台本概要
212 views
タイトル | 茶摘みん(男男サシVer.) |
---|---|
作者名 | Oroるん (@Oro90644720) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
・アドリブ可
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
タケキ | 男 | 145 | 大学生 |
ケンタロウ | 男 | 158 | タケキの友人。「タエりん」という彼女がいる |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:大学の食堂にて
ケンタロウ:よっす!タケキ!
タケキ:ケンタロウ。今からお昼?
ケンタロウ:おう。お前もか?
タケキ:うん。今日はタエりんは一緒じゃないの?
ケンタロウ:ああ、アイツ今日は午後からだからな。
タケキ:そっかあ、寂しいね。
ケンタロウ:いや寂しくねーし!付き合ってるからってそんないつも一緒じゃねーし!
タケキ:そうなの?二人はいつも一緒だから、仲良くて良いなあ、って思ってたんだけど?
ケンタロウ:そんな事ねえよ。アイツうるせえし、俺の事コキ使うしさ。
タケキ:でも結局、言う事聞いちゃうんでしょ?
ケンタロウ:う・・・
タケキ:それって、やっぱり好きだからじゃないの?
ケンタロウ:(ため息)惚れた弱みってやつかねえ。アイツに頼み事されると、断れねえんだよなあ。
タケキ:良いね、羨ましい。僕もそんな恋人欲しいなあ。
ケンタロウ:タケキだって、その気になれば彼女くらいできるだろ?
ケンタロウ:お前顔も性格も良いし、結構モテるんだからさ。
タケキ:うん、それはそうなんだけどね。
ケンタロウ:あ、そこは否定しないんだ。
ケンタロウ:ま、良いや。とにかく注文行こうぜ。早く行かないと混むだろ。
タケキ:あ、僕は良いんだ。
ケンタロウ:何で?
タケキ:今日はお弁当があるから。
ケンタロウ:弁当?
タケキ:うん、これ(鞄から弁当を取り出す)
ケンタロウ:・・・可愛い弁当箱だな。自分で作ったのか?
タケキ:違うよ。僕お料理できないし。
ケンタロウ:だよなあ・・・
ケンタロウ:え?じゃあ誰が作ったの?
タケキ:マキちゃん。
ケンタロウ:マキちゃんって同じサークルの?
タケキ:そうだよ。
ケンタロウ:・・・あれ?お前ら付き合ってたの?
タケキ:違うよ?マキちゃんは友達だよ。
ケンタロウ:じゃあ、何で弁当作ってもらってんの?
タケキ:それはね「コンビニ弁当飽きちゃったし、たまには手作り弁当食べたいなあ」って何気なく言ったらさ・・・
ケンタロウ:「作ったげよっか?」って?
タケキ:うん、マキちゃん優しいよね。
ケンタロウ:いや、優しいっつーかさ・・・
タケキ:?
ケンタロウ:それ、確実にお前に気があるだろ?
タケキ:え?なんで?
ケンタロウ:女の子が男に弁当作る理由なんてそれしかないだろ!
タケキ:そうなの?
ケンタロウ:そうなの!
タケキ:そうかなあ?そんな事無いと思うけど。
ケンタロウ:お前、どうなんだよ?
タケキ:何が?
ケンタロウ:マキちゃん!付き合う気あんの?
タケキ:えー?だってマキちゃんは友達だよ?
ケンタロウ:向こうはそう思ってねーから!間違いねーから!
タケキ:ケンタロウの考え過ぎだと思うよ。
ケンタロウ:あくまで認めない気か。
タケキ:とにかく僕はお弁当食べるから、早く注文行って来なよ。
ケンタロウ:ああ、そうだな。
タケキ:(弁当の蓋を開ける)うわあ、すっごく美味しそう!
ケンタロウ:んんぅ?
タケキ:いっただっきまーす!
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:んえ?
ケンタロウ:・・・お前、この弁当見て何とも思わねえの?
タケキ:何が?
ケンタロウ:ご飯に、鮭(しゃけ)フレークがかかってるだろ?
タケキ:うん。
ケンタロウ:それがハートの形になってんじゃねえか!
タケキ:・・・
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・あっ、本当だ。
ケンタロウ:遅え!
タケキ:マキちゃん、ハートが好きなんだね。
ケンタロウ:ハートが好きなんじゃなくてお前が好きなんだよ!
タケキ:なんで?
ケンタロウ:「なんで?」って何で聞くの!?男にハート弁当作ったら、それは「好き好きアピール」なんだよ!
タケキ:違うと思うけどなあ。
ケンタロウ:違わねえの!あとこれ、このハンバーグ!
タケキ:ハンバーグがどうかした?
ケンタロウ:かかってるケチャップで字が書いてあるだろ?
タケキ:えっ?
ケンタロウ:L!O!V!E!ラブ!って書いてあるだろ!しかもOがハートになってるじゃねえか!
タケキ:ホント?そう見えるだけじゃない?
ケンタロウ:お前、マキちゃんに怒られるぞ。
タケキ:80歩譲ってそうだったとしてだよ?
ケンタロウ:何で20歩足りないの!?
タケキ:きっと違う意味なんだよ。
ケンタロウ:ラブだぞ!ラブ!「大好きだよー」以外にどんな意味があるんだよ!?
タケキ:えーっと・・・ダイイングメッセージとか?
ケンタロウ:マキちゃんを殺すな!
タケキ:(電話がかかってくる)あ、ゴメン。カナちゃんから電話かかってきちゃったちゃった。
ケンタロウ:カナちゃんって確か、お前と同じバイト先の?
タケキ:うん。今度二人で遊びに行く約束してるんだ。
ケンタロウ:・・・付き合ってんの?
タケキ:だから彼女なんか居ないって。カナちゃんは友達だよ。
ケンタロウ:・・・あっそう。
タケキ:(電話に出る)もしもし、マイハニー?
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:あっ、ゴメン。ちょっと待ってね。
タケキ:(スマホから顔を離し)ちょっと!電話中なんだから静かにしてよ!
ケンタロウ:お前、今何つった?
タケキ:え?電話中だから静かにって・・・
ケンタロウ:違えよ!その前!
タケキ:「あっ、ゴメン。ちょっと待ってね」?
ケンタロウ:その前!
タケキ:「ケンタロウ、今からお昼」?
ケンタロウ:戻り過ぎ!それ冒頭のシーンじゃねえか!古典的なボケかましてんじゃねえ!
タケキ:一体何の話さ?
ケンタロウ:お前、カナちゃんの事何て呼んだ?
タケキ:ん?・・・マイハニー?
ケンタロウ:それ!え、それ何?何でそう呼んでるの?
タケキ:あだ名だけど?
ケンタロウ:あだな!?
タケキ:うん。
ケンタロウ:そんなあだ名あるか!どう考えても恋人に対する呼び名じゃねえか!
タケキ:そうかなあ?
ケンタロウ:もしかして、マキちゃんの事もあだ名で呼んでたりするのか?
タケキ:ああ、マキちゃんはね、「マイエンジェル」
ケンタロウ:マイエンジェル!?まいえんじょー!?
ケンタロウ:じ、じゃあ、同じゼミのケイコちゃんは?
タケキ:マイスウィート
ケンタロウ:あまーーい!
ケンタロウ:じゃあアキちゃんは?
タケキ:マイヴィーナス
ケンタロウ:ミケランジェロー!
ケンタロウ:ミサキちゃんは?
タケキ:マイジュリエット
ケンタロウ:ロミオー!
ケンタロウ:ヨウコちゃんは?
タケキ:マイプリンセス
ケンタロウ:エミちゃんは?
タケキ:マイサンシャイン
ケンタロウ:ハルカちゃんは?
タケキ:マイレボリューション
ケンタロウ:・・・それ、歌のタイトルじゃなかった?
ケンタロウ:じゃあリンちゃんは?
タケキ:恋愛(ラブ)レボリューション21(トゥエンティーワン)
ケンタロウ:うん、それもう完全に曲名だよね。そっちに寄せに行ってるよね?
ケンタロウ:第一、俺ら設定上大学生なのに、曲のチョイス古くね?
ケンタロウ:じゃあジェニファーは?
タケキ:想い人
ケンタロウ:おもいびと!?何で急に和風?何でよりによってジェニファーが想い人?
ケンタロウ:ってか、ジェニファーって誰だよ!俺適当に言ったんだぞ!
ケンタロウ:・・・ハッ!お前まさか、タエりんの事も変なあだ名で呼んでるじゃないだろうな!?
タケキ:タエりんはタエりんだよ?
ケンタロウ:そ、そうか!良かったー。
タケキ:うん、ちゃんと「僕だけのタエりん」って。
ケンタロウ:テメェぶっ殺すぞ。
タケキ:(再び電話に戻る)ハニーゴメンね、ゴリラがうるさくてさー。
ケンタロウ:誰がゴリラじゃ!ウホッ!
タケキ:うん・・・あの水着買ったんだー!あれ超可愛いよね!じゃあ、今度プール行こうよ!
タケキ:・・・あ、でもあの水着、けっこう過激だったよね。ハニーのそんな姿、他の男共に見られるのはちょっと嫌かも。
ケンタロウ:これが友達との会話ですかね?普通こんな事友達に言います?
タケキ:・・・でも折角買ったんだし、着ないのは勿体無いよね。じゃあさ、僕の家で着て見せてよ!
タケキ:僕が着替えるの手伝ってあげるから。・・・え?恥ずかしい?
タケキ:じゃあ・・・僕も脱ぐから!
ケンタロウ:何でやねん!
タケキ:うん、ホントだよ。すぐにポロンと出しちゃうから。
ケンタロウ:何をだよ!?卑猥(ひわい)な言い方すな!
タケキ:二人一緒なら・・・恥ずかしくないでしょ?
ケンタロウ:AV男優が言いそうな台詞だな。
タケキ:楽しみだなあ・・・あ、そろそろ時間ヤバい?
タケキ:そっか・・・もう切らなきゃいけないんだね。
タケキ:えっ?僕から切るなんてできないよ!ハニーから切って。
ケンタロウ:あー、ウザいやつ始まったな。
タケキ:ううん、ハニーから!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・ハニーから!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・ハニーから!
ケンタロウ:(舌打ち)しょうがねえなあ。
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:いつまでやらせんじゃコラァ!終わらないじゃねえか!
タケキ:・・・わかった、じゃあ「せーの」で切ろ?
ケンタロウ:やっと終わりか・・・
タケキ:じゃあ行くよ?・・・せーのっ!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・あれ?
ケンタロウ:どした?
タケキ:(電話をかけ直す)ちょっとハニー、どうして本当に切っちゃったの?
ケンタロウ:は?
タケキ:今のは「せーの・・・もう!切ってって言ったじゃん!アハハハハ」って言う下り(くだり)をやりたかったのに!
ケンタロウ:うわコイツ面倒臭え。
タケキ:・・・あー泣かないで、ゴメンゴメン。次から気を付けてくれれば良いから。
ケンタロウ:それ、気を付けなきゃいけないのか?
タケキ:じゃあ、そろそろ本当に切らないとね。
タケキ:うん、またね
タケキ:・・・アイラブユー(電話を切る)
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:何?
ケンタロウ:(早口で)テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?
タケキ:えーと・・・五回?
ケンタロウ:何回言ったか当てるんじゃねえ!今電話を切る時に何て言ったか聞いてんだ!
タケキ:え?
ケンタロウ:テメェ・・・ついに尻尾を出しやがったな!
タケキ:何がさ?
ケンタロウ:犯人は・・・お前だあ!
タケキ:・・・何言ってんの?
ケンタロウ:お前言ったよなあ、「アイラブユー」って?それ日本語の「あ・い・し・て・る」だよなあ!?
ケンタロウ:さあ!これでも友達だって言い張るのか!?
タケキ:うん。
ケンタロウ:・・・平然と言いやがったな。
ケンタロウ:じゃあ逆に聞くけどよ、タケキにとって友達と恋人の違いってなんなんだよ!?
タケキ:それはやっぱり・・・「愛」が無いとさ。
ケンタロウ:テメェさっき「アイラブユー」つってたろうが・・・
ケンタロウ:お前どうせあれだろ?その友達とやらと遊びに行くとき、手とか繋いじゃうタイプだろ?
タケキ:うん。
ケンタロウ:やっぱり!
タケキ:だって人混みとかで、はぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:ひょっとして抱き合ったりもするんじゃねえか?
タケキ:うん。だってはぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:そこまでしなくてもはぐれないだろ!?
ケンタロウ:まさかとは思うけど・・・キスとかしてるんじゃねえだろうな!
タケキ:うん、してるよ。
ケンタロウ:してるのかよ!
タケキ:だってはぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:意味分かんねえよ!
タケキ:あっ、もうこんな時間だ。お昼休み終わっちゃう。
タケキ:もう良いでしょ?僕はお弁当食べるから。
ケンタロウ:ダメだあ!(弁当を奪いとる)
タケキ:あっ!お弁当返してよ!
ケンタロウ:うるせえ!お前は一周回って女の敵だ!
タケキ:は?
ケンタロウ:貴様にこの弁当を食う資格は無い!
タケキ:何でだよ?そのお弁当どうするの?
ケンタロウ:俺が食ってやる!いっただっきまーす!
タケキ:ええ・・・
ケンタロウ:(食べながら)うわっ!これめっちゃうまいじゃん!
タケキ:もう、ひどいよケンタロウ・・・
ケンタロウ:ん?何だこれ?
タケキ:?
ケンタロウ:弁当の下に・・・手紙?
タケキ:貸して。
ケンタロウ:ケッ、ラブレターかよ。(手紙を渡す)
タケキ:えーと・・・
タケキ:『私のラブリーチェリーパイへ』
ケンタロウ:ん?「ラブリーチェリーパイ」ってタケキの事か?お互いイタイ呼び名だな。
タケキ:『この前、とてもショックな出来事がありました』
ケンタロウ:ん?何だ?
タケキ:『私、見ちゃったの。ラブリーチェリーパイが他の女と手を繋いでいる所』
ケンタロウ:おおっと?
タケキ:『そのまま二人はラブリーチェリーパイの部屋に入って行きました』
タケキ:『どういう事?私、ラブリーチェリーパイの彼女じゃなかったの?』
ケンタロウ:おやおや?雲行きが怪しくなってきましたなあ。
タケキ:『ひどいよ、信じてたのに』
タケキ:『大学を卒業したら結婚しようって言ってくれたじゃない!』
ケンタロウ:お前、友達と何つう約束してんだよ。
タケキ:『私はとても傷付きました。もう二度と会う事はありません。さようなら』
ケンタロウ:やっちまったなあ、タケキ。
タケキ:そんなあ。僕何にも悪いことしてないのに。
ケンタロウ:してるから!めっちゃくちゃしてるから!
タケキ:ちゃんとコイツにも優しくしてやったのにさあ。
ケンタロウ:コイツ!?いきなりコイツ呼ばわり!?
ケンタロウ:フラれたからって態度変わり過ぎじゃね?
タケキ:ん?まだ何か書いてある。
タケキ:『PS・そのお弁当にはたっぷり下剤を入れておきました。せいぜい苦しむが良いわ!』
ケンタロウ:アッハッハッ、下剤だってよ!ハッハッハ・・・は?
タケキ:ケンタロウ?
ケンタロウ:げ、下剤?俺がいま食った弁当に?
タケキ:みたいだね・・・
ケンタロウ:う、嘘だろ・・・うお!
タケキ:どうしたの!?
ケンタロウ:急に・・・腹が・・・
タケキ:だ、大丈夫?
ケンタロウ:大丈夫じゃねえ!ト、トイレ!
タケキ:ケ、ケンタロウ、落ち着いて!
ケンタロウ:『俺は急いで立ち上がった。トイレに向かうために』
ケンタロウ:『だが、俺は知らなかった。俺の下半身のダムは、既に決壊寸前だったという事を・・・』
ケンタロウ:はうっ!
タケキ:ケンタロウ?
ケンタロウ:おんぎゃあああ!!
ケンタロウ:『何かが、俺の中を駆け抜けた・・・そんな感覚だった』
タケキ:まさか・・・もう?
ケンタロウ:・・・なあ、タケキ。
タケキ:う、うん。
ケンタロウ:どうしてかな、ズボンの中がさ、すごく・・・あったかいんだ。
タケキ:そ、そうなんだ。
ケンタロウ:アハ・・・アハハ・・・アハハハハ・・・
タケキ:・・・
ケンタロウ:(泣きながら)チクショウ、何で俺がこんな目に・・・
ケンタロウ:あっ!
ケンタロウ:『俺の放出時の叫び声を聞いて、人が集まってきた。中には知り合いの姿もある』
ケンタロウ:(終わった・・・俺のキャンパスライフ・・・)
タケキ:いっただっきまーす!
ケンタロウ:えっ?
ケンタロウ:『その時、俺は信じられない光景を目にした』
ケンタロウ:『俺が食べ残した下剤入り弁当を、タケキが食べ始めたのだ』
タケキ:(食べながら)このお弁当、味は美味しいね。
ケンタロウ:お前何やってんだよ!その弁当食ったらどうなるか分かってんのか!?
タケキ:もちろん、分かってるよ。
ケンタロウ:じゃあ何で!?
タケキ:ケンタロウ一人に、恥ずかしい思いさせるわけにはいかないじゃない。
ケンタロウ:え?
タケキ:僕も、付き合うよ。
ケンタロウ:まさか・・・俺のために?
タケキ:ケンタロウの為だったら、僕なんでもできるから。
ケンタロウ:・・・
タケキ:二人一緒なら、恥ずかしくないでしょ?
ケンタロウ:タケキ・・・くん・・・
タケキ:・・・マイラブ?
ケンタロウ:・・・・・・好き。
0:おわり
0:大学の食堂にて
ケンタロウ:よっす!タケキ!
タケキ:ケンタロウ。今からお昼?
ケンタロウ:おう。お前もか?
タケキ:うん。今日はタエりんは一緒じゃないの?
ケンタロウ:ああ、アイツ今日は午後からだからな。
タケキ:そっかあ、寂しいね。
ケンタロウ:いや寂しくねーし!付き合ってるからってそんないつも一緒じゃねーし!
タケキ:そうなの?二人はいつも一緒だから、仲良くて良いなあ、って思ってたんだけど?
ケンタロウ:そんな事ねえよ。アイツうるせえし、俺の事コキ使うしさ。
タケキ:でも結局、言う事聞いちゃうんでしょ?
ケンタロウ:う・・・
タケキ:それって、やっぱり好きだからじゃないの?
ケンタロウ:(ため息)惚れた弱みってやつかねえ。アイツに頼み事されると、断れねえんだよなあ。
タケキ:良いね、羨ましい。僕もそんな恋人欲しいなあ。
ケンタロウ:タケキだって、その気になれば彼女くらいできるだろ?
ケンタロウ:お前顔も性格も良いし、結構モテるんだからさ。
タケキ:うん、それはそうなんだけどね。
ケンタロウ:あ、そこは否定しないんだ。
ケンタロウ:ま、良いや。とにかく注文行こうぜ。早く行かないと混むだろ。
タケキ:あ、僕は良いんだ。
ケンタロウ:何で?
タケキ:今日はお弁当があるから。
ケンタロウ:弁当?
タケキ:うん、これ(鞄から弁当を取り出す)
ケンタロウ:・・・可愛い弁当箱だな。自分で作ったのか?
タケキ:違うよ。僕お料理できないし。
ケンタロウ:だよなあ・・・
ケンタロウ:え?じゃあ誰が作ったの?
タケキ:マキちゃん。
ケンタロウ:マキちゃんって同じサークルの?
タケキ:そうだよ。
ケンタロウ:・・・あれ?お前ら付き合ってたの?
タケキ:違うよ?マキちゃんは友達だよ。
ケンタロウ:じゃあ、何で弁当作ってもらってんの?
タケキ:それはね「コンビニ弁当飽きちゃったし、たまには手作り弁当食べたいなあ」って何気なく言ったらさ・・・
ケンタロウ:「作ったげよっか?」って?
タケキ:うん、マキちゃん優しいよね。
ケンタロウ:いや、優しいっつーかさ・・・
タケキ:?
ケンタロウ:それ、確実にお前に気があるだろ?
タケキ:え?なんで?
ケンタロウ:女の子が男に弁当作る理由なんてそれしかないだろ!
タケキ:そうなの?
ケンタロウ:そうなの!
タケキ:そうかなあ?そんな事無いと思うけど。
ケンタロウ:お前、どうなんだよ?
タケキ:何が?
ケンタロウ:マキちゃん!付き合う気あんの?
タケキ:えー?だってマキちゃんは友達だよ?
ケンタロウ:向こうはそう思ってねーから!間違いねーから!
タケキ:ケンタロウの考え過ぎだと思うよ。
ケンタロウ:あくまで認めない気か。
タケキ:とにかく僕はお弁当食べるから、早く注文行って来なよ。
ケンタロウ:ああ、そうだな。
タケキ:(弁当の蓋を開ける)うわあ、すっごく美味しそう!
ケンタロウ:んんぅ?
タケキ:いっただっきまーす!
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:んえ?
ケンタロウ:・・・お前、この弁当見て何とも思わねえの?
タケキ:何が?
ケンタロウ:ご飯に、鮭(しゃけ)フレークがかかってるだろ?
タケキ:うん。
ケンタロウ:それがハートの形になってんじゃねえか!
タケキ:・・・
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・あっ、本当だ。
ケンタロウ:遅え!
タケキ:マキちゃん、ハートが好きなんだね。
ケンタロウ:ハートが好きなんじゃなくてお前が好きなんだよ!
タケキ:なんで?
ケンタロウ:「なんで?」って何で聞くの!?男にハート弁当作ったら、それは「好き好きアピール」なんだよ!
タケキ:違うと思うけどなあ。
ケンタロウ:違わねえの!あとこれ、このハンバーグ!
タケキ:ハンバーグがどうかした?
ケンタロウ:かかってるケチャップで字が書いてあるだろ?
タケキ:えっ?
ケンタロウ:L!O!V!E!ラブ!って書いてあるだろ!しかもOがハートになってるじゃねえか!
タケキ:ホント?そう見えるだけじゃない?
ケンタロウ:お前、マキちゃんに怒られるぞ。
タケキ:80歩譲ってそうだったとしてだよ?
ケンタロウ:何で20歩足りないの!?
タケキ:きっと違う意味なんだよ。
ケンタロウ:ラブだぞ!ラブ!「大好きだよー」以外にどんな意味があるんだよ!?
タケキ:えーっと・・・ダイイングメッセージとか?
ケンタロウ:マキちゃんを殺すな!
タケキ:(電話がかかってくる)あ、ゴメン。カナちゃんから電話かかってきちゃったちゃった。
ケンタロウ:カナちゃんって確か、お前と同じバイト先の?
タケキ:うん。今度二人で遊びに行く約束してるんだ。
ケンタロウ:・・・付き合ってんの?
タケキ:だから彼女なんか居ないって。カナちゃんは友達だよ。
ケンタロウ:・・・あっそう。
タケキ:(電話に出る)もしもし、マイハニー?
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:あっ、ゴメン。ちょっと待ってね。
タケキ:(スマホから顔を離し)ちょっと!電話中なんだから静かにしてよ!
ケンタロウ:お前、今何つった?
タケキ:え?電話中だから静かにって・・・
ケンタロウ:違えよ!その前!
タケキ:「あっ、ゴメン。ちょっと待ってね」?
ケンタロウ:その前!
タケキ:「ケンタロウ、今からお昼」?
ケンタロウ:戻り過ぎ!それ冒頭のシーンじゃねえか!古典的なボケかましてんじゃねえ!
タケキ:一体何の話さ?
ケンタロウ:お前、カナちゃんの事何て呼んだ?
タケキ:ん?・・・マイハニー?
ケンタロウ:それ!え、それ何?何でそう呼んでるの?
タケキ:あだ名だけど?
ケンタロウ:あだな!?
タケキ:うん。
ケンタロウ:そんなあだ名あるか!どう考えても恋人に対する呼び名じゃねえか!
タケキ:そうかなあ?
ケンタロウ:もしかして、マキちゃんの事もあだ名で呼んでたりするのか?
タケキ:ああ、マキちゃんはね、「マイエンジェル」
ケンタロウ:マイエンジェル!?まいえんじょー!?
ケンタロウ:じ、じゃあ、同じゼミのケイコちゃんは?
タケキ:マイスウィート
ケンタロウ:あまーーい!
ケンタロウ:じゃあアキちゃんは?
タケキ:マイヴィーナス
ケンタロウ:ミケランジェロー!
ケンタロウ:ミサキちゃんは?
タケキ:マイジュリエット
ケンタロウ:ロミオー!
ケンタロウ:ヨウコちゃんは?
タケキ:マイプリンセス
ケンタロウ:エミちゃんは?
タケキ:マイサンシャイン
ケンタロウ:ハルカちゃんは?
タケキ:マイレボリューション
ケンタロウ:・・・それ、歌のタイトルじゃなかった?
ケンタロウ:じゃあリンちゃんは?
タケキ:恋愛(ラブ)レボリューション21(トゥエンティーワン)
ケンタロウ:うん、それもう完全に曲名だよね。そっちに寄せに行ってるよね?
ケンタロウ:第一、俺ら設定上大学生なのに、曲のチョイス古くね?
ケンタロウ:じゃあジェニファーは?
タケキ:想い人
ケンタロウ:おもいびと!?何で急に和風?何でよりによってジェニファーが想い人?
ケンタロウ:ってか、ジェニファーって誰だよ!俺適当に言ったんだぞ!
ケンタロウ:・・・ハッ!お前まさか、タエりんの事も変なあだ名で呼んでるじゃないだろうな!?
タケキ:タエりんはタエりんだよ?
ケンタロウ:そ、そうか!良かったー。
タケキ:うん、ちゃんと「僕だけのタエりん」って。
ケンタロウ:テメェぶっ殺すぞ。
タケキ:(再び電話に戻る)ハニーゴメンね、ゴリラがうるさくてさー。
ケンタロウ:誰がゴリラじゃ!ウホッ!
タケキ:うん・・・あの水着買ったんだー!あれ超可愛いよね!じゃあ、今度プール行こうよ!
タケキ:・・・あ、でもあの水着、けっこう過激だったよね。ハニーのそんな姿、他の男共に見られるのはちょっと嫌かも。
ケンタロウ:これが友達との会話ですかね?普通こんな事友達に言います?
タケキ:・・・でも折角買ったんだし、着ないのは勿体無いよね。じゃあさ、僕の家で着て見せてよ!
タケキ:僕が着替えるの手伝ってあげるから。・・・え?恥ずかしい?
タケキ:じゃあ・・・僕も脱ぐから!
ケンタロウ:何でやねん!
タケキ:うん、ホントだよ。すぐにポロンと出しちゃうから。
ケンタロウ:何をだよ!?卑猥(ひわい)な言い方すな!
タケキ:二人一緒なら・・・恥ずかしくないでしょ?
ケンタロウ:AV男優が言いそうな台詞だな。
タケキ:楽しみだなあ・・・あ、そろそろ時間ヤバい?
タケキ:そっか・・・もう切らなきゃいけないんだね。
タケキ:えっ?僕から切るなんてできないよ!ハニーから切って。
ケンタロウ:あー、ウザいやつ始まったな。
タケキ:ううん、ハニーから!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・ハニーから!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・ハニーから!
ケンタロウ:(舌打ち)しょうがねえなあ。
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:(女性口調で)タケキくんから!
タケキ:ハニーから!
ケンタロウ:いつまでやらせんじゃコラァ!終わらないじゃねえか!
タケキ:・・・わかった、じゃあ「せーの」で切ろ?
ケンタロウ:やっと終わりか・・・
タケキ:じゃあ行くよ?・・・せーのっ!
ケンタロウ:・・・
タケキ:・・・あれ?
ケンタロウ:どした?
タケキ:(電話をかけ直す)ちょっとハニー、どうして本当に切っちゃったの?
ケンタロウ:は?
タケキ:今のは「せーの・・・もう!切ってって言ったじゃん!アハハハハ」って言う下り(くだり)をやりたかったのに!
ケンタロウ:うわコイツ面倒臭え。
タケキ:・・・あー泣かないで、ゴメンゴメン。次から気を付けてくれれば良いから。
ケンタロウ:それ、気を付けなきゃいけないのか?
タケキ:じゃあ、そろそろ本当に切らないとね。
タケキ:うん、またね
タケキ:・・・アイラブユー(電話を切る)
ケンタロウ:ちょっと待てぇぇぇい!
タケキ:何?
ケンタロウ:(早口で)テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?テメェ今何つった?
タケキ:えーと・・・五回?
ケンタロウ:何回言ったか当てるんじゃねえ!今電話を切る時に何て言ったか聞いてんだ!
タケキ:え?
ケンタロウ:テメェ・・・ついに尻尾を出しやがったな!
タケキ:何がさ?
ケンタロウ:犯人は・・・お前だあ!
タケキ:・・・何言ってんの?
ケンタロウ:お前言ったよなあ、「アイラブユー」って?それ日本語の「あ・い・し・て・る」だよなあ!?
ケンタロウ:さあ!これでも友達だって言い張るのか!?
タケキ:うん。
ケンタロウ:・・・平然と言いやがったな。
ケンタロウ:じゃあ逆に聞くけどよ、タケキにとって友達と恋人の違いってなんなんだよ!?
タケキ:それはやっぱり・・・「愛」が無いとさ。
ケンタロウ:テメェさっき「アイラブユー」つってたろうが・・・
ケンタロウ:お前どうせあれだろ?その友達とやらと遊びに行くとき、手とか繋いじゃうタイプだろ?
タケキ:うん。
ケンタロウ:やっぱり!
タケキ:だって人混みとかで、はぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:ひょっとして抱き合ったりもするんじゃねえか?
タケキ:うん。だってはぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:そこまでしなくてもはぐれないだろ!?
ケンタロウ:まさかとは思うけど・・・キスとかしてるんじゃねえだろうな!
タケキ:うん、してるよ。
ケンタロウ:してるのかよ!
タケキ:だってはぐれたら危ないじゃない。
ケンタロウ:意味分かんねえよ!
タケキ:あっ、もうこんな時間だ。お昼休み終わっちゃう。
タケキ:もう良いでしょ?僕はお弁当食べるから。
ケンタロウ:ダメだあ!(弁当を奪いとる)
タケキ:あっ!お弁当返してよ!
ケンタロウ:うるせえ!お前は一周回って女の敵だ!
タケキ:は?
ケンタロウ:貴様にこの弁当を食う資格は無い!
タケキ:何でだよ?そのお弁当どうするの?
ケンタロウ:俺が食ってやる!いっただっきまーす!
タケキ:ええ・・・
ケンタロウ:(食べながら)うわっ!これめっちゃうまいじゃん!
タケキ:もう、ひどいよケンタロウ・・・
ケンタロウ:ん?何だこれ?
タケキ:?
ケンタロウ:弁当の下に・・・手紙?
タケキ:貸して。
ケンタロウ:ケッ、ラブレターかよ。(手紙を渡す)
タケキ:えーと・・・
タケキ:『私のラブリーチェリーパイへ』
ケンタロウ:ん?「ラブリーチェリーパイ」ってタケキの事か?お互いイタイ呼び名だな。
タケキ:『この前、とてもショックな出来事がありました』
ケンタロウ:ん?何だ?
タケキ:『私、見ちゃったの。ラブリーチェリーパイが他の女と手を繋いでいる所』
ケンタロウ:おおっと?
タケキ:『そのまま二人はラブリーチェリーパイの部屋に入って行きました』
タケキ:『どういう事?私、ラブリーチェリーパイの彼女じゃなかったの?』
ケンタロウ:おやおや?雲行きが怪しくなってきましたなあ。
タケキ:『ひどいよ、信じてたのに』
タケキ:『大学を卒業したら結婚しようって言ってくれたじゃない!』
ケンタロウ:お前、友達と何つう約束してんだよ。
タケキ:『私はとても傷付きました。もう二度と会う事はありません。さようなら』
ケンタロウ:やっちまったなあ、タケキ。
タケキ:そんなあ。僕何にも悪いことしてないのに。
ケンタロウ:してるから!めっちゃくちゃしてるから!
タケキ:ちゃんとコイツにも優しくしてやったのにさあ。
ケンタロウ:コイツ!?いきなりコイツ呼ばわり!?
ケンタロウ:フラれたからって態度変わり過ぎじゃね?
タケキ:ん?まだ何か書いてある。
タケキ:『PS・そのお弁当にはたっぷり下剤を入れておきました。せいぜい苦しむが良いわ!』
ケンタロウ:アッハッハッ、下剤だってよ!ハッハッハ・・・は?
タケキ:ケンタロウ?
ケンタロウ:げ、下剤?俺がいま食った弁当に?
タケキ:みたいだね・・・
ケンタロウ:う、嘘だろ・・・うお!
タケキ:どうしたの!?
ケンタロウ:急に・・・腹が・・・
タケキ:だ、大丈夫?
ケンタロウ:大丈夫じゃねえ!ト、トイレ!
タケキ:ケ、ケンタロウ、落ち着いて!
ケンタロウ:『俺は急いで立ち上がった。トイレに向かうために』
ケンタロウ:『だが、俺は知らなかった。俺の下半身のダムは、既に決壊寸前だったという事を・・・』
ケンタロウ:はうっ!
タケキ:ケンタロウ?
ケンタロウ:おんぎゃあああ!!
ケンタロウ:『何かが、俺の中を駆け抜けた・・・そんな感覚だった』
タケキ:まさか・・・もう?
ケンタロウ:・・・なあ、タケキ。
タケキ:う、うん。
ケンタロウ:どうしてかな、ズボンの中がさ、すごく・・・あったかいんだ。
タケキ:そ、そうなんだ。
ケンタロウ:アハ・・・アハハ・・・アハハハハ・・・
タケキ:・・・
ケンタロウ:(泣きながら)チクショウ、何で俺がこんな目に・・・
ケンタロウ:あっ!
ケンタロウ:『俺の放出時の叫び声を聞いて、人が集まってきた。中には知り合いの姿もある』
ケンタロウ:(終わった・・・俺のキャンパスライフ・・・)
タケキ:いっただっきまーす!
ケンタロウ:えっ?
ケンタロウ:『その時、俺は信じられない光景を目にした』
ケンタロウ:『俺が食べ残した下剤入り弁当を、タケキが食べ始めたのだ』
タケキ:(食べながら)このお弁当、味は美味しいね。
ケンタロウ:お前何やってんだよ!その弁当食ったらどうなるか分かってんのか!?
タケキ:もちろん、分かってるよ。
ケンタロウ:じゃあ何で!?
タケキ:ケンタロウ一人に、恥ずかしい思いさせるわけにはいかないじゃない。
ケンタロウ:え?
タケキ:僕も、付き合うよ。
ケンタロウ:まさか・・・俺のために?
タケキ:ケンタロウの為だったら、僕なんでもできるから。
ケンタロウ:・・・
タケキ:二人一緒なら、恥ずかしくないでしょ?
ケンタロウ:タケキ・・・くん・・・
タケキ:・・・マイラブ?
ケンタロウ:・・・・・・好き。
0:おわり