台本概要
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タイトル | 私の天使。第五話「告げるべき、気持ち。」 |
---|---|
作者名 | なぎ@泣き虫保護者 (@fuyu_number10) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
不慮の交通事故で妹の日和(ひより)を喪った姉、小春は、艱難辛苦の末、彼女のクローンを造りだすことに成功した。 しかし、目覚めた妹の記憶は・・・。 姉妹の心の移ろいを描いてみました。 ※台本をご利用になる際は、Twitterにてぜひお報せくださいませ。 お伺いできる限りお邪魔させていただければと存じます。 特に商用利用の場合において、著作権は放棄していません。無断での転載はお断りします。 35 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
小春 | 女 | 12 | 日和の姉。年齢不詳。喪った日和をクローン技術でよみがえらせた人。 |
日和 | 女 | 11 | 小春の妹。14歳。交通事故で命を落としてしまうが・・・。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
小春(N):病院でお昼を食べた、その晩。
小春(N):
小春(N):レポートだの色々な報告書だの、煩雑(はんざつ)な作業を終えたあと、
小春(N):
小春(N):夕方にアタシは日和を連れて、アパートに帰ってきた。
小春(N):
小春(N):途中、スーパーに寄って、色々な食材を買って。
小春(N):
小春(N):日和の負担と調理の手間を考えて、鍋物にしたけれど、
小春(N):
小春(N):久しぶりの「まとも」な食事に、何ともほっこりとしたもんだ。
小春(N):
小春(N):そして、その夜。
日和:お姉ちゃん先生・・・?
小春:ん?・・・日和、どうした?
日和:まだ、寝ないんですか?
小春:あー、もうこんな時間なのか。ごめんね、起こしちゃったか。
日和:いえ、大丈夫です。ちょっと、待っててくださいね。
小春(N):そう言い残して、キッチンで何やら始める日和。
小春(N):
小春(N):しばらくして、鼻腔(びくう)をくすぐる、甘い匂い。
小春(N):
小春(N):これは・・・?
日和:お姉ちゃん先生、お待たせしました。
小春:これ、ホットミルク?
日和:はい!寝つきもよくなりますし、栄養もたっぷりです!どうぞ!
小春:・・・ふふっ、ありがとうね。
小春(N):本当は、この子の面倒を見なくちゃいけない側、なんだけどなぁ。
小春(N):
小春(N):さて、もう少しだけ頑張ったら、寝るかなぁ。
日和:・・・あの、お姉ちゃん先生、・・・
小春(N):何かを言いかけては、止(や)めて、を繰り返す日和。
小春(N):
小春(N):4回ほど繰り返しただろうか。意を決したように言う。
日和:私の、・・・昔のコト。教えてほしいです。
小春:・・・。
小春(N):いつか、聞かれるだろう。
小春(N):
小春(N):いつか、教えなければならないのだろう。
小春(N):
小春(N):その「いつか」は。
小春:日和、あのね・・・
日和:私は。・・・わたしはっ!
小春(N):日和のキモチが、ココロが。
日和:どんな妹だったの?教えて!?お姉ちゃん先生っ!!
小春(N):「今」に、呼び込んだ。
小春:・・・ひより・・・。
小春(N):おなかに「おもり」があるように、急に不安な気持ちになる。
小春(N):
小春(N):日和に、責められるんじゃないか。怒られるんじゃないか。あるいはもっと・・・。
小春(N):
小春(N):苦しい。逃げ出したい。許されるなら、一人になりたい。
小春(N):
小春(N):そんなことを一瞬でも思った自分を、叱咤する。
小春(N):
小春(N):向き合うんだ。小春。
小春:・・・少しだけ、時間をもらっていいかな・・・?
小春(N):覚悟を決めたアタシは、クローゼットから、「あの」ワンピースとカーディガンを取り出して、
小春(N):
小春(N):日和の目の前で、着替えた。そして。
小春:日和、今から話すことはね、全部、私の「わがまま」だ。
小春(N):そしてアタシは、全てを、話すことにした。
小春(N):
小春(N):あの日の出来事を。日和のくれた、この服のコト。
小春(N):
小春(N):そのお礼に、と回したガチャガチャ。出てきたペンギンのコト。
小春(N):
小春(N):あの、事故のこと。・・・日和を喪(うしな)った、あの日の、すべて。
小春(N):
小春(N):そして、長い時間をかけて、今の日和を「造った」こと。
小春(N):
小春(N):そのすべてを、日和は、黙って、時折瞳を潤ませて、聴いていた。
小春:まぁ・・・その、なんだ。言い訳とかする気もないんだ。
小春:
小春:倫理的(りんりてき)に問題あったり、色々あるんだけどね。
小春:
小春:ただ、アタシが勝手に、日和に、ちゃんと・・・
小春:
小春:幸せな人生をあゆ・・・っと・・・んぐ
小春(N):日和は、嬉しそうに目を細めて、そっとアタシに近づくと、
小春(N):
小春(N):そのか細い腕で、私を「全力ハグ」した。
小春:日和・・・?
日和:なぁに?「お姉ちゃん」!
小春(N):ああ、そうだ。
小春(N):
小春(N):そう、呼んでほしかった。
小春(N):
小春(N):その甘やかな声で、そう、呼んで欲しかったんだ・・・。
小春:日和、ごめん、ごめんね・・・辛かったね・・・迷惑、かけたよね・・・。
小春(N):そう言うのが、精一杯だった。
小春(N):
小春(N):アタシの止まらない涙が、日和にも、ぱた、ぱたと、落ちる。
日和:逆です、お姉ちゃん。
日和:
日和:あたしは、今、とっても、幸せ、です!
小春(N):敬語は変わんないのか、何て、益体(やくたい)もないことを考えるが、
小春(N):
小春(N):すぐに、胸が温かくなるのに気づいた。
小春(N):
小春(N):日和の背中をそっと、そっと、撫でながら、ふと時計を見る。
小春(N):
小春(N):これから先、どれだけの時間があるか、分からない。
小春(N):
小春(N):それでもアタシは、日和を必ず幸せにする。そう改めて誓った、夜だった。
小春(N):
小春(N):それからアタシたちは、どちらからともなく手をつないで、深い眠りに落ちた。
0:-つづく-
小春(N):病院でお昼を食べた、その晩。
小春(N):
小春(N):レポートだの色々な報告書だの、煩雑(はんざつ)な作業を終えたあと、
小春(N):
小春(N):夕方にアタシは日和を連れて、アパートに帰ってきた。
小春(N):
小春(N):途中、スーパーに寄って、色々な食材を買って。
小春(N):
小春(N):日和の負担と調理の手間を考えて、鍋物にしたけれど、
小春(N):
小春(N):久しぶりの「まとも」な食事に、何ともほっこりとしたもんだ。
小春(N):
小春(N):そして、その夜。
日和:お姉ちゃん先生・・・?
小春:ん?・・・日和、どうした?
日和:まだ、寝ないんですか?
小春:あー、もうこんな時間なのか。ごめんね、起こしちゃったか。
日和:いえ、大丈夫です。ちょっと、待っててくださいね。
小春(N):そう言い残して、キッチンで何やら始める日和。
小春(N):
小春(N):しばらくして、鼻腔(びくう)をくすぐる、甘い匂い。
小春(N):
小春(N):これは・・・?
日和:お姉ちゃん先生、お待たせしました。
小春:これ、ホットミルク?
日和:はい!寝つきもよくなりますし、栄養もたっぷりです!どうぞ!
小春:・・・ふふっ、ありがとうね。
小春(N):本当は、この子の面倒を見なくちゃいけない側、なんだけどなぁ。
小春(N):
小春(N):さて、もう少しだけ頑張ったら、寝るかなぁ。
日和:・・・あの、お姉ちゃん先生、・・・
小春(N):何かを言いかけては、止(や)めて、を繰り返す日和。
小春(N):
小春(N):4回ほど繰り返しただろうか。意を決したように言う。
日和:私の、・・・昔のコト。教えてほしいです。
小春:・・・。
小春(N):いつか、聞かれるだろう。
小春(N):
小春(N):いつか、教えなければならないのだろう。
小春(N):
小春(N):その「いつか」は。
小春:日和、あのね・・・
日和:私は。・・・わたしはっ!
小春(N):日和のキモチが、ココロが。
日和:どんな妹だったの?教えて!?お姉ちゃん先生っ!!
小春(N):「今」に、呼び込んだ。
小春:・・・ひより・・・。
小春(N):おなかに「おもり」があるように、急に不安な気持ちになる。
小春(N):
小春(N):日和に、責められるんじゃないか。怒られるんじゃないか。あるいはもっと・・・。
小春(N):
小春(N):苦しい。逃げ出したい。許されるなら、一人になりたい。
小春(N):
小春(N):そんなことを一瞬でも思った自分を、叱咤する。
小春(N):
小春(N):向き合うんだ。小春。
小春:・・・少しだけ、時間をもらっていいかな・・・?
小春(N):覚悟を決めたアタシは、クローゼットから、「あの」ワンピースとカーディガンを取り出して、
小春(N):
小春(N):日和の目の前で、着替えた。そして。
小春:日和、今から話すことはね、全部、私の「わがまま」だ。
小春(N):そしてアタシは、全てを、話すことにした。
小春(N):
小春(N):あの日の出来事を。日和のくれた、この服のコト。
小春(N):
小春(N):そのお礼に、と回したガチャガチャ。出てきたペンギンのコト。
小春(N):
小春(N):あの、事故のこと。・・・日和を喪(うしな)った、あの日の、すべて。
小春(N):
小春(N):そして、長い時間をかけて、今の日和を「造った」こと。
小春(N):
小春(N):そのすべてを、日和は、黙って、時折瞳を潤ませて、聴いていた。
小春:まぁ・・・その、なんだ。言い訳とかする気もないんだ。
小春:
小春:倫理的(りんりてき)に問題あったり、色々あるんだけどね。
小春:
小春:ただ、アタシが勝手に、日和に、ちゃんと・・・
小春:
小春:幸せな人生をあゆ・・・っと・・・んぐ
小春(N):日和は、嬉しそうに目を細めて、そっとアタシに近づくと、
小春(N):
小春(N):そのか細い腕で、私を「全力ハグ」した。
小春:日和・・・?
日和:なぁに?「お姉ちゃん」!
小春(N):ああ、そうだ。
小春(N):
小春(N):そう、呼んでほしかった。
小春(N):
小春(N):その甘やかな声で、そう、呼んで欲しかったんだ・・・。
小春:日和、ごめん、ごめんね・・・辛かったね・・・迷惑、かけたよね・・・。
小春(N):そう言うのが、精一杯だった。
小春(N):
小春(N):アタシの止まらない涙が、日和にも、ぱた、ぱたと、落ちる。
日和:逆です、お姉ちゃん。
日和:
日和:あたしは、今、とっても、幸せ、です!
小春(N):敬語は変わんないのか、何て、益体(やくたい)もないことを考えるが、
小春(N):
小春(N):すぐに、胸が温かくなるのに気づいた。
小春(N):
小春(N):日和の背中をそっと、そっと、撫でながら、ふと時計を見る。
小春(N):
小春(N):これから先、どれだけの時間があるか、分からない。
小春(N):
小春(N):それでもアタシは、日和を必ず幸せにする。そう改めて誓った、夜だった。
小春(N):
小春(N):それからアタシたちは、どちらからともなく手をつないで、深い眠りに落ちた。
0:-つづく-