台本概要

 673 views 

タイトル バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺リターンズ
作者名 熊野むっち  (@mucchi_0908)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男2)
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【声劇配信時の規約】
・配信時に作者名および作品名を記載
※上記一点のみ必ずご対応くだされば、作者への連絡は不要です。
(投げ銭の有無、有償無償に関わらず)

 673 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
稀彦 94 稀彦(まれひこ) 摩周稀彦(ましゅうまれひこ)愛称稀彦。17歳男子高生。 ひとつ年上の先輩、ショコラ先輩に片思い中。卒業式までに告白したい。 ※兼ね役があります。(ブル・凶二・熱川夏男)
君麻呂 93 君麻呂(きみまろ) 摩周君麻呂(ましゅうきみまろ)平安時代からやって来た稀彦の先祖。 摩周家の滅亡を防ぐため、未来の子孫に会いに来た。 ※兼ね役があります。(稀彦・ブル・凶二・熱川夏男・鎧武者)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
: 0: : :タイトル : 【バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺リターンズ】作・くまのムッチ : :登場人物 : 稀彦: 稀彦:(配役が決まったらここをタップしてください) 稀彦:稀彦(まれひこ) 稀彦:摩周稀彦(ましゅうまれひこ)愛称稀彦。17歳男子高生。 稀彦:ひとつ年上の先輩、ショコラ先輩に片思い中。卒業式までに告白したい。 稀彦:※兼ね役があります。(ブル・凶二・熱川夏男) : 君麻呂: 君麻呂:(配役が決まったらここをタップしてください) 君麻呂:君麻呂(きみまろ) 君麻呂:摩周君麻呂(ましゅうきみまろ)平安時代からやって来た稀彦の先祖。 君麻呂:摩周家の滅亡を防ぐため、未来の子孫に会いに来た。 君麻呂:※兼ね役があります。(稀彦・ブル・凶二・熱川夏男) : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 君麻呂:稀彦(まれひこ)!今すぐショコラ先輩に告白するのじゃ! : 稀彦:…え? : 君麻呂:マロは遥か1200年前の平安時代からやって来た、摩周君麻呂(ましゅうきみまろ)お主の御先祖様じゃ。 君麻呂:お主このままじゃと、1カ月後の今日、4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬぞよ!! : 稀彦:…はい? : 君麻呂:今すぐ未来を変えるために行動せぬと、お主死ぬぞ! : 稀彦:…。 : 君麻呂:なに鳩が豆鉄砲食らったような顔をしておる!シャキッとせんか!シャキッと! : 稀彦:えーっと、その、 : 君麻呂:何じゃ!? : 稀彦:少し、話を整理する時間をください。 : 君麻呂:(不服そうに)よかろう。 : 稀彦:あの、今、目の前に、体スケスケの、白塗りの亡霊が立ってるんで、あなたが僕の御先祖様だっていうのは、とりあえず信じます。 稀彦:…えと、手の込んだドッキリじゃ…なければ。 : 君麻呂:馬鹿を申すでない! : 稀彦:それに、僕まだ誰にも相談した事ないのに、ショコラ先輩の事も知ってるし…。 : 君麻呂:そりゃ何でもお見通しじゃ。マロは1200年前の過去から来た、お主の御先祖様なのじゃからな。 : 稀彦:ですよね。でも、その、そこから先の話が… : 君麻呂:お主が死んじゃうって事? : 稀彦:うん、それも全然衝撃なんだけど。 : 君麻呂:驚くのも無理はない…。たった1カ月後の出来事じゃからのう。 : 稀彦:いや、まあ確かにそこもビックリなんだけど…。僕今めちゃくちゃ元気だし。…でも、そこでもなくて… : 君麻呂:こりゃ!ハッキリと申せ!早うせぬとお主は1カ月後の今日、ジャージャー麺を食べて死ぬのじゃぞ!! : 稀彦:そこ! : 君麻呂:え? : 稀彦:そこです!そこ! 稀彦: 稀彦:なんで、ショコラ先輩に告白しないと、僕ジャージャー麺を食べて、死ななきゃいけないんですか!? 稀彦:そもそもなんでジャージャー麺を食べたら死ぬの!? : 君麻呂:あ、そっか。 : 稀彦:ちょっとその辺を一旦整理してもらわないと、頑張りようがないと言うか…。 : 君麻呂:あいわかった。では最初から順を追って説明しよう。 君麻呂:先月の2月14日は何の日じゃったか覚えておるかの? : 稀彦:えっと、バレンタインデーです。 : 君麻呂:そうじゃな。現代の日本では女性が愛する男性にチョコレートを贈る日じゃな。 君麻呂:では明日、3月14日は何の日かわかっておるな? : 稀彦:それはもちろん、わかります。ホワイトデーですよね。 : 君麻呂:そうじゃ。現代の日本では男性がチョコレートのお返しに、マシュマロやクッキーを贈る日じゃの。 : 稀彦:あの、御先祖様? : 君麻呂:何じゃ? : 稀彦:1200年前の平安時代からやってきたのに、現代の日本のイベント事情に詳しすぎません? : 君麻呂:うるさい!お主の命を救うため、現代のジャパニーズカルチャーをフィールドワークでスタディしたのじゃ! : 稀彦:はあ… : 君麻呂:話を元に戻すぞ! 君麻呂:それじゃあ、さらにその1カ月後の4月14日は、何の日か知っておるか? : 稀彦:え? : 君麻呂:4月14日は何の日か聞いておるのじゃ! : 稀彦:えーっと、(少し考えて)…はい? : 君麻呂:だーかーらー!2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、ならば4月14日は何の日か聞いておるのじゃ!? : 稀彦:ええ!?4月にも愛する男女が甘いお菓子を贈り合うイベントってありましたっけ? : 君麻呂:ブラックデーじゃ。 : 稀彦:はい? : 君麻呂:4月14日はブラックデー。 君麻呂:2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデー、この二大恋愛イベントの力を借りても恋人を作ることが出来ず、4月14日を迎えてしまった者が、一人寂しく、真っ黒いソースのかかった韓国風ジャージャー麺を食べる…それがブラックデーぞ!! : 稀彦:なるほど、それでブラックデーなのか…。 : 君麻呂:ブラックデー当日。その存在を知ったお主はフラっと立ち寄った韓国中華の店でジャージャー麺をオーダーする…。 君麻呂:そしてお主は非業(ひごう)の死を遂げるのじゃ…。 : 稀彦:ちょちょ、ちょっと待って!間のところすっ飛ばし過ぎ!なんでジャージャー麺食べたくらいで死ぬんですか!? : 君麻呂:それは、その…(間)言えぬ。 : 稀彦:ええ!?言えぬってそんな!そこ一番大事なとこでしょー! : 君麻呂:とーにーかーくー!4月14日までに恋人を作れば、お主はジャージャー麺を食べる事もないのじゃ!死の運命から逃れるにはそれしかない! : 稀彦:えー!そんな無茶苦茶な…。 : 君麻呂:1300年前から脈々と受け継がれた我が摩周家(ましゅうけ)の血筋が、こんなつまらぬ理由で絶えても良いと申すか! 君麻呂:貴様そのような事で、ご先祖様に何と申し開き致すのじゃ!? : 稀彦:ひえー : 君麻呂:よいからマロを信じるのじゃ!信じる者は救われるじゃぞ!!! : 稀彦:は、はいー。わかりました!…ってかそれキリスト… : 君麻呂:(遮って)ならばホワイトデー必勝作戦!…開始でおじゃる! : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 君麻呂:では早速、作戦会議と参ろうかの。 : 稀彦:あの、その前にちょっといいですか? : 君麻呂:なんじゃ。 : 稀彦:その、ホワイトデーなので、本当だったら、お返しにマシュマロやキャンディを渡すとこだと思うんですけど。 : 君麻呂:うむ、そうじゃの。 : 稀彦:僕、ショコラ先輩に明日、どうしても渡したいものがあって。 : 君麻呂:ほう。 : 稀彦:明日、先輩の卒業式なんです。卒業して会えなくなる前に、どうしてもお祝いの花束を渡したくって! : 君麻呂:稀彦(まれひこ)!いとおかしなアイデアじゃ!! : 稀彦:ありがとうございます!御先祖様!! : 君麻呂:その…なかなかに、いとおかしなアイデアなのじゃが、残念ながらその花束はの、 : 稀彦:はあ… : 君麻呂:他の者に渡してしまうのじゃ。 : 0:(間) : 稀彦:いやいやいや!そんな訳ないー!! 稀彦:ショコラ先輩の事を思って一生懸命考えたのに、他の人に渡しちゃうなんて、そんな事絶対あり得ないですー!! : 君麻呂:でもほんとにそうなるんじゃもん。 君麻呂:マロこの目で見てきたんじゃもん。 : 稀彦:ええー!でも… : 君麻呂:わかった。今から詳しく説明するでおじゃる。 君麻呂:…ホワイトデー当日、お主は卒業式を終えて校門を出るショコラ先輩を待ち伏せして、用意しておいた花束を渡そうとするのじゃ!その時… : : 0:回想シーン : : 稀彦:ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう! : 君麻呂:ブル「クォルアー!稀彦(まれひこ)!!こんなとこで何やっとんじゃゴルァ!!」 : 稀彦:あっ、アイツは学校一のワル、阿修羅坂ブル丸(あしゅらざかブルまる)。通称「ろくでなしのブル」!! 稀彦:今や絶滅危惧種の昭和ツッパリスタイルに生徒指導の先生も手を焼く荒くれ者、アイツにだけは絶対に知られたくない…。 稀彦: 稀彦:(平静を装って)あ、阿修羅坂先輩。卒業おめでとうございます。 : 君麻呂:ブル「グォラァー!稀彦!ガン飛ばしてんじゃねえぞシャバゾウが!」 : 稀彦:いやいや飛ばしてないです!ガン飛ばしてないです!僕! : 君麻呂:ブル「だったらこんなとこまで来て何の用だ?アァ~!?」 : 稀彦:いやその、それは、先輩におめでとうございますって言いたくて…。 : 君麻呂:ブル「あ?お前なに花束なんて持ってんだコラ! 君麻呂:   まさかおめえ、俺様の、この支配からの卒業を祝ってくれてんのかコラァ!?」 : 稀彦:いやいやいや…違います違います。そういう訳では決してないです! : 君麻呂:ブル「気に入ったぜ!稀彦!おめえは今日から俺の舎弟だ!」 君麻呂:   ピリオドの向こうへ連れてってやんよ!キャオラッ!」 : 稀彦:うわー!やーめーてくれー! : : 0:回想シーン終わり : : 稀彦:(ズビズビと鼻をすすって泣いている) : 君麻呂:わかったかの。こうしてお主は結局、ショコラ先輩に思いを告げる事は出来ぬのじゃ。 : 稀彦:こんな未来やだー!これでもうショコラ先輩に会えなくなるなんて!やだよー! : 君麻呂:無論マロも困る。我が摩周家の血を絶やす訳にはいかんのでな。 稀彦:うう…グス。 : 君麻呂:安心せい!この悲しき未来を変えるため、マロが来たのでおじゃろうが! : 稀彦:あっ、そうだった。 : 君麻呂:…よく聞け。マロに妙案がおじゃる。 : : 0:再び回想シーン。稀彦と君麻呂の配役が入れ替わる。 : : 君麻呂:稀彦「ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう!」 : 稀彦:ブル「クォルアー!稀彦(まれひこ)!!こんなとこで何やっとんじゃゴルァ!!」 : 君麻呂:稀彦「あっ、アイツは学校一のワル、阿修羅坂ブル丸(あしゅらざかブルまる)。通称「ろくでなしのブル」!! 君麻呂:   今や絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)の昭和ツッパリスタイルに、生徒指導の先生も手を焼く荒くれ者、アイツにだけは絶対に知られたくない…。」 君麻呂: :   稀彦「(平静を装って)あ、阿修羅坂先輩。卒業おめでとうございます。」 : 稀彦:ブル「グォラァー!稀彦!ガン飛ばしてんじゃねえぞシャバゾウが!」 : 君麻呂:稀彦「そんな事より大変です!阿修羅坂先輩!」 君麻呂:  「この卒業式を狙って県立黒渦(くろうず)水産高校、略してクローズ水産の連中がウチに襲撃をかける計画を立ててるんです!!」 : 稀彦:ブル「んだとゴラァ!上等だゴラァ!?ヒロシ!トオル!今すぐ兵隊集めてこいやゴラァ! 稀彦:  「(決め台詞)ハッ!ハードラックとダンスしてやんよ!(慌ててその場を立ち去る)」 : 君麻呂:稀彦「決まった!秘技「ヤンキーを以ってツッパリを制す」っ! 君麻呂:   あっ、こんな事言ってる場合じゃない、早くしなきゃショコラ先輩が帰っちゃう!」 : 稀彦:凶二「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)おや、君は摩周君じゃないか。」 稀彦:  「クックック…。君と僕がこうやって出会うのもまた、アカシックレコードに刻まれた、魂の因果律(いんがりつ)なのだな…。」 : 君麻呂:稀彦「あっ、貴方は思春期特有の妄言(もうげん)を繰り返し、いつも周囲をドン引きさせている 君麻呂:   宝蔵院凶二(ほうぞういんきょうじ)!通称「黒翼の堕天使・凶二(こくよくのだてんし・きょうじ))」!! 君麻呂: 君麻呂:稀彦「(平静を装って)あ、宝蔵院先輩。卒業おめでとうございます。」 : 稀彦:凶二「間もなく逢魔が時(おうまがとき)…道理で右眼が疼きやがる。 稀彦:   ハンッ!これが幻肢痛(ファントム・ペイン)ってやつか…」 : 君麻呂:稀彦「ダメだ。何言ってるか全然わかんないや。」 : 稀彦:凶二「(遮って)バイザウェイ、ミスター摩周。その手に握られた物は…何かね?」 : 君麻呂:稀彦「(手に持った花束を後ろに隠して)あ、これは、その…」 : 稀彦:凶二「汝(なんじ)、その花を贄(にえ)として捧げよ。」 : 君麻呂:稀彦「はい?」 : 稀彦:凶二「その花束を来たる聖戦、ワルプルギスの夜のサクリファイスとしてコミットするのだ!」 : 君麻呂:稀彦「コミットだけ聞き取れた。」 : 稀彦:凶二「さあ!捧げよ!さすればその刃(やいば)はマクスウェルの悪魔に抗する(こうする)ゲイボルグとならん! : 君麻呂:稀彦「わー!何言ってんだよー!のわー!やーめーろー!!」 : : 0:回想シーン終わり。 : : 君麻呂:一難去ってまた一難。 : 稀彦:…それで、訳も分からぬまま、花束は宝蔵院先輩に取られちゃうんですね。 : 君麻呂:そうじゃ。 : 稀彦:うーん、でも未来に起きる出来事がわかってるんだったら絶対なんとかなりますって! : 君麻呂:うむ。ならばもう一度作戦を立て直してみるかの。 : 稀彦:…だったら今度はこういうのはどうでしょうか? : : 0:再び、回想シーン。稀彦と君麻呂の配役が入れ替わる。 : : 稀彦:ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう! : 君麻呂:凶二「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)おや、君は摩周君じゃないか。」 君麻呂:  「クックック…。君と僕がこうやって出会うのもまた、アカシックレコードに刻まれた、魂の因果律(いんがりつ)なのだな…。」 : 稀彦:あっ、貴方は思春期特有の妄言(もうげん)を繰り返し、いつも周囲をドン引きさせている 稀彦:宝蔵院凶二(ほうぞういんきょうじ)!通称「黒翼の堕天使・凶二(こくよくのだてんし・きょうじ))」!! 稀彦: 稀彦:(平静を装って)あ、宝蔵院先輩。卒業おめでとうございます。 : 君麻呂:凶二「間もなく逢魔が時(おうまがとき)…道理で右眼が疼きやがる。 君麻呂:   ハンッ!これが幻肢痛【ファントム・ペイン】ってやつか…」 : 稀彦:黒翼の堕天使・凶二…いや、怠惰(たいだ)を司る魔神ベルフェゴールに愛されし者よ…。 : 君麻呂:凶二「(何故か同調して)ハッ、その声は、我が師、アズライール様!」 : 稀彦:凶二、気付いているか?程なくして最終審判【ラストジャッジメント】が始まろうとしている。 : 君麻呂:凶二「ゴ、ゴクリ…最終審判【ラストジャッジメント】だと!?」 : 稀彦:最終審判【ラストジャッジメント】を食い止める事が出来るのは、アドリアスの糸にして、電離気体集団【プラズマクラスター】の末裔たる凶二、お前だけだ。 : 君麻呂:凶二「はい!アズライール様!!」 : 稀彦:地球穿つ(ほしうがつ)、神界の理(しんかいのことわり)… : 君麻呂:凶二「ゆりかごを揺らす手は、シナプスの微笑み…。」 : 稀彦:ゆけい!凶二!!今こそその力見せる時! : 君麻呂:凶二「(口で電子音の真似をして)ピッ、ピッ、メサイアモード起動…」 君麻呂:   (口で)キュイイイイン…ワープ航行を開始します!ブオオォン!(慌ててその場を立ち去る)」 : 稀彦:フウ…誰にも知られたくない僕の黒歴史が、こんな時に役に立つとは…。 稀彦: 稀彦:よーし!今度こそショコラ先輩に告白しなきゃ…。 : 君麻呂:ナツオ「おっ、摩周(ましゅう)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」 君麻呂:もしかして、先生の事探してたのかー!?」 : 稀彦:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!! 稀彦:人呼んで「バーストサマーナツオ」!! : 君麻呂:ナツオ「どうした摩周!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」 : 稀彦:ギクッ。そっ、そんな事、ないですよ~、熱川先生。 : 君麻呂:ナツオ「いや!先生にはわかる!わかるぞ!お前のその顔は、伝えられぬ恋に悩む、少年の顔だっ!!」 : 稀彦:いや、そんな…。 : 君麻呂:ナツオ「さあ、出しなさい。」 : 稀彦:えっ? : 君麻呂:ナツオ「マシュマロか、キャンディか、はたまた花束のプレゼントか知らんが全部没収だよ。出しなさい。」 : 稀彦:ええっ! : 君麻呂:ナツオ「先生、先月のバレンタインデーで、世話チョコひとつも貰えなかったばかりか、目の前で愛だ恋だと大騒ぎする生徒たちをたくさん見てな。ちょっと考えを改めたんだ。 君麻呂:…先生の目の黒いうちは、なんびとたりともホワイトデーはプレゼントの持ち込み禁止だ!よってお前の花束も先生が預からせてもらう! : 稀彦:ええー!そんなー!! : 君麻呂:ナツオ「ふおっ!摩周ー!これもお前たちが立派な大人になるためにやってるんだぞー!!」 : 稀彦:いーやーだー!! : : 0:回想終わり。 : : 君麻呂:これはまさに…悪夢じゃの…。 : 稀彦:(泣いている)グスッ…なんでよりによって熱川なんかに…。 : 君麻呂:泣くな!稀彦!諦めたらそこで試合終了じゃ!お主とマロのふたりで乗り越えようぞ! : 稀彦:うん!もうここまで来たらやぶれかぶれだ! : : 0:再び、回想シーン。稀彦と君麻呂が入れ替わる。 : : 君麻呂:よーし!今度こそショコラ先輩に告白しなきゃ…。 : 稀彦:ナツオ「おっ、摩周(ましゅう)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」 稀彦:もしかして、先生の事探してたのかー!?」 : 君麻呂:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!! 君麻呂:人呼んで「バーストサマーナツオ」!! : 稀彦:ナツオ「どうした摩周!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」 : 君麻呂:そうです! : 稀彦:ナツオ「えっ?」 : 君麻呂:そうです!恋です!でも先生には何の関係もありませんし、口出しもしてもらいたくありません! : 稀彦:ナツオ「おいおい摩周、いきなりどうした~!?先生はただ持ち物検査をしようと思ってだなあ~!」 : 君麻呂:校則なんてどうだっていい!僕には今日しかないんです!だから先生、どっか行ってください! : 稀彦:ナツオ「…ええっ!?」 : 君麻呂:いいから、どっか行けって!(ナツオを突き飛ばして走り去る) : 稀彦:ナツオ「のわっ!おい!摩周!先生になんて事するんだー!(遠ざかっていく)」 : : 0:駆け出す稀彦。稀彦の心に君麻呂の思いも重なる。 : : 稀彦:(走りながら)御先祖様!僕ようやくわかりました! : 君麻呂:うむ! : 稀彦:僕なんかが好きになって良いのかなとか、先輩にはもっと相応しい人がいるんじゃないかとか、そんな事ばっか考えてました! : 君麻呂:うむ! : 稀彦:まず思いを伝えなきゃ!すごく、すごく好きだっていうこの気持ちを伝えなきゃ! 稀彦:だってこんなに好きなんだよ、僕。ショコラ先輩に相応しい男にだって、きっとなれるよ! : 君麻呂:そうじゃ。よう言うたぞ稀彦(まれひこ)よ。それでこそ摩周家のおのこじゃ! : 稀彦:御先祖様!どうか僕の事、見守っててください! : : 0:稀彦、ショコラ先輩のもとに駆け寄る。 : : 稀彦:(荒い息を整えて)ショコラ先輩! : 君麻呂:ずっとずっと、大好きでした! : 稀彦:これ、先輩の事を想って用意した花です! : 君麻呂:ガーベラです。花言葉は【希望と前進】。 : : 稀彦:(同時に)僕と付き合ってください! 君麻呂:(同時に)僕と付き合ってください! : : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 稀彦:御先祖様とのシュミレーションの甲斐あって、なんとかショコラ先輩に思いを伝えられた僕 稀彦:そしてなんとなんと!奇跡的にショコラ先輩と付き合う事になったのだ! 稀彦:そしてなんとなんとなんと!今日がショコラ先輩との初デートの日! 稀彦: 稀彦: 稀彦:あーどうしよう!もうこんな時間なのに、着ていく服すら決まってない~! 稀彦:ってか緊張し過ぎてぜんっぜん眠れなかった…。髪だっていまいち決まってない気がするし…。 稀彦:あーもう! 稀彦: 稀彦:でも、でも、でも…! 稀彦: 稀彦:(にまぁと笑って)…幸せ過ぎる~!! 稀彦:ショコラ先輩が!ショコラちゃんが!ショコたんが僕の彼女!! 稀彦:そんな事ある~!?…もう僕このまま死んじゃってもいいかも~!! : : 0:とその時、ブーンという機械音と共に一人の鎧武者が現れる。 : : 君麻呂:鎧武者「稀彦殿(まれひこどの)!」 : 稀彦:(ニヤケ顔のまま)へ? : 君麻呂:鎧武者「変わっておらぬぞ!」 : 稀彦:……え? : 君麻呂:鎧武者「拙者は500年前の戦国時代からやって来た、摩周麻呂座衛門(ましゅうまろざえもん)お主の御先祖様じゃ!」 君麻呂:    お主の未来は変わっておらぬ! 君麻呂:    お主やはり4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬぞ! : 稀彦:ええーーーー!!!! : 君麻呂:鎧武者「こうなったらワシと君麻呂殿の3人で4月14日に行って、ブラックデーの運命を変える他ない!」 君麻呂:さあ!拙者に付いてまいられよ!」 : 稀彦:そ、そ、そんなあ~!!ショコラせんぱ~い!! : : 0:閃光と共に、ふたりの姿が消える。 0: 0:終わり

: 0: : :タイトル : 【バック・トゥ・ザ・ジャージャー麺リターンズ】作・くまのムッチ : :登場人物 : 稀彦: 稀彦:(配役が決まったらここをタップしてください) 稀彦:稀彦(まれひこ) 稀彦:摩周稀彦(ましゅうまれひこ)愛称稀彦。17歳男子高生。 稀彦:ひとつ年上の先輩、ショコラ先輩に片思い中。卒業式までに告白したい。 稀彦:※兼ね役があります。(ブル・凶二・熱川夏男) : 君麻呂: 君麻呂:(配役が決まったらここをタップしてください) 君麻呂:君麻呂(きみまろ) 君麻呂:摩周君麻呂(ましゅうきみまろ)平安時代からやって来た稀彦の先祖。 君麻呂:摩周家の滅亡を防ぐため、未来の子孫に会いに来た。 君麻呂:※兼ね役があります。(稀彦・ブル・凶二・熱川夏男) : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 君麻呂:稀彦(まれひこ)!今すぐショコラ先輩に告白するのじゃ! : 稀彦:…え? : 君麻呂:マロは遥か1200年前の平安時代からやって来た、摩周君麻呂(ましゅうきみまろ)お主の御先祖様じゃ。 君麻呂:お主このままじゃと、1カ月後の今日、4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬぞよ!! : 稀彦:…はい? : 君麻呂:今すぐ未来を変えるために行動せぬと、お主死ぬぞ! : 稀彦:…。 : 君麻呂:なに鳩が豆鉄砲食らったような顔をしておる!シャキッとせんか!シャキッと! : 稀彦:えーっと、その、 : 君麻呂:何じゃ!? : 稀彦:少し、話を整理する時間をください。 : 君麻呂:(不服そうに)よかろう。 : 稀彦:あの、今、目の前に、体スケスケの、白塗りの亡霊が立ってるんで、あなたが僕の御先祖様だっていうのは、とりあえず信じます。 稀彦:…えと、手の込んだドッキリじゃ…なければ。 : 君麻呂:馬鹿を申すでない! : 稀彦:それに、僕まだ誰にも相談した事ないのに、ショコラ先輩の事も知ってるし…。 : 君麻呂:そりゃ何でもお見通しじゃ。マロは1200年前の過去から来た、お主の御先祖様なのじゃからな。 : 稀彦:ですよね。でも、その、そこから先の話が… : 君麻呂:お主が死んじゃうって事? : 稀彦:うん、それも全然衝撃なんだけど。 : 君麻呂:驚くのも無理はない…。たった1カ月後の出来事じゃからのう。 : 稀彦:いや、まあ確かにそこもビックリなんだけど…。僕今めちゃくちゃ元気だし。…でも、そこでもなくて… : 君麻呂:こりゃ!ハッキリと申せ!早うせぬとお主は1カ月後の今日、ジャージャー麺を食べて死ぬのじゃぞ!! : 稀彦:そこ! : 君麻呂:え? : 稀彦:そこです!そこ! 稀彦: 稀彦:なんで、ショコラ先輩に告白しないと、僕ジャージャー麺を食べて、死ななきゃいけないんですか!? 稀彦:そもそもなんでジャージャー麺を食べたら死ぬの!? : 君麻呂:あ、そっか。 : 稀彦:ちょっとその辺を一旦整理してもらわないと、頑張りようがないと言うか…。 : 君麻呂:あいわかった。では最初から順を追って説明しよう。 君麻呂:先月の2月14日は何の日じゃったか覚えておるかの? : 稀彦:えっと、バレンタインデーです。 : 君麻呂:そうじゃな。現代の日本では女性が愛する男性にチョコレートを贈る日じゃな。 君麻呂:では明日、3月14日は何の日かわかっておるな? : 稀彦:それはもちろん、わかります。ホワイトデーですよね。 : 君麻呂:そうじゃ。現代の日本では男性がチョコレートのお返しに、マシュマロやクッキーを贈る日じゃの。 : 稀彦:あの、御先祖様? : 君麻呂:何じゃ? : 稀彦:1200年前の平安時代からやってきたのに、現代の日本のイベント事情に詳しすぎません? : 君麻呂:うるさい!お主の命を救うため、現代のジャパニーズカルチャーをフィールドワークでスタディしたのじゃ! : 稀彦:はあ… : 君麻呂:話を元に戻すぞ! 君麻呂:それじゃあ、さらにその1カ月後の4月14日は、何の日か知っておるか? : 稀彦:え? : 君麻呂:4月14日は何の日か聞いておるのじゃ! : 稀彦:えーっと、(少し考えて)…はい? : 君麻呂:だーかーらー!2月14日はバレンタインデー、3月14日はホワイトデー、ならば4月14日は何の日か聞いておるのじゃ!? : 稀彦:ええ!?4月にも愛する男女が甘いお菓子を贈り合うイベントってありましたっけ? : 君麻呂:ブラックデーじゃ。 : 稀彦:はい? : 君麻呂:4月14日はブラックデー。 君麻呂:2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデー、この二大恋愛イベントの力を借りても恋人を作ることが出来ず、4月14日を迎えてしまった者が、一人寂しく、真っ黒いソースのかかった韓国風ジャージャー麺を食べる…それがブラックデーぞ!! : 稀彦:なるほど、それでブラックデーなのか…。 : 君麻呂:ブラックデー当日。その存在を知ったお主はフラっと立ち寄った韓国中華の店でジャージャー麺をオーダーする…。 君麻呂:そしてお主は非業(ひごう)の死を遂げるのじゃ…。 : 稀彦:ちょちょ、ちょっと待って!間のところすっ飛ばし過ぎ!なんでジャージャー麺食べたくらいで死ぬんですか!? : 君麻呂:それは、その…(間)言えぬ。 : 稀彦:ええ!?言えぬってそんな!そこ一番大事なとこでしょー! : 君麻呂:とーにーかーくー!4月14日までに恋人を作れば、お主はジャージャー麺を食べる事もないのじゃ!死の運命から逃れるにはそれしかない! : 稀彦:えー!そんな無茶苦茶な…。 : 君麻呂:1300年前から脈々と受け継がれた我が摩周家(ましゅうけ)の血筋が、こんなつまらぬ理由で絶えても良いと申すか! 君麻呂:貴様そのような事で、ご先祖様に何と申し開き致すのじゃ!? : 稀彦:ひえー : 君麻呂:よいからマロを信じるのじゃ!信じる者は救われるじゃぞ!!! : 稀彦:は、はいー。わかりました!…ってかそれキリスト… : 君麻呂:(遮って)ならばホワイトデー必勝作戦!…開始でおじゃる! : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 君麻呂:では早速、作戦会議と参ろうかの。 : 稀彦:あの、その前にちょっといいですか? : 君麻呂:なんじゃ。 : 稀彦:その、ホワイトデーなので、本当だったら、お返しにマシュマロやキャンディを渡すとこだと思うんですけど。 : 君麻呂:うむ、そうじゃの。 : 稀彦:僕、ショコラ先輩に明日、どうしても渡したいものがあって。 : 君麻呂:ほう。 : 稀彦:明日、先輩の卒業式なんです。卒業して会えなくなる前に、どうしてもお祝いの花束を渡したくって! : 君麻呂:稀彦(まれひこ)!いとおかしなアイデアじゃ!! : 稀彦:ありがとうございます!御先祖様!! : 君麻呂:その…なかなかに、いとおかしなアイデアなのじゃが、残念ながらその花束はの、 : 稀彦:はあ… : 君麻呂:他の者に渡してしまうのじゃ。 : 0:(間) : 稀彦:いやいやいや!そんな訳ないー!! 稀彦:ショコラ先輩の事を思って一生懸命考えたのに、他の人に渡しちゃうなんて、そんな事絶対あり得ないですー!! : 君麻呂:でもほんとにそうなるんじゃもん。 君麻呂:マロこの目で見てきたんじゃもん。 : 稀彦:ええー!でも… : 君麻呂:わかった。今から詳しく説明するでおじゃる。 君麻呂:…ホワイトデー当日、お主は卒業式を終えて校門を出るショコラ先輩を待ち伏せして、用意しておいた花束を渡そうとするのじゃ!その時… : : 0:回想シーン : : 稀彦:ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう! : 君麻呂:ブル「クォルアー!稀彦(まれひこ)!!こんなとこで何やっとんじゃゴルァ!!」 : 稀彦:あっ、アイツは学校一のワル、阿修羅坂ブル丸(あしゅらざかブルまる)。通称「ろくでなしのブル」!! 稀彦:今や絶滅危惧種の昭和ツッパリスタイルに生徒指導の先生も手を焼く荒くれ者、アイツにだけは絶対に知られたくない…。 稀彦: 稀彦:(平静を装って)あ、阿修羅坂先輩。卒業おめでとうございます。 : 君麻呂:ブル「グォラァー!稀彦!ガン飛ばしてんじゃねえぞシャバゾウが!」 : 稀彦:いやいや飛ばしてないです!ガン飛ばしてないです!僕! : 君麻呂:ブル「だったらこんなとこまで来て何の用だ?アァ~!?」 : 稀彦:いやその、それは、先輩におめでとうございますって言いたくて…。 : 君麻呂:ブル「あ?お前なに花束なんて持ってんだコラ! 君麻呂:   まさかおめえ、俺様の、この支配からの卒業を祝ってくれてんのかコラァ!?」 : 稀彦:いやいやいや…違います違います。そういう訳では決してないです! : 君麻呂:ブル「気に入ったぜ!稀彦!おめえは今日から俺の舎弟だ!」 君麻呂:   ピリオドの向こうへ連れてってやんよ!キャオラッ!」 : 稀彦:うわー!やーめーてくれー! : : 0:回想シーン終わり : : 稀彦:(ズビズビと鼻をすすって泣いている) : 君麻呂:わかったかの。こうしてお主は結局、ショコラ先輩に思いを告げる事は出来ぬのじゃ。 : 稀彦:こんな未来やだー!これでもうショコラ先輩に会えなくなるなんて!やだよー! : 君麻呂:無論マロも困る。我が摩周家の血を絶やす訳にはいかんのでな。 稀彦:うう…グス。 : 君麻呂:安心せい!この悲しき未来を変えるため、マロが来たのでおじゃろうが! : 稀彦:あっ、そうだった。 : 君麻呂:…よく聞け。マロに妙案がおじゃる。 : : 0:再び回想シーン。稀彦と君麻呂の配役が入れ替わる。 : : 君麻呂:稀彦「ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう!」 : 稀彦:ブル「クォルアー!稀彦(まれひこ)!!こんなとこで何やっとんじゃゴルァ!!」 : 君麻呂:稀彦「あっ、アイツは学校一のワル、阿修羅坂ブル丸(あしゅらざかブルまる)。通称「ろくでなしのブル」!! 君麻呂:   今や絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)の昭和ツッパリスタイルに、生徒指導の先生も手を焼く荒くれ者、アイツにだけは絶対に知られたくない…。」 君麻呂: :   稀彦「(平静を装って)あ、阿修羅坂先輩。卒業おめでとうございます。」 : 稀彦:ブル「グォラァー!稀彦!ガン飛ばしてんじゃねえぞシャバゾウが!」 : 君麻呂:稀彦「そんな事より大変です!阿修羅坂先輩!」 君麻呂:  「この卒業式を狙って県立黒渦(くろうず)水産高校、略してクローズ水産の連中がウチに襲撃をかける計画を立ててるんです!!」 : 稀彦:ブル「んだとゴラァ!上等だゴラァ!?ヒロシ!トオル!今すぐ兵隊集めてこいやゴラァ! 稀彦:  「(決め台詞)ハッ!ハードラックとダンスしてやんよ!(慌ててその場を立ち去る)」 : 君麻呂:稀彦「決まった!秘技「ヤンキーを以ってツッパリを制す」っ! 君麻呂:   あっ、こんな事言ってる場合じゃない、早くしなきゃショコラ先輩が帰っちゃう!」 : 稀彦:凶二「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)おや、君は摩周君じゃないか。」 稀彦:  「クックック…。君と僕がこうやって出会うのもまた、アカシックレコードに刻まれた、魂の因果律(いんがりつ)なのだな…。」 : 君麻呂:稀彦「あっ、貴方は思春期特有の妄言(もうげん)を繰り返し、いつも周囲をドン引きさせている 君麻呂:   宝蔵院凶二(ほうぞういんきょうじ)!通称「黒翼の堕天使・凶二(こくよくのだてんし・きょうじ))」!! 君麻呂: 君麻呂:稀彦「(平静を装って)あ、宝蔵院先輩。卒業おめでとうございます。」 : 稀彦:凶二「間もなく逢魔が時(おうまがとき)…道理で右眼が疼きやがる。 稀彦:   ハンッ!これが幻肢痛(ファントム・ペイン)ってやつか…」 : 君麻呂:稀彦「ダメだ。何言ってるか全然わかんないや。」 : 稀彦:凶二「(遮って)バイザウェイ、ミスター摩周。その手に握られた物は…何かね?」 : 君麻呂:稀彦「(手に持った花束を後ろに隠して)あ、これは、その…」 : 稀彦:凶二「汝(なんじ)、その花を贄(にえ)として捧げよ。」 : 君麻呂:稀彦「はい?」 : 稀彦:凶二「その花束を来たる聖戦、ワルプルギスの夜のサクリファイスとしてコミットするのだ!」 : 君麻呂:稀彦「コミットだけ聞き取れた。」 : 稀彦:凶二「さあ!捧げよ!さすればその刃(やいば)はマクスウェルの悪魔に抗する(こうする)ゲイボルグとならん! : 君麻呂:稀彦「わー!何言ってんだよー!のわー!やーめーろー!!」 : : 0:回想シーン終わり。 : : 君麻呂:一難去ってまた一難。 : 稀彦:…それで、訳も分からぬまま、花束は宝蔵院先輩に取られちゃうんですね。 : 君麻呂:そうじゃ。 : 稀彦:うーん、でも未来に起きる出来事がわかってるんだったら絶対なんとかなりますって! : 君麻呂:うむ。ならばもう一度作戦を立て直してみるかの。 : 稀彦:…だったら今度はこういうのはどうでしょうか? : : 0:再び、回想シーン。稀彦と君麻呂の配役が入れ替わる。 : : 稀彦:ショコラ先輩、卒業おめでとうございます…ずっと好きでした!…よし!これでいこう! : 君麻呂:凶二「(大げさに芝居がかった感じで話し始める)おや、君は摩周君じゃないか。」 君麻呂:  「クックック…。君と僕がこうやって出会うのもまた、アカシックレコードに刻まれた、魂の因果律(いんがりつ)なのだな…。」 : 稀彦:あっ、貴方は思春期特有の妄言(もうげん)を繰り返し、いつも周囲をドン引きさせている 稀彦:宝蔵院凶二(ほうぞういんきょうじ)!通称「黒翼の堕天使・凶二(こくよくのだてんし・きょうじ))」!! 稀彦: 稀彦:(平静を装って)あ、宝蔵院先輩。卒業おめでとうございます。 : 君麻呂:凶二「間もなく逢魔が時(おうまがとき)…道理で右眼が疼きやがる。 君麻呂:   ハンッ!これが幻肢痛【ファントム・ペイン】ってやつか…」 : 稀彦:黒翼の堕天使・凶二…いや、怠惰(たいだ)を司る魔神ベルフェゴールに愛されし者よ…。 : 君麻呂:凶二「(何故か同調して)ハッ、その声は、我が師、アズライール様!」 : 稀彦:凶二、気付いているか?程なくして最終審判【ラストジャッジメント】が始まろうとしている。 : 君麻呂:凶二「ゴ、ゴクリ…最終審判【ラストジャッジメント】だと!?」 : 稀彦:最終審判【ラストジャッジメント】を食い止める事が出来るのは、アドリアスの糸にして、電離気体集団【プラズマクラスター】の末裔たる凶二、お前だけだ。 : 君麻呂:凶二「はい!アズライール様!!」 : 稀彦:地球穿つ(ほしうがつ)、神界の理(しんかいのことわり)… : 君麻呂:凶二「ゆりかごを揺らす手は、シナプスの微笑み…。」 : 稀彦:ゆけい!凶二!!今こそその力見せる時! : 君麻呂:凶二「(口で電子音の真似をして)ピッ、ピッ、メサイアモード起動…」 君麻呂:   (口で)キュイイイイン…ワープ航行を開始します!ブオオォン!(慌ててその場を立ち去る)」 : 稀彦:フウ…誰にも知られたくない僕の黒歴史が、こんな時に役に立つとは…。 稀彦: 稀彦:よーし!今度こそショコラ先輩に告白しなきゃ…。 : 君麻呂:ナツオ「おっ、摩周(ましゅう)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」 君麻呂:もしかして、先生の事探してたのかー!?」 : 稀彦:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!! 稀彦:人呼んで「バーストサマーナツオ」!! : 君麻呂:ナツオ「どうした摩周!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」 : 稀彦:ギクッ。そっ、そんな事、ないですよ~、熱川先生。 : 君麻呂:ナツオ「いや!先生にはわかる!わかるぞ!お前のその顔は、伝えられぬ恋に悩む、少年の顔だっ!!」 : 稀彦:いや、そんな…。 : 君麻呂:ナツオ「さあ、出しなさい。」 : 稀彦:えっ? : 君麻呂:ナツオ「マシュマロか、キャンディか、はたまた花束のプレゼントか知らんが全部没収だよ。出しなさい。」 : 稀彦:ええっ! : 君麻呂:ナツオ「先生、先月のバレンタインデーで、世話チョコひとつも貰えなかったばかりか、目の前で愛だ恋だと大騒ぎする生徒たちをたくさん見てな。ちょっと考えを改めたんだ。 君麻呂:…先生の目の黒いうちは、なんびとたりともホワイトデーはプレゼントの持ち込み禁止だ!よってお前の花束も先生が預からせてもらう! : 稀彦:ええー!そんなー!! : 君麻呂:ナツオ「ふおっ!摩周ー!これもお前たちが立派な大人になるためにやってるんだぞー!!」 : 稀彦:いーやーだー!! : : 0:回想終わり。 : : 君麻呂:これはまさに…悪夢じゃの…。 : 稀彦:(泣いている)グスッ…なんでよりによって熱川なんかに…。 : 君麻呂:泣くな!稀彦!諦めたらそこで試合終了じゃ!お主とマロのふたりで乗り越えようぞ! : 稀彦:うん!もうここまで来たらやぶれかぶれだ! : : 0:再び、回想シーン。稀彦と君麻呂が入れ替わる。 : : 君麻呂:よーし!今度こそショコラ先輩に告白しなきゃ…。 : 稀彦:ナツオ「おっ、摩周(ましゅう)ー!!どうしたどうしたー!?こんなところでー!!」 稀彦:もしかして、先生の事探してたのかー!?」 : 君麻呂:げげっ、こいつは暑苦しくて押しつけがましい指導で、生徒の評判もすこぶる悪い、担任の熱川夏男(あつかわなつお)!! 君麻呂:人呼んで「バーストサマーナツオ」!! : 稀彦:ナツオ「どうした摩周!!さっきから浮かない顔して!?さては、その顔、恋、だな!?」 : 君麻呂:そうです! : 稀彦:ナツオ「えっ?」 : 君麻呂:そうです!恋です!でも先生には何の関係もありませんし、口出しもしてもらいたくありません! : 稀彦:ナツオ「おいおい摩周、いきなりどうした~!?先生はただ持ち物検査をしようと思ってだなあ~!」 : 君麻呂:校則なんてどうだっていい!僕には今日しかないんです!だから先生、どっか行ってください! : 稀彦:ナツオ「…ええっ!?」 : 君麻呂:いいから、どっか行けって!(ナツオを突き飛ばして走り去る) : 稀彦:ナツオ「のわっ!おい!摩周!先生になんて事するんだー!(遠ざかっていく)」 : : 0:駆け出す稀彦。稀彦の心に君麻呂の思いも重なる。 : : 稀彦:(走りながら)御先祖様!僕ようやくわかりました! : 君麻呂:うむ! : 稀彦:僕なんかが好きになって良いのかなとか、先輩にはもっと相応しい人がいるんじゃないかとか、そんな事ばっか考えてました! : 君麻呂:うむ! : 稀彦:まず思いを伝えなきゃ!すごく、すごく好きだっていうこの気持ちを伝えなきゃ! 稀彦:だってこんなに好きなんだよ、僕。ショコラ先輩に相応しい男にだって、きっとなれるよ! : 君麻呂:そうじゃ。よう言うたぞ稀彦(まれひこ)よ。それでこそ摩周家のおのこじゃ! : 稀彦:御先祖様!どうか僕の事、見守っててください! : : 0:稀彦、ショコラ先輩のもとに駆け寄る。 : : 稀彦:(荒い息を整えて)ショコラ先輩! : 君麻呂:ずっとずっと、大好きでした! : 稀彦:これ、先輩の事を想って用意した花です! : 君麻呂:ガーベラです。花言葉は【希望と前進】。 : : 稀彦:(同時に)僕と付き合ってください! 君麻呂:(同時に)僕と付き合ってください! : : :・ : :・ : :・ : :・ : :・ : 稀彦:御先祖様とのシュミレーションの甲斐あって、なんとかショコラ先輩に思いを伝えられた僕 稀彦:そしてなんとなんと!奇跡的にショコラ先輩と付き合う事になったのだ! 稀彦:そしてなんとなんとなんと!今日がショコラ先輩との初デートの日! 稀彦: 稀彦: 稀彦:あーどうしよう!もうこんな時間なのに、着ていく服すら決まってない~! 稀彦:ってか緊張し過ぎてぜんっぜん眠れなかった…。髪だっていまいち決まってない気がするし…。 稀彦:あーもう! 稀彦: 稀彦:でも、でも、でも…! 稀彦: 稀彦:(にまぁと笑って)…幸せ過ぎる~!! 稀彦:ショコラ先輩が!ショコラちゃんが!ショコたんが僕の彼女!! 稀彦:そんな事ある~!?…もう僕このまま死んじゃってもいいかも~!! : : 0:とその時、ブーンという機械音と共に一人の鎧武者が現れる。 : : 君麻呂:鎧武者「稀彦殿(まれひこどの)!」 : 稀彦:(ニヤケ顔のまま)へ? : 君麻呂:鎧武者「変わっておらぬぞ!」 : 稀彦:……え? : 君麻呂:鎧武者「拙者は500年前の戦国時代からやって来た、摩周麻呂座衛門(ましゅうまろざえもん)お主の御先祖様じゃ!」 君麻呂:    お主の未来は変わっておらぬ! 君麻呂:    お主やはり4月14日にジャージャー麺を食べて死ぬぞ! : 稀彦:ええーーーー!!!! : 君麻呂:鎧武者「こうなったらワシと君麻呂殿の3人で4月14日に行って、ブラックデーの運命を変える他ない!」 君麻呂:さあ!拙者に付いてまいられよ!」 : 稀彦:そ、そ、そんなあ~!!ショコラせんぱ~い!! : : 0:閃光と共に、ふたりの姿が消える。 0: 0:終わり