台本概要

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タイトル ハッピーとラッキー
作者名 よぉげるとサマー  (@gerutohoukai)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 救難ラジオ「ハッピーラッキー」の後日談的なショート。

女性2人台本ですが、お好きに性別は変更してください。
劇の音声が残るようにしてくれる場合は、ご共有下されば幸いです。是非、聴きたいです。
あと、感想もくれると喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
キラキ 8 パーソナリティー
ノイズ+リリナ - リスナー
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
キラキ:夢を見ている。 キラキ:かなり都合の良い、幸せな夢を。 キラキ:気づくと、ふかふかのベッドで起きて。 キラキ:見慣れた部屋のテーブルに、私の好物が並ぶ。 キラキ:ゆっくりとそれを堪能したら、広いお風呂にダイブする。 キラキ:幸せだ。 キラキ:こんなのが、何よりの幸せなんだって。 キラキ:どうして気づかなかったんだろう。 ノイズ:−−ザザザッ。 キラキ:ノイズと共に、世界がブラックアウトする。 キラキ:赤い警告ランプの点滅が、唯一の灯り。 キラキ:あぁ、やっぱり、夢だ。 キラキ:メーデー、メーデー。 キラキ:こちらハッピーラッキー号。 キラキ:ただ今遭難中、エンジン故障により、推進力を失っております。 キラキ:間抜けで、危機感の無い声が、助けを呼んでいる。 キラキ:この救難信号を受け取ったら、至急、救助願います。 キラキ:無駄な事をしている。 キラキ:来るはずがない。 キラキ:だって、来なかったんだから。 キラキ:どうして、こんなことを始めたのだろう。 キラキ:ラジオなんて、本当にバカバカしい。 キラキ:そんな場合じゃ無いのに。 キラキ:電力と体力の無駄遣い。 キラキ:実際、喉が渇いて水の消費が上がったと思うし、空気だって減ってしまっただろう。 キラキ:まったく……だめだなぁ。 キラキ:眠っている時でさえ、こんなに絶望できてしまう。 キラキ:アンハッピーで、アンラッキー。 キラキ:そんなんばかり、積まれていく。 キラキ:というか、もう、寝ているかどうかも怪しいけど。 キラキ:赤いランプがいつの間にか消えて、断続的なノイズだけが聞こえる。 キラキ:視界は閉じた暗闇のまま。 キラキ:起きてしまったのかもしれない。 キラキ:変なノイズが聞こえてきたせいかも。 キラキ:でも、私は、死ぬなら寝てる間が良いから。 キラキ:もう、起きないぞ、って意地を張っている。 キラキ:だって、起きてても、今みたいに考えてばっかで、怖くて悲しくて、寂しいだけ。 キラキ:あきらめても、あきらめても。 キラキ:もしかしたらって……馬鹿みたい。 キラキ:自分が嫌いだ。 キラキ:ヘラヘラしながら、怖いの誤魔化して、全部裏目に出て、何にも出来なくて。 キラキ:このまま、死んじゃって良いよ、もう。 キラキ:そう思う。 キラキ:……思うだけ、だけど。 キラキ:あー、だめだ。 キラキ:考えないで、私。 キラキ:寝てしまおう、すべて忘れよう。 キラキ:暗闇に溶かして、もう……なくなろう。 キラキ:その方がきっと……幸せだ。 キラキ:最後の最後に残った……私の。 ノイズ:――ザザザッ……ます、か。 キラキ:ノイズが、聞こえた。 ノイズ:――ザザザッ……いま……すか……! キラキ:ノイズの海に、少しだけ、声のような音が浮かぶ。 ノイズ:――ザザザッ……聞こえて……ますか! キラキ:それは、私のじゃない……大きな声だった。 ノイズ:――ザザザッ……応答願います、聞こえてますか! 生きていますか! ハッピーラッキー号、応答して! キラキ:あぁ、これは、都合の良い、夢だ。 キラキ:そう思った時。 キラキ:とうの昔に絶えた、星の光が。 キラキ:ひとすじ、私に届いた。 キラキ:泣き疲れて重くなった目蓋を、そっと開ける。 キラキ:滲む視界が、ぼうっと、淡く色づく。 キラキ:彼方に、何か見える。 キラキ:それは、ひとすじの光を放ち、こちらを照らす。 ノイズ:――ザザザッ……応答して! ハッピーもラッキーも、私が持って来たから! キラキ:……ははっ、なにそれ。 キラキ:より一層、滲んだ視界で、通信機を起動させる。 キラキ:――メーデー、メーデー、こちら、ハッピーラッキー号。ただ今遭難中。 ノイズ:――ザザザッ……知っとるわ! ばかっ! キラキ:そこで、通信は途絶えた。 リリナ:「……初めまして、キラキ。遭難ネーム……リリナです」

キラキ:夢を見ている。 キラキ:かなり都合の良い、幸せな夢を。 キラキ:気づくと、ふかふかのベッドで起きて。 キラキ:見慣れた部屋のテーブルに、私の好物が並ぶ。 キラキ:ゆっくりとそれを堪能したら、広いお風呂にダイブする。 キラキ:幸せだ。 キラキ:こんなのが、何よりの幸せなんだって。 キラキ:どうして気づかなかったんだろう。 ノイズ:−−ザザザッ。 キラキ:ノイズと共に、世界がブラックアウトする。 キラキ:赤い警告ランプの点滅が、唯一の灯り。 キラキ:あぁ、やっぱり、夢だ。 キラキ:メーデー、メーデー。 キラキ:こちらハッピーラッキー号。 キラキ:ただ今遭難中、エンジン故障により、推進力を失っております。 キラキ:間抜けで、危機感の無い声が、助けを呼んでいる。 キラキ:この救難信号を受け取ったら、至急、救助願います。 キラキ:無駄な事をしている。 キラキ:来るはずがない。 キラキ:だって、来なかったんだから。 キラキ:どうして、こんなことを始めたのだろう。 キラキ:ラジオなんて、本当にバカバカしい。 キラキ:そんな場合じゃ無いのに。 キラキ:電力と体力の無駄遣い。 キラキ:実際、喉が渇いて水の消費が上がったと思うし、空気だって減ってしまっただろう。 キラキ:まったく……だめだなぁ。 キラキ:眠っている時でさえ、こんなに絶望できてしまう。 キラキ:アンハッピーで、アンラッキー。 キラキ:そんなんばかり、積まれていく。 キラキ:というか、もう、寝ているかどうかも怪しいけど。 キラキ:赤いランプがいつの間にか消えて、断続的なノイズだけが聞こえる。 キラキ:視界は閉じた暗闇のまま。 キラキ:起きてしまったのかもしれない。 キラキ:変なノイズが聞こえてきたせいかも。 キラキ:でも、私は、死ぬなら寝てる間が良いから。 キラキ:もう、起きないぞ、って意地を張っている。 キラキ:だって、起きてても、今みたいに考えてばっかで、怖くて悲しくて、寂しいだけ。 キラキ:あきらめても、あきらめても。 キラキ:もしかしたらって……馬鹿みたい。 キラキ:自分が嫌いだ。 キラキ:ヘラヘラしながら、怖いの誤魔化して、全部裏目に出て、何にも出来なくて。 キラキ:このまま、死んじゃって良いよ、もう。 キラキ:そう思う。 キラキ:……思うだけ、だけど。 キラキ:あー、だめだ。 キラキ:考えないで、私。 キラキ:寝てしまおう、すべて忘れよう。 キラキ:暗闇に溶かして、もう……なくなろう。 キラキ:その方がきっと……幸せだ。 キラキ:最後の最後に残った……私の。 ノイズ:――ザザザッ……ます、か。 キラキ:ノイズが、聞こえた。 ノイズ:――ザザザッ……いま……すか……! キラキ:ノイズの海に、少しだけ、声のような音が浮かぶ。 ノイズ:――ザザザッ……聞こえて……ますか! キラキ:それは、私のじゃない……大きな声だった。 ノイズ:――ザザザッ……応答願います、聞こえてますか! 生きていますか! ハッピーラッキー号、応答して! キラキ:あぁ、これは、都合の良い、夢だ。 キラキ:そう思った時。 キラキ:とうの昔に絶えた、星の光が。 キラキ:ひとすじ、私に届いた。 キラキ:泣き疲れて重くなった目蓋を、そっと開ける。 キラキ:滲む視界が、ぼうっと、淡く色づく。 キラキ:彼方に、何か見える。 キラキ:それは、ひとすじの光を放ち、こちらを照らす。 ノイズ:――ザザザッ……応答して! ハッピーもラッキーも、私が持って来たから! キラキ:……ははっ、なにそれ。 キラキ:より一層、滲んだ視界で、通信機を起動させる。 キラキ:――メーデー、メーデー、こちら、ハッピーラッキー号。ただ今遭難中。 ノイズ:――ザザザッ……知っとるわ! ばかっ! キラキ:そこで、通信は途絶えた。 リリナ:「……初めまして、キラキ。遭難ネーム……リリナです」