台本概要

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タイトル 私の天使。第三話「欠片、だけでも。」
作者名 なぎ@泣き虫保護者  (@fuyu_number10)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 不慮の交通事故で妹の日和(ひより)を喪った姉、小春は、艱難辛苦の末、彼女のクローンを造りだすことに成功した。
しかし、目覚めた妹の記憶は・・・。
姉妹の心の移ろいを描いてみました。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
小春 6 日和の姉。年齢不詳。喪った日和をクローン技術でよみがえらせた人。
日和 9 小春の妹。14歳。交通事故で命を落としてしまうが・・・。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
小春(N):黙考する。 小春(N):  小春(N):何が、おかしかったのか。 小春(N):  小春(N):何を、間違えたのか。 小春(N):  小春(N):どうして、こうなった・・・? 小春(N):  小春(N):  小春(N):あるいは。 小春(N):  小春(N):  小春(N):こんな形で妹を甦(よみがえ)らせた、アタシへの、罰か。 小春(N):  小春(N):  小春(N):あの日、妹を喪ったアタシの景色は、 小春(N):  小春(N):急に色を失ったようになった。 小春(N):  小春(N):  小春(N):みっともなく神様に縋(すが)ってでも、生き返ってほしかった。 小春(N):  小春(N):あの笑顔、あの愛らしい声を、ずっと聴きたい。 小春(N):  小春(N):スマホの中の動画、それだけじゃ、ダメ、なんだ。 小春(N):  小春(N):  小春(N):そして何より、日和に、ちゃんと、 小春(N):  小春(N):一度失った人生を、過ごしてほしい。 小春(N):  小春(N):優しい子なんだ。幸せに、なってほしい。 小春(N):  小春(N):  小春(N):あの頃。特に将来の夢、とか、目標、なんてものがなかったアタシ。 小春(N):  小春(N):そこに突然現れた、目標。 小春(N):  小春(N):そうだ、日和のために、全てを捧げるんだ・・・。 小春(N):  小春(N):その想いだけが、私を衝(つ)き動かした。 小春(N):  小春(N):  小春(N):願いは、成就したと・・・思ったんだけどな。 日和:せんせ? 小春(N):呼ばれ慣れたくない、よそよそしい、言い方。 小春(N):  小春(N):それでも、目線を合わせて、ゆっくりと、返す。 小春:「先生」、じゃないよ。『お姉ちゃん』だよ。 小春:  小春:アンタはずっと、アタシをそう呼んでたんだよ。 小春(N):ふわっとした髪に、触れる。 小春(N):  小春(N):くすぐったそうに、目を細める妹。 小春(N):  小春(N):しばし後(のち)。「んー」と、人差し指を頬に当て、うなったと思うと・・・。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春(N):しぐさも、声も、日和、なんだよなぁ・・・。 小春(N):  小春(N):とりあえず、今はこれでいいか・・・。 小春(N):  小春(N):時間は、ある。 小春(N):  小春(N):この日和を元に戻すのが、アタシのすべきこと。 小春(N):  小春(N):今は、目の前の日和に応えてあげたい。 小春(N):  小春:それで、どした、日和。お腹空いた? 日和:えっと、・・・ですね・・・はい、空きました。 小春:ん、そっか。じゃあ何か買いに行こう。 小春(N):研究所に併設している、病院。 小春(N):  小春(N):いくつかの検査を受けた日和を連れて、購買に向かう。 小春(N):  小春(N):大したものは置いていないが、腹の足しになるものくらい、あるだろ。 日和:えっと・・・お姉ちゃん先生、これが、食べたい・・・です・・・。 小春(N):日和のチョイスは、カスタードとホイップクリームのたっぷり入った菓子パン。 小春:え・・・それをお昼にするの・・・? 日和:ダメ・・・ですか・・・? 小春(N):上目遣いで聞いてくる、日和。 小春(N):  小春(N):あ、いかん・・・。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春(N):思わず、涙声で返してしまう。 小春:日和、あんた・・・。 日和:やっぱり、ダメ、ですよね・・・棚に戻してきま・・・? 小春(N):気づいたら、アタシは日和を抱きしめていた。 日和:えと・・・お姉ちゃん先生? 小春:いいよ、そのパン、買おう。 日和:あ、・・・はいっ! 小春(N):どうして日和が、このパンを? 小春(N):  小春(N):この子のキオクは、どうなってる? 小春(N):  小春(N):あたしは、しばらくこの子に振り回されるのかなぁ・・・。 小春(N):  小春(N):そんなことをしている場合じゃないけど。 小春(N):  小春(N):このお昼ご飯の時間は、少しだけ、幸せな時間になりそうだ・・・。 0:-つづく-

小春(N):黙考する。 小春(N):  小春(N):何が、おかしかったのか。 小春(N):  小春(N):何を、間違えたのか。 小春(N):  小春(N):どうして、こうなった・・・? 小春(N):  小春(N):  小春(N):あるいは。 小春(N):  小春(N):  小春(N):こんな形で妹を甦(よみがえ)らせた、アタシへの、罰か。 小春(N):  小春(N):  小春(N):あの日、妹を喪ったアタシの景色は、 小春(N):  小春(N):急に色を失ったようになった。 小春(N):  小春(N):  小春(N):みっともなく神様に縋(すが)ってでも、生き返ってほしかった。 小春(N):  小春(N):あの笑顔、あの愛らしい声を、ずっと聴きたい。 小春(N):  小春(N):スマホの中の動画、それだけじゃ、ダメ、なんだ。 小春(N):  小春(N):  小春(N):そして何より、日和に、ちゃんと、 小春(N):  小春(N):一度失った人生を、過ごしてほしい。 小春(N):  小春(N):優しい子なんだ。幸せに、なってほしい。 小春(N):  小春(N):  小春(N):あの頃。特に将来の夢、とか、目標、なんてものがなかったアタシ。 小春(N):  小春(N):そこに突然現れた、目標。 小春(N):  小春(N):そうだ、日和のために、全てを捧げるんだ・・・。 小春(N):  小春(N):その想いだけが、私を衝(つ)き動かした。 小春(N):  小春(N):  小春(N):願いは、成就したと・・・思ったんだけどな。 日和:せんせ? 小春(N):呼ばれ慣れたくない、よそよそしい、言い方。 小春(N):  小春(N):それでも、目線を合わせて、ゆっくりと、返す。 小春:「先生」、じゃないよ。『お姉ちゃん』だよ。 小春:  小春:アンタはずっと、アタシをそう呼んでたんだよ。 小春(N):ふわっとした髪に、触れる。 小春(N):  小春(N):くすぐったそうに、目を細める妹。 小春(N):  小春(N):しばし後(のち)。「んー」と、人差し指を頬に当て、うなったと思うと・・・。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春(N):しぐさも、声も、日和、なんだよなぁ・・・。 小春(N):  小春(N):とりあえず、今はこれでいいか・・・。 小春(N):  小春(N):時間は、ある。 小春(N):  小春(N):この日和を元に戻すのが、アタシのすべきこと。 小春(N):  小春(N):今は、目の前の日和に応えてあげたい。 小春(N):  小春:それで、どした、日和。お腹空いた? 日和:えっと、・・・ですね・・・はい、空きました。 小春:ん、そっか。じゃあ何か買いに行こう。 小春(N):研究所に併設している、病院。 小春(N):  小春(N):いくつかの検査を受けた日和を連れて、購買に向かう。 小春(N):  小春(N):大したものは置いていないが、腹の足しになるものくらい、あるだろ。 日和:えっと・・・お姉ちゃん先生、これが、食べたい・・・です・・・。 小春(N):日和のチョイスは、カスタードとホイップクリームのたっぷり入った菓子パン。 小春:え・・・それをお昼にするの・・・? 日和:ダメ・・・ですか・・・? 小春(N):上目遣いで聞いてくる、日和。 小春(N):  小春(N):あ、いかん・・・。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春(N):思わず、涙声で返してしまう。 小春:日和、あんた・・・。 日和:やっぱり、ダメ、ですよね・・・棚に戻してきま・・・? 小春(N):気づいたら、アタシは日和を抱きしめていた。 日和:えと・・・お姉ちゃん先生? 小春:いいよ、そのパン、買おう。 日和:あ、・・・はいっ! 小春(N):どうして日和が、このパンを? 小春(N):  小春(N):この子のキオクは、どうなってる? 小春(N):  小春(N):あたしは、しばらくこの子に振り回されるのかなぁ・・・。 小春(N):  小春(N):そんなことをしている場合じゃないけど。 小春(N):  小春(N):このお昼ご飯の時間は、少しだけ、幸せな時間になりそうだ・・・。 0:-つづく-