台本概要
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タイトル | バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺 |
---|---|
作者名 | 熊野むっち (@mucchi_0908) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【声劇配信時の規約】 ・配信時に作者名および作品名を記載 ※上記一点のみ必ずご対応くだされば、作者への連絡は不要です。 (投げ銭の有無、有償無償に関わらず) 999 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
千代子 | 女 | 88 | 甘利千代子(あまりちよこ)17歳女子高生。 クラスメートの零斗に片思い中。バレンタインに告白したい。 ※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男) |
チヨコ | 女 | 89 | 2カ月後の未来からやって来た甘利千代子。 自分の不幸な未来を変えるために、過去の自分に会いに来た。 ※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男) |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:
0:
:
:タイトル
: 【バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺】作・くまのムッチ
:
:登場人物
:
千代子:
千代子:(配役が決まったらここをタップしてください)
千代子:千代子(ちよこ)
千代子:甘利千代子(あまりちよこ)17歳女子高生。
千代子:クラスメートの零斗に片思い中。バレンタインに告白したい。
千代子:※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男)
:
チヨコ:
チヨコ:(配役が決まったらここをタップしてください)
チヨコ:チヨコ
チヨコ:2カ月後の未来からやって来た甘利千代子。
チヨコ:自分の不幸な未来を変えるために、過去の自分に会いに来た。
チヨコ:※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男)
:
:・
:
:・
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:・
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:
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:
チヨコ:千代子!今すぐ零くんに告白するの!
:
千代子:…え?
:
チヨコ:私は2カ月後の未来から来た、甘利千代子(あまり ちよこ)そう、あなた自身よ。
チヨコ:あなたはこのままだと、2カ月後の今日、4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬの!!
:
千代子:…はい?
:
チヨコ:今すぐ未来を変えるために行動しないと、あなた死ぬのよ!
:
千代子:…。
:
チヨコ:グズグズしてる暇はないの!1秒だって惜しいんだから!
:
千代子:えーっと、その、
:
チヨコ:何!?
:
千代子:少し、話を整理する時間をください。
:
チヨコ:(不服そうに)どうぞ。
:
千代子:あの、今、目の前に私そっくりの人が立ってるんで、あなたが未来から来た私っていうのは、とりあえず信じます。
千代子:…まだ、少し、信じられないけど。
:
チヨコ:…。
:
千代子:だって、私まだ誰にも相談した事ないのに、零くんの事も知ってるし…。
:
チヨコ:そりゃそうよ。だって私は2カ月後のあなたなんだから。
:
千代子:ですよね。でも、その、そこから先の話が…
:
チヨコ:あなたが死んじゃうって事?
:
千代子:うん、それも全然衝撃なんだけど。
:
チヨコ:驚くのも無理ないよね…。たった2カ月後の出来事だもん。
:
千代子:そう、そこもビックリ!私いまこんなにピンピンしてるのに、…でも、そこでもなくて…
:
チヨコ:もう!ハッキリ言って!早くしないとあなた2カ月後の今日、ジャージャー麺を食べて死ぬのよ!!
:
千代子:そこ!
:
チヨコ:え?
:
千代子:そこです!そこ!
千代子:
千代子:なんで、零くんに告白しないと、私ジャージャー麺を食べて、死ななきゃいけないんですか!?
千代子:そもそもなんでジャージャー麺を食べたら死ぬの!?
:
チヨコ:あ、そっか。
:
千代子:ちょっとその辺を一旦整理してもらわないと、頑張りようがないと言うか…。
:
チヨコ:わかったわ。じゃあ最初から順を追って説明するね。
チヨコ:明日、2月14日は何の日かわかるよね?
:
千代子:それはもちろん、わかります。バレンタインデーですよね。
:
チヨコ:そう。日本では女性が愛する男性にチョコレートを贈る日よね。
チヨコ:じゃあ1カ月後の3月14日は?
:
千代子:えっと、ホワイトデーです。
:
チヨコ:そうね。日本では男性がチョコレートのお返しに、マシュマロやクッキーを贈る日ね。
チヨコ:それじゃあ、さらにその1カ月後の4月14日は、何の日かわかるかしら?
:
千代子:え?
:
チヨコ:4月14日は何の日かって聞いてるの。
:
千代子:えーっと、(少し考えて)…はい?
:
チヨコ:だーかーらー!2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、じゃあ4月14日は何の日かって聞いてるの!?
:
千代子:ええ!?4月にも愛する男女が甘いお菓子を贈り合うイベントってありましたっけ?
:
チヨコ:ブラックデーよ。
:
千代子:はい?
:
チヨコ:4月14日はブラックデー。
チヨコ:2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデー、この二大恋愛イベントの力を借りても恋人を作ることが出来ず、4月14日を迎えてしまった者が、一人寂しく、真っ黒いソースのかかった韓国風ジャージャー麺を食べる…それがブラックデーよ!!
:
千代子:なるほど、それでブラックデーなのか…。
:
チヨコ:ブラックデー当日。その存在を知ったあなたはフラっと立ち寄った韓国中華の店でジャージャー麺をオーダーするの…。
チヨコ:そしてあなたは非業(ひごう)の死を遂げる…。
:
千代子:ちょちょ、ちょっと待って!間のところすっ飛ばし過ぎ!なんでジャージャー麺食べたくらいで死ぬの私!?
:
チヨコ:それは、その…(間)言えない。
:
千代子:ええ!?言えないってそんな!そこが一番大事なところでしょー!
:
チヨコ:とーにーかーくー!4月14日までに恋人を作れば、あなたはジャージャー麺を食べる事もないの!だから死の運命をからも逃れられるの!
:
千代子:えー!そんな無茶苦茶な…。
:
チヨコ:こんなうら若き乙女が!!命を燃やすような恋も経験しないまま!!死んでもいいって言うの!?
:
千代子:ひえー
:
チヨコ:私はまだ!死にたくないの!!いいから私を信じて、私の言う通りにして!!
:
千代子:は、はいー。わかりました!
:
チヨコ:それじゃあ、バレンタイン必勝作戦!…開始します!
:
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:
:・
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:・
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:・
:
:・
:
チヨコ:じゃあ早速、作戦会議しよっか。
:
千代子:あの、その前に質問いいですか?
:
チヨコ:どうぞ。
:
千代子:今ここに、作ったばかりのチョコレートがあるんですけど、
:
チヨコ:うん、あるね。
:
千代子:と言うことは、このチョコは、その、零くんには受け取ってもらえなかったって事なんですか?
:
チヨコ:うーん、そういう訳じゃないんだ。
:
千代子:えっ、じゃあ、勇気がでなくて、結局渡せなかったって事?
:
チヨコ:いや、それも違う。
:
千代子:えっ、それってどういう事?
:
チヨコ:その、つまり、
:
千代子:うん、
:
チヨコ:他の人に渡しちゃうの。
:
0:(間)
:
千代子:いやいやいや!そんな訳ないー!!
千代子:零くんの事を思って一生懸命作ったのに、他の人に渡しちゃうなんて、そんな事絶対あり得ないですー!!
:
チヨコ:うん、2カ月前の私もそう思ってた。ってか2カ月前の私って今のあなたなんだけどね…。
チヨコ:でもほんとにそうなるんだもん。
:
千代子:ええー!でも…
:
チヨコ:わかった。今から詳しく説明するから。
チヨコ:…バレンタインデー当日、あなたは登校中の零くんを待ち伏せして、心をこめて作った手作りチョコを渡そうとするの!
:
:
0:回想シーン
:
:
チヨコ:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
:
千代子:バズ美「ウェーイ!おっつー!千代子じゃん!千代子こんなとこでなにやってんの?」
:
チヨコ:あっ、クラスで一番口の軽い、蓮美(はすみ)。通称「拡散のバズ美(ばずみ)!!」
チヨコ:バズ美に知られたが最後、おもしろおかしく尾ヒレ背ヒレをつけられ、事実と異なる情報が独り歩きしてしまう。それだけは絶対に避けなければ…。
チヨコ:
チヨコ:(平静を装って)あ、蓮美。おはよー。
:
千代子:バズ美「千代子どうしたの?こんなとこに一人で珍しいじゃん。」
千代子:バズ美「(千代子の手に持っている物にすぐに気付いて)あー!なにそのプレゼント!ねえねえもしかしてそれって…」
:
チヨコ:えっ、違うよ。そういうのじゃ、ないよ。
:
千代子:バズ美「え?なになに?誰に渡すの?A組の江崎?それともB組の森永?…あっ、もしかして…世界史のブルボン先生!?」
:
チヨコ:いやいやいや、違うからほんと。そういうのじゃ、ないから。
:
千代子:バズ美「えー!なにー!?教えてよほんとー!ねえ誰にも言わないから。今聞いてすぐ忘れるからー!」
:
チヨコ:(絞りだすように)…とも…チョコ…。
:
千代子:バズ美「えーなに?」
:
チヨコ:えー!やだなー!これ友チョコだよ!いつも仲良くしてくれる、蓮美にお礼。
:
千代子:バズ美「えー!マジ!?嬉しい!ありがと千代子ー!!じゃあ今日のお弁当のあとに、みんなで食べよー!!」
:
:
0:回想シーン終わり
:
:
チヨコ:(ズビズビと鼻をすすって泣いている)
:
千代子:これは…ご愁傷さまです…。
:
チヨコ:ウワーン!バズ美に知られたくない一心でつい、とっさに…。
:
千代子:わかる。わかるよ私。こういう輩にまだ始まってもいない恋を潰されたくないもんね。
:
チヨコ:うう…グス。
:
千代子:大丈夫!元気だして!この未来を変えるために、貴女はここに来たんでしょ!
:
チヨコ:あっ、そうだった。
:
千代子:私にいい考えがあるの。
:
:
0:再び回想シーン。現在の千代子と未来のチヨコの配役が入れ替わる。
:
:
千代子:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
:
チヨコ:バズ美「ウェーイ!おっつー!千代子じゃん!千代子こんなとこでなにやってんの?」
:
千代子:あっ、クラスで一番口の軽い、蓮美(はすみ)。通称「拡散のバズ美(ばずみ)」!!
千代子:バズ美に知られたが最後、おもしろおかしく尾ヒレ背ヒレをつけられ、事実と異なる情報が独り歩きしてしまう。それだけは絶対に避けなければ…。
:
チヨコ:バズ美「ねえねえ、千代子どうしたの?」
:
千代子:あ、蓮美知ってた?耳より情報なんだけど、C組の明治、なんかこれから現国の不二家先生にチョコ渡しに行くらしいよ!!
:
チヨコ:バズ美「えっ!千代子、そマ!?それって激アツじゃん!すぐ見に行かなきゃ!!じゃね!(慌ててその場を立ち去る)」
:
千代子:…決まった!秘技!ゴシップ返し!!
千代子:あー!こんな事やってる場合じゃない!零くんに早く思いを届けなくっちゃ!
:
チヨコ:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)」
チヨコ:ユリ子「おや?君は…甘利(あまり)千代子さんじゃないか…。(クルっとターンして)クルッ、シュパッ…おはよう、素敵なモーニンだね。」
:
千代子:あっ、貴方は演劇部部長にして女子生徒の憧れの的、嵐が丘(あらしがおか)百合子先輩!通称「宙組(そらぐみ)のユリ子」!!
:
チヨコ:ユリ子「千代子君、こんな素敵なモーニンには、バレンシアの熱い花が似合う…」
:
千代子:はい?
:
チヨコ:ユリ子「千代子君、その手に持っているのは、何だい?」
:
千代子:あ、これは、その…
:
チヨコ:ユリ子「ノンノンノン。言葉にしなくてもわかる。それは…百合(ゆり)チョコだろう。」
:
千代子:え!?百合チョコ?
:
チヨコ:ユリ子「百合チョコ…それは百合関係にある女性同士のチョコレートの受け渡しの事を指す。」
:
千代子:ええっ!?違います!そもそも私、嵐が丘先輩と百合関係じゃないし!
:
チヨコ:ユリ子「通常、女性同士のチョコレートの受け渡しは友チョコだが、友情を超えた関係である女子同士で友チョコは、正直違和感を感じるところ…。」
:
千代子:ええっ!いやいやいや!!だから百合じゃないってば!!
:
チヨコ:ユリ子「さあ、千代子君、心の殻を破って、私の胸に飛び込んでおいで!」
:
千代子:わー!いやだー!!
:
:
0:回想シーン終わり。
:
:
チヨコ:一難去ってまた一難。
:
千代子:…それで、結局チョコは百合チョコとして嵐が丘先輩に取られちゃうのね。
:
チヨコ:そう。百合じゃないのに。
:
千代子:うーん、でも未来に起きる出来事がわかってるんだったら絶対なんとかなるって!
:
チヨコ:うん!もっかい作戦を立て直してみよう!
チヨコ:…じゃあ今度はこういうのはどうかな?
:
:
0:再び、回想シーン。現在の千代子と未来のチヨコの配役が入れ替わる。
:
:
チヨコ:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
:
千代子:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)」
千代子:ユリ子「おや?君は…甘利(あまり)千代子さんじゃないか…。(クルっとターンして)クルッ、シュパッ…おはよう、素敵なモーニンだね。」
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チヨコ:あっ、貴方は演劇部部長にして女子生徒の憧れの的、嵐が丘(あらしがおか)百合子先輩!通称「宙組(そらぐみ)のユリ子」!!
:
千代子:ユリ子「千代子君、こんな素敵なモーニンには、バレンシアの熱い花が似合う…」
:
チヨコ:(カバンから別の物を取り出し)百合子先輩、これ百合子先輩が前に見たいって言ってたDVDなんですけど…。
:
千代子:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで目を見開き)…クワッ!」
千代子:ユリ子「これは宙組伝説のトップ娘役「愛ちろる(あいちろる)」様の研究生時代のアトリエ公演「オペラ座のエリザベート」のDVD…!!」
千代子:
千代子:ユリ子「研究生時代から既にトップ娘役の道を約束された ちろる様が、たった一度だけ男役として舞台にあがった伝説のアトリエ公演。」
千代子:ユリ子「現在の可憐なちろる様からは想像もつかない、勇壮で、それでいて妖艶なお姿が拝める、今なお伝説として語り継がれる至高の公演「オペラ座のエリザベート」!!」
千代子:
千代子:ユリ子「ゴ、ゴクリ…。どうして君が、これを!?」
:
チヨコ:よかったら先輩にお貸ししますよ。
:
千代子:ユリ子「グラシアス!千代子…!こうしてはおれん!早速部員たちを集めて鑑賞会を開かねばっ!アデュッ!(慌ててその場を立ち去る)」
:
チヨコ:フウ…。ヅカファンのママのDVDコレクションがこんなところで役に立つとは…。
チヨコ:あとでちゃんと返してもらわないと、ママに殺されちゃうけどね…。
チヨコ:
チヨコ:よーし!今度こそ零くんに告白しなきゃ…。
:
千代子:ナツオ「おっ、甘利(あまり)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」
千代子:もしかして、先生の事探してたのかー!?」
:
チヨコ:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!!
チヨコ:人呼んで「バーストサマーナツオ」!!
:
千代子:ナツオ「どうした甘利!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」
:
チヨコ:ギクッ。そっ、そんな事、ないですよ~、熱川先生。
:
千代子:ナツオ「いや!先生にはわかる!わかるぞ!お前のその顔は、伝えられぬ恋に悩む、乙女の顔だっ!!」
:
チヨコ:いや、そんな…。
:
千代子:ナツオ「さあ、出しなさい。」
:
チヨコ:えっ?
:
千代子:ナツオ「チョコだよ!チョコ!手作りチョコ!昨日頑張って手作りしてきたんだろっ!?」
:
チヨコ:ええっ!
:
千代子:ナツオ「先生、お前の気持ちはよーく分かってるつもりだ。でも先生は仮にも聖職者、お前の気持ちをそのまま受け取る事は出来ない。
千代子:だから今回はお前からのチョコを、お世話になった人に贈る「世話チョコ」として受け取らせてもらう。」
:
チヨコ:ええー!そんなー!!
:
千代子:ナツオ「ふおっ!甘利ー!お前の気持ちに応えてやれなくてごめんなー!!」
:
チヨコ:いーやーだー!!
:
:
0:回想終わり。
:
:
千代子:これはまさに…悪夢ね…。
:
チヨコ:(泣いている)グスッ…なんでよりによって熱川なんかに…。
:
千代子:ダメだよ!私!諦めちゃダメ!ふたりならきっと乗り越えられる!
:
チヨコ:うん!もうここまで来たら腹を括ってやるしかない!
:
:
0:再び、回想シーン。現代の千代子と未来の千代子が入れ替わる。
:
:
千代子:よーし!今度こそ零くんに告白しなきゃ…。
:
チヨコ:ナツオ「おっ、甘利(あまり)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!
チヨコ:もしかして、先生の事探してたのかー!?」
:
千代子:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、熱川夏男(あつかわなつお)!!
千代子:人呼んで「バーストサマーナツオ」!!
:
チヨコ:ナツオ「どうした甘利!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」
:
千代子:…そうです!
:
チヨコ:ナツオ「えっ?」
:
千代子:そうです!恋です!でも、先生に対してではありません!決して!絶対に!未来永劫!
:
チヨコ:ナツオ「おいおい甘利、いきなりどうした~!?先生ビックリしちゃうじゃないか~!」
:
千代子:私これから、大好きな人に告白するんです!だから先生、どっか行ってください!
:
チヨコ:ナツオ「…ええっ!?」
:
千代子:いいから、どっか行って!(ナツオを突き飛ばして走り去る)
:
チヨコ:ナツオ「のわっ!おい!甘利!先生になんて事するんだー!(遠ざかっていく)」
:
:
0:駆け出す千代子。千代子の心にチヨコの思いも重なる。
:
:
千代子:(走りながら)千代子!私わかった!
:
チヨコ:うん!
:
千代子:私ずっと、告白する前に、みんなにバレたらどうしようとか、
千代子:フラれても現状維持できるように、こっそり告白した方がいいのかなあとか、上手くいかなかった時の事ばっか考えてた!!
:
チヨコ:うん!
:
千代子:でも、そんなんじゃダメだよね!私、未来の私に、チヨコに会えてわかったの!
千代子:ただ好きって伝えるだけじゃダメ!零くんとずっと一緒にいたいって伝えなきゃだめだよね!
:
チヨコ:…うん!
:
千代子:一緒に頑張ろう!
:
:
0:千代子、零のもとに駆け寄る。
:
:
千代子:(荒い息を整えて)零くん!
:
チヨコ:ずっと前から、大好きでした!
:
千代子:これ、零くんの事想って作ったチョコです!
:
チヨコ:よかったら、受け取ってください!
:
:
千代子:(同時に)私と付き合ってください!
チヨコ:(同時に)私と付き合ってください!
:
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千代子:未来の私とのシュミレーションの甲斐あって、なんとか零くんに思いを伝えられた私。
千代子:そしてなんとなんと!奇跡的に零くんと付き合う事になったのだ!
千代子:そしてなんとなんとなんと!今日が零くんとの初デートの日!
千代子:
千代子:
千代子:あーどうしよう!もうこんな時間なのに、着ていく服すら決まってない~!
千代子:ってか緊張し過ぎてぜんっぜん眠れなかった…。お肌のコンディションも最悪じゃね?
千代子:あーもう!
千代子:
千代子:でも、でも、でも…!
千代子:
千代子:(にまぁと笑って)…幸せ過ぎる~!!
千代子:零くんが!零きゅんが!きゅんきゅんが私の彼氏!!
千代子:そんな事ある~!?…もう私このまま死んじゃってもいいかも~!!
:
:
0:とその時、ブーンという機械音と共に一人の女性が現れる。
:
:
チヨコ:千代子!
:
千代子:(ニヤケ顔のまま)へ?
:
チヨコ:変わってない!
:
千代子:……え?
:
チヨコ:私たちの未来、変わってない!!
チヨコ:私たちやっぱり4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬわ!
:
千代子:ええーーーー!!!!
:
チヨコ:今度はふたりで3月14日に行って、ホワイトデーの運命を変えるわよ!
チヨコ:さあ!私に付いて来て!!
:
千代子:そ、そ、そんなあ~!!零きゅ~ん!!
:
:
0:閃光と共に、ふたりの姿が消える。
0:
0:終わり
:
0:
:
:タイトル
: 【バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺】作・くまのムッチ
:
:登場人物
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千代子:
千代子:(配役が決まったらここをタップしてください)
千代子:千代子(ちよこ)
千代子:甘利千代子(あまりちよこ)17歳女子高生。
千代子:クラスメートの零斗に片思い中。バレンタインに告白したい。
千代子:※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男)
:
チヨコ:
チヨコ:(配役が決まったらここをタップしてください)
チヨコ:チヨコ
チヨコ:2カ月後の未来からやって来た甘利千代子。
チヨコ:自分の不幸な未来を変えるために、過去の自分に会いに来た。
チヨコ:※兼ね役があります。(バズ美・ユリ子・熱川夏男)
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チヨコ:千代子!今すぐ零くんに告白するの!
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千代子:…え?
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チヨコ:私は2カ月後の未来から来た、甘利千代子(あまり ちよこ)そう、あなた自身よ。
チヨコ:あなたはこのままだと、2カ月後の今日、4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬの!!
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千代子:…はい?
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チヨコ:今すぐ未来を変えるために行動しないと、あなた死ぬのよ!
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千代子:…。
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チヨコ:グズグズしてる暇はないの!1秒だって惜しいんだから!
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千代子:えーっと、その、
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チヨコ:何!?
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千代子:少し、話を整理する時間をください。
:
チヨコ:(不服そうに)どうぞ。
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千代子:あの、今、目の前に私そっくりの人が立ってるんで、あなたが未来から来た私っていうのは、とりあえず信じます。
千代子:…まだ、少し、信じられないけど。
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チヨコ:…。
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千代子:だって、私まだ誰にも相談した事ないのに、零くんの事も知ってるし…。
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チヨコ:そりゃそうよ。だって私は2カ月後のあなたなんだから。
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千代子:ですよね。でも、その、そこから先の話が…
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チヨコ:あなたが死んじゃうって事?
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千代子:うん、それも全然衝撃なんだけど。
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チヨコ:驚くのも無理ないよね…。たった2カ月後の出来事だもん。
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千代子:そう、そこもビックリ!私いまこんなにピンピンしてるのに、…でも、そこでもなくて…
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チヨコ:もう!ハッキリ言って!早くしないとあなた2カ月後の今日、ジャージャー麺を食べて死ぬのよ!!
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千代子:そこ!
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チヨコ:え?
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千代子:そこです!そこ!
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千代子:なんで、零くんに告白しないと、私ジャージャー麺を食べて、死ななきゃいけないんですか!?
千代子:そもそもなんでジャージャー麺を食べたら死ぬの!?
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チヨコ:あ、そっか。
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千代子:ちょっとその辺を一旦整理してもらわないと、頑張りようがないと言うか…。
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チヨコ:わかったわ。じゃあ最初から順を追って説明するね。
チヨコ:明日、2月14日は何の日かわかるよね?
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千代子:それはもちろん、わかります。バレンタインデーですよね。
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チヨコ:そう。日本では女性が愛する男性にチョコレートを贈る日よね。
チヨコ:じゃあ1カ月後の3月14日は?
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千代子:えっと、ホワイトデーです。
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チヨコ:そうね。日本では男性がチョコレートのお返しに、マシュマロやクッキーを贈る日ね。
チヨコ:それじゃあ、さらにその1カ月後の4月14日は、何の日かわかるかしら?
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千代子:え?
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チヨコ:4月14日は何の日かって聞いてるの。
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千代子:えーっと、(少し考えて)…はい?
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チヨコ:だーかーらー!2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、じゃあ4月14日は何の日かって聞いてるの!?
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千代子:ええ!?4月にも愛する男女が甘いお菓子を贈り合うイベントってありましたっけ?
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チヨコ:ブラックデーよ。
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千代子:はい?
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チヨコ:4月14日はブラックデー。
チヨコ:2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデー、この二大恋愛イベントの力を借りても恋人を作ることが出来ず、4月14日を迎えてしまった者が、一人寂しく、真っ黒いソースのかかった韓国風ジャージャー麺を食べる…それがブラックデーよ!!
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千代子:なるほど、それでブラックデーなのか…。
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チヨコ:ブラックデー当日。その存在を知ったあなたはフラっと立ち寄った韓国中華の店でジャージャー麺をオーダーするの…。
チヨコ:そしてあなたは非業(ひごう)の死を遂げる…。
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千代子:ちょちょ、ちょっと待って!間のところすっ飛ばし過ぎ!なんでジャージャー麺食べたくらいで死ぬの私!?
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チヨコ:それは、その…(間)言えない。
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千代子:ええ!?言えないってそんな!そこが一番大事なところでしょー!
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チヨコ:とーにーかーくー!4月14日までに恋人を作れば、あなたはジャージャー麺を食べる事もないの!だから死の運命をからも逃れられるの!
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千代子:えー!そんな無茶苦茶な…。
:
チヨコ:こんなうら若き乙女が!!命を燃やすような恋も経験しないまま!!死んでもいいって言うの!?
:
千代子:ひえー
:
チヨコ:私はまだ!死にたくないの!!いいから私を信じて、私の言う通りにして!!
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千代子:は、はいー。わかりました!
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チヨコ:それじゃあ、バレンタイン必勝作戦!…開始します!
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チヨコ:じゃあ早速、作戦会議しよっか。
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千代子:あの、その前に質問いいですか?
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チヨコ:どうぞ。
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千代子:今ここに、作ったばかりのチョコレートがあるんですけど、
:
チヨコ:うん、あるね。
:
千代子:と言うことは、このチョコは、その、零くんには受け取ってもらえなかったって事なんですか?
:
チヨコ:うーん、そういう訳じゃないんだ。
:
千代子:えっ、じゃあ、勇気がでなくて、結局渡せなかったって事?
:
チヨコ:いや、それも違う。
:
千代子:えっ、それってどういう事?
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チヨコ:その、つまり、
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千代子:うん、
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チヨコ:他の人に渡しちゃうの。
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0:(間)
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千代子:いやいやいや!そんな訳ないー!!
千代子:零くんの事を思って一生懸命作ったのに、他の人に渡しちゃうなんて、そんな事絶対あり得ないですー!!
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チヨコ:うん、2カ月前の私もそう思ってた。ってか2カ月前の私って今のあなたなんだけどね…。
チヨコ:でもほんとにそうなるんだもん。
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千代子:ええー!でも…
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チヨコ:わかった。今から詳しく説明するから。
チヨコ:…バレンタインデー当日、あなたは登校中の零くんを待ち伏せして、心をこめて作った手作りチョコを渡そうとするの!
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0:回想シーン
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チヨコ:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
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千代子:バズ美「ウェーイ!おっつー!千代子じゃん!千代子こんなとこでなにやってんの?」
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チヨコ:あっ、クラスで一番口の軽い、蓮美(はすみ)。通称「拡散のバズ美(ばずみ)!!」
チヨコ:バズ美に知られたが最後、おもしろおかしく尾ヒレ背ヒレをつけられ、事実と異なる情報が独り歩きしてしまう。それだけは絶対に避けなければ…。
チヨコ:
チヨコ:(平静を装って)あ、蓮美。おはよー。
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千代子:バズ美「千代子どうしたの?こんなとこに一人で珍しいじゃん。」
千代子:バズ美「(千代子の手に持っている物にすぐに気付いて)あー!なにそのプレゼント!ねえねえもしかしてそれって…」
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チヨコ:えっ、違うよ。そういうのじゃ、ないよ。
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千代子:バズ美「え?なになに?誰に渡すの?A組の江崎?それともB組の森永?…あっ、もしかして…世界史のブルボン先生!?」
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チヨコ:いやいやいや、違うからほんと。そういうのじゃ、ないから。
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千代子:バズ美「えー!なにー!?教えてよほんとー!ねえ誰にも言わないから。今聞いてすぐ忘れるからー!」
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チヨコ:(絞りだすように)…とも…チョコ…。
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千代子:バズ美「えーなに?」
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チヨコ:えー!やだなー!これ友チョコだよ!いつも仲良くしてくれる、蓮美にお礼。
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千代子:バズ美「えー!マジ!?嬉しい!ありがと千代子ー!!じゃあ今日のお弁当のあとに、みんなで食べよー!!」
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0:回想シーン終わり
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チヨコ:(ズビズビと鼻をすすって泣いている)
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千代子:これは…ご愁傷さまです…。
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チヨコ:ウワーン!バズ美に知られたくない一心でつい、とっさに…。
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千代子:わかる。わかるよ私。こういう輩にまだ始まってもいない恋を潰されたくないもんね。
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チヨコ:うう…グス。
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千代子:大丈夫!元気だして!この未来を変えるために、貴女はここに来たんでしょ!
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チヨコ:あっ、そうだった。
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千代子:私にいい考えがあるの。
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0:再び回想シーン。現在の千代子と未来のチヨコの配役が入れ替わる。
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千代子:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
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チヨコ:バズ美「ウェーイ!おっつー!千代子じゃん!千代子こんなとこでなにやってんの?」
:
千代子:あっ、クラスで一番口の軽い、蓮美(はすみ)。通称「拡散のバズ美(ばずみ)」!!
千代子:バズ美に知られたが最後、おもしろおかしく尾ヒレ背ヒレをつけられ、事実と異なる情報が独り歩きしてしまう。それだけは絶対に避けなければ…。
:
チヨコ:バズ美「ねえねえ、千代子どうしたの?」
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千代子:あ、蓮美知ってた?耳より情報なんだけど、C組の明治、なんかこれから現国の不二家先生にチョコ渡しに行くらしいよ!!
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チヨコ:バズ美「えっ!千代子、そマ!?それって激アツじゃん!すぐ見に行かなきゃ!!じゃね!(慌ててその場を立ち去る)」
:
千代子:…決まった!秘技!ゴシップ返し!!
千代子:あー!こんな事やってる場合じゃない!零くんに早く思いを届けなくっちゃ!
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チヨコ:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)」
チヨコ:ユリ子「おや?君は…甘利(あまり)千代子さんじゃないか…。(クルっとターンして)クルッ、シュパッ…おはよう、素敵なモーニンだね。」
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千代子:あっ、貴方は演劇部部長にして女子生徒の憧れの的、嵐が丘(あらしがおか)百合子先輩!通称「宙組(そらぐみ)のユリ子」!!
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チヨコ:ユリ子「千代子君、こんな素敵なモーニンには、バレンシアの熱い花が似合う…」
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千代子:はい?
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チヨコ:ユリ子「千代子君、その手に持っているのは、何だい?」
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千代子:あ、これは、その…
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チヨコ:ユリ子「ノンノンノン。言葉にしなくてもわかる。それは…百合(ゆり)チョコだろう。」
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千代子:え!?百合チョコ?
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チヨコ:ユリ子「百合チョコ…それは百合関係にある女性同士のチョコレートの受け渡しの事を指す。」
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千代子:ええっ!?違います!そもそも私、嵐が丘先輩と百合関係じゃないし!
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チヨコ:ユリ子「通常、女性同士のチョコレートの受け渡しは友チョコだが、友情を超えた関係である女子同士で友チョコは、正直違和感を感じるところ…。」
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千代子:ええっ!いやいやいや!!だから百合じゃないってば!!
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チヨコ:ユリ子「さあ、千代子君、心の殻を破って、私の胸に飛び込んでおいで!」
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千代子:わー!いやだー!!
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0:回想シーン終わり。
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チヨコ:一難去ってまた一難。
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千代子:…それで、結局チョコは百合チョコとして嵐が丘先輩に取られちゃうのね。
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チヨコ:そう。百合じゃないのに。
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千代子:うーん、でも未来に起きる出来事がわかってるんだったら絶対なんとかなるって!
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チヨコ:うん!もっかい作戦を立て直してみよう!
チヨコ:…じゃあ今度はこういうのはどうかな?
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0:再び、回想シーン。現在の千代子と未来のチヨコの配役が入れ替わる。
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チヨコ:零くん、好き。今日こそ零くんに思いを伝えなくっちゃ…。
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千代子:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)」
千代子:ユリ子「おや?君は…甘利(あまり)千代子さんじゃないか…。(クルっとターンして)クルッ、シュパッ…おはよう、素敵なモーニンだね。」
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チヨコ:あっ、貴方は演劇部部長にして女子生徒の憧れの的、嵐が丘(あらしがおか)百合子先輩!通称「宙組(そらぐみ)のユリ子」!!
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千代子:ユリ子「千代子君、こんな素敵なモーニンには、バレンシアの熱い花が似合う…」
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チヨコ:(カバンから別の物を取り出し)百合子先輩、これ百合子先輩が前に見たいって言ってたDVDなんですけど…。
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千代子:ユリ子「(大げさに芝居がかった感じで目を見開き)…クワッ!」
千代子:ユリ子「これは宙組伝説のトップ娘役「愛ちろる(あいちろる)」様の研究生時代のアトリエ公演「オペラ座のエリザベート」のDVD…!!」
千代子:
千代子:ユリ子「研究生時代から既にトップ娘役の道を約束された ちろる様が、たった一度だけ男役として舞台にあがった伝説のアトリエ公演。」
千代子:ユリ子「現在の可憐なちろる様からは想像もつかない、勇壮で、それでいて妖艶なお姿が拝める、今なお伝説として語り継がれる至高の公演「オペラ座のエリザベート」!!」
千代子:
千代子:ユリ子「ゴ、ゴクリ…。どうして君が、これを!?」
:
チヨコ:よかったら先輩にお貸ししますよ。
:
千代子:ユリ子「グラシアス!千代子…!こうしてはおれん!早速部員たちを集めて鑑賞会を開かねばっ!アデュッ!(慌ててその場を立ち去る)」
:
チヨコ:フウ…。ヅカファンのママのDVDコレクションがこんなところで役に立つとは…。
チヨコ:あとでちゃんと返してもらわないと、ママに殺されちゃうけどね…。
チヨコ:
チヨコ:よーし!今度こそ零くんに告白しなきゃ…。
:
千代子:ナツオ「おっ、甘利(あまり)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」
千代子:もしかして、先生の事探してたのかー!?」
:
チヨコ:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!!
チヨコ:人呼んで「バーストサマーナツオ」!!
:
千代子:ナツオ「どうした甘利!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」
:
チヨコ:ギクッ。そっ、そんな事、ないですよ~、熱川先生。
:
千代子:ナツオ「いや!先生にはわかる!わかるぞ!お前のその顔は、伝えられぬ恋に悩む、乙女の顔だっ!!」
:
チヨコ:いや、そんな…。
:
千代子:ナツオ「さあ、出しなさい。」
:
チヨコ:えっ?
:
千代子:ナツオ「チョコだよ!チョコ!手作りチョコ!昨日頑張って手作りしてきたんだろっ!?」
:
チヨコ:ええっ!
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千代子:ナツオ「先生、お前の気持ちはよーく分かってるつもりだ。でも先生は仮にも聖職者、お前の気持ちをそのまま受け取る事は出来ない。
千代子:だから今回はお前からのチョコを、お世話になった人に贈る「世話チョコ」として受け取らせてもらう。」
:
チヨコ:ええー!そんなー!!
:
千代子:ナツオ「ふおっ!甘利ー!お前の気持ちに応えてやれなくてごめんなー!!」
:
チヨコ:いーやーだー!!
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0:回想終わり。
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千代子:これはまさに…悪夢ね…。
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チヨコ:(泣いている)グスッ…なんでよりによって熱川なんかに…。
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千代子:ダメだよ!私!諦めちゃダメ!ふたりならきっと乗り越えられる!
:
チヨコ:うん!もうここまで来たら腹を括ってやるしかない!
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:
0:再び、回想シーン。現代の千代子と未来の千代子が入れ替わる。
:
:
千代子:よーし!今度こそ零くんに告白しなきゃ…。
:
チヨコ:ナツオ「おっ、甘利(あまり)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!
チヨコ:もしかして、先生の事探してたのかー!?」
:
千代子:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、熱川夏男(あつかわなつお)!!
千代子:人呼んで「バーストサマーナツオ」!!
:
チヨコ:ナツオ「どうした甘利!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」
:
千代子:…そうです!
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チヨコ:ナツオ「えっ?」
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千代子:そうです!恋です!でも、先生に対してではありません!決して!絶対に!未来永劫!
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チヨコ:ナツオ「おいおい甘利、いきなりどうした~!?先生ビックリしちゃうじゃないか~!」
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千代子:私これから、大好きな人に告白するんです!だから先生、どっか行ってください!
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チヨコ:ナツオ「…ええっ!?」
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千代子:いいから、どっか行って!(ナツオを突き飛ばして走り去る)
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チヨコ:ナツオ「のわっ!おい!甘利!先生になんて事するんだー!(遠ざかっていく)」
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0:駆け出す千代子。千代子の心にチヨコの思いも重なる。
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千代子:(走りながら)千代子!私わかった!
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チヨコ:うん!
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千代子:私ずっと、告白する前に、みんなにバレたらどうしようとか、
千代子:フラれても現状維持できるように、こっそり告白した方がいいのかなあとか、上手くいかなかった時の事ばっか考えてた!!
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チヨコ:うん!
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千代子:でも、そんなんじゃダメだよね!私、未来の私に、チヨコに会えてわかったの!
千代子:ただ好きって伝えるだけじゃダメ!零くんとずっと一緒にいたいって伝えなきゃだめだよね!
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チヨコ:…うん!
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千代子:一緒に頑張ろう!
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0:千代子、零のもとに駆け寄る。
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千代子:(荒い息を整えて)零くん!
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チヨコ:ずっと前から、大好きでした!
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千代子:これ、零くんの事想って作ったチョコです!
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チヨコ:よかったら、受け取ってください!
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千代子:(同時に)私と付き合ってください!
チヨコ:(同時に)私と付き合ってください!
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千代子:未来の私とのシュミレーションの甲斐あって、なんとか零くんに思いを伝えられた私。
千代子:そしてなんとなんと!奇跡的に零くんと付き合う事になったのだ!
千代子:そしてなんとなんとなんと!今日が零くんとの初デートの日!
千代子:
千代子:
千代子:あーどうしよう!もうこんな時間なのに、着ていく服すら決まってない~!
千代子:ってか緊張し過ぎてぜんっぜん眠れなかった…。お肌のコンディションも最悪じゃね?
千代子:あーもう!
千代子:
千代子:でも、でも、でも…!
千代子:
千代子:(にまぁと笑って)…幸せ過ぎる~!!
千代子:零くんが!零きゅんが!きゅんきゅんが私の彼氏!!
千代子:そんな事ある~!?…もう私このまま死んじゃってもいいかも~!!
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0:とその時、ブーンという機械音と共に一人の女性が現れる。
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チヨコ:千代子!
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千代子:(ニヤケ顔のまま)へ?
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チヨコ:変わってない!
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千代子:……え?
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チヨコ:私たちの未来、変わってない!!
チヨコ:私たちやっぱり4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬわ!
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千代子:ええーーーー!!!!
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チヨコ:今度はふたりで3月14日に行って、ホワイトデーの運命を変えるわよ!
チヨコ:さあ!私に付いて来て!!
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千代子:そ、そ、そんなあ~!!零きゅ~ん!!
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0:閃光と共に、ふたりの姿が消える。
0:
0:終わり