台本概要

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タイトル 『嘘吐き幽霊とサラトガ・クーラー』【ボーナス・トラック】/BAR「猫町」“出奔者篇”#3
作者名 sazanka  (@sazankasarasara)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(女3)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ※本来なら【後編】の末尾に挿し込まれる部分ですが、文字数制限の為、個別で投稿しました。
『嘘吐き幽霊とサラトガ・クーラー』【後編】の後にご使用ください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
カスミ 32 既に起き、景色を見ている。
ノゾミ 35 寝過ごした。
ヤナ 2 寝ている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:『嘘吐き幽霊とサラトガ・クーラー』本編終了後に上演ください。 : 0:【空白】/【空白】/【空白】 : 0:【ボーナス・トラック】 0:翌朝。午前7:25。ヤナの暮らすアパートの一室。 0:秋の朝の冷えた空気。カスミは既に目醒め、窓の外を見ている。 0:雀の声。家主が未だいびきを立てる中、ノゾミ、緩やかな覚醒。 ノゾミ:(微睡み) ノゾミ:ハル、くん……、 ノゾミ:……、 0:亡き人の名を呼び、暫し呆け。 ノゾミ:……、……、 カスミ:起きた? ノゾミ:……あ……、 ノゾミ:……ここ……、 カスミ:ヤナの部屋。 カスミ:覚えてナイ? ノゾミ:……、朝……、 ノゾミ:いま……、時間……、 0:見廻し、時計に眼が止まり、 ノゾミ:ぅあっ!? 0:やにわに焦り。 ノゾミ:しっ、し、始発……っ、 カスミ:いいデショ……、今更。 カスミ:今日学校行きたかったとか言う? ノゾミ:……っ、……、 ノゾミ:(黙考し、落ち着き) ノゾミ:……、ううん……。 0:暫し、穏やかな静寂。雲間から、陽光。 カスミ:ヤナの相手、オツカレ。ボクは先に寝ちゃったケド。 ノゾミ:……バトル、ミラボット……、 ノゾミ:弟がやってるの、見た事はあるけど、初めてだったから難しかった……。 カスミ:ヤナって昔、アレの凄い選手だったらしいから。 カスミ:ズルいよね。 ノゾミ:へえ……、 カスミ:あのさ、 ノゾミ:あっ、はい、 カスミ:SNSとか一通り調べたから、ニュースレベルのコトにはなってないと思うけど……。 カスミ:家に帰って……、もしも大騒ぎとかに、なってたら。 カスミ:この家のコトとか、……ウチの店の、コトとか。 カスミ:ナイショにしといてね? ノゾミ:……、 ノゾミ:は、い……。 カスミ:(ニヤ、と笑み) カスミ:上手な嘘、よろしくぅ。 ノゾミ:…………。 ノゾミ:でも、多分……、 ノゾミ:きっと、そんなに、気にしてないと、思う……。 カスミ:母親? ノゾミ:心配、とか、もう、する意味無い、し……。 カスミ:大人ってね。 カスミ:ホントに心配するよりも、してる「フリ」が大事な生き物だから。 カスミ:心にも無い嘘、吐(つ)かれるかもね、また。 ノゾミ:…………。 ノゾミ:いい、かも。もう。 カスミ:それでも? ノゾミ:……、どっちでも。 ノゾミ:どっちでも、自分が、どう思うかとか……、 ノゾミ:わかんない、し。 カスミ:出たトコ勝負ってコトね。 カスミ:……子供には元々、ソレしかないし、ね。 ノゾミ:…………。 0:周囲は閑静な住宅街であり、行き交う人々の声も今はまばらである。 0:カスミはグ、と伸びをし。 カスミ:早くキタナイ大人にならなきゃねぇ。 ノゾミ:きたない……? カスミ:相手にも、自分にも。 カスミ:もっともっと上手で出来の良い嘘を、息するみたいに吐(つ)ける、キタナイ大人に。 カスミ:……その方が楽だから。きっと。 ノゾミ:……、……。 ノゾミ:きれいな大人って、いない、のかな。 カスミ:キレイな大人ってこのヒトみたいなコトいうんだよ。 0:言い、緩みきった顔で安眠を貪る、白金の髪の主を顎で指す。 ヤナ:(寝言)……うゥ〜〜ん……。 ヤナ:自分、まだまだ食べられますからァ〜〜…………、 ヤナ:……むにゃ……、 0:再び、寝息へと。目醒める気配は無し。 カスミ:なれないでしょ。ボクたちみたいのじゃ。 ノゾミ:……、うん……。 0:再び、静寂。陽光。 カスミ:(屋外を見やり、半ば独り言) カスミ:……変な時間に寝て起きちゃったし……。今日どうしよっかな……。 ノゾミ:でも……、 カスミ:うん? ノゾミ:ハルキなら、 ノゾミ:……弟だったら。なれた、かも……。 カスミ:キレイな大人? ノゾミ:うん……、 カスミ:死んでなかったら、ね。 ノゾミ:……、 ノゾミ:…………。 カスミ:残念でしたぁ、だよね。 ノゾミ:……、……。 0:静寂。 カスミ:何ていう字書くの? ノゾミ:えっ? カスミ:ハルキくん。 ノゾミ:あ……。 ノゾミ:お天気の「晴れ」に……、 ノゾミ:……「希(のぞ)み」で、「希(き)」……。 カスミ:……ふぅーん。 カスミ:かけてたんだ、姉弟(きょうだい)で。 ノゾミ:…………。 カスミ:ノゾミは? ノゾミ:…………、 ノゾミ:「希望」の「希」に、「未来」の「未」で、 ノゾミ:「希未(ノゾミ)」……。 カスミ:…………。そ。 カスミ:浮かれてたんだね、生まれたトキ。 ノゾミ:…………多分……。 カスミ:…………。 0:両者、何とは無しに窓の外を見。 カスミ:……景色だけはイイよね。この辺り。 ノゾミ:うん……。川も、公園も、綺麗……。 0:暫しの無言。 0:および、寝息。 カスミ:……今って不景気だからさぁ。 ノゾミ:……はい……、 カスミ:世の中どんどん、悪くなってく一方だと思うし。 カスミ:未来に希望なんて、無いと思うから。 ノゾミ:…………、 カスミ:適当に。 カスミ:生きて行ったらイイんじゃない。 ノゾミ:……、……、 0:言葉を咀嚼、嚥下し。 ノゾミ:……はい……。 0:静寂。晴天の陽は徐々に大気を暖めている。 0:ヤナがごろんと寝返りを打ち、布団を蹴飛ばす。 ヤナ:(寝言)……ヤバいってぇタニー…………、 ヤナ:先にカタツムリにカルピスかけとかないと取り返しのつかないコトになるってェ…………、 ヤナ:あァ〜……、ハイもう終わりどすわァ〜〜……、 ヤナ:むにゃ……、 カスミ:……そろそろ起こそっか。 ノゾミ:…………そうだね……。 0:「川」の字に敷かれた布団を畳みにかかり。 0:【終】

0:『嘘吐き幽霊とサラトガ・クーラー』本編終了後に上演ください。 : 0:【空白】/【空白】/【空白】 : 0:【ボーナス・トラック】 0:翌朝。午前7:25。ヤナの暮らすアパートの一室。 0:秋の朝の冷えた空気。カスミは既に目醒め、窓の外を見ている。 0:雀の声。家主が未だいびきを立てる中、ノゾミ、緩やかな覚醒。 ノゾミ:(微睡み) ノゾミ:ハル、くん……、 ノゾミ:……、 0:亡き人の名を呼び、暫し呆け。 ノゾミ:……、……、 カスミ:起きた? ノゾミ:……あ……、 ノゾミ:……ここ……、 カスミ:ヤナの部屋。 カスミ:覚えてナイ? ノゾミ:……、朝……、 ノゾミ:いま……、時間……、 0:見廻し、時計に眼が止まり、 ノゾミ:ぅあっ!? 0:やにわに焦り。 ノゾミ:しっ、し、始発……っ、 カスミ:いいデショ……、今更。 カスミ:今日学校行きたかったとか言う? ノゾミ:……っ、……、 ノゾミ:(黙考し、落ち着き) ノゾミ:……、ううん……。 0:暫し、穏やかな静寂。雲間から、陽光。 カスミ:ヤナの相手、オツカレ。ボクは先に寝ちゃったケド。 ノゾミ:……バトル、ミラボット……、 ノゾミ:弟がやってるの、見た事はあるけど、初めてだったから難しかった……。 カスミ:ヤナって昔、アレの凄い選手だったらしいから。 カスミ:ズルいよね。 ノゾミ:へえ……、 カスミ:あのさ、 ノゾミ:あっ、はい、 カスミ:SNSとか一通り調べたから、ニュースレベルのコトにはなってないと思うけど……。 カスミ:家に帰って……、もしも大騒ぎとかに、なってたら。 カスミ:この家のコトとか、……ウチの店の、コトとか。 カスミ:ナイショにしといてね? ノゾミ:……、 ノゾミ:は、い……。 カスミ:(ニヤ、と笑み) カスミ:上手な嘘、よろしくぅ。 ノゾミ:…………。 ノゾミ:でも、多分……、 ノゾミ:きっと、そんなに、気にしてないと、思う……。 カスミ:母親? ノゾミ:心配、とか、もう、する意味無い、し……。 カスミ:大人ってね。 カスミ:ホントに心配するよりも、してる「フリ」が大事な生き物だから。 カスミ:心にも無い嘘、吐(つ)かれるかもね、また。 ノゾミ:…………。 ノゾミ:いい、かも。もう。 カスミ:それでも? ノゾミ:……、どっちでも。 ノゾミ:どっちでも、自分が、どう思うかとか……、 ノゾミ:わかんない、し。 カスミ:出たトコ勝負ってコトね。 カスミ:……子供には元々、ソレしかないし、ね。 ノゾミ:…………。 0:周囲は閑静な住宅街であり、行き交う人々の声も今はまばらである。 0:カスミはグ、と伸びをし。 カスミ:早くキタナイ大人にならなきゃねぇ。 ノゾミ:きたない……? カスミ:相手にも、自分にも。 カスミ:もっともっと上手で出来の良い嘘を、息するみたいに吐(つ)ける、キタナイ大人に。 カスミ:……その方が楽だから。きっと。 ノゾミ:……、……。 ノゾミ:きれいな大人って、いない、のかな。 カスミ:キレイな大人ってこのヒトみたいなコトいうんだよ。 0:言い、緩みきった顔で安眠を貪る、白金の髪の主を顎で指す。 ヤナ:(寝言)……うゥ〜〜ん……。 ヤナ:自分、まだまだ食べられますからァ〜〜…………、 ヤナ:……むにゃ……、 0:再び、寝息へと。目醒める気配は無し。 カスミ:なれないでしょ。ボクたちみたいのじゃ。 ノゾミ:……、うん……。 0:再び、静寂。陽光。 カスミ:(屋外を見やり、半ば独り言) カスミ:……変な時間に寝て起きちゃったし……。今日どうしよっかな……。 ノゾミ:でも……、 カスミ:うん? ノゾミ:ハルキなら、 ノゾミ:……弟だったら。なれた、かも……。 カスミ:キレイな大人? ノゾミ:うん……、 カスミ:死んでなかったら、ね。 ノゾミ:……、 ノゾミ:…………。 カスミ:残念でしたぁ、だよね。 ノゾミ:……、……。 0:静寂。 カスミ:何ていう字書くの? ノゾミ:えっ? カスミ:ハルキくん。 ノゾミ:あ……。 ノゾミ:お天気の「晴れ」に……、 ノゾミ:……「希(のぞ)み」で、「希(き)」……。 カスミ:……ふぅーん。 カスミ:かけてたんだ、姉弟(きょうだい)で。 ノゾミ:…………。 カスミ:ノゾミは? ノゾミ:…………、 ノゾミ:「希望」の「希」に、「未来」の「未」で、 ノゾミ:「希未(ノゾミ)」……。 カスミ:…………。そ。 カスミ:浮かれてたんだね、生まれたトキ。 ノゾミ:…………多分……。 カスミ:…………。 0:両者、何とは無しに窓の外を見。 カスミ:……景色だけはイイよね。この辺り。 ノゾミ:うん……。川も、公園も、綺麗……。 0:暫しの無言。 0:および、寝息。 カスミ:……今って不景気だからさぁ。 ノゾミ:……はい……、 カスミ:世の中どんどん、悪くなってく一方だと思うし。 カスミ:未来に希望なんて、無いと思うから。 ノゾミ:…………、 カスミ:適当に。 カスミ:生きて行ったらイイんじゃない。 ノゾミ:……、……、 0:言葉を咀嚼、嚥下し。 ノゾミ:……はい……。 0:静寂。晴天の陽は徐々に大気を暖めている。 0:ヤナがごろんと寝返りを打ち、布団を蹴飛ばす。 ヤナ:(寝言)……ヤバいってぇタニー…………、 ヤナ:先にカタツムリにカルピスかけとかないと取り返しのつかないコトになるってェ…………、 ヤナ:あァ〜……、ハイもう終わりどすわァ〜〜……、 ヤナ:むにゃ……、 カスミ:……そろそろ起こそっか。 ノゾミ:…………そうだね……。 0:「川」の字に敷かれた布団を畳みにかかり。 0:【終】