台本概要

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タイトル 【全3役性別不問】萌え殺されたい殺したい!
作者名 机の上の地球儀  (@tsukuenoueno)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(不問3)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 テンション全開コメディ/シチュボ有

商用・非商用利用に問わず連絡不要。
告知画像・動画の作成もお好きにどうぞ。
(その際各画像・音源の著作権等にご注意・ご配慮ください)
ただし、有料チケット販売による公演の場合は、可能ならTwitterにご一報いただけますと嬉しいです。
台本の一部を朗読・練習する配信なども問題ございません。
兼ね役OK。1人全役演じ分けもご自由に。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
田中 不問 73 性別不問。佐藤が好き。鈴木が邪魔。
佐藤 不問 72 性別不問。鈴木が好き。田中が邪魔。
鈴木 不問 70 性別不問。田中が好き。佐藤が邪魔。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
 :   :   :   :◆全員が横並びで、前を向いて頭を抱えている。  :  田中:はーーー……今日も推しが尊い。 佐藤:分かる。存在が神。息してるだけでファンサ。 鈴木:まじそれ。世界で推して、ノーベル可愛いで賞を贈るべき。  :◆バッとそれぞれの推しに視線を移す。全員鼻の下が伸びきってデレデレとしている。  :  田中:佐藤ーッ!今日も全力で可愛い!課金させて〜! 佐藤:鈴木ーッ!今日も宇宙一最高!後光がさして何も見えない〜! 鈴木:田中ーッ!今日も生きてるだけで大天才!とにかく顔が良い〜!  :  田中:そして……!  :◆今度はそれぞれの仇敵をバッと振り返る。全員がこれでもかと言うほど憎しげに相手を睨みつけている。  :  田中:推しに推されるお前が憎い!鈴木ィ! 佐藤:推しをまどわせる害悪は許せない!田中ァ! 鈴木:お前の存在は、推しにとって百害あって一利なし!佐藤ゥウウウウ!  :  田中:……邪魔者は排除せねば。 佐藤:それが世のため推しのため。 鈴木:やっちゃおう。すっきりサッパリやっちゃおう。  :  田中:しかし、最近の日本の警察はかーなーり優秀である。 佐藤:適当な殺し方では簡単に足がついてしまう。 鈴木:捕まっては推し事もできない。 田中:それでは本末転倒、元も子もない。 佐藤:だったら!完全犯罪の方法を考えるしかない! 鈴木:……バレない殺し方。証拠の残らない凶器。 田中:うぅ〜〜〜ん。 佐藤:え。そんなものある?存在する? 鈴木:ないない。あったら速攻でやってる。キルボタン秒で推してる。 田中:鈴木殺意高杉晋作〜!でも分かり哲也〜! 佐藤:だよね〜自分も田中が横にいるだけで虫唾が走るもん〜! 鈴木:な〜?佐藤と同じ空気を吸ってるとかマジない。ない寄りのない寄りのない寄りのない。 田中:いやー、害悪が貴重な酸素無駄にしないで欲しいわー。 佐藤:ねー。 鈴木:なー。  :(間)  :  佐藤:……それにしても殺し方……殺し方ねー。 鈴木:なんか良い方法ないもんかね。 田中:まあ三人寄れば文殊(もんじゅ)の知恵って言いますし? 田中:力合わせたらこう、ズギャーン!と良いアイディアが浮かぶんじゃないかな! 佐藤:そうだね!ドゴーン!とハイでクリティカルなやつがね! 鈴木:うんうん!バビュルーン!とやばくてやばい、あれだ、うん!やばめのやばいやつ!  :(間)  :  田中:……いやこれ浮かぶか……? 佐藤:我ら三人とも、圧倒的にボキャブラリーが足りないね……。 鈴木:うん。アイキューが低すぎる。語彙力が壊滅的に喪失してる。 田中:……まあそれでも鈴木よりはマシか。なんだよ、やばくてやばいやばめのやばいやつって。 佐藤:あっオイやめてよ鈴木のこと馬鹿にすんの! 佐藤:馬鹿なところが可愛いんだろうが!アホなところが推せるんだろうが! 鈴木:うんうん全然フォローになってなーい。 鈴木:……ってかズギャーンもドゴーンもそう大差ないからな!お前らも大概だからな! 田中:いやバビュルーンよりはマシでしょ。 佐藤:うんそこは同意。 鈴木:何でだよ!そこも可愛いってフォローしろよ囲いぃいい! 佐藤:あはー!うんうん、良くつっこめたねー、偉いねー、よしよーし。いないいないばぁ〜! 鈴木:馬鹿にしてんなてめえ。 田中:ンッハ……!ママみのある推し最高ーッ!オギャりてえ!心のバブちゃんが弾けそう! 鈴木:何かこっちは勝手に被弾してるし!いやでもテンション高い田中可愛いな!? 田中:……あーやばい、やばかったー。 田中:(佐藤の真似をして)よしよーしって。よしよーしって……! 田中:くぅ……!推しによしよしされてぇえええ!甘い声で囁かれてぇええええ! 鈴木:いやでもそんなんされたら死なない?え?推しに頭撫でられるとかもう瞬間召されるでしょそんなん? 佐藤:分かる〜。そんなんされたらすぐ昇天しちゃ…………ハッ!それだーーーッ!!!!! 鈴木:うっるさ。え、何いきなり。 佐藤:あっごめ……いやそうじゃなくて!それだよ!証拠の残らない凶器! 田中:へ?何?どゆこと? 佐藤:仰〜げば〜? 田中:……は? 佐藤:とお〜とし〜♪ 鈴木:…………は? 佐藤:はいそう!尊死(とうとし)……! 田中:とうと……え!? 佐藤:尊死!つまり萌え殺し!推しの萌えるシチュエーションや萌えるセリフ……それらが連続供給された時!囲いの我らは……? 鈴木:…………ッ! 田中:死ぬ……! 佐藤:そう!つまり!萌え殺しこそ、証拠の残らない完全犯罪……! 鈴木:しかも殺害対象は喜んで死ぬ訳だから、殺す罪悪感も少ない!えー佐藤さては天才か〜? 田中:憎き相手を喜ばせるって点はアレだけど、方法としては悪くない。ってかむしろ最高! 佐藤:えー?そんなそんなー!それほどでもあるが〜? 鈴木:え〜じゃあじゃあ早速殺しちゃう?やり合っちゃう? 田中:やっぱり鈴木殺意たかし岡村〜! 佐藤:キルクールタイム終わったらすぐ手出しちゃうタイプだねー。 田中:でもあんまり手が早いと、メタ推理ですぐインポスターバレするから得策じゃないぞっ☆ 佐藤:失策失策〜! 鈴木:……え?じゃあ何?やらないの? 田中:いややる。 鈴木:えっやるの!? 佐藤:正直もう衝動が抑えられそうにない。今すぐにでもやり合いてえ。 田中:やり合わない選択肢がない。 鈴木:……あぁうん。ちょっと怖いけど話が早くて助かるわ……。 田中:じゃーじゃーじゃあ!じゃあ誰から行く? 佐藤:あーじゃあここは分かりやすく、役表の上からでいいんじゃない? 鈴木:賛成!役表の上からで! 田中:やめろやめろ役表言うな!メタだぞそれぇ! 田中:……ったく。あーえーじゃあ何?上から?自分から行けばいいのか? 佐藤:おう!どうぞ。 鈴木:キャーーー!田中ーーーッ!ドキドキさせて!キュンキュンさせて!こっち向いてバーンってしてーーーッ! 田中:アリーナがうるせえなおい……。 田中:えーでは、僭越ながら、自分が推しにされたいシチュから抜粋させていただきますねっと……。  :  田中:(鈴木に向かって)さっきは楽しそうだったね。 田中:さては、あぁいうのが好みなの? 田中:でも……よそ向く暇なんて与えないよ。 田中:君は、こっちだけ見ていればそれで良い。 田中:……逃さないよ?君が誰のものか、自覚してもらわないとね?  :  鈴木:ブヒャーーーッ! 佐藤:ブヒャ!?え、ちょ、鈴木!鈴木ィ!うわぁ……と、とんでもない量の鼻血だ……! 鈴木:やばい……。ベタすぎてちょっとダサいところも含めて愛しい……ぐふっ。 田中:んんん?さては囲い我のことディスってる?もしかしなくてもディスってる?処す?囲い処す? 佐藤:んーいやけど敵ながら?結構良い台詞のチョイスだったんじゃないかな。 田中:逆にこっちが褒めてくれた!? 田中:でへへー。どうもどうも! 田中:……んじゃあ次は佐藤行ってみよう!囲いの田中をぶっ殺そう! 佐藤:……その田中が自分だってこと自覚してる?ねえ?……まあいいや。じゃあ行くよー?  :  佐藤:(田中に向かって)せーんぱいっ。今日もお疲れ様です! 佐藤:終わるのずっと待ってたんですよ?一緒に帰りましょ! 佐藤:……え?あぁ、ずっと外にいたから……ふふ、そんなに冷えてます? 佐藤:じゃあ先輩……あっためて……くれますよね?  :  田中:あーーーーーー! 鈴木:雄叫び!? 田中:ふえ……無理……何これ夢……?推しが……推しがッ!推しがこんなに鼻赤くして身体冷たくして待っててくれるとか……ッ!ありがとう、全力でありがとう……! 鈴木:いや萌えるかこれ?先輩が何してたんか知らんけど、待ってたんなら手伝えよって思うけど……。 鈴木:まあでも確かに推しが待っててくれたならそれだけで嬉しいか。推しなら、だけど。そうでなければストーカー事案だけど。 佐藤:脳内の願望を、欲望の赴くままに台詞化しました。 鈴木:なるほどなー。えーでも、自分は待たれるより待ちたい派かなー。 鈴木:……あっ!ハイハイ、ハーイ先生! 佐藤:んんー?……うぉっほん。はい鈴木君! 鈴木:あのー自分、こういう甘いのも好きなんすけど、ちょっと推しに蔑まれたいっていうかあ……。 鈴木:そういうシチュ一本、やってみていいっすか! 田中:うわー特殊性癖。でもちょっとわかる。 佐藤:え〜?まあじゃあそれでとりあえず一回やってみる? 佐藤:けどいくら推しでも、そういうエッジ効いたのは自分萌えないと思うな〜。鈴木は可愛い系のイメージだし。 鈴木:いやいや!聴いたら意外とありだってなるって!こういう鈴木も悪くないなってなるって! 鈴木:……よし。んじゃ行くよ!  :  鈴木:(佐藤に向かって)黙れ下民。許可なく口を開くな。 鈴木:……貴様に拒否権などないぞ? 鈴木:それでも断るというのなら……フッ。お仕置きが必要なようだな? 鈴木:……おっと、これでは喜ばせてしまうか。 鈴木:……それに、踏むにも貴様のような汚物相手では……靴が汚れてしまうだろうが。  :  佐藤:ええええぇえあり!ありなんだが!?何それそういうのもハマれちゃうの?そういうとこだぞ推し!そういう節(ふし)あるぞ推し〜! 田中:いやー。実際、鈴木の声を脳内で推しに変換したら、自分も何かに目覚めそうだった。需要あんなこれ。 鈴木:ほっらっなー!?語彙ぶっ飛んでくだろー?推しに蹴られたくなるだろー? 田中:それはない。 鈴木:うぇーい。 佐藤:(まだ悶えながら)アンンンンン!やばい!格好良かった〜!格好いいの大渋滞〜!推しが確実に殺しにきている〜〜〜。 田中:あーうんうんそうだなー。今回は文字通り正しく殺そうとしてるからなー。 田中:……あ!じゃあじゃあこういうのは?癒し系!  :  田中:なーに落ち込んでんの? 田中:……言えない感じ? 田中:ふーん……。ま、話したくなったらでいいけど。 田中:……ほら、いつも飲んでるカフェオレ。 田中:失敗する時もあるさ。そういう時は、あったかい物飲んで寝るに限る。 田中:……ね?安心しなよ。朝まで一緒にいるからさ。  :  鈴木:ングゥ!わ、わいが石油王ならば!石油王ならば油田献上しちゃう尊さ〜〜〜!カフェオレおかわりぃいいい。 鈴木:(ハッと我に返って咳払い)……ふむ。癒し系、癒し系か……。ならこういうのは?  :  鈴木:じゃじゃーん!労(ねぎら)い屋開店です! 鈴木:夕ご飯もできてる!玄米に豚汁、焼鮭に煮物! 鈴木:お風呂も沸いてる!入浴剤でポカポカ!ゆずの香り! 鈴木:食後にはマッサージ、お風呂から出たら髪を乾かすオプション付き! 鈴木:……ん?突然どうしたって? 鈴木:……いつも頑張ってるから、たまにはね。 鈴木:毎日お疲れ様。  :  佐藤:ヘイちょっともーなにー!通うーーー!毎日通う常連になるー!いやもー今日も偉業成し遂げちゃってるねっベーイベッ☆ 佐藤:(ハッと我に返って咳払い)……なら、自分はこういう感じで……。  :  佐藤:……よっ!……なに、その顔。 佐藤:ん?会いたかったでしょ? 佐藤:……ふふ。エスパーなので。そっちが考えることなんてぜーんぶお見通し。 佐藤:……寂しいんなら、素直に言いなよ。いつでもすぐに飛んでくるから。 佐藤:……なーんて。実はこっちが会いたかっただけ。 佐藤:ほら、色々コンビニで買ってきたんだ。部屋、上がって良い?充電、させてよ。  :  田中:グハッ……!あーほらそうやってすぐ徳積んでくぅ〜〜〜!はい眩しい〜!充電させてってなんだよもー高速フル充電入りまーす! 田中:(ハッと我に返って咳払い)……よっしゃ、じゃあ今度は毛色を変えて、っと……。  :  田中:どこ行こうとしてるの? 田中:駄目だよ、だめだめ。離れるのなんて許さない。 田中:……あぁ、そうだね。足があるからいけないんだ。こんなものいらないよね?うん、手もいらない。 田中:大丈夫、君は何もしなくていいんだから。 田中:ぜーんぶお世話してあげるから安心して? 田中:君はここにいるだけでいい。……一生、ね?  :  鈴木:ピギィッ!や、ヤンデレの推しー!?えっなにそれ新しい世界が見えた……!……わ、わかった……!金か?金を払えばいいのか……?油田はないけどお賃金ならある。推しの糧となれるなら、毎食もやしだって厭(いと)わない……! 鈴木:(ハッと我に返って咳払い)……えーと?じゃあ次は自分のターンか……。  :  鈴木:ご主人様。ご主人様。……そろそろ起きる時間でございますよ。 鈴木:全く……また夜更かしされたのですか? 鈴木:……はぁ。寝起きだからってそんな無防備な顔しないでください。身分不相応にも、欲が湧いてしまいます。 鈴木:……その顔を見せるのは、わたくしだけにしてくださいね。  :  佐藤:アババッ!くぅ!推しの攻撃がクリティカルヒットォ!佐藤に百万のダメージ……ッ!王道〜!お世話係り〜!絶対眼鏡かけてる萌える〜! 佐藤:(ハッと我に返って咳払い)ンンン!わいも負けてられんな!では!  :  佐藤:なんだ?ジッと見つめて。 佐藤:……まさか惚れたか? 佐藤:……ふっ。やめておけ。お前の手には余るぞ。 佐藤:そうだな。お前がこの先どう動き、どう興味をそそるようなことをするか……楽しみにしているぞ。 佐藤:……期待を、裏切るなよ?  :  田中:ンハァ!……えーなになに王族系?ずるくないやばくない? 田中:……クッ、このままじゃ埒(らち)が明かない!ここからはスピードアップ!どんどん行くよ!  :◆以下、囲いは推しの台詞にダメージを受けながら萌える台詞を繰り出していく(演者の性別と違う台詞もそのまま読む)。  :  田中:ふーん、面白ぇ女。 佐藤:べ、別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね! 鈴木:君はいけない人ですね。 田中:先生といけないこと……しちゃう? 佐藤:俺とお前はさ……ずっと一緒にいる運命なんだよ。 鈴木:はうぅ〜、私、天然じゃないもん! 田中:ほんっと、お前は変わんねえな。 佐藤:僕以外と話さないでください。 鈴木:お前みたいな女は初めてだぜ。 田中:あれ?顔赤いけど、熱でもある? 佐藤:あんたって、私がついてなきゃほんっとダメね! 鈴木:俺以外の男の前で、そんな顔見せんじゃねえよ。 田中:指輪……?結婚……したんだね、私以外の人と。 佐藤:おいで、僕のお姫様。 鈴木:こんな気持ちになったの……貴方が初めてなんです……。 田中:そんなにあいつがいいのかよ! 佐藤:君のためなら死ねる! 鈴木:じゃあもっと私に頼ってよ!私……そんなに頼りないかな……? 田中:年下だからってからかわないでください!僕だって……男なんですよ。 佐藤:せ、責任……取ってよね……? 鈴木:だから言ったろ。お前は、俺のそばで笑ってりゃ良いんだよ。  :◆長めの間。暫くしてスッと息を吸う音がして、全員同時に頭を抱える。  :  田中:(同時に)あ〜〜〜〜〜! 佐藤:(同時に)あ〜〜〜〜〜! 鈴木:(同時に)あ〜〜〜〜〜!  :  佐藤:推し〜推しが尊い〜! 鈴木:尊いが過ぎる〜! 田中:てぇてぇの過剰供給〜! 佐藤:非の打ちどころのない可愛さがもはや天元突破〜! 鈴木:国宝?さては国宝?いやもう地球の、いやこの世の宝! 田中:百点満点のテストで五兆点〜!囲いの推薦で首席合格〜! 佐藤:いいね連写爆弾発射準備〜!よーい!放てーーーッ! 鈴木:貴方は国際保護動物に指定されました。全人類で守ります。 田中:ドキがムネムネで壊れそう。そんな貴方にラブアターーーック! 佐藤:一目見た時から決めてました!推しの活動に骨の髄まで捧げます! 鈴木:ヘイユー、もしかして天界から舞い降りた天使〜? 田中:推しの笑顔おかずにして炊飯器空にできる自信がある。 佐藤:こちらがエクストリーム推し布教大会の会場ですか!? 鈴木:たまに公式だったか自分の妄想だったか分からなくなる時ない?自分はある。 田中:厳正なる選考の結果、誠にてぇてぇことではございますが、貴方を私の生涯の推しに任命することが決まりました。 佐藤:偏差値五でもその良さが分かる〜!馬鹿でも分かる素晴らしさ〜! 鈴木:世の中には二種類の人間しかいない。推しか推し以外か。 田中:貴方は消えないわ。私が推すもの。 佐藤:はいはいエールエール。 鈴木:今日もとっても尊かったね。明日はもーっと尊くなるよね、推し太郎ッ。 田中:そんな課金で大丈夫か? 佐藤:ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど、コンビニでボイチューンズカード買ってきてくんない? 鈴木:御意!天安門事件! 田中:更に輝け☆萌え萌えキューン! 佐藤:明日も煌めけ☆萌え萌えキューン! 鈴木:えっ、この状態からでも入会できるファンクラブがあるんですか……? 田中:お客様!お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!もう私の心臓が持ちそうにありません! 佐藤:アッアッ!今エンドルフィン出てる!脳内麻薬ドバドバ分泌されてるーーーッ! 鈴木:推しを生み出した全てに感謝したい。手始めにまずご両親にお歳暮を送りたい。 田中:推しのいる世界線に生み出してくれたわいの両親にもスタンディングオベーション! 佐藤:推しの吐き出した息だけ吸って生きていきてえ〜! 鈴木:推しがこの世に存在してるって再度認識したら、感極まって涙出てきた。 田中:わかる〜。わかりみが深い〜!わかりみがマリアナ海溝〜! 佐藤:ぴえん!ぴえぴぴぴ!推しぴしか勝たん! 鈴木:ってか推しだけ作画違くない?明らかに美し過ぎない? 田中:ハーとんでもねえよ〜!推しとんでもねぇよ〜! 佐藤:神が生み出した圧倒的大成功〜! 鈴木:兎にも角にもひたすらに最高〜! 田中:(アドリブで佐藤役の人を褒める) 佐藤:ソーランソーラン!……いや、でもでも! 佐藤:(アドリブで鈴木役の人を褒める) 鈴木:アッヒュ!……いやいや、そうは言っても! 鈴木:(アドリブで田中役の人を褒める) 田中:バビロンバビロン!  :  田中:(同時に)ハァ、ハァ、ハァ……。 佐藤:(同時に)ゼェ、ゼェ、ゼェ……。 鈴木:(同時に)ヒィ、ヒィ、ヒィ……。  :  田中:くそ、中々決着がつかない……。 佐藤:推しが尊い分、推しの推しが憎らし過ぎて相殺されてる感もあるよね。 鈴木:わかる。推しでドッヒャー!ってなって、推しの推しのターンでズドーン!ってなってる。 田中:プラマイゼロ。 佐藤:どこまで行っても平行線。 鈴木:逆にもうこれで良いのでは?平和県平和市平和村。 田中:いや…………このままじゃダメだ。もうみんな飽きてるだろうし……ごめん。ここで決めるよ。 佐藤:田中、お前……! 鈴木:まさか、禁断のあの技を……!? 田中:もうこの戦いを長引かせたくないんだ……分かってくれ……強敵(とも)達よ……。 佐藤:強敵と書いて、友と読む……! 田中:ありがとう、ルビの説明してくれて。 佐藤:いやーリスナーの人に分かりやすい方が良いかなってさ〜へへ〜。 鈴木:ヒュウ!佐藤仕事できるゥ〜! 佐藤:へへ〜!それほどでもある〜でへへ〜!  :◆暫し全員でニヘニヘ笑う。  :  田中:さ、じゃあ行くよ……覚悟はいい? 佐藤:あぁ……。これで最後か……気合で鈴木の声に脳内変換して聴くぜ……。 鈴木:こっちもいつでも大丈夫だ……来いよ。  :  田中:(大きく息を吸って)最終秘奥義……いざ、参る……!  :  田中:いつも……応援してくれてありがとう!(セルフエコー)  :  佐藤:(同時に)グワーーーーーッ!バタッ。 鈴木:(同時に)ヌオーーーーーッ!バタッ。  :   :   :  田中:……結局、推しのありがとうに勝てるシチュエーションなど存在しないのだよ……。 田中:フッ。またつまらぬ者達をやってしまった……。 田中:……てめぇら……推し変、すんな、よ……バタッ。  :   :   :   :   : 

 :   :   :   :◆全員が横並びで、前を向いて頭を抱えている。  :  田中:はーーー……今日も推しが尊い。 佐藤:分かる。存在が神。息してるだけでファンサ。 鈴木:まじそれ。世界で推して、ノーベル可愛いで賞を贈るべき。  :◆バッとそれぞれの推しに視線を移す。全員鼻の下が伸びきってデレデレとしている。  :  田中:佐藤ーッ!今日も全力で可愛い!課金させて〜! 佐藤:鈴木ーッ!今日も宇宙一最高!後光がさして何も見えない〜! 鈴木:田中ーッ!今日も生きてるだけで大天才!とにかく顔が良い〜!  :  田中:そして……!  :◆今度はそれぞれの仇敵をバッと振り返る。全員がこれでもかと言うほど憎しげに相手を睨みつけている。  :  田中:推しに推されるお前が憎い!鈴木ィ! 佐藤:推しをまどわせる害悪は許せない!田中ァ! 鈴木:お前の存在は、推しにとって百害あって一利なし!佐藤ゥウウウウ!  :  田中:……邪魔者は排除せねば。 佐藤:それが世のため推しのため。 鈴木:やっちゃおう。すっきりサッパリやっちゃおう。  :  田中:しかし、最近の日本の警察はかーなーり優秀である。 佐藤:適当な殺し方では簡単に足がついてしまう。 鈴木:捕まっては推し事もできない。 田中:それでは本末転倒、元も子もない。 佐藤:だったら!完全犯罪の方法を考えるしかない! 鈴木:……バレない殺し方。証拠の残らない凶器。 田中:うぅ〜〜〜ん。 佐藤:え。そんなものある?存在する? 鈴木:ないない。あったら速攻でやってる。キルボタン秒で推してる。 田中:鈴木殺意高杉晋作〜!でも分かり哲也〜! 佐藤:だよね〜自分も田中が横にいるだけで虫唾が走るもん〜! 鈴木:な〜?佐藤と同じ空気を吸ってるとかマジない。ない寄りのない寄りのない寄りのない。 田中:いやー、害悪が貴重な酸素無駄にしないで欲しいわー。 佐藤:ねー。 鈴木:なー。  :(間)  :  佐藤:……それにしても殺し方……殺し方ねー。 鈴木:なんか良い方法ないもんかね。 田中:まあ三人寄れば文殊(もんじゅ)の知恵って言いますし? 田中:力合わせたらこう、ズギャーン!と良いアイディアが浮かぶんじゃないかな! 佐藤:そうだね!ドゴーン!とハイでクリティカルなやつがね! 鈴木:うんうん!バビュルーン!とやばくてやばい、あれだ、うん!やばめのやばいやつ!  :(間)  :  田中:……いやこれ浮かぶか……? 佐藤:我ら三人とも、圧倒的にボキャブラリーが足りないね……。 鈴木:うん。アイキューが低すぎる。語彙力が壊滅的に喪失してる。 田中:……まあそれでも鈴木よりはマシか。なんだよ、やばくてやばいやばめのやばいやつって。 佐藤:あっオイやめてよ鈴木のこと馬鹿にすんの! 佐藤:馬鹿なところが可愛いんだろうが!アホなところが推せるんだろうが! 鈴木:うんうん全然フォローになってなーい。 鈴木:……ってかズギャーンもドゴーンもそう大差ないからな!お前らも大概だからな! 田中:いやバビュルーンよりはマシでしょ。 佐藤:うんそこは同意。 鈴木:何でだよ!そこも可愛いってフォローしろよ囲いぃいい! 佐藤:あはー!うんうん、良くつっこめたねー、偉いねー、よしよーし。いないいないばぁ〜! 鈴木:馬鹿にしてんなてめえ。 田中:ンッハ……!ママみのある推し最高ーッ!オギャりてえ!心のバブちゃんが弾けそう! 鈴木:何かこっちは勝手に被弾してるし!いやでもテンション高い田中可愛いな!? 田中:……あーやばい、やばかったー。 田中:(佐藤の真似をして)よしよーしって。よしよーしって……! 田中:くぅ……!推しによしよしされてぇえええ!甘い声で囁かれてぇええええ! 鈴木:いやでもそんなんされたら死なない?え?推しに頭撫でられるとかもう瞬間召されるでしょそんなん? 佐藤:分かる〜。そんなんされたらすぐ昇天しちゃ…………ハッ!それだーーーッ!!!!! 鈴木:うっるさ。え、何いきなり。 佐藤:あっごめ……いやそうじゃなくて!それだよ!証拠の残らない凶器! 田中:へ?何?どゆこと? 佐藤:仰〜げば〜? 田中:……は? 佐藤:とお〜とし〜♪ 鈴木:…………は? 佐藤:はいそう!尊死(とうとし)……! 田中:とうと……え!? 佐藤:尊死!つまり萌え殺し!推しの萌えるシチュエーションや萌えるセリフ……それらが連続供給された時!囲いの我らは……? 鈴木:…………ッ! 田中:死ぬ……! 佐藤:そう!つまり!萌え殺しこそ、証拠の残らない完全犯罪……! 鈴木:しかも殺害対象は喜んで死ぬ訳だから、殺す罪悪感も少ない!えー佐藤さては天才か〜? 田中:憎き相手を喜ばせるって点はアレだけど、方法としては悪くない。ってかむしろ最高! 佐藤:えー?そんなそんなー!それほどでもあるが〜? 鈴木:え〜じゃあじゃあ早速殺しちゃう?やり合っちゃう? 田中:やっぱり鈴木殺意たかし岡村〜! 佐藤:キルクールタイム終わったらすぐ手出しちゃうタイプだねー。 田中:でもあんまり手が早いと、メタ推理ですぐインポスターバレするから得策じゃないぞっ☆ 佐藤:失策失策〜! 鈴木:……え?じゃあ何?やらないの? 田中:いややる。 鈴木:えっやるの!? 佐藤:正直もう衝動が抑えられそうにない。今すぐにでもやり合いてえ。 田中:やり合わない選択肢がない。 鈴木:……あぁうん。ちょっと怖いけど話が早くて助かるわ……。 田中:じゃーじゃーじゃあ!じゃあ誰から行く? 佐藤:あーじゃあここは分かりやすく、役表の上からでいいんじゃない? 鈴木:賛成!役表の上からで! 田中:やめろやめろ役表言うな!メタだぞそれぇ! 田中:……ったく。あーえーじゃあ何?上から?自分から行けばいいのか? 佐藤:おう!どうぞ。 鈴木:キャーーー!田中ーーーッ!ドキドキさせて!キュンキュンさせて!こっち向いてバーンってしてーーーッ! 田中:アリーナがうるせえなおい……。 田中:えーでは、僭越ながら、自分が推しにされたいシチュから抜粋させていただきますねっと……。  :  田中:(鈴木に向かって)さっきは楽しそうだったね。 田中:さては、あぁいうのが好みなの? 田中:でも……よそ向く暇なんて与えないよ。 田中:君は、こっちだけ見ていればそれで良い。 田中:……逃さないよ?君が誰のものか、自覚してもらわないとね?  :  鈴木:ブヒャーーーッ! 佐藤:ブヒャ!?え、ちょ、鈴木!鈴木ィ!うわぁ……と、とんでもない量の鼻血だ……! 鈴木:やばい……。ベタすぎてちょっとダサいところも含めて愛しい……ぐふっ。 田中:んんん?さては囲い我のことディスってる?もしかしなくてもディスってる?処す?囲い処す? 佐藤:んーいやけど敵ながら?結構良い台詞のチョイスだったんじゃないかな。 田中:逆にこっちが褒めてくれた!? 田中:でへへー。どうもどうも! 田中:……んじゃあ次は佐藤行ってみよう!囲いの田中をぶっ殺そう! 佐藤:……その田中が自分だってこと自覚してる?ねえ?……まあいいや。じゃあ行くよー?  :  佐藤:(田中に向かって)せーんぱいっ。今日もお疲れ様です! 佐藤:終わるのずっと待ってたんですよ?一緒に帰りましょ! 佐藤:……え?あぁ、ずっと外にいたから……ふふ、そんなに冷えてます? 佐藤:じゃあ先輩……あっためて……くれますよね?  :  田中:あーーーーーー! 鈴木:雄叫び!? 田中:ふえ……無理……何これ夢……?推しが……推しがッ!推しがこんなに鼻赤くして身体冷たくして待っててくれるとか……ッ!ありがとう、全力でありがとう……! 鈴木:いや萌えるかこれ?先輩が何してたんか知らんけど、待ってたんなら手伝えよって思うけど……。 鈴木:まあでも確かに推しが待っててくれたならそれだけで嬉しいか。推しなら、だけど。そうでなければストーカー事案だけど。 佐藤:脳内の願望を、欲望の赴くままに台詞化しました。 鈴木:なるほどなー。えーでも、自分は待たれるより待ちたい派かなー。 鈴木:……あっ!ハイハイ、ハーイ先生! 佐藤:んんー?……うぉっほん。はい鈴木君! 鈴木:あのー自分、こういう甘いのも好きなんすけど、ちょっと推しに蔑まれたいっていうかあ……。 鈴木:そういうシチュ一本、やってみていいっすか! 田中:うわー特殊性癖。でもちょっとわかる。 佐藤:え〜?まあじゃあそれでとりあえず一回やってみる? 佐藤:けどいくら推しでも、そういうエッジ効いたのは自分萌えないと思うな〜。鈴木は可愛い系のイメージだし。 鈴木:いやいや!聴いたら意外とありだってなるって!こういう鈴木も悪くないなってなるって! 鈴木:……よし。んじゃ行くよ!  :  鈴木:(佐藤に向かって)黙れ下民。許可なく口を開くな。 鈴木:……貴様に拒否権などないぞ? 鈴木:それでも断るというのなら……フッ。お仕置きが必要なようだな? 鈴木:……おっと、これでは喜ばせてしまうか。 鈴木:……それに、踏むにも貴様のような汚物相手では……靴が汚れてしまうだろうが。  :  佐藤:ええええぇえあり!ありなんだが!?何それそういうのもハマれちゃうの?そういうとこだぞ推し!そういう節(ふし)あるぞ推し〜! 田中:いやー。実際、鈴木の声を脳内で推しに変換したら、自分も何かに目覚めそうだった。需要あんなこれ。 鈴木:ほっらっなー!?語彙ぶっ飛んでくだろー?推しに蹴られたくなるだろー? 田中:それはない。 鈴木:うぇーい。 佐藤:(まだ悶えながら)アンンンンン!やばい!格好良かった〜!格好いいの大渋滞〜!推しが確実に殺しにきている〜〜〜。 田中:あーうんうんそうだなー。今回は文字通り正しく殺そうとしてるからなー。 田中:……あ!じゃあじゃあこういうのは?癒し系!  :  田中:なーに落ち込んでんの? 田中:……言えない感じ? 田中:ふーん……。ま、話したくなったらでいいけど。 田中:……ほら、いつも飲んでるカフェオレ。 田中:失敗する時もあるさ。そういう時は、あったかい物飲んで寝るに限る。 田中:……ね?安心しなよ。朝まで一緒にいるからさ。  :  鈴木:ングゥ!わ、わいが石油王ならば!石油王ならば油田献上しちゃう尊さ〜〜〜!カフェオレおかわりぃいいい。 鈴木:(ハッと我に返って咳払い)……ふむ。癒し系、癒し系か……。ならこういうのは?  :  鈴木:じゃじゃーん!労(ねぎら)い屋開店です! 鈴木:夕ご飯もできてる!玄米に豚汁、焼鮭に煮物! 鈴木:お風呂も沸いてる!入浴剤でポカポカ!ゆずの香り! 鈴木:食後にはマッサージ、お風呂から出たら髪を乾かすオプション付き! 鈴木:……ん?突然どうしたって? 鈴木:……いつも頑張ってるから、たまにはね。 鈴木:毎日お疲れ様。  :  佐藤:ヘイちょっともーなにー!通うーーー!毎日通う常連になるー!いやもー今日も偉業成し遂げちゃってるねっベーイベッ☆ 佐藤:(ハッと我に返って咳払い)……なら、自分はこういう感じで……。  :  佐藤:……よっ!……なに、その顔。 佐藤:ん?会いたかったでしょ? 佐藤:……ふふ。エスパーなので。そっちが考えることなんてぜーんぶお見通し。 佐藤:……寂しいんなら、素直に言いなよ。いつでもすぐに飛んでくるから。 佐藤:……なーんて。実はこっちが会いたかっただけ。 佐藤:ほら、色々コンビニで買ってきたんだ。部屋、上がって良い?充電、させてよ。  :  田中:グハッ……!あーほらそうやってすぐ徳積んでくぅ〜〜〜!はい眩しい〜!充電させてってなんだよもー高速フル充電入りまーす! 田中:(ハッと我に返って咳払い)……よっしゃ、じゃあ今度は毛色を変えて、っと……。  :  田中:どこ行こうとしてるの? 田中:駄目だよ、だめだめ。離れるのなんて許さない。 田中:……あぁ、そうだね。足があるからいけないんだ。こんなものいらないよね?うん、手もいらない。 田中:大丈夫、君は何もしなくていいんだから。 田中:ぜーんぶお世話してあげるから安心して? 田中:君はここにいるだけでいい。……一生、ね?  :  鈴木:ピギィッ!や、ヤンデレの推しー!?えっなにそれ新しい世界が見えた……!……わ、わかった……!金か?金を払えばいいのか……?油田はないけどお賃金ならある。推しの糧となれるなら、毎食もやしだって厭(いと)わない……! 鈴木:(ハッと我に返って咳払い)……えーと?じゃあ次は自分のターンか……。  :  鈴木:ご主人様。ご主人様。……そろそろ起きる時間でございますよ。 鈴木:全く……また夜更かしされたのですか? 鈴木:……はぁ。寝起きだからってそんな無防備な顔しないでください。身分不相応にも、欲が湧いてしまいます。 鈴木:……その顔を見せるのは、わたくしだけにしてくださいね。  :  佐藤:アババッ!くぅ!推しの攻撃がクリティカルヒットォ!佐藤に百万のダメージ……ッ!王道〜!お世話係り〜!絶対眼鏡かけてる萌える〜! 佐藤:(ハッと我に返って咳払い)ンンン!わいも負けてられんな!では!  :  佐藤:なんだ?ジッと見つめて。 佐藤:……まさか惚れたか? 佐藤:……ふっ。やめておけ。お前の手には余るぞ。 佐藤:そうだな。お前がこの先どう動き、どう興味をそそるようなことをするか……楽しみにしているぞ。 佐藤:……期待を、裏切るなよ?  :  田中:ンハァ!……えーなになに王族系?ずるくないやばくない? 田中:……クッ、このままじゃ埒(らち)が明かない!ここからはスピードアップ!どんどん行くよ!  :◆以下、囲いは推しの台詞にダメージを受けながら萌える台詞を繰り出していく(演者の性別と違う台詞もそのまま読む)。  :  田中:ふーん、面白ぇ女。 佐藤:べ、別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね! 鈴木:君はいけない人ですね。 田中:先生といけないこと……しちゃう? 佐藤:俺とお前はさ……ずっと一緒にいる運命なんだよ。 鈴木:はうぅ〜、私、天然じゃないもん! 田中:ほんっと、お前は変わんねえな。 佐藤:僕以外と話さないでください。 鈴木:お前みたいな女は初めてだぜ。 田中:あれ?顔赤いけど、熱でもある? 佐藤:あんたって、私がついてなきゃほんっとダメね! 鈴木:俺以外の男の前で、そんな顔見せんじゃねえよ。 田中:指輪……?結婚……したんだね、私以外の人と。 佐藤:おいで、僕のお姫様。 鈴木:こんな気持ちになったの……貴方が初めてなんです……。 田中:そんなにあいつがいいのかよ! 佐藤:君のためなら死ねる! 鈴木:じゃあもっと私に頼ってよ!私……そんなに頼りないかな……? 田中:年下だからってからかわないでください!僕だって……男なんですよ。 佐藤:せ、責任……取ってよね……? 鈴木:だから言ったろ。お前は、俺のそばで笑ってりゃ良いんだよ。  :◆長めの間。暫くしてスッと息を吸う音がして、全員同時に頭を抱える。  :  田中:(同時に)あ〜〜〜〜〜! 佐藤:(同時に)あ〜〜〜〜〜! 鈴木:(同時に)あ〜〜〜〜〜!  :  佐藤:推し〜推しが尊い〜! 鈴木:尊いが過ぎる〜! 田中:てぇてぇの過剰供給〜! 佐藤:非の打ちどころのない可愛さがもはや天元突破〜! 鈴木:国宝?さては国宝?いやもう地球の、いやこの世の宝! 田中:百点満点のテストで五兆点〜!囲いの推薦で首席合格〜! 佐藤:いいね連写爆弾発射準備〜!よーい!放てーーーッ! 鈴木:貴方は国際保護動物に指定されました。全人類で守ります。 田中:ドキがムネムネで壊れそう。そんな貴方にラブアターーーック! 佐藤:一目見た時から決めてました!推しの活動に骨の髄まで捧げます! 鈴木:ヘイユー、もしかして天界から舞い降りた天使〜? 田中:推しの笑顔おかずにして炊飯器空にできる自信がある。 佐藤:こちらがエクストリーム推し布教大会の会場ですか!? 鈴木:たまに公式だったか自分の妄想だったか分からなくなる時ない?自分はある。 田中:厳正なる選考の結果、誠にてぇてぇことではございますが、貴方を私の生涯の推しに任命することが決まりました。 佐藤:偏差値五でもその良さが分かる〜!馬鹿でも分かる素晴らしさ〜! 鈴木:世の中には二種類の人間しかいない。推しか推し以外か。 田中:貴方は消えないわ。私が推すもの。 佐藤:はいはいエールエール。 鈴木:今日もとっても尊かったね。明日はもーっと尊くなるよね、推し太郎ッ。 田中:そんな課金で大丈夫か? 佐藤:ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど、コンビニでボイチューンズカード買ってきてくんない? 鈴木:御意!天安門事件! 田中:更に輝け☆萌え萌えキューン! 佐藤:明日も煌めけ☆萌え萌えキューン! 鈴木:えっ、この状態からでも入会できるファンクラブがあるんですか……? 田中:お客様!お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!もう私の心臓が持ちそうにありません! 佐藤:アッアッ!今エンドルフィン出てる!脳内麻薬ドバドバ分泌されてるーーーッ! 鈴木:推しを生み出した全てに感謝したい。手始めにまずご両親にお歳暮を送りたい。 田中:推しのいる世界線に生み出してくれたわいの両親にもスタンディングオベーション! 佐藤:推しの吐き出した息だけ吸って生きていきてえ〜! 鈴木:推しがこの世に存在してるって再度認識したら、感極まって涙出てきた。 田中:わかる〜。わかりみが深い〜!わかりみがマリアナ海溝〜! 佐藤:ぴえん!ぴえぴぴぴ!推しぴしか勝たん! 鈴木:ってか推しだけ作画違くない?明らかに美し過ぎない? 田中:ハーとんでもねえよ〜!推しとんでもねぇよ〜! 佐藤:神が生み出した圧倒的大成功〜! 鈴木:兎にも角にもひたすらに最高〜! 田中:(アドリブで佐藤役の人を褒める) 佐藤:ソーランソーラン!……いや、でもでも! 佐藤:(アドリブで鈴木役の人を褒める) 鈴木:アッヒュ!……いやいや、そうは言っても! 鈴木:(アドリブで田中役の人を褒める) 田中:バビロンバビロン!  :  田中:(同時に)ハァ、ハァ、ハァ……。 佐藤:(同時に)ゼェ、ゼェ、ゼェ……。 鈴木:(同時に)ヒィ、ヒィ、ヒィ……。  :  田中:くそ、中々決着がつかない……。 佐藤:推しが尊い分、推しの推しが憎らし過ぎて相殺されてる感もあるよね。 鈴木:わかる。推しでドッヒャー!ってなって、推しの推しのターンでズドーン!ってなってる。 田中:プラマイゼロ。 佐藤:どこまで行っても平行線。 鈴木:逆にもうこれで良いのでは?平和県平和市平和村。 田中:いや…………このままじゃダメだ。もうみんな飽きてるだろうし……ごめん。ここで決めるよ。 佐藤:田中、お前……! 鈴木:まさか、禁断のあの技を……!? 田中:もうこの戦いを長引かせたくないんだ……分かってくれ……強敵(とも)達よ……。 佐藤:強敵と書いて、友と読む……! 田中:ありがとう、ルビの説明してくれて。 佐藤:いやーリスナーの人に分かりやすい方が良いかなってさ〜へへ〜。 鈴木:ヒュウ!佐藤仕事できるゥ〜! 佐藤:へへ〜!それほどでもある〜でへへ〜!  :◆暫し全員でニヘニヘ笑う。  :  田中:さ、じゃあ行くよ……覚悟はいい? 佐藤:あぁ……。これで最後か……気合で鈴木の声に脳内変換して聴くぜ……。 鈴木:こっちもいつでも大丈夫だ……来いよ。  :  田中:(大きく息を吸って)最終秘奥義……いざ、参る……!  :  田中:いつも……応援してくれてありがとう!(セルフエコー)  :  佐藤:(同時に)グワーーーーーッ!バタッ。 鈴木:(同時に)ヌオーーーーーッ!バタッ。  :   :   :  田中:……結局、推しのありがとうに勝てるシチュエーションなど存在しないのだよ……。 田中:フッ。またつまらぬ者達をやってしまった……。 田中:……てめぇら……推し変、すんな、よ……バタッ。  :   :   :   :   :