台本概要

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タイトル 鼻毛を束でひっこ抜くみたいな、恋をした
作者名 熊野むっち  (@mucchi_0908)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【声劇配信時の規約】
・配信時に作者名および作品名を記載
※上記一点のみ必ずご対応くだされば、作者への連絡は不要です。
(投げ銭の有無、有償無償に関わらず)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ノボル 35 時坂ノボル(ときさか・のぼる)
レイコ 36 三日月山レイコ(みかづきやま・れいこ)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
「鼻毛を束でひっこ抜くみたいな、恋をした」(作・ムッチ) レイコ:時坂君、こっちこっち! ノボル:レイコちゃん、待った? レイコ:ううん、私も今来たとこ。 ノボル:良かった~。 ノボル: ノボル:(M)僕の名前は時坂ノボル。 ノボル:今日は大好きなレイコちゃんとの初デート。 ノボル: ノボル:じゃあ、ご飯食べにいこっか? ノボル:レイコちゃん、何か食べたいものある? レイコ:うーん…(少し考えて)なんでもいい。 ノボル:そう?じゃあこの近くに美味いって評判のラーメン屋があるんだけど、そこにしない? レイコ:……。 ノボル:あ、もしかして…ラーメン系…苦手? レイコ:別に苦手って訳じゃないけど… ノボル:えーでも、レイコちゃんどこでも良いって言ったじゃん。 レイコ:女の子の「どこでもいい」は「あなたのセンスに任せる」って意味なの! レイコ:初デートでいきなりラーメン屋なんてセンスゼロ!私もう帰る! ノボル:あー!ちょ、ちょっと待って、レイコちゃん、レイコちゃーん! ノボル: ノボル:(M)と、ここで皆さん、僕がレイコちゃんに無残にフラれると思ったでしょう? ノボル:ところがそうはならないんです。実は僕にはみんなに内緒にしてる秘密の能力(ちから)があります。 ノボル: ノボル:僕は自分の肉体の痛みをトリガーに、時間を巻き戻す、不思議な力があるんです。 ノボル:いいですか?見ててください。試しに鼻毛を束で引っこ抜いてみますね。 ノボル:…せーの!(ブチッ!と一気に鼻毛を束で引っこ抜く)いだー!!!! レイコ:時坂君、こっちこっち! ノボル:アテテテ…(平静にもどって)レイコちゃん、待った? レイコ:ううん、私も今来たとこ。 ノボル:(M)と、まあこんな感じで。肉体に与えた痛みの大きさに比例して、時間を巻き戻す事が出来るんだ。 ノボル:じゃあ、ご飯食べにいこっか? ノボル:レイコちゃん、最近この辺りに雰囲気の良いイタリアンのお店が出来たらしいんだけど、そこでいいかな? レイコ:ノボル君、素敵! ノボル:(M)この能力があれば、些細な選択ミスも犯さない、完璧な男になれる。 ノボル:僕はこうやって、大学のミスキャンパスで、キー局の女子アナに就職が内定している、高嶺の花、レイコちゃんと恋人になる事が出来たんだ。 ノボル:レイコちゃんは、ほんのちょっとだけワガママ…じゃなかった、自己主張強めの女の子だけど、本当にイイ女と付き合うには男にもそれ相応の努力が必要だからね… レイコ:ノボル君、ご馳走様。このお店、内装とかもすごくオシャレで素敵だった~。 ノボル:そう?気に入ってくれて僕も嬉しいよ。 ノボル:(ボソっと)ほんとは僕の口の中は、完全にラーメンだったんだけどね。 レイコ:え?なんか言った? ノボル:(取り繕って)あー!いや!レイコちゃん!今日はこの後、映画でもどうかな? ノボル:ちょうど封切りになったばっかりのやつで見たい映画があるんだ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:ラブストーリーだよ!レイコちゃん、きっと喜ぶと思って! ノボル:「ハチミツ二郎とクロスバー」っていう、美大生の恋愛を描いた話なんだけど… レイコ:(急に不機嫌になり)あー、今は、そういう気分じゃないかな。 ノボル:え!?そうなの?やっちまったー! ノボル:だがしかし僕にはこの能力さえあれば…やあっ!(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:ホラー映画なんてどう?「貞子VS貞子の父、貞治」っていう福岡が舞台のホラー作品で… レイコ:(急に不機嫌になり)えーマジ?私ホラー苦手って前に言ったよね? ノボル:あー!そうだったそうだった!… ノボル:僕はどんな些細な選択ミスも許さないんだ…えいっ!(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:(あなたの一番好きな映画をアドリブで答えてください) レイコ:うわ…タイトル聞いただけでつまんなそう…無理。 ノボル:なんだよー!どの選択肢でもバッドエンドじゃん! ノボル:よーし、こうなったら…鼻毛を抜くのと同時に乳首もひねって…そいやっ!(鼻毛を抜きながら乳首をひねる)あいだだだだだだ!!!! 0:強めの痛みをトリガーに先ほどより少しだけ長めに時間が遡る。 レイコ:ノボル君、ご馳走様。このお店、内装とかもすごくオシャレで素敵だった~。 ノボル:うっし!さっきより長めに時間が巻き戻ったぞー!! ノボル:この能力さえあれば、僕に出来ない事はない!恋愛だけじゃない、就職だってなんだって、いや、僕なら起業しても必ず上手くいく。 ノボル:だいたい、少年マンガとかでも時間を操る系の能力がだいたい最強じゃん!?ラスボスじゃん!?最高にハイ!ってやつじゃん!? ノボル:あー、でも、相手も同じように時を操る能力があれば互角だな…。 ノボル:少年マンガじゃあるまいし、そんな訳ないかー!! レイコ:ねえ、ノボル君聞いてる? ノボル:(M)おっと、いけない。ついつい自分語りに夢中になって、自分の世界に浸ってしまっていた…。 ノボル:え?ああ!もちろん、ちゃんと聞いてたよ。 レイコ:本当?じゃあ何の話してたかちゃんと言える? ノボル:(M)あー、えっとね、それはその……ええい!面倒くさい!こういう時は時間を巻き戻すに限る! ノボル:えいっ!(ブチッ!と一気に鼻毛を束で引っこ抜く)あいだー!!!! レイコ:…でね、ナオのスマホで一緒に写真撮ると、あの子ワザと自分以外の女の子だけめちゃくちゃアプリで加工してインスタにあげるんだよー。 レイコ:自分だけ未加工っぽくなるように!…でもちゃっかり自分も自然っぽい加工してるんだけどね。ヤな感じでしょ? ノボル:うんうん。そりゃ感じ悪いねー。きっと周りにマウント取りたくて必死なんだよ、そいつ。 レイコ:でしょ~! ノボル:(独り言)こんな内容だったら、適当に相槌打ってやり過ごせば良かったな。わざわざ時間巻き戻す必要なかったじゃん…。 レイコ:え?また、なんか言った? ノボル:いやいや!なーんにも言ってないよ!それよりさ、レイコちゃん、これから海の見えるとこまで、ドライブに行かない? レイコ:やーん!ノボル君、素敵!! レイコ:ノボル君ってほんとに私の考えてる事なんでもわかるのね? ノボル:もちろんさ! ノボル:(独り言)ほんとは正解に辿り着くまで鼻毛何本も犠牲にしてるんだけどね… ノボル: ノボル:じゃあ車出してくるから、ここで待ってて! ノボル: ノボル:(M)やっぱり選択肢に困った時はドライブデートに限る。僕はそんな事を考えながら84回払いで購入した愛車のハンドルを握りしめた。 ノボル:84回払いって聞くと「長っ!」ってみんなは思うかもしれないけど、欲しいと思ってから84カ月も待つなんて僕には出来ない。僕は欲しい物はなんでも手に入れてきた。これからも、この時間を巻き戻す能力(ちから)さえあれば、僕は無敵だ! ノボル: ノボル:お待たせ!レイコちゃん!こっちこっちー! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:へ? ノボル: ノボル:レイコちゃんに夢中で、僕は進入禁止の標識を完全に見逃していた。 ノボル:一方通行の道路を逆走している事にようやく気付いた僕の目の前には大型トラックが。 ノボル: ノボル:うわあー!!このままじゃトラックと正面衝突しちゃう!! ノボル:そうだ!すぐに時間を巻き戻せば…(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:うわー!これじゃダメだ!ちょっとしか時間が戻ってない! ノボル:鼻毛と一緒に乳首も思いっきりひねって、と…アイダダダダダ!!!! ノボル: ノボル:あ、あれ?もう一方通行の道を走り始めてる!ダメだ!これじゃ全然間に合わない!! ノボル:クソッ!もう一回!…あれ?何度も鼻毛を抜きすぎたせいで、鼻毛なくなっちゃった!!うわあああー!! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! レイコ: レイコ:(M)私の名前は三日月山レイコ(みかづきやま・れいこ) レイコ:今日は大好きなノボル君との初デート。素敵なディナーを楽しんだあとは、彼の愛車で夜の海を眺めにドライブデート。彼は私が心で思った事を、なんでも叶えてくれる最高の彼氏。私も、そんな彼のためだったらなんでもしてあげたいって思ってるんだ。 ノボル:お待たせ!レイコちゃん!こっちこっちー! レイコ:車から私に向かって大きく手を振った彼は……間違って一方通行の車道を逆走し始めた。 レイコ:彼の車の正面に大型トラックが迫っている。 レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:うわあああー!!鼻毛がないー!!!! レイコ:(M)と、ここで皆さん、ノボル君がトラックと正面衝突して死んじゃうって思ったでしょう? レイコ:ところがそうはならないんです。実は私にはみんなに内緒にしてる秘密の能力(ちから)があります。 レイコ: レイコ:私は自分のアゴがしゃくれるのを代償に、時間を巻き戻す、不思議な力があるんです。 レイコ: レイコ:いつだって困った時は、ほんのちょっと自分のアゴがしゃくれてしまうのと引き換えに、人生をやり直しできるの。 レイコ:でも、ちょっと考えてみて? レイコ:私みたいな年頃の女の子が、アゴをしゃくれさせてまでやり直したい人生の選択なんて、そうそうない…。 レイコ:そう思って、今までこの能力を使う事はなかったけど、今がその時。 レイコ: レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)さあ、ノボル君が車に乗り込む前まで、一気に時間を巻き戻すわよー!! 0:(時間経過) レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)時坂君、こっちこっち! ノボル:レイコちゃん、待っ……! ノボル:君は……レイコちゃん……なのか……!? レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)わたしゅも、今来たときょ。 レイコ:ん?……どうしゅたの?ときゅしゃかきゅん? ノボル:レイコちゃん、なんか…急に雰囲気ガラリと変わったね。 レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)時坂君、私、今まで男の人に退屈な女って思われないように、わざとワガママに振舞って、相手を困らせたりしてたんだ。…だけど、時坂君と出会って、私、ようやく気付いたの。 レイコ:(すごいアゴをしゃくれさせながら喋る)いつでも私の気持ちを汲んで、どんな願いも叶えてくれる、そんなノボル君のためだったら、私も、素直な気持ちでいれるって!時坂くんのためだったら、私、ちょっとくらいシャクレてもいい!! レイコ:貴方だったら、私の見た目じゃなくて、私の心の中を見てくれるから!! レイコ:ノボル君!!私と…これからもずっと(一緒にいてください!!) ノボル:(遮って)ごめん無理!! レイコ:へ? ノボル:ごめん無理!!っていうかさっきの長セリフも後半何言ってるか全然わかんなかったし! ノボル:あと、気安くノボル君って呼ぶのもやめてくれよな! レイコ:あ…あ…… ノボル:えっと、僕、その…急用思い出したから、今日は帰るね!じゃっ! 0:ノボル、その場を立ち去る レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)しゃくれる前から、やり直したい。

「鼻毛を束でひっこ抜くみたいな、恋をした」(作・ムッチ) レイコ:時坂君、こっちこっち! ノボル:レイコちゃん、待った? レイコ:ううん、私も今来たとこ。 ノボル:良かった~。 ノボル: ノボル:(M)僕の名前は時坂ノボル。 ノボル:今日は大好きなレイコちゃんとの初デート。 ノボル: ノボル:じゃあ、ご飯食べにいこっか? ノボル:レイコちゃん、何か食べたいものある? レイコ:うーん…(少し考えて)なんでもいい。 ノボル:そう?じゃあこの近くに美味いって評判のラーメン屋があるんだけど、そこにしない? レイコ:……。 ノボル:あ、もしかして…ラーメン系…苦手? レイコ:別に苦手って訳じゃないけど… ノボル:えーでも、レイコちゃんどこでも良いって言ったじゃん。 レイコ:女の子の「どこでもいい」は「あなたのセンスに任せる」って意味なの! レイコ:初デートでいきなりラーメン屋なんてセンスゼロ!私もう帰る! ノボル:あー!ちょ、ちょっと待って、レイコちゃん、レイコちゃーん! ノボル: ノボル:(M)と、ここで皆さん、僕がレイコちゃんに無残にフラれると思ったでしょう? ノボル:ところがそうはならないんです。実は僕にはみんなに内緒にしてる秘密の能力(ちから)があります。 ノボル: ノボル:僕は自分の肉体の痛みをトリガーに、時間を巻き戻す、不思議な力があるんです。 ノボル:いいですか?見ててください。試しに鼻毛を束で引っこ抜いてみますね。 ノボル:…せーの!(ブチッ!と一気に鼻毛を束で引っこ抜く)いだー!!!! レイコ:時坂君、こっちこっち! ノボル:アテテテ…(平静にもどって)レイコちゃん、待った? レイコ:ううん、私も今来たとこ。 ノボル:(M)と、まあこんな感じで。肉体に与えた痛みの大きさに比例して、時間を巻き戻す事が出来るんだ。 ノボル:じゃあ、ご飯食べにいこっか? ノボル:レイコちゃん、最近この辺りに雰囲気の良いイタリアンのお店が出来たらしいんだけど、そこでいいかな? レイコ:ノボル君、素敵! ノボル:(M)この能力があれば、些細な選択ミスも犯さない、完璧な男になれる。 ノボル:僕はこうやって、大学のミスキャンパスで、キー局の女子アナに就職が内定している、高嶺の花、レイコちゃんと恋人になる事が出来たんだ。 ノボル:レイコちゃんは、ほんのちょっとだけワガママ…じゃなかった、自己主張強めの女の子だけど、本当にイイ女と付き合うには男にもそれ相応の努力が必要だからね… レイコ:ノボル君、ご馳走様。このお店、内装とかもすごくオシャレで素敵だった~。 ノボル:そう?気に入ってくれて僕も嬉しいよ。 ノボル:(ボソっと)ほんとは僕の口の中は、完全にラーメンだったんだけどね。 レイコ:え?なんか言った? ノボル:(取り繕って)あー!いや!レイコちゃん!今日はこの後、映画でもどうかな? ノボル:ちょうど封切りになったばっかりのやつで見たい映画があるんだ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:ラブストーリーだよ!レイコちゃん、きっと喜ぶと思って! ノボル:「ハチミツ二郎とクロスバー」っていう、美大生の恋愛を描いた話なんだけど… レイコ:(急に不機嫌になり)あー、今は、そういう気分じゃないかな。 ノボル:え!?そうなの?やっちまったー! ノボル:だがしかし僕にはこの能力さえあれば…やあっ!(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:ホラー映画なんてどう?「貞子VS貞子の父、貞治」っていう福岡が舞台のホラー作品で… レイコ:(急に不機嫌になり)えーマジ?私ホラー苦手って前に言ったよね? ノボル:あー!そうだったそうだった!… ノボル:僕はどんな些細な選択ミスも許さないんだ…えいっ!(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:へー、そなんだ。 レイコ:それって、どんなジャンルの映画なの? ノボル:(あなたの一番好きな映画をアドリブで答えてください) レイコ:うわ…タイトル聞いただけでつまんなそう…無理。 ノボル:なんだよー!どの選択肢でもバッドエンドじゃん! ノボル:よーし、こうなったら…鼻毛を抜くのと同時に乳首もひねって…そいやっ!(鼻毛を抜きながら乳首をひねる)あいだだだだだだ!!!! 0:強めの痛みをトリガーに先ほどより少しだけ長めに時間が遡る。 レイコ:ノボル君、ご馳走様。このお店、内装とかもすごくオシャレで素敵だった~。 ノボル:うっし!さっきより長めに時間が巻き戻ったぞー!! ノボル:この能力さえあれば、僕に出来ない事はない!恋愛だけじゃない、就職だってなんだって、いや、僕なら起業しても必ず上手くいく。 ノボル:だいたい、少年マンガとかでも時間を操る系の能力がだいたい最強じゃん!?ラスボスじゃん!?最高にハイ!ってやつじゃん!? ノボル:あー、でも、相手も同じように時を操る能力があれば互角だな…。 ノボル:少年マンガじゃあるまいし、そんな訳ないかー!! レイコ:ねえ、ノボル君聞いてる? ノボル:(M)おっと、いけない。ついつい自分語りに夢中になって、自分の世界に浸ってしまっていた…。 ノボル:え?ああ!もちろん、ちゃんと聞いてたよ。 レイコ:本当?じゃあ何の話してたかちゃんと言える? ノボル:(M)あー、えっとね、それはその……ええい!面倒くさい!こういう時は時間を巻き戻すに限る! ノボル:えいっ!(ブチッ!と一気に鼻毛を束で引っこ抜く)あいだー!!!! レイコ:…でね、ナオのスマホで一緒に写真撮ると、あの子ワザと自分以外の女の子だけめちゃくちゃアプリで加工してインスタにあげるんだよー。 レイコ:自分だけ未加工っぽくなるように!…でもちゃっかり自分も自然っぽい加工してるんだけどね。ヤな感じでしょ? ノボル:うんうん。そりゃ感じ悪いねー。きっと周りにマウント取りたくて必死なんだよ、そいつ。 レイコ:でしょ~! ノボル:(独り言)こんな内容だったら、適当に相槌打ってやり過ごせば良かったな。わざわざ時間巻き戻す必要なかったじゃん…。 レイコ:え?また、なんか言った? ノボル:いやいや!なーんにも言ってないよ!それよりさ、レイコちゃん、これから海の見えるとこまで、ドライブに行かない? レイコ:やーん!ノボル君、素敵!! レイコ:ノボル君ってほんとに私の考えてる事なんでもわかるのね? ノボル:もちろんさ! ノボル:(独り言)ほんとは正解に辿り着くまで鼻毛何本も犠牲にしてるんだけどね… ノボル: ノボル:じゃあ車出してくるから、ここで待ってて! ノボル: ノボル:(M)やっぱり選択肢に困った時はドライブデートに限る。僕はそんな事を考えながら84回払いで購入した愛車のハンドルを握りしめた。 ノボル:84回払いって聞くと「長っ!」ってみんなは思うかもしれないけど、欲しいと思ってから84カ月も待つなんて僕には出来ない。僕は欲しい物はなんでも手に入れてきた。これからも、この時間を巻き戻す能力(ちから)さえあれば、僕は無敵だ! ノボル: ノボル:お待たせ!レイコちゃん!こっちこっちー! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:へ? ノボル: ノボル:レイコちゃんに夢中で、僕は進入禁止の標識を完全に見逃していた。 ノボル:一方通行の道路を逆走している事にようやく気付いた僕の目の前には大型トラックが。 ノボル: ノボル:うわあー!!このままじゃトラックと正面衝突しちゃう!! ノボル:そうだ!すぐに時間を巻き戻せば…(鼻毛を抜く)いでっ! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:うわー!これじゃダメだ!ちょっとしか時間が戻ってない! ノボル:鼻毛と一緒に乳首も思いっきりひねって、と…アイダダダダダ!!!! ノボル: ノボル:あ、あれ?もう一方通行の道を走り始めてる!ダメだ!これじゃ全然間に合わない!! ノボル:クソッ!もう一回!…あれ?何度も鼻毛を抜きすぎたせいで、鼻毛なくなっちゃった!!うわあああー!! レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! レイコ: レイコ:(M)私の名前は三日月山レイコ(みかづきやま・れいこ) レイコ:今日は大好きなノボル君との初デート。素敵なディナーを楽しんだあとは、彼の愛車で夜の海を眺めにドライブデート。彼は私が心で思った事を、なんでも叶えてくれる最高の彼氏。私も、そんな彼のためだったらなんでもしてあげたいって思ってるんだ。 ノボル:お待たせ!レイコちゃん!こっちこっちー! レイコ:車から私に向かって大きく手を振った彼は……間違って一方通行の車道を逆走し始めた。 レイコ:彼の車の正面に大型トラックが迫っている。 レイコ:(何かに気付く)時坂君!危ないっ! ノボル:うわあああー!!鼻毛がないー!!!! レイコ:(M)と、ここで皆さん、ノボル君がトラックと正面衝突して死んじゃうって思ったでしょう? レイコ:ところがそうはならないんです。実は私にはみんなに内緒にしてる秘密の能力(ちから)があります。 レイコ: レイコ:私は自分のアゴがしゃくれるのを代償に、時間を巻き戻す、不思議な力があるんです。 レイコ: レイコ:いつだって困った時は、ほんのちょっと自分のアゴがしゃくれてしまうのと引き換えに、人生をやり直しできるの。 レイコ:でも、ちょっと考えてみて? レイコ:私みたいな年頃の女の子が、アゴをしゃくれさせてまでやり直したい人生の選択なんて、そうそうない…。 レイコ:そう思って、今までこの能力を使う事はなかったけど、今がその時。 レイコ: レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)さあ、ノボル君が車に乗り込む前まで、一気に時間を巻き戻すわよー!! 0:(時間経過) レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)時坂君、こっちこっち! ノボル:レイコちゃん、待っ……! ノボル:君は……レイコちゃん……なのか……!? レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)わたしゅも、今来たときょ。 レイコ:ん?……どうしゅたの?ときゅしゃかきゅん? ノボル:レイコちゃん、なんか…急に雰囲気ガラリと変わったね。 レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)時坂君、私、今まで男の人に退屈な女って思われないように、わざとワガママに振舞って、相手を困らせたりしてたんだ。…だけど、時坂君と出会って、私、ようやく気付いたの。 レイコ:(すごいアゴをしゃくれさせながら喋る)いつでも私の気持ちを汲んで、どんな願いも叶えてくれる、そんなノボル君のためだったら、私も、素直な気持ちでいれるって!時坂くんのためだったら、私、ちょっとくらいシャクレてもいい!! レイコ:貴方だったら、私の見た目じゃなくて、私の心の中を見てくれるから!! レイコ:ノボル君!!私と…これからもずっと(一緒にいてください!!) ノボル:(遮って)ごめん無理!! レイコ:へ? ノボル:ごめん無理!!っていうかさっきの長セリフも後半何言ってるか全然わかんなかったし! ノボル:あと、気安くノボル君って呼ぶのもやめてくれよな! レイコ:あ…あ…… ノボル:えっと、僕、その…急用思い出したから、今日は帰るね!じゃっ! 0:ノボル、その場を立ち去る レイコ:(アゴをしゃくれさせながら喋る)しゃくれる前から、やり直したい。