台本概要

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タイトル 『ラン丸探偵と中村助手』〜吹雪山荘事件〜
作者名 Juuki  (@Juuki_Voice)
ジャンル ミステリー
演者人数 5人用台本(男3、女1、不問1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 休日を利用して、とある雪山に登山に訪れたラン丸探偵と中村助手。
しかし、道中で猛吹雪に見舞われ山の中腹にある山荘に避難することになった。
そこには二人と同じように避難してきた遭難者たち、平田(ヒラタ)、馬鹿(マシカ)、鍵山(カギヤマ)、大木(オオキ)の四人もおり、吹雪が晴れるまで暖を取ることになった。

…その日の夜。
遭難者の一人である馬鹿の遺体が発見され、ラン丸探偵と中村助手は、事件解決へ動きだすのだった。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ラン丸 55 私立探偵。休日を利用して助手の中村と登山に訪れた。
中村 不問 50 探偵助手。かなり口が悪く、出しゃばり。
平田 38 遭難者の一人。30代。仏頂面で愛想がない。
鍵山 28 遭難者の一人。20代。物静かで暗い雰囲気の大学生。
大木 28 遭難者の一人。20代。体格の良い男性。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:雪山に建てられた山荘。 0:遭難者たちは、一階の共有スペースに集まっている。 中村:さて、いきなりですがここで今回の事件をこの中村が整理していきましょう。直々にね!いいですよね?ラン丸さん? ラン丸:いや、別にいいんだけどさ、それは誰に向けての解説なんだい?中村くん 中村:いやいや、それを言わせますか!この外道!!聞いてる人が理解しやすくに決まってるじゃないですか! ラン丸:何かすごいこと言われた…っていうか中村くん、ここにいる皆さんは事件の概要はもう知っているんだよ?改めてまとめる必要は── 中村:ちっちっち…ラン丸さんはわかってないですね~ ラン丸:随分と落ちついているね、中村くん…まるで君はもう犯人にたどり着いているかのような口ぶりだけど? 中村:フフ……はっはっは!!全っ然わかりませぇん!! ラン丸:だと思ったよ!! 中村:だ・か・らまとめる必要があるんです!そうしたら見えてくることもあると思いませんか? 大木:まぁ、ここは中村さんの言うことを聞いてみようじゃありませんか、皆さん? 鍵山:大木さんがそういうなら…別にいいですけど 平田:意味あるのか?ムダになるだけじゃないのか?ま、時間だけはたっぷりあるがな… 中村:では僭越ながらこの中村が事件をまとめさせていただきます!!名探偵コナンみたいに!! ラン丸:あ、ちょっと!今のはダメなんじゃないの!?著作的なヤツで!! 中村:大丈夫ですよ、今頃編集でピー音入ってるはずですから ラン丸:編集とかないから!! 中村:今からだいたい6時間前、ラン丸さんと自分は不運なことに、登山中に吹雪に見舞われ遭難してしまい、この山小屋へとたどり着きました。 中村:そして偶然ここに非難していた馬鹿(マシカ)さん、大木さん、鍵山さん、平田さん達と共に吹雪が止むまで滞在することになりました、そうですね?ラン丸さん? ラン丸:え?あ、はいそうだけど…中村くんも当事者だからその聞き方はおかしいと思うんだけど── 中村:やかましい!……コホン、では続けます……えーー……それから……えっとー……続きをどうぞ、大木さん 大木:えぇ!?僕!? 平田:忘れたんだな 大木:仕方ないですね…えっと…その後は皆さんでコーヒーを飲みましたね、談笑しながら…ね?鍵山さん 鍵山:そうですそうです!台所にも一応流し台はありましたけど水道管は凍結してましたからね… 鍵山:私と馬鹿さんで外の雪を溶かして沸かしたんですよね!ガスと電気は通っててよかったですね 平田:確か、そのときだったよな。馬鹿が携帯を探してたのは 中村:え、平田さん!そういう重要そうなことはもっと早く言ってくださいよ!自分そんなこと知りませんよ!? ラン丸:あー、そのときは中村くん寝てたからね〜 平田:お前以外はみんな知ってることなんだよアホ 中村:あっ!あっ!今アホって言った!!心外だなぁ!! 鍵山:馬鹿さんは探すのを諦めて2階の個室で休憩するって言ってましたね 大木:ええ、でもそこら辺はちょっと記憶が曖昧なんですよね…何かどっと疲れが出てきてしまって 鍵山:そうなんです!私も気が付いたら寝てしまって… ラン丸:私もです。というか、全員ぐっすり寝ていたような… 大木:でも、妙ですよね。何故全員が急に眠くなってしまったのか… 平田:盛られた、か? 中村:いえ、多分なんですけど…気のせいだと思います! ラン丸:もうちょっと考えない!?恐らく今すっごい重要な話してるよ!? 中村:はい次は…だ・れ・に・し・よ・う・か…なっ!はい!鍵山さんどうぞー! 鍵山:え、あ、はい…私、少ししたところで目が覚めたんです。その時2階から物音が聞こえてきて… 鍵山:皆さん眠っていたので私一人で馬鹿さんの様子を見に行きました。でも、2階の個室には鍵がかかっていて入れなかったんです 平田:あの部屋に鍵なんて付いてたか? 大木:あぁ、内側からかんぬきをかける事ができるんですよ、あの部屋は。 大木:かんぬきと言っても扉と壁の金具に、木の板を通すだけの簡素なものなんですけどね ラン丸:物音とは、どういったものですか?鍵山さん? 鍵山:えっと…誰かが争いあうような激しい音です… ラン丸:なるほど…それから数十分後に……馬鹿さんが遺体で発見されることに… 中村:では、遺体発見時の様子を確認していただきましょう。平田さんにね! 平田:チッ…やっぱりきたか…えっと、俺らがほとんど全員目覚めたころかな、今後のことを話し合うために馬鹿を呼びに行ったんだ。 大木:その時に僕と鍵山さんが、部屋の扉が開かないのを確認しています! 平田:鍵山がなんかおかしいって言うんで、俺と大木、それとラン丸さんで倉庫から脚立引っ張り出して外から窓を覗いたが、何も見えなかった 大木:あれは寒かったです!もう二度とやりたくないですね! ラン丸:まぁ、力のある人が下で抑えてないとこの吹雪じゃ倒れちゃいますからね 鍵山:ちなみに同じタイミングで私と中村さんは部屋の扉の前にいました、もちろん、かんぬきはしっかりとかかってました 中村:無理やり起こされて不快でした 平田:俺は窓から部屋に入った、そしたらどうだ…言わずもがな、馬鹿はベッドで殺されてた…ちょうど窓からはベッドの置いてある場所が死角になってたんだな ラン丸:死因は心臓を刃物で一突きにされたことによる失血死、殺人で間違いないですね 中村:ん…?あ!ちょっと待ったぁあああ!! 大木:うっわ!びっくりしたぁ!!何ですか、中村さん? 中村:おかしいなーあっれーおかしいなー、こんな吹雪の山小屋、馬鹿さんはなぜ窓に鍵をかけていなかったのでしょう? 平田:鍵?…何でだ? 大木:あぁ、確かに。あの時は別に気にならなかったんですけど…なんで馬鹿さんは開けるはずのない窓の鍵を閉めなかったんですかね? 平田:いや、閉める必要なんてない。むしろ閉めることなんて出来なかった、だって窓は最初から開きっぱなしだったからな 大木:えっ!?一体どういうことですか! 平田:単純な話だ、こんな吹雪いているのに窓を全開で寝るヤツなんていない。 平田:犯人は馬鹿を殺した後、窓から外に逃げた!だから、犯人探しなんてムダだ。最初にそう言ったろ 大木:でも、犯人はどうやって中に入ったんでしょうか!? 平田:普通に扉からだ。あのクソガキは気のせいだと言ってたが、コーヒーに睡眠薬でも入れてたんだろうな、俺らがぐっすりと眠っている間に堂々と山小屋に侵入して馬鹿を殺したんだ 鍵山:しかし!睡眠薬はいつどうやっていれるんですか!? 平田:水道管が凍結してるのはこの天気からして明らか。水は外の雪を溶かして飲むしかない…あらかじめ山小屋の入り口付近の雪に液状の睡眠薬をばら撒いておいたんだよ ラン丸:いや、いくらなんでもそれは運に頼りすぎなんじゃないですか? 平田:あ?じゃあ代わりの推理を披露してみろ。…出来ないだろ!?これが答えだ! ラン丸:うぅ…わ、わかった。 き、きっとそれが真相だ… 中村:フフフフフ…それは違いますよラン丸さん ラン丸:中村…くん? 中村:この中村…ズバッとビビっとぬるぬるっと真相わかっちゃいました!! 平田:何っ……!? 中村:この吹雪山小屋事件…この中村が解決してみせます!じっちゃんの名にかけて! ラン丸:あっ!それもダメなやつ!人のヤツー!! 平田:ふん、真相がわかっただと?じゃあ聞かせてもらおうか ラン丸:な、中村くん!?本当に大丈夫なのかい? 中村:安心してくださいよ。僕だって立派な探偵助手なんですから! ラン丸:大丈夫かな… 中村:まず結論から言いましょうか、馬鹿さんを殺した犯人はズバリ、平田さん!あなたです! 大木:えぇっ!?平田さんが犯人だったんですか!? 平田:なっ? お、お前何を……!? 中村:おぉ~動揺してる動揺してる~まあ、根拠を提示する前に…まだ整理しきれていないことがありますのでそちらから…鍵山さんお願いします ラン丸:あ、やっぱり人にやらせるんだ 鍵山:え、えぇ…えっと何を話せば? 中村:鍵山さんが遺体を発見したときのことをなるべく詳細に 鍵山:え…だってあの時中村さん一緒にいたじゃないですか 中村:寝ぼけてたんでよく覚えていないんですよ!困ったもんだこりゃあ!! 大木:だ、そうです…鍵山さん、お願いします 鍵山:そういうことなら…私と中村さんは扉の前で待機していました。そしたら、急にドアが開いて…平田さんが出てきたんです。  鍵山:それで、中を覗くと、馬鹿さんが……私、驚いて転んでしまったんです… 中村:そして、そのときたまたま鍵山さんが持っていたピッチャーがたまたま落ちて、たまたまアツアツのコーヒーがたまたま自分に…おかげで目が覚めました〜ありがとうございますー… 鍵山:ほ、本当にすみませんでした…!!帰ったらクリーニング代をお支払いしますので… 中村:いえいえ!とんでもないです!!この中村はそんな事では怒りませんよ~ 大木:何の時間だったんですか今のは…まさか君、鍵山さんに謝らせるために!? 中村:バカ言え!そんなことをわざわざ確認するためじゃありませんよ!今のでわかったじゃないですか、平田さんが遺体の第一発見者だ、という事実が… 平田:回りくどい!それがどうしたっていうんだ! 中村:第一発見者を装って、馬鹿さんを殺すこともできた、と言っているんですよ! 平田:はぁ!? 中村:あなたの犯行はこうです。まず皆さんのコーヒーに睡眠薬を入れ、眠らせる…幸い、僕は飲んでいなかったようですけどね! ラン丸:その前に寝てたからね 中村:そして、2階の個室に行き馬鹿さんを殺害しようとした…しかしかんぬきがかけられていたため、できなかった…仕方なく平田さんは暴れた 大木:え?なぜ暴れる必要が? まさか、下の人間を起こすため? 鍵山:あ!私の聞いた物音!!あれ?でも…あの時平田さんも1階で寝ていたような… 中村:なぁに、気のせいですよ気のせい!! そして、平田さんは2階の状況を不自然に思わせることに成功し、まんまと確認役を買って出たわけです! 中村:そして馬鹿さんに電話を入れた。『窓から綺麗な景色が見えるぞー、あ、鍵は閉めないでそのままで』などと言って…… 大木:いやいやいやいや!そんなの騙されますか!?しかも馬鹿さん携帯なくしてて探してたんですよね? 中村:携帯は2階で見つけたんでしょ!きっと! 平田:はぁ、反論する気もおきないな 中村:あとは先ほどの通り、脚立を使い窓から侵入、馬鹿さんを殺して何食わぬ顔で鍵山さんの前に姿を見せたと、どうですかこの推理! ラン丸:申し訳ないけど、穴だらけだよ中村くん…実際、私はすぐ遺体の状況を見たけど死亡してから結構時間が経っていたよ… 中村:えーーーーー!マジですかラン丸さん!へコむわこれー… 鍵山:やっぱり、平田さんの言うとおり、外部犯の仕業なんでしょうか 大木:その説が濃厚ですね…かんぬきをかけたのも、逃げる時間稼ぎのためでしょうから ラン丸:……あれ? 大木:どうしました?ラン丸さん? ラン丸:い、いえ…平田さん。かんぬきの存在にはいつ気が付いたんですか? 平田:あ?さっきだよ。事件整理のときだ。 鍵山が物音で目が覚めて様子見に行ったら開かなかったって言ってたろ?それでだ ラン丸:でも、私たちと一緒に外に行ってたじゃないですか? 鍵がかかってて扉が開かないということを知らないで行ってたんですか? 平田:俺はてっきり荷物か何かが引っかかってて開かないんだと思ったんだが ラン丸:え……だって窓から中に入ってかんぬきをはずしたから鍵山さんと鉢合わせすることになったんですよね!? 平田:いや?俺が窓から中に入った時にはかんぬきなんてかかってなかったぞ。何も引っかかってるようなもんもなかったしな ラン丸:ええっ!? 大木:お、おかしいですよ!僕は確かにこの手で扉に鍵がかかっているのを確認しましたよ! 鍵山:え、ええ!私もしっかり確認してます! ラン丸:鍵山さんが最後に鍵を確認したのは平田さんが窓から侵入するとき… 大木:これって密室じゃないですか!扉の前には鍵山さんと中村さん。窓の外には僕ら…!犯人は一体いつ、どうやってかんぬきをはずして逃げたっていうんでしょう!? ラン丸:これは大変なことになった…犯人はすでに逃亡し、密室の謎が新たに出てきた… 平田:無理だ…そんなこと不可能だ! ラン丸:ううむ…… 中村:…とりあえず、お腹空きません?なんか食いましょうよ。 平田:またお前は…空気読めよ。そんな場合じゃないだろ? 鍵山:確か、カンパンと缶詰がまだあったはずです。一緒に温かい飲み物でも入れましょうか? 大木:いや〜、助かります!芯まで凍ったこの体を溶かしましょう… 中村:あんたもアツアツのコーヒーぶっかけられればいいのに 平田:こいつ、まだ根に持ってやがる… 鍵山:本当にその節は申し訳ありませんでした! ラン丸:……はっ!!この方法なら…できるかもしれない! 大木:え?…何がですか? ラン丸:扉の鍵を自由に開け閉めできる方法です! 中村:あ、ラン丸さんなんかやるんですか? ラン丸:中村くん…今から言うものを用意してくれないか 中村:ラジャーであります! 0:数分後、中村が推理の準備を終えた。 0:一同は共有スペースに集まり、その時を待っている。 ラン丸:さて、これからこの山小屋で起こった馬鹿さん殺害事件を紐解いていきましょう。まず、かんぬきの正体……コレです 平田:おいおい、バカにしてんのか?そいつはただのタオルだろ 大木:少し厚手のもののようですが…そんなものがかんぬきになるんですか? ラン丸:そうです、タオル。これをただ金具に通しても柔らかくてかんぬきにはなりません。では、硬くしたらどうでしょうか? 中村:ささささっさぶい…こここれで…だ、だいじょぶでつか……ラ゛ン゛ま゛る゛ざん… ラン丸:お疲れ様中村くん、完璧だ。このように濡らして振り回せばこの通りカチコチに凍ります 大木:なるほど!これをあの金具に通せば立派なかんぬきになるかもしれないですね! 平田でもよ、いつそんなもの作ったんだ?そんなの持ってたら怪しまれるだろ ラン丸:だから窓を開けっ放しにしておいたんですよ。 ラン丸:犯人の行動はこうです。まずコーヒーに睡眠薬を入れて私達を眠らせる。そして2階に行き馬鹿さんを殺害。窓を開けっ放しにして濡れたタオルを金具に通す。 ラン丸:この時点ではまだタオルは凍っていないので簡単に扉から出ることができる 平田:あん時の部屋はバカみたいに寒かったからなぁ…それでそのままタオルは凍って、かんぬきの役を果たすことになるのか…… 平田:でも、いつそれを回収したっていうんだ?扉の外には鍵山とそのガキ、窓からは俺が脚立を登ってくる真っ最中だったんだぜ? ラン丸:いるじゃないですか……たった一人だけあの状況からタオルのかんぬきを溶かすことが出来る人物が…… 大木:そ、それってまさか……! 平田:うっそだろおい……!? ラン丸:鍵山さん……あなたですね 鍵山:どういうことでしょうか、説明してください ラン丸:あの時、あなたは熱いコーヒーの入ったピッチャーを持っていました。ドアの隙間からコーヒーを流し込み、凍ったタオルを溶かしたんです! ラン丸:そうやってタオルを回収し、遺体に驚いてたふりをしてコーヒーをこぼせば、コーヒーまみれのタオルがあったとしても何も不思議じゃないですからね 中村:僕が寝ぼけててよかったな! ラン丸:考えてみれば、雪を持ってきたあなたなら睡眠薬を入れるのは容易ですよね? ラン丸:そして、あの物音の証言も嘘ですね? 鍵山:どうして嘘だと? ラン丸:だって、死因は刃物で心臓を一突き、ですよ?犯人と争ったなら、もっと手や腕に傷があってもいいものなんですが、それもなかった。 ラン丸:そして、馬鹿さんも睡眠薬を飲んでいたなら…わざわざ起こして争いになるより、寝ているところを刺したほうが安全だし確実だ 大木:本当に、あなたなんですか…? 鍵山:…はぁ……うまく出来ると思ったんですけどねー。まさか探偵が来ちゃうなんて……つくづく運がないんですね私… ラン丸:馬鹿さんの携帯電話もあなたが? 鍵山:ええ、もう捨ててしまいましたけどね…忌々しい画像がたくさんありましたから…… 平田:一体どうしてだ?なんで馬鹿を殺した? 鍵山:アイツ、私の妹に…何したと思います?口に出すこともはばかられるような恐ろしいことをしたんです 鍵山:当時アイツは未成年で、それほど重い罰もなく…それを苦にして妹は自ら命を絶ちました。 鍵山:この睡眠薬…妹のなんですよね……最初は私もここで人生を終わらせるつもりだったんですけど、この山小屋にアイツが訪れたとき、これは奇跡だと思ったんです。神様がチャンスをくれたと思ったんです… 鍵山:だから私が罰を与えたんです。この睡眠薬を使って…… 中村:……あ!あの…ラン丸さん…外! ラン丸:吹雪、晴れたみたいですね…… 0:無事に吹雪が晴れ、平田が事前に呼んでいた捜索隊が到着。一同は無事救助されることとなった。 中村:はぁ……疲れた…!!もう二度と山なんて登りません ラン丸:同感だよ 中村:早く帰って家でのんびりとゲームしたいですよ… ラン丸:いや、中村くん…これから警察の事情聴取だよ… 中村:えっえっ…!まだ帰れないの!?やだぁああーー!! 平田:…おーい!君…ラン丸、と言ったな! ラン丸:あぁ、平田さんじゃないですか!どうかされましたか? 平田:いや…今回の件、君がいなければ解決できなかった。礼を言う。 ラン丸:…鍵山さんは? 平田:警察もつい先程到着して、捜査にも協力的だ。…そして、俺も忙しくなりそうだ…コレ、俺の携帯番号だから!何かあったら頼ってくれてもいいぞ! 中村:え、は?なんすか。ラン丸さんに媚売ってんすか?ボコしますよ? 平田:なんだ?やるか?警察組織を敵に回すと怖いぞ?おぉ? 中村:ふぁっ!?け、警察組織…!!? 平田:あぁ、言ってなかったな。平田ケイ次郎…刑事だ。よろしくな!じゃ、俺はここらで! 中村:……えっと、危うく刑事を犯人に仕立て上げるところだったんですね…… ラン丸:お、おぉ…これからは気をつけろ… 完

0:雪山に建てられた山荘。 0:遭難者たちは、一階の共有スペースに集まっている。 中村:さて、いきなりですがここで今回の事件をこの中村が整理していきましょう。直々にね!いいですよね?ラン丸さん? ラン丸:いや、別にいいんだけどさ、それは誰に向けての解説なんだい?中村くん 中村:いやいや、それを言わせますか!この外道!!聞いてる人が理解しやすくに決まってるじゃないですか! ラン丸:何かすごいこと言われた…っていうか中村くん、ここにいる皆さんは事件の概要はもう知っているんだよ?改めてまとめる必要は── 中村:ちっちっち…ラン丸さんはわかってないですね~ ラン丸:随分と落ちついているね、中村くん…まるで君はもう犯人にたどり着いているかのような口ぶりだけど? 中村:フフ……はっはっは!!全っ然わかりませぇん!! ラン丸:だと思ったよ!! 中村:だ・か・らまとめる必要があるんです!そうしたら見えてくることもあると思いませんか? 大木:まぁ、ここは中村さんの言うことを聞いてみようじゃありませんか、皆さん? 鍵山:大木さんがそういうなら…別にいいですけど 平田:意味あるのか?ムダになるだけじゃないのか?ま、時間だけはたっぷりあるがな… 中村:では僭越ながらこの中村が事件をまとめさせていただきます!!名探偵コナンみたいに!! ラン丸:あ、ちょっと!今のはダメなんじゃないの!?著作的なヤツで!! 中村:大丈夫ですよ、今頃編集でピー音入ってるはずですから ラン丸:編集とかないから!! 中村:今からだいたい6時間前、ラン丸さんと自分は不運なことに、登山中に吹雪に見舞われ遭難してしまい、この山小屋へとたどり着きました。 中村:そして偶然ここに非難していた馬鹿(マシカ)さん、大木さん、鍵山さん、平田さん達と共に吹雪が止むまで滞在することになりました、そうですね?ラン丸さん? ラン丸:え?あ、はいそうだけど…中村くんも当事者だからその聞き方はおかしいと思うんだけど── 中村:やかましい!……コホン、では続けます……えーー……それから……えっとー……続きをどうぞ、大木さん 大木:えぇ!?僕!? 平田:忘れたんだな 大木:仕方ないですね…えっと…その後は皆さんでコーヒーを飲みましたね、談笑しながら…ね?鍵山さん 鍵山:そうですそうです!台所にも一応流し台はありましたけど水道管は凍結してましたからね… 鍵山:私と馬鹿さんで外の雪を溶かして沸かしたんですよね!ガスと電気は通っててよかったですね 平田:確か、そのときだったよな。馬鹿が携帯を探してたのは 中村:え、平田さん!そういう重要そうなことはもっと早く言ってくださいよ!自分そんなこと知りませんよ!? ラン丸:あー、そのときは中村くん寝てたからね〜 平田:お前以外はみんな知ってることなんだよアホ 中村:あっ!あっ!今アホって言った!!心外だなぁ!! 鍵山:馬鹿さんは探すのを諦めて2階の個室で休憩するって言ってましたね 大木:ええ、でもそこら辺はちょっと記憶が曖昧なんですよね…何かどっと疲れが出てきてしまって 鍵山:そうなんです!私も気が付いたら寝てしまって… ラン丸:私もです。というか、全員ぐっすり寝ていたような… 大木:でも、妙ですよね。何故全員が急に眠くなってしまったのか… 平田:盛られた、か? 中村:いえ、多分なんですけど…気のせいだと思います! ラン丸:もうちょっと考えない!?恐らく今すっごい重要な話してるよ!? 中村:はい次は…だ・れ・に・し・よ・う・か…なっ!はい!鍵山さんどうぞー! 鍵山:え、あ、はい…私、少ししたところで目が覚めたんです。その時2階から物音が聞こえてきて… 鍵山:皆さん眠っていたので私一人で馬鹿さんの様子を見に行きました。でも、2階の個室には鍵がかかっていて入れなかったんです 平田:あの部屋に鍵なんて付いてたか? 大木:あぁ、内側からかんぬきをかける事ができるんですよ、あの部屋は。 大木:かんぬきと言っても扉と壁の金具に、木の板を通すだけの簡素なものなんですけどね ラン丸:物音とは、どういったものですか?鍵山さん? 鍵山:えっと…誰かが争いあうような激しい音です… ラン丸:なるほど…それから数十分後に……馬鹿さんが遺体で発見されることに… 中村:では、遺体発見時の様子を確認していただきましょう。平田さんにね! 平田:チッ…やっぱりきたか…えっと、俺らがほとんど全員目覚めたころかな、今後のことを話し合うために馬鹿を呼びに行ったんだ。 大木:その時に僕と鍵山さんが、部屋の扉が開かないのを確認しています! 平田:鍵山がなんかおかしいって言うんで、俺と大木、それとラン丸さんで倉庫から脚立引っ張り出して外から窓を覗いたが、何も見えなかった 大木:あれは寒かったです!もう二度とやりたくないですね! ラン丸:まぁ、力のある人が下で抑えてないとこの吹雪じゃ倒れちゃいますからね 鍵山:ちなみに同じタイミングで私と中村さんは部屋の扉の前にいました、もちろん、かんぬきはしっかりとかかってました 中村:無理やり起こされて不快でした 平田:俺は窓から部屋に入った、そしたらどうだ…言わずもがな、馬鹿はベッドで殺されてた…ちょうど窓からはベッドの置いてある場所が死角になってたんだな ラン丸:死因は心臓を刃物で一突きにされたことによる失血死、殺人で間違いないですね 中村:ん…?あ!ちょっと待ったぁあああ!! 大木:うっわ!びっくりしたぁ!!何ですか、中村さん? 中村:おかしいなーあっれーおかしいなー、こんな吹雪の山小屋、馬鹿さんはなぜ窓に鍵をかけていなかったのでしょう? 平田:鍵?…何でだ? 大木:あぁ、確かに。あの時は別に気にならなかったんですけど…なんで馬鹿さんは開けるはずのない窓の鍵を閉めなかったんですかね? 平田:いや、閉める必要なんてない。むしろ閉めることなんて出来なかった、だって窓は最初から開きっぱなしだったからな 大木:えっ!?一体どういうことですか! 平田:単純な話だ、こんな吹雪いているのに窓を全開で寝るヤツなんていない。 平田:犯人は馬鹿を殺した後、窓から外に逃げた!だから、犯人探しなんてムダだ。最初にそう言ったろ 大木:でも、犯人はどうやって中に入ったんでしょうか!? 平田:普通に扉からだ。あのクソガキは気のせいだと言ってたが、コーヒーに睡眠薬でも入れてたんだろうな、俺らがぐっすりと眠っている間に堂々と山小屋に侵入して馬鹿を殺したんだ 鍵山:しかし!睡眠薬はいつどうやっていれるんですか!? 平田:水道管が凍結してるのはこの天気からして明らか。水は外の雪を溶かして飲むしかない…あらかじめ山小屋の入り口付近の雪に液状の睡眠薬をばら撒いておいたんだよ ラン丸:いや、いくらなんでもそれは運に頼りすぎなんじゃないですか? 平田:あ?じゃあ代わりの推理を披露してみろ。…出来ないだろ!?これが答えだ! ラン丸:うぅ…わ、わかった。 き、きっとそれが真相だ… 中村:フフフフフ…それは違いますよラン丸さん ラン丸:中村…くん? 中村:この中村…ズバッとビビっとぬるぬるっと真相わかっちゃいました!! 平田:何っ……!? 中村:この吹雪山小屋事件…この中村が解決してみせます!じっちゃんの名にかけて! ラン丸:あっ!それもダメなやつ!人のヤツー!! 平田:ふん、真相がわかっただと?じゃあ聞かせてもらおうか ラン丸:な、中村くん!?本当に大丈夫なのかい? 中村:安心してくださいよ。僕だって立派な探偵助手なんですから! ラン丸:大丈夫かな… 中村:まず結論から言いましょうか、馬鹿さんを殺した犯人はズバリ、平田さん!あなたです! 大木:えぇっ!?平田さんが犯人だったんですか!? 平田:なっ? お、お前何を……!? 中村:おぉ~動揺してる動揺してる~まあ、根拠を提示する前に…まだ整理しきれていないことがありますのでそちらから…鍵山さんお願いします ラン丸:あ、やっぱり人にやらせるんだ 鍵山:え、えぇ…えっと何を話せば? 中村:鍵山さんが遺体を発見したときのことをなるべく詳細に 鍵山:え…だってあの時中村さん一緒にいたじゃないですか 中村:寝ぼけてたんでよく覚えていないんですよ!困ったもんだこりゃあ!! 大木:だ、そうです…鍵山さん、お願いします 鍵山:そういうことなら…私と中村さんは扉の前で待機していました。そしたら、急にドアが開いて…平田さんが出てきたんです。  鍵山:それで、中を覗くと、馬鹿さんが……私、驚いて転んでしまったんです… 中村:そして、そのときたまたま鍵山さんが持っていたピッチャーがたまたま落ちて、たまたまアツアツのコーヒーがたまたま自分に…おかげで目が覚めました〜ありがとうございますー… 鍵山:ほ、本当にすみませんでした…!!帰ったらクリーニング代をお支払いしますので… 中村:いえいえ!とんでもないです!!この中村はそんな事では怒りませんよ~ 大木:何の時間だったんですか今のは…まさか君、鍵山さんに謝らせるために!? 中村:バカ言え!そんなことをわざわざ確認するためじゃありませんよ!今のでわかったじゃないですか、平田さんが遺体の第一発見者だ、という事実が… 平田:回りくどい!それがどうしたっていうんだ! 中村:第一発見者を装って、馬鹿さんを殺すこともできた、と言っているんですよ! 平田:はぁ!? 中村:あなたの犯行はこうです。まず皆さんのコーヒーに睡眠薬を入れ、眠らせる…幸い、僕は飲んでいなかったようですけどね! ラン丸:その前に寝てたからね 中村:そして、2階の個室に行き馬鹿さんを殺害しようとした…しかしかんぬきがかけられていたため、できなかった…仕方なく平田さんは暴れた 大木:え?なぜ暴れる必要が? まさか、下の人間を起こすため? 鍵山:あ!私の聞いた物音!!あれ?でも…あの時平田さんも1階で寝ていたような… 中村:なぁに、気のせいですよ気のせい!! そして、平田さんは2階の状況を不自然に思わせることに成功し、まんまと確認役を買って出たわけです! 中村:そして馬鹿さんに電話を入れた。『窓から綺麗な景色が見えるぞー、あ、鍵は閉めないでそのままで』などと言って…… 大木:いやいやいやいや!そんなの騙されますか!?しかも馬鹿さん携帯なくしてて探してたんですよね? 中村:携帯は2階で見つけたんでしょ!きっと! 平田:はぁ、反論する気もおきないな 中村:あとは先ほどの通り、脚立を使い窓から侵入、馬鹿さんを殺して何食わぬ顔で鍵山さんの前に姿を見せたと、どうですかこの推理! ラン丸:申し訳ないけど、穴だらけだよ中村くん…実際、私はすぐ遺体の状況を見たけど死亡してから結構時間が経っていたよ… 中村:えーーーーー!マジですかラン丸さん!へコむわこれー… 鍵山:やっぱり、平田さんの言うとおり、外部犯の仕業なんでしょうか 大木:その説が濃厚ですね…かんぬきをかけたのも、逃げる時間稼ぎのためでしょうから ラン丸:……あれ? 大木:どうしました?ラン丸さん? ラン丸:い、いえ…平田さん。かんぬきの存在にはいつ気が付いたんですか? 平田:あ?さっきだよ。事件整理のときだ。 鍵山が物音で目が覚めて様子見に行ったら開かなかったって言ってたろ?それでだ ラン丸:でも、私たちと一緒に外に行ってたじゃないですか? 鍵がかかってて扉が開かないということを知らないで行ってたんですか? 平田:俺はてっきり荷物か何かが引っかかってて開かないんだと思ったんだが ラン丸:え……だって窓から中に入ってかんぬきをはずしたから鍵山さんと鉢合わせすることになったんですよね!? 平田:いや?俺が窓から中に入った時にはかんぬきなんてかかってなかったぞ。何も引っかかってるようなもんもなかったしな ラン丸:ええっ!? 大木:お、おかしいですよ!僕は確かにこの手で扉に鍵がかかっているのを確認しましたよ! 鍵山:え、ええ!私もしっかり確認してます! ラン丸:鍵山さんが最後に鍵を確認したのは平田さんが窓から侵入するとき… 大木:これって密室じゃないですか!扉の前には鍵山さんと中村さん。窓の外には僕ら…!犯人は一体いつ、どうやってかんぬきをはずして逃げたっていうんでしょう!? ラン丸:これは大変なことになった…犯人はすでに逃亡し、密室の謎が新たに出てきた… 平田:無理だ…そんなこと不可能だ! ラン丸:ううむ…… 中村:…とりあえず、お腹空きません?なんか食いましょうよ。 平田:またお前は…空気読めよ。そんな場合じゃないだろ? 鍵山:確か、カンパンと缶詰がまだあったはずです。一緒に温かい飲み物でも入れましょうか? 大木:いや〜、助かります!芯まで凍ったこの体を溶かしましょう… 中村:あんたもアツアツのコーヒーぶっかけられればいいのに 平田:こいつ、まだ根に持ってやがる… 鍵山:本当にその節は申し訳ありませんでした! ラン丸:……はっ!!この方法なら…できるかもしれない! 大木:え?…何がですか? ラン丸:扉の鍵を自由に開け閉めできる方法です! 中村:あ、ラン丸さんなんかやるんですか? ラン丸:中村くん…今から言うものを用意してくれないか 中村:ラジャーであります! 0:数分後、中村が推理の準備を終えた。 0:一同は共有スペースに集まり、その時を待っている。 ラン丸:さて、これからこの山小屋で起こった馬鹿さん殺害事件を紐解いていきましょう。まず、かんぬきの正体……コレです 平田:おいおい、バカにしてんのか?そいつはただのタオルだろ 大木:少し厚手のもののようですが…そんなものがかんぬきになるんですか? ラン丸:そうです、タオル。これをただ金具に通しても柔らかくてかんぬきにはなりません。では、硬くしたらどうでしょうか? 中村:ささささっさぶい…こここれで…だ、だいじょぶでつか……ラ゛ン゛ま゛る゛ざん… ラン丸:お疲れ様中村くん、完璧だ。このように濡らして振り回せばこの通りカチコチに凍ります 大木:なるほど!これをあの金具に通せば立派なかんぬきになるかもしれないですね! 平田でもよ、いつそんなもの作ったんだ?そんなの持ってたら怪しまれるだろ ラン丸:だから窓を開けっ放しにしておいたんですよ。 ラン丸:犯人の行動はこうです。まずコーヒーに睡眠薬を入れて私達を眠らせる。そして2階に行き馬鹿さんを殺害。窓を開けっ放しにして濡れたタオルを金具に通す。 ラン丸:この時点ではまだタオルは凍っていないので簡単に扉から出ることができる 平田:あん時の部屋はバカみたいに寒かったからなぁ…それでそのままタオルは凍って、かんぬきの役を果たすことになるのか…… 平田:でも、いつそれを回収したっていうんだ?扉の外には鍵山とそのガキ、窓からは俺が脚立を登ってくる真っ最中だったんだぜ? ラン丸:いるじゃないですか……たった一人だけあの状況からタオルのかんぬきを溶かすことが出来る人物が…… 大木:そ、それってまさか……! 平田:うっそだろおい……!? ラン丸:鍵山さん……あなたですね 鍵山:どういうことでしょうか、説明してください ラン丸:あの時、あなたは熱いコーヒーの入ったピッチャーを持っていました。ドアの隙間からコーヒーを流し込み、凍ったタオルを溶かしたんです! ラン丸:そうやってタオルを回収し、遺体に驚いてたふりをしてコーヒーをこぼせば、コーヒーまみれのタオルがあったとしても何も不思議じゃないですからね 中村:僕が寝ぼけててよかったな! ラン丸:考えてみれば、雪を持ってきたあなたなら睡眠薬を入れるのは容易ですよね? ラン丸:そして、あの物音の証言も嘘ですね? 鍵山:どうして嘘だと? ラン丸:だって、死因は刃物で心臓を一突き、ですよ?犯人と争ったなら、もっと手や腕に傷があってもいいものなんですが、それもなかった。 ラン丸:そして、馬鹿さんも睡眠薬を飲んでいたなら…わざわざ起こして争いになるより、寝ているところを刺したほうが安全だし確実だ 大木:本当に、あなたなんですか…? 鍵山:…はぁ……うまく出来ると思ったんですけどねー。まさか探偵が来ちゃうなんて……つくづく運がないんですね私… ラン丸:馬鹿さんの携帯電話もあなたが? 鍵山:ええ、もう捨ててしまいましたけどね…忌々しい画像がたくさんありましたから…… 平田:一体どうしてだ?なんで馬鹿を殺した? 鍵山:アイツ、私の妹に…何したと思います?口に出すこともはばかられるような恐ろしいことをしたんです 鍵山:当時アイツは未成年で、それほど重い罰もなく…それを苦にして妹は自ら命を絶ちました。 鍵山:この睡眠薬…妹のなんですよね……最初は私もここで人生を終わらせるつもりだったんですけど、この山小屋にアイツが訪れたとき、これは奇跡だと思ったんです。神様がチャンスをくれたと思ったんです… 鍵山:だから私が罰を与えたんです。この睡眠薬を使って…… 中村:……あ!あの…ラン丸さん…外! ラン丸:吹雪、晴れたみたいですね…… 0:無事に吹雪が晴れ、平田が事前に呼んでいた捜索隊が到着。一同は無事救助されることとなった。 中村:はぁ……疲れた…!!もう二度と山なんて登りません ラン丸:同感だよ 中村:早く帰って家でのんびりとゲームしたいですよ… ラン丸:いや、中村くん…これから警察の事情聴取だよ… 中村:えっえっ…!まだ帰れないの!?やだぁああーー!! 平田:…おーい!君…ラン丸、と言ったな! ラン丸:あぁ、平田さんじゃないですか!どうかされましたか? 平田:いや…今回の件、君がいなければ解決できなかった。礼を言う。 ラン丸:…鍵山さんは? 平田:警察もつい先程到着して、捜査にも協力的だ。…そして、俺も忙しくなりそうだ…コレ、俺の携帯番号だから!何かあったら頼ってくれてもいいぞ! 中村:え、は?なんすか。ラン丸さんに媚売ってんすか?ボコしますよ? 平田:なんだ?やるか?警察組織を敵に回すと怖いぞ?おぉ? 中村:ふぁっ!?け、警察組織…!!? 平田:あぁ、言ってなかったな。平田ケイ次郎…刑事だ。よろしくな!じゃ、俺はここらで! 中村:……えっと、危うく刑事を犯人に仕立て上げるところだったんですね…… ラン丸:お、おぉ…これからは気をつけろ… 完