台本概要
185 views
タイトル | 思い出 |
---|---|
作者名 | よぉげるとサマー (@gerutohoukai) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
鏡合わせの後日談的なショート。 女性2人台本ですが、お好きに性別は変更してください。 劇の音声が残るようにしてくれる場合は、ご共有下されば幸いです。是非、聴きたいです。 あと、感想もくれると喜びます。 185 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
はるか | 女 | 35 | 器用じゃない妹 |
かなた | 女 | 34 | 不器用な姉 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
はるか:もしもし。……ふふっ……ひさしぶり。
かなた:……うん。ほんとにね。
はるか:あー……まぁ、なんとなくさ……かけてみた。
かなた:なんとなく……特に用事は、無い、と。
はるか:そう……うん、そう。
かなた:……あはは、うん、いいよ。何もなくても、いいよね。
はるか:へへっ、よかった。
かなた:……なんか、元気?
はるか:え、うん、元気元気。そっちは?
かなた:まぁ、元気だよ。ちょっと大変なことも時々あるけど。
はるか:そっか……まぁ、お互い色々とあるよねー。
かなた:そりゃねぇ……環境が変われば色々と大変だよ。
はるか:それね。……ねぇ、寂しい?
かなた:えー? そりゃあ……多少はね。
はるか:なにそれー。多いの? 少ないの?
かなた:あはは、なによ。どうせ、すごい寂しいって言って欲しいんでしょ。
はるか:それは、そう。
かなた:……子供か。
はるか:ふーん、そーですよー、子供ですがー?
かなた:うわー、めんどくさ。
はるか:ひどっ。
かなた:ふふっ……うん、でも、良かったよ。
はるか:……なにが?
かなた:私がいなくても、大丈夫そうで。
はるか:えー……大丈夫って言うか……仕方ないって言うか。
かなた:もー。強がってでもさ、しっかりしてるとこ見せてくれれば良いのに。
はるか:だって……私ばっかり寂しがってるみたいじゃん。
かなた:ふふっ……大丈夫、ちゃんと寂しいよ、私も。
はるか:……ほんと?
かなた:……どうでしょう?
はるか:はー? だるい、うざい、きもい!
かなた:あはは、ごめんごめん。……まぁ、寂しくなきゃ、電話なんてしないって。
はるか:……それはそう、か。
かなた:はい、そうです。
はるか:えへへっ。
かなた:ふふふっ。
はるか:……よし、じゃあそろそろ良いよ。
かなた:うん、じゃあまた何かあったら連絡するね。
はるか:うん、うん……はぁい、じゃあね。
かなた:はーい、ありがとう、バイバイ。
はるか:……はぁ、お母さん、思ったより元気で悔しいなぁ。娘が一人暮らししてるってのにー、もうちょっと寂しがってくれても良いじゃん。
かなた:……さて、軽くホームシック解消出来たし、お父さんも何とかやってそうだし、良かった良かった。
はるか:……あーあ。
かなた:……ふぅ。
はるかM:シングルベッドの、ひとり暮らしの部屋に。
かなたM:真新しい、けれど、確かに生活感のある部屋に。
はるかM:春がやって来た。
かなたM:ここでは、はじめての季節を。
はるかM:窓から眺める。
かなた:……綺麗だなぁ。
はるかM:陽気の中、白い梅の花が風に揺れている。
かなたM:狭い庭に咲いていた、あの花よりも、ずっと伸び伸びとしている。
はるか:……やっぱり狭かったよねぇ、うちの庭。
かなたM:それでも、それが、かわいそうなんて思ったことは無かったけれど。
はるかM:たぶん、別々の幸せがあるんだって、ことなんだろうけど。
かなた:いっぱい日を浴びたほうが、良いんだろうな。
はるか:うん、比べちゃうなぁ、ちょっとだけ。
かなたM:だけど、あれくらい立派になってたら、家が壊れていたかもしれない。
はるかM:それに、小さめだったから、あの窓から眺めた時、ダイナミックに見えたんだろうな。
かなた:あーあ……思い出になってくなぁ。
はるか:……こんな感じなんだ、思い出になるって。
かなたM:もう、見ることのできない、白い梅を。
はるかM:あの可愛らしい木の、白い花を。
かなたM:もう、記憶の中でしか愛でられない。
はるか:……思い出すことしか、できないのかぁ。
かなたM:変わっていく。薄れていく。なくなっていく。
はるかM:少しずつ。ゆっくりと。それでも、確かに。
かなた:……ねえ、覚えてる?
はるか:……もうそろそろ、誕生日だなぁ。
かなた:……どっちでも良いけどね。
はるか:まだ寒いかなぁ……夜だと。
かなた:あんたの時ほど寒くないと思うけど……もし来るなら、風邪引かないようにね。
はるか:うん、上着持ってこ……いつまで続けられるんだろうなぁ、これも。
かなた:……このひとりごとも、エモいんかね。
はるか:……ねぇ、おばあちゃんになるまで続けられるかな?
かなた:……わかんないわ。
はるか:……うん、わかんないや。
かなたM:何もわからない。
はるかM:変わらないものなんて、中々ない。
かなたM:当たり前に、なくなるものは、なくなっていく。
はるかM:そして、戻らないものは、戻らない。
かなた:……でも、なくならないものも、あるか。
はるか:……なくさなければ、なくならないしね。
かなたM:季節が巡るように。気づいたら、何度も思い出している。
はるかM:家族で過ごした家のこと。もう戻らない日々のこと。
かなたM:エモい約束をした日のこと。
はるかM:二段ベッドがなくなった日のこと。
かなたM:部屋のドアが開くのを待った日のこと。
はるかM:冷たい体に触れた日のこと。
かなたM:……もう、会えなくなった日のこと。
はるかM:……また、会えた日のこと。
かなた:……思い出すよ、ずっと。
はるか:……忘れないよ、きっと。
かなた:私が一番……嫌だったんだから。
はるか:……ふふっ、私が一番……好きだったんだから。
かなた:……チョコレートケーキね。
はるか:……はいはい。
はるか:もしもし。……ふふっ……ひさしぶり。
かなた:……うん。ほんとにね。
はるか:あー……まぁ、なんとなくさ……かけてみた。
かなた:なんとなく……特に用事は、無い、と。
はるか:そう……うん、そう。
かなた:……あはは、うん、いいよ。何もなくても、いいよね。
はるか:へへっ、よかった。
かなた:……なんか、元気?
はるか:え、うん、元気元気。そっちは?
かなた:まぁ、元気だよ。ちょっと大変なことも時々あるけど。
はるか:そっか……まぁ、お互い色々とあるよねー。
かなた:そりゃねぇ……環境が変われば色々と大変だよ。
はるか:それね。……ねぇ、寂しい?
かなた:えー? そりゃあ……多少はね。
はるか:なにそれー。多いの? 少ないの?
かなた:あはは、なによ。どうせ、すごい寂しいって言って欲しいんでしょ。
はるか:それは、そう。
かなた:……子供か。
はるか:ふーん、そーですよー、子供ですがー?
かなた:うわー、めんどくさ。
はるか:ひどっ。
かなた:ふふっ……うん、でも、良かったよ。
はるか:……なにが?
かなた:私がいなくても、大丈夫そうで。
はるか:えー……大丈夫って言うか……仕方ないって言うか。
かなた:もー。強がってでもさ、しっかりしてるとこ見せてくれれば良いのに。
はるか:だって……私ばっかり寂しがってるみたいじゃん。
かなた:ふふっ……大丈夫、ちゃんと寂しいよ、私も。
はるか:……ほんと?
かなた:……どうでしょう?
はるか:はー? だるい、うざい、きもい!
かなた:あはは、ごめんごめん。……まぁ、寂しくなきゃ、電話なんてしないって。
はるか:……それはそう、か。
かなた:はい、そうです。
はるか:えへへっ。
かなた:ふふふっ。
はるか:……よし、じゃあそろそろ良いよ。
かなた:うん、じゃあまた何かあったら連絡するね。
はるか:うん、うん……はぁい、じゃあね。
かなた:はーい、ありがとう、バイバイ。
はるか:……はぁ、お母さん、思ったより元気で悔しいなぁ。娘が一人暮らししてるってのにー、もうちょっと寂しがってくれても良いじゃん。
かなた:……さて、軽くホームシック解消出来たし、お父さんも何とかやってそうだし、良かった良かった。
はるか:……あーあ。
かなた:……ふぅ。
はるかM:シングルベッドの、ひとり暮らしの部屋に。
かなたM:真新しい、けれど、確かに生活感のある部屋に。
はるかM:春がやって来た。
かなたM:ここでは、はじめての季節を。
はるかM:窓から眺める。
かなた:……綺麗だなぁ。
はるかM:陽気の中、白い梅の花が風に揺れている。
かなたM:狭い庭に咲いていた、あの花よりも、ずっと伸び伸びとしている。
はるか:……やっぱり狭かったよねぇ、うちの庭。
かなたM:それでも、それが、かわいそうなんて思ったことは無かったけれど。
はるかM:たぶん、別々の幸せがあるんだって、ことなんだろうけど。
かなた:いっぱい日を浴びたほうが、良いんだろうな。
はるか:うん、比べちゃうなぁ、ちょっとだけ。
かなたM:だけど、あれくらい立派になってたら、家が壊れていたかもしれない。
はるかM:それに、小さめだったから、あの窓から眺めた時、ダイナミックに見えたんだろうな。
かなた:あーあ……思い出になってくなぁ。
はるか:……こんな感じなんだ、思い出になるって。
かなたM:もう、見ることのできない、白い梅を。
はるかM:あの可愛らしい木の、白い花を。
かなたM:もう、記憶の中でしか愛でられない。
はるか:……思い出すことしか、できないのかぁ。
かなたM:変わっていく。薄れていく。なくなっていく。
はるかM:少しずつ。ゆっくりと。それでも、確かに。
かなた:……ねえ、覚えてる?
はるか:……もうそろそろ、誕生日だなぁ。
かなた:……どっちでも良いけどね。
はるか:まだ寒いかなぁ……夜だと。
かなた:あんたの時ほど寒くないと思うけど……もし来るなら、風邪引かないようにね。
はるか:うん、上着持ってこ……いつまで続けられるんだろうなぁ、これも。
かなた:……このひとりごとも、エモいんかね。
はるか:……ねぇ、おばあちゃんになるまで続けられるかな?
かなた:……わかんないわ。
はるか:……うん、わかんないや。
かなたM:何もわからない。
はるかM:変わらないものなんて、中々ない。
かなたM:当たり前に、なくなるものは、なくなっていく。
はるかM:そして、戻らないものは、戻らない。
かなた:……でも、なくならないものも、あるか。
はるか:……なくさなければ、なくならないしね。
かなたM:季節が巡るように。気づいたら、何度も思い出している。
はるかM:家族で過ごした家のこと。もう戻らない日々のこと。
かなたM:エモい約束をした日のこと。
はるかM:二段ベッドがなくなった日のこと。
かなたM:部屋のドアが開くのを待った日のこと。
はるかM:冷たい体に触れた日のこと。
かなたM:……もう、会えなくなった日のこと。
はるかM:……また、会えた日のこと。
かなた:……思い出すよ、ずっと。
はるか:……忘れないよ、きっと。
かなた:私が一番……嫌だったんだから。
はるか:……ふふっ、私が一番……好きだったんだから。
かなた:……チョコレートケーキね。
はるか:……はいはい。