台本概要

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タイトル Red MOON
作者名 橘りょう  (@tachibana390)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 最強の吸血鬼アビゲイルと、人類最強のバンパイアハンターの物語。
語尾の変更などをして男女逆転可能です。その際はアビゲイルの名前が変わるのでご注意ください。

性別の指定はしていますが性別不問と思っていただいていいです。
読み手の性別は不問。

作品名、作者名、台本へのリンクの表記をお願いいたします。
余裕があれば後でも構わないのでTwitterなどで教えて下さると嬉しいです、
アーカイブが残っていたら喜んで聴きに行かせていただきます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
アビィ 140 最強の吸血鬼。不死の呪いがかかっている。 男性になる場合は名前がアディ(アドルフ)となります。
オリバー 137 人類最強の吸血鬼ハンター
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
オリバー:神よ、私ををあなたの平和の道具にしてください アビィ:…来たか オリバー:憎しみのある所に愛を。諍い(いさかい)のあるところに許しを オリバー:分裂のある所に一致を。迷いのある所に信仰を。誤りのある所に真理を アビィ:ふふふっ オリバー:絶望のある所に希望を。悲しみのある所に喜びを。闇のある所に、光をもたらすことができますように…! アビィ:神への祈りか。それは私にか?それとも…お前か? オリバー:…土は土に、灰は灰に、塵は塵にかえり給え、アーメン : オリバー:『満月が照らす夜闇に対峙する。教会で祝福を受けた銀の刃と、奴の異様に伸びた鋭い爪が交わり火花を散らす』 オリバー:『赤く光る瞳が大きく開かれ、咄嗟に視線を逸らす。魅入られては…堪らない。ニヤリと笑う口元に覗いた牙が、獲物を狙う野生動物のそれに見えた』 オリバー:『銀糸のような長い髪がまるで生きているようにうねり、振り抜いた刃の上を撫でた。一瞬、それを美しいと思ってしまい気を取られ…』 : オリバー:『衝撃と共に私の意識は落ちた』 : : アビィ:おーい オリバー:…… アビィ:おぉーいって。ねぇ、起きて オリバー:…… アビィ:なんだぁ、もう死んじゃったのかァ オリバー:…死んで…ない… アビィ:おっ、良かった良かった。手加減したんだけど久しぶりだったから、つい力が入りすぎちゃって。ごめんね オリバー:…お前…バカにしてんのか? アビィ:ん?何が? オリバー:(フラフラ起き上がりながら)俺は…っ、お前を殺しに来たんだぞ…! アビィ:うん、知ってる オリバー:それで…手加減だと…? アビィ:そうだけど? オリバー:…手加減した結果、自分が死んだとしても? アビィ:死なない死なない オリバー:なんだと…?! アビィ:だって私は殺せないから オリバー:…それは、自信か? アビィ:事実だよ オリバー:…最強で最凶の吸血鬼、レディ・アビゲイル(サーアドルフ)。俺はお前を殺しに来たバンパイアハンター、オリバー・グラスだ アビィ:ご丁寧にどうも。でもどうして名前を? オリバー:自分を殺す相手の名前くらい、知っておきたいと思って アビィ:だから、私は殺せないって言ってるじゃないか オリバー:俺に倒せない吸血鬼は居ない…! アビィ:なら、殺してみるかい? オリバー:…は? アビィ:その、今貴方の手元にある銀の剣。分かるよ、教会で祝福を受けた吸血鬼を殺すための物だよね オリバー:そうだ… アビィ:じゃあ…はい、どうぞ オリバー:は? アビィ:それで私を刺せばいい。ちゃんと心臓を狙ってね オリバー:…なんのつもりだ…? アビィ:証明させてあげるよ オリバー:…死ぬぞ? アビィ:死なないよ オリバー:…… アビィ:死なない。…さぁ、どうぞ :オリバーは剣を構える アビィ:一突きにしてご覧 オリバー:…避けるなよ :勢いをつけてアビィを突き刺す アビィ:っ…グゥ…っ…! オリバー:(鼻で笑う)この銀の剣で死なない吸血鬼なんて… アビィ:なんてね オリバー:…は? アビィ:痛みはあるけど、ざーんねん :自ら剣を抜き、傷口を見せる アビィ:ほら、もう傷跡も残ってない オリバー:…どういう、事だ…! アビィ:ちなみに十字架もニンニクも、陽の光も平気だよ。聖水もね オリバー:…冗談だろ アビィ:なんなら賛美歌も歌おうか? オリバー:化け物め…! アビィ:(寂しそうに小さく笑う)そう。私は正真正銘、化け物だね オリバー:…… アビィ:生き血をすすり、死者の魂を冒涜し、夜の闇を支配する。それが…私 オリバー:ならなぜ…神の祝福が通じない? アビィ:私が特別な存在…だからかな? オリバー:ふざけてやがる アビィ:失礼だなぁ、私はふざけてなんかないよ オリバー:…最強の吸血鬼ってのは、伊達じゃ無いって事か… アビィ:私を…殺したいかい? オリバー:その為に来た アビィ:知りたい? オリバー:…? アビィ:私を殺す方法 オリバー:教えろ アビィ:簡単には教えられないなぁ オリバー:…何をすればいい アビィ:私を好きなだけ観察したら、見つかるかもね オリバー:からかってるのか アビィ:…私はこれでも死を望んでる。何百年も生きてきた。未練はないが、だからと言って易々と殺されるのは本望じゃない オリバー:面倒くさいやつだ、死にたいのか死にたくないのかどっちだ アビィ:ふふふっ、どうだろうね オリバー:馬鹿にしてやがる… アビィ:そんな事ない オリバー:…付き合ってられるか アビィ:ならこのまま、しっぽを巻いて逃げるといい オリバー:…あ? アビィ:人類最強のバンパイアハンターは、目標を仕留め損なった、となるだけだからな オリバー:…くそ アビィ:好きな方を選んで オリバー:…選択肢、無いじゃねぇか : オリバー:『倒すべき対象からの申し出で、俺と彼女は行動を共にする事となった。もちろん条件はある』 オリバー:『どの瞬間でもレディ・アビゲイル(サーアドルフ)の命を狙っても構わない』 オリバー:『人の血を吸って命を奪わない』 オリバー:『彼女の言うには、人の血は味さえ文句言わなければ生き血でなくても良いらしい。…知りたくない情報だった』 : アビィ:人の世界というのは実に面倒くさいね オリバー:そうか アビィ:どうして同族同士で争い、殺し合うんだ?無駄に血を流すくらいなら、私にくれてもいいのに オリバー:…お前たちとは違って生きている時間が限られてるからな アビィ:どうせ争いの原因なんて下らない事ばかりだろう?名誉や名声、矜恃。耳障りはいいが、所詮は意地の張り合いだよ。子供の喧嘩の延長さ オリバー:レディ・アビゲイル…(アドルフ) アビィ:アビィ(アディ) オリバー:…アビィ(アディ) アビィ:なんだい? オリバー:世の中の争いの裏に、お前たちのような者が暗躍(あんやく)している場合もあるんだが? アビィ:うん、知ってるよ オリバー:なら… アビィ:おっと。こう言いたいのかな?人の世の争いはお前たちのような化け物が原因だろう、と オリバー:…… アビィ:否定はしない、でも肯定もしない。人だけの争いの方が何倍も多く、醜いんだ オリバー:…… アビィ:この辺りにはもう…生きてる人間はいなさそうだな。見るからに瓦礫の街だ。そろそろお腹がすいたんだけどなぁ オリバー:…お前は、ずっと血を飲まなかったら死ぬのか? アビィ:さぁ?死んだ事がないから分からない オリバー:馬鹿にしてんのか アビィ:百年程封印されていた事があってね。首と胴体を切り離して教会に保管してたんだ オリバー:なんでその状態で死なないんだ アビィ:バケモノ、だからね オリバー:…… アビィ:何かの拍子に封印が解かれた。恐らく何も知らない盗賊か何かの仕業だと思うが…復活した私は血に飢えていた アビィ:正気に戻った時は村ひとつ、潰していたよ オリバー:…は? アビィ:飢餓状態になれば、我らは「餌」の選別なんかしないのさ。男も女も年寄りも子供も全て…食い尽くしてたよ オリバー:村ひとつ…ただの噂だと思っていたが…本当だったのか アビィ:吸血鬼の飢餓状態と言うのは自分で言うのもなんだけど…まぁ酷いもんだよ。若い吸血鬼ほど、そこら辺が判断できずに暴走する事がある。そうならない様、ちゃんと教えてあげるんだけどね オリバー:…若い、吸血鬼… アビィ:なりたて、と言った方が正しいかな オリバー:…眷属(けんぞく)を、増やすのか? アビィ:私はもう長いこと作ってないな。ペットを増やすのは…(何かに気付く) オリバー:どうした? アビィ:…人の気配がする、生きてる オリバー:こんな瓦礫の中に人が…? アビィ:こっちだ、匂いがする オリバー:匂い…? アビィ:血の匂いだよ オリバー:…っ?! :迷いなく歩くアビィを追いかけるオリバー :間 アビィ:…見つけた :崩れかけた建物に打ち捨てられるように少女が横たわっている オリバー:酷い傷だ、直ぐに手当を… アビィ:無駄だよ オリバー:はぁ?! アビィ:もう呼吸が消えかけてる。手遅れだ オリバー:何もしないで放っておけって言うのか?! :アビィは少女の傍にしゃがむと、顔の汚れを拭ってやる アビィ:怖がらなくて良いよ、光が示す方へ、恐れず向かえばいい : アビィ:すべての人の救いをお望みになる神よ オリバー:…お前… アビィ:悲しみに嘆く、私達の祈りを聞き入れて下さい。あなたが永遠の計らいによってお召しになった幼い命を…御手(みて)に委ねます。 アビィ:世を去った…幼子が、あなたの国で、永遠の命の喜びを…味わうことが、できますように…グフッ! オリバー:アビィ?! アビィ:アーメン…!(咳き込む) オリバー:何やってんだ、お前は! アビィ:みて、分からないか…?祈りだよ… オリバー:見りゃわかる!なんでわざわざそんな事を…! アビィ:ふぅ…あぁ、喉が痛かった オリバー:お前は…なんなんだ アビィ:…この子は恐らく、どこかから攫われたんだろうね。ここは街からかなり離れてる、こんな小さな子供が自力で辿り着ける場所じゃない オリバー:人売りか… アビィ:病気かな…どんな理由であれ、要らなくなったからここに捨てられた。…この子にはなんの罪も無い。そんな子に祈りを捧げて何が悪い? オリバー:悪くは無い。だが… アビィ:人は死ぬ時、最後まで耳は聞こえるんだそうだ オリバー:耳? アビィ:どんな神を信じているか知らないけど、死ぬ間際に祈りが聞こえた方が…より天国に近い気がするだろう? : オリバー:『そう言って笑う奴は、恐ろしい吸血鬼には見えなかった。見ず知らずの少女の為に祈りを捧げる姿は…聖人そのものであった』 : オリバー:お前、変わってるな… アビィ:そうかな? オリバー:…埋葬してやろう、このままでは可哀想だ アビィ:そうだね、それがいい : :少女を埋葬し祈りを捧げるオリバー オリバー:主よ、迷える幼い少女の魂を導き給え、アーメン… アビィ:終わった? オリバー:あぁ アビィ:…その傷は オリバー:傷? :指摘されて初めて自分の腕から流血している事に気付くオリバー オリバー:瓦礫か何かで切ったんだろ、大したことない アビィ:…舐めさせてくれない? オリバー:は? アビィ:どうせ拭いとって捨てるなら、少し舐めさせてくれ オリバー:嫌だ… アビィ:このまま空腹だと誰かを襲うかもしれない オリバー:…… アビィ:街に到着していきなり人を襲ったらどうしよう オリバー:…… アビィ:あぁお腹がすいた オリバー:白々しいんだよ! アビィ:噛みつかないから オリバー:ちっ…分かったよ。ほら アビィ:ありがとう :差し出された腕に舌を這わせるアビィ オリバー:…舐めとったら終わりだからな アビィ:(夢中で舐めている) オリバー:おい、聞いてる… アビィ:(赤く変化した瞳でオリバーを覗き込む)黙って オリバー:…っ! アビィ:そのまま、私に大人しく腕を差し出して オリバー:…あぁ…(ぼんやりしている) アビィ:いい子だ :オリバーの腕に噛み付くアビィ :夢中で血を啜っている アビィ:(はっと正気に戻る)しまった…!オリバー! オリバー:…っ!俺は… アビィ:すまない、久しぶりの生き血で夢中になってしまった…!つい魅了(チャーム)の魔力を… オリバー:あっ、こら!噛みつかないって言ったのに、噛み付いてるじゃねぇか!! アビィ:悪かった、本当にすまない!!君の血が美味しくてつい…! オリバー:もしかして…俺、おまえの眷属になったりするのか?! アビィ:それは大丈夫だと思うよ。私にそのつもりが無いから オリバー:…なら、良かった アビィ:…ごめん オリバー:いい、他の誰かが襲われること考えたらマシだ アビィ:自己犠牲か。君は聖人なのかな? オリバー:残念ながら…ただのバンパイアハンターだよ…っ!! オリバー:『振り抜く勢いそのままに剣を振るうと、彼女の首が宙を舞った』 アビィ:おう、いきなり乱暴だな オリバー:(転がる頭を踏む)いつどのタイミングで命を狙って構わない。そう言ったのはお前だろ? アビィ:うん、確かに オリバー:『そのまま首を突き刺してやろうかと動いた矢先に、体と共に無数のコウモリに姿を変えた。いつもこうだ。切り離してもまるで効果が無い』 オリバー:のらりくらり逃げやがって!本気で死ぬ気あるのか? アビィ:あるとも。君が見つけるまでこの追いかけっこは続くよ オリバー:遊びじゃねぇんだ! アビィ:もちろん。遊びで殺されるほど物好きじゃないよ オリバー:なら大人しく殺されとけ! アビィ:お断りだね オリバー:ならせめて…! アビィ:どうやって切り離して封印していたのか、私は方法を知らない オリバー:チッ!先回りするんじゃねぇよ! アビィ:用が済んだら街に行こうか、君はただの人間だから何か食べないと死んでしまうからね。ほら、行こう : : オリバー:『無邪気な子供のよう。レディ・アビゲイルという吸血鬼はそんな奴だった。人の営みを蔑むこともあれば、それを尊ぶことも』 オリバー:『血を吐きながら、見ず知らずの路頭に倒れる者に祈りを捧げることも…本当に変わった女で、時折吸血鬼である事を忘れそうになる』 オリバー:『俺は隙を見ては彼女を「殺した」。幾度となく聖水を飲ませ、銀の弾丸を打ち込み、聖書を聞かせ…彼女が言うように、どんな方法を使っても死ななかった』 オリバー:『そ知らぬ顔をして復活する。痛いなぁなんて笑うものだから…いつの間にか彼女を「殺す」ことを辞めていた』 オリバー:『気が付けば、三度目の冬を迎えていた』 : : オリバー:(数回咳をする) アビィ:なぁオリバー オリバー:…なんだ アビィ:最近、食事をしていないな、どうした オリバー:…食欲がないだけだ。寒くなって動物も見当たらん アビィ:血の匂いがする オリバー:…… アビィ:血を吐きだしたのはいつからだ オリバー:…… アビィ:二週間前だな オリバー:分かってたなら聞くな アビィ:聖書でも読んだか? オリバー:お前じゃない…ゲホッ アビィ:…痩せたな オリバー:そう、か… アビィ:肺病か オリバー:…恐らくな アビィ:医者にかかった方がいい オリバー:出会えばな…ぐっ、ゲホッ!(酷く咳き込む) アビィ:オリバー! オリバー:しんぱ、い、いらん…ゲホッ(倒れる) アビィ:オリバー!オリバー! オリバー:お前に…病は、うつらないと…いいな… :意識が朦朧としているオリバー アビィ:…このままじゃ…! : アビィ:…潮時だな、オリバー。少し我慢しててくれ :オリバーを抱き上げて空に舞いあがるアビィ : アビィ:ちょうどいい、ミサの途中だ :教会のドアを開けるアビィ アビィ:ミサの途中に邪魔するよ :ザワつく周囲 アビィ:私の名はレディ・アビゲイル。最強の吸血鬼と恐れられているものだ!中には私の名前を知っている者もいるのではないか?一夜で村をひとつ食い尽くしたバケモノ、それが私だ! アビィ:そして私が連れているこの男こそ、人類最強と歌われるバンパイアハンター、オリバー・グラス。私を、殺す者だ。そこの神父、そしてこの場にいる全ての神の御使いが証人となる! : アビィ:ミサの邪魔をした上で更に頼み事するのは大変に心苦しいが…お願いがある。私が殺されたら…彼を医者にみせてやってくれ。病に侵されている : アビィ:オリバー、オリバー。目を覚まして… オリバー:う… アビィ:起きるんだ、オリバー。ここは教会だよ オリバー:きょう、かい… アビィ:オリバー、私の質問に答えてくれるかい? オリバー:…あぁ… アビィ:私を、愛してるか? オリバー:…あぁ、アビィ…お前を倒すために、傍に居たはずなのに…俺は… アビィ:私を、愛しているのか? オリバー:愛してる…心から… アビィ:そうか…ありがとう :そっと頬に口付ける アビィ:さぁオリバー、目を覚まして私を見るんだ :瞳が赤く光る オリバー:っ…!何を…! アビィ:苦しいだろうが、少しの我慢だ。許してくれ : アビィ:さぁ!殺せるものなら私を殺してみろ!バンパイアハンター! オリバー:『やめろアビィ。そう声を上げようとしたのに俺の口から出たのは…』 オリバー:薄汚いバンパイアめ!俺がこの手で消し去ってやる!! オリバー:『体が自由に動かない。言葉も思ってない言葉が吐き出される。これは、あの赤い瞳は…』 オリバー:神の名のもとに…!土は土に、灰は灰に、塵は塵に! アビィ:やってみろ! オリバー:冥府へと還れ、恥らえ屍人よ…! オリバー:『やめてくれアビィ!』 : : アビィ:…かはッ… :アビィの体を剣が貫いている オリバー:…ア、ビィ… アビィ:グフッ…良く、やったね…オリバー… オリバー:…どうして…お前は、死なない… アビィ:『私を愛する者が、安らぎを与えん』 オリバー:…は? アビィ:私が、私に課した…呪いだよ… オリバー:なんで… アビィ:オリバー…、君と、同じ…神の御元には行けない、けど… オリバー:ダメだ…!死ぬな… アビィ:ほら…言葉の通り… オリバー:アビィ! アビィ:土は土に…灰は灰に…塵は、塵に… オリバー:ダメだ…ダメだ! アビィ:幸せに… :灰になるアビィ オリバー:うあぁぁ…!アビィ…アビィ!! : オリバー:アビィ…(倒れる) : : オリバー:『医者から手遅れだと告げられたのは、それから三日ほど後のことだった。正直、ほっとした』 オリバー:『長い時間を、彼女を貫いた感触を抱えて生きていくのは…あまりにも辛かったから、それで良かった』 オリバー:『同じ神の御元には行けないと言うなら、俺が彼女の元へ行けばいい。赤い瞳の吸血鬼はきっとまたのらりくらりと旅をしているだろうから』 : : :終

オリバー:神よ、私ををあなたの平和の道具にしてください アビィ:…来たか オリバー:憎しみのある所に愛を。諍い(いさかい)のあるところに許しを オリバー:分裂のある所に一致を。迷いのある所に信仰を。誤りのある所に真理を アビィ:ふふふっ オリバー:絶望のある所に希望を。悲しみのある所に喜びを。闇のある所に、光をもたらすことができますように…! アビィ:神への祈りか。それは私にか?それとも…お前か? オリバー:…土は土に、灰は灰に、塵は塵にかえり給え、アーメン : オリバー:『満月が照らす夜闇に対峙する。教会で祝福を受けた銀の刃と、奴の異様に伸びた鋭い爪が交わり火花を散らす』 オリバー:『赤く光る瞳が大きく開かれ、咄嗟に視線を逸らす。魅入られては…堪らない。ニヤリと笑う口元に覗いた牙が、獲物を狙う野生動物のそれに見えた』 オリバー:『銀糸のような長い髪がまるで生きているようにうねり、振り抜いた刃の上を撫でた。一瞬、それを美しいと思ってしまい気を取られ…』 : オリバー:『衝撃と共に私の意識は落ちた』 : : アビィ:おーい オリバー:…… アビィ:おぉーいって。ねぇ、起きて オリバー:…… アビィ:なんだぁ、もう死んじゃったのかァ オリバー:…死んで…ない… アビィ:おっ、良かった良かった。手加減したんだけど久しぶりだったから、つい力が入りすぎちゃって。ごめんね オリバー:…お前…バカにしてんのか? アビィ:ん?何が? オリバー:(フラフラ起き上がりながら)俺は…っ、お前を殺しに来たんだぞ…! アビィ:うん、知ってる オリバー:それで…手加減だと…? アビィ:そうだけど? オリバー:…手加減した結果、自分が死んだとしても? アビィ:死なない死なない オリバー:なんだと…?! アビィ:だって私は殺せないから オリバー:…それは、自信か? アビィ:事実だよ オリバー:…最強で最凶の吸血鬼、レディ・アビゲイル(サーアドルフ)。俺はお前を殺しに来たバンパイアハンター、オリバー・グラスだ アビィ:ご丁寧にどうも。でもどうして名前を? オリバー:自分を殺す相手の名前くらい、知っておきたいと思って アビィ:だから、私は殺せないって言ってるじゃないか オリバー:俺に倒せない吸血鬼は居ない…! アビィ:なら、殺してみるかい? オリバー:…は? アビィ:その、今貴方の手元にある銀の剣。分かるよ、教会で祝福を受けた吸血鬼を殺すための物だよね オリバー:そうだ… アビィ:じゃあ…はい、どうぞ オリバー:は? アビィ:それで私を刺せばいい。ちゃんと心臓を狙ってね オリバー:…なんのつもりだ…? アビィ:証明させてあげるよ オリバー:…死ぬぞ? アビィ:死なないよ オリバー:…… アビィ:死なない。…さぁ、どうぞ :オリバーは剣を構える アビィ:一突きにしてご覧 オリバー:…避けるなよ :勢いをつけてアビィを突き刺す アビィ:っ…グゥ…っ…! オリバー:(鼻で笑う)この銀の剣で死なない吸血鬼なんて… アビィ:なんてね オリバー:…は? アビィ:痛みはあるけど、ざーんねん :自ら剣を抜き、傷口を見せる アビィ:ほら、もう傷跡も残ってない オリバー:…どういう、事だ…! アビィ:ちなみに十字架もニンニクも、陽の光も平気だよ。聖水もね オリバー:…冗談だろ アビィ:なんなら賛美歌も歌おうか? オリバー:化け物め…! アビィ:(寂しそうに小さく笑う)そう。私は正真正銘、化け物だね オリバー:…… アビィ:生き血をすすり、死者の魂を冒涜し、夜の闇を支配する。それが…私 オリバー:ならなぜ…神の祝福が通じない? アビィ:私が特別な存在…だからかな? オリバー:ふざけてやがる アビィ:失礼だなぁ、私はふざけてなんかないよ オリバー:…最強の吸血鬼ってのは、伊達じゃ無いって事か… アビィ:私を…殺したいかい? オリバー:その為に来た アビィ:知りたい? オリバー:…? アビィ:私を殺す方法 オリバー:教えろ アビィ:簡単には教えられないなぁ オリバー:…何をすればいい アビィ:私を好きなだけ観察したら、見つかるかもね オリバー:からかってるのか アビィ:…私はこれでも死を望んでる。何百年も生きてきた。未練はないが、だからと言って易々と殺されるのは本望じゃない オリバー:面倒くさいやつだ、死にたいのか死にたくないのかどっちだ アビィ:ふふふっ、どうだろうね オリバー:馬鹿にしてやがる… アビィ:そんな事ない オリバー:…付き合ってられるか アビィ:ならこのまま、しっぽを巻いて逃げるといい オリバー:…あ? アビィ:人類最強のバンパイアハンターは、目標を仕留め損なった、となるだけだからな オリバー:…くそ アビィ:好きな方を選んで オリバー:…選択肢、無いじゃねぇか : オリバー:『倒すべき対象からの申し出で、俺と彼女は行動を共にする事となった。もちろん条件はある』 オリバー:『どの瞬間でもレディ・アビゲイル(サーアドルフ)の命を狙っても構わない』 オリバー:『人の血を吸って命を奪わない』 オリバー:『彼女の言うには、人の血は味さえ文句言わなければ生き血でなくても良いらしい。…知りたくない情報だった』 : アビィ:人の世界というのは実に面倒くさいね オリバー:そうか アビィ:どうして同族同士で争い、殺し合うんだ?無駄に血を流すくらいなら、私にくれてもいいのに オリバー:…お前たちとは違って生きている時間が限られてるからな アビィ:どうせ争いの原因なんて下らない事ばかりだろう?名誉や名声、矜恃。耳障りはいいが、所詮は意地の張り合いだよ。子供の喧嘩の延長さ オリバー:レディ・アビゲイル…(アドルフ) アビィ:アビィ(アディ) オリバー:…アビィ(アディ) アビィ:なんだい? オリバー:世の中の争いの裏に、お前たちのような者が暗躍(あんやく)している場合もあるんだが? アビィ:うん、知ってるよ オリバー:なら… アビィ:おっと。こう言いたいのかな?人の世の争いはお前たちのような化け物が原因だろう、と オリバー:…… アビィ:否定はしない、でも肯定もしない。人だけの争いの方が何倍も多く、醜いんだ オリバー:…… アビィ:この辺りにはもう…生きてる人間はいなさそうだな。見るからに瓦礫の街だ。そろそろお腹がすいたんだけどなぁ オリバー:…お前は、ずっと血を飲まなかったら死ぬのか? アビィ:さぁ?死んだ事がないから分からない オリバー:馬鹿にしてんのか アビィ:百年程封印されていた事があってね。首と胴体を切り離して教会に保管してたんだ オリバー:なんでその状態で死なないんだ アビィ:バケモノ、だからね オリバー:…… アビィ:何かの拍子に封印が解かれた。恐らく何も知らない盗賊か何かの仕業だと思うが…復活した私は血に飢えていた アビィ:正気に戻った時は村ひとつ、潰していたよ オリバー:…は? アビィ:飢餓状態になれば、我らは「餌」の選別なんかしないのさ。男も女も年寄りも子供も全て…食い尽くしてたよ オリバー:村ひとつ…ただの噂だと思っていたが…本当だったのか アビィ:吸血鬼の飢餓状態と言うのは自分で言うのもなんだけど…まぁ酷いもんだよ。若い吸血鬼ほど、そこら辺が判断できずに暴走する事がある。そうならない様、ちゃんと教えてあげるんだけどね オリバー:…若い、吸血鬼… アビィ:なりたて、と言った方が正しいかな オリバー:…眷属(けんぞく)を、増やすのか? アビィ:私はもう長いこと作ってないな。ペットを増やすのは…(何かに気付く) オリバー:どうした? アビィ:…人の気配がする、生きてる オリバー:こんな瓦礫の中に人が…? アビィ:こっちだ、匂いがする オリバー:匂い…? アビィ:血の匂いだよ オリバー:…っ?! :迷いなく歩くアビィを追いかけるオリバー :間 アビィ:…見つけた :崩れかけた建物に打ち捨てられるように少女が横たわっている オリバー:酷い傷だ、直ぐに手当を… アビィ:無駄だよ オリバー:はぁ?! アビィ:もう呼吸が消えかけてる。手遅れだ オリバー:何もしないで放っておけって言うのか?! :アビィは少女の傍にしゃがむと、顔の汚れを拭ってやる アビィ:怖がらなくて良いよ、光が示す方へ、恐れず向かえばいい : アビィ:すべての人の救いをお望みになる神よ オリバー:…お前… アビィ:悲しみに嘆く、私達の祈りを聞き入れて下さい。あなたが永遠の計らいによってお召しになった幼い命を…御手(みて)に委ねます。 アビィ:世を去った…幼子が、あなたの国で、永遠の命の喜びを…味わうことが、できますように…グフッ! オリバー:アビィ?! アビィ:アーメン…!(咳き込む) オリバー:何やってんだ、お前は! アビィ:みて、分からないか…?祈りだよ… オリバー:見りゃわかる!なんでわざわざそんな事を…! アビィ:ふぅ…あぁ、喉が痛かった オリバー:お前は…なんなんだ アビィ:…この子は恐らく、どこかから攫われたんだろうね。ここは街からかなり離れてる、こんな小さな子供が自力で辿り着ける場所じゃない オリバー:人売りか… アビィ:病気かな…どんな理由であれ、要らなくなったからここに捨てられた。…この子にはなんの罪も無い。そんな子に祈りを捧げて何が悪い? オリバー:悪くは無い。だが… アビィ:人は死ぬ時、最後まで耳は聞こえるんだそうだ オリバー:耳? アビィ:どんな神を信じているか知らないけど、死ぬ間際に祈りが聞こえた方が…より天国に近い気がするだろう? : オリバー:『そう言って笑う奴は、恐ろしい吸血鬼には見えなかった。見ず知らずの少女の為に祈りを捧げる姿は…聖人そのものであった』 : オリバー:お前、変わってるな… アビィ:そうかな? オリバー:…埋葬してやろう、このままでは可哀想だ アビィ:そうだね、それがいい : :少女を埋葬し祈りを捧げるオリバー オリバー:主よ、迷える幼い少女の魂を導き給え、アーメン… アビィ:終わった? オリバー:あぁ アビィ:…その傷は オリバー:傷? :指摘されて初めて自分の腕から流血している事に気付くオリバー オリバー:瓦礫か何かで切ったんだろ、大したことない アビィ:…舐めさせてくれない? オリバー:は? アビィ:どうせ拭いとって捨てるなら、少し舐めさせてくれ オリバー:嫌だ… アビィ:このまま空腹だと誰かを襲うかもしれない オリバー:…… アビィ:街に到着していきなり人を襲ったらどうしよう オリバー:…… アビィ:あぁお腹がすいた オリバー:白々しいんだよ! アビィ:噛みつかないから オリバー:ちっ…分かったよ。ほら アビィ:ありがとう :差し出された腕に舌を這わせるアビィ オリバー:…舐めとったら終わりだからな アビィ:(夢中で舐めている) オリバー:おい、聞いてる… アビィ:(赤く変化した瞳でオリバーを覗き込む)黙って オリバー:…っ! アビィ:そのまま、私に大人しく腕を差し出して オリバー:…あぁ…(ぼんやりしている) アビィ:いい子だ :オリバーの腕に噛み付くアビィ :夢中で血を啜っている アビィ:(はっと正気に戻る)しまった…!オリバー! オリバー:…っ!俺は… アビィ:すまない、久しぶりの生き血で夢中になってしまった…!つい魅了(チャーム)の魔力を… オリバー:あっ、こら!噛みつかないって言ったのに、噛み付いてるじゃねぇか!! アビィ:悪かった、本当にすまない!!君の血が美味しくてつい…! オリバー:もしかして…俺、おまえの眷属になったりするのか?! アビィ:それは大丈夫だと思うよ。私にそのつもりが無いから オリバー:…なら、良かった アビィ:…ごめん オリバー:いい、他の誰かが襲われること考えたらマシだ アビィ:自己犠牲か。君は聖人なのかな? オリバー:残念ながら…ただのバンパイアハンターだよ…っ!! オリバー:『振り抜く勢いそのままに剣を振るうと、彼女の首が宙を舞った』 アビィ:おう、いきなり乱暴だな オリバー:(転がる頭を踏む)いつどのタイミングで命を狙って構わない。そう言ったのはお前だろ? アビィ:うん、確かに オリバー:『そのまま首を突き刺してやろうかと動いた矢先に、体と共に無数のコウモリに姿を変えた。いつもこうだ。切り離してもまるで効果が無い』 オリバー:のらりくらり逃げやがって!本気で死ぬ気あるのか? アビィ:あるとも。君が見つけるまでこの追いかけっこは続くよ オリバー:遊びじゃねぇんだ! アビィ:もちろん。遊びで殺されるほど物好きじゃないよ オリバー:なら大人しく殺されとけ! アビィ:お断りだね オリバー:ならせめて…! アビィ:どうやって切り離して封印していたのか、私は方法を知らない オリバー:チッ!先回りするんじゃねぇよ! アビィ:用が済んだら街に行こうか、君はただの人間だから何か食べないと死んでしまうからね。ほら、行こう : : オリバー:『無邪気な子供のよう。レディ・アビゲイルという吸血鬼はそんな奴だった。人の営みを蔑むこともあれば、それを尊ぶことも』 オリバー:『血を吐きながら、見ず知らずの路頭に倒れる者に祈りを捧げることも…本当に変わった女で、時折吸血鬼である事を忘れそうになる』 オリバー:『俺は隙を見ては彼女を「殺した」。幾度となく聖水を飲ませ、銀の弾丸を打ち込み、聖書を聞かせ…彼女が言うように、どんな方法を使っても死ななかった』 オリバー:『そ知らぬ顔をして復活する。痛いなぁなんて笑うものだから…いつの間にか彼女を「殺す」ことを辞めていた』 オリバー:『気が付けば、三度目の冬を迎えていた』 : : オリバー:(数回咳をする) アビィ:なぁオリバー オリバー:…なんだ アビィ:最近、食事をしていないな、どうした オリバー:…食欲がないだけだ。寒くなって動物も見当たらん アビィ:血の匂いがする オリバー:…… アビィ:血を吐きだしたのはいつからだ オリバー:…… アビィ:二週間前だな オリバー:分かってたなら聞くな アビィ:聖書でも読んだか? オリバー:お前じゃない…ゲホッ アビィ:…痩せたな オリバー:そう、か… アビィ:肺病か オリバー:…恐らくな アビィ:医者にかかった方がいい オリバー:出会えばな…ぐっ、ゲホッ!(酷く咳き込む) アビィ:オリバー! オリバー:しんぱ、い、いらん…ゲホッ(倒れる) アビィ:オリバー!オリバー! オリバー:お前に…病は、うつらないと…いいな… :意識が朦朧としているオリバー アビィ:…このままじゃ…! : アビィ:…潮時だな、オリバー。少し我慢しててくれ :オリバーを抱き上げて空に舞いあがるアビィ : アビィ:ちょうどいい、ミサの途中だ :教会のドアを開けるアビィ アビィ:ミサの途中に邪魔するよ :ザワつく周囲 アビィ:私の名はレディ・アビゲイル。最強の吸血鬼と恐れられているものだ!中には私の名前を知っている者もいるのではないか?一夜で村をひとつ食い尽くしたバケモノ、それが私だ! アビィ:そして私が連れているこの男こそ、人類最強と歌われるバンパイアハンター、オリバー・グラス。私を、殺す者だ。そこの神父、そしてこの場にいる全ての神の御使いが証人となる! : アビィ:ミサの邪魔をした上で更に頼み事するのは大変に心苦しいが…お願いがある。私が殺されたら…彼を医者にみせてやってくれ。病に侵されている : アビィ:オリバー、オリバー。目を覚まして… オリバー:う… アビィ:起きるんだ、オリバー。ここは教会だよ オリバー:きょう、かい… アビィ:オリバー、私の質問に答えてくれるかい? オリバー:…あぁ… アビィ:私を、愛してるか? オリバー:…あぁ、アビィ…お前を倒すために、傍に居たはずなのに…俺は… アビィ:私を、愛しているのか? オリバー:愛してる…心から… アビィ:そうか…ありがとう :そっと頬に口付ける アビィ:さぁオリバー、目を覚まして私を見るんだ :瞳が赤く光る オリバー:っ…!何を…! アビィ:苦しいだろうが、少しの我慢だ。許してくれ : アビィ:さぁ!殺せるものなら私を殺してみろ!バンパイアハンター! オリバー:『やめろアビィ。そう声を上げようとしたのに俺の口から出たのは…』 オリバー:薄汚いバンパイアめ!俺がこの手で消し去ってやる!! オリバー:『体が自由に動かない。言葉も思ってない言葉が吐き出される。これは、あの赤い瞳は…』 オリバー:神の名のもとに…!土は土に、灰は灰に、塵は塵に! アビィ:やってみろ! オリバー:冥府へと還れ、恥らえ屍人よ…! オリバー:『やめてくれアビィ!』 : : アビィ:…かはッ… :アビィの体を剣が貫いている オリバー:…ア、ビィ… アビィ:グフッ…良く、やったね…オリバー… オリバー:…どうして…お前は、死なない… アビィ:『私を愛する者が、安らぎを与えん』 オリバー:…は? アビィ:私が、私に課した…呪いだよ… オリバー:なんで… アビィ:オリバー…、君と、同じ…神の御元には行けない、けど… オリバー:ダメだ…!死ぬな… アビィ:ほら…言葉の通り… オリバー:アビィ! アビィ:土は土に…灰は灰に…塵は、塵に… オリバー:ダメだ…ダメだ! アビィ:幸せに… :灰になるアビィ オリバー:うあぁぁ…!アビィ…アビィ!! : オリバー:アビィ…(倒れる) : : オリバー:『医者から手遅れだと告げられたのは、それから三日ほど後のことだった。正直、ほっとした』 オリバー:『長い時間を、彼女を貫いた感触を抱えて生きていくのは…あまりにも辛かったから、それで良かった』 オリバー:『同じ神の御元には行けないと言うなら、俺が彼女の元へ行けばいい。赤い瞳の吸血鬼はきっとまたのらりくらりと旅をしているだろうから』 : : :終