台本概要
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タイトル | 殺し屋の蜘蛛 |
---|---|
作者名 | ノイン (@latimeria_Ya) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(不問5) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
道案内をしていた人物に突然殺されそうになったパッセル。しかしその人物には、そうしないといけない訳があった… 【ジャンル】サスペンス 【シリーズ】7作目 【アドリブ】演じられるキャラの性別に合わせて一人称や言い回し等、変更頂いて大丈夫です。 ※マフィアボスは、ヴォルフ役かオルク役の方に兼ね役をお願いします。 【登場人物の関係性】 ヴォルフ・オルク・モルフォ → 同盟 ヴォルフ・オルク ←契約→ クロウ クロウ ←同盟→ モルフォ シナリオをご覧頂きありがとうございます。 1997 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ヴォルフ | 不問 | 49 | 銃全般を扱う殺し屋。一見やんちゃそうに見えるが真面目。普段周りの奴らに振り回されている苦労人。 ※マフィアボスは、ヴォルフ役かオルク役の方が兼ね役 |
オルク | 不問 | 40 | 刀やナイフを扱う殺し屋。言葉遣いが丁寧で一見真面目そうに見えるがとんでもない奴サイコパス野郎。 ※マフィアボスは、ヴォルフ役かオルク役の方が兼ね役 |
クロウ↔パッセル | 不問 | - | 【二重人格】 クロウ → 元殺し屋の情報屋。パッセルを大切にしているがそれを隠しているツンデレ。自身の話はあまりしない為謎が多い。怒らせてはいけない。 パッセル → 一般社会の中で生活している。皆の唯一の癒し。 |
モルフォ | 不問 | 58 | 毒を扱う殺し屋で変装も得意。温和でマイペース。殺し=実験。ただ誰彼構わず殺す訳ではない。 |
スピン | 不問 | 77 | ワイヤーを扱う殺し屋。マイナス思考の持ち主。臆病で気弱だが… |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:地図を見て辺りを見渡すスピン
0:パッセルに声を掛けたそうにするが掛けれない
スピン:・・・・・・っ。
0:それに気づき、スピンの元に向かうパッセル
パッセル:もしかして、何かお困りですか?
0:目を丸くして何故か驚くスピン
スピン:・・・・・・・・・・えぇ!?
パッセル:あれ、違いました?あはは、僕余計な事言っちゃいましたかね?
スピン:あ・・・こ、困ってます!凄く困ってます・・・!
パッセル:なら声を掛けて良かった!どうしたんですか?
スピン:い、行きたい場所があるんですけど・・・僕方向音痴で・・・辿り着けなくて・・・
パッセル:あぁ!この辺りは道が入り組んでて迷路みたいですからね!ちょっとその地図見せてもらっても良いですか?
スピン:はい・・・
パッセル:あれ?こんな場所あったかな?もしかしてこれ、古い地図かもしれないですね!なら言葉で伝えるのも難しいですし、良ければ案内しますよ!
スピン:良いんですか・・・?
パッセル:はい!ここからそんなに遠くないみたいですし!
スピン:あ・・・ありがとうございます・・・
0:歩いている2人
パッセル:この道を曲がって・・・
0:突然立ち止まるスピン
パッセル:あ、着いたみたいですね!
0:パッセルの背後でワイヤーを取り出す
パッセル:でもここって・・・行き止まり?
スピン:・・・ごめんなさい。
0:振り向くパッセル
パッセル:え?
0:スピンはワイヤーで攻撃を仕掛けるが弾かれてしまう
スピン:っ!?
スピン:「この一瞬で僕の攻撃が防がれたっ・・・!?」
0:人格がクロウに変わっている
クロウ:(怒りで高圧的に)・・・・・・・・・お前、殺し屋か。
スピン:「マズいっ・・・!もうひとつの人格が・・・!?」
クロウ:今、パッセルに何をしようとした?
スピン:ひぃっ!!
0:その頃、ヴォルフ宅では
0:ノックの音
モルフォ:2人ともどうも!
ヴォルフ:お、モルフォじゃねーか。
モルフォ:お招き頂きありがとう!
ヴォルフ:お招き?どういう事だ?
オルク:さぁさぁモルフォさん、こちらへどうぞ!
ヴォルフ:あ?
オルク:私がお呼びしたんです。我々3人は同盟を結んでいるんですよ?もっと交流を深めたいなと思いまして!
モルフォ:あれ?ヴォルフ、オルクから聴いてなかった?
ヴォルフ:俺なんも聞いてねぇぞ?それに、今から用事しに出掛けんだけど?
オルク:そうなんですか?じゃあその予定は無くして下さい。
ヴォルフ:はぁ!?おいオルク!そういう事は前もって言えよ!勝手過ぎんだろ!大体お前なぁ、俺の家をたまり場か何かと勘違いして・・・!
0:外の異変に気付く3人
モルフォ:ん?
オルク:何か来ますね。
ヴォルフ:構えとけよお前ら。
0:突然ドアが壊れると共に、クロウに蹴りを入れられたスピンが飛んで来る
スピン:うぐっ・・・!!
ヴォルフ:ああああああぁぁぁ!?俺ん家のドアがあああぁぁぁ!!
モルフォ:わぁお。
オルク:おやおや、今日は賑やかな日ですね。
クロウ:失礼するよ。モルフォ、実験の準備を。
ヴォルフ:クロウ!?ってか、お前なにドアぶち破ってくれてんだ!?
オルク:戦闘されてるなんて珍しいですね。
モルフォ:やぁ、クロウ!僕がここにいるってよく分かったね。
ヴォルフ:いやなんで分かんだよ。てかお前らなぁ、俺の家は集会所じゃねぇぞ!?
オルク:もう集会所で良いのでは?
ヴォルフ:お前は黙ってろこの居候野郎!
オルク:酷いですぅ!ちゃんと家賃はお支払いしてるんですから居候野郎は傷付きますよ〜。せめてシェアハウス野郎と言って下さい!
ヴォルフ:そんな事クソどうでもいいわ!
クロウ:(高圧的に)お前達、静かにしろ。
0:様子の違うクロウにビビる2人
ヴォルフ:っ・・・!
オルク:・・・・・・。
モルフォ:やけに気が立ってるね、どうしたの?
クロウ:モルフォ、お前にプレゼントだ。
モルフォ:ん?
クロウ:ほら。
0:クロウはスピンの髪を掴み上げる
スピン:うっ・・・
モルフォ:プレゼントってこの子の事?
クロウ:コイツはパッセルを殺そうとした悪い奴だ。
ヴォルフ:あのパッセルをか?
クロウ:だから思う存分研究して良い。
モルフォ:ふーん。
0:スピンに顔を近付けるモルフォ
モルフォ:君、パッセルを殺そうとしたの?それはいけないなぁ・・・悪い子だね。
スピン:ひっ!!
0:スピンから手を離すクロウ
クロウ:強い毒で頼む。しかもなるべく長く苦しむやつを。お前の事だから普段から持ち歩いているんだろう?
モルフォ:ほんとクロウは何でもお見通しだね。あるよ。
スピン:っ・・・!
ヴォルフ:いや待て待て待て!人んちで何勝手に始めようとしてんだ!やめろ!俺の家がいわく付き物件になっちまうだろうがっ!
クロウ:あぁ、そうだ。お前達はモルフォの実験を見た事が無かったね。良い機会だ、見ておくといい。
オルク:興味はありますね。
ヴォルフ:話聞けよ!殺るならよそで殺れ!関係無い俺まで巻き込むな!
クロウ:関係ならある。コイツは殺し屋だ。
ヴォルフ:はぁ!?
オルク:殺し屋ですか。
クロウ:ほら、これでお前達もコイツの事は無視出来なくなった。
ヴォルフ:はぁ〜。ったく、クロウはなんでこう毎回殺し屋連れて来んだよ。
スピン:え・・・?
オルク:おや、どうしました?
モルフォ:僕達もね、殺し屋なんだよ。
スピン:・・・?
ヴォルフ:何の事か分かんねーって顔してるな。
スピン:僕は・・・少し前にこの業界に入ったばかりで・・・
オルク:なるほど、ご存知ないと。では説明して差し上げましょう。殺し屋には「お互い顔を見られたら、どちらかは死ぬ」という暗黙の了解があるんです。
オルク:ここにいる我々は同盟や契約の間柄なので何の問題もありませんが、逆に考えればこの状況・・・お可哀想な事に4対1になっているという訳です。
オルク:あなたにとっては絶望的ですね。
スピン:えっ・・・!?待って下さい!あ、そうじゃなくて・・・!
スピン:あの、殺し屋である以上・・・殺される覚悟ならあります・・・けど、お願いです!今は殺さないで下さい・・・!今だけは絶対にダメなんです・・・!今僕が死んでしまったらヘルツが・・・!
スピン:お願いします・・・少しだけでも待って頂けませんか・・・
クロウ:お前が死ぬのは今だ。
スピン:っ・・・。
モルフォ:・・・・・・う〜ん。
クロウ:どうしたんだいモルフォ。その注射を打つんだろう?早く打ってくれ。
モルフォ:とはいえ、僕まだこの子の事よく知らないしなぁ〜。
クロウ:パッセルを殺そうとした、理由ならそれで充分だろう?
モルフォ:それはそうなんだけどねぇ・・・
クロウ:もういい、貸せ。お前が打たないなら僕が打つ。
0:スピンの首元に注射を打ち込む
スピン:うっ!?
クロウ:お前には苦しんで死んでもらう。いや、死ぬだけじゃ物足りない。死んだ後、肉体や骨の1本すら残さない。
0:体内に毒が回っていく
スピン:うぅ・・・ハァ・・・ハァ・・・ガハッ・・・ごめん・・・ごめんねヘルツ・・・助けてあげられなくて・・・ごめん・・・ごめんよ・・・
モルフォ:ん〜・・・よっと!
0:スピンに解毒剤を打つモルフォ
クロウ:モルフォ!?お前っ、何をしている!?どうして解毒剤を打つんだ!?こいつはパッセルを殺そうとしたんだぞ!?殺されて当然の事をした!!お前なら分かるだろう!?
モルフォ:クロウ、少し落ち着いて。まず、これは僕が開発した毒物だよ。僕の毒を使うのなら、僕のルールには従って貰わなきゃ。
クロウ:・・・っ
モルフォ:大切な人を殺されそうになって怒るクロウの気持ちは分かるよ。それがパッセルの事なんだから尚更だよね。でも、今の行動は君らしくない。
0:モルフォの発言に言葉を飲み込む
クロウ:・・・・・・悪かった。
ヴォルフ:(小声)あのクロウが謝っただと!?
オルク:(小声)あんなクロウさん初めて見ましたよ。
モルフォ:そうだなぁ〜。
オルク:どうしたんですかモルフォさん?
モルフォ:この子、本当は悪い子じゃない気がするんだよね。僕、人を見る目はあるんだ。
ヴォルフ:殺し屋に良いも悪いもねぇだろ。
モルフォ:それ以前に!僕は自身で殺害対象の事を調べてから実験に取り掛かる。この子の事を何も知らずに殺すのは、僕のルールに反するからね。
オルク:こんな時でさえも、やはりモルフォさんはモルフォさんですね。
モルフォ:ははっ。
モルフォ:ねぇ君。何か事情があるなら話してくれないかな?
0:モルフォ、ヴォルフ、スピンはテーブルに腰掛け、クロウとオルクは少し離れた位置にいる
モルフォ:どう?落ち着いた?
スピン:は、はい・・・すみません、ありがとうございます。
モルフォ:じゃあ、色々と聞かせてもらおうかな。僕はモルフォ。君の名前は?
スピン:僕はスピンと言います・・・さっきもお話した通り、この業界には少し前に入りました。一応、肩書きは殺し屋です・・・
ヴォルフ:一応?
スピン:僕・・・争い事や血とか見るのが苦手で・・・殺し屋なのに、人だってまだ一度も殺した事がありません・・・
ヴォルフ:だったらなんで殺し屋を?
スピン:殺し屋になる事は最初から決まっていて・・・僕は従うしか無かったんです・・・
モルフォ:従うって事は、君は組織か何かに所属してるの?
スピン:はい・・・とあるマフィアに・・・
モルフォ:じゃあ、さっき言ってたヘルツっていうのはマフィアの人?
スピン:違います・・・ヘルツは、とても大切な僕の友達で・・・でも、マフィアに人質に取られてしまって・・・
モルフォ:マフィアは君の仲間なんじゃないの?
スピン:実は・・・父さんが麻薬に手を出してしまい・・・お金が底を尽き、支払いが出来なくて殺されそうになった時・・・父さんは僕をマフィアに売ったんです。
スピン:マフィアも、僕を人としてなんて扱ってくれませんでした・・・命令は絶対・・・少しでも何か気に入らない事があると、殴られたり蹴られたりしました・・・
ヴォルフ:ひでぇな。
クロウ:・・・・・・。
スピン:そして今回・・・ヘルツを返して欲しければ・・・情報屋であるクロウの首を持って来いと言われました。
モルフォ:マフィアがクロウを殺したがってる理由は?
スピン:麻薬の流通ルートを邪魔したり、取り引き相手に偽の情報を回し攪拌(かくはん)させたり・・・色々と目障りだからと・・・
モルフォ:なるほどね。
ヴォルフ:ってか、今どき首かよ。
モルフォ:パッセルとクロウが二重人格だという事は最初から知ってたみたいだね。
スピン:はい・・・
クロウ:だから害の無いパッセルの人格の時に僕を殺そうと?
スピン:・・・・・・すみません。
オルク:ですが戦略としては悪くないですよ。私があなたでしたら、同じ手段を取っていたでしょう。
ヴォルフ:おい、空気読めよ。
クロウ:そのマフィアの名前は?
スピン:え・・・?
クロウ:早く答えろ。
スピン:す、すみませんっ・・・!ブラックニード・・・です。
0:スマホを操作するクロウ
クロウ:あぁ、コイツらの事か。
オルク:既に情報を握っており、妨害の手回しまでされていたとは。流石はクロウさんですね。
0:スピンに近づくオルク
オルク:ところでスピンさん。
スピン:・・・はい。
オルク:マフィアも裏社会の組織であり、殺し屋の暗黙の了解を知っているはずです。形だけとはいえ、メンバーの一員であるはずのあなたになぜその事を教えてくれなかったのでしょうねぇ?
オルク:何か心当たりはありませんか?
スピン:・・・・・・いざとなれば、邪魔な僕を消す為?そんなっ、じゃあヘルツはっ!?
オルク:ですがまだそうと決まった訳ではありません!希望を捨ててはいけませんよ?ですが、もしも本当にあなたが嵌(は)められたのであれば・・・嵌め返してやればいい。
オルク:どうですか皆さん!ここはひとつ、力になってあげようではないですか!
ヴォルフ:胡散臭ぇ言い方のうえにいきなりノリノリになるなよ。
モルフォ:でもその話が本当なら、僕は君の力になってあげたいな。
ヴォルフ:ちょっと待て。もしもコイツが嘘をついてたらどうすんだ?
モルフォ:クロウはどう思う?
クロウ:コイツの証言がどうであれ、これ以上勢力が拡大しないうちにけりを付けた方が良いのは確実だ。アイツらのやり方は極悪非道だからな。
ヴォルフ:まずそれ以前の問題だったか。
クロウ:何より、この僕に喧嘩を売ったんだ。この喧嘩、買ってやろうじゃないか。
オルク:楽しくなってきましたね。
クロウ:お前達にデータを送った。ざっと確認してくれ。
0:資料を確認するモルフォ、ヴォルフ、オルク
ヴォルフ:ふーん、なるほどな。
オルク:これはこれは、随分と下劣(げれつ)な事をしていらっしゃる様で。
モルフォ:今回僕にとってはイレギュラーな案件だけど、これだけ信憑性のある情報が見れたら充分かな。
スピン:どうして・・・?僕はあなたを殺そうとした相手ですよ・・・!?
クロウ:お前の件については一旦保留なだけだ。
モルフォ:なら僕に良い案があるよ。早速準備するね。
ヴォルフ:何の準備だ?
モルフォ:クロウの首も持って行こう。
0:3人一斉に
スピン:え?
ヴォルフ:え?
オルク:え?
0:マフィアのアジトにて
0:スピンの足音
スピン:・・・ボス。
マフィアボス:ん?スピン!?お前生きてたのか!?
0:スピンはクロウの首を持っている
スピン:首を・・・持って来ました・・・
マフィアボス:嘘だろ!?あの殺しも出来ない役立たずのお前が!?あははは!まさかこんな事もあるんだな!でかした!その首をもっとよく見せてくれよ!
スピン:約束です。ヘルツを返して下さい・・・
マフィアボス:ん?あぁ、約束だもんな!返すよ!その前に早く首を・・・
スピン:(遮って)先にヘルツを、こっちに・・・
マフィアボス:チッ、俺に命令すんじゃねぇよ。ほらよっ。
0:スピンの目の前に血の着いた袋が投げられる
スピン:・・・・・・・・・ヘル、ツ?
0:おそるおそる袋を開けると、小さく丸まって固くなったヘルツがいた
マフィアボス:悪りぃ悪りぃ!まさかお前が生きて首持って帰ってくるとは思ってなくてさぁ!待ってる間、みんなでコイツと遊んでやってたら急に動かなくなっちゃって!
マフィアボス:でもさー!猫なんてどこにでもいるだろ?また新しいの飼えばいい話じゃん!
マフィアボス:今まで俺達、お前に酷い事ばっかりしてきたよな。悪かったと思ってるよ。これからはさ、お前の事をもっと大事に・・・・・・え?
0:ボスの右腕が足元に落ちる
マフィアボス:ぎゃあああああぁぁぁ!!
0:スピンの様子が変わる
スピン:・・・・・・・・・・・。
マフィアボス:俺のっ・・・俺の腕があぁぁあ!!お前がやったのか・・・!?くそっ、痛いっ、痛いいいぃ!ぐっ・・・お前っ・・・!こんな事してただじゃおかねーぞ!?
0:メンバーを呼ぶボス
マフィアボス:お前らぁ、出てこい!今すぐコイツを殺せぇ!!
0:しかし反応はない
マフィアボス:どうした!?この俺が呼んでるんだぞ!?早くしろ!!
0:スピンの背後からクロウが現れる
クロウ:お仲間を呼んでも無駄だ。
マフィアボス:お前は情報屋の・・・!?でも首はここに!?
クロウ:はっ、笑えるよ。作り物と本物の区別もつかないなんて。あぁでも、モルフォのお手製だからな。見間違うのも無理はないか。
マフィアボス:どういう事だスピン・・・!?お前っ・・・俺を騙したな!?
クロウ:僕の首が欲しければさ、自分で取りに来なよ。
マフィアボス:クソッ!どいつもこいつもっ・・・!
スピン:次は左腕。
0:左腕が宙を舞う
マフィアボス:ぐあああああぁぁぁ!!
スピン:最初に騙したのはあなたの方じゃないですか。
マフィアボス:なんだとっ・・・!?いっちょ前に口答えしてんじゃねーぞ、このクソ野郎がっ!!
スピン:あなたこそ、最低なドクズ野郎ですね。これだから人間は嫌いなんです。さぁ、全部で何等分にされるのが良いですか?いいえ、どうせならあなたであった事すら分からないくらいグチャグチャにしましょうか。
マフィアボス:ひっ!?
スピン:このワイヤーはとても切れ味が良いんですよ。切れ味が良いといっても、力加減をどうするかはその時の気分ですけど。ちなみに、今もの凄く機嫌が悪いんです僕。
マフィアボス:わ、悪かった・・・!俺が悪かったから・・・!だからもう許してくれぇ・・・!!
スピン:いいえ。あなたは絶対、楽には死なせてあげません。
0:地面にはぐちゃぐちゃになった肉片と血溜まりが広がっている
0:意識を無くし倒れるスピン
スピン:・・・っ。
クロウ:おっと。
0:クロウはスピンを受け止め、地面に横たえ話しかける
クロウ:ブラックニードは、取り引きの現場を抑えられて追われた事が何度かある。だけどなかなか捕まらない。その時の逃走経路には、トラップワイヤーが張りめぐされていた。
クロウ:そのワイヤーは、人への被害を最小限に抑える為に計算されて仕掛けられた物だった。お前は争い事のせいで人が傷付くのが本当に嫌らしい。
クロウ:そんなお前が、友達を助ける為に僕に初めての殺意を向けてきた。必死だったんだな。分かるよその気持ち。僕も同じだ。
クロウ:だから、僕はお前を許すよ。
0:モルフォ合流
モルフォ:クロウ、お待たせ。建物内にいたメンバーの始末は済んだよ。
クロウ:あぁ、モルフォ。お疲れ様。
モルフォ:スピンは大丈夫なの?
クロウ:気を失ってるだけだ。
モルフォ:なら良かった。外で動いてるヴォルフとオルクも、もうすぐ合流出来るそうだよ。
クロウ:そうか。
0:全員合流
オルク:これはこれは、随分と悲惨な現場になりましたね。
ヴォルフ:これやったのってまさか・・・
クロウ:コイツだ。
ヴォルフ:争い事は苦手なんだろ?
クロウ:そのはずのコイツがこんな事をする引き金となったのが・・・
0:クロウが猫を抱き抱える
クロウ:この子だ。
オルク:猫ですか?
クロウ:モルフォ、頼みがある。この子を綺麗にしてやってくれ。
0:モルフォに猫を渡す
モルフォ:可哀想に、傷だらけだ。
クロウ:その子がヘルツだ。
ヴォルフ:ヘルツって猫の事だったのか。
オルク:あの時の喋り方、てっきり人間かと思っていました。
クロウ:とっくに殺されてたよ。
ヴォルフ:悪い予感が的中してしまった訳か。胸くそ悪りぃ。
オルク:(小声)素晴らしい。私もぜひその瞬間に立ち会いたかったものです。
モルフォ:ん?どうかした?
オルク:いえ、なにも。
クロウ:ヴォルフはコイツを運んでやってくれ。
ヴォルフ:分かった。
0:ヴォルフの家にて
スピン:・・・ん、んん。
モルフォ:あ、スピン。目が覚めて良かった。
スピン:モルフォさん・・・?
ヴォルフ:お前、丸一日眠ってたぞ。
スピン:・・・・・・はっ!?ヘルツは!?ヘルツはどこに!?
モルフォ:ここにいるよ。
0:その姿を見て涙を流すスピン
スピン:あ、ああああぁぁ・・・ヘルツ・・・ごめん・・・ごめんっ・・・痛かったよね・・・苦しかったよね・・・本当にごめん・・・僕のせいで・・・・・・
モルフォ:残念でならないよ。
スピン:・・・・・・皆さん。こんな僕に力を貸して下さって、ありがとうございました・・・これで全て終わりました・・・クロウさん・・・僕を殺して下さい。
クロウ:お前を殺すのはやめた。
スピン:どうしてですか・・・!?僕はあなたの大切な人を騙して殺そうとしたんですよ・・・!?
クロウ:そうだな。けど殺さない。
スピン:・・・・・・・・・分かりました。なら自分でっ・・・!
0:スピンは咄嗟に枕元に置いてある自分のワイヤーを手にする
ヴォルフ:おいっ!?
スピン:僕は・・・僕はもう全部嫌なんだっ・・・!
0:自殺するスピンを止めるクロウ
クロウ:っ!
スピン:っ!?クロウさん!?どうして・・・どうして死なせてくれないんですか・・・!あなただって、口ではあぁ言ってましたがすぐにでも僕の事を殺したいはずです・・・!
スピン:それに・・・もうこの世にヘルツがいないのなら・・・僕には生きていく意味なんてないんです・・・もともと僕は・・・ヘルツの寿命が来た時、一緒に死のうと考えていましたから・・・
オルク:あなたは、たかが猫の寿命に沿って自分の生死を決めていたんですか?
ヴォルフ:オルク。
オルク:それは勿体ないですよ。もともと猫の寿命なんて人間よりも遥かに短いじゃありませんか。
ヴォルフ:オルク!
オルク:なんですかヴォルフさん。本当の事でしょう?
0:オルクを睨むヴォルフ
ヴォルフ:お前は少し黙ってろ。
オルク:・・・はぁ、はいはい。なにマジになってるんですか。
スピン:ヘルツは・・・僕の唯一の友達で・・・心の支えで・・・いつも僕に寄り添ってくれていた・・・この子がいてくれたからこそ・・・僕は辛い事も痛い事も乗り越える事が出来たんです・・・ヘルツがいないと・・・僕はっ・・・
クロウ:お前は今、自分の命を捨てた。そしてお前の命は僕が拾った。僕と契約を結べ。
スピン:え・・・?
クロウ:生きる意味なら僕が与えてやる。お前はパッセルと僕の為に生きろ。
スピン:それって・・・
クロウ:勘違いするなよ。今死にたいと言ってるお前を殺せば、お前の思い通りなる。それが癪に障るだけだ。生きて罪滅ぼしをしろ。お前に拒否権なんてものはない。
スピン:・・・・・・・・・分かりました。ならお願いがあります・・・パッセルさんに・・・謝らせて下さい・・・
クロウ:良いだろう。
0:人格がクロウからパッセルに変わる
スピン:・・・パッセルさん。
パッセル:お話は全部クロウから聞きました。
スピン:あなたは自分から・・・困ってた僕に声を掛けてくれました・・・あんなに親切にしてもらったのなんて僕、初めてで・・・そんな優しい君を僕は騙した・・・許して欲しいだなんて言いません・・・本当にすみませんでした・・・
パッセル:(遮って)僕と友達になって!
スピン:・・・え?
パッセル:僕の事はパッセルって呼んで!
スピン:え、えっと・・・?
パッセル:ほらほら!
スピン:パッセル・・・さん?
パッセル:パッセル!
スピン:パッ、セル・・・
パッセル:そう!友達になれて嬉しいな!
スピン:と、友達・・・?こんな、僕と・・・?僕の事を・・・許してくれるんですか・・・?
パッセル:うん!
スピン:・・・・・・っ!
パッセル:よろしくね、スピン!
スピン:うん・・・うん・・・!ありがとう・・・
パッセル:クロウはスピンに冷たい態度を取ったかもしれないけど、ちゃんと君の事を考えてるんだよ。
スピン:えっ・・・
パッセル:ね!モルフォさん!
モルフォ:ふふっ。
ヴォルフ:あっちはあれで解決したみたいだが、俺らはどうする?
オルク:そうですねぇ。
モルフォ:そうだ、スピン!僕らと同盟を結ぼうよ!
スピン:そんな・・・良いんですか・・・?
ヴォルフ:はぁ!?ちょいモルフォ!お前なに勝手に!
オルク:私は構いませんよ。
ヴォルフ:マジか。お前は嫌がると思ったんだが。
オルク:だっていじりがいがありそ・・・面白そうな方ですし!
ヴォルフ:てめぇはやっぱりそういう奴だよな!まぁ、俺も別に構わないけどよ。
オルク:じゃあ結局最初から良いんじゃないですか。
ヴォルフ:うるせぇ。
オルク:ではスピンさん、改めまして自己紹介を。私はオルクと申します。
ヴォルフ:俺はヴォルフだ。もしこの野郎に何かされたらすぐ俺に言えよ?
オルク:え~何もしませんよぉ。物騒な事言うのやめてくださいヴォルフさぁん!
ヴォルフ:やめろ!気色悪りぃ引っ付くな!どたまぶち抜くぞ!
オルク:ぶち抜くんですか!良いですねぇ!やってみます?相手になりますよ。
ヴォルフ:このサイコ野郎がっ!
0:銃と刀に手をかける2人
パッセル:あぁまた!お2人とも落ち着いて下さい!
スピン:あ、あわあわ・・・
モルフォ:あははっ!まぁこの2人はいつもこんな感じだから、あんまり気にしないで!
スピン:わ、分かりました・・・
モルフォ:これからよろしくね、スピン!
0:夜風に当たるクロウ
クロウ:(小さなため息)はぁ・・・
モルフォ:クロウ、隣いいかな?
クロウ:あぁ。
0:クロウの隣に座るモルフォ
クロウ:猫、綺麗にしてやってくれてありがとう。
モルフォ:いいよ。でも本当に残念だった。
クロウ:そうだな。
モルフォ:クロウは優しいね。
クロウ:馬鹿言うな。僕は自分のやりたい様にしただけだ。
クロウ:・・・あの時モルフォが止めてくれなかったら、僕はあいつを殺していた。怒りで判断力を失い、周りの言葉もほとんど耳に入っていない状態だった。お前の事も利用しようとした。最悪だ。すまなかった。
0:クロウの頭にポンと手を置くモルフォ
モルフォ:クロウは良い子だね。
クロウ:・・・・・・あいつと僕は、形は違えど少し似ている。
モルフォ:確かにそうかもね。
クロウ:だから、あいつの痛みや苦しみは分かる・・・
モルフォ:意識のないスピンに掛けてあげてたあの言葉、起きた時に言ってあげたら良かったのに。
クロウ:っ、聞いてたのか・・・!?
モルフォ:ごめん、聞いちゃった。
クロウ:・・・・・・誰にも言うなよ。
モルフォ:言っても良いんじゃない?
クロウ:絶対に言うな。
モルフォ:はいはい、分かりました。
クロウ:もし言ったら・・・
モルフォ:(遮って)大丈夫、言わないよ。僕が今までに約束破った事あった?
クロウ:・・・・・ふっ、そうだな。
0:Fin
0:地図を見て辺りを見渡すスピン
0:パッセルに声を掛けたそうにするが掛けれない
スピン:・・・・・・っ。
0:それに気づき、スピンの元に向かうパッセル
パッセル:もしかして、何かお困りですか?
0:目を丸くして何故か驚くスピン
スピン:・・・・・・・・・・えぇ!?
パッセル:あれ、違いました?あはは、僕余計な事言っちゃいましたかね?
スピン:あ・・・こ、困ってます!凄く困ってます・・・!
パッセル:なら声を掛けて良かった!どうしたんですか?
スピン:い、行きたい場所があるんですけど・・・僕方向音痴で・・・辿り着けなくて・・・
パッセル:あぁ!この辺りは道が入り組んでて迷路みたいですからね!ちょっとその地図見せてもらっても良いですか?
スピン:はい・・・
パッセル:あれ?こんな場所あったかな?もしかしてこれ、古い地図かもしれないですね!なら言葉で伝えるのも難しいですし、良ければ案内しますよ!
スピン:良いんですか・・・?
パッセル:はい!ここからそんなに遠くないみたいですし!
スピン:あ・・・ありがとうございます・・・
0:歩いている2人
パッセル:この道を曲がって・・・
0:突然立ち止まるスピン
パッセル:あ、着いたみたいですね!
0:パッセルの背後でワイヤーを取り出す
パッセル:でもここって・・・行き止まり?
スピン:・・・ごめんなさい。
0:振り向くパッセル
パッセル:え?
0:スピンはワイヤーで攻撃を仕掛けるが弾かれてしまう
スピン:っ!?
スピン:「この一瞬で僕の攻撃が防がれたっ・・・!?」
0:人格がクロウに変わっている
クロウ:(怒りで高圧的に)・・・・・・・・・お前、殺し屋か。
スピン:「マズいっ・・・!もうひとつの人格が・・・!?」
クロウ:今、パッセルに何をしようとした?
スピン:ひぃっ!!
0:その頃、ヴォルフ宅では
0:ノックの音
モルフォ:2人ともどうも!
ヴォルフ:お、モルフォじゃねーか。
モルフォ:お招き頂きありがとう!
ヴォルフ:お招き?どういう事だ?
オルク:さぁさぁモルフォさん、こちらへどうぞ!
ヴォルフ:あ?
オルク:私がお呼びしたんです。我々3人は同盟を結んでいるんですよ?もっと交流を深めたいなと思いまして!
モルフォ:あれ?ヴォルフ、オルクから聴いてなかった?
ヴォルフ:俺なんも聞いてねぇぞ?それに、今から用事しに出掛けんだけど?
オルク:そうなんですか?じゃあその予定は無くして下さい。
ヴォルフ:はぁ!?おいオルク!そういう事は前もって言えよ!勝手過ぎんだろ!大体お前なぁ、俺の家をたまり場か何かと勘違いして・・・!
0:外の異変に気付く3人
モルフォ:ん?
オルク:何か来ますね。
ヴォルフ:構えとけよお前ら。
0:突然ドアが壊れると共に、クロウに蹴りを入れられたスピンが飛んで来る
スピン:うぐっ・・・!!
ヴォルフ:ああああああぁぁぁ!?俺ん家のドアがあああぁぁぁ!!
モルフォ:わぁお。
オルク:おやおや、今日は賑やかな日ですね。
クロウ:失礼するよ。モルフォ、実験の準備を。
ヴォルフ:クロウ!?ってか、お前なにドアぶち破ってくれてんだ!?
オルク:戦闘されてるなんて珍しいですね。
モルフォ:やぁ、クロウ!僕がここにいるってよく分かったね。
ヴォルフ:いやなんで分かんだよ。てかお前らなぁ、俺の家は集会所じゃねぇぞ!?
オルク:もう集会所で良いのでは?
ヴォルフ:お前は黙ってろこの居候野郎!
オルク:酷いですぅ!ちゃんと家賃はお支払いしてるんですから居候野郎は傷付きますよ〜。せめてシェアハウス野郎と言って下さい!
ヴォルフ:そんな事クソどうでもいいわ!
クロウ:(高圧的に)お前達、静かにしろ。
0:様子の違うクロウにビビる2人
ヴォルフ:っ・・・!
オルク:・・・・・・。
モルフォ:やけに気が立ってるね、どうしたの?
クロウ:モルフォ、お前にプレゼントだ。
モルフォ:ん?
クロウ:ほら。
0:クロウはスピンの髪を掴み上げる
スピン:うっ・・・
モルフォ:プレゼントってこの子の事?
クロウ:コイツはパッセルを殺そうとした悪い奴だ。
ヴォルフ:あのパッセルをか?
クロウ:だから思う存分研究して良い。
モルフォ:ふーん。
0:スピンに顔を近付けるモルフォ
モルフォ:君、パッセルを殺そうとしたの?それはいけないなぁ・・・悪い子だね。
スピン:ひっ!!
0:スピンから手を離すクロウ
クロウ:強い毒で頼む。しかもなるべく長く苦しむやつを。お前の事だから普段から持ち歩いているんだろう?
モルフォ:ほんとクロウは何でもお見通しだね。あるよ。
スピン:っ・・・!
ヴォルフ:いや待て待て待て!人んちで何勝手に始めようとしてんだ!やめろ!俺の家がいわく付き物件になっちまうだろうがっ!
クロウ:あぁ、そうだ。お前達はモルフォの実験を見た事が無かったね。良い機会だ、見ておくといい。
オルク:興味はありますね。
ヴォルフ:話聞けよ!殺るならよそで殺れ!関係無い俺まで巻き込むな!
クロウ:関係ならある。コイツは殺し屋だ。
ヴォルフ:はぁ!?
オルク:殺し屋ですか。
クロウ:ほら、これでお前達もコイツの事は無視出来なくなった。
ヴォルフ:はぁ〜。ったく、クロウはなんでこう毎回殺し屋連れて来んだよ。
スピン:え・・・?
オルク:おや、どうしました?
モルフォ:僕達もね、殺し屋なんだよ。
スピン:・・・?
ヴォルフ:何の事か分かんねーって顔してるな。
スピン:僕は・・・少し前にこの業界に入ったばかりで・・・
オルク:なるほど、ご存知ないと。では説明して差し上げましょう。殺し屋には「お互い顔を見られたら、どちらかは死ぬ」という暗黙の了解があるんです。
オルク:ここにいる我々は同盟や契約の間柄なので何の問題もありませんが、逆に考えればこの状況・・・お可哀想な事に4対1になっているという訳です。
オルク:あなたにとっては絶望的ですね。
スピン:えっ・・・!?待って下さい!あ、そうじゃなくて・・・!
スピン:あの、殺し屋である以上・・・殺される覚悟ならあります・・・けど、お願いです!今は殺さないで下さい・・・!今だけは絶対にダメなんです・・・!今僕が死んでしまったらヘルツが・・・!
スピン:お願いします・・・少しだけでも待って頂けませんか・・・
クロウ:お前が死ぬのは今だ。
スピン:っ・・・。
モルフォ:・・・・・・う〜ん。
クロウ:どうしたんだいモルフォ。その注射を打つんだろう?早く打ってくれ。
モルフォ:とはいえ、僕まだこの子の事よく知らないしなぁ〜。
クロウ:パッセルを殺そうとした、理由ならそれで充分だろう?
モルフォ:それはそうなんだけどねぇ・・・
クロウ:もういい、貸せ。お前が打たないなら僕が打つ。
0:スピンの首元に注射を打ち込む
スピン:うっ!?
クロウ:お前には苦しんで死んでもらう。いや、死ぬだけじゃ物足りない。死んだ後、肉体や骨の1本すら残さない。
0:体内に毒が回っていく
スピン:うぅ・・・ハァ・・・ハァ・・・ガハッ・・・ごめん・・・ごめんねヘルツ・・・助けてあげられなくて・・・ごめん・・・ごめんよ・・・
モルフォ:ん〜・・・よっと!
0:スピンに解毒剤を打つモルフォ
クロウ:モルフォ!?お前っ、何をしている!?どうして解毒剤を打つんだ!?こいつはパッセルを殺そうとしたんだぞ!?殺されて当然の事をした!!お前なら分かるだろう!?
モルフォ:クロウ、少し落ち着いて。まず、これは僕が開発した毒物だよ。僕の毒を使うのなら、僕のルールには従って貰わなきゃ。
クロウ:・・・っ
モルフォ:大切な人を殺されそうになって怒るクロウの気持ちは分かるよ。それがパッセルの事なんだから尚更だよね。でも、今の行動は君らしくない。
0:モルフォの発言に言葉を飲み込む
クロウ:・・・・・・悪かった。
ヴォルフ:(小声)あのクロウが謝っただと!?
オルク:(小声)あんなクロウさん初めて見ましたよ。
モルフォ:そうだなぁ〜。
オルク:どうしたんですかモルフォさん?
モルフォ:この子、本当は悪い子じゃない気がするんだよね。僕、人を見る目はあるんだ。
ヴォルフ:殺し屋に良いも悪いもねぇだろ。
モルフォ:それ以前に!僕は自身で殺害対象の事を調べてから実験に取り掛かる。この子の事を何も知らずに殺すのは、僕のルールに反するからね。
オルク:こんな時でさえも、やはりモルフォさんはモルフォさんですね。
モルフォ:ははっ。
モルフォ:ねぇ君。何か事情があるなら話してくれないかな?
0:モルフォ、ヴォルフ、スピンはテーブルに腰掛け、クロウとオルクは少し離れた位置にいる
モルフォ:どう?落ち着いた?
スピン:は、はい・・・すみません、ありがとうございます。
モルフォ:じゃあ、色々と聞かせてもらおうかな。僕はモルフォ。君の名前は?
スピン:僕はスピンと言います・・・さっきもお話した通り、この業界には少し前に入りました。一応、肩書きは殺し屋です・・・
ヴォルフ:一応?
スピン:僕・・・争い事や血とか見るのが苦手で・・・殺し屋なのに、人だってまだ一度も殺した事がありません・・・
ヴォルフ:だったらなんで殺し屋を?
スピン:殺し屋になる事は最初から決まっていて・・・僕は従うしか無かったんです・・・
モルフォ:従うって事は、君は組織か何かに所属してるの?
スピン:はい・・・とあるマフィアに・・・
モルフォ:じゃあ、さっき言ってたヘルツっていうのはマフィアの人?
スピン:違います・・・ヘルツは、とても大切な僕の友達で・・・でも、マフィアに人質に取られてしまって・・・
モルフォ:マフィアは君の仲間なんじゃないの?
スピン:実は・・・父さんが麻薬に手を出してしまい・・・お金が底を尽き、支払いが出来なくて殺されそうになった時・・・父さんは僕をマフィアに売ったんです。
スピン:マフィアも、僕を人としてなんて扱ってくれませんでした・・・命令は絶対・・・少しでも何か気に入らない事があると、殴られたり蹴られたりしました・・・
ヴォルフ:ひでぇな。
クロウ:・・・・・・。
スピン:そして今回・・・ヘルツを返して欲しければ・・・情報屋であるクロウの首を持って来いと言われました。
モルフォ:マフィアがクロウを殺したがってる理由は?
スピン:麻薬の流通ルートを邪魔したり、取り引き相手に偽の情報を回し攪拌(かくはん)させたり・・・色々と目障りだからと・・・
モルフォ:なるほどね。
ヴォルフ:ってか、今どき首かよ。
モルフォ:パッセルとクロウが二重人格だという事は最初から知ってたみたいだね。
スピン:はい・・・
クロウ:だから害の無いパッセルの人格の時に僕を殺そうと?
スピン:・・・・・・すみません。
オルク:ですが戦略としては悪くないですよ。私があなたでしたら、同じ手段を取っていたでしょう。
ヴォルフ:おい、空気読めよ。
クロウ:そのマフィアの名前は?
スピン:え・・・?
クロウ:早く答えろ。
スピン:す、すみませんっ・・・!ブラックニード・・・です。
0:スマホを操作するクロウ
クロウ:あぁ、コイツらの事か。
オルク:既に情報を握っており、妨害の手回しまでされていたとは。流石はクロウさんですね。
0:スピンに近づくオルク
オルク:ところでスピンさん。
スピン:・・・はい。
オルク:マフィアも裏社会の組織であり、殺し屋の暗黙の了解を知っているはずです。形だけとはいえ、メンバーの一員であるはずのあなたになぜその事を教えてくれなかったのでしょうねぇ?
オルク:何か心当たりはありませんか?
スピン:・・・・・・いざとなれば、邪魔な僕を消す為?そんなっ、じゃあヘルツはっ!?
オルク:ですがまだそうと決まった訳ではありません!希望を捨ててはいけませんよ?ですが、もしも本当にあなたが嵌(は)められたのであれば・・・嵌め返してやればいい。
オルク:どうですか皆さん!ここはひとつ、力になってあげようではないですか!
ヴォルフ:胡散臭ぇ言い方のうえにいきなりノリノリになるなよ。
モルフォ:でもその話が本当なら、僕は君の力になってあげたいな。
ヴォルフ:ちょっと待て。もしもコイツが嘘をついてたらどうすんだ?
モルフォ:クロウはどう思う?
クロウ:コイツの証言がどうであれ、これ以上勢力が拡大しないうちにけりを付けた方が良いのは確実だ。アイツらのやり方は極悪非道だからな。
ヴォルフ:まずそれ以前の問題だったか。
クロウ:何より、この僕に喧嘩を売ったんだ。この喧嘩、買ってやろうじゃないか。
オルク:楽しくなってきましたね。
クロウ:お前達にデータを送った。ざっと確認してくれ。
0:資料を確認するモルフォ、ヴォルフ、オルク
ヴォルフ:ふーん、なるほどな。
オルク:これはこれは、随分と下劣(げれつ)な事をしていらっしゃる様で。
モルフォ:今回僕にとってはイレギュラーな案件だけど、これだけ信憑性のある情報が見れたら充分かな。
スピン:どうして・・・?僕はあなたを殺そうとした相手ですよ・・・!?
クロウ:お前の件については一旦保留なだけだ。
モルフォ:なら僕に良い案があるよ。早速準備するね。
ヴォルフ:何の準備だ?
モルフォ:クロウの首も持って行こう。
0:3人一斉に
スピン:え?
ヴォルフ:え?
オルク:え?
0:マフィアのアジトにて
0:スピンの足音
スピン:・・・ボス。
マフィアボス:ん?スピン!?お前生きてたのか!?
0:スピンはクロウの首を持っている
スピン:首を・・・持って来ました・・・
マフィアボス:嘘だろ!?あの殺しも出来ない役立たずのお前が!?あははは!まさかこんな事もあるんだな!でかした!その首をもっとよく見せてくれよ!
スピン:約束です。ヘルツを返して下さい・・・
マフィアボス:ん?あぁ、約束だもんな!返すよ!その前に早く首を・・・
スピン:(遮って)先にヘルツを、こっちに・・・
マフィアボス:チッ、俺に命令すんじゃねぇよ。ほらよっ。
0:スピンの目の前に血の着いた袋が投げられる
スピン:・・・・・・・・・ヘル、ツ?
0:おそるおそる袋を開けると、小さく丸まって固くなったヘルツがいた
マフィアボス:悪りぃ悪りぃ!まさかお前が生きて首持って帰ってくるとは思ってなくてさぁ!待ってる間、みんなでコイツと遊んでやってたら急に動かなくなっちゃって!
マフィアボス:でもさー!猫なんてどこにでもいるだろ?また新しいの飼えばいい話じゃん!
マフィアボス:今まで俺達、お前に酷い事ばっかりしてきたよな。悪かったと思ってるよ。これからはさ、お前の事をもっと大事に・・・・・・え?
0:ボスの右腕が足元に落ちる
マフィアボス:ぎゃあああああぁぁぁ!!
0:スピンの様子が変わる
スピン:・・・・・・・・・・・。
マフィアボス:俺のっ・・・俺の腕があぁぁあ!!お前がやったのか・・・!?くそっ、痛いっ、痛いいいぃ!ぐっ・・・お前っ・・・!こんな事してただじゃおかねーぞ!?
0:メンバーを呼ぶボス
マフィアボス:お前らぁ、出てこい!今すぐコイツを殺せぇ!!
0:しかし反応はない
マフィアボス:どうした!?この俺が呼んでるんだぞ!?早くしろ!!
0:スピンの背後からクロウが現れる
クロウ:お仲間を呼んでも無駄だ。
マフィアボス:お前は情報屋の・・・!?でも首はここに!?
クロウ:はっ、笑えるよ。作り物と本物の区別もつかないなんて。あぁでも、モルフォのお手製だからな。見間違うのも無理はないか。
マフィアボス:どういう事だスピン・・・!?お前っ・・・俺を騙したな!?
クロウ:僕の首が欲しければさ、自分で取りに来なよ。
マフィアボス:クソッ!どいつもこいつもっ・・・!
スピン:次は左腕。
0:左腕が宙を舞う
マフィアボス:ぐあああああぁぁぁ!!
スピン:最初に騙したのはあなたの方じゃないですか。
マフィアボス:なんだとっ・・・!?いっちょ前に口答えしてんじゃねーぞ、このクソ野郎がっ!!
スピン:あなたこそ、最低なドクズ野郎ですね。これだから人間は嫌いなんです。さぁ、全部で何等分にされるのが良いですか?いいえ、どうせならあなたであった事すら分からないくらいグチャグチャにしましょうか。
マフィアボス:ひっ!?
スピン:このワイヤーはとても切れ味が良いんですよ。切れ味が良いといっても、力加減をどうするかはその時の気分ですけど。ちなみに、今もの凄く機嫌が悪いんです僕。
マフィアボス:わ、悪かった・・・!俺が悪かったから・・・!だからもう許してくれぇ・・・!!
スピン:いいえ。あなたは絶対、楽には死なせてあげません。
0:地面にはぐちゃぐちゃになった肉片と血溜まりが広がっている
0:意識を無くし倒れるスピン
スピン:・・・っ。
クロウ:おっと。
0:クロウはスピンを受け止め、地面に横たえ話しかける
クロウ:ブラックニードは、取り引きの現場を抑えられて追われた事が何度かある。だけどなかなか捕まらない。その時の逃走経路には、トラップワイヤーが張りめぐされていた。
クロウ:そのワイヤーは、人への被害を最小限に抑える為に計算されて仕掛けられた物だった。お前は争い事のせいで人が傷付くのが本当に嫌らしい。
クロウ:そんなお前が、友達を助ける為に僕に初めての殺意を向けてきた。必死だったんだな。分かるよその気持ち。僕も同じだ。
クロウ:だから、僕はお前を許すよ。
0:モルフォ合流
モルフォ:クロウ、お待たせ。建物内にいたメンバーの始末は済んだよ。
クロウ:あぁ、モルフォ。お疲れ様。
モルフォ:スピンは大丈夫なの?
クロウ:気を失ってるだけだ。
モルフォ:なら良かった。外で動いてるヴォルフとオルクも、もうすぐ合流出来るそうだよ。
クロウ:そうか。
0:全員合流
オルク:これはこれは、随分と悲惨な現場になりましたね。
ヴォルフ:これやったのってまさか・・・
クロウ:コイツだ。
ヴォルフ:争い事は苦手なんだろ?
クロウ:そのはずのコイツがこんな事をする引き金となったのが・・・
0:クロウが猫を抱き抱える
クロウ:この子だ。
オルク:猫ですか?
クロウ:モルフォ、頼みがある。この子を綺麗にしてやってくれ。
0:モルフォに猫を渡す
モルフォ:可哀想に、傷だらけだ。
クロウ:その子がヘルツだ。
ヴォルフ:ヘルツって猫の事だったのか。
オルク:あの時の喋り方、てっきり人間かと思っていました。
クロウ:とっくに殺されてたよ。
ヴォルフ:悪い予感が的中してしまった訳か。胸くそ悪りぃ。
オルク:(小声)素晴らしい。私もぜひその瞬間に立ち会いたかったものです。
モルフォ:ん?どうかした?
オルク:いえ、なにも。
クロウ:ヴォルフはコイツを運んでやってくれ。
ヴォルフ:分かった。
0:ヴォルフの家にて
スピン:・・・ん、んん。
モルフォ:あ、スピン。目が覚めて良かった。
スピン:モルフォさん・・・?
ヴォルフ:お前、丸一日眠ってたぞ。
スピン:・・・・・・はっ!?ヘルツは!?ヘルツはどこに!?
モルフォ:ここにいるよ。
0:その姿を見て涙を流すスピン
スピン:あ、ああああぁぁ・・・ヘルツ・・・ごめん・・・ごめんっ・・・痛かったよね・・・苦しかったよね・・・本当にごめん・・・僕のせいで・・・・・・
モルフォ:残念でならないよ。
スピン:・・・・・・皆さん。こんな僕に力を貸して下さって、ありがとうございました・・・これで全て終わりました・・・クロウさん・・・僕を殺して下さい。
クロウ:お前を殺すのはやめた。
スピン:どうしてですか・・・!?僕はあなたの大切な人を騙して殺そうとしたんですよ・・・!?
クロウ:そうだな。けど殺さない。
スピン:・・・・・・・・・分かりました。なら自分でっ・・・!
0:スピンは咄嗟に枕元に置いてある自分のワイヤーを手にする
ヴォルフ:おいっ!?
スピン:僕は・・・僕はもう全部嫌なんだっ・・・!
0:自殺するスピンを止めるクロウ
クロウ:っ!
スピン:っ!?クロウさん!?どうして・・・どうして死なせてくれないんですか・・・!あなただって、口ではあぁ言ってましたがすぐにでも僕の事を殺したいはずです・・・!
スピン:それに・・・もうこの世にヘルツがいないのなら・・・僕には生きていく意味なんてないんです・・・もともと僕は・・・ヘルツの寿命が来た時、一緒に死のうと考えていましたから・・・
オルク:あなたは、たかが猫の寿命に沿って自分の生死を決めていたんですか?
ヴォルフ:オルク。
オルク:それは勿体ないですよ。もともと猫の寿命なんて人間よりも遥かに短いじゃありませんか。
ヴォルフ:オルク!
オルク:なんですかヴォルフさん。本当の事でしょう?
0:オルクを睨むヴォルフ
ヴォルフ:お前は少し黙ってろ。
オルク:・・・はぁ、はいはい。なにマジになってるんですか。
スピン:ヘルツは・・・僕の唯一の友達で・・・心の支えで・・・いつも僕に寄り添ってくれていた・・・この子がいてくれたからこそ・・・僕は辛い事も痛い事も乗り越える事が出来たんです・・・ヘルツがいないと・・・僕はっ・・・
クロウ:お前は今、自分の命を捨てた。そしてお前の命は僕が拾った。僕と契約を結べ。
スピン:え・・・?
クロウ:生きる意味なら僕が与えてやる。お前はパッセルと僕の為に生きろ。
スピン:それって・・・
クロウ:勘違いするなよ。今死にたいと言ってるお前を殺せば、お前の思い通りなる。それが癪に障るだけだ。生きて罪滅ぼしをしろ。お前に拒否権なんてものはない。
スピン:・・・・・・・・・分かりました。ならお願いがあります・・・パッセルさんに・・・謝らせて下さい・・・
クロウ:良いだろう。
0:人格がクロウからパッセルに変わる
スピン:・・・パッセルさん。
パッセル:お話は全部クロウから聞きました。
スピン:あなたは自分から・・・困ってた僕に声を掛けてくれました・・・あんなに親切にしてもらったのなんて僕、初めてで・・・そんな優しい君を僕は騙した・・・許して欲しいだなんて言いません・・・本当にすみませんでした・・・
パッセル:(遮って)僕と友達になって!
スピン:・・・え?
パッセル:僕の事はパッセルって呼んで!
スピン:え、えっと・・・?
パッセル:ほらほら!
スピン:パッセル・・・さん?
パッセル:パッセル!
スピン:パッ、セル・・・
パッセル:そう!友達になれて嬉しいな!
スピン:と、友達・・・?こんな、僕と・・・?僕の事を・・・許してくれるんですか・・・?
パッセル:うん!
スピン:・・・・・・っ!
パッセル:よろしくね、スピン!
スピン:うん・・・うん・・・!ありがとう・・・
パッセル:クロウはスピンに冷たい態度を取ったかもしれないけど、ちゃんと君の事を考えてるんだよ。
スピン:えっ・・・
パッセル:ね!モルフォさん!
モルフォ:ふふっ。
ヴォルフ:あっちはあれで解決したみたいだが、俺らはどうする?
オルク:そうですねぇ。
モルフォ:そうだ、スピン!僕らと同盟を結ぼうよ!
スピン:そんな・・・良いんですか・・・?
ヴォルフ:はぁ!?ちょいモルフォ!お前なに勝手に!
オルク:私は構いませんよ。
ヴォルフ:マジか。お前は嫌がると思ったんだが。
オルク:だっていじりがいがありそ・・・面白そうな方ですし!
ヴォルフ:てめぇはやっぱりそういう奴だよな!まぁ、俺も別に構わないけどよ。
オルク:じゃあ結局最初から良いんじゃないですか。
ヴォルフ:うるせぇ。
オルク:ではスピンさん、改めまして自己紹介を。私はオルクと申します。
ヴォルフ:俺はヴォルフだ。もしこの野郎に何かされたらすぐ俺に言えよ?
オルク:え~何もしませんよぉ。物騒な事言うのやめてくださいヴォルフさぁん!
ヴォルフ:やめろ!気色悪りぃ引っ付くな!どたまぶち抜くぞ!
オルク:ぶち抜くんですか!良いですねぇ!やってみます?相手になりますよ。
ヴォルフ:このサイコ野郎がっ!
0:銃と刀に手をかける2人
パッセル:あぁまた!お2人とも落ち着いて下さい!
スピン:あ、あわあわ・・・
モルフォ:あははっ!まぁこの2人はいつもこんな感じだから、あんまり気にしないで!
スピン:わ、分かりました・・・
モルフォ:これからよろしくね、スピン!
0:夜風に当たるクロウ
クロウ:(小さなため息)はぁ・・・
モルフォ:クロウ、隣いいかな?
クロウ:あぁ。
0:クロウの隣に座るモルフォ
クロウ:猫、綺麗にしてやってくれてありがとう。
モルフォ:いいよ。でも本当に残念だった。
クロウ:そうだな。
モルフォ:クロウは優しいね。
クロウ:馬鹿言うな。僕は自分のやりたい様にしただけだ。
クロウ:・・・あの時モルフォが止めてくれなかったら、僕はあいつを殺していた。怒りで判断力を失い、周りの言葉もほとんど耳に入っていない状態だった。お前の事も利用しようとした。最悪だ。すまなかった。
0:クロウの頭にポンと手を置くモルフォ
モルフォ:クロウは良い子だね。
クロウ:・・・・・・あいつと僕は、形は違えど少し似ている。
モルフォ:確かにそうかもね。
クロウ:だから、あいつの痛みや苦しみは分かる・・・
モルフォ:意識のないスピンに掛けてあげてたあの言葉、起きた時に言ってあげたら良かったのに。
クロウ:っ、聞いてたのか・・・!?
モルフォ:ごめん、聞いちゃった。
クロウ:・・・・・・誰にも言うなよ。
モルフォ:言っても良いんじゃない?
クロウ:絶対に言うな。
モルフォ:はいはい、分かりました。
クロウ:もし言ったら・・・
モルフォ:(遮って)大丈夫、言わないよ。僕が今までに約束破った事あった?
クロウ:・・・・・ふっ、そうだな。
0:Fin