台本概要

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タイトル 【バトル系】レベッカ
作者名 ゆる男  (@yuruyurumanno11)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 70 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 神の宿る教会ラウジェミール襲撃事件から10年が経ったある日
レベッカという少女が眠りから覚めた
神の力を支配するヴィスターは再びラウジェミールを襲撃するが
それを守るラウジェミールの護衛団と壮絶な戦いが繰り広げられる
そして、彼女の名前は神のみぞ知る

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一番最後に兼役があります。
詳細はキャラ紹介にて書いてありますのでよろしくお願いします!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
レベッカ 154 記憶のない少女。黒魔女のレベッカ 自分がなんなのか。なんのためにいるのか それがわからない 【クロエ】と兼役
フラム 201 世界最高峰の戦士フラム 火を扱う熱い男 ララの護衛をしている 【スローク】と兼役
ララ 165 ラウジェミールのシスターララ 10年前に何かがあった 神に祈りを捧げている 【ダイナ】と兼役
メイナード 169 世界最強の男 フラムとララを見守っている 大きな大剣で振りかざす力技は強い
ヴィスター 125 神を支配する悪人ヴィスター 神を使って世界を破壊する力を得ようとする
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
フラム:レベッカ。それは悲しみと孤独を背負った一人の少女 ララ:レベッカ。それは過去の自分に苦しめられた黒い少女 メイナード:レベッカ。それは世界を破壊する程の力を持った悪しき少女 ヴィスター:レベッカ。それは命を平和のために捧げた哀れな少女 レベッカ:レベッカ。私は記憶のない少女。黒魔女のレベッカ 0:世界平和を謳う国。アルニズム。 0:神の宿る教会。ラウジェミールにて ララ:神よ…憎しみのある所に愛を。いさかいのあるところに許しを ララ:私たちは、人々の平和の為に命を捧げます。人々を許し、人々を愛します。なので…… ララ:私たちのこの願いを強めてください ララ:世界平和を、我が旨に ララ:………… 0:ララは両手で祈り、ゆっくり目を閉じる フラム:うわっはー!ララー!元気かー!? ララ:……… フラム:また今日も祈ってんのかよー!俺も祈ろーっと。ア〜〜〜〜メン! :ボコー! フラム:いたー!! ララ:神よ…私の罪を許してください。こいつ、ぶっ殺しとくので ララ:ちょっと来なさい! フラム:えー!なんで!? 0:ララとフラムは教会の裏に行く ララ:バカなの!? フラム:はあ!?この世界最高峰の戦士がバカなわけねーだろ! ララ:いいや、あんたは正真正銘のバカよ! フラム:どこがだよ!心当たりはないぞ! ララ:そういう所よ!自覚のないバカが本物のバカなの! フラム:バカバカ言いやがって!神に怒られて焼かれろ! ララ:焼かれるのはあんたの方よ!教会であんなふざけて、許せない! フラム:はあ。ちぇー。なんだよ。ララのシスター姿を今日も拝みに来たっていうのによー ララ:な、何言ってんのよ!ふざけないで フラム:大真面目だよ。昔からお前は祈りを乞うことが好きだったもんな。 ララ:もう。バカにしてるの?…そうね。フラムは昔からこの教会を守るために訓練を続けてきたもんね フラム:そうだぞー!このラウジェミールは俺が居たから平和なんだぞー! フラム:それをバカだのアホだのクソだの言うな! ララ:そこまでは言ってないでしょ ララ:はあ。でも、昔の話はやめましょ? フラム:……まだあいつのこと引きずってるのか? ララ:当たり前でしょ フラム:あいつはそんな悪い奴には見えなかったけどなー フラム:なあ、あの日、ラウジェミールが襲撃された時、一体クロエと何が ララ:(遮る)あいつの名前は呼ばないで フラム:………わかったよ。ラウジェミールのシスターがその感情になるのもよくわかんねーけど、何かあったんだよな? ララ:そうよ。私はあの日のこと……絶対に忘れないんだから ララ:神に誓っても、私はあいつを許さない 0:とある街にて メイナード:はあ…はあ… ヴィスター:はあ…はあ…てめえ。しつけーんだよ メイナード:しつけーのはどっちだ。俺が来たからには白状してもらうぞ。死にたくないならな ヴィスター:俺に何の用だって聞いてんだよ!いきなり襲ってきやがって! メイナード:クロエはどこにいる? ヴィスター:クロエ?……ああ、あいつはもう ヴィスター:死んだよ メイナード:……ふざけんな! レベッカ:興(きょう)の光。サイリウム メイナード:うっ!! メイナード:がはー!!め、目が… ヴィスター:けっへっへっへ!お目覚めだな ヴィスター:おはよう、レベッカ メイナード:……レベッカ? レベッカ:おはようございます。ヴィスター様 ヴィスター:今日はやけに早起きだな。レベッカ メイナード:……何者だ レベッカ:あなたの方こそ何者ですか? レベッカ:その大きな剣を下ろしてください メイナード:誰に口聞いてんだ?クソガキが レベッカ:あなたのこと、誰か知りませんから メイナード:ふざけんなよ…… メイナード:護樂倍損!(ごらくばいそん) 0:メイナードは背中に背負った大剣を振り下ろす レベッカ:っ! メイナード:ちっ。避けたか ヴィスター:な、なんだこの破壊力!斬撃だけで街が粉々じゃないか! ヴィスター:おい、ジジイ。無駄な争いはやめねーか? ヴィスター:世界最強の男がこんな所で街を壊し回るなんて横暴にも程がある! メイナード:なら、クロエを出せ ヴィスター:クロエなら死んだと言っただろ? メイナード:あいつは生きてる!そして俺はあいつを殺さねばならない ヴィスター:仮にそうだとしたら、いくらお前でもあいつを取り押さえる事なんて出来ないだろ メイナード:黙れ…俺は…… レベッカ:糸の舞。クロスビート! メイナード:ぐっ!! メイナード:このガキ……本当に何者だ? レベッカ:白の美麗(びれい)フィオレビアンコ! メイナード:くっ! メイナード:天天羅栖!(あまてらす) レベッカ:チル メイナード:………!? メイナード:瞬間移動…… レベッカ:火事の実(みのり)サザンカ! メイナード:うっ!! メイナード:その火力……お前、名前を言え! レベッカ:私ですか? レベッカ:私の名前は…… レベッカ:黒魔女のレベッカ メイナード:黒魔女だと?その白銀の髪でなぜ黒を名乗る? レベッカ:あなたには関係ありません レベッカ:私の干渉は遠慮してください 0: フラム:ララ、知ってるか?今日、アルニズムは設立200年の歴史を刻んだらしい ララ:そうなのね フラム:ラウジェミールのシスターなら知ってるだろ? ララ:知らないわよ フラム:お前どうやってシスターの試験受かったんだよ!ラウジェミールの護衛試験でも出てたぞ! ララ:勘で全部当てたわよ! フラム:誇らしげにすんな! ララ:受かればこっちのもんなのよー! フラム:全く、真面目なんだか不真面目なんだか ララ:技術があるから大丈夫 フラム:お前も大概バカだな レベッカ:……… フラム:ん? フラム:白銀の髪……この国の人じゃなさそうだな レベッカ:あ、すみません レベッカ:メロンパンひとつ下さい フラム:は、はあ? レベッカ:メロンパンひとつ フラム:おいおい、俺たちはパン屋じゃないぞ? レベッカ:……え? レベッカ:……メロンパン…ないですか? レベッカ:………うっ…うぅ〜〜〜! ララ:え、ええー!なんで泣くの? レベッカ:この国に行けばメロンパンが食べられると思ってたんです〜! フラム:無表情で泣くなよ。メロンパンならパン屋で買えよ レベッカ:パン屋… フラム:ほら、ここにあるだろ? レベッカ:…ん〜〜小麦のいい匂い〜 0:レベッカはパン屋の前に立つ レベッカ:メロンパンひとつ下さい レベッカ:……え?お金ないと買えないですか? レベッカ:お金…持ってないです レベッカ:売れない……?……うっ…うぅ〜〜〜! レベッカ:メロンパン食べられないですか〜? ララ:また泣いちゃった レベッカ:メロンパン食べたかったんですよ〜どうしてお金がないとメロンパンが食べられないんですか? フラム:当たり前だろ!金ねーやつは食うな! レベッカ:あんまりです〜! ララ:はいはい、わかったわよ。メロンパン3つ レベッカ:……え? ララ:買ってあげるわよ レベッカ:いいんですか? ララ:うん、全然いいよ。私もお金持ってないからフラムが払うけど フラム:俺が払うのかよ!しかも3人分! 0:近くのベンチに座る3人 レベッカ:あーん レベッカ:ん〜おいしいです〜! ララ:よかった フラム:さっきから表情が分かんねーな レベッカ:そ、その…お名前は ララ:ララよ レベッカ:ありがとうございます。ララ様 ララ:いいわよ フラム:ちょっと待て、金払ったのは俺だぞ? レベッカ:一応あなたの名前も聞いときます フラム:一応ってなんだよ!くそっ!覚えておけ。俺はフラム。世界最高峰の戦士だ レベッカ:フラム様。うるさいお方で覚えておきます フラム:焼くぞ!このやろー! ララ:あなたはどこから来たの? レベッカ:私は生まれも育ちもわかりません ララ:どういうこと? レベッカ:どういうこと?どういうことでしょう? ララ:……え? レベッカ:私にもわからないんです。私がなんなのか ララ:……何よそれ レベッカ:メロンパン。美味しかったです フラム:おい レベッカ:……? フラム:お前の名前は? レベッカ:私は…黒魔女のレベッカ フラム:………黒魔女? レベッカ:じゃあ、私はもう行きますね。ありがとうございました。 フラム:お、おい! レベッカ:チル フラム:……消えた? ララ:瞬間移動ってこと? フラム:不気味なやつだったな ララ:………不気味かしら? フラム:ん? ララ:………なんか、見覚えがあるような フラム:……見覚え? レベッカ:ヴィスター様、お待たせしました ヴィスター:おい!遅かったじゃないかレベッカ!どこで何をしていた!? レベッカ:調査をしていました ヴィスター:思い切りパンのカスが口に付いてるわ! レベッカ:はい。この国のメロンパンの調査を ヴィスター:んな調査いらんわ!! ヴィスター:ふざけてる暇は無い。行くぞ レベッカ:……… ヴィスター:あ?どうかしたか? レベッカ:いえ、なんでもありません 0:フラムとララは町を歩く フラム:にしても、おかしいよな ララ:ん? フラム:白銀の髪で黒魔女ってなんなんだ?着てる服も別に黒くなかったぞ ララ:知らないわよ。エイムが覆われたら黒くなるとかそんな感じじゃない? フラム:ララ、意外と中二病なんだな ララ:うるっさいわね!! フラム:まあいいや、よそ者に口を出すほど俺は荒くれでは無いからな ララ:まあ、そうね メイナード:………くっ! メイナード:………はぁ…はぁ フラム:………っ!?メイナードさん!? ララ:…え!? フラム:お、おい!メイナードさんじゃねーか!なんだよその傷! メイナード:……はぁ…はぁ ララ:ど、どうしてメイナードさんがこんな傷だらけなの!? メイナード:あのガキはどこだ…… フラム:あのガキって…… メイナード:レベッカというガキはどこだって聞いてんだ!! フラム:レ、レベッカ…!? ララ:さっきの子のこと!? メイナード:……会ったのか…お前ら フラム:会ったも何も…さっきまでここに居たよ メイナード:……なんだと!? メイナード:お前ら、怪我はないか? フラム:……ないよ フラム:メイナードさん、あんたまさか、レベッカってやつにやられたのか? メイナード:黙ってろ。俺が必ずあいつを殺す! ララ:ちょっと、せめて治癒だけでも! メイナード:いらねー!! フラム:お、おい!メイナードさん! ララ:……嘘でしょ?メイナードさんがさっきの子に…? フラム:………冗談だろ? 0:10年前の事 ララ:フラムー。ねえねえ、見て見てー フラム:ん?なんだー?その格好 ララ:シスターよ。お母様のおさがり! フラム:ふーん。似合ってねーなー ララ:なんでそんなデリカシーのないことを言うの!! フラム:なんか服に着せられてるってこの事なんだなって ララ:呪い殺すわよ? フラム:そんな怒んなよ ララ:あ、それはそうと、クロエ見なかった? フラム:クロエならまた教会にいるだろ フラム:あいつシキア様の焼いたクッキーがすっかり気に入ったらしくてな フラム:いつもラウジェミールの周りをうろちょろしてるらしい ララ:全くあの子は。 メイナード:おい、フラム。 フラム:げっ!メイナードさん! メイナード:こんな所で何、油売ってんだ フラム:だ、だってララが俺を呼び止めるから! ララ:私のせいにしないでよ。私の格好ディスってきたくせに フラム:関係ねーだろ! メイナード:なんだフラム、こんな可愛い小娘を褒められねーなんて。男じゃねーぞ フラム:ほ、本音だし! メイナード:強がるな。たわけが メイナード:ララもこれから立派なシスターになってこの国を背負うことになるんだからな ララ:もちろんだよ! フラム:ララがシスターになれるのかー? ララ:バカにしないでよ!シスターになって、フラムに私のシスター姿が似合うって言わせてやるんだから! フラム:う、うるせー!ガキ! ララ:1個しか歳、変わらないでしょ! フラム:ガキはガキだろ〜 ララ:フラムだってバカでしょーが!べぇ〜だ! メイナード:そんな争いしてるお前らがガキだ メイナード:2人とも。真面目に訓練しろよ? フラム:は、はい! ララ:わかったわよ メイナード:今日もクロエが教会に来ている メイナード:あいつがまた泣かないように、お前らも様子見に行ってこい フラム:うん。わかった 0:そして現在 レベッカ:……… レベッカ:ラウ…ジェミール…… 0:レベッカはラウジェミールの前に立つ ヴィスター:おい、レベッカ。何をボッーとしてる レベッカ:はい。少し考え事を ヴィスター:この教会の中に入れば…全ての力が手に入る ヴィスター:いいか?中にはシスターとその護衛団がいる。そいつらを殺れ レベッカ:はい。ヴィスター様 メイナード:待ちやがれ。小僧ども ヴィスター:………!? メイナード:逃がさねえよ。縁事壊!(えんじかい) レベッカ:空(くう)の自我。ライベル メイナード:………っ!! ヴィスター:おいおい、なんでここがバレたんだ? メイナード:お前らの企んでることはわかってる メイナード:早くクロエを出しやがれ!! レベッカ:霧の刃。リンダルト メイナード:もうお前の攻撃は喰らわねー レベッカ:うっ! 0:メイナードはレベッカの顔を掴み持ち上げる メイナード:なあガキ。俺が誰かわかってないなら教えてやるよ ヴィスター:レ、レベッカ! レベッカ::……… メイナード:俺は世界最強の男。神の宿る国。アルニズムの護衛団長。メイナードだ!! メイナード:万国痛壊!(ばんこくつうかい) レベッカ:チル ヴィスター:う、うわーー!!レベッカが地面に埋もれたー!! レベッカ:ここに居ますよ ヴィスター:レベッカ!よかった メイナード:……ラウジェミールに何の用だ? ヴィスター:何の用だと?けっへへ!10年前の事を思い返してみろ ヴィスター:おめーら護衛団は何をしていた?この教会でクロエと神。何があったか知らねーんだろ? メイナード:知るわけがねー!あの日は教会に強い結界が張ってあった。とんでもないエイムをまとった結界は誰が張ったんだ!? ヴィスター:けっへっへっへ!わかるだろ。10年前のクロエは8歳だ ヴィスター:8歳にしてクロエが神とどういう関係になったか…わかるだろ? メイナード:……… ヴィスター:クロエはなぁ…… 0:10年前のこと ララ:フラム。この教会には3人の神がいるのは知ってる? フラム:ああ。それくらい知ってるぞ フラム:イザベラ。ダイナ。スローク。遠い昔、この国を初め、世界の平和を誓った3人の神だろ? ララ:そう。じゃあこの3人の中で裏切り者が現れた。それは誰? フラム:ダイナだろ? ララ:そう。だからイザベラとスロークは今でもダイナが悪さをしないように取り押さえてるの ララ:この国と、この世界が平和で居られるのもイザベラとスロークのおかげよ ララ:………でも、この関係って私たちみたいだよね フラム:……何がだ? ララ:ラウジェミール襲撃事件の日。クロエが、私たちを裏切ったからよ フラム:……… ララ:私にはわかる。神が2人になっているのが フラム:………じゃあクロエは、あんなに幼かったのに神を1人殺したってのかよ!? ララ:………違う。きっとそうじゃないと思う。神は絶対に殺せない。例えクロエが魔女であっても殺せないわ フラム:………じゃあ。どうして ララ:…………クロエは…神に取り憑かれたのよ 0:そして現在 メイナード:な、なんだ…と? ヴィスター:そうだ!クロエは神に取り憑かれてそのまま死んだんだ! メイナード:神が1人居なくなったことは聞いていたが…… ヴィスター:俺がこうやって神に取り憑かれたやつを手懐けてるのも俺がクロエと心を交わしたからさ ヴィスター:こうやってな 0:ヴィスターはレベッカに向かって十字架をかざす レベッカ:はい。ヴィスター様の仰せのままに メイナード:…………お、おい。お前がなぜその十字架を持ってる…? メイナード:……なぜレベッカが…… ヴィスター:あぁ?なんだよ。何か言いたそうだな メイナード:こ、このガキは……誰だ? ヴィスター:あぁ。こいつはレベッカだ。10年の眠りから解き放たれ ヴィスター:神に取り憑かれた小娘。そしてクロエの生まれ変わり ヴィスター:黒魔女のレベッカだよ メイナード:護樂倍損!(ごらくばいそん) レベッカ:空(くう)の自我。ライベル レベッカ:教会を壊すつもりですか? メイナード:黙れ!教会じゃねー!お前を殺すつもりだ! レベッカ:あなたに私は殺せませんよ メイナード:戯言(ざれごと)も大概にしろ!! ヴィスター:牙世琉(がぜる)!! メイナード:ぐっ!ぐはっ!! ヴィスター:ごちゃごちゃうるせーんだよ。てめえも俺が誰だかわかってんのか? ヴィスター:噛み殺されたくねーなら大人しく失せろ! メイナード:………くっ!! フラム:火流颯!(かりゅうそう) ヴィスター:あ、あっちー! フラム:お加減はどうでございやしょうか?変な犬 ヴィスター:て、てめぇは! ララ:メイナードさん!こっちに来て ララ:安らぎの…心得 メイナード:治癒の祈り…… ヴィスター:てめぇは…ラウジェミールのシスターじゃねーか ララ:………… メイナード:な、何しに来た…… フラム:メイナードさんを助けに来た メイナード:バカヤロー!お前じゃ足でまといだ フラム:なめてんじゃねーよ爺さんが。俺の活躍はメイナードさんだって見てくれてたろ? メイナード:………ふっ。興味ねーよ メイナード:ララ、ありがとう。もう大丈夫だ ララ:うん! フラム:ララは下がってろ、俺とメイナードさんがいれば無敵だ レベッカ:あなた達は、メロンパンをくれた恩があるので戦いたくありません フラム:なら大人しくしてもらおうか? メイナード:……… ヴィスター:レベッカ、いいからこいつらを殺れ! レベッカ:しかし ヴィスター:早くしろ! 0:ヴィスターはレベッカに十字架をかざす レベッカ:かしこまりました メイナード:フラム、気をつけろ。あいつは強い フラム:何言ってやがる、ガキじゃねーか メイナード:油断はするな。ただのガキじゃねーって言ってんだ フラム:まあ、メイナードさんがボロボロになるくらいだからな レベッカ:チル フラム:………っ! レベッカ:雷(らい)の通り魔。ウィルサンダー! フラム:ぐああああー!!! ララ:フラム!! フラム:…がはっ!な、なんだよ……この強力なエイム…… メイナード:言わんこっちゃないだろ ヴィスター:牙世琉!(がぜる) ララ:うぅ! フラム:ララ!? ヴィスター:けっへっへっへ!!痛てーかよ、久しぶりだなーラウジェミールのシスター ララ:………私に近づかないで フラム:火岸花!(ひがんばな) ヴィスター:けへっ!お前の技は随分エイムを消費しそうだな フラム:うるせー。その分の火力が高いからな フラム:それに、エイムが無くなったとしてもララが居る。俺はララの護衛をやってるけど、昔から俺とララは守って守られる関係だ ヴィスター:仲良しごっこねー。ご苦労なこった フラム:ごっこじゃねー。それくらい『絆』が深いってことだ レベッカ:………っ? ヴィスター:けへっ!お前らの絆なんかレベッカの前じゃ無意味だろ! ヴィスター:ところでお前、仲間だと思ってたクロエが今どこにいるかわかるか? フラム:………クロエ… ララ:……… フラム:どこにいるってんだよ。クロエは10年前に… ヴィスター:そこにいるだろ。まああいつはもう死んだがな レベッカ:火事の実(みのり)サザンカ! フラム:うぐっ!! フラム:どういう事だよ…レベッカが……クロエだって言いたいのか? ヴィスター:詳しいことはそこのシスターに…… ララ:ホーリースパーク!! ヴィスター:おっと!危ねーな! フラム:ララ…!? ヴィスター:まあそんな慌てるなよ。お前だって色々思うこともあるはずだ ヴィスター:ラウジェミール襲撃事件ではお前に世話になったからな フラム:………どういう事だ…ララ ララ:………フラムには関係ないでしょ フラム:関係あるだろ!あの襲撃事件でクロエと何があった!? ララ:何もない! ヴィスター:おいおい、仲間割れなんてやめてくれよ?お前らにそんな暇はないだろ? レベッカ:月の満ち欠けルナイト! フラム:ぐああ!! ララ:うわああ!! メイナード:フラム!ララ! メイナード:お前らよく聞け。信じ難いと思うがレベッカはクロエの生まれ変わりだ。 フラム:……な、なんだって!? ララ:……… メイナード:神に取り憑かれたあいつはもはやもうクロエではないんだ メイナード:ラウジェミール襲撃事件の日、クロエが神に何をしようとしたか、わかるよな? フラム:……クロエは…神を殺そうとした メイナード:そう、だからそれを取り押さえる為に神がクロエに取り憑いたと思いたいところだ メイナード:つまり、クロエにはイザベラかスローク。どちらかの神が取り憑いていることになる フラム:……… メイナード:しかし、ヴィスターが持っている十字架は神を従わせる効果がある メイナード:それによってレベッカはヴィスターの命令には逆らえないんだ フラム:つまり…… メイナード:ああ、ヴィスターの持ってる十字架を奪い フラム:クロエに取り憑いてる神をラウジェミールに還(かえ)し ララ:神を殺そうとしていたクロエを取り押さえる…… フラム:簡単な話だな ララ:……私は教会の中に居るわ フラム:ララ!?1人じゃ危ねぇよ ララ:私は大丈夫。とにかくメイナードさんとあの2人を倒して フラム:……… ララ:私はフラムを信じてるわ フラム:……ララ ララ:………私は神に祈るだけ。メイナードさんとフラムが生きて教会に入ってくることを信じてる ララ:私はシスターよ?祈ることくらいはさせて フラム:………わかったよ フラム:あとから俺も行く。そしたら俺とメイナードさんと3人で神に祈ろう ララ:またふざけたりしたら承知しないからね? フラム:そんなことはしねーさ メイナード:ああ、じゃあ約束だ ララ:命ある貴方に神の御加護があらんことを メイナード:行くぞ!! フラム:おう! ララ:……っ!! ヴィスター:おい!そこのシスター!どこに行く! フラム:ララは仕事に向かっただけだよ! フラム:口を閉じろ!犬! フラム:火蓮銃!(かれんじゅう) ヴィスター:あっちー!! メイナード:てめぇも大人しくしてな! レベッカ:………っ! メイナード:樹羅倍損!(じゅらばいそん) レベッカ:舞の壁。ヴィラルド レベッカ:う、受けきれない…! ヴィスター:レベッカ! フラム:おいおい、メイナードさん。この国まで壊すなよ? メイナード:手抜ける相手じゃねーだろ ヴィスター:砕牙禄!(さいがろく) フラム:火体乱!(ひていらん) ヴィスター:ぐはっ!なんだこいつの体…あちー! フラム:火力はマックスだ! メイナード:おい、レベッカ。お前に一つ聞きたいことがある レベッカ:………なんでしょうか? メイナード:お前に取り憑いた神は誰だ?何故レベッカという名前に変えた? レベッカ:わかりません。ですが、天から与えられた名前だと私は確信しています メイナード:天から?神から与えられたとでも言うのか? レベッカ:はい メイナード:3人の神にはレベッカなんていねーはずだ レベッカ:そんなこと、私に言われてもわかりません メイナード:話にならねーな レベッカ:申し訳ございません メイナード:……… レベッカ:私は神の十字架に従い続けるだけです メイナード:バカなことを…… メイナード:お前の本体はクロエだろうが メイナード:神を殺そうとしたお前が神に取り憑かれ、それでもなお破壊を目論(もくろ)むヴィスターに従うなんて…… ヴィスター:クロエは俺が見つけた最高の駒だからなー。手荒に扱うなよ? フラム:火炎斬!(かえんざん) ヴィスター:ぐはっ!! フラム:さっきから聞いてりゃ意味のわからねーこと言いやがって フラム:メイナードさん。クロエは神を殺そうとしたのかもしれないけど、本当にそうだと言い切れるか? メイナード:聖書に書き込まれていただろう。 メイナード:何者かが神を殺しに来たとな メイナード:あの教会の中にはララも居たはず メイナード:ララが神に取り憑かれてない段階でクロエが神を殺しに来たのは明白だろ! フラム:………そうだけど… ヴィスター:ベラベラ喋ってんじゃねーよ! ヴィスター:龍牙力!(りゅうがりょく) フラム:ぐあああ!! ヴィスター:お前らのその神を殺すとかどうとかは別にどうでもいいんだよ ヴィスター:俺はただ一つ。3人の神に取り憑かれたレベッカを生み出したいだけだ!! メイナード:紅蓮魔!!(ぐれんま) ヴィスター:さっきからボコボコうるせーなー ヴィスター:お前もレベッカもエイムが強すぎんだよ メイナード:その減らず口が鼻につくんだよ! フラム:……くっ。なあ…クロエ レベッカ:………私はクロエじゃありません フラム:だとしてもいい。お前はこの教会が好きだったろ レベッカ:そんな記憶ないです フラム:この教会を見ても何も思わないのか? レベッカ:思いません フラム:………そっか、じゃあお前は本当にクロエじゃないんだな… フラム:どう考えても俺はお前が神を殺すようなやつじゃないと思ってる フラム:けど……もうお前が戻らないのなら… フラム:力ずくでもお前を取り押さえてやるよ! フラム:炎装外鎧!(えんどれす) レベッカ:……… メイナード:なんだ……あの熱気は フラム:青火流颯!!(せいかりゅうそう) レベッカ:………チル フラム:………ちっ!その瞬間移動が厄介だ! フラム:おら!出てこい!俺はお前を…… フラム:うぐっ!!! メイナード:フ、フラム!! レベッカ:貫(かん)の剣(つるぎ)キルズブレイク フラム:がはぁぁーー!!! メイナード:フラム!! メイナード:てめぇ…… ヴィスター:けっへっへっへ!!腕が貫いたぞ!すげーエイムだ! フラム:………うっ メイナード:羅愚崩壊!!(らぐほうかい) レベッカ:チル メイナード:………うぐっ!! レベッカ:糸の舞。クロスビート! メイナード:………がはっ! フラム:メ…メイナードさん…… メイナード:………はぁ…はぁ…俺は大丈夫だ メイナード:フラム……教会に入れ フラム:………どうして メイナード:中にはララが居る。他のシスターも居るはずだ。治癒の祈りを受けてこい… フラム:で、でもメイナードさん… メイナード:俺は1人で戦う フラム:ふざけんな…俺も戦うよ メイナード:その傷で戦えるわけがねぇだろ! フラム:………な、なんで… メイナード:お前は世界最高峰の戦士だろ。ここでお前を死なせるわけにはいかねーんだ メイナード:ララと約束したはずだ。3人とも生きてまた神に祈りを捧げると フラム:………くっ!! 0:フラムは立ち上がる ヴィスター:おーい!どこに行くんだよ!死にかけのクソ戦士がよぉー!! ヴィスター:桜牙龍砕玩!!(おうがりゅうさいがん) メイナード:護樂倍損!!(ごらくばいそん) ヴィスター:うぐわあああーー!! メイナード:行け……!フラム!お前は生きろ フラム:……メイナードさん フラム:………あとは頼んだ… 0:フラムは教会の中にはいる ヴィスター:けへっ!逃がしたか ヴィスター:おい、レベッカ1人で精一杯だったジジイがよー。2対1で勝てるのかよ メイナード:ああ。上等だ ヴィスター:けっへっへっへ!!どこからそんな自信が湧くんだ?老いぼれたジジイが ヴィスター:世界最強の男がここで死ぬところをしっかり見てやるさ! ヴィスター:お前が死んだらこの国もこの教会も、さぞかし歴史が変わるんだろうな ヴィスター:とっとと消え失せろや。クソジジイ メイナード:……ふっ。この俺を殺したからって時代が変わるとでも思ってるのか? ヴィスター:お前のその傷が全てを物語ってるだろ。老いぼれがよ メイナード:そりゃ昔に比べりゃ俺も衰えたさ メイナード:だが、俺はまだ戦わなきゃならねえ メイナード:人ってのはな。誰かが誰かを憧れ、誰かが誰かを見下すもんだ メイナード:だがな、誰も俺の事は見下せねえんだ! ヴィスター:……っ!? メイナード:誰もが俺に憧れ、誰もが俺に怖気付く メイナード:そうやって生きてきた俺だから、誰にも負けた背中は見せられねえ! メイナード:時代にけじめなんて言うほど俺は落ちぶれちゃいねーよ メイナード:お前らみたいな外道にこの国の未来を変えさせはしねえー!! メイナード:さあかかってこい!!お前らには俺一人で十分だ!! ヴィスター:……くっ!!行くぞレベッカ! レベッカ:……… ヴィスター:な、何してる!?レベッカ! メイナード:獄樂倍損!!(ごくらくばいそん) ヴィスター:ぐあああああーー!!! ヴィスター:………あ…あぁ…レ、レベッカ…… ヴィスター:て、てめぇ…… メイナード:………はぁ…はぁ… レベッカ:………っ! ヴィスター:なんでまともに攻撃を受けた!レベッカ! ヴィスター:左腕が……ぶっ飛んでるじゃねーか! レベッカ:………私は…本当に。神に取り憑かれているのでしょうか…? ヴィスター:ああ!?当たり前だろ…! レベッカ:彼らは……何故、怒りを鎮(しず)められないままなのでしょうか? ヴィスター:し、知るか! レベッカ:私の望むものは……本当にこれで良いのでしょうか? ヴィスター:俺の言うことを聞け!早くあいつを殺せ!! 0:ヴィスターはレベッカに十字架をかざす レベッカ:かしこまりました レベッカ:チル メイナード:………っ! レベッカ:風(ふう)の槍。ウィンドランス! メイナード:ぐっ!! ヴィスター:牙世琉!(がぜる) メイナード:ぐはっ!! ヴィスター:くっそ!!早く死にやがれ! メイナード:……バカが…俺はこの教会がある限り死なねーよ! メイナード:慈閻魔!!(じえんま) ヴィスター:がはっー!!! ヴィスター:お、おいレベッカ!早くこいつを殺れ! レベッカ:………メイナード様…クロエという人は…どんな人だったのでしょうか? メイナード:クロエは幼い頃からこの教会が好きだったんだ メイナード:俺だって疑いたくは無い。あいつは純粋で、人々からも好かれていた レベッカ:……… メイナード:だから……俺だって信じてやりたいんだよ…クロエを メイナード:でも……あの事件で、なぜクロエは神を殺そうとしたんだ…… レベッカ:……… メイナード:俺は何を…誰を信じたらいいんだ…… ヴィスター:殺せーー!! レベッカ:………っ! レベッカ:光の剣(つるぎ)アルテミス! メイナード:ぐ……がはっ!! ヴィスター:死ね!!クソジジイ!! 0:メイナードは倒れる レベッカ:……… メイナード:………なあ…レベッカ ヴィスター:!?なんでまだ生きてんだよ! メイナード:聞こえるか…レベッカ レベッカ:………はい メイナード:フラムとララ、そしてクロエはこの教会で出会ったんだ メイナード:俺はいつも3人を見ていた レベッカ:………… メイナード:強く…固く結ばれた『絆』にも見えた レベッカ:……絆…? メイナード:それをクロエが壊してしまったんだ。神を殺そうと、この教会の十字架を持って神をこの世に引きずり込んでしまった メイナード:なあ…レベッカ……答えてくれ レベッカ:………はい メイナード:お前は記憶がない。だから何も知らないのか? レベッカ:………わかりません レベッカ:クロエという人が何者だったのか…わかりません メイナード:………ならいい。この先…俺が望む未来はこうだ。よかったらあいつらに伝えといてくれ… メイナード:フラム、ララ、クロエ。俺はお前ら3人のそばに居る メイナード:お前らが怖がってたジジイはずっとお前らの『絆』をいつまでも見守っている メイナード:………お前たちを…愛してる……と 0:メイナードはそっと目を閉じた レベッカ:…………かしこまりました ヴィスター:け…けっへっへっ!やっと死にやがった! レベッカ:………ヴィスター様 ヴィスター:ああん!?ごちゃごちゃ言うな。教会に入るぞ レベッカ:私は…神に会わなければいけません ヴィスター:ああそうだな!残りの神をお前に取り憑かせるためだ! レベッカ:………いえ、私は……『絆』が気になるのです レベッカ:フラム様と…ララ様……そしてクロエという人物……3人の『絆』が……気になるのです レベッカ:私は本当はここに居るべき存在ではないと、そう考えております ヴィスター:バカか!何が絆だ!気持ち悪い! レベッカ:……… ヴィスター:そんなのお前らが勝手に決めつけた綺麗事に過ぎないだろ。『絆』なんて反吐が出るわ! レベッカ:……天(てん)の瞬き…クラウドライフ ヴィスター:うがっ!!……お、おい……何を レベッカ:………… ヴィスター:て、てめぇ……何故俺を…… レベッカ:『絆』を……貶(けな)すことは…許しません ヴィスター:ふざけんな!十字架……レベッカ…俺に治癒魔…… レベッカ:チル ヴィスター:ぐわああぁぁーー!! 0:ヴィスターはレベッカに瞬間移動の魔法を掛けられる レベッカ:どうして……どうして私は…人が悲しんでも、悲しくなれないのですか……? 0:ラウジェミール中では フラム:………くっ フラム:ララ…ララは居るか? フラム:………っ!?なんでみんな倒れてるんだ? フラム:ララ!無事なのか!?ララー! ララ:………フラム フラム:ララ!よかった……みんなは!?なんでみんな倒れてるんだよ!? ララ:………酷い傷 フラム:そうだ…メイナードさんが1人で戦ってる…!だから頼む。治癒の祈りをかけてくれ! ララ:………わかった。でもその前に…フラム。昔の話しましょ? フラム:………ん? ララ:私は10年前に病気のお母様を亡くした フラム:………ああ、そうだな ララ:ラウジェミールのシスターだったからこそ。神に祈った ララ:何度も…何度も神に祈り続けた ララ:私にははっきり聞こえたわ。神のお告げが フラム:………? ララ:あなたのお母様は、私達が必ず救い出す ララ:祈り続けた私に救いの手が差し伸べられた ララ:けど、フラムも知っての通り、私のお母様はすぐに亡くなったの ララ:何のためのお告げだったの?救い出すってなに? ララ:神は私に嘘をついたの?毎日神を守り続けたお母様を…助けてくれなかったの? フラム:………ララ? ララ:だからね、フラム。私はラウジェミール襲撃事件の日。この教会に居たの ララ:クロエと、ヴィスターと。この教会の神と一緒にね フラム:………その日……教会で何があったんだ? フラム:教えてくれ!さっきだって誤魔化してたろ!? フラム:……ララ…お前…まさか ララ:神は居なくなるべきよ。 フラム:おい……この教会に居たシスター達が倒れてる!これをやったのも…… ララ:私よ フラム:……… ララ:10年前、神を殺そうとしたのはクロエじゃない…… ララ:神を殺そうとしたのは……私だよ フラム:……なんでだよ!!お前だって!この教会をずっと守り続けてきただろ! ララ:ええそうね。私はこの教会を守り続けてきた。その義務がある。私は色んな人に守られてるからね。フラム、メイナードさん。そして ララ:……クロエにも フラム:………じゃあ、10年前のあの時…クロエは何をしたんだ? ララ:……… フラム:……お願いだよ…ララ。正直に話してくれ フラム:言ってくれたろ?ララは俺を信じてくれるって。だから俺もララを信じるよ ララ:信じたところで、私は裏切り者よ。この神でいう、ダイナと同じ ララ:だからクロエは私を庇ったの。これも悪さをしたダイナを取り押さえる、イザベラとスロークと同じようにね フラム:お前は裏切り者じゃねーよ! ララ:裏切ったのよ!フラムの事も!クロエの事も! フラム:そうだけど!俺はお前を信じてる! ララ:何を今更! フラム:俺はお前を好いてるからだ!! ララ:……っ! フラム:………それ以上の理由なんているか? ララ:………何…?私はあんたの事…好いてなんて フラム:お前は俺を好いてなくていいよ。俺が一方的なんだからさ ララ:私は……それでも……ずっとフラムを騙してきた フラム:どんなララでも受け入れるさ ララ:………うっ…うぅ…… ララ:神を殺そうとした私を…クロエは止めてくれた。そして、クロエは私を庇ってくれたの ララ:その時に…ヴィスターが後ろからやって来て…十字架を奪い、神に命令したのよ ララ:全ての力をこの娘に捧げろって ララ:そこに現れたのがクロエだったの。クロエは私の代わりに神に取り憑かれ、そして長い眠りについて起きなかった。 ララ:だから私は…クロエが居なくなったことをいい事に、クロエが神を殺そうとしたって罪をなすりつけたのよ ララ:最低でしょ?私は嘘だらけのシスターよ。 フラム:そうだな…。でももういいじゃねーか。全部話してくれたんだ。 フラム:それを聞いた上で俺はお前を好いているんだから ララ:……どうして…私を庇うのよ……どうして私を好くのよ…… フラム:お前のシスター姿が…似合ってるからだよ ララ:………ふざけないで フラム:………メイナードさん…あんたは生きてんのか? 0:教会の扉が開く ララ:……誰? レベッカ:……… フラム:………レベッカ… ララ:………メイナードさんは? レベッカ:………… フラム:………そうだよな…お前が来るってことは…そういう事だよな… ララ:……メイナードさん レベッカ:彼の最後の言葉はこうでした。3人の『絆』を見守っている レベッカ:あなたたちを…愛してる…… フラム:………そっか。メイナードさん……死んだのか… ララ:………フラム…私は生きてる意味はあるの? フラム:……何を急に ララ:ううん。最初からそのつもりだった。私は生きてても神に救われない フラム:ララ……神に頼るんじゃなくてさ…俺に頼ってくれよ ララ:……フラム…… フラム:俺はお前がいてくれればそれでいい ララ:………私だって…フラムの隣に居たいわよ フラム:じゃあ、お前が生きたいなら…俺も共に生きる ララ:……いいえ、私の懺悔(ざんげ)は生きていても報われない。神とお母様。そして…クロエにも。生きてる私として合わせる顔がないわ ララ:共に逝きませんか?私の護衛をして下さる、フラム様 フラム:………ああ、ララの望む事なら何なりと。 フラム:俺はシスターララをお守りする戦士。だから死ぬ時も一緒だ ララ:……ありがとう。フラム。……最後に言わせて ララ:こんな私を好いてくれてありがとう……私も、あなたを愛してます 0:ララは口に薬液を含み フラム:……俺もだよ。シスターララを愛してる 0:フラムとララは口付けをする フラム:(ララ…こうやって口付けをするのは初めてだな) ララ:(フラムの暖かさが唇を通して感じる) フラム:(ララのシスター姿は…初めて見た時から可愛かったぞ) ララ:(あなたに認められるシスターに私はなれたのかな?) フラム:(ララ……俺はお前を愛してる) ララ:(フラム……私を好いてくれてありがとう) フラム:(共に天まで逝こう) ララ:(あなたと一緒なら…どこまでも) レベッカ:………これは…毒… レベッカ:……あなた達は…『絆』があったのですね レベッカ:あなた達は…メロンパンをくれたとってもいい人たちです… レベッカ:……私には……何が残ってるのでしょうか? レベッカ:……私は本当に神に取り憑かれていたのでしょうか? レベッカ:そこに居るのならば教えてください レベッカ:私は…何者なんですか? レベッカ:私は…私は…… :クロエ兼役【レベッカ】 10年前のこと メイナード:クロエ、おい、クロエ クロエ:……メイナード様… メイナード:こんなところで昼寝なんてするな ララ:風邪引くわよ?クロエ クロエ:………ララ様……ここは? メイナード:あぁ?ここはラウジェミールだぞ。お前、シキアからもらったクッキー食ってすぐ寝たな クロエ:………あ、そっか、私、寝ちゃったんですね ララ:あ、毛布掛けといたけど、眠いならそのまま掛けてな? クロエ:ありがとうございます フラム:あ、居た居た、クロエ、また寝てたのか? ララ:あら、フラムじゃない クロエ:フラム様…おはようございます フラム:クッキーじゃ物足りないと思ってな、メロンパン買ってきたぞー! クロエ:わぁ〜!美味しそう! メイナード:フラム、クロエを甘やかすなよ フラム:ええー?いいじゃんかよ。まだガキだぜ? メイナード:おめーもまだガキだ! フラム:うっ。うるせージジイだ メイナード:聞こえてるぞ? ララ:私のぶんは? フラム:お前のぶんはねぇよ ララ:はあ!?なんで!? フラム:逆になんでだよ!自分で買え! クロエ:……ふっ。ふふっ。 フラム:なんだよクロエ。何笑ってんだ? クロエ:面白かったら笑ってはいけないのですか? フラム:いいだろ!感情は表に出してけ?それが生きてるってもんだ クロエ:そうなんですね…わかりました 0:ラウジェミール襲撃事件の日 ヴィスター:オラオラ!お前ら金を出せー!! メイナード:誰だお前ら!さっさと消え失せろ! メイナード:護樂倍損!!(ごらくばいそん) ヴィスター:ぐわああぁぁーー!!な、なんだてめぇ! メイナード:てめぇこそ誰だ!? ヴィスター:俺はこの国の神を奪いに来たヴィスター様だ! メイナード:ふざけるな! ララ:だ、誰?あの人 フラム:わからねぇ。仮面も被ってるし、ただのチンピラだろ?メイナードさんに任せようぜ ララ:………教会に入っていった… ヴィスター:けへっ!さすがに教会の中に入ればあいつも攻撃出来ねーだろ クロエ:………あなたは? ヴィスター:あぁ!?何だこのガキ クロエ:この教会に…何の用ですか! ヴィスター:うるせーんだよ!俺は今むしゃくしゃしてんだ!どけ! クロエ:うわー! ララ:クロエ…… クロエ:……ララ様?どうしてあなたがここに? ララ:……私は…神に祈りを捧げに来たわ ヴィスター:おらおら!他のシスター達は逃げたぞ?そこのガキどもも逃げちまえ! ララ:逃げるわけないでしょ クロエ:……ララ様…その十字架…… ララ:命をお守りする神よ…あなたに、私の心を捧げます… ララ:どうか…神に命を捧げる私に…神の命を経つことをお祈り下さい クロエ:な、何をしてるんですか!ララ様! ヴィスター:この女!!神を殺そうとしてんのか!? ヴィスター:牙世琉!(がぜる) ララ:うわぁぁー!!! クロエ:……っ!十字架が… ヴィスター:この十字架が鍵なんだな? ヴィスター:もらったぞ十字架! ララ:な…何を! ヴィスター:お前が生贄になれ。バカ女 ヴィスター:神よ!この娘の魂に取り憑き、娘に全ての力を捧げろ! クロエ:やめてください! ヴィスター:なっ!離せ! ララ:クロエ!? クロエ:ララ様は逃げてください! ヴィスター:何だこのエイムは!?どうなってやがる! メイナード:お、おい!クロエ!ララ!この結界はどうなってる!?開けろ! ララ:……メイナードさん!? メイナード:なんなんだよこのエイムは…… クロエ:ララ様!早く! ララ:……クロエ…どうして! クロエ:私はあなた達と一緒に居たいからです! クロエ:私とフラム様、ララ様と3人で、一つの『絆』で居たいのです! ララ:そんなことしたら! ヴィスター:おい!神!もういい!この女に取り憑け!! ララ:クロエ!! クロエ:うわあああーー!!! 0:そして…現在 0:白銀の髪の少女は黒の髪に戻る クロエ:……フラム様? フラム:……… クロエ:………ララ様? ララ:……… クロエ:………メイナード様!? メイナード:………… クロエ:………『絆』なんて……どこにもありません :スローク兼役【フラム】 :ダイナ兼役【ララ】 スローク:おーい。聞こえてるかー? ダイナ:あんたいつまで寝てんのよ レベッカ:………? スローク:あ、やっと起きた レベッカ:………え? スローク:僕たちは、君を待っていたよ ダイナ:おかえりなさい レベッカ:……あなた達は? スローク:僕たちは…ラウジェミールに宿る神。スローク ダイナ:そして私がダイナよ。本当に取り憑いていたのね。あんた レベッカ:……何が、どうなって… スローク:見てわかるだろ?君はクロエさんに取り憑いていたんだ ダイナ:あんなに幼かった魔女が、白銀の髪になってたなんてね レベッカ:私は……誰なんですか? スローク:君の名前は、イザベラだ レベッカ:イザベラ…… レベッカ:あなた達は…仲間割れをしたと聞いてます スローク:仲間割れ?どうして僕達が仲間割れをしなきゃいけないんだ ダイナ:まあ、揉めたことには変わりないわね レベッカ:……なら、どうして… スローク:僕達は、何があっても人々を許す事が僕達にとっての幸福なんだ スローク:確かにダイナは過ちを犯した。絶対にあってはならない。教会での殺戮(さつりく)を。 ダイナ:許される行為では無い。でも、私は人々から許され、イザベラ、あんたからも許された レベッカ:私は……あなたを許したのですか? ダイナ:そうよ。ありがとね スローク:許されぬ一度の過ちならば僕達が地に這いつくばってでももう一度立ち上がらせるんだよ スローク:それが我ら神に与えられた一つの試練。感情を無にして人を許す事さ レベッカ:………感情を? ダイナ:人が亡くなっても大切な誰かが殺されても、怒りや悲しみの感情を無くすことよ レベッカ:………だから、私は悲しむことが出来なかったのですね ダイナ:そうね。現代では、イザベラ。あんたとスロークが私を取り押さえてるという話になってるけど、それも間違いよ レベッカ:………え? スローク:僕もイザベラも、ダイナを支えているんだ レベッカ:……私もダイナ様を支えている? スローク:またどこかでダイナが挫けないように、3人で支えている。君もそうだよ。イザベラ ダイナ:あんたはいつもドジだから取り憑く神に選ばれちゃったのよ。ばかね、ほんと スローク:でも、君の帰りを待っていたよ レベッカ:………私の居場所はどこなの? ダイナ:あんたの居場所はここだよ スローク:君がいなきゃ僕達は国を守れない。一人でも欠けたらダメなんだよ ダイナ:そう。だから私たちは、クロエに取り憑いたあんたに、こう名乗れと天から声を送ったわ レベッカ:……そうだ、私はあの時、天から声が聞こえたんだ… レベッカ:どこかで聞いた言葉…とても暖かい気持ちになれるその言葉をこの旨に スローク:いつでもどこでも、3人で支え合えるその言葉をこの旨に ダイナ:古代から、使われる『絆』という意味を持ったその言葉をこの旨に レベッカ:その言葉は……レベッカ

フラム:レベッカ。それは悲しみと孤独を背負った一人の少女 ララ:レベッカ。それは過去の自分に苦しめられた黒い少女 メイナード:レベッカ。それは世界を破壊する程の力を持った悪しき少女 ヴィスター:レベッカ。それは命を平和のために捧げた哀れな少女 レベッカ:レベッカ。私は記憶のない少女。黒魔女のレベッカ 0:世界平和を謳う国。アルニズム。 0:神の宿る教会。ラウジェミールにて ララ:神よ…憎しみのある所に愛を。いさかいのあるところに許しを ララ:私たちは、人々の平和の為に命を捧げます。人々を許し、人々を愛します。なので…… ララ:私たちのこの願いを強めてください ララ:世界平和を、我が旨に ララ:………… 0:ララは両手で祈り、ゆっくり目を閉じる フラム:うわっはー!ララー!元気かー!? ララ:……… フラム:また今日も祈ってんのかよー!俺も祈ろーっと。ア〜〜〜〜メン! :ボコー! フラム:いたー!! ララ:神よ…私の罪を許してください。こいつ、ぶっ殺しとくので ララ:ちょっと来なさい! フラム:えー!なんで!? 0:ララとフラムは教会の裏に行く ララ:バカなの!? フラム:はあ!?この世界最高峰の戦士がバカなわけねーだろ! ララ:いいや、あんたは正真正銘のバカよ! フラム:どこがだよ!心当たりはないぞ! ララ:そういう所よ!自覚のないバカが本物のバカなの! フラム:バカバカ言いやがって!神に怒られて焼かれろ! ララ:焼かれるのはあんたの方よ!教会であんなふざけて、許せない! フラム:はあ。ちぇー。なんだよ。ララのシスター姿を今日も拝みに来たっていうのによー ララ:な、何言ってんのよ!ふざけないで フラム:大真面目だよ。昔からお前は祈りを乞うことが好きだったもんな。 ララ:もう。バカにしてるの?…そうね。フラムは昔からこの教会を守るために訓練を続けてきたもんね フラム:そうだぞー!このラウジェミールは俺が居たから平和なんだぞー! フラム:それをバカだのアホだのクソだの言うな! ララ:そこまでは言ってないでしょ ララ:はあ。でも、昔の話はやめましょ? フラム:……まだあいつのこと引きずってるのか? ララ:当たり前でしょ フラム:あいつはそんな悪い奴には見えなかったけどなー フラム:なあ、あの日、ラウジェミールが襲撃された時、一体クロエと何が ララ:(遮る)あいつの名前は呼ばないで フラム:………わかったよ。ラウジェミールのシスターがその感情になるのもよくわかんねーけど、何かあったんだよな? ララ:そうよ。私はあの日のこと……絶対に忘れないんだから ララ:神に誓っても、私はあいつを許さない 0:とある街にて メイナード:はあ…はあ… ヴィスター:はあ…はあ…てめえ。しつけーんだよ メイナード:しつけーのはどっちだ。俺が来たからには白状してもらうぞ。死にたくないならな ヴィスター:俺に何の用だって聞いてんだよ!いきなり襲ってきやがって! メイナード:クロエはどこにいる? ヴィスター:クロエ?……ああ、あいつはもう ヴィスター:死んだよ メイナード:……ふざけんな! レベッカ:興(きょう)の光。サイリウム メイナード:うっ!! メイナード:がはー!!め、目が… ヴィスター:けっへっへっへ!お目覚めだな ヴィスター:おはよう、レベッカ メイナード:……レベッカ? レベッカ:おはようございます。ヴィスター様 ヴィスター:今日はやけに早起きだな。レベッカ メイナード:……何者だ レベッカ:あなたの方こそ何者ですか? レベッカ:その大きな剣を下ろしてください メイナード:誰に口聞いてんだ?クソガキが レベッカ:あなたのこと、誰か知りませんから メイナード:ふざけんなよ…… メイナード:護樂倍損!(ごらくばいそん) 0:メイナードは背中に背負った大剣を振り下ろす レベッカ:っ! メイナード:ちっ。避けたか ヴィスター:な、なんだこの破壊力!斬撃だけで街が粉々じゃないか! ヴィスター:おい、ジジイ。無駄な争いはやめねーか? ヴィスター:世界最強の男がこんな所で街を壊し回るなんて横暴にも程がある! メイナード:なら、クロエを出せ ヴィスター:クロエなら死んだと言っただろ? メイナード:あいつは生きてる!そして俺はあいつを殺さねばならない ヴィスター:仮にそうだとしたら、いくらお前でもあいつを取り押さえる事なんて出来ないだろ メイナード:黙れ…俺は…… レベッカ:糸の舞。クロスビート! メイナード:ぐっ!! メイナード:このガキ……本当に何者だ? レベッカ:白の美麗(びれい)フィオレビアンコ! メイナード:くっ! メイナード:天天羅栖!(あまてらす) レベッカ:チル メイナード:………!? メイナード:瞬間移動…… レベッカ:火事の実(みのり)サザンカ! メイナード:うっ!! メイナード:その火力……お前、名前を言え! レベッカ:私ですか? レベッカ:私の名前は…… レベッカ:黒魔女のレベッカ メイナード:黒魔女だと?その白銀の髪でなぜ黒を名乗る? レベッカ:あなたには関係ありません レベッカ:私の干渉は遠慮してください 0: フラム:ララ、知ってるか?今日、アルニズムは設立200年の歴史を刻んだらしい ララ:そうなのね フラム:ラウジェミールのシスターなら知ってるだろ? ララ:知らないわよ フラム:お前どうやってシスターの試験受かったんだよ!ラウジェミールの護衛試験でも出てたぞ! ララ:勘で全部当てたわよ! フラム:誇らしげにすんな! ララ:受かればこっちのもんなのよー! フラム:全く、真面目なんだか不真面目なんだか ララ:技術があるから大丈夫 フラム:お前も大概バカだな レベッカ:……… フラム:ん? フラム:白銀の髪……この国の人じゃなさそうだな レベッカ:あ、すみません レベッカ:メロンパンひとつ下さい フラム:は、はあ? レベッカ:メロンパンひとつ フラム:おいおい、俺たちはパン屋じゃないぞ? レベッカ:……え? レベッカ:……メロンパン…ないですか? レベッカ:………うっ…うぅ〜〜〜! ララ:え、ええー!なんで泣くの? レベッカ:この国に行けばメロンパンが食べられると思ってたんです〜! フラム:無表情で泣くなよ。メロンパンならパン屋で買えよ レベッカ:パン屋… フラム:ほら、ここにあるだろ? レベッカ:…ん〜〜小麦のいい匂い〜 0:レベッカはパン屋の前に立つ レベッカ:メロンパンひとつ下さい レベッカ:……え?お金ないと買えないですか? レベッカ:お金…持ってないです レベッカ:売れない……?……うっ…うぅ〜〜〜! レベッカ:メロンパン食べられないですか〜? ララ:また泣いちゃった レベッカ:メロンパン食べたかったんですよ〜どうしてお金がないとメロンパンが食べられないんですか? フラム:当たり前だろ!金ねーやつは食うな! レベッカ:あんまりです〜! ララ:はいはい、わかったわよ。メロンパン3つ レベッカ:……え? ララ:買ってあげるわよ レベッカ:いいんですか? ララ:うん、全然いいよ。私もお金持ってないからフラムが払うけど フラム:俺が払うのかよ!しかも3人分! 0:近くのベンチに座る3人 レベッカ:あーん レベッカ:ん〜おいしいです〜! ララ:よかった フラム:さっきから表情が分かんねーな レベッカ:そ、その…お名前は ララ:ララよ レベッカ:ありがとうございます。ララ様 ララ:いいわよ フラム:ちょっと待て、金払ったのは俺だぞ? レベッカ:一応あなたの名前も聞いときます フラム:一応ってなんだよ!くそっ!覚えておけ。俺はフラム。世界最高峰の戦士だ レベッカ:フラム様。うるさいお方で覚えておきます フラム:焼くぞ!このやろー! ララ:あなたはどこから来たの? レベッカ:私は生まれも育ちもわかりません ララ:どういうこと? レベッカ:どういうこと?どういうことでしょう? ララ:……え? レベッカ:私にもわからないんです。私がなんなのか ララ:……何よそれ レベッカ:メロンパン。美味しかったです フラム:おい レベッカ:……? フラム:お前の名前は? レベッカ:私は…黒魔女のレベッカ フラム:………黒魔女? レベッカ:じゃあ、私はもう行きますね。ありがとうございました。 フラム:お、おい! レベッカ:チル フラム:……消えた? ララ:瞬間移動ってこと? フラム:不気味なやつだったな ララ:………不気味かしら? フラム:ん? ララ:………なんか、見覚えがあるような フラム:……見覚え? レベッカ:ヴィスター様、お待たせしました ヴィスター:おい!遅かったじゃないかレベッカ!どこで何をしていた!? レベッカ:調査をしていました ヴィスター:思い切りパンのカスが口に付いてるわ! レベッカ:はい。この国のメロンパンの調査を ヴィスター:んな調査いらんわ!! ヴィスター:ふざけてる暇は無い。行くぞ レベッカ:……… ヴィスター:あ?どうかしたか? レベッカ:いえ、なんでもありません 0:フラムとララは町を歩く フラム:にしても、おかしいよな ララ:ん? フラム:白銀の髪で黒魔女ってなんなんだ?着てる服も別に黒くなかったぞ ララ:知らないわよ。エイムが覆われたら黒くなるとかそんな感じじゃない? フラム:ララ、意外と中二病なんだな ララ:うるっさいわね!! フラム:まあいいや、よそ者に口を出すほど俺は荒くれでは無いからな ララ:まあ、そうね メイナード:………くっ! メイナード:………はぁ…はぁ フラム:………っ!?メイナードさん!? ララ:…え!? フラム:お、おい!メイナードさんじゃねーか!なんだよその傷! メイナード:……はぁ…はぁ ララ:ど、どうしてメイナードさんがこんな傷だらけなの!? メイナード:あのガキはどこだ…… フラム:あのガキって…… メイナード:レベッカというガキはどこだって聞いてんだ!! フラム:レ、レベッカ…!? ララ:さっきの子のこと!? メイナード:……会ったのか…お前ら フラム:会ったも何も…さっきまでここに居たよ メイナード:……なんだと!? メイナード:お前ら、怪我はないか? フラム:……ないよ フラム:メイナードさん、あんたまさか、レベッカってやつにやられたのか? メイナード:黙ってろ。俺が必ずあいつを殺す! ララ:ちょっと、せめて治癒だけでも! メイナード:いらねー!! フラム:お、おい!メイナードさん! ララ:……嘘でしょ?メイナードさんがさっきの子に…? フラム:………冗談だろ? 0:10年前の事 ララ:フラムー。ねえねえ、見て見てー フラム:ん?なんだー?その格好 ララ:シスターよ。お母様のおさがり! フラム:ふーん。似合ってねーなー ララ:なんでそんなデリカシーのないことを言うの!! フラム:なんか服に着せられてるってこの事なんだなって ララ:呪い殺すわよ? フラム:そんな怒んなよ ララ:あ、それはそうと、クロエ見なかった? フラム:クロエならまた教会にいるだろ フラム:あいつシキア様の焼いたクッキーがすっかり気に入ったらしくてな フラム:いつもラウジェミールの周りをうろちょろしてるらしい ララ:全くあの子は。 メイナード:おい、フラム。 フラム:げっ!メイナードさん! メイナード:こんな所で何、油売ってんだ フラム:だ、だってララが俺を呼び止めるから! ララ:私のせいにしないでよ。私の格好ディスってきたくせに フラム:関係ねーだろ! メイナード:なんだフラム、こんな可愛い小娘を褒められねーなんて。男じゃねーぞ フラム:ほ、本音だし! メイナード:強がるな。たわけが メイナード:ララもこれから立派なシスターになってこの国を背負うことになるんだからな ララ:もちろんだよ! フラム:ララがシスターになれるのかー? ララ:バカにしないでよ!シスターになって、フラムに私のシスター姿が似合うって言わせてやるんだから! フラム:う、うるせー!ガキ! ララ:1個しか歳、変わらないでしょ! フラム:ガキはガキだろ〜 ララ:フラムだってバカでしょーが!べぇ〜だ! メイナード:そんな争いしてるお前らがガキだ メイナード:2人とも。真面目に訓練しろよ? フラム:は、はい! ララ:わかったわよ メイナード:今日もクロエが教会に来ている メイナード:あいつがまた泣かないように、お前らも様子見に行ってこい フラム:うん。わかった 0:そして現在 レベッカ:……… レベッカ:ラウ…ジェミール…… 0:レベッカはラウジェミールの前に立つ ヴィスター:おい、レベッカ。何をボッーとしてる レベッカ:はい。少し考え事を ヴィスター:この教会の中に入れば…全ての力が手に入る ヴィスター:いいか?中にはシスターとその護衛団がいる。そいつらを殺れ レベッカ:はい。ヴィスター様 メイナード:待ちやがれ。小僧ども ヴィスター:………!? メイナード:逃がさねえよ。縁事壊!(えんじかい) レベッカ:空(くう)の自我。ライベル メイナード:………っ!! ヴィスター:おいおい、なんでここがバレたんだ? メイナード:お前らの企んでることはわかってる メイナード:早くクロエを出しやがれ!! レベッカ:霧の刃。リンダルト メイナード:もうお前の攻撃は喰らわねー レベッカ:うっ! 0:メイナードはレベッカの顔を掴み持ち上げる メイナード:なあガキ。俺が誰かわかってないなら教えてやるよ ヴィスター:レ、レベッカ! レベッカ::……… メイナード:俺は世界最強の男。神の宿る国。アルニズムの護衛団長。メイナードだ!! メイナード:万国痛壊!(ばんこくつうかい) レベッカ:チル ヴィスター:う、うわーー!!レベッカが地面に埋もれたー!! レベッカ:ここに居ますよ ヴィスター:レベッカ!よかった メイナード:……ラウジェミールに何の用だ? ヴィスター:何の用だと?けっへへ!10年前の事を思い返してみろ ヴィスター:おめーら護衛団は何をしていた?この教会でクロエと神。何があったか知らねーんだろ? メイナード:知るわけがねー!あの日は教会に強い結界が張ってあった。とんでもないエイムをまとった結界は誰が張ったんだ!? ヴィスター:けっへっへっへ!わかるだろ。10年前のクロエは8歳だ ヴィスター:8歳にしてクロエが神とどういう関係になったか…わかるだろ? メイナード:……… ヴィスター:クロエはなぁ…… 0:10年前のこと ララ:フラム。この教会には3人の神がいるのは知ってる? フラム:ああ。それくらい知ってるぞ フラム:イザベラ。ダイナ。スローク。遠い昔、この国を初め、世界の平和を誓った3人の神だろ? ララ:そう。じゃあこの3人の中で裏切り者が現れた。それは誰? フラム:ダイナだろ? ララ:そう。だからイザベラとスロークは今でもダイナが悪さをしないように取り押さえてるの ララ:この国と、この世界が平和で居られるのもイザベラとスロークのおかげよ ララ:………でも、この関係って私たちみたいだよね フラム:……何がだ? ララ:ラウジェミール襲撃事件の日。クロエが、私たちを裏切ったからよ フラム:……… ララ:私にはわかる。神が2人になっているのが フラム:………じゃあクロエは、あんなに幼かったのに神を1人殺したってのかよ!? ララ:………違う。きっとそうじゃないと思う。神は絶対に殺せない。例えクロエが魔女であっても殺せないわ フラム:………じゃあ。どうして ララ:…………クロエは…神に取り憑かれたのよ 0:そして現在 メイナード:な、なんだ…と? ヴィスター:そうだ!クロエは神に取り憑かれてそのまま死んだんだ! メイナード:神が1人居なくなったことは聞いていたが…… ヴィスター:俺がこうやって神に取り憑かれたやつを手懐けてるのも俺がクロエと心を交わしたからさ ヴィスター:こうやってな 0:ヴィスターはレベッカに向かって十字架をかざす レベッカ:はい。ヴィスター様の仰せのままに メイナード:…………お、おい。お前がなぜその十字架を持ってる…? メイナード:……なぜレベッカが…… ヴィスター:あぁ?なんだよ。何か言いたそうだな メイナード:こ、このガキは……誰だ? ヴィスター:あぁ。こいつはレベッカだ。10年の眠りから解き放たれ ヴィスター:神に取り憑かれた小娘。そしてクロエの生まれ変わり ヴィスター:黒魔女のレベッカだよ メイナード:護樂倍損!(ごらくばいそん) レベッカ:空(くう)の自我。ライベル レベッカ:教会を壊すつもりですか? メイナード:黙れ!教会じゃねー!お前を殺すつもりだ! レベッカ:あなたに私は殺せませんよ メイナード:戯言(ざれごと)も大概にしろ!! ヴィスター:牙世琉(がぜる)!! メイナード:ぐっ!ぐはっ!! ヴィスター:ごちゃごちゃうるせーんだよ。てめえも俺が誰だかわかってんのか? ヴィスター:噛み殺されたくねーなら大人しく失せろ! メイナード:………くっ!! フラム:火流颯!(かりゅうそう) ヴィスター:あ、あっちー! フラム:お加減はどうでございやしょうか?変な犬 ヴィスター:て、てめぇは! ララ:メイナードさん!こっちに来て ララ:安らぎの…心得 メイナード:治癒の祈り…… ヴィスター:てめぇは…ラウジェミールのシスターじゃねーか ララ:………… メイナード:な、何しに来た…… フラム:メイナードさんを助けに来た メイナード:バカヤロー!お前じゃ足でまといだ フラム:なめてんじゃねーよ爺さんが。俺の活躍はメイナードさんだって見てくれてたろ? メイナード:………ふっ。興味ねーよ メイナード:ララ、ありがとう。もう大丈夫だ ララ:うん! フラム:ララは下がってろ、俺とメイナードさんがいれば無敵だ レベッカ:あなた達は、メロンパンをくれた恩があるので戦いたくありません フラム:なら大人しくしてもらおうか? メイナード:……… ヴィスター:レベッカ、いいからこいつらを殺れ! レベッカ:しかし ヴィスター:早くしろ! 0:ヴィスターはレベッカに十字架をかざす レベッカ:かしこまりました メイナード:フラム、気をつけろ。あいつは強い フラム:何言ってやがる、ガキじゃねーか メイナード:油断はするな。ただのガキじゃねーって言ってんだ フラム:まあ、メイナードさんがボロボロになるくらいだからな レベッカ:チル フラム:………っ! レベッカ:雷(らい)の通り魔。ウィルサンダー! フラム:ぐああああー!!! ララ:フラム!! フラム:…がはっ!な、なんだよ……この強力なエイム…… メイナード:言わんこっちゃないだろ ヴィスター:牙世琉!(がぜる) ララ:うぅ! フラム:ララ!? ヴィスター:けっへっへっへ!!痛てーかよ、久しぶりだなーラウジェミールのシスター ララ:………私に近づかないで フラム:火岸花!(ひがんばな) ヴィスター:けへっ!お前の技は随分エイムを消費しそうだな フラム:うるせー。その分の火力が高いからな フラム:それに、エイムが無くなったとしてもララが居る。俺はララの護衛をやってるけど、昔から俺とララは守って守られる関係だ ヴィスター:仲良しごっこねー。ご苦労なこった フラム:ごっこじゃねー。それくらい『絆』が深いってことだ レベッカ:………っ? ヴィスター:けへっ!お前らの絆なんかレベッカの前じゃ無意味だろ! ヴィスター:ところでお前、仲間だと思ってたクロエが今どこにいるかわかるか? フラム:………クロエ… ララ:……… フラム:どこにいるってんだよ。クロエは10年前に… ヴィスター:そこにいるだろ。まああいつはもう死んだがな レベッカ:火事の実(みのり)サザンカ! フラム:うぐっ!! フラム:どういう事だよ…レベッカが……クロエだって言いたいのか? ヴィスター:詳しいことはそこのシスターに…… ララ:ホーリースパーク!! ヴィスター:おっと!危ねーな! フラム:ララ…!? ヴィスター:まあそんな慌てるなよ。お前だって色々思うこともあるはずだ ヴィスター:ラウジェミール襲撃事件ではお前に世話になったからな フラム:………どういう事だ…ララ ララ:………フラムには関係ないでしょ フラム:関係あるだろ!あの襲撃事件でクロエと何があった!? ララ:何もない! ヴィスター:おいおい、仲間割れなんてやめてくれよ?お前らにそんな暇はないだろ? レベッカ:月の満ち欠けルナイト! フラム:ぐああ!! ララ:うわああ!! メイナード:フラム!ララ! メイナード:お前らよく聞け。信じ難いと思うがレベッカはクロエの生まれ変わりだ。 フラム:……な、なんだって!? ララ:……… メイナード:神に取り憑かれたあいつはもはやもうクロエではないんだ メイナード:ラウジェミール襲撃事件の日、クロエが神に何をしようとしたか、わかるよな? フラム:……クロエは…神を殺そうとした メイナード:そう、だからそれを取り押さえる為に神がクロエに取り憑いたと思いたいところだ メイナード:つまり、クロエにはイザベラかスローク。どちらかの神が取り憑いていることになる フラム:……… メイナード:しかし、ヴィスターが持っている十字架は神を従わせる効果がある メイナード:それによってレベッカはヴィスターの命令には逆らえないんだ フラム:つまり…… メイナード:ああ、ヴィスターの持ってる十字架を奪い フラム:クロエに取り憑いてる神をラウジェミールに還(かえ)し ララ:神を殺そうとしていたクロエを取り押さえる…… フラム:簡単な話だな ララ:……私は教会の中に居るわ フラム:ララ!?1人じゃ危ねぇよ ララ:私は大丈夫。とにかくメイナードさんとあの2人を倒して フラム:……… ララ:私はフラムを信じてるわ フラム:……ララ ララ:………私は神に祈るだけ。メイナードさんとフラムが生きて教会に入ってくることを信じてる ララ:私はシスターよ?祈ることくらいはさせて フラム:………わかったよ フラム:あとから俺も行く。そしたら俺とメイナードさんと3人で神に祈ろう ララ:またふざけたりしたら承知しないからね? フラム:そんなことはしねーさ メイナード:ああ、じゃあ約束だ ララ:命ある貴方に神の御加護があらんことを メイナード:行くぞ!! フラム:おう! ララ:……っ!! ヴィスター:おい!そこのシスター!どこに行く! フラム:ララは仕事に向かっただけだよ! フラム:口を閉じろ!犬! フラム:火蓮銃!(かれんじゅう) ヴィスター:あっちー!! メイナード:てめぇも大人しくしてな! レベッカ:………っ! メイナード:樹羅倍損!(じゅらばいそん) レベッカ:舞の壁。ヴィラルド レベッカ:う、受けきれない…! ヴィスター:レベッカ! フラム:おいおい、メイナードさん。この国まで壊すなよ? メイナード:手抜ける相手じゃねーだろ ヴィスター:砕牙禄!(さいがろく) フラム:火体乱!(ひていらん) ヴィスター:ぐはっ!なんだこいつの体…あちー! フラム:火力はマックスだ! メイナード:おい、レベッカ。お前に一つ聞きたいことがある レベッカ:………なんでしょうか? メイナード:お前に取り憑いた神は誰だ?何故レベッカという名前に変えた? レベッカ:わかりません。ですが、天から与えられた名前だと私は確信しています メイナード:天から?神から与えられたとでも言うのか? レベッカ:はい メイナード:3人の神にはレベッカなんていねーはずだ レベッカ:そんなこと、私に言われてもわかりません メイナード:話にならねーな レベッカ:申し訳ございません メイナード:……… レベッカ:私は神の十字架に従い続けるだけです メイナード:バカなことを…… メイナード:お前の本体はクロエだろうが メイナード:神を殺そうとしたお前が神に取り憑かれ、それでもなお破壊を目論(もくろ)むヴィスターに従うなんて…… ヴィスター:クロエは俺が見つけた最高の駒だからなー。手荒に扱うなよ? フラム:火炎斬!(かえんざん) ヴィスター:ぐはっ!! フラム:さっきから聞いてりゃ意味のわからねーこと言いやがって フラム:メイナードさん。クロエは神を殺そうとしたのかもしれないけど、本当にそうだと言い切れるか? メイナード:聖書に書き込まれていただろう。 メイナード:何者かが神を殺しに来たとな メイナード:あの教会の中にはララも居たはず メイナード:ララが神に取り憑かれてない段階でクロエが神を殺しに来たのは明白だろ! フラム:………そうだけど… ヴィスター:ベラベラ喋ってんじゃねーよ! ヴィスター:龍牙力!(りゅうがりょく) フラム:ぐあああ!! ヴィスター:お前らのその神を殺すとかどうとかは別にどうでもいいんだよ ヴィスター:俺はただ一つ。3人の神に取り憑かれたレベッカを生み出したいだけだ!! メイナード:紅蓮魔!!(ぐれんま) ヴィスター:さっきからボコボコうるせーなー ヴィスター:お前もレベッカもエイムが強すぎんだよ メイナード:その減らず口が鼻につくんだよ! フラム:……くっ。なあ…クロエ レベッカ:………私はクロエじゃありません フラム:だとしてもいい。お前はこの教会が好きだったろ レベッカ:そんな記憶ないです フラム:この教会を見ても何も思わないのか? レベッカ:思いません フラム:………そっか、じゃあお前は本当にクロエじゃないんだな… フラム:どう考えても俺はお前が神を殺すようなやつじゃないと思ってる フラム:けど……もうお前が戻らないのなら… フラム:力ずくでもお前を取り押さえてやるよ! フラム:炎装外鎧!(えんどれす) レベッカ:……… メイナード:なんだ……あの熱気は フラム:青火流颯!!(せいかりゅうそう) レベッカ:………チル フラム:………ちっ!その瞬間移動が厄介だ! フラム:おら!出てこい!俺はお前を…… フラム:うぐっ!!! メイナード:フ、フラム!! レベッカ:貫(かん)の剣(つるぎ)キルズブレイク フラム:がはぁぁーー!!! メイナード:フラム!! メイナード:てめぇ…… ヴィスター:けっへっへっへ!!腕が貫いたぞ!すげーエイムだ! フラム:………うっ メイナード:羅愚崩壊!!(らぐほうかい) レベッカ:チル メイナード:………うぐっ!! レベッカ:糸の舞。クロスビート! メイナード:………がはっ! フラム:メ…メイナードさん…… メイナード:………はぁ…はぁ…俺は大丈夫だ メイナード:フラム……教会に入れ フラム:………どうして メイナード:中にはララが居る。他のシスターも居るはずだ。治癒の祈りを受けてこい… フラム:で、でもメイナードさん… メイナード:俺は1人で戦う フラム:ふざけんな…俺も戦うよ メイナード:その傷で戦えるわけがねぇだろ! フラム:………な、なんで… メイナード:お前は世界最高峰の戦士だろ。ここでお前を死なせるわけにはいかねーんだ メイナード:ララと約束したはずだ。3人とも生きてまた神に祈りを捧げると フラム:………くっ!! 0:フラムは立ち上がる ヴィスター:おーい!どこに行くんだよ!死にかけのクソ戦士がよぉー!! ヴィスター:桜牙龍砕玩!!(おうがりゅうさいがん) メイナード:護樂倍損!!(ごらくばいそん) ヴィスター:うぐわあああーー!! メイナード:行け……!フラム!お前は生きろ フラム:……メイナードさん フラム:………あとは頼んだ… 0:フラムは教会の中にはいる ヴィスター:けへっ!逃がしたか ヴィスター:おい、レベッカ1人で精一杯だったジジイがよー。2対1で勝てるのかよ メイナード:ああ。上等だ ヴィスター:けっへっへっへ!!どこからそんな自信が湧くんだ?老いぼれたジジイが ヴィスター:世界最強の男がここで死ぬところをしっかり見てやるさ! ヴィスター:お前が死んだらこの国もこの教会も、さぞかし歴史が変わるんだろうな ヴィスター:とっとと消え失せろや。クソジジイ メイナード:……ふっ。この俺を殺したからって時代が変わるとでも思ってるのか? ヴィスター:お前のその傷が全てを物語ってるだろ。老いぼれがよ メイナード:そりゃ昔に比べりゃ俺も衰えたさ メイナード:だが、俺はまだ戦わなきゃならねえ メイナード:人ってのはな。誰かが誰かを憧れ、誰かが誰かを見下すもんだ メイナード:だがな、誰も俺の事は見下せねえんだ! ヴィスター:……っ!? メイナード:誰もが俺に憧れ、誰もが俺に怖気付く メイナード:そうやって生きてきた俺だから、誰にも負けた背中は見せられねえ! メイナード:時代にけじめなんて言うほど俺は落ちぶれちゃいねーよ メイナード:お前らみたいな外道にこの国の未来を変えさせはしねえー!! メイナード:さあかかってこい!!お前らには俺一人で十分だ!! ヴィスター:……くっ!!行くぞレベッカ! レベッカ:……… ヴィスター:な、何してる!?レベッカ! メイナード:獄樂倍損!!(ごくらくばいそん) ヴィスター:ぐあああああーー!!! ヴィスター:………あ…あぁ…レ、レベッカ…… ヴィスター:て、てめぇ…… メイナード:………はぁ…はぁ… レベッカ:………っ! ヴィスター:なんでまともに攻撃を受けた!レベッカ! ヴィスター:左腕が……ぶっ飛んでるじゃねーか! レベッカ:………私は…本当に。神に取り憑かれているのでしょうか…? ヴィスター:ああ!?当たり前だろ…! レベッカ:彼らは……何故、怒りを鎮(しず)められないままなのでしょうか? ヴィスター:し、知るか! レベッカ:私の望むものは……本当にこれで良いのでしょうか? ヴィスター:俺の言うことを聞け!早くあいつを殺せ!! 0:ヴィスターはレベッカに十字架をかざす レベッカ:かしこまりました レベッカ:チル メイナード:………っ! レベッカ:風(ふう)の槍。ウィンドランス! メイナード:ぐっ!! ヴィスター:牙世琉!(がぜる) メイナード:ぐはっ!! ヴィスター:くっそ!!早く死にやがれ! メイナード:……バカが…俺はこの教会がある限り死なねーよ! メイナード:慈閻魔!!(じえんま) ヴィスター:がはっー!!! ヴィスター:お、おいレベッカ!早くこいつを殺れ! レベッカ:………メイナード様…クロエという人は…どんな人だったのでしょうか? メイナード:クロエは幼い頃からこの教会が好きだったんだ メイナード:俺だって疑いたくは無い。あいつは純粋で、人々からも好かれていた レベッカ:……… メイナード:だから……俺だって信じてやりたいんだよ…クロエを メイナード:でも……あの事件で、なぜクロエは神を殺そうとしたんだ…… レベッカ:……… メイナード:俺は何を…誰を信じたらいいんだ…… ヴィスター:殺せーー!! レベッカ:………っ! レベッカ:光の剣(つるぎ)アルテミス! メイナード:ぐ……がはっ!! ヴィスター:死ね!!クソジジイ!! 0:メイナードは倒れる レベッカ:……… メイナード:………なあ…レベッカ ヴィスター:!?なんでまだ生きてんだよ! メイナード:聞こえるか…レベッカ レベッカ:………はい メイナード:フラムとララ、そしてクロエはこの教会で出会ったんだ メイナード:俺はいつも3人を見ていた レベッカ:………… メイナード:強く…固く結ばれた『絆』にも見えた レベッカ:……絆…? メイナード:それをクロエが壊してしまったんだ。神を殺そうと、この教会の十字架を持って神をこの世に引きずり込んでしまった メイナード:なあ…レベッカ……答えてくれ レベッカ:………はい メイナード:お前は記憶がない。だから何も知らないのか? レベッカ:………わかりません レベッカ:クロエという人が何者だったのか…わかりません メイナード:………ならいい。この先…俺が望む未来はこうだ。よかったらあいつらに伝えといてくれ… メイナード:フラム、ララ、クロエ。俺はお前ら3人のそばに居る メイナード:お前らが怖がってたジジイはずっとお前らの『絆』をいつまでも見守っている メイナード:………お前たちを…愛してる……と 0:メイナードはそっと目を閉じた レベッカ:…………かしこまりました ヴィスター:け…けっへっへっ!やっと死にやがった! レベッカ:………ヴィスター様 ヴィスター:ああん!?ごちゃごちゃ言うな。教会に入るぞ レベッカ:私は…神に会わなければいけません ヴィスター:ああそうだな!残りの神をお前に取り憑かせるためだ! レベッカ:………いえ、私は……『絆』が気になるのです レベッカ:フラム様と…ララ様……そしてクロエという人物……3人の『絆』が……気になるのです レベッカ:私は本当はここに居るべき存在ではないと、そう考えております ヴィスター:バカか!何が絆だ!気持ち悪い! レベッカ:……… ヴィスター:そんなのお前らが勝手に決めつけた綺麗事に過ぎないだろ。『絆』なんて反吐が出るわ! レベッカ:……天(てん)の瞬き…クラウドライフ ヴィスター:うがっ!!……お、おい……何を レベッカ:………… ヴィスター:て、てめぇ……何故俺を…… レベッカ:『絆』を……貶(けな)すことは…許しません ヴィスター:ふざけんな!十字架……レベッカ…俺に治癒魔…… レベッカ:チル ヴィスター:ぐわああぁぁーー!! 0:ヴィスターはレベッカに瞬間移動の魔法を掛けられる レベッカ:どうして……どうして私は…人が悲しんでも、悲しくなれないのですか……? 0:ラウジェミール中では フラム:………くっ フラム:ララ…ララは居るか? フラム:………っ!?なんでみんな倒れてるんだ? フラム:ララ!無事なのか!?ララー! ララ:………フラム フラム:ララ!よかった……みんなは!?なんでみんな倒れてるんだよ!? ララ:………酷い傷 フラム:そうだ…メイナードさんが1人で戦ってる…!だから頼む。治癒の祈りをかけてくれ! ララ:………わかった。でもその前に…フラム。昔の話しましょ? フラム:………ん? ララ:私は10年前に病気のお母様を亡くした フラム:………ああ、そうだな ララ:ラウジェミールのシスターだったからこそ。神に祈った ララ:何度も…何度も神に祈り続けた ララ:私にははっきり聞こえたわ。神のお告げが フラム:………? ララ:あなたのお母様は、私達が必ず救い出す ララ:祈り続けた私に救いの手が差し伸べられた ララ:けど、フラムも知っての通り、私のお母様はすぐに亡くなったの ララ:何のためのお告げだったの?救い出すってなに? ララ:神は私に嘘をついたの?毎日神を守り続けたお母様を…助けてくれなかったの? フラム:………ララ? ララ:だからね、フラム。私はラウジェミール襲撃事件の日。この教会に居たの ララ:クロエと、ヴィスターと。この教会の神と一緒にね フラム:………その日……教会で何があったんだ? フラム:教えてくれ!さっきだって誤魔化してたろ!? フラム:……ララ…お前…まさか ララ:神は居なくなるべきよ。 フラム:おい……この教会に居たシスター達が倒れてる!これをやったのも…… ララ:私よ フラム:……… ララ:10年前、神を殺そうとしたのはクロエじゃない…… ララ:神を殺そうとしたのは……私だよ フラム:……なんでだよ!!お前だって!この教会をずっと守り続けてきただろ! ララ:ええそうね。私はこの教会を守り続けてきた。その義務がある。私は色んな人に守られてるからね。フラム、メイナードさん。そして ララ:……クロエにも フラム:………じゃあ、10年前のあの時…クロエは何をしたんだ? ララ:……… フラム:……お願いだよ…ララ。正直に話してくれ フラム:言ってくれたろ?ララは俺を信じてくれるって。だから俺もララを信じるよ ララ:信じたところで、私は裏切り者よ。この神でいう、ダイナと同じ ララ:だからクロエは私を庇ったの。これも悪さをしたダイナを取り押さえる、イザベラとスロークと同じようにね フラム:お前は裏切り者じゃねーよ! ララ:裏切ったのよ!フラムの事も!クロエの事も! フラム:そうだけど!俺はお前を信じてる! ララ:何を今更! フラム:俺はお前を好いてるからだ!! ララ:……っ! フラム:………それ以上の理由なんているか? ララ:………何…?私はあんたの事…好いてなんて フラム:お前は俺を好いてなくていいよ。俺が一方的なんだからさ ララ:私は……それでも……ずっとフラムを騙してきた フラム:どんなララでも受け入れるさ ララ:………うっ…うぅ…… ララ:神を殺そうとした私を…クロエは止めてくれた。そして、クロエは私を庇ってくれたの ララ:その時に…ヴィスターが後ろからやって来て…十字架を奪い、神に命令したのよ ララ:全ての力をこの娘に捧げろって ララ:そこに現れたのがクロエだったの。クロエは私の代わりに神に取り憑かれ、そして長い眠りについて起きなかった。 ララ:だから私は…クロエが居なくなったことをいい事に、クロエが神を殺そうとしたって罪をなすりつけたのよ ララ:最低でしょ?私は嘘だらけのシスターよ。 フラム:そうだな…。でももういいじゃねーか。全部話してくれたんだ。 フラム:それを聞いた上で俺はお前を好いているんだから ララ:……どうして…私を庇うのよ……どうして私を好くのよ…… フラム:お前のシスター姿が…似合ってるからだよ ララ:………ふざけないで フラム:………メイナードさん…あんたは生きてんのか? 0:教会の扉が開く ララ:……誰? レベッカ:……… フラム:………レベッカ… ララ:………メイナードさんは? レベッカ:………… フラム:………そうだよな…お前が来るってことは…そういう事だよな… ララ:……メイナードさん レベッカ:彼の最後の言葉はこうでした。3人の『絆』を見守っている レベッカ:あなたたちを…愛してる…… フラム:………そっか。メイナードさん……死んだのか… ララ:………フラム…私は生きてる意味はあるの? フラム:……何を急に ララ:ううん。最初からそのつもりだった。私は生きてても神に救われない フラム:ララ……神に頼るんじゃなくてさ…俺に頼ってくれよ ララ:……フラム…… フラム:俺はお前がいてくれればそれでいい ララ:………私だって…フラムの隣に居たいわよ フラム:じゃあ、お前が生きたいなら…俺も共に生きる ララ:……いいえ、私の懺悔(ざんげ)は生きていても報われない。神とお母様。そして…クロエにも。生きてる私として合わせる顔がないわ ララ:共に逝きませんか?私の護衛をして下さる、フラム様 フラム:………ああ、ララの望む事なら何なりと。 フラム:俺はシスターララをお守りする戦士。だから死ぬ時も一緒だ ララ:……ありがとう。フラム。……最後に言わせて ララ:こんな私を好いてくれてありがとう……私も、あなたを愛してます 0:ララは口に薬液を含み フラム:……俺もだよ。シスターララを愛してる 0:フラムとララは口付けをする フラム:(ララ…こうやって口付けをするのは初めてだな) ララ:(フラムの暖かさが唇を通して感じる) フラム:(ララのシスター姿は…初めて見た時から可愛かったぞ) ララ:(あなたに認められるシスターに私はなれたのかな?) フラム:(ララ……俺はお前を愛してる) ララ:(フラム……私を好いてくれてありがとう) フラム:(共に天まで逝こう) ララ:(あなたと一緒なら…どこまでも) レベッカ:………これは…毒… レベッカ:……あなた達は…『絆』があったのですね レベッカ:あなた達は…メロンパンをくれたとってもいい人たちです… レベッカ:……私には……何が残ってるのでしょうか? レベッカ:……私は本当に神に取り憑かれていたのでしょうか? レベッカ:そこに居るのならば教えてください レベッカ:私は…何者なんですか? レベッカ:私は…私は…… :クロエ兼役【レベッカ】 10年前のこと メイナード:クロエ、おい、クロエ クロエ:……メイナード様… メイナード:こんなところで昼寝なんてするな ララ:風邪引くわよ?クロエ クロエ:………ララ様……ここは? メイナード:あぁ?ここはラウジェミールだぞ。お前、シキアからもらったクッキー食ってすぐ寝たな クロエ:………あ、そっか、私、寝ちゃったんですね ララ:あ、毛布掛けといたけど、眠いならそのまま掛けてな? クロエ:ありがとうございます フラム:あ、居た居た、クロエ、また寝てたのか? ララ:あら、フラムじゃない クロエ:フラム様…おはようございます フラム:クッキーじゃ物足りないと思ってな、メロンパン買ってきたぞー! クロエ:わぁ〜!美味しそう! メイナード:フラム、クロエを甘やかすなよ フラム:ええー?いいじゃんかよ。まだガキだぜ? メイナード:おめーもまだガキだ! フラム:うっ。うるせージジイだ メイナード:聞こえてるぞ? ララ:私のぶんは? フラム:お前のぶんはねぇよ ララ:はあ!?なんで!? フラム:逆になんでだよ!自分で買え! クロエ:……ふっ。ふふっ。 フラム:なんだよクロエ。何笑ってんだ? クロエ:面白かったら笑ってはいけないのですか? フラム:いいだろ!感情は表に出してけ?それが生きてるってもんだ クロエ:そうなんですね…わかりました 0:ラウジェミール襲撃事件の日 ヴィスター:オラオラ!お前ら金を出せー!! メイナード:誰だお前ら!さっさと消え失せろ! メイナード:護樂倍損!!(ごらくばいそん) ヴィスター:ぐわああぁぁーー!!な、なんだてめぇ! メイナード:てめぇこそ誰だ!? ヴィスター:俺はこの国の神を奪いに来たヴィスター様だ! メイナード:ふざけるな! ララ:だ、誰?あの人 フラム:わからねぇ。仮面も被ってるし、ただのチンピラだろ?メイナードさんに任せようぜ ララ:………教会に入っていった… ヴィスター:けへっ!さすがに教会の中に入ればあいつも攻撃出来ねーだろ クロエ:………あなたは? ヴィスター:あぁ!?何だこのガキ クロエ:この教会に…何の用ですか! ヴィスター:うるせーんだよ!俺は今むしゃくしゃしてんだ!どけ! クロエ:うわー! ララ:クロエ…… クロエ:……ララ様?どうしてあなたがここに? ララ:……私は…神に祈りを捧げに来たわ ヴィスター:おらおら!他のシスター達は逃げたぞ?そこのガキどもも逃げちまえ! ララ:逃げるわけないでしょ クロエ:……ララ様…その十字架…… ララ:命をお守りする神よ…あなたに、私の心を捧げます… ララ:どうか…神に命を捧げる私に…神の命を経つことをお祈り下さい クロエ:な、何をしてるんですか!ララ様! ヴィスター:この女!!神を殺そうとしてんのか!? ヴィスター:牙世琉!(がぜる) ララ:うわぁぁー!!! クロエ:……っ!十字架が… ヴィスター:この十字架が鍵なんだな? ヴィスター:もらったぞ十字架! ララ:な…何を! ヴィスター:お前が生贄になれ。バカ女 ヴィスター:神よ!この娘の魂に取り憑き、娘に全ての力を捧げろ! クロエ:やめてください! ヴィスター:なっ!離せ! ララ:クロエ!? クロエ:ララ様は逃げてください! ヴィスター:何だこのエイムは!?どうなってやがる! メイナード:お、おい!クロエ!ララ!この結界はどうなってる!?開けろ! ララ:……メイナードさん!? メイナード:なんなんだよこのエイムは…… クロエ:ララ様!早く! ララ:……クロエ…どうして! クロエ:私はあなた達と一緒に居たいからです! クロエ:私とフラム様、ララ様と3人で、一つの『絆』で居たいのです! ララ:そんなことしたら! ヴィスター:おい!神!もういい!この女に取り憑け!! ララ:クロエ!! クロエ:うわあああーー!!! 0:そして…現在 0:白銀の髪の少女は黒の髪に戻る クロエ:……フラム様? フラム:……… クロエ:………ララ様? ララ:……… クロエ:………メイナード様!? メイナード:………… クロエ:………『絆』なんて……どこにもありません :スローク兼役【フラム】 :ダイナ兼役【ララ】 スローク:おーい。聞こえてるかー? ダイナ:あんたいつまで寝てんのよ レベッカ:………? スローク:あ、やっと起きた レベッカ:………え? スローク:僕たちは、君を待っていたよ ダイナ:おかえりなさい レベッカ:……あなた達は? スローク:僕たちは…ラウジェミールに宿る神。スローク ダイナ:そして私がダイナよ。本当に取り憑いていたのね。あんた レベッカ:……何が、どうなって… スローク:見てわかるだろ?君はクロエさんに取り憑いていたんだ ダイナ:あんなに幼かった魔女が、白銀の髪になってたなんてね レベッカ:私は……誰なんですか? スローク:君の名前は、イザベラだ レベッカ:イザベラ…… レベッカ:あなた達は…仲間割れをしたと聞いてます スローク:仲間割れ?どうして僕達が仲間割れをしなきゃいけないんだ ダイナ:まあ、揉めたことには変わりないわね レベッカ:……なら、どうして… スローク:僕達は、何があっても人々を許す事が僕達にとっての幸福なんだ スローク:確かにダイナは過ちを犯した。絶対にあってはならない。教会での殺戮(さつりく)を。 ダイナ:許される行為では無い。でも、私は人々から許され、イザベラ、あんたからも許された レベッカ:私は……あなたを許したのですか? ダイナ:そうよ。ありがとね スローク:許されぬ一度の過ちならば僕達が地に這いつくばってでももう一度立ち上がらせるんだよ スローク:それが我ら神に与えられた一つの試練。感情を無にして人を許す事さ レベッカ:………感情を? ダイナ:人が亡くなっても大切な誰かが殺されても、怒りや悲しみの感情を無くすことよ レベッカ:………だから、私は悲しむことが出来なかったのですね ダイナ:そうね。現代では、イザベラ。あんたとスロークが私を取り押さえてるという話になってるけど、それも間違いよ レベッカ:………え? スローク:僕もイザベラも、ダイナを支えているんだ レベッカ:……私もダイナ様を支えている? スローク:またどこかでダイナが挫けないように、3人で支えている。君もそうだよ。イザベラ ダイナ:あんたはいつもドジだから取り憑く神に選ばれちゃったのよ。ばかね、ほんと スローク:でも、君の帰りを待っていたよ レベッカ:………私の居場所はどこなの? ダイナ:あんたの居場所はここだよ スローク:君がいなきゃ僕達は国を守れない。一人でも欠けたらダメなんだよ ダイナ:そう。だから私たちは、クロエに取り憑いたあんたに、こう名乗れと天から声を送ったわ レベッカ:……そうだ、私はあの時、天から声が聞こえたんだ… レベッカ:どこかで聞いた言葉…とても暖かい気持ちになれるその言葉をこの旨に スローク:いつでもどこでも、3人で支え合えるその言葉をこの旨に ダイナ:古代から、使われる『絆』という意味を持ったその言葉をこの旨に レベッカ:その言葉は……レベッカ