台本概要

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タイトル 忘失ノ停留所
作者名 気分屋  (@Kodokusensi)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ここは忘れモノ達が集う場所。
ほんの少し覗いては見ませんか?
失っていた大切なモノが
見つかるかもしれませんよ。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
乗務員 不問 10 停留所の乗務員
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
乗務員:ようこそ、忘失ノ停留所(ぼうしつのていりゅうじょ)へ。 乗務員:ここはお客様の、忘れ物が集まる場所でございます。 乗務員:お客様は……偶然此処へ来られた様ですね。 乗務員:しかし此処へ来られたと言うことは 乗務員:お客様が望んだか、それとも忘れ物に呼ばれたか…… 乗務員:いずれにせよ、此処に忘れ物が有ると言うことでございます。 乗務員:よろしければご案内致しますので、どうぞごゆっくりお探しください。 0:乗務員が客の誘導を行う 乗務員:此処へは色々な忘れ物がやって来るんですよ。 乗務員:ちょっとした文房具や日用品なんかも有れば、高級な物なんかも有るんですよ。 乗務員:それも、かなりの数が。 乗務員:ですが御安心下さい。きっとすぐに見つかりますよ。 乗務員:と言うのも、お客様の忘れ物はお客様自身にしか見えませんから。 0:誘導の元、一室の前にたどり着く 乗務員:さて、こちらですね 0:乗務員がガラガラと扉を開ける 乗務員:さぁお客様、あちらに有るのが 乗務員:お客様の忘れ物にございます。 乗務員:どうぞお手に取って、ご確認くださいませ。 0:客がそれに触れると、フワリと光が零れる 乗務員:可愛らしいクマの人形ですね。 乗務員:──なるほど、御家族からのプレゼントでしたか。 乗務員:見つかって何よりでございます。 乗務員:では、もうすぐバスが来ますので 乗務員:バス停まで戻りましょうか。 0:乗務員が前に立ち、来た道を戻っていく 乗務員:……どうして忘れていたのか、と言った顔をしてらっしゃいますね? 乗務員:お客様が思い出せないのも、無理はありません。 乗務員:彼らはとっても寂しがり屋ですから 乗務員:忘れられたと感じると、バスに乗って此処へ来てしまうんです。 乗務員:此処へ来てしまった以上、お客様が此処へ来ない限り 乗務員:思い出すことはとても難しいんです。 乗務員:何故彼らが此処へ来るのかは分かりませんが 乗務員:このバスは、行きたい場所へと連れて行ってくれます。 乗務員:忘れられたもの達にとって、忘れられたもの達が集まる場所というのは 乗務員:ある意味、行きたいと望む場所なのかも知れませんね。 0:黒いモヤが乗務員の元へ来る 乗務員:おや、ちょっと失礼。 乗務員:どうされましたか? 乗務員:──なるほど。ではこちらの切符を。 乗務員:──はい、大丈夫ですよ。もうすぐバスが来ますので、そちらにお乗り下さい。 乗務員:───えぇ、お気を付けて。 0:モヤが何処かへ去っていく 乗務員:……あれは『記憶の残留意思』と呼ばれるものです。 乗務員:本来忘れ去られた物たちは、此処へとやって来て、留まって居るのですが 乗務員:ごく稀に、先程のように忘れ物自体が 乗務員:『持ち主の元へ帰りたい』と、強く願った場合 乗務員:そこに意思が宿ることがあるんです。 乗務員:そういった方々には、お帰りの切符をお渡ししているんですよ。 乗務員:……きっと、とても大切にされたんでしょうね。 0:話し終えた所にバスがやって来る 乗務員:おや、ちょうどバスが来たようですね。 乗務員:では、こちらの切符をお持ちください。 乗務員:それでは、お気をつけて。 乗務員:───はい? 乗務員:───(少し微笑み)ありがとうございます。 乗務員:またお忘れ物があったら、お会いしましょう。 0:ペコリと頭を下げ、バスに乗ったお客を見送る 乗務員:『今日の出来事を忘れない』……ですか…… 乗務員:本当に嬉しいことを言ってくださいますね。 乗務員:ですが、残念ですね。 乗務員:お帰りになられた頃には、おそらく何も覚えていらっしゃらない。 乗務員:なんせこの停留所は、我々乗務員も含め 乗務員:忘れられたモノが集う場所ですから。

乗務員:ようこそ、忘失ノ停留所(ぼうしつのていりゅうじょ)へ。 乗務員:ここはお客様の、忘れ物が集まる場所でございます。 乗務員:お客様は……偶然此処へ来られた様ですね。 乗務員:しかし此処へ来られたと言うことは 乗務員:お客様が望んだか、それとも忘れ物に呼ばれたか…… 乗務員:いずれにせよ、此処に忘れ物が有ると言うことでございます。 乗務員:よろしければご案内致しますので、どうぞごゆっくりお探しください。 0:乗務員が客の誘導を行う 乗務員:此処へは色々な忘れ物がやって来るんですよ。 乗務員:ちょっとした文房具や日用品なんかも有れば、高級な物なんかも有るんですよ。 乗務員:それも、かなりの数が。 乗務員:ですが御安心下さい。きっとすぐに見つかりますよ。 乗務員:と言うのも、お客様の忘れ物はお客様自身にしか見えませんから。 0:誘導の元、一室の前にたどり着く 乗務員:さて、こちらですね 0:乗務員がガラガラと扉を開ける 乗務員:さぁお客様、あちらに有るのが 乗務員:お客様の忘れ物にございます。 乗務員:どうぞお手に取って、ご確認くださいませ。 0:客がそれに触れると、フワリと光が零れる 乗務員:可愛らしいクマの人形ですね。 乗務員:──なるほど、御家族からのプレゼントでしたか。 乗務員:見つかって何よりでございます。 乗務員:では、もうすぐバスが来ますので 乗務員:バス停まで戻りましょうか。 0:乗務員が前に立ち、来た道を戻っていく 乗務員:……どうして忘れていたのか、と言った顔をしてらっしゃいますね? 乗務員:お客様が思い出せないのも、無理はありません。 乗務員:彼らはとっても寂しがり屋ですから 乗務員:忘れられたと感じると、バスに乗って此処へ来てしまうんです。 乗務員:此処へ来てしまった以上、お客様が此処へ来ない限り 乗務員:思い出すことはとても難しいんです。 乗務員:何故彼らが此処へ来るのかは分かりませんが 乗務員:このバスは、行きたい場所へと連れて行ってくれます。 乗務員:忘れられたもの達にとって、忘れられたもの達が集まる場所というのは 乗務員:ある意味、行きたいと望む場所なのかも知れませんね。 0:黒いモヤが乗務員の元へ来る 乗務員:おや、ちょっと失礼。 乗務員:どうされましたか? 乗務員:──なるほど。ではこちらの切符を。 乗務員:──はい、大丈夫ですよ。もうすぐバスが来ますので、そちらにお乗り下さい。 乗務員:───えぇ、お気を付けて。 0:モヤが何処かへ去っていく 乗務員:……あれは『記憶の残留意思』と呼ばれるものです。 乗務員:本来忘れ去られた物たちは、此処へとやって来て、留まって居るのですが 乗務員:ごく稀に、先程のように忘れ物自体が 乗務員:『持ち主の元へ帰りたい』と、強く願った場合 乗務員:そこに意思が宿ることがあるんです。 乗務員:そういった方々には、お帰りの切符をお渡ししているんですよ。 乗務員:……きっと、とても大切にされたんでしょうね。 0:話し終えた所にバスがやって来る 乗務員:おや、ちょうどバスが来たようですね。 乗務員:では、こちらの切符をお持ちください。 乗務員:それでは、お気をつけて。 乗務員:───はい? 乗務員:───(少し微笑み)ありがとうございます。 乗務員:またお忘れ物があったら、お会いしましょう。 0:ペコリと頭を下げ、バスに乗ったお客を見送る 乗務員:『今日の出来事を忘れない』……ですか…… 乗務員:本当に嬉しいことを言ってくださいますね。 乗務員:ですが、残念ですね。 乗務員:お帰りになられた頃には、おそらく何も覚えていらっしゃらない。 乗務員:なんせこの停留所は、我々乗務員も含め 乗務員:忘れられたモノが集う場所ですから。