台本概要

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タイトル 私の天使。第五話「告げるべき、気持ち。」
作者名 なぎ@泣き虫保護者  (@fuyu_number10)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 不慮の交通事故で妹の日和(ひより)を喪った姉、小春は、艱難辛苦の末、彼女のクローンを造りだすことに成功した。
しかし、目覚めた妹の記憶は・・・。
姉妹の心の移ろいを描いてみました。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
小春 12 日和の姉。年齢不詳。喪った日和をクローン技術でよみがえらせた人。
日和 11 小春の妹。14歳。交通事故で命を落としてしまうが・・・。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
小春(N):病院でお昼を食べた、その晩。 小春(N):  小春(N):レポートだの色々な報告書だの、煩雑(はんざつ)な作業を終えたあと、 小春(N):  小春(N):夕方にアタシは日和を連れて、アパートに帰ってきた。 小春(N):  小春(N):途中、スーパーに寄って、色々な食材を買って。 小春(N):  小春(N):日和の負担と調理の手間を考えて、鍋物にしたけれど、 小春(N):  小春(N):久しぶりの「まとも」な食事に、何ともほっこりとしたもんだ。 小春(N):  小春(N):そして、その夜。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春:ん?・・・日和、どうした? 日和:まだ、寝ないんですか? 小春:あー、もうこんな時間なのか。ごめんね、起こしちゃったか。 日和:いえ、大丈夫です。ちょっと、待っててくださいね。 小春(N):そう言い残して、キッチンで何やら始める日和。 小春(N):  小春(N):しばらくして、鼻腔(びくう)をくすぐる、甘い匂い。 小春(N):  小春(N):これは・・・? 日和:お姉ちゃん先生、お待たせしました。 小春:これ、ホットミルク? 日和:はい!寝つきもよくなりますし、栄養もたっぷりです!どうぞ! 小春:・・・ふふっ、ありがとうね。 小春(N):本当は、この子の面倒を見なくちゃいけない側、なんだけどなぁ。 小春(N):  小春(N):さて、もう少しだけ頑張ったら、寝るかなぁ。 日和:・・・あの、お姉ちゃん先生、・・・ 小春(N):何かを言いかけては、止(や)めて、を繰り返す日和。 小春(N):  小春(N):4回ほど繰り返しただろうか。意を決したように言う。 日和:私の、・・・昔のコト。教えてほしいです。 小春:・・・。 小春(N):いつか、聞かれるだろう。 小春(N):  小春(N):いつか、教えなければならないのだろう。 小春(N):  小春(N):その「いつか」は。 小春:日和、あのね・・・ 日和:私は。・・・わたしはっ! 小春(N):日和のキモチが、ココロが。 日和:どんな妹だったの?教えて!?お姉ちゃん先生っ!! 小春(N):「今」に、呼び込んだ。 小春:・・・ひより・・・。 小春(N):おなかに「おもり」があるように、急に不安な気持ちになる。 小春(N):  小春(N):日和に、責められるんじゃないか。怒られるんじゃないか。あるいはもっと・・・。 小春(N):  小春(N):苦しい。逃げ出したい。許されるなら、一人になりたい。 小春(N):  小春(N):そんなことを一瞬でも思った自分を、叱咤する。 小春(N):  小春(N):向き合うんだ。小春。 小春:・・・少しだけ、時間をもらっていいかな・・・? 小春(N):覚悟を決めたアタシは、クローゼットから、「あの」ワンピースとカーディガンを取り出して、 小春(N):  小春(N):日和の目の前で、着替えた。そして。 小春:日和、今から話すことはね、全部、私の「わがまま」だ。 小春(N):そしてアタシは、全てを、話すことにした。 小春(N):  小春(N):あの日の出来事を。日和のくれた、この服のコト。 小春(N):  小春(N):そのお礼に、と回したガチャガチャ。出てきたペンギンのコト。 小春(N):  小春(N):あの、事故のこと。・・・日和を喪(うしな)った、あの日の、すべて。 小春(N):  小春(N):そして、長い時間をかけて、今の日和を「造った」こと。 小春(N):  小春(N):そのすべてを、日和は、黙って、時折瞳を潤ませて、聴いていた。 小春:まぁ・・・その、なんだ。言い訳とかする気もないんだ。 小春:  小春:倫理的(りんりてき)に問題あったり、色々あるんだけどね。 小春:  小春:ただ、アタシが勝手に、日和に、ちゃんと・・・ 小春:  小春:幸せな人生をあゆ・・・っと・・・んぐ 小春(N):日和は、嬉しそうに目を細めて、そっとアタシに近づくと、 小春(N):  小春(N):そのか細い腕で、私を「全力ハグ」した。 小春:日和・・・? 日和:なぁに?「お姉ちゃん」! 小春(N):ああ、そうだ。 小春(N):  小春(N):そう、呼んでほしかった。 小春(N):  小春(N):その甘やかな声で、そう、呼んで欲しかったんだ・・・。 小春:日和、ごめん、ごめんね・・・辛かったね・・・迷惑、かけたよね・・・。 小春(N):そう言うのが、精一杯だった。 小春(N):  小春(N):アタシの止まらない涙が、日和にも、ぱた、ぱたと、落ちる。 日和:逆です、お姉ちゃん。 日和:  日和:あたしは、今、とっても、幸せ、です! 小春(N):敬語は変わんないのか、何て、益体(やくたい)もないことを考えるが、 小春(N):  小春(N):すぐに、胸が温かくなるのに気づいた。 小春(N):  小春(N):日和の背中をそっと、そっと、撫でながら、ふと時計を見る。 小春(N):  小春(N):これから先、どれだけの時間があるか、分からない。 小春(N):  小春(N):それでもアタシは、日和を必ず幸せにする。そう改めて誓った、夜だった。 小春(N):  小春(N):それからアタシたちは、どちらからともなく手をつないで、深い眠りに落ちた。 0:-つづく-

小春(N):病院でお昼を食べた、その晩。 小春(N):  小春(N):レポートだの色々な報告書だの、煩雑(はんざつ)な作業を終えたあと、 小春(N):  小春(N):夕方にアタシは日和を連れて、アパートに帰ってきた。 小春(N):  小春(N):途中、スーパーに寄って、色々な食材を買って。 小春(N):  小春(N):日和の負担と調理の手間を考えて、鍋物にしたけれど、 小春(N):  小春(N):久しぶりの「まとも」な食事に、何ともほっこりとしたもんだ。 小春(N):  小春(N):そして、その夜。 日和:お姉ちゃん先生・・・? 小春:ん?・・・日和、どうした? 日和:まだ、寝ないんですか? 小春:あー、もうこんな時間なのか。ごめんね、起こしちゃったか。 日和:いえ、大丈夫です。ちょっと、待っててくださいね。 小春(N):そう言い残して、キッチンで何やら始める日和。 小春(N):  小春(N):しばらくして、鼻腔(びくう)をくすぐる、甘い匂い。 小春(N):  小春(N):これは・・・? 日和:お姉ちゃん先生、お待たせしました。 小春:これ、ホットミルク? 日和:はい!寝つきもよくなりますし、栄養もたっぷりです!どうぞ! 小春:・・・ふふっ、ありがとうね。 小春(N):本当は、この子の面倒を見なくちゃいけない側、なんだけどなぁ。 小春(N):  小春(N):さて、もう少しだけ頑張ったら、寝るかなぁ。 日和:・・・あの、お姉ちゃん先生、・・・ 小春(N):何かを言いかけては、止(や)めて、を繰り返す日和。 小春(N):  小春(N):4回ほど繰り返しただろうか。意を決したように言う。 日和:私の、・・・昔のコト。教えてほしいです。 小春:・・・。 小春(N):いつか、聞かれるだろう。 小春(N):  小春(N):いつか、教えなければならないのだろう。 小春(N):  小春(N):その「いつか」は。 小春:日和、あのね・・・ 日和:私は。・・・わたしはっ! 小春(N):日和のキモチが、ココロが。 日和:どんな妹だったの?教えて!?お姉ちゃん先生っ!! 小春(N):「今」に、呼び込んだ。 小春:・・・ひより・・・。 小春(N):おなかに「おもり」があるように、急に不安な気持ちになる。 小春(N):  小春(N):日和に、責められるんじゃないか。怒られるんじゃないか。あるいはもっと・・・。 小春(N):  小春(N):苦しい。逃げ出したい。許されるなら、一人になりたい。 小春(N):  小春(N):そんなことを一瞬でも思った自分を、叱咤する。 小春(N):  小春(N):向き合うんだ。小春。 小春:・・・少しだけ、時間をもらっていいかな・・・? 小春(N):覚悟を決めたアタシは、クローゼットから、「あの」ワンピースとカーディガンを取り出して、 小春(N):  小春(N):日和の目の前で、着替えた。そして。 小春:日和、今から話すことはね、全部、私の「わがまま」だ。 小春(N):そしてアタシは、全てを、話すことにした。 小春(N):  小春(N):あの日の出来事を。日和のくれた、この服のコト。 小春(N):  小春(N):そのお礼に、と回したガチャガチャ。出てきたペンギンのコト。 小春(N):  小春(N):あの、事故のこと。・・・日和を喪(うしな)った、あの日の、すべて。 小春(N):  小春(N):そして、長い時間をかけて、今の日和を「造った」こと。 小春(N):  小春(N):そのすべてを、日和は、黙って、時折瞳を潤ませて、聴いていた。 小春:まぁ・・・その、なんだ。言い訳とかする気もないんだ。 小春:  小春:倫理的(りんりてき)に問題あったり、色々あるんだけどね。 小春:  小春:ただ、アタシが勝手に、日和に、ちゃんと・・・ 小春:  小春:幸せな人生をあゆ・・・っと・・・んぐ 小春(N):日和は、嬉しそうに目を細めて、そっとアタシに近づくと、 小春(N):  小春(N):そのか細い腕で、私を「全力ハグ」した。 小春:日和・・・? 日和:なぁに?「お姉ちゃん」! 小春(N):ああ、そうだ。 小春(N):  小春(N):そう、呼んでほしかった。 小春(N):  小春(N):その甘やかな声で、そう、呼んで欲しかったんだ・・・。 小春:日和、ごめん、ごめんね・・・辛かったね・・・迷惑、かけたよね・・・。 小春(N):そう言うのが、精一杯だった。 小春(N):  小春(N):アタシの止まらない涙が、日和にも、ぱた、ぱたと、落ちる。 日和:逆です、お姉ちゃん。 日和:  日和:あたしは、今、とっても、幸せ、です! 小春(N):敬語は変わんないのか、何て、益体(やくたい)もないことを考えるが、 小春(N):  小春(N):すぐに、胸が温かくなるのに気づいた。 小春(N):  小春(N):日和の背中をそっと、そっと、撫でながら、ふと時計を見る。 小春(N):  小春(N):これから先、どれだけの時間があるか、分からない。 小春(N):  小春(N):それでもアタシは、日和を必ず幸せにする。そう改めて誓った、夜だった。 小春(N):  小春(N):それからアタシたちは、どちらからともなく手をつないで、深い眠りに落ちた。 0:-つづく-