栗原・マクスウェル・シャオロン様でしたわね。」 病ヶ重篤子:「まさか、イケメン学園のイケメンスリーの一人、あの栗原・マクスウェル・シャオロンさんとお知り合いなんですか?」 薫ヶ原薫:「・・・ええ、まあ、姉が、ですが。」 アクヤ・クレイ・城之内:「そういえば聞いたことがありますわ。シャオロン様たちが一般庶民と婚約されたとか・・・。」 宝塚乃星美:「まさかそれが、この・・・?」 河合伊代:「はい。それがこの、薫ヶ原薫くんのお姉さんなのです!」 病ヶ重篤子:「ということは、薫ヶ原くんはいずれ、あのイケメンスリーの親族になるということ?」 河合伊代:「はい。そうなるとわたしは思ってます。」 アクヤ・クレイ・城之内:「あら、薫ヶ原さま、こんなところにホコリが。」 薫ヶ原薫:「え?」 宝塚乃星美:「薫くん。僕は、ううん、わたしははじめから君だけを見ていたよ。」 薫ヶ原薫:「あ、あの・・・。」 病ヶ重篤子:「薫さま・・・、わたしの最期のお願い、聞いてくださいますか?ごほごほっ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「ちょっと!お二人とも!薫ヶ原さまが嫌がってますわよ!」 宝塚乃星美:「なにを言ってるんだい?嫌がられてるのは君のほうじゃないか、ミセスアクヤ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「み、ミセスですって!?わたくし、まだ独身ですわよ!」 宝塚乃星美:「あれ~?そうだった?夫人とか呼ばれてるから、てっきり人妻かと思ったわ。」 アクヤ・クレイ・城之内:「なんですって!」 病ヶ重篤子:「きゃっ!こわ~い。薫さま、ここは危険ですから、向こうへ行きましょう。 病ヶ重篤子: わたし、新入生歓迎の挨拶をするんです~。頑張りますのでどうか見ていてくださいね。」 宝塚乃星美:「こら、会長!一人だけ抜け駆けとはずるいぞ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわよ!この泥棒猫!」 河合伊代:「ちょっと先輩方!薫ヶ原薫くんはわたしものですよ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「うるさい!小娘!」 河合伊代:「ぶべっ!」 宝塚乃星美:「そうだぞ。ガキは向こうへ行ってな。ここは大人の戦場なんだよ!」 河合伊代:「ぎゃふん!」 病ヶ重篤子:「きゃ~、こわ~い。薫さま、篤子のこと守ってください~。」 宝塚乃星美:「おい!なに猫被ってんだよ会長!だいたい、病気はどうしたんだよ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「そうですわ!あれ、やっぱりただの仮病だったんじゃありませんの!?」 病ヶ重篤子:「うるさいわね!男女(おとこおんな)に金髪縦ロール!邪魔しないでよ! 病ヶ重篤子: いい!?これはあたしんだからね!欲しけりゃ力づくで奪ってみな!」 宝塚乃星美:「上等だよ、会長。今までみたいに手加減してもらえると思ったら大間違いだぞ!」 アクヤ・クレイ・城之内:「その顔に、一生消えない傷を残して差し上げますわ!」 病ヶ重篤子:「やってみなさいよ!ほらー!」 女子四人:「わいわいぎゃーぎゃー!わいわいぎゃーぎゃー!わ~!」 0:時間経過 アクヤ・クレイ・城之内:「はあはあ・・・。で、薫ヶ原さま・・・。」 宝塚乃星美:「はあはあ、いったい誰を選ぶんだい・・・?」 病ヶ重篤子:「はあはあ、場合によっては、三人でもいいですよ?法律が変わるという噂もありますし・・・。」 河合伊代:「わたしも入れてください・・・。」 四人:「さあ!」 薫ヶ原薫:「・・・えっと、俺・・・。この学校やめます。」 四人:「え?」 薫ヶ原薫:「じゃあ、そういうことで!」 宝塚乃星美:「あ!」 病ヶ重篤子:「ちょっと!」 アクヤ・クレイ・城之内:「お待ちになって!」 河合伊代:「薫ヶ原薫く~ん!」 0:エピローグ 薫ヶ原薫:父さん、母さん。ごめんなさい。俺にはこの学園は無理です。 薫ヶ原薫:来年、普通の高校を受けなおします。 薫ヶ原薫:きっと姉さんが父さんたちのことを幸せにしてくれると思うので、俺は自由に生きて行こうと思います。 薫ヶ原薫:私立イケ女学園・・・。 薫ヶ原薫:俺はここで、女の正体を見た気がする・・・。 薫ヶ原薫:女の園は、男子が入るべきところではありませんでした。 薫ヶ原薫:世の中には知らないほうがいいことが本当にあるのですね。 薫ヶ原薫:そして姉さん、ごめんなさい。 薫ヶ原薫:姉さんのこと変態だと思ってたけど、意外と普通だったんだね・・・。 0:おわり