台本概要

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タイトル 思い出
作者名 よぉげるとサマー  (@gerutohoukai)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 鏡合わせの後日談的なショート。

女性2人台本ですが、お好きに性別は変更してください。
劇の音声が残るようにしてくれる場合は、ご共有下されば幸いです。是非、聴きたいです。
あと、感想もくれると喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
はるか 35 器用じゃない妹
かなた 34 不器用な姉
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
はるか:もしもし。……ふふっ……ひさしぶり。 かなた:……うん。ほんとにね。 はるか:あー……まぁ、なんとなくさ……かけてみた。 かなた:なんとなく……特に用事は、無い、と。 はるか:そう……うん、そう。 かなた:……あはは、うん、いいよ。何もなくても、いいよね。 はるか:へへっ、よかった。 かなた:……なんか、元気? はるか:え、うん、元気元気。そっちは? かなた:まぁ、元気だよ。ちょっと大変なことも時々あるけど。 はるか:そっか……まぁ、お互い色々とあるよねー。 かなた:そりゃねぇ……環境が変われば色々と大変だよ。 はるか:それね。……ねぇ、寂しい? かなた:えー? そりゃあ……多少はね。 はるか:なにそれー。多いの? 少ないの? かなた:あはは、なによ。どうせ、すごい寂しいって言って欲しいんでしょ。 はるか:それは、そう。 かなた:……子供か。 はるか:ふーん、そーですよー、子供ですがー? かなた:うわー、めんどくさ。 はるか:ひどっ。 かなた:ふふっ……うん、でも、良かったよ。 はるか:……なにが? かなた:私がいなくても、大丈夫そうで。 はるか:えー……大丈夫って言うか……仕方ないって言うか。 かなた:もー。強がってでもさ、しっかりしてるとこ見せてくれれば良いのに。 はるか:だって……私ばっかり寂しがってるみたいじゃん。 かなた:ふふっ……大丈夫、ちゃんと寂しいよ、私も。 はるか:……ほんと? かなた:……どうでしょう? はるか:はー? だるい、うざい、きもい! かなた:あはは、ごめんごめん。……まぁ、寂しくなきゃ、電話なんてしないって。 はるか:……それはそう、か。 かなた:はい、そうです。 はるか:えへへっ。 かなた:ふふふっ。 はるか:……よし、じゃあそろそろ良いよ。 かなた:うん、じゃあまた何かあったら連絡するね。 はるか:うん、うん……はぁい、じゃあね。 かなた:はーい、ありがとう、バイバイ。 はるか:……はぁ、お母さん、思ったより元気で悔しいなぁ。娘が一人暮らししてるってのにー、もうちょっと寂しがってくれても良いじゃん。 かなた:……さて、軽くホームシック解消出来たし、お父さんも何とかやってそうだし、良かった良かった。 はるか:……あーあ。 かなた:……ふぅ。 はるかM:シングルベッドの、ひとり暮らしの部屋に。 かなたM:真新しい、けれど、確かに生活感のある部屋に。 はるかM:春がやって来た。 かなたM:ここでは、はじめての季節を。 はるかM:窓から眺める。 かなた:……綺麗だなぁ。 はるかM:陽気の中、白い梅の花が風に揺れている。 かなたM:狭い庭に咲いていた、あの花よりも、ずっと伸び伸びとしている。 はるか:……やっぱり狭かったよねぇ、うちの庭。 かなたM:それでも、それが、かわいそうなんて思ったことは無かったけれど。 はるかM:たぶん、別々の幸せがあるんだって、ことなんだろうけど。 かなた:いっぱい日を浴びたほうが、良いんだろうな。 はるか:うん、比べちゃうなぁ、ちょっとだけ。 かなたM:だけど、あれくらい立派になってたら、家が壊れていたかもしれない。 はるかM:それに、小さめだったから、あの窓から眺めた時、ダイナミックに見えたんだろうな。 かなた:あーあ……思い出になってくなぁ。 はるか:……こんな感じなんだ、思い出になるって。 かなたM:もう、見ることのできない、白い梅を。 はるかM:あの可愛らしい木の、白い花を。 かなたM:もう、記憶の中でしか愛でられない。 はるか:……思い出すことしか、できないのかぁ。 かなたM:変わっていく。薄れていく。なくなっていく。 はるかM:少しずつ。ゆっくりと。それでも、確かに。 かなた:……ねえ、覚えてる? はるか:……もうそろそろ、誕生日だなぁ。 かなた:……どっちでも良いけどね。 はるか:まだ寒いかなぁ……夜だと。 かなた:あんたの時ほど寒くないと思うけど……もし来るなら、風邪引かないようにね。 はるか:うん、上着持ってこ……いつまで続けられるんだろうなぁ、これも。 かなた:……このひとりごとも、エモいんかね。 はるか:……ねぇ、おばあちゃんになるまで続けられるかな? かなた:……わかんないわ。 はるか:……うん、わかんないや。 かなたM:何もわからない。 はるかM:変わらないものなんて、中々ない。 かなたM:当たり前に、なくなるものは、なくなっていく。 はるかM:そして、戻らないものは、戻らない。 かなた:……でも、なくならないものも、あるか。 はるか:……なくさなければ、なくならないしね。 かなたM:季節が巡るように。気づいたら、何度も思い出している。 はるかM:家族で過ごした家のこと。もう戻らない日々のこと。 かなたM:エモい約束をした日のこと。 はるかM:二段ベッドがなくなった日のこと。 かなたM:部屋のドアが開くのを待った日のこと。 はるかM:冷たい体に触れた日のこと。 かなたM:……もう、会えなくなった日のこと。 はるかM:……また、会えた日のこと。 かなた:……思い出すよ、ずっと。 はるか:……忘れないよ、きっと。 かなた:私が一番……嫌だったんだから。 はるか:……ふふっ、私が一番……好きだったんだから。 かなた:……チョコレートケーキね。 はるか:……はいはい。

はるか:もしもし。……ふふっ……ひさしぶり。 かなた:……うん。ほんとにね。 はるか:あー……まぁ、なんとなくさ……かけてみた。 かなた:なんとなく……特に用事は、無い、と。 はるか:そう……うん、そう。 かなた:……あはは、うん、いいよ。何もなくても、いいよね。 はるか:へへっ、よかった。 かなた:……なんか、元気? はるか:え、うん、元気元気。そっちは? かなた:まぁ、元気だよ。ちょっと大変なことも時々あるけど。 はるか:そっか……まぁ、お互い色々とあるよねー。 かなた:そりゃねぇ……環境が変われば色々と大変だよ。 はるか:それね。……ねぇ、寂しい? かなた:えー? そりゃあ……多少はね。 はるか:なにそれー。多いの? 少ないの? かなた:あはは、なによ。どうせ、すごい寂しいって言って欲しいんでしょ。 はるか:それは、そう。 かなた:……子供か。 はるか:ふーん、そーですよー、子供ですがー? かなた:うわー、めんどくさ。 はるか:ひどっ。 かなた:ふふっ……うん、でも、良かったよ。 はるか:……なにが? かなた:私がいなくても、大丈夫そうで。 はるか:えー……大丈夫って言うか……仕方ないって言うか。 かなた:もー。強がってでもさ、しっかりしてるとこ見せてくれれば良いのに。 はるか:だって……私ばっかり寂しがってるみたいじゃん。 かなた:ふふっ……大丈夫、ちゃんと寂しいよ、私も。 はるか:……ほんと? かなた:……どうでしょう? はるか:はー? だるい、うざい、きもい! かなた:あはは、ごめんごめん。……まぁ、寂しくなきゃ、電話なんてしないって。 はるか:……それはそう、か。 かなた:はい、そうです。 はるか:えへへっ。 かなた:ふふふっ。 はるか:……よし、じゃあそろそろ良いよ。 かなた:うん、じゃあまた何かあったら連絡するね。 はるか:うん、うん……はぁい、じゃあね。 かなた:はーい、ありがとう、バイバイ。 はるか:……はぁ、お母さん、思ったより元気で悔しいなぁ。娘が一人暮らししてるってのにー、もうちょっと寂しがってくれても良いじゃん。 かなた:……さて、軽くホームシック解消出来たし、お父さんも何とかやってそうだし、良かった良かった。 はるか:……あーあ。 かなた:……ふぅ。 はるかM:シングルベッドの、ひとり暮らしの部屋に。 かなたM:真新しい、けれど、確かに生活感のある部屋に。 はるかM:春がやって来た。 かなたM:ここでは、はじめての季節を。 はるかM:窓から眺める。 かなた:……綺麗だなぁ。 はるかM:陽気の中、白い梅の花が風に揺れている。 かなたM:狭い庭に咲いていた、あの花よりも、ずっと伸び伸びとしている。 はるか:……やっぱり狭かったよねぇ、うちの庭。 かなたM:それでも、それが、かわいそうなんて思ったことは無かったけれど。 はるかM:たぶん、別々の幸せがあるんだって、ことなんだろうけど。 かなた:いっぱい日を浴びたほうが、良いんだろうな。 はるか:うん、比べちゃうなぁ、ちょっとだけ。 かなたM:だけど、あれくらい立派になってたら、家が壊れていたかもしれない。 はるかM:それに、小さめだったから、あの窓から眺めた時、ダイナミックに見えたんだろうな。 かなた:あーあ……思い出になってくなぁ。 はるか:……こんな感じなんだ、思い出になるって。 かなたM:もう、見ることのできない、白い梅を。 はるかM:あの可愛らしい木の、白い花を。 かなたM:もう、記憶の中でしか愛でられない。 はるか:……思い出すことしか、できないのかぁ。 かなたM:変わっていく。薄れていく。なくなっていく。 はるかM:少しずつ。ゆっくりと。それでも、確かに。 かなた:……ねえ、覚えてる? はるか:……もうそろそろ、誕生日だなぁ。 かなた:……どっちでも良いけどね。 はるか:まだ寒いかなぁ……夜だと。 かなた:あんたの時ほど寒くないと思うけど……もし来るなら、風邪引かないようにね。 はるか:うん、上着持ってこ……いつまで続けられるんだろうなぁ、これも。 かなた:……このひとりごとも、エモいんかね。 はるか:……ねぇ、おばあちゃんになるまで続けられるかな? かなた:……わかんないわ。 はるか:……うん、わかんないや。 かなたM:何もわからない。 はるかM:変わらないものなんて、中々ない。 かなたM:当たり前に、なくなるものは、なくなっていく。 はるかM:そして、戻らないものは、戻らない。 かなた:……でも、なくならないものも、あるか。 はるか:……なくさなければ、なくならないしね。 かなたM:季節が巡るように。気づいたら、何度も思い出している。 はるかM:家族で過ごした家のこと。もう戻らない日々のこと。 かなたM:エモい約束をした日のこと。 はるかM:二段ベッドがなくなった日のこと。 かなたM:部屋のドアが開くのを待った日のこと。 はるかM:冷たい体に触れた日のこと。 かなたM:……もう、会えなくなった日のこと。 はるかM:……また、会えた日のこと。 かなた:……思い出すよ、ずっと。 はるか:……忘れないよ、きっと。 かなた:私が一番……嫌だったんだから。 はるか:……ふふっ、私が一番……好きだったんだから。 かなた:……チョコレートケーキね。 はるか:……はいはい。