台本概要
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タイトル | 忘失ノ停留所 |
---|---|
作者名 | 気分屋 (@Kodokusensi) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ここは忘れモノ達が集う場所。 ほんの少し覗いては見ませんか? 失っていた大切なモノが 見つかるかもしれませんよ。 348 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
乗務員 | 不問 | 10 | 停留所の乗務員 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
乗務員:ようこそ、忘失ノ停留所(ぼうしつのていりゅうじょ)へ。
乗務員:ここはお客様の、忘れ物が集まる場所でございます。
乗務員:お客様は……偶然此処へ来られた様ですね。
乗務員:しかし此処へ来られたと言うことは
乗務員:お客様が望んだか、それとも忘れ物に呼ばれたか……
乗務員:いずれにせよ、此処に忘れ物が有ると言うことでございます。
乗務員:よろしければご案内致しますので、どうぞごゆっくりお探しください。
0:乗務員が客の誘導を行う
乗務員:此処へは色々な忘れ物がやって来るんですよ。
乗務員:ちょっとした文房具や日用品なんかも有れば、高級な物なんかも有るんですよ。
乗務員:それも、かなりの数が。
乗務員:ですが御安心下さい。きっとすぐに見つかりますよ。
乗務員:と言うのも、お客様の忘れ物はお客様自身にしか見えませんから。
0:誘導の元、一室の前にたどり着く
乗務員:さて、こちらですね
0:乗務員がガラガラと扉を開ける
乗務員:さぁお客様、あちらに有るのが
乗務員:お客様の忘れ物にございます。
乗務員:どうぞお手に取って、ご確認くださいませ。
0:客がそれに触れると、フワリと光が零れる
乗務員:可愛らしいクマの人形ですね。
乗務員:──なるほど、御家族からのプレゼントでしたか。
乗務員:見つかって何よりでございます。
乗務員:では、もうすぐバスが来ますので
乗務員:バス停まで戻りましょうか。
0:乗務員が前に立ち、来た道を戻っていく
乗務員:……どうして忘れていたのか、と言った顔をしてらっしゃいますね?
乗務員:お客様が思い出せないのも、無理はありません。
乗務員:彼らはとっても寂しがり屋ですから
乗務員:忘れられたと感じると、バスに乗って此処へ来てしまうんです。
乗務員:此処へ来てしまった以上、お客様が此処へ来ない限り
乗務員:思い出すことはとても難しいんです。
乗務員:何故彼らが此処へ来るのかは分かりませんが
乗務員:このバスは、行きたい場所へと連れて行ってくれます。
乗務員:忘れられたもの達にとって、忘れられたもの達が集まる場所というのは
乗務員:ある意味、行きたいと望む場所なのかも知れませんね。
0:黒いモヤが乗務員の元へ来る
乗務員:おや、ちょっと失礼。
乗務員:どうされましたか?
乗務員:──なるほど。ではこちらの切符を。
乗務員:──はい、大丈夫ですよ。もうすぐバスが来ますので、そちらにお乗り下さい。
乗務員:───えぇ、お気を付けて。
0:モヤが何処かへ去っていく
乗務員:……あれは『記憶の残留意思』と呼ばれるものです。
乗務員:本来忘れ去られた物たちは、此処へとやって来て、留まって居るのですが
乗務員:ごく稀に、先程のように忘れ物自体が
乗務員:『持ち主の元へ帰りたい』と、強く願った場合
乗務員:そこに意思が宿ることがあるんです。
乗務員:そういった方々には、お帰りの切符をお渡ししているんですよ。
乗務員:……きっと、とても大切にされたんでしょうね。
0:話し終えた所にバスがやって来る
乗務員:おや、ちょうどバスが来たようですね。
乗務員:では、こちらの切符をお持ちください。
乗務員:それでは、お気をつけて。
乗務員:───はい?
乗務員:───(少し微笑み)ありがとうございます。
乗務員:またお忘れ物があったら、お会いしましょう。
0:ペコリと頭を下げ、バスに乗ったお客を見送る
乗務員:『今日の出来事を忘れない』……ですか……
乗務員:本当に嬉しいことを言ってくださいますね。
乗務員:ですが、残念ですね。
乗務員:お帰りになられた頃には、おそらく何も覚えていらっしゃらない。
乗務員:なんせこの停留所は、我々乗務員も含め
乗務員:忘れられたモノが集う場所ですから。
乗務員:ようこそ、忘失ノ停留所(ぼうしつのていりゅうじょ)へ。
乗務員:ここはお客様の、忘れ物が集まる場所でございます。
乗務員:お客様は……偶然此処へ来られた様ですね。
乗務員:しかし此処へ来られたと言うことは
乗務員:お客様が望んだか、それとも忘れ物に呼ばれたか……
乗務員:いずれにせよ、此処に忘れ物が有ると言うことでございます。
乗務員:よろしければご案内致しますので、どうぞごゆっくりお探しください。
0:乗務員が客の誘導を行う
乗務員:此処へは色々な忘れ物がやって来るんですよ。
乗務員:ちょっとした文房具や日用品なんかも有れば、高級な物なんかも有るんですよ。
乗務員:それも、かなりの数が。
乗務員:ですが御安心下さい。きっとすぐに見つかりますよ。
乗務員:と言うのも、お客様の忘れ物はお客様自身にしか見えませんから。
0:誘導の元、一室の前にたどり着く
乗務員:さて、こちらですね
0:乗務員がガラガラと扉を開ける
乗務員:さぁお客様、あちらに有るのが
乗務員:お客様の忘れ物にございます。
乗務員:どうぞお手に取って、ご確認くださいませ。
0:客がそれに触れると、フワリと光が零れる
乗務員:可愛らしいクマの人形ですね。
乗務員:──なるほど、御家族からのプレゼントでしたか。
乗務員:見つかって何よりでございます。
乗務員:では、もうすぐバスが来ますので
乗務員:バス停まで戻りましょうか。
0:乗務員が前に立ち、来た道を戻っていく
乗務員:……どうして忘れていたのか、と言った顔をしてらっしゃいますね?
乗務員:お客様が思い出せないのも、無理はありません。
乗務員:彼らはとっても寂しがり屋ですから
乗務員:忘れられたと感じると、バスに乗って此処へ来てしまうんです。
乗務員:此処へ来てしまった以上、お客様が此処へ来ない限り
乗務員:思い出すことはとても難しいんです。
乗務員:何故彼らが此処へ来るのかは分かりませんが
乗務員:このバスは、行きたい場所へと連れて行ってくれます。
乗務員:忘れられたもの達にとって、忘れられたもの達が集まる場所というのは
乗務員:ある意味、行きたいと望む場所なのかも知れませんね。
0:黒いモヤが乗務員の元へ来る
乗務員:おや、ちょっと失礼。
乗務員:どうされましたか?
乗務員:──なるほど。ではこちらの切符を。
乗務員:──はい、大丈夫ですよ。もうすぐバスが来ますので、そちらにお乗り下さい。
乗務員:───えぇ、お気を付けて。
0:モヤが何処かへ去っていく
乗務員:……あれは『記憶の残留意思』と呼ばれるものです。
乗務員:本来忘れ去られた物たちは、此処へとやって来て、留まって居るのですが
乗務員:ごく稀に、先程のように忘れ物自体が
乗務員:『持ち主の元へ帰りたい』と、強く願った場合
乗務員:そこに意思が宿ることがあるんです。
乗務員:そういった方々には、お帰りの切符をお渡ししているんですよ。
乗務員:……きっと、とても大切にされたんでしょうね。
0:話し終えた所にバスがやって来る
乗務員:おや、ちょうどバスが来たようですね。
乗務員:では、こちらの切符をお持ちください。
乗務員:それでは、お気をつけて。
乗務員:───はい?
乗務員:───(少し微笑み)ありがとうございます。
乗務員:またお忘れ物があったら、お会いしましょう。
0:ペコリと頭を下げ、バスに乗ったお客を見送る
乗務員:『今日の出来事を忘れない』……ですか……
乗務員:本当に嬉しいことを言ってくださいますね。
乗務員:ですが、残念ですね。
乗務員:お帰りになられた頃には、おそらく何も覚えていらっしゃらない。
乗務員:なんせこの停留所は、我々乗務員も含め
乗務員:忘れられたモノが集う場所ですから。