声劇台本置き場

天罰：一人一人では、まるで相手にならん 天罰：まとめてかかってこい 0： 0：天罰は騎士団兵たちの攻撃をいなしながら、わなわなと腕を振るわせていた 天罰：弱い…弱すぎるぞ貴様ら！ 0：天罰の声が高らかに響いた 天罰：話にならない 天罰：結局…弱者は、弱者のまま 天罰：強者（きょうしゃ）にこそ、価値があるのだ 天罰：貴様らはそれに値するか？ 天罰：…どんな反論だろうと、異議だろうと 天罰：己が強くなければ、価値はない！ 天罰：神帝国（しんていこく）は、強者の国 天罰：我らがそれを、力で証明しなければ、騎士はいらない 天罰：強者であることは、誇りそのものだ 天罰：貴様らは、その誇りを最後まで守り切れるか？ 天罰：強さに従って、守り抜けるか？ 天罰：守れない人間に、騎士とは呼べぬ 天罰：ただの蟻だ 天罰：…もういい 天罰：貴様らには、天罰をくれてやる！ 天罰：雷帝（らいてい）術　第１２番 天罰：紫電爆雷撃（しでん　ばくらいげき） 0：天罰の攻撃に、騎士団兵たちは一気に吹き飛ばされた 0： 天罰：失せろ、弱者 0： 0：その様子を見て、冷や汗と称賛が入り混じった表情をした慈悲がいた 慈悲：…流石だな。おそろしい威力だ 慈悲：魔法で耐性を強くした壁も、木っ端みじんだ 天罰：そんなものはしらん 天罰：崩れるほうが悪い 慈悲：お前は…壁に対しても、その、弱者とか強者を求めるのか？ 天罰：その通りだ 慈悲：…きっぱり言うんだな 天罰：壁とは、守る為にある 天罰：この程度で陥落するなど、魔法をかけた人間の底が知れる 慈悲：…なるほど、あくまで人に対して向けていると 天罰：何がいいたいんだ？ 慈悲：いや、なんでもない 慈悲：しかし、天罰。騎士団兵が弱くなった、というのは偏りすぎだと思うな 天罰：なんだと？ 慈悲：お前が名前付きになったのは、最近だったよな？ 慈悲：それまでは騎士団兵と同じレベルだったはずだ 天罰：相手が弱いだけだ 慈悲：この前の模擬戦で、倒したと聞いた 慈悲：…聖典を 天罰：… 慈悲：一時期、最強の名前付き候補と呼ばれていた男だ 慈悲：聖典が弱くなったんじゃなくて、天罰が強くなったんだよ 天罰：お前は、自分が弱いと？ 慈悲：やるからには勝つつもりだ 慈悲：ただ、強さを自覚したほうがいいと思うけどな 天罰：…元々は、憧れで入ったのだ、ここには 慈悲：…それは、聖典のことか？ 天罰：… 天罰：人の剣技に惚れるなど、生涯において初めてだったからな 慈悲：剣技そのものに興味を抱くのも、変わっているよな 慈悲：女というか…男に近いよな、天罰って 天罰：ほう？　いい度胸をしているな？ 慈悲：…何か触れてはいけないものに、触れてしまっただろうか 天罰：…まぁいい 天罰：心配せずともその性根ごと、叩き斬ってくれる 慈悲：怒らせたつもりはなかったが 天罰：その口ごとほうむる 0： 0：それから一旦、天罰と別れる 慈悲：…しかし 慈悲：天罰と模擬戦か 慈悲：…彼女の剣とは、一度ぶつかったことがあるが 慈悲：荒々しさは、健在そうだ 審判：おおよそ、慈悲君が言ってる通りだと思うぜ～、俺は 慈悲：審判！ 慈悲：お前も模擬戦に？ 審判：いやいや、仕事がてら第４支部まで来ただけさ 審判：この近くの岩地で、ゴーレム退治 審判：支部に戻って聞いてみれば…定期模擬戦、やってるって聞いたから、どんな様子かねぇと 慈悲：なるほど 審判：その様子だと、天罰さんに勝てる気がしねぇ！って感じだな 慈悲：彼女の強さは知らないわけじゃない 慈悲：聖典を倒した腕前だ 審判：まぁ、どうなんだろうな… 審判：聖典君も、何となくこう 慈悲：？ 審判：うーん、本調子じゃなかったような。結果論だけど 慈悲：聖典が？　 慈悲：剣を飛ばされるほど追い詰められていたと聞いたが 審判：まぁ、聖典君も悩みがあるんだろうね、きっと 審判：そういうのって意外と剣に出やすいじゃんさ？ 慈悲：…お前の口から騎士らしい言葉がでるとは 審判：俺だって名前付きよ！？ 審判：天罰に「お前も名前付きになれボケぇ！」って言われて、まぁ頑張ってやってみたら、この結果。立派な騎士になりましたとさ 慈悲：審判も十分に、剣の才能があると思う 慈悲：それこそ、天罰といい勝負をするんじゃないか？ 審判：いやぁー俺は、あんましやりたくないかなぁーはは 審判：それに撃つのも混じってるからさ、俺は 審判：あとーどっちかって言うと、もっとかわい子ちゃんとぉ 慈悲：やれやれ…そういうところは変わらないのな 慈悲：死ぬまでその調子かもしれなさそうだ 審判：いやぁ～それほどでもぉ～ 審判：あ！　ティナちゃん元気！？ 慈悲：ああ 慈悲：この前も、違う花を見つけて喜んでおられていた 審判：ロマンチストでいいね！ 審判：ふむふむ…やはりティナちゃんも是非ともハーレム候補に 慈悲：余計なことはするなよ？　審判 審判：…そう、ティナちゃんにはモテるイケメンガードマンがいるんだったなぁ 慈悲：モ、モテる？ 審判：おいおい、自覚ないのかよぉ～慈悲君！ 審判：騎士団の女性界隈（かいわい）じゃ、名前、出ちゃってるのよ、あんた！ 審判：ティナお姫様を守る優しいイケメン！　あぁー私も守られたい！って 慈悲：そうなのか？　よくわからないが 審判：く、くぅぅ！　無自覚イケメン腹立つぜ！　よし、模擬戦することになったら、ティナちゃんをかけて勝負といきたいさね！ 慈悲：望むところだ 慈悲：…その前に、大きな雷鳴と戦ってこなければな 0：と、支部内で天罰の技と思わしき雷鳴が響いた 審判：やる気満々ねぇ～ 慈悲：さて、行くか… 0： 0： 天罰：…… 天罰：実力…か 0：数か月前 天罰：…っ！！ 0：天罰の攻撃が、聖典の剣を吹き飛ばす 天罰：どうした…聖典。そんなものか 聖典：… 天罰：なぜ黙る！？ 天罰：まさか、このまま負けるなどと言うまいな！？ 聖典：…そうだ 天罰：っ！ 聖典：俺は剣をはじかれた。お前は立っている 聖典：アイシクルショットも、フリズドライブも 聖典：天罰の雷帝（らいてい）術の前では消え失せるか 聖典：術と術をぶつけあう戦いは、不利らしいな 天罰：何を冷静に考えている…？ 天罰：負けたことを「恥」と思わないのか！？ 聖典：… 天罰：我ら神帝騎士団こそ、強者の集団であり、神帝国の強さそのもの 天罰：ゆえん、どんな敵に対しても打ち勝っていかねばならない 天罰：それなのに、なんだ、そのさまは 天罰：剣をはじかれて、情けなく尻もちをつく始末じゃないか 聖典：…勢いだけでは、強くなれない 聖典：見落としていることにも目を凝らす必要がある 聖典：今回は氷連術の練度をあげるという課題が見つかった、そう判断した戦いだ 天罰：…練習に過ぎないと？ 聖典：そうだ。これはただの模擬戦だ。 聖典：お前と一緒にするな、天罰 天罰：…聖典っ！！ 0：天罰は聖典のむなぐらを掴む 天罰：お前が…見せていた… 天罰：お前が私に見せていた剣技は、どこへ行った 天罰：あの日、騎士団に入ったばかりの頃 天罰：訓練所で見た…聖典の…ウィルターの、お前の剣技があったから 天罰：私はここまで来れた 天罰：雷帝（らいてい）術を覚え、剣技に打ち込み、お前と同じ名前付きになり 天罰：一緒に背中を預けられる強さを得たのだ 聖典：…勝手に憧れたのは、誰なんだか 天罰：っ！！ 0：天罰は聖典を突き放す 天罰：…もういい 天罰：お前など…っ 天罰：お前など…ただの弱者だ！！ 天罰：目の前から消え失せろッ！！ 0： 0： 天罰：…いや、もう奴のことはいい 天罰：結局のところ、弱者に過ぎなかったのだ 天罰：…神帝国こそ、我らの誇り 天罰：私自身がそれに恥じない強者になり 天罰：弱者の中から、強者を生み出していけばいい 天罰：私のやることは一つ 天罰：弱さに”天罰”を与える事 0：天罰は剣を手に取り、構える 0：目然に見える慈悲も同じように剣をとった 天罰：準備はできた 慈悲：…振り切った顔をしているな、天罰 天罰：ああ 天罰：少し思い出していた 慈悲：それで？　 天罰：再確認した 天罰：神帝国は、強者の国 天罰：我々がそれを証明していく事が、重要だと！ 天罰：雷帝（らいてい）術　第１番 天罰：「ボルテックブレイク」！ 慈悲：っ！ 天罰：この程度は防げるか 慈悲：力の強さが、技のすべてではない！ 慈悲：騎士剣（きしけん）術　第９番 慈悲：「リカバリー」 天罰：くっ… 慈悲：はじいた後に、すぐさまこちらが仕掛ける！ 慈悲：騎士剣術（きしけんじゅつ）　第２番 慈悲：「蓮制斬（れんせいざん）」！ 天罰：こざかしい！ 天罰：雷帝（らいてい）術　第１６番 天罰：「紫電爆雷撃（しでんばくらいげき」！ 慈悲：う…っ！！ 0：雷の爆発を避け、慈悲は構えを取る 天罰：…？　この構えは？ 慈悲：氷連（ひょうれん）術　第６番 慈悲：「フリズドライブ」！ 天罰：っ！ 天罰：雷帝（らいてい）術　第７番 天罰：雷散解（らいさんかい）！ 0：天罰はそれを横に薙いで、氷の攻撃を防いだ 天罰：…貴様、舐めているのか？ 慈悲：いいや、違う 慈悲：騎士剣術だけでは、限界があるのは分かっているんだ 慈悲：ただ、…この技も…聖典のようにはいかない… 天罰：… 慈悲：…私にも 慈悲：守りたいものがある 慈悲：姫様のために、強くなるという使命が 慈悲：それが、私の役目だ！ 天罰：…いい顔をしているな、慈悲 天罰：強者の顔だ 0：天罰と慈悲、どちらとも突きの構えをとった 慈悲：このまま、突き刺す！ 慈悲：騎士剣術（きしけんじゅつ）　第３番 慈悲：「スティンガー」！ 天罰：雷帝（らいてい）術　第２５番 天罰：「天雷一閃（てんらいいっせん）」！ 0：互いの攻撃が交差した 慈悲：ぐっ… 天罰：惜しいな 天罰：強者の顔が出来ていても、実力が伴っていなければ、意味はないぞ！ 慈悲：く…そ 0： 審判：いやぁ、やっぱり駄目かぁ 審判：面白い試合だったけどなぁ 審判：…慈悲君は、守る為に頑張る… 審判：その顔は強者の顔…ね 審判：あの一瞬、天罰さん、嬉しそうだったな、なんか 天罰：…… 審判：ほれ、いい表情 天罰：うるさいぞ下衆（げす） 慈悲：… 審判：お疲れ、慈悲君 慈悲：…予想は、出来ていた 慈悲：やはり強いな、天罰は 天罰：…お前の剣技には、見えない丁寧さがある 天罰：ゆえん、騎士剣術を使っているのだろう 慈悲：…もう一つ、別の術を修練しているが 慈悲：ただ、まだ習得できない… 天罰：ならそれを身につけて、また勝負に来い 天罰：術ごと叩き潰してやる 審判：おりょ？　えらいやる気だなぇ天罰さん 天罰：なに。慈悲に現実をつきつけてやろうかと思ってな 天罰：弱者であることを認識させ続ける 天罰：ゆえん、その反動で強くなろうとする 天罰：そうして神帝国の強さはできていくと、私は思っている 審判：ひゃぁ、スパルタ精神満載ね 慈悲：次の模擬戦までは、必ずできるようにするさ 慈悲：姫様をお守りする為にも 慈悲：負けてばかりではいられない 天罰：ふん 審判：…あ、じゃあこういうのどうだ？　慈悲君 慈悲：？ 審判：俺だって今まで天罰さんに「弱者弱者！アホカス！」ってさんざんに言われてるんだ… 審判：んで、模擬戦をうなぎ上りで連勝している天罰さん。ここいらで負けたら罰ゲームさせるのも面白いんじゃないかなぁって 天罰：何？　 審判：うん。そうだな。慈悲君が勝ったら、天罰さんにエロい格好か、可愛い格好させるか 天罰：…なっ！？ 審判：男らしい天罰さんだから、恥って思いそうだしなぁ 天罰：この下衆…いきなりわけのわからんことを！ 審判：いやなに照れてんの、これ罰ゲームよ？ 審判：動揺しすぎだって…。え？　まさか興味あるの？ 天罰：そんなものはない！！ 審判：そうよなぁ。天罰さんってほぼ男みたいなもんだしさ。女性的な感性、ないもんな～ 天罰：…ほう 慈悲：確かに…男が女性の格好をすると思えば…嫌なものだな 慈悲：それこそ、男らしい天罰なら、なおさら思うだろう 天罰：…っっ！ 審判：だよなぁ。ほんとなら、ザ・女の子にこそさせたいよねぇ！ 慈悲：それは…よく分からんが… 審判：それこそティナちゃんとか 慈悲：や、辞めろ！ 審判：おおう、優しいイケメンといえど妄想はしちゃうよなぁ… 慈悲：はしたなさは、護衛に要らないだろ！ 審判：冗談冗談！ 審判：とりあえず、天罰さんにはそういう罰ゲームを課すということで 慈悲：…ふと思ったのだが 審判：？ 慈悲：…天罰が着ても、恥じらいを覚えなさそうな気がする 慈悲：それこそ、強者なら心も鋼のように硬い 慈悲：逆に、その恥じらいのなさに対して、尊敬の念をもたれそうだ 審判：あー。天罰さん、女性にモテるもんなぁー 天罰：…っ！！！ 慈悲：何を着ても、天罰らしいというか 審判：うーん、考えれば考えるほど、そんな気がしてきた 審判：逆に腕を組んでて何ともない顔してだなー 慈悲：男性的だからな、天罰は 審判：そこよなぁ、残念なの 審判：あと怖いし 慈悲：その畏怖（いふ）が、逆に強者らしいと思うが 審判：…そういや、たまに太もも全開衣装だった時もあるけど…なんでもない顔してたもんなぁ 審判：まぁ、それも含めると…なるほど。無敵なのかもねぇ～ 審判：…？　あれ？　何か周りに電気が… 慈悲：…！？　て、天罰！？　 天罰：…貴様ら 天罰：さっきから好き勝手、あれやこれや、言い放題じゃないか…！ 天罰：…許さん！！ 天罰：まとめて、”天罰”をくれてやる！！！ 慈悲：待て！　私もか！？ 審判：落ち着けって天罰さぁぁぁぁん～！！ 天罰：黙れ下衆どもぉぉぉっ！！！