台本概要
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タイトル | 女魔法使い、姫に無茶ブリされる |
---|---|
作者名 | Oroるん (@Oro90644720) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
イタイ姫と残念勇者シリーズ ・アドリブ全面的に可 417 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
女魔法使い | 女 | 197 | 女魔法使い |
姫 | 女 | 160 | 姫 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
女魔法使い:(語り)『人類と魔王軍との戦いは、人類の勝利に終わった』
女魔法使い:(語り)『魔王を倒した勇者たち一行は、人々の基に凱旋(がいせん)した。歓喜を持って英雄達を出迎える民衆』
女魔法使い:(語り)『勇者たちは無事帰って来れた事に安堵し、喜びを分かち合う。魔法使いも、そんな一人だった。』
0:間
女魔法使い:全く、みんな浮かれ過ぎよ。いくら祝勝の宴(うたげ)を開いてもらったからって、あんなにはしゃいで。
女魔法使い:勇者なんか、途中でいなくなっちゃうし・・・一体どこに行っちゃったんだろう?
女魔法使い:(ため息)今日は姫に拝謁(はいえつ)する日だって言うのに、勇者は帰ってこないし、他のみんなは酔い潰れてるし。
女魔法使い:結局、私一人で来ることになっちゃったじゃない。
女魔法使い:『その日、私たちはこの国の姫君に会う予定になっていた。魔王討伐を報告する為の表敬訪問(ひょうけいほうもん)である』
女魔法使い:まあ、あんな苦しい戦いの後だもんね、浮かれちゃうのもしょうがないか。
女魔法使い:『私は城の離れに通された。姫は今、そこに居るという』
女魔法使い:姫様、どんな方なんだろう。王族の方と会うの初めてだし、緊張するなあ。
女魔法使い:勇者は「とりあえず、めっちゃ可愛い」しか言わないんだもんなあ。
女魔法使い:『仲間の中で、姫に会ったことがあるのは勇者だけだった。そして、勇者と姫は将来を誓い合った間柄でもあった。』
女魔法使い:『戦いが終わった今、二人は近い内に結婚するだろう』
女魔法使い:『本当は・・・私も勇者が好きだった』
女魔法使い:『生まれて初めて、恋心というものを知った。遂に想いを伝えることは出来なかったが・・・仕方がない』
女魔法使い:『今は心の底から、二人には幸せになって欲しいと願っている』
女魔法使い:さて、この部屋ね。(扉をノック)姫様、いらっしゃいますでしょうか?
姫:ぬぉぉぉぉぉ!!
女魔法使い:な、何!?
女魔法使い:もしや、姫の身に何かが!?姫様、失礼致します!
女魔法使い:『私は扉を開け放った。そこで私が目にしたものは・・・』
姫:こ、こりが・・・勇者たまのおパンツ!通称「勇パン」!
姫:遂に、遂に手に入れたデスー!!
姫:も、もう我慢できないデス!行くデスよ、行くデスよぉ!
姫:スリー、ツー、ワン!ジョイント・イーーーーーン!!
姫:オオオオオウ!!ジャストフィィィットゥ!!!
姫:ああ、勇者たま・・・ワタチは今、勇者たまと一つになったのデスぅ・・・
女魔法使い:・・・
姫:・・・はっ!
女魔法使い:(ち、違う、そんなはずない!この人は姫様じゃない!変なこと言いながら男物のパンツを頭からかぶっているこの人が、姫様のはずがない!!)
女魔法使い:(いま、慌ててパンツをポケットに隠したこの人が、姫様のはずがない!)
0:ここから、二人とも動揺しながら話す。
姫:ど、どどどどどちら様あああ!?
女魔法使い:わ、わわわわ私ぃ、ま、まま魔法使いですぅぅぅ!
姫:あ、ああああ!勇者様のおおおお仲間の方ですねぇぇぇ!
女魔法使い:は、はははははいいい!
姫:あ、あああああらああ!?さ、ささきほど、使いの方が見えられて、今日の謁見(えっけん)は、た、たたた体調が悪いので、ひ、日を改めたいとぉぉぉ!?
女魔法使い:ま、まままままあ、そ、そそそそうでしたかあ!?き、きっと、仲間が使いをよ、よよよよ寄越した(よこした)のですわあ!
女魔法使い:い、いい入れ違いになってしまいましたあああ!もも申し訳ございませんんん!で、でで出直して参りますぅぅぅ!
姫:そ、そそそそそんなあ!せ、せせ折角来て頂きましたのにぃぃぃ!ど、どうぞゆっくりなさってえええええ!
女魔法使い:ひ、ひひひひ姫様あああ!な、何とお優しいいいい!あ、ああああありがとうございますううう!
姫:どど、どどどどどういたしましてえええ!
女魔法使い:(同時に荒い息遣い)
姫:(同時に荒い息遣い)
0:二人とも落ち着く
姫:(咳払い)本日はようこそお越し下さいました。残念ですわ、他の方にもお会いしたかったのですが。
女魔法使い:(咳払い)申し訳ございません、姫様。折角お招き頂きましたのに・・・
姫:体調がお悪いのなら、仕方ありませんわ。
女魔法使い:(小声で)ただの二日酔いなのに、あいつら・・・
姫:何かおっしゃいました?
女魔法使い:い、いいえ!今度は必ず全員連れて参ります!
姫:楽しみにしています。
姫:この度の魔王軍との戦い、よくぞ勝利して下さいました。民になり代わり、御礼(おんれい)申し上げます。
0:姫、頭を下げる。
女魔法使い:ひ、姫様!頭をお上げ下さい!
姫:貴方達が居なければ、人類は滅んでいたかもしれないのです。感謝してもしきれません。
女魔法使い:ありがとうございます。その言葉だけで救われます。しかし、戦ったのは私たちだけではありません。
女魔法使い:姫様を初め、王宮の皆様には多大なご支援を頂きました。その助けが無ければ、戦い続けることなど出来なかったでしょう。
女魔法使い:共に戦った兵士たち、支えてくれた町の皆さん・・・これは、人類皆で掴んだ勝利なのです!
姫:魔法使い殿・・・ええ、そうですわね!
女魔法使い:お礼を申し上げるのはこちらの方です!本当にありがとうございました!
姫:痛み入りますわ。
女魔法使い:・・・では、そろそろ失礼致します。本日は拝謁の機会を賜り(たまわり)、誠にありがとうございました。
姫:あ、あの!
女魔法使い:・・・はい?
姫:・・・何も、見ませんでしたわよね?
女魔法使い:えっ?
姫:何も、おかしなものは、見ていらっしゃいませんよね?
女魔法使い:・・・え、ええ!私、何も見ておりません!
姫:そ、そうですか!そうですわよね!?
女魔法使い:はい!アハハハハ・・・
姫:オホホホホ・・・
0:間
女魔法使い:では、私はこの辺で・・・
姫:・・・おい。
女魔法使い:へ?
姫:・・・無理があんだろ?
女魔法使い:はい?
姫:オメエ、さっき目ぇ合ったべ?ガッツリ目ぇ合ったべや?
女魔法使い:(な、何?急にガラ悪くなったんだけど!?)
姫:もう、何も無かった事にはできねえだろ?
女魔法使い:そ、それは・・・
姫:テメェ、全部見てたんだろっつってんだよ!!
女魔法使い:ひぃっ!
姫:どうなんだ?ああん!?
女魔法使い:は、はい!本当は全部見てました!
姫:何を見たんだ?おおん?
女魔法使い:ひ、姫様が・・・
姫:ワタチが?
女魔法使い:その・・・男性用の下着を・・・
姫:おう、「おパンツ」を?
女魔法使い:あ、頭から、かぶっていらっしゃいました!
姫:・・・
女魔使い:・・・
姫:ぬあああああ!!
女魔法使い:ひっ!
姫:やっぱり見られていたのデスねええ!!ワタチが「おパンツドッキング」していた所を!
姫:きゃいいいいいいん!!
女魔法使い:(何なの!?さっきから、同じ人と話しているとは思えないんだけど!)
女魔法使い:(こんな情緒不安定な人、初めて見た!)
姫:はわわわわ!どうか、どーかあああ!この事は秘密にして下さいデスううう!ワタチが、勇者たまの「おパンツ」で、エクストリームフィーバーしていた事はあああ!
女魔法使い:(え?あれ、勇者のパンツなの?どうゆうこと?そうゆうプレイ?)
姫:もし誰かに話したらあ、ワタチの持つ全ての権力を使って、貴方の存在を、この世から抹消させるデスうう!
女魔法使い:(こわっ!)
姫:だから、誰にも言わないで下さいデス!・・・おいっ!返事は!?
女魔法使い:ひぃっ!分かりました、今日見たことは誰にも言いません!
姫:はわわ・・・軽蔑、したデスよね?
女魔法使い:それは・・・
姫:王族なのに、姫なのに、って思ったデスよね?ドン引きしたデスよね?
女魔法使い:そ、そんな事はありません!
姫:気を使わなくて良いデス!
女魔法使い:違います!私は・・・えーと、その・・・
姫:・・・
女魔法使い:あ、安心致しました!
姫:安心?
女魔法使い:ほら、私たち庶民からすると、王族の方って、本当に雲の上の存在で・・・何かこう、恐れ多いと言いますか、どうしても「私たちとは違う存在」みたいに思ってしまうんです。
姫:ふむふむ。
女魔法使い:でも、さっきの、えーと「エクストリーム何とか」をしていた姫を見て、「あ、やっぱり姫も私たちと同じ人間なんだな」と。「一人の女の子なんだな」と、この様に思いました。
姫:ほうほう!
女魔法使い:それでその・・・し、親しみが湧いたと言うか。そう!「可愛らしい」と思いました!
姫:可愛い!?
女魔法使い:ええ!恋焦がれる相手を想う姫様のお姿は、とても可憐(かれん)でございました。
姫:本当デスかあ!?
女魔法使い:はい!ですので、姫様のああいった一面を見られて、私は安心したのでございます!
姫:魔法使いたん・・・ありがとうデスぅ!
女魔法使い:(うまい!我ながら中々良い返しだわ!)
姫:初めて人に分かってもらえましたあ(号泣)
女魔法使い:(うん、1ミリも理解できないけど、丸く収まったならそれで良し!)
姫:貴方はワタチの、マイベストフレンドデスぅ。
女魔法使い:光栄ですわ、姫様。
女魔法使い:(よし、そろそろ潮時ね)
女魔法使い:では姫様、私はこの辺りで(失礼致します)
姫:では、魔法使いたんも、良いのデスよ?
女魔法使い:はい?何がでしょうか?
姫:もっと自分をさらけ出して良いデスよ!ワタチ達の間に、取り繕う(とりつくろう)ことなど何も無いのデス!
姫:さあ、貴方の本当の姿を見せるデス!
女魔法使い:(ああ、そう言う事か・・・)
女魔法使い:お心遣いありがとうございます、姫様。しかしながら、私は普段からこんな感じでして・・・
姫:遠慮は無用デス!
女魔法使い:ですから、特別取り繕っているわけでは・・・
姫:そう言わずに!
女魔法使い:もう充分さらけ出しているのです。
姫:つべこべ言ってねえでやりやがれ!!ぶっ殺すぞ!!!
女魔法使い:(りふじーーーん!!)
姫:さあさあさあさあさあ!
女魔法使い:わ、分かりました。
女魔法使い:(しょうがない・・・ちょっとくだけた感じで話せば良いよね?)
女魔法使い:ひ、姫・・・ちゃん。今日はお城に呼んでくれて、ありがとね。
姫:・・・
女魔法使い:良かったら、これからも仲良くして欲しいなあ・・・なんて。
姫:(舌打ち)
女魔法使い:えっ?
姫:(舌打ち)
女魔法使い:あ、あのう?
姫:(舌打ち)
女魔法使い:今のは、ダメでしたでしょうか?
姫:(舌打ち連打)
女魔法使い:(あれえ?舌打ちしかされなくなったぞ?)
姫:ダメデス!全然ダメ!
姫:(ため息)溢れ出る(あふれでる)パッションが感じられ無いんだよねえ・・・そんなんじゃ、オーディション受からないよ!?
女魔法使い:(何のだよ!)
姫:仕方ないデスねえ、もう一度チャンスをあげるデス。
姫:次こそは・・・分かってんだろうな?
女魔法使い:(圧が!圧がすごいわあ!)
女魔法使い:(何で私がこんな目に遭わなきゃいけないの!こんなことなら、私も酔い潰れて寝ておけば良かった!)
女魔法:(真面目って・・・損)
姫:アーユーレディ?
女魔法使い:・・・イェア。
姫:では!魔法使いたんのパフォーマンスまで、3・2・1・キュー!
女魔法使い:・・・ハァァァァァァ
姫:?
女魔法使い:(ポーズ取りながら)きゃるるーん!!
姫:っ!?
女魔法使い:(ポーズ取りながら)わ、我こそはぁ、超絶美少女魔法使いのぉ、ミラクル・プリティー・ビューティーなのら!
女魔法使い:(ポーズ取りながら)悪い子は・・・燃やしちゃうゾ!
姫:・・・
女魔法使い:・・・
姫:(吹き出す)
女魔法使い:オイッ!
姫:(笑いながら)自分のこと美少女とか、キッツ・・・
女魔法使い:(があああ!今すぐ消え去りたい!)
姫:(笑いながら)ネーミングくそダセーわ、語呂悪ぃわ、コイツセンスゼロだな。
女魔法使い:(ぎいいい!誰か今すぐタイムマシンを発明して!過去をやり直してくるから!)
姫:(笑いながら)プリティーとかビューティーとか、どんだけ可愛いアピールしてんだよ。自分の顔、鏡で見てみろっつーの!
女魔法使い:(ブチ殺す!ブチ殺す!ブチ殺ーす!!)
姫:でも安心したデス!やっぱり魔法使いたんも、ワタチと同じだったデスね!
女魔法使い:(ちっがーう!私は断じて「そっち側」の人間じゃない!)
姫:魔法使いたん!
女魔法使い:は、はい?
姫:踊るデス!
女魔法使い:えぇ・・・
姫:同志を見つけた喜びをダンスで表現するデス!
女魔法使い:(だから同志じゃねえし!)
姫:ではいくデスよ!レッツダンシング!
女魔法使い:いやあの、姫様・・・?
姫:あらえっさっさー!
女魔法使い:(まさかの「どじょうすくい」!?)
姫:さあ魔法使いたん!ご一緒にデス!
女魔法使い:(くっ!モンスターには強気に出れても、権力者には弱い。現代人な自分が憎い)
姫:(適当にメロディつけて)ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん・・・
女魔法使い:(一国の姫君と、魔王を倒した英雄が、一緒に「どじょうすくい」を踊ってる・・・)
女魔法使い:(なんてシュールな絵面(えづら)なの!)
姫:もっと腰を効かせるデス!
女魔法使い:こ、こうですか?
姫:違う!もっとこう!
女魔法使い:はい!
姫:そうデス!さらに反対側もこう!
女魔法使い:はい!
姫:こう!
女魔法使い:へい!
姫:そう!そうデス!良いデスよぉ!魔法使いたん!
女魔法使い:(あれ?何だか楽しくなってきた!)
姫:ならば、これはどうデスか!
姫:(ジャンプして)ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォ・・・あっ(侍女たちが入ってくるのに気づく)
女魔法使い:PUT YOUR HANDS UP!(両手を上げる)
姫:ま、魔法使い殿。
女魔法使い:ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!
姫:・・・
女魔法使い:(ボイスパーカッションしているつもりで)トゥットゥットゥットゥットゥツー、ブッパブッブッパ!
姫:そ、それはボイパのつもりかしら?全然できてませんよ?
女魔法使い:(ヘドバンしながら)ヒィヤッ!イェアッ!セイヤッ!カマーン!
姫:ダメだ、これ以上見ていられない・・・魔法使い殿!
女魔法使い:姫たん、どうしたデスか!?急にノリが・・・・・・(絶句)
女魔法使い:『私に向けられる、数多くの視線。いつの間にか、姫様に仕える侍女が三人、部屋に入ってきていた』
女魔法使い:『それはすなわち、私の痴態(ちたい)をガッツリ見られたことを意味していた』
女魔法使い:『侍女たちは私を、死んだ魚のような目で・・・いや、死んだ魚を見るような目で見ていた』
女魔法使い:(おーーまいがーーー!!!)
姫:ま、魔法使い殿、落ちつかれましたか?
女魔法使い:(あれっ?姫、ちゃっかり「そっち側」の立ち位置に移ってる!)
女魔法使い:(てんめえ、ふざけんなよ!)
姫:皆の者、良いですか!いま見た事、決して口外してはなりません!
女魔法使い:いや、あの・・・
姫:私は何度も目にしてきました。過酷な戦いによって・・・心を病んでしまった人々を!
女魔法使い:(あれえ?私病人扱いされてるぅ?)
姫:この方は、紛れもなく世界を救った英雄です!その事に間違いはありません!
姫:多少、人格に問題があっても・・・ちょっとオツムの具合が残念だったとしても、この方は英雄なのです!
女魔法使い:(完璧ディスってるじゃん!)
姫:それに、この方はとても勇敢な方です!
女魔法使い:(ん?)
姫:先ほどのパフォーマンスを見ましたか?物凄く・・・スベっていましたよね?
女魔法使い:(おいヤメロ!)
姫:あんなに大火傷をしたのに、こんなに堂々として!流石、勇者様のお仲間です!
女魔法使い:(オメーがやらせたんだろうがあっ!!!)
姫:あんな醜態(しゅうたい)を晒して(さらして)しまったら、私なら生きていけません!
女魔法使い:(だったら今すぐ殺してやろうか?あーん?)
姫:この方を笑う者がいたら、私が許しませんよ!
女魔法使い:(私はアンタを許さないわよ!)
姫:この方は、私が責任を持って病院に連れて行きます。
女魔法使い:(ああー、今すぐコイツのポケットに入っている勇者のパンツを晒して(さらして)、コイツの本性を世間に知らしめてやりたい!)
女魔法使い:(でもやらない!姫が頭おかしいド変態だって知られたら、国家の一大事になっちゃうもの!)
女魔法使い:((ブチギレながら)私って何て常識的でえ!良い人なのかしらあああ!!)
姫:魔法使いたん!
女魔法使い:へ?
姫:もう大丈夫デス、侍女たちは含み笑いをしながら出ていったデスよ。
女魔法使い:(そう・・・誤解を解けないまま、行ってしまったのね。ああ、明日からどんな顔をして街を歩けば良いんだろう)
姫:・・・上手く誤魔化せたデスねえ。ワタチに感謝するデスよぉ。
女魔法使い:(うわあ、初めてモンスター以外の生物に殺意覚えた)
姫:そうだ、良い機会デス。魔法使いたんに聞きたいことがあるデス。
女魔法使い:(最終決戦ですら使わなかった最強魔法を、コイツにお見舞いしてやりたい)
姫:魔法使いたん!聞いてるデスか?
女魔法使い:うるせえ!
姫:(ドスを効かせて)あ?
女魔法使い:ひぃっ!すいません!
姫:ワレ、誰に口効いとんねん。
女魔法使い:(何で急に関西弁!この人何重人格なの?)
姫:そんな事より、教えて欲しい魔法があるデス!
女魔法使い:えっ?魔法を姫様に?
姫:はいデス!
女魔法使い:いやいや、無理ですよ。魔法を習得するには長年の修行が必要なんです。そんな一朝一夕に身につくものではありません。
姫:大丈夫、ワタチに不可能は無いデス!
女魔法使い:そう申されましても・・・ちなみに、どんな魔法なんですか?
姫:豊胸魔法デス!
女魔法使い:・・・は?
姫:胸を、ボイーン!のバイーン!にする魔法デス!
女魔法使い:・・・
姫:教えて下さいデス!
女魔法使い:・・・そんな魔法無いっスよ。
姫:・・・え?そんなハズ無いです!
女魔法使い:いや、本当に無いんです。
姫:嘘デス!本当は知ってるのに、隠してるデスね!
女魔法使い:だから、嘘じゃ無いんです。
姫:魔法使いたんには、ワタチのような胸が無い人の気持ちなんて分からないデス!だからそんな意地悪するデスね!
女魔法使い:違います!そうじゃ無くて・・・
姫:ワタチの事、胸が小っちゃいからってバカにしてるデスね!
女魔法使い:ひ、姫様。いや、私も・・・
姫:酷いデス!酷いデス!ワタチの胸がペッタンコだからって・・・あれっ?
女魔法使い:?
女魔法使い:『姫様の視線は、真っ直ぐ私の胸に向けられていた。』
姫:魔法使いたん・・・
女魔法使い:『やがて、私の肩にポンと手を置くと、一言こう言った』
姫:・・・ゴメン。
女魔法使い:(うるせえええええ!!)
女魔法使い:(アンタにだけは、その哀れむような、蔑む(さげすむ)ような目で見られたくないわよ!)
女魔法使い:(大体、私のはまだ「貧乳」で済むレベルよ!アンタのそれ何?もう「無乳」じゃない!)
姫:本当に、知らないデスか?
女魔法使い:知らないのでは無く、無いんです。そんな魔法あったら真っ先に私が・・・(咳払い)では無く、体の一部の見映えを良くする為だけの魔法など、存在しないのです。
姫:本当デスかあ?じゃあ、ワタチが試しにやってみるデス!
女魔法使い:・・・は?
姫:大いなる美の精霊よ、我が胸に豊かな実りを与えたまえ・・・
女魔法使い:(え?何その魔法?)
姫:ネエチャン・エエ・チチ・シテ・マンナー!
0:姫の胸が大きくなる。
女魔法使い:なん、だと?
姫:コンプリート、デス!
女魔法使い:(本当に胸が大きくなった?うらやま・・・じゃなくて、今のは何?)
女魔法使い:(魔力の動きからして、肉体強化魔法の応用?全然聞いたこと無い呪文だったけど)
姫:ほら、ちゃんとできるじゃ無いデスか!
女魔法使い:あの、姫様?
姫:何デスか?
女魔法使い:一体どこで魔法を修行なさったのですか?姫様が魔法を使えるなんて知りませんでした。
姫:ふっふっふっ・・・これで勉強したデス!
女魔法使い:『と言って、姫様は分厚い本を持ってきた』
女魔法使い:週刊「君も魔法使いになろう」?
姫:そうデス!
女魔法使い:(ああ、これってアレか。創刊号は半額だけど、全巻揃えると結局中古車一台分くらいの金額になるやつ)
姫:そこに書いてある通りにしたデスよ。
女魔法使い:((本を読みながら)うーん、間違った事は書いてないっぽいけど、肝心な所が抜けてるし、この内容だけじゃ初級魔法も使えないはずなのに)
女魔法使い:(本当にこの本だけで魔法が使えるようになったのだとしたら・・・)
女魔法使い:(この人、私より魔法の才能あるんじゃ・・・)
姫:でも、この魔法はまだ未完成デス!
女魔法使い:えっ?ちゃんと胸が大きくなったじゃないですか?
姫:これではせいぜい「Dカップ」デス!
女魔法使い:充分では?
姫:チッチッチッ・・・ワタチが目指しているのはモンスター爆乳・・・「Gカップ」デス!
女魔法使い:(「G」!?)
女魔法使い:(ABCDEFG!?)
女魔法使い:(ABCDEFG!!?)
女魔法使い:(そんなカップ数、この世に存在するわけが・・・)
姫:やはり、スライムが必要デス!
女魔法使い:スライム?あの、モンスターの?
姫:そうデス!
女魔法使い:なぜスライムを?
姫:スライムを豊胸パッド代わりにして、服の中に入れるデス!
女魔法使い:(そんな気持ち悪いことするの?コイツマジバカじゃん!)
姫:こうなったら、スライムを召喚するしか無いデスね!
女魔法使い:いやいやいや。魔王が死んで、全てのモンスターは消滅したんです。召喚なんか無理ですよ。
姫:やってみるデス!
女魔法使い:(まさか・・・いくらなんでも無理、よね?)
姫:大いなる闇の精霊よ、冥界の門を開き、邪悪の源(みなもと)を顕現(けんげん)させたまえ!
姫:サタン・フォール!
女魔法使い:キャアッ!
女魔法使い:『爆音と共に、黒い煙が部屋を覆い尽くした』
姫:(咳き込む)
女魔法使い:(咳き込みながら)姫様!大丈夫ですか?
姫:(咳き込みながら)大、丈夫デス。
女魔法使い:『少しずつ煙が晴れ、私たち二人以外に、その部屋にいる者の存在が明らかになっていった』
姫:成功デスか!?
女魔法使い:まさか本当にスライムを?
0:魔法使い、召喚された者の正体に気付く。
女魔法使い:・・・・・・嘘。
姫:ぬあああああ!失敗デス!これはスライムじゃ無いデス!
女魔法使い:ひ、姫様・・・
姫:何デスか?
女魔法使い:これ・・・・・・魔王です。
姫:・・・・・・へ?
女魔法使い:『こうして、復活した魔王との戦いの日々が、再び始まるのであった』
姫:めでたしめでたし。
女魔法使い:どこがやねん!
0:おわり
女魔法使い:(語り)『人類と魔王軍との戦いは、人類の勝利に終わった』
女魔法使い:(語り)『魔王を倒した勇者たち一行は、人々の基に凱旋(がいせん)した。歓喜を持って英雄達を出迎える民衆』
女魔法使い:(語り)『勇者たちは無事帰って来れた事に安堵し、喜びを分かち合う。魔法使いも、そんな一人だった。』
0:間
女魔法使い:全く、みんな浮かれ過ぎよ。いくら祝勝の宴(うたげ)を開いてもらったからって、あんなにはしゃいで。
女魔法使い:勇者なんか、途中でいなくなっちゃうし・・・一体どこに行っちゃったんだろう?
女魔法使い:(ため息)今日は姫に拝謁(はいえつ)する日だって言うのに、勇者は帰ってこないし、他のみんなは酔い潰れてるし。
女魔法使い:結局、私一人で来ることになっちゃったじゃない。
女魔法使い:『その日、私たちはこの国の姫君に会う予定になっていた。魔王討伐を報告する為の表敬訪問(ひょうけいほうもん)である』
女魔法使い:まあ、あんな苦しい戦いの後だもんね、浮かれちゃうのもしょうがないか。
女魔法使い:『私は城の離れに通された。姫は今、そこに居るという』
女魔法使い:姫様、どんな方なんだろう。王族の方と会うの初めてだし、緊張するなあ。
女魔法使い:勇者は「とりあえず、めっちゃ可愛い」しか言わないんだもんなあ。
女魔法使い:『仲間の中で、姫に会ったことがあるのは勇者だけだった。そして、勇者と姫は将来を誓い合った間柄でもあった。』
女魔法使い:『戦いが終わった今、二人は近い内に結婚するだろう』
女魔法使い:『本当は・・・私も勇者が好きだった』
女魔法使い:『生まれて初めて、恋心というものを知った。遂に想いを伝えることは出来なかったが・・・仕方がない』
女魔法使い:『今は心の底から、二人には幸せになって欲しいと願っている』
女魔法使い:さて、この部屋ね。(扉をノック)姫様、いらっしゃいますでしょうか?
姫:ぬぉぉぉぉぉ!!
女魔法使い:な、何!?
女魔法使い:もしや、姫の身に何かが!?姫様、失礼致します!
女魔法使い:『私は扉を開け放った。そこで私が目にしたものは・・・』
姫:こ、こりが・・・勇者たまのおパンツ!通称「勇パン」!
姫:遂に、遂に手に入れたデスー!!
姫:も、もう我慢できないデス!行くデスよ、行くデスよぉ!
姫:スリー、ツー、ワン!ジョイント・イーーーーーン!!
姫:オオオオオウ!!ジャストフィィィットゥ!!!
姫:ああ、勇者たま・・・ワタチは今、勇者たまと一つになったのデスぅ・・・
女魔法使い:・・・
姫:・・・はっ!
女魔法使い:(ち、違う、そんなはずない!この人は姫様じゃない!変なこと言いながら男物のパンツを頭からかぶっているこの人が、姫様のはずがない!!)
女魔法使い:(いま、慌ててパンツをポケットに隠したこの人が、姫様のはずがない!)
0:ここから、二人とも動揺しながら話す。
姫:ど、どどどどどちら様あああ!?
女魔法使い:わ、わわわわ私ぃ、ま、まま魔法使いですぅぅぅ!
姫:あ、ああああ!勇者様のおおおお仲間の方ですねぇぇぇ!
女魔法使い:は、はははははいいい!
姫:あ、あああああらああ!?さ、ささきほど、使いの方が見えられて、今日の謁見(えっけん)は、た、たたた体調が悪いので、ひ、日を改めたいとぉぉぉ!?
女魔法使い:ま、まままままあ、そ、そそそそうでしたかあ!?き、きっと、仲間が使いをよ、よよよよ寄越した(よこした)のですわあ!
女魔法使い:い、いい入れ違いになってしまいましたあああ!もも申し訳ございませんんん!で、でで出直して参りますぅぅぅ!
姫:そ、そそそそそんなあ!せ、せせ折角来て頂きましたのにぃぃぃ!ど、どうぞゆっくりなさってえええええ!
女魔法使い:ひ、ひひひひ姫様あああ!な、何とお優しいいいい!あ、ああああありがとうございますううう!
姫:どど、どどどどどういたしましてえええ!
女魔法使い:(同時に荒い息遣い)
姫:(同時に荒い息遣い)
0:二人とも落ち着く
姫:(咳払い)本日はようこそお越し下さいました。残念ですわ、他の方にもお会いしたかったのですが。
女魔法使い:(咳払い)申し訳ございません、姫様。折角お招き頂きましたのに・・・
姫:体調がお悪いのなら、仕方ありませんわ。
女魔法使い:(小声で)ただの二日酔いなのに、あいつら・・・
姫:何かおっしゃいました?
女魔法使い:い、いいえ!今度は必ず全員連れて参ります!
姫:楽しみにしています。
姫:この度の魔王軍との戦い、よくぞ勝利して下さいました。民になり代わり、御礼(おんれい)申し上げます。
0:姫、頭を下げる。
女魔法使い:ひ、姫様!頭をお上げ下さい!
姫:貴方達が居なければ、人類は滅んでいたかもしれないのです。感謝してもしきれません。
女魔法使い:ありがとうございます。その言葉だけで救われます。しかし、戦ったのは私たちだけではありません。
女魔法使い:姫様を初め、王宮の皆様には多大なご支援を頂きました。その助けが無ければ、戦い続けることなど出来なかったでしょう。
女魔法使い:共に戦った兵士たち、支えてくれた町の皆さん・・・これは、人類皆で掴んだ勝利なのです!
姫:魔法使い殿・・・ええ、そうですわね!
女魔法使い:お礼を申し上げるのはこちらの方です!本当にありがとうございました!
姫:痛み入りますわ。
女魔法使い:・・・では、そろそろ失礼致します。本日は拝謁の機会を賜り(たまわり)、誠にありがとうございました。
姫:あ、あの!
女魔法使い:・・・はい?
姫:・・・何も、見ませんでしたわよね?
女魔法使い:えっ?
姫:何も、おかしなものは、見ていらっしゃいませんよね?
女魔法使い:・・・え、ええ!私、何も見ておりません!
姫:そ、そうですか!そうですわよね!?
女魔法使い:はい!アハハハハ・・・
姫:オホホホホ・・・
0:間
女魔法使い:では、私はこの辺で・・・
姫:・・・おい。
女魔法使い:へ?
姫:・・・無理があんだろ?
女魔法使い:はい?
姫:オメエ、さっき目ぇ合ったべ?ガッツリ目ぇ合ったべや?
女魔法使い:(な、何?急にガラ悪くなったんだけど!?)
姫:もう、何も無かった事にはできねえだろ?
女魔法使い:そ、それは・・・
姫:テメェ、全部見てたんだろっつってんだよ!!
女魔法使い:ひぃっ!
姫:どうなんだ?ああん!?
女魔法使い:は、はい!本当は全部見てました!
姫:何を見たんだ?おおん?
女魔法使い:ひ、姫様が・・・
姫:ワタチが?
女魔法使い:その・・・男性用の下着を・・・
姫:おう、「おパンツ」を?
女魔法使い:あ、頭から、かぶっていらっしゃいました!
姫:・・・
女魔使い:・・・
姫:ぬあああああ!!
女魔法使い:ひっ!
姫:やっぱり見られていたのデスねええ!!ワタチが「おパンツドッキング」していた所を!
姫:きゃいいいいいいん!!
女魔法使い:(何なの!?さっきから、同じ人と話しているとは思えないんだけど!)
女魔法使い:(こんな情緒不安定な人、初めて見た!)
姫:はわわわわ!どうか、どーかあああ!この事は秘密にして下さいデスううう!ワタチが、勇者たまの「おパンツ」で、エクストリームフィーバーしていた事はあああ!
女魔法使い:(え?あれ、勇者のパンツなの?どうゆうこと?そうゆうプレイ?)
姫:もし誰かに話したらあ、ワタチの持つ全ての権力を使って、貴方の存在を、この世から抹消させるデスうう!
女魔法使い:(こわっ!)
姫:だから、誰にも言わないで下さいデス!・・・おいっ!返事は!?
女魔法使い:ひぃっ!分かりました、今日見たことは誰にも言いません!
姫:はわわ・・・軽蔑、したデスよね?
女魔法使い:それは・・・
姫:王族なのに、姫なのに、って思ったデスよね?ドン引きしたデスよね?
女魔法使い:そ、そんな事はありません!
姫:気を使わなくて良いデス!
女魔法使い:違います!私は・・・えーと、その・・・
姫:・・・
女魔法使い:あ、安心致しました!
姫:安心?
女魔法使い:ほら、私たち庶民からすると、王族の方って、本当に雲の上の存在で・・・何かこう、恐れ多いと言いますか、どうしても「私たちとは違う存在」みたいに思ってしまうんです。
姫:ふむふむ。
女魔法使い:でも、さっきの、えーと「エクストリーム何とか」をしていた姫を見て、「あ、やっぱり姫も私たちと同じ人間なんだな」と。「一人の女の子なんだな」と、この様に思いました。
姫:ほうほう!
女魔法使い:それでその・・・し、親しみが湧いたと言うか。そう!「可愛らしい」と思いました!
姫:可愛い!?
女魔法使い:ええ!恋焦がれる相手を想う姫様のお姿は、とても可憐(かれん)でございました。
姫:本当デスかあ!?
女魔法使い:はい!ですので、姫様のああいった一面を見られて、私は安心したのでございます!
姫:魔法使いたん・・・ありがとうデスぅ!
女魔法使い:(うまい!我ながら中々良い返しだわ!)
姫:初めて人に分かってもらえましたあ(号泣)
女魔法使い:(うん、1ミリも理解できないけど、丸く収まったならそれで良し!)
姫:貴方はワタチの、マイベストフレンドデスぅ。
女魔法使い:光栄ですわ、姫様。
女魔法使い:(よし、そろそろ潮時ね)
女魔法使い:では姫様、私はこの辺りで(失礼致します)
姫:では、魔法使いたんも、良いのデスよ?
女魔法使い:はい?何がでしょうか?
姫:もっと自分をさらけ出して良いデスよ!ワタチ達の間に、取り繕う(とりつくろう)ことなど何も無いのデス!
姫:さあ、貴方の本当の姿を見せるデス!
女魔法使い:(ああ、そう言う事か・・・)
女魔法使い:お心遣いありがとうございます、姫様。しかしながら、私は普段からこんな感じでして・・・
姫:遠慮は無用デス!
女魔法使い:ですから、特別取り繕っているわけでは・・・
姫:そう言わずに!
女魔法使い:もう充分さらけ出しているのです。
姫:つべこべ言ってねえでやりやがれ!!ぶっ殺すぞ!!!
女魔法使い:(りふじーーーん!!)
姫:さあさあさあさあさあ!
女魔法使い:わ、分かりました。
女魔法使い:(しょうがない・・・ちょっとくだけた感じで話せば良いよね?)
女魔法使い:ひ、姫・・・ちゃん。今日はお城に呼んでくれて、ありがとね。
姫:・・・
女魔法使い:良かったら、これからも仲良くして欲しいなあ・・・なんて。
姫:(舌打ち)
女魔法使い:えっ?
姫:(舌打ち)
女魔法使い:あ、あのう?
姫:(舌打ち)
女魔法使い:今のは、ダメでしたでしょうか?
姫:(舌打ち連打)
女魔法使い:(あれえ?舌打ちしかされなくなったぞ?)
姫:ダメデス!全然ダメ!
姫:(ため息)溢れ出る(あふれでる)パッションが感じられ無いんだよねえ・・・そんなんじゃ、オーディション受からないよ!?
女魔法使い:(何のだよ!)
姫:仕方ないデスねえ、もう一度チャンスをあげるデス。
姫:次こそは・・・分かってんだろうな?
女魔法使い:(圧が!圧がすごいわあ!)
女魔法使い:(何で私がこんな目に遭わなきゃいけないの!こんなことなら、私も酔い潰れて寝ておけば良かった!)
女魔法:(真面目って・・・損)
姫:アーユーレディ?
女魔法使い:・・・イェア。
姫:では!魔法使いたんのパフォーマンスまで、3・2・1・キュー!
女魔法使い:・・・ハァァァァァァ
姫:?
女魔法使い:(ポーズ取りながら)きゃるるーん!!
姫:っ!?
女魔法使い:(ポーズ取りながら)わ、我こそはぁ、超絶美少女魔法使いのぉ、ミラクル・プリティー・ビューティーなのら!
女魔法使い:(ポーズ取りながら)悪い子は・・・燃やしちゃうゾ!
姫:・・・
女魔法使い:・・・
姫:(吹き出す)
女魔法使い:オイッ!
姫:(笑いながら)自分のこと美少女とか、キッツ・・・
女魔法使い:(があああ!今すぐ消え去りたい!)
姫:(笑いながら)ネーミングくそダセーわ、語呂悪ぃわ、コイツセンスゼロだな。
女魔法使い:(ぎいいい!誰か今すぐタイムマシンを発明して!過去をやり直してくるから!)
姫:(笑いながら)プリティーとかビューティーとか、どんだけ可愛いアピールしてんだよ。自分の顔、鏡で見てみろっつーの!
女魔法使い:(ブチ殺す!ブチ殺す!ブチ殺ーす!!)
姫:でも安心したデス!やっぱり魔法使いたんも、ワタチと同じだったデスね!
女魔法使い:(ちっがーう!私は断じて「そっち側」の人間じゃない!)
姫:魔法使いたん!
女魔法使い:は、はい?
姫:踊るデス!
女魔法使い:えぇ・・・
姫:同志を見つけた喜びをダンスで表現するデス!
女魔法使い:(だから同志じゃねえし!)
姫:ではいくデスよ!レッツダンシング!
女魔法使い:いやあの、姫様・・・?
姫:あらえっさっさー!
女魔法使い:(まさかの「どじょうすくい」!?)
姫:さあ魔法使いたん!ご一緒にデス!
女魔法使い:(くっ!モンスターには強気に出れても、権力者には弱い。現代人な自分が憎い)
姫:(適当にメロディつけて)ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん・・・
女魔法使い:(一国の姫君と、魔王を倒した英雄が、一緒に「どじょうすくい」を踊ってる・・・)
女魔法使い:(なんてシュールな絵面(えづら)なの!)
姫:もっと腰を効かせるデス!
女魔法使い:こ、こうですか?
姫:違う!もっとこう!
女魔法使い:はい!
姫:そうデス!さらに反対側もこう!
女魔法使い:はい!
姫:こう!
女魔法使い:へい!
姫:そう!そうデス!良いデスよぉ!魔法使いたん!
女魔法使い:(あれ?何だか楽しくなってきた!)
姫:ならば、これはどうデスか!
姫:(ジャンプして)ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォイッ!
女魔法使い:ヴォイッ!
姫:ヴォ・・・あっ(侍女たちが入ってくるのに気づく)
女魔法使い:PUT YOUR HANDS UP!(両手を上げる)
姫:ま、魔法使い殿。
女魔法使い:ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!ナーナーナナーナナーナーナー、アーイ!
姫:・・・
女魔法使い:(ボイスパーカッションしているつもりで)トゥットゥットゥットゥットゥツー、ブッパブッブッパ!
姫:そ、それはボイパのつもりかしら?全然できてませんよ?
女魔法使い:(ヘドバンしながら)ヒィヤッ!イェアッ!セイヤッ!カマーン!
姫:ダメだ、これ以上見ていられない・・・魔法使い殿!
女魔法使い:姫たん、どうしたデスか!?急にノリが・・・・・・(絶句)
女魔法使い:『私に向けられる、数多くの視線。いつの間にか、姫様に仕える侍女が三人、部屋に入ってきていた』
女魔法使い:『それはすなわち、私の痴態(ちたい)をガッツリ見られたことを意味していた』
女魔法使い:『侍女たちは私を、死んだ魚のような目で・・・いや、死んだ魚を見るような目で見ていた』
女魔法使い:(おーーまいがーーー!!!)
姫:ま、魔法使い殿、落ちつかれましたか?
女魔法使い:(あれっ?姫、ちゃっかり「そっち側」の立ち位置に移ってる!)
女魔法使い:(てんめえ、ふざけんなよ!)
姫:皆の者、良いですか!いま見た事、決して口外してはなりません!
女魔法使い:いや、あの・・・
姫:私は何度も目にしてきました。過酷な戦いによって・・・心を病んでしまった人々を!
女魔法使い:(あれえ?私病人扱いされてるぅ?)
姫:この方は、紛れもなく世界を救った英雄です!その事に間違いはありません!
姫:多少、人格に問題があっても・・・ちょっとオツムの具合が残念だったとしても、この方は英雄なのです!
女魔法使い:(完璧ディスってるじゃん!)
姫:それに、この方はとても勇敢な方です!
女魔法使い:(ん?)
姫:先ほどのパフォーマンスを見ましたか?物凄く・・・スベっていましたよね?
女魔法使い:(おいヤメロ!)
姫:あんなに大火傷をしたのに、こんなに堂々として!流石、勇者様のお仲間です!
女魔法使い:(オメーがやらせたんだろうがあっ!!!)
姫:あんな醜態(しゅうたい)を晒して(さらして)しまったら、私なら生きていけません!
女魔法使い:(だったら今すぐ殺してやろうか?あーん?)
姫:この方を笑う者がいたら、私が許しませんよ!
女魔法使い:(私はアンタを許さないわよ!)
姫:この方は、私が責任を持って病院に連れて行きます。
女魔法使い:(ああー、今すぐコイツのポケットに入っている勇者のパンツを晒して(さらして)、コイツの本性を世間に知らしめてやりたい!)
女魔法使い:(でもやらない!姫が頭おかしいド変態だって知られたら、国家の一大事になっちゃうもの!)
女魔法使い:((ブチギレながら)私って何て常識的でえ!良い人なのかしらあああ!!)
姫:魔法使いたん!
女魔法使い:へ?
姫:もう大丈夫デス、侍女たちは含み笑いをしながら出ていったデスよ。
女魔法使い:(そう・・・誤解を解けないまま、行ってしまったのね。ああ、明日からどんな顔をして街を歩けば良いんだろう)
姫:・・・上手く誤魔化せたデスねえ。ワタチに感謝するデスよぉ。
女魔法使い:(うわあ、初めてモンスター以外の生物に殺意覚えた)
姫:そうだ、良い機会デス。魔法使いたんに聞きたいことがあるデス。
女魔法使い:(最終決戦ですら使わなかった最強魔法を、コイツにお見舞いしてやりたい)
姫:魔法使いたん!聞いてるデスか?
女魔法使い:うるせえ!
姫:(ドスを効かせて)あ?
女魔法使い:ひぃっ!すいません!
姫:ワレ、誰に口効いとんねん。
女魔法使い:(何で急に関西弁!この人何重人格なの?)
姫:そんな事より、教えて欲しい魔法があるデス!
女魔法使い:えっ?魔法を姫様に?
姫:はいデス!
女魔法使い:いやいや、無理ですよ。魔法を習得するには長年の修行が必要なんです。そんな一朝一夕に身につくものではありません。
姫:大丈夫、ワタチに不可能は無いデス!
女魔法使い:そう申されましても・・・ちなみに、どんな魔法なんですか?
姫:豊胸魔法デス!
女魔法使い:・・・は?
姫:胸を、ボイーン!のバイーン!にする魔法デス!
女魔法使い:・・・
姫:教えて下さいデス!
女魔法使い:・・・そんな魔法無いっスよ。
姫:・・・え?そんなハズ無いです!
女魔法使い:いや、本当に無いんです。
姫:嘘デス!本当は知ってるのに、隠してるデスね!
女魔法使い:だから、嘘じゃ無いんです。
姫:魔法使いたんには、ワタチのような胸が無い人の気持ちなんて分からないデス!だからそんな意地悪するデスね!
女魔法使い:違います!そうじゃ無くて・・・
姫:ワタチの事、胸が小っちゃいからってバカにしてるデスね!
女魔法使い:ひ、姫様。いや、私も・・・
姫:酷いデス!酷いデス!ワタチの胸がペッタンコだからって・・・あれっ?
女魔法使い:?
女魔法使い:『姫様の視線は、真っ直ぐ私の胸に向けられていた。』
姫:魔法使いたん・・・
女魔法使い:『やがて、私の肩にポンと手を置くと、一言こう言った』
姫:・・・ゴメン。
女魔法使い:(うるせえええええ!!)
女魔法使い:(アンタにだけは、その哀れむような、蔑む(さげすむ)ような目で見られたくないわよ!)
女魔法使い:(大体、私のはまだ「貧乳」で済むレベルよ!アンタのそれ何?もう「無乳」じゃない!)
姫:本当に、知らないデスか?
女魔法使い:知らないのでは無く、無いんです。そんな魔法あったら真っ先に私が・・・(咳払い)では無く、体の一部の見映えを良くする為だけの魔法など、存在しないのです。
姫:本当デスかあ?じゃあ、ワタチが試しにやってみるデス!
女魔法使い:・・・は?
姫:大いなる美の精霊よ、我が胸に豊かな実りを与えたまえ・・・
女魔法使い:(え?何その魔法?)
姫:ネエチャン・エエ・チチ・シテ・マンナー!
0:姫の胸が大きくなる。
女魔法使い:なん、だと?
姫:コンプリート、デス!
女魔法使い:(本当に胸が大きくなった?うらやま・・・じゃなくて、今のは何?)
女魔法使い:(魔力の動きからして、肉体強化魔法の応用?全然聞いたこと無い呪文だったけど)
姫:ほら、ちゃんとできるじゃ無いデスか!
女魔法使い:あの、姫様?
姫:何デスか?
女魔法使い:一体どこで魔法を修行なさったのですか?姫様が魔法を使えるなんて知りませんでした。
姫:ふっふっふっ・・・これで勉強したデス!
女魔法使い:『と言って、姫様は分厚い本を持ってきた』
女魔法使い:週刊「君も魔法使いになろう」?
姫:そうデス!
女魔法使い:(ああ、これってアレか。創刊号は半額だけど、全巻揃えると結局中古車一台分くらいの金額になるやつ)
姫:そこに書いてある通りにしたデスよ。
女魔法使い:((本を読みながら)うーん、間違った事は書いてないっぽいけど、肝心な所が抜けてるし、この内容だけじゃ初級魔法も使えないはずなのに)
女魔法使い:(本当にこの本だけで魔法が使えるようになったのだとしたら・・・)
女魔法使い:(この人、私より魔法の才能あるんじゃ・・・)
姫:でも、この魔法はまだ未完成デス!
女魔法使い:えっ?ちゃんと胸が大きくなったじゃないですか?
姫:これではせいぜい「Dカップ」デス!
女魔法使い:充分では?
姫:チッチッチッ・・・ワタチが目指しているのはモンスター爆乳・・・「Gカップ」デス!
女魔法使い:(「G」!?)
女魔法使い:(ABCDEFG!?)
女魔法使い:(ABCDEFG!!?)
女魔法使い:(そんなカップ数、この世に存在するわけが・・・)
姫:やはり、スライムが必要デス!
女魔法使い:スライム?あの、モンスターの?
姫:そうデス!
女魔法使い:なぜスライムを?
姫:スライムを豊胸パッド代わりにして、服の中に入れるデス!
女魔法使い:(そんな気持ち悪いことするの?コイツマジバカじゃん!)
姫:こうなったら、スライムを召喚するしか無いデスね!
女魔法使い:いやいやいや。魔王が死んで、全てのモンスターは消滅したんです。召喚なんか無理ですよ。
姫:やってみるデス!
女魔法使い:(まさか・・・いくらなんでも無理、よね?)
姫:大いなる闇の精霊よ、冥界の門を開き、邪悪の源(みなもと)を顕現(けんげん)させたまえ!
姫:サタン・フォール!
女魔法使い:キャアッ!
女魔法使い:『爆音と共に、黒い煙が部屋を覆い尽くした』
姫:(咳き込む)
女魔法使い:(咳き込みながら)姫様!大丈夫ですか?
姫:(咳き込みながら)大、丈夫デス。
女魔法使い:『少しずつ煙が晴れ、私たち二人以外に、その部屋にいる者の存在が明らかになっていった』
姫:成功デスか!?
女魔法使い:まさか本当にスライムを?
0:魔法使い、召喚された者の正体に気付く。
女魔法使い:・・・・・・嘘。
姫:ぬあああああ!失敗デス!これはスライムじゃ無いデス!
女魔法使い:ひ、姫様・・・
姫:何デスか?
女魔法使い:これ・・・・・・魔王です。
姫:・・・・・・へ?
女魔法使い:『こうして、復活した魔王との戦いの日々が、再び始まるのであった』
姫:めでたしめでたし。
女魔法使い:どこがやねん!
0:おわり