台本概要

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タイトル 涙のつかいかた
作者名 おちり補佐官  (@called_makki)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(男1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ラブストーリーを含むファンタジー。
男女不問です。

最愛の彼女の涙を用いて、絵の具を溶き、素晴らしい海の絵を描いた男の話です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
9 それまでは画家だった。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
 :   :  僕:いつの日だったか、 僕:泣いた君の流した涙を 僕:絵筆に染みいらせて、 僕:絵の具を溶いたんだ。 僕:とても青い色だった。 僕:けど、パレットのうえですぐに乾いた。 僕:そしたら、君も泣き止んでいた。  :  僕:青い絵の具がそのままになったから 僕:僕は海の絵を塗ることにした。 僕:今度は海水を 僕:たっぷり絵筆に染み込ませて。  :  僕:しょっぱい香りのする絵を飾った。 僕:穏やかな海の絵。 僕:絵のなかでも、 僕:波は、寄せては返した。  :  僕:けど急に、絵の海は氾濫して 僕:床に流れ出て、ベッドを沈めた。 僕:さながら海だった。 僕:僕の部屋はひとつの海底都市になった。  :  僕:遠くに見える海も大きく荒れていた。 僕:今まで穏やかだったのに、急に。 僕:打ち上がる高波は 僕:大粒の涙みたいに、 僕:かなしく豪快にふりかかる。  :  僕:それを見ていると、 僕:堪えられなくなって 僕:僕は彼女の元に向かった。  :  僕:彼女は泣いていた。 僕:  僕:わけを聞くと、 僕:僕が絵にばかり 僕:見惚れていたかららしい。 僕:僕もかなしくって泣いた。  :  僕:彼女の涙は足首のところまで来ていた。 僕:ぽたぽたと僕の涙もおちた。 僕:たまりにたまって、 僕:ドアも堪えられなくなって 僕:鉄砲水みたいに 僕:涙の川が外に勢いよく流れ始めた。 僕:  僕:途中で僕の絵をさらっていくのが見えた。 僕:そして、川は 僕:決して勢いの衰えることなく 僕:海へとまっすぐに向かった。 僕:  僕:僕と彼女は、 僕:流れていく絵を眺めていた。 僕:まだ彼女が泣いているんじゃないかと 僕:思って、僕は目を見つめた。  :  僕:泣き止んでいた。 僕:やがて僕の視線に気づくと、 僕:海は穏やかになり、 僕:ありとあらゆる災害は 僕:この世からなくなって、 僕:  僕:だから僕たちはキスをした。  :   :   :おわり。

 :   :  僕:いつの日だったか、 僕:泣いた君の流した涙を 僕:絵筆に染みいらせて、 僕:絵の具を溶いたんだ。 僕:とても青い色だった。 僕:けど、パレットのうえですぐに乾いた。 僕:そしたら、君も泣き止んでいた。  :  僕:青い絵の具がそのままになったから 僕:僕は海の絵を塗ることにした。 僕:今度は海水を 僕:たっぷり絵筆に染み込ませて。  :  僕:しょっぱい香りのする絵を飾った。 僕:穏やかな海の絵。 僕:絵のなかでも、 僕:波は、寄せては返した。  :  僕:けど急に、絵の海は氾濫して 僕:床に流れ出て、ベッドを沈めた。 僕:さながら海だった。 僕:僕の部屋はひとつの海底都市になった。  :  僕:遠くに見える海も大きく荒れていた。 僕:今まで穏やかだったのに、急に。 僕:打ち上がる高波は 僕:大粒の涙みたいに、 僕:かなしく豪快にふりかかる。  :  僕:それを見ていると、 僕:堪えられなくなって 僕:僕は彼女の元に向かった。  :  僕:彼女は泣いていた。 僕:  僕:わけを聞くと、 僕:僕が絵にばかり 僕:見惚れていたかららしい。 僕:僕もかなしくって泣いた。  :  僕:彼女の涙は足首のところまで来ていた。 僕:ぽたぽたと僕の涙もおちた。 僕:たまりにたまって、 僕:ドアも堪えられなくなって 僕:鉄砲水みたいに 僕:涙の川が外に勢いよく流れ始めた。 僕:  僕:途中で僕の絵をさらっていくのが見えた。 僕:そして、川は 僕:決して勢いの衰えることなく 僕:海へとまっすぐに向かった。 僕:  僕:僕と彼女は、 僕:流れていく絵を眺めていた。 僕:まだ彼女が泣いているんじゃないかと 僕:思って、僕は目を見つめた。  :  僕:泣き止んでいた。 僕:やがて僕の視線に気づくと、 僕:海は穏やかになり、 僕:ありとあらゆる災害は 僕:この世からなくなって、 僕:  僕:だから僕たちはキスをした。  :   :   :おわり。