台本概要
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タイトル | 異世界召喚 |
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作者名 | ハスキ (@e8E3z1ze9Yecxs2) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 5人用台本(男2、女2、不問1) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
女神様から、とある異世界を魔王の手から救って欲しいと頼まれ異世界に召喚された四人の男女。旅は順調に進んでいた、かに見えたが...ラストバトルに全ての謎が明かされる。異世界ファンタジーシナリオ。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
拓馬 | 男 | 109 | 男女不問。クラスはホーリーナイト。勇敢で皆のまとめ役。ゲームオタク。 |
武志 | 男 | 115 | 男女不問。クラスはバーバリアン。大雑把な性格だがムードメーカーでどこか憎めない奴。 |
茜 | 女 | 117 | 男女不問。クラスはブラックマジシャン。みんなのお姉さん的ポジション。毒舌で感が鋭い。 |
真理 | 女 | 115 | 男女不問。クラスはプリースト。自分に自信がなくおどおどしがち。でも仲間思いで芯の強さがある。 |
ポポ | 不問 | 94 | 男女不問。女神の案内役の精霊・魔王の手下・女神の兼役あり。演じる場合は...頑張れ! |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ーー澄み切った青空が広がり、近くを綺麗な小川が流れる草原の真ん中で顔を見合わせる四人の男女ーー
拓馬:え、えーと⋯
武志:お、おぉ⋯
茜:う、うん⋯
真理:うぅ⋯
武志:ん、どうした?
真理:ヒッ
武志:おいおい、そんな怯えることはないだろ⋯
茜:あんたの顔が怖すぎなんじゃないの?
武志:んな!これは元々だ!
茜:あら、それは失礼
拓馬:ま、まあまあ二人とも、とりあえず、落ち着こう?君も、大丈夫かい?
真理:あ、ありがとう⋯
――間
武志:⋯その、なんか⋯あれだな
茜:あれって、何よ⋯?
武志:あー、いや、なんでもない⋯
真理:⋯
拓馬:あ、あのさ、とりあえず、軽い自己紹介しない?
武志:自己紹介だ?
拓馬:うん、僕達パーティーになったのに名前も知らないと、今後不便かと思って
茜:うん、いいじゃない。私達、全然お互いの事知らない訳だし、ねぇ?
真理:う、うん、私もそれがいいと思う⋯
拓馬:ありがとう。じゃあ僕から。
拓馬:僕は⋯拓馬。女神様が言ってたそれぞれに与えられた職業、クラスっていうのは「ホーリーナイト」らしいね。
茜:私は茜って呼んでちょうだい。クラスは「ブラック・マジシャン」らしいわ
武志:俺は武志だ。そのクラス、とかいうやつは「バーバリアン」って書いてるな。てか、なんだこれ?
茜:あんた女神の話全然聞いてなかったでしょ?ステータス画面ってやつよ
真理:なんか⋯宙に浮いてるの、不思議⋯
拓馬:漫画とか小説ではよくある設定だね
武志:へー。拓馬って、オタクか?
茜:あんた⋯もうちょっと言い方無かったの?
拓馬:ははは、間違いないから平気だよ
真理:え、えと⋯。私は真理です。
拓馬:⋯
真理:ん⋯?拓馬くん、私の顔じっと見て、何かあったかな?
拓馬:え?あー、いや、なんでもないよ
真理:うん?あ、クラスは「プリースト」です
茜:プリーストって回復とか出来るやつだっけ?
拓馬:ゲームとかだとそうだね。
真理:よ、良かった⋯私、あんまり乱暴な事は苦手だから⋯
茜:いいわよ、そういう荒事は私達に任せてね。丁度そこに、野蛮人もいるし
武志:ん⋯?野蛮人って俺の事か!?
拓馬:う、うん、バーバリアンって直訳だとそういう意味になるね
武志:あのクソ女神~!今度会ったら許さねえ!
真理:プッ、ふふ
武志:お、やっと笑ったな
茜:そりゃいきなりこんな所に呼ばれたらビックリもするわよ
拓馬:うん。なんとか僕達の手で、この世界を救って、無事に元の世界に帰ろう!
茜:そうね
武志:だな
真理:う、うん!
拓馬:ハッ!真理!危ない!
真理:きゃあ!な、なに⋯!?
拓馬:ガルスライムだ!
茜:え?
武志:スライムだと!?
真理:じ、地面が溶けてる⋯
茜:なんだか分かんないけど、拓馬、あれはスライムなの?
拓馬:うん、あの地面を見てもらったら分かるように、敵で間違いないと思うよ
武志:お、おい!あんな危なそうなの、素手でどうしろってんだよ!
拓馬:あ、それは⋯
ポポ:中心の核を狙うッポ!
茜:え⋯?
武志:な、なんだこの毛玉?
真理:ふわふわで可愛い⋯
ポポ:そんなの気にしてないで、あいつと戦うっポ!倒し方は教えたっポ!
武志:なんかよくわからんが、倒し方分かっても武器なんて⋯
拓馬:茜、ブラック・マジシャンは初級スキルのファイヤ・アローがあるはずだ、それで真ん中の核を狙うんだ!
茜:えっ、スキル?え、えーと、あったこれね!でも、ど、どうやって撃つの!?
ポポ:使いたいスキルの名前を叫べばいいっポ!
茜:わ、分かったわよ!えーと、フ、「ファイヤ・アロー!!」
武志:っ!熱!火の矢か!?
茜:よっし!命中!
真理:あ、消えてく⋯
ポポ:良くやったポ!
拓馬:ナイスだ茜!スライムは無事に倒せたよ
真理:こ、怖かった~
茜:こ、これがスキルなのね。私って、中々才能あるんじゃない?
武志:おい、俺の前髪が少し焦げてるんだが?
拓馬:ははは⋯
真理:で、ポポちゃんはどこから来たの?
ポポ:ポ、ポポ!?
武志:こいつポポって名前なのか?
ポポ:違うっポ!
真理:私が今、考えたの
茜:可愛い名前じゃない
拓馬:君、名前はあるの?
ポポ:無いっポ!
真理:じゃあ、ポポちゃんでいいかな?
ポポ:う~ん、話が進まないし、とりあえずいいっポ!
真理:良かった⋯
茜:真理、変な所で頑固なのね⋯
拓馬:ポポ、さっきはアドバイスありがとう。どうして僕達を助けてくれたの?
ポポ:ポ!それは、女神様の使いで、君達をサポートするように言われてるからっポ!
武志:あの俺達の事をバカにした女神の使いだと?
茜:それはあんた限定だから。
武志:なお悪いわ!
真理:ポポちゃんは女神様からどんな事を頼まれてるの?
ポポ:ポ!君達を魔王の魂が眠ってる所まで案内するように言われてるっポ
武志:魔王?
茜:あんたほんとに女神の話まったく聞いてなかったのね。復活したらヤバイって言ってた魔王を倒すのが私達の目的なのよ?
武志:なるほど⋯よくわからんがその魔王の魂を完全復活する前にぶっ飛ばせばいいんだろ?
拓馬:まあ、簡単に言うとそういう事だね。
真理:でも⋯私達だけで勝てるのかな⋯?
ポポ:このまま魔王の場所まで行ったら確実に死ぬっポ
真理:えぇ⋯
ポポ:でも安心してっポ!ポポが道中安全なルートを教えたり、レベルが上がるお手伝いするから任せてっポ!
茜:さすが女神様の使いね、助かるわ
武志:俺はなんか気に入らないけどな
拓馬:それじゃ改めて。ポポ、僕らのパーティーにようこそ
真理:これからよろしくね、ポポちゃん
ポポ:ポ!みんなよろしくっポ!
――間
茜:ね、ねえ、まだ歩くの~?
拓馬:ポポの話ではもうすぐ街が見えてくるって言ってたよ
真理:あ、ポポちゃん、さっき私達を襲ってきたのって⋯
ポポ:ポ?あれはガルスライムって言って、今から行くガルの街の近くに出没する一般的なモンスターっポ
武志:あれが一般的って、とんでもない世界だな
ポポ:一応この辺じゃ一番弱いモンスターだけど、油断してると殺らるっポ
武志:茜がいなかったらヤバかったじゃん⋯
茜:私に感謝しなさいよ
武志:なんかムカつく!
真理:ははは⋯
ポポ:ポ!ガルの街が見えたっポ!
真理:大っきい街だね~
拓馬:とりあえず女神様から資金は十分もらってるみたいだからあそこの街で装備やアイテムを買って旅の支度をしよう
茜:それ賛成ー、あー、早くお風呂に入りたーい
武志:俺は美味い飯が食いてーなー
ポポ:ほら、あと少しだから頑張るっポー
――間
茜:は~気持ち良かった~!なかなか広くて気持ちいいお風呂だったね、真理
真理:そうだね茜ちゃん、石鹸も独特ないい匂いがして、お肌もツルツルになっちゃっうやつだったね
茜:真理、私より肌プルプルっじゃない、気にする必要あるー?うり、うり
真理:ちょ、茜ちゃん、く、くすぐったいよ~
武志:おい、なんか女共が急に仲良くなってないか?風呂がそんなにいいか?
拓馬:大事な事だよ。これからの事を考えると、少しでも休める時にしっかり休んでなきゃね
ポポ:そうっポ~、魔王の場所までは苦難の道のりになるっポ~
武志:おい、この飯を誰よりもバカみたいに食った後、腹を膨らませてのびてる毛玉、踏んずけていいか?
ポポ:ポ!動物虐待反対っポ!!
拓馬:あはは、ポポも色々街の案内とかで疲れただろうから許してやってよ
武志:命拾いしたな毛玉、拓馬に感謝しろよー
ポポ:全く、ほんと野蛮なやつっポ!
拓馬:でも、ポポの方にこそ感謝だね。女神様の使いなら旅も安心だから
ポポ:そうっポ、ポポがいれば君らが世界を救うのも楽勝っポ!
武志:やっぱなんか偉そうな毛玉だな。
――間
真理:ベッドもふかふかで気持ちいいよ~
茜:⋯
真理:茜ちゃん⋯?
茜:ん?あぁごめん、何だって?
真理:なにか難しい顔してたけど、どうかした?
茜:いや⋯ちょっと気になる事があったんだけど。
真理:気になる事⋯?
茜:うん、でもなんだったか思い出せないんだよねー
真理:うーん、何の事かなー?
茜:⋯たぶん、気のせいかな。よし!分かんないのは考えてもしょうがないし寝よ!
真理:そうだね、明日から忙しくなりそうだし
茜:あー、そうだね。皆で無事に元の世界に帰ろう
真理:うん!
――間
ポポ:ポ!前方からワーウルフが3匹来てるっポ!
茜:え!まだ森に入ったばかりよ!?
真理:に、逃げた方がいいかな?
ポポ:君らの力なら十分勝てる相手だから迎え討つっポ!
拓馬:分かったポポ!みんな、まずは僕に任せてくれ!
武志:お、おい!どうするんだ!?
拓馬:僕のスキルに「プロバ・ケーション」というのがある。それはモンスターの注意を一挙に引きつける事が出来るから、そこを武志と茜で叩いて欲しい!
茜:わ、分かったわ!
武志:よ、よーし、任せろ!
真理:拓馬くん!私はどうすればいい!?
拓馬:真理は目が良いから後方から全体を見て欲しい。他からモンスターが割り込んで来ないか、注意してて!
真理:え?あ、分かった!みんな気を付けてね!
ポポ:あいつらが二手に別れて動き出したっポ!
拓馬:よし、やるよ!「プロバ・ケーション!!」
茜:⋯
武志:おい、何ボサっとしてるんだ茜!拓馬にモンスターが殺到し始めたぞ!
茜:わ、分かってるわよ!
ポポ:拓馬大丈夫っポ!?
拓馬:ぐ、これぐらい⋯耐えて見せる!
真理:拓馬君!回復するわ!え、えーと⋯「ヒール・ライト!」
拓馬:っ!あ、ありがとう真理!
真理:よ、良かった⋯ちゃんとスキルが使えて⋯
拓馬:よし、今だ二人共!
茜:いくよ、「ファイヤー・ストームー!!」
ポポ:効いてる、効いてるっポ!!
茜:トドメは任せたわ!
武志:まっかせろー!うおぉぉ!「カイザー・ナックルー!!」
拓馬:くっ!す、すごい爆風だ!
真理:ど、どうなったかな⋯?
武志:⋯ふー。いっちょあがりだぜ
ポポ:ポ!ワーウルフ全部の消滅を確認したっポ!
茜:は~、なんとか無事に終わったわね
拓馬:うん、みんなのお陰で勝つ事が出来たよ
武志:何言ってんだ、拓馬がモンスターを引き付けてくれてたからだろ?
真理:うん、そうだよ、拓馬くんが盾になってみんなを守ってくれてたからだよ。それに比べて私は何も⋯
拓馬:そんな事ないよ、真理の回復のお陰で僕はモンスターにやられずに耐えきる事が出来たんだから。助かったよ、ありがとう真理
真理:うぇ!?そ、そう言って貰えたら⋯嬉しいな⋯
武志:なあ、俺達もナイスコンビネーションだったよな?
茜:え?あー、まあ、そうね。
武志:ふ、惚れてもいいんだぜ?
茜:はあ~?調子に乗るな!
武志:ぐはっ!イッテェーー!足踏む事はないだろ!
茜:気安く肩組んでくるからでしょうが!
真理:ふ、二人共、仲良くしよ~よ
拓馬:大丈夫だよ、ああ言ってるけど、二人共ほんとは仲良いから
真理:え、そうなの⋯?
武志:ん?お前、なんか体、光ってないか?
茜:何?今度はナンパ?
武志:いやほんとだって!
真理:あ、ほんとだ!私やみんなの体が同じように光ってる、これは何なの!?
ポポ:それはレベルアップだっポ
武志:レベルアップ?って、たしか最初に毛玉が言ってたやつか?
拓馬:うん、モンスターを倒して経験値を一定数集める事で、それぞれのクラスのレベルが上がる仕組みみたいだ
ポポ:その通りっポ!拓馬詳しいっポね?
拓馬:え?ああ、ゲームとかじゃよくある設定だからね
茜:へー、よくある設定ねー
拓馬:う、うん、あはは⋯、それより何か変わってないか、ステータス画面を見てみよう
真理:あ、新しいスキルが増えてるみたいだよ
武志:お、俺もだ!「ダブルアックスボンバー」だって、またカッコイイ名前のスキルだな!
茜:それは良かったわねー、野蛮人にはピッタリなスキルでー
武志:なんだよ!
茜:なによ!
真理:よし、拓馬くん、今度も回復は私に任せてね!
拓馬:うん、僕もみんなをしっかり守れるように頑張るよ
ポポ:ポポー!みんなこの調子でどんどん強くなって、早く魔王が眠ってる所にいくっポよー!
――間
武志:お、あれがポポの言ってた最果てにある遺跡、ダグラス遺跡か。
茜:ちょっと、まだこの辺の探索終わってないのに一人で先にズカズカ行かないでくれる?
武志:ん、あーそんな事か。大丈夫だって、俺の強さはお前もよく知ってるだろ?この辺のザコなんて余裕で蹴散らしてやるよ
拓馬:ふー、やっと追いついたよ。確かに、武志はここまでの旅で信じられないくらい強くなったよね
真理:はあ、はあ⋯この辺のモンスターは居ないみたいだよ
拓馬:ありがとう真理。大丈夫か?
真理:み、みんな相変わらず足が早いんだもん⋯
茜:真理も随分強くなったけど、足のスピードだけはレベルアップしなかったわね
真理:もー、茜ちゃんの意地悪~
ポポ:むにゃむにゃっポ⋯
武志:おい、起きろ毛玉!いつまで俺の頭の上で寝てるんだよ!
ポポ:ハッポ!ポポはどこ!?ここはだーれっポ!?
真理:あ、ポポちゃんも起きたみたいだね。おはようポポちゃん
ポポ:ん?おはようっポ!
拓馬:おはようポポ、ついに僕達の目指してた遺跡、ダグラス遺跡に到着したよ
ポポ:ポ!ほんとだっポ!あれこそ魔王が眠る場所ダグラスっポ!よく今まで頑張ったっポ~!
茜:ほんと、長かったわね⋯。
真理:私達、ついにこれで帰るんだね
。
武志:おー、さっさとその魔王ってのぶっ飛ばして、この世界を救ってやろうぜ
拓馬:よし、みんなあと少しだ、無事に元の世界に帰るんだ
ポポ:中の道案内はポポに任すっぽ!ポポに着いて来るっポ~!
茜:⋯
武志:ん?どうしたんだ難しい顔して。トイレか?
茜:阿呆!⋯何か嫌な予感がするのよ
武志:あん?そりゃこんな場所なんだから当たり前だろ?
茜:違う⋯私のこの嫌な感じは、「旅の最初から」ずっと感じてたやつなの⋯
武志:え?それはどういう⋯
真理:二人共~先行くよ~?
武志:おー!。ほら、とにかく行くぞ?
茜:う、うん⋯
――間
拓馬:あ、あれが⋯
真理:ポポちゃん、あれが言ってた魔王の封印なの?
ポポ:そうっポ!今まさにあの中で魔王が眠ってるっポ!
武志:じゃああれをぶっ壊しちまえばもう魔王を完全に消滅させれるって事か?
ポポ:ポ!そう⋯
拓馬:違うよ、あれを壊しては駄目だ。魔王を完全に消滅させるにはあの封印に真理の最上級の浄化の魔法をかけないといけないんだ
ポポ:ポ!?
真理:わ、私⋯?
拓馬:そうだ。お願いするよ
茜:⋯ポポちゃん、それはほんとなの?
ポポ:それは違うっポ!
拓馬:っ!
ポポ:そんな事をすれば封印が解けて、魔王がかつての力を取り戻し復活してしまうっポ!
武志:な、どういう事だ⋯?拓馬と言ってる事が違うじゃねえか?
真理:な、何が起こってるの拓馬くん?
茜:真理、拓馬から離れて
真理:え?茜ちゃん⋯?
茜:最初からあった嫌な感じがあったの⋯それが最初何なのか分からなかったわ。
拓馬:⋯
茜:でもやっと分かったわ⋯。
茜:拓馬、あなた魔王の手下なんでしょ?
真理:っ!
武志:なっ!んな馬鹿な!?
茜:みんな、最初の戦闘を覚えてる?
真理:さ、最初⋯って、私がスライムに襲われそうになった時⋯?
武志:おい茜、いったい何の話をしてるんだ!
茜:いいから聞いて!思い出して、その時、拓馬がなんて言ったか。
真理:たしか⋯「ガルスライムだ」って⋯っ!ま、まさか!そ、そんな⋯
茜:そう、今考えたら変なのよ。あの時私達はこの世界に来たばかり。アレが、「ガルスライム」だなんて、分かるはずがないのよ
武志:そ、それは、拓馬はオタクだったし、ゲームとかのモンスターに詳しかったからじゃねえのか?
真理:そ、そうだよ。
茜:確かに、そう考える事も出来そうだけど、それも無理があるわ
真理:え⋯?
茜:ガルスライムは種族じゃなくて、ガルの街周辺に出没する所から付いた名前よ、おかしくない?あの時私達はまだ街の名前も知らなかったのよ?
拓馬:くっ⋯
武志:拓馬⋯嘘だろ⋯?
真理:な、何かの間違い、だよね⋯?
ポポ:拓馬は魔王の手下だったっポ!?
拓馬:そ、それは違う!
茜:じゃあ魔王の手下じゃないって言うなら、何者なのよ⋯?
拓馬:そ、それは⋯
真理:拓馬、くん⋯?
拓馬:それは⋯言えない⋯
茜:はあ⋯これで決まりね。
拓馬:でもみんな信じて欲しい!僕の言うやり方じゃないと、魔王を完全に消滅させる事は出来ないんだ!
茜:今思い返しても、やけに戦い慣れしてるみたいだったし、ただのゲームオタクじゃ説明つかない事ばかりね
武志:俺たちは今までずっと騙されたって事かよ。こんな奴を良い奴だと思ってた自分をぶん殴ってやりたいぜ
真理:ちょ、ちょっとみんな⋯?
ポポ:危ないから真理もそいつから離れるっポ!
拓馬:く⋯
茜:まったく、危ない所だったわね。こいつの罠で、危うく魔王を復活させちゃう所だったわ。
武志:だな。茜が早く気がついてくれて良かったぜ。
真理:わ、私はどうすれば⋯
茜:とりあえず、私達がやる事は変わらないわ。武志、あの封印を破壊するわよ。
武志:ふん、言われなくともやってやるぜ。今めちゃくちゃ腹立ってるからな!
拓馬:ま、待ってくれ二人共!
茜:穿(うが)て!アルティメット・フレアーー!!!
武志:弾けろや!メガトン・プロミネンス・ラリアットー!!
拓馬:くそっ!
真理:拓馬くん!?
拓馬:鉄壁の障壁よ!「プラスティックシールド!!」
ポポ:ポポー!と、飛ばさるポー!
武志:なっ!?
茜:⋯やっぱり、邪魔してくるってわけね?
拓馬:はぁ、はぁ、当たり前だろう⋯
武志:拓馬⋯お前、ほんとにそっち側なんだな⋯
真理:っ!拓馬くんが傷だらけに、は、早く回復しないと!
ポポ:真理、危ないから行っちゃだめポ!
真理:でも!わ、私は拓馬くんが悪者だなんて、まだ思えないの!
ポポ:⋯まったく、いい所なんだから、邪魔しちゃだめっポ。
真理:え⋯?
――間
武志:どかねえって言うなら、お前ごと破壊しする事になるぞ⋯いいのか?
拓馬:はぁ、はぁ、どかない⋯僕は⋯君たちを、守るんだ⋯
武志:まだそんな意味の分からない事を⋯
茜:待って武志、こいつが魔王の手下なら、まだ何か奥の手を持ってるかもしれないから慎重に⋯
真理:きゃあーー!!
拓馬:っ!
茜:え?真理の悲鳴!?
武志:な、なんだ!あの黒い鎖は!?
茜:真理!拓馬、あんたがなんかやったの!?
拓馬:違う、俺じゃない!
真理:み、みんな⋯拓馬じゃない⋯本当の悪者は⋯
ポポ:あれー、どうしたのかなー?みんな、不思議そうな顔して~?
茜:う、嘘⋯
武志:え?ポポが⋯なんでだ⋯?
真理:ポポちゃん⋯どうして⋯
ポポ:どうして、だって?フフフ
拓馬:やはり、君が魔王の手下だったのか⋯
ポポ:アハハハハー!!今頃分かったのかい?おっそいよ~~!もうおそおそだよ~~。
真理:ポポちゃん⋯なんで⋯
ポポ:ポポ?ハッ、気安く変な名で呼ばないでもらえるかな?私には魔王様から頂いた、ボイコーネという名前があるんだからね
武志:このヤロッ!!
茜:やるわよ武志!
ポポ:「バインドチェーン」
武志:ぐっ!
茜:うっ!
拓馬:武志!茜!
武志:なんだ、この⋯力は⋯
茜:魔法が⋯使えないわ⋯
ポポ:う~ん、素晴らしい。魔王様の魔力が充満しているこの場所なら、私の様な者でも魔王様のお力の一端を分けて頂ける、実に素晴らしい!
拓馬:ポポ⋯いや、ボイコーネ!みんなを解放するんだ!
ポポ:あー?本か何かを見すぎじゃないか?現実にそれで解放する馬鹿はいないのさー!
拓馬:く⋯早く僕が気がついていれば⋯
武志:すまん、拓馬、お前を信じてやる事が出来ずに⋯
茜:私もドヤ顔で盛大に的外した推理してるんだから⋯ごめんね、拓馬⋯
真理:武志くん、茜ちゃん⋯
拓馬:いや、隠し事をしていたのはほんとなんだから、みんなは悪くないよ⋯
ポポ:さて、別れの挨拶は終わった?終わったかな~?律儀に待ってあげる私ってやっさし~
武志:お前!これが解けたら絶対一発ぶん殴ってやるからな!
ポポ:おー、威勢だけはさすが野蛮人だねー。ま、その力は私じゃなく、仲間に使ってもらおーかな~?
武志:あ?何を言って⋯うぐ!
拓馬:武志!
茜:ちょ、武志!?ちょっとあんた、武志に何をしたの!
ポポ:何って、身体の動きを支配させてもらっただけだよ?
拓馬:何!?
武志:ぐ⋯身体が勝手に⋯
真理:武志くん!武志くんに何をさせる気なの!?
ポポ:もちろん、魔王様を復活させてもらうのさ。
真理:な、なんて事を⋯っ!う、動け!
ポポ:アハハハハ、無理無理、君らにはこの魔法は解除出来ないよ。直接身体を縛り付けて操る魔法だからね、生きてる限り、抜け出す事は不可能だよ!
茜:わ、私も、勝手に魔法が!?
拓馬:茜!やめろボイコーネ!
ポポ:呼んだかーい?止めせさたいならどうぞご自由に。まあ動けたら、の話だけどね~
真理:駄目⋯力が入らない⋯
ポポ:よいしょっと。それじゃ、あの二人が魔王様を復活させる瞬間をこの君の頭の上から見させてもらうよ。
拓馬:く⋯悪趣味な⋯
ポポ:いやーなんとも素晴らしい特等席だねーアハハハハ!
武志:くそ!止まれ!止まりやがれ~!
茜:だ、駄目⋯もう、魔法が、発動しちゃう⋯
真理:もう⋯どうにもならないの⋯?
ポポ:アハハハハ!いいぞー!さあやるんだ!お前達の鍛え上げた力で、魔王様を復活させるのだーー!!
拓馬:させないよ
ポポ:へ?
拓馬:「ホーリースクライド!!」
ポポ:ガハッ!!?
真理:拓馬くん!?
ポポ:ば、馬鹿な⋯なぜ⋯動ける⋯?
武志:う、動きが止まった!
茜:私もよ!いったい何が起こってるの!?
拓馬:今だ真理!最上級の浄化魔法を放てー!!
ポポ:っ!や、やめろー!!
真理:っ!任せて!「ハイ・プリフィ・ケーション!!」
武志:お!封印してたもんが砂に変わっていったぞ!
茜:やったー!ナイス真理!
ポポ:馬鹿な⋯わ、私の拘束魔法は完璧だったはず⋯っ!⋯そ、そうか⋯お前、最初から⋯
拓馬:⋯
ポポ:は、はは⋯なんて事だ⋯こいつ⋯まだ⋯隠している事があった⋯なんて⋯
真理:え⋯?どういう事⋯?
拓馬:お前が油断して、僕に近づいてくれて良かったよ。
ポポ:最後の最後で⋯すみません⋯魔王様⋯あなたに、もう一度お会い⋯した⋯
茜:き、消えた⋯?
武志:お?か、身体も自由になったみたいだぞ!
真理:よ、良かったー⋯あ!拓馬くんの治療しなきゃ!
武志:拓馬!傷は大丈夫か!
茜:ごめんね疑ったりして!
拓馬:だ、大丈夫だよみんな⋯これで⋯この世界は救われるんだ⋯
茜:拓馬!しっかりしなさい!真理、回復はまだなの!?
真理:さっきからずっとやってるよ!でも、全然回復しないよ!
武志:ど、どういう事だそりゃ!?
拓馬:いいんだ⋯僕には回復はもう効かないし、必要無いから⋯
真理:え!?あれだけ酷かった拓馬くんの傷が⋯消えてる⋯?
ポポ:それは私から説明させてもらいます
真理:え!?
武志:なっ!
茜:まだ生きてたの!?
拓馬:みんな待って!
ポポ:⋯
拓馬:女神様⋯ですね?
ポポ:⋯そうです。やっと貴方たちの前に現れる事が出来ました
真理:偽物だったポポちゃんが女神様?ど、どういう事?
ポポ:すみません。貴方がたには大変申し訳ない事をしました。
茜:私達に?何か女神様との事って⋯あれ、そう言えば女神様と話した時の事って⋯
武志:え、あれだろ?俺達四人が集まって話を聞いて⋯あれ?そういえば何かその変の記憶が曖昧だな
真理:私も⋯たしかこの世界を救うように頼まれて⋯ううん、駄目、ちゃんと思い出せない。
茜:いつも通りの武志はともかく私や真理も一緒に記憶が抜けてるのは変よ。
ポポ:実は貴方がたをこちらに送り出した後、魔王の介入がありました。魔王は貴方がたの記憶に干渉し、記憶の一部を欠落させてしまうという事態が起きました。
拓馬:それが、魔王の消滅させ方と、僕達に関係する記憶⋯
ポポ:そうです。まさか私が用意していた案内役の精霊のコントロールまで乗っ取られてしまうとは⋯女神失格です。
武志:まあまあ女神さん、無事に魔王を倒した事だし問題ないぜ。それより早く拓馬を助けてやってくれないか?
茜:そうです!どういう訳か真理の回復魔法も効かないみたいで⋯
真理:女神様!お願いします!私の力ではどうしようもないんです。拓馬を、拓馬を助けて下さい!
茜:ちょっと待って、今、拓馬は私達の関係する記憶もって言った?
拓馬:⋯うん、言ったよ。
真理:待って、私達、今回会うのは初めて、だよね⋯?
ポポ:⋯遅くなりましたが、今から、魔王がかけた精神系の魔法を解除します。「ゴッデス・カーテン!」
茜:う、眩しい⋯
武志:な、なんだ⋯?頭が⋯なんかスッキリと⋯
真理:っ!全部⋯思い出した!茜ちゃん、武志くん!私達ずっと友達だった⋯なんで、こんな大事な事を⋯
茜:嘘⋯こんな事って、あるの?
真理:⋯
ポポ:それが恐ろしい、魔王の力なのです。
武志:ちょっと待て、茜や真理の事は思い出せだが⋯結局お前は誰なんだ?
茜:そうよ、私達のグループにあんたなんていなかったじゃない?⋯あれ?拓馬⋯?
真理:⋯あの、拓馬くんなの⋯?
拓馬:真理⋯そうだよ。
武志:え?え?ちょっと待て、拓馬なんてそんなやつ他に、小さい時に居たあいつしか⋯え⋯?
茜:嘘⋯そんなはず⋯
武志:まじか!超久しぶりじゃねえかー!たしか、海外に引越ししたんだっけ、元気だったか?
拓馬:ああ、久しぶり、武志こそ相変わらず元気そうで何よりだよ
武志:いやー、まさか異世界で昔の幼なじみに会えるとは思わなかったな。
拓馬:うん、そうだね。武志はあれからどうしてたの?
武志:ん?俺か?俺は変わらず馬鹿だったがなんとか無事高校まで行けてな
茜:私が勉強手伝ったからでしょ。それでもギリギリだったくせに
武志:そ、そんな事もあったな。で、俺と茜は同じ高校入ってな。
拓馬:その様子だと、無事二人はお付き合い出来たみたいだね。
武志:お、おお。なんかお前に言うの恥ずかしいけど、今は茜と付き合ってるよ。
茜:なーに恥ずかしがってんだか。
武志:そ、そんでな、真理はたしかお嬢様学校の高校行ったんだよな?そんなとこ入ったら彼氏も作れねえぞって言ってやったんだよ。
茜:ちょ、馬鹿、真理は拓馬の事が⋯
真理:あ、茜ちゃん!!な、何を言おうとしてるのかなー!?
武志:ん?どういう事だ?
拓馬:ははは、ほんとみんな相変わらずで嬉しいよ。
武志:しかし、それなら最初に会った時に言ってくれれば良かったのによ。今まで連絡も無しでどうしてたんだ?
拓馬:それは⋯
茜:⋯
真理:⋯
武志:ん?あれ?俺、なんか聞いちゃいけない事聞いたか?
ポポ:皆さん記憶が戻ったようなので改めて私から説明させてもらいます。
武志:女神様⋯?
ポポ:これを言うのは心苦しいですが⋯拓馬さんは、もう死んでいます。
真理:⋯
茜:っ!やっぱり⋯
武志:え、え?ま、待って下さい、拓馬が⋯死んでる?
ポポ:はい。
武志:いや、おかしいでしょ!?こんなにピンピンしてるのに?
茜:間違いないわ。その証拠に、さっきの戦いで、拓馬に拘束魔法が効かなかった理由に説明がつくわ
真理:生きている限り、解くことが出来ない魔法⋯
拓馬:そうだよ。だから僕にはあの魔法は効かなかったんだ。
武志:嘘⋯だろ⋯?だって拓馬は海外に引越したって⋯
茜:ごめん武志、実は私と真理は拓馬が死んでるじゃないかって、知ってたの⋯
武志:は?知ってたって、どういう事だ?
真理:ごめん武志くん⋯私が茜ちゃんに黙っててもらうように言ったの⋯
茜:実はあの時、教室で先生が拓馬が急に引越ししたって言ったあの時に、何かおかしいって真理から相談受けてたの。
真理:うん⋯どうしても、拓馬くんが私達に何も言わずに引越しなんて、するはずないって思って⋯
茜:二人でネットニュースとか調べてたら、ちょうどあの時期に海外の飛行機墜落事故のニュースが見つかって、その中の日本人の名前に⋯拓馬の名前があったのよ⋯
真理:私⋯信じられなくて⋯違う、信じたくなかった、だから⋯
武志:拓馬が引越ししたままにしてたのか⋯
茜:真理は悪くないわ、私も武志には黙っとこうって提案したから。
武志:⋯二人とも、辛かったんだな。
ポポ:本来亡くなった魂はすぐに次の新たな命へと転生を果たしますが⋯拓馬さんの魂は余程未練があったようで、現世に留まっていたようです。
真理:拓馬くん⋯
ポポ:そんな時、こちらの世界に危機が迫る事態が起きてしまいました。
茜:それが、魔王復活⋯
ポポ:その通りです。そこで貴方がたの世界から救世主としてこの世界に送り込む事にしました。
武志:それが、俺達⋯
ポポ:そうです。私には直接この世界に干渉出来ないルールがあります。しかし他の世界から召喚した者であれば、私の代行してもらう形で世界を救う事が出来るのです。
真理:女神様にもそんな事情があったんですね⋯
ポポ:そこで私は送る人物を探しました。そして、偶然にも私の力と相性の良かった武志、茜、真理、貴方たち三人を選んだのです。
茜:え?私達三人だけ?じゃあ⋯拓馬は⋯
拓馬:それは僕がお願いしたんだ。
武志:え、拓馬が?
拓馬:うん、小さい時話した、あの僕の夢覚えてるかな?
武志:拓馬の夢⋯あ!もしかして!
真理:「いつかみんなで、魔王退治をするような冒険しよう」、って⋯
茜:ゲーム好きだった拓馬がやけに目を輝かせて熱く語ってた、あの夢⋯
拓馬:良かった、みんな覚えててくれたんだね。
ポポ:その拓馬さんの心からの願いを聞き、私は考えた末に拓馬さんも一緒に異世界に送るようにしたのです。混乱を避ける為に拓馬さんからは皆さんに内緒にするよう言われてましたが。
拓馬:ありがとうございます。女神様のおかげで、僕のずっと憧れてた、みんなと冒険をする夢が叶いました。
武志:な、なんだよ⋯そんな、早く言えよ⋯
茜:みんな記憶無かったんだから無理言わないの。でも、そっか⋯私達、冒険出来てたのね。
真理:なんかすっかり大人になってたから、拓馬くんと気がつくのに遅くなっちゃったけど⋯やっぱり拓馬くんは拓馬くんだった。
拓馬:真理⋯
真理:私が大好きな、拓馬くんだ。
拓馬:真理!
真理:拓馬くん!
武志:おーおー、見せつけてくれるねーお二人さん。
茜:馬鹿、久しぶりの再会なんだからそっとしといてあげなさい。
武志:俺達も祝いのハグしとくか?
茜:バーカ。
ポポ:時間ですね。
拓馬:っ!
真理:え!身体が光出した!?
武志:ほ、ほんとだ!俺も光ってるぜ!どうだ、俺、いつもよりカッコイイか?
茜:馬鹿!こんな時にふざけてる場合じゃないわよ!女神様、これなんなんですか!?
ポポ:この世界は貴方がたの力で救われ、平和になりました。そして貴方がたはこれより元の世界に戻るのです。
武志:な、なんだって!?もうなのか!
茜:ちょっと待って下さい!せっかく私達久しぶりに再会出来たんです!そんな事って。
真理:拓馬くんは⋯拓馬くんはどうなるんですか!?
ポポ:⋯残念ながら、一緒に元の世界に帰る事は出来ません。
真理:そ、そんな⋯
拓馬:真理、いいんだ。
真理:拓馬くん⋯
拓馬:短い間だったけど、僕はみんなと夢だった冒険も出来た⋯悔いはないよ。
真理:っ!⋯もっと、一緒にいたかったよ⋯
武志:くっ⋯
茜:真理⋯
拓馬:ありがとう⋯真理。僕の分まで、元気に長生きしてね⋯。
真理:私!絶対、忘れないから!拓馬、私は今でもずっと拓馬が⋯!
――間
ポポ:⋯行ってしまいしたね。
拓馬:そう、ですね⋯。
ポポ:ほんとに、良かったんですか?
拓馬:⋯
ポポ:この世界を救って頂いたお礼として、貴方が望めば元の世界に復活させる事も可能なんですよ?
拓馬:⋯いいんです。あの三人には三人の人生がある。僕には歩めなかったそれぞれが過ごしてきた人生が。
ポポ:⋯
拓馬:僕にはもう両親も居ないし、今さらいきなり蘇った所で、トラブルの種にしかならないと思います。なので、いいんです。
ポポ:⋯そう、ですか。
ポポ:では、希望通り、このままこの世界に転生し直すようにしますね。
拓馬:はい、よろしくお願いします。
ポポ:それでは、拓馬、新たなる世界の、次なる人生に、祝福を⋯
拓馬:ありがとうみんな⋯僕はみんなと冒険した、この世界で、しっかり生き抜いてみせるから。
おわり
ーー澄み切った青空が広がり、近くを綺麗な小川が流れる草原の真ん中で顔を見合わせる四人の男女ーー
拓馬:え、えーと⋯
武志:お、おぉ⋯
茜:う、うん⋯
真理:うぅ⋯
武志:ん、どうした?
真理:ヒッ
武志:おいおい、そんな怯えることはないだろ⋯
茜:あんたの顔が怖すぎなんじゃないの?
武志:んな!これは元々だ!
茜:あら、それは失礼
拓馬:ま、まあまあ二人とも、とりあえず、落ち着こう?君も、大丈夫かい?
真理:あ、ありがとう⋯
――間
武志:⋯その、なんか⋯あれだな
茜:あれって、何よ⋯?
武志:あー、いや、なんでもない⋯
真理:⋯
拓馬:あ、あのさ、とりあえず、軽い自己紹介しない?
武志:自己紹介だ?
拓馬:うん、僕達パーティーになったのに名前も知らないと、今後不便かと思って
茜:うん、いいじゃない。私達、全然お互いの事知らない訳だし、ねぇ?
真理:う、うん、私もそれがいいと思う⋯
拓馬:ありがとう。じゃあ僕から。
拓馬:僕は⋯拓馬。女神様が言ってたそれぞれに与えられた職業、クラスっていうのは「ホーリーナイト」らしいね。
茜:私は茜って呼んでちょうだい。クラスは「ブラック・マジシャン」らしいわ
武志:俺は武志だ。そのクラス、とかいうやつは「バーバリアン」って書いてるな。てか、なんだこれ?
茜:あんた女神の話全然聞いてなかったでしょ?ステータス画面ってやつよ
真理:なんか⋯宙に浮いてるの、不思議⋯
拓馬:漫画とか小説ではよくある設定だね
武志:へー。拓馬って、オタクか?
茜:あんた⋯もうちょっと言い方無かったの?
拓馬:ははは、間違いないから平気だよ
真理:え、えと⋯。私は真理です。
拓馬:⋯
真理:ん⋯?拓馬くん、私の顔じっと見て、何かあったかな?
拓馬:え?あー、いや、なんでもないよ
真理:うん?あ、クラスは「プリースト」です
茜:プリーストって回復とか出来るやつだっけ?
拓馬:ゲームとかだとそうだね。
真理:よ、良かった⋯私、あんまり乱暴な事は苦手だから⋯
茜:いいわよ、そういう荒事は私達に任せてね。丁度そこに、野蛮人もいるし
武志:ん⋯?野蛮人って俺の事か!?
拓馬:う、うん、バーバリアンって直訳だとそういう意味になるね
武志:あのクソ女神~!今度会ったら許さねえ!
真理:プッ、ふふ
武志:お、やっと笑ったな
茜:そりゃいきなりこんな所に呼ばれたらビックリもするわよ
拓馬:うん。なんとか僕達の手で、この世界を救って、無事に元の世界に帰ろう!
茜:そうね
武志:だな
真理:う、うん!
拓馬:ハッ!真理!危ない!
真理:きゃあ!な、なに⋯!?
拓馬:ガルスライムだ!
茜:え?
武志:スライムだと!?
真理:じ、地面が溶けてる⋯
茜:なんだか分かんないけど、拓馬、あれはスライムなの?
拓馬:うん、あの地面を見てもらったら分かるように、敵で間違いないと思うよ
武志:お、おい!あんな危なそうなの、素手でどうしろってんだよ!
拓馬:あ、それは⋯
ポポ:中心の核を狙うッポ!
茜:え⋯?
武志:な、なんだこの毛玉?
真理:ふわふわで可愛い⋯
ポポ:そんなの気にしてないで、あいつと戦うっポ!倒し方は教えたっポ!
武志:なんかよくわからんが、倒し方分かっても武器なんて⋯
拓馬:茜、ブラック・マジシャンは初級スキルのファイヤ・アローがあるはずだ、それで真ん中の核を狙うんだ!
茜:えっ、スキル?え、えーと、あったこれね!でも、ど、どうやって撃つの!?
ポポ:使いたいスキルの名前を叫べばいいっポ!
茜:わ、分かったわよ!えーと、フ、「ファイヤ・アロー!!」
武志:っ!熱!火の矢か!?
茜:よっし!命中!
真理:あ、消えてく⋯
ポポ:良くやったポ!
拓馬:ナイスだ茜!スライムは無事に倒せたよ
真理:こ、怖かった~
茜:こ、これがスキルなのね。私って、中々才能あるんじゃない?
武志:おい、俺の前髪が少し焦げてるんだが?
拓馬:ははは⋯
真理:で、ポポちゃんはどこから来たの?
ポポ:ポ、ポポ!?
武志:こいつポポって名前なのか?
ポポ:違うっポ!
真理:私が今、考えたの
茜:可愛い名前じゃない
拓馬:君、名前はあるの?
ポポ:無いっポ!
真理:じゃあ、ポポちゃんでいいかな?
ポポ:う~ん、話が進まないし、とりあえずいいっポ!
真理:良かった⋯
茜:真理、変な所で頑固なのね⋯
拓馬:ポポ、さっきはアドバイスありがとう。どうして僕達を助けてくれたの?
ポポ:ポ!それは、女神様の使いで、君達をサポートするように言われてるからっポ!
武志:あの俺達の事をバカにした女神の使いだと?
茜:それはあんた限定だから。
武志:なお悪いわ!
真理:ポポちゃんは女神様からどんな事を頼まれてるの?
ポポ:ポ!君達を魔王の魂が眠ってる所まで案内するように言われてるっポ
武志:魔王?
茜:あんたほんとに女神の話まったく聞いてなかったのね。復活したらヤバイって言ってた魔王を倒すのが私達の目的なのよ?
武志:なるほど⋯よくわからんがその魔王の魂を完全復活する前にぶっ飛ばせばいいんだろ?
拓馬:まあ、簡単に言うとそういう事だね。
真理:でも⋯私達だけで勝てるのかな⋯?
ポポ:このまま魔王の場所まで行ったら確実に死ぬっポ
真理:えぇ⋯
ポポ:でも安心してっポ!ポポが道中安全なルートを教えたり、レベルが上がるお手伝いするから任せてっポ!
茜:さすが女神様の使いね、助かるわ
武志:俺はなんか気に入らないけどな
拓馬:それじゃ改めて。ポポ、僕らのパーティーにようこそ
真理:これからよろしくね、ポポちゃん
ポポ:ポ!みんなよろしくっポ!
――間
茜:ね、ねえ、まだ歩くの~?
拓馬:ポポの話ではもうすぐ街が見えてくるって言ってたよ
真理:あ、ポポちゃん、さっき私達を襲ってきたのって⋯
ポポ:ポ?あれはガルスライムって言って、今から行くガルの街の近くに出没する一般的なモンスターっポ
武志:あれが一般的って、とんでもない世界だな
ポポ:一応この辺じゃ一番弱いモンスターだけど、油断してると殺らるっポ
武志:茜がいなかったらヤバかったじゃん⋯
茜:私に感謝しなさいよ
武志:なんかムカつく!
真理:ははは⋯
ポポ:ポ!ガルの街が見えたっポ!
真理:大っきい街だね~
拓馬:とりあえず女神様から資金は十分もらってるみたいだからあそこの街で装備やアイテムを買って旅の支度をしよう
茜:それ賛成ー、あー、早くお風呂に入りたーい
武志:俺は美味い飯が食いてーなー
ポポ:ほら、あと少しだから頑張るっポー
――間
茜:は~気持ち良かった~!なかなか広くて気持ちいいお風呂だったね、真理
真理:そうだね茜ちゃん、石鹸も独特ないい匂いがして、お肌もツルツルになっちゃっうやつだったね
茜:真理、私より肌プルプルっじゃない、気にする必要あるー?うり、うり
真理:ちょ、茜ちゃん、く、くすぐったいよ~
武志:おい、なんか女共が急に仲良くなってないか?風呂がそんなにいいか?
拓馬:大事な事だよ。これからの事を考えると、少しでも休める時にしっかり休んでなきゃね
ポポ:そうっポ~、魔王の場所までは苦難の道のりになるっポ~
武志:おい、この飯を誰よりもバカみたいに食った後、腹を膨らませてのびてる毛玉、踏んずけていいか?
ポポ:ポ!動物虐待反対っポ!!
拓馬:あはは、ポポも色々街の案内とかで疲れただろうから許してやってよ
武志:命拾いしたな毛玉、拓馬に感謝しろよー
ポポ:全く、ほんと野蛮なやつっポ!
拓馬:でも、ポポの方にこそ感謝だね。女神様の使いなら旅も安心だから
ポポ:そうっポ、ポポがいれば君らが世界を救うのも楽勝っポ!
武志:やっぱなんか偉そうな毛玉だな。
――間
真理:ベッドもふかふかで気持ちいいよ~
茜:⋯
真理:茜ちゃん⋯?
茜:ん?あぁごめん、何だって?
真理:なにか難しい顔してたけど、どうかした?
茜:いや⋯ちょっと気になる事があったんだけど。
真理:気になる事⋯?
茜:うん、でもなんだったか思い出せないんだよねー
真理:うーん、何の事かなー?
茜:⋯たぶん、気のせいかな。よし!分かんないのは考えてもしょうがないし寝よ!
真理:そうだね、明日から忙しくなりそうだし
茜:あー、そうだね。皆で無事に元の世界に帰ろう
真理:うん!
――間
ポポ:ポ!前方からワーウルフが3匹来てるっポ!
茜:え!まだ森に入ったばかりよ!?
真理:に、逃げた方がいいかな?
ポポ:君らの力なら十分勝てる相手だから迎え討つっポ!
拓馬:分かったポポ!みんな、まずは僕に任せてくれ!
武志:お、おい!どうするんだ!?
拓馬:僕のスキルに「プロバ・ケーション」というのがある。それはモンスターの注意を一挙に引きつける事が出来るから、そこを武志と茜で叩いて欲しい!
茜:わ、分かったわ!
武志:よ、よーし、任せろ!
真理:拓馬くん!私はどうすればいい!?
拓馬:真理は目が良いから後方から全体を見て欲しい。他からモンスターが割り込んで来ないか、注意してて!
真理:え?あ、分かった!みんな気を付けてね!
ポポ:あいつらが二手に別れて動き出したっポ!
拓馬:よし、やるよ!「プロバ・ケーション!!」
茜:⋯
武志:おい、何ボサっとしてるんだ茜!拓馬にモンスターが殺到し始めたぞ!
茜:わ、分かってるわよ!
ポポ:拓馬大丈夫っポ!?
拓馬:ぐ、これぐらい⋯耐えて見せる!
真理:拓馬君!回復するわ!え、えーと⋯「ヒール・ライト!」
拓馬:っ!あ、ありがとう真理!
真理:よ、良かった⋯ちゃんとスキルが使えて⋯
拓馬:よし、今だ二人共!
茜:いくよ、「ファイヤー・ストームー!!」
ポポ:効いてる、効いてるっポ!!
茜:トドメは任せたわ!
武志:まっかせろー!うおぉぉ!「カイザー・ナックルー!!」
拓馬:くっ!す、すごい爆風だ!
真理:ど、どうなったかな⋯?
武志:⋯ふー。いっちょあがりだぜ
ポポ:ポ!ワーウルフ全部の消滅を確認したっポ!
茜:は~、なんとか無事に終わったわね
拓馬:うん、みんなのお陰で勝つ事が出来たよ
武志:何言ってんだ、拓馬がモンスターを引き付けてくれてたからだろ?
真理:うん、そうだよ、拓馬くんが盾になってみんなを守ってくれてたからだよ。それに比べて私は何も⋯
拓馬:そんな事ないよ、真理の回復のお陰で僕はモンスターにやられずに耐えきる事が出来たんだから。助かったよ、ありがとう真理
真理:うぇ!?そ、そう言って貰えたら⋯嬉しいな⋯
武志:なあ、俺達もナイスコンビネーションだったよな?
茜:え?あー、まあ、そうね。
武志:ふ、惚れてもいいんだぜ?
茜:はあ~?調子に乗るな!
武志:ぐはっ!イッテェーー!足踏む事はないだろ!
茜:気安く肩組んでくるからでしょうが!
真理:ふ、二人共、仲良くしよ~よ
拓馬:大丈夫だよ、ああ言ってるけど、二人共ほんとは仲良いから
真理:え、そうなの⋯?
武志:ん?お前、なんか体、光ってないか?
茜:何?今度はナンパ?
武志:いやほんとだって!
真理:あ、ほんとだ!私やみんなの体が同じように光ってる、これは何なの!?
ポポ:それはレベルアップだっポ
武志:レベルアップ?って、たしか最初に毛玉が言ってたやつか?
拓馬:うん、モンスターを倒して経験値を一定数集める事で、それぞれのクラスのレベルが上がる仕組みみたいだ
ポポ:その通りっポ!拓馬詳しいっポね?
拓馬:え?ああ、ゲームとかじゃよくある設定だからね
茜:へー、よくある設定ねー
拓馬:う、うん、あはは⋯、それより何か変わってないか、ステータス画面を見てみよう
真理:あ、新しいスキルが増えてるみたいだよ
武志:お、俺もだ!「ダブルアックスボンバー」だって、またカッコイイ名前のスキルだな!
茜:それは良かったわねー、野蛮人にはピッタリなスキルでー
武志:なんだよ!
茜:なによ!
真理:よし、拓馬くん、今度も回復は私に任せてね!
拓馬:うん、僕もみんなをしっかり守れるように頑張るよ
ポポ:ポポー!みんなこの調子でどんどん強くなって、早く魔王が眠ってる所にいくっポよー!
――間
武志:お、あれがポポの言ってた最果てにある遺跡、ダグラス遺跡か。
茜:ちょっと、まだこの辺の探索終わってないのに一人で先にズカズカ行かないでくれる?
武志:ん、あーそんな事か。大丈夫だって、俺の強さはお前もよく知ってるだろ?この辺のザコなんて余裕で蹴散らしてやるよ
拓馬:ふー、やっと追いついたよ。確かに、武志はここまでの旅で信じられないくらい強くなったよね
真理:はあ、はあ⋯この辺のモンスターは居ないみたいだよ
拓馬:ありがとう真理。大丈夫か?
真理:み、みんな相変わらず足が早いんだもん⋯
茜:真理も随分強くなったけど、足のスピードだけはレベルアップしなかったわね
真理:もー、茜ちゃんの意地悪~
ポポ:むにゃむにゃっポ⋯
武志:おい、起きろ毛玉!いつまで俺の頭の上で寝てるんだよ!
ポポ:ハッポ!ポポはどこ!?ここはだーれっポ!?
真理:あ、ポポちゃんも起きたみたいだね。おはようポポちゃん
ポポ:ん?おはようっポ!
拓馬:おはようポポ、ついに僕達の目指してた遺跡、ダグラス遺跡に到着したよ
ポポ:ポ!ほんとだっポ!あれこそ魔王が眠る場所ダグラスっポ!よく今まで頑張ったっポ~!
茜:ほんと、長かったわね⋯。
真理:私達、ついにこれで帰るんだね
。
武志:おー、さっさとその魔王ってのぶっ飛ばして、この世界を救ってやろうぜ
拓馬:よし、みんなあと少しだ、無事に元の世界に帰るんだ
ポポ:中の道案内はポポに任すっぽ!ポポに着いて来るっポ~!
茜:⋯
武志:ん?どうしたんだ難しい顔して。トイレか?
茜:阿呆!⋯何か嫌な予感がするのよ
武志:あん?そりゃこんな場所なんだから当たり前だろ?
茜:違う⋯私のこの嫌な感じは、「旅の最初から」ずっと感じてたやつなの⋯
武志:え?それはどういう⋯
真理:二人共~先行くよ~?
武志:おー!。ほら、とにかく行くぞ?
茜:う、うん⋯
――間
拓馬:あ、あれが⋯
真理:ポポちゃん、あれが言ってた魔王の封印なの?
ポポ:そうっポ!今まさにあの中で魔王が眠ってるっポ!
武志:じゃああれをぶっ壊しちまえばもう魔王を完全に消滅させれるって事か?
ポポ:ポ!そう⋯
拓馬:違うよ、あれを壊しては駄目だ。魔王を完全に消滅させるにはあの封印に真理の最上級の浄化の魔法をかけないといけないんだ
ポポ:ポ!?
真理:わ、私⋯?
拓馬:そうだ。お願いするよ
茜:⋯ポポちゃん、それはほんとなの?
ポポ:それは違うっポ!
拓馬:っ!
ポポ:そんな事をすれば封印が解けて、魔王がかつての力を取り戻し復活してしまうっポ!
武志:な、どういう事だ⋯?拓馬と言ってる事が違うじゃねえか?
真理:な、何が起こってるの拓馬くん?
茜:真理、拓馬から離れて
真理:え?茜ちゃん⋯?
茜:最初からあった嫌な感じがあったの⋯それが最初何なのか分からなかったわ。
拓馬:⋯
茜:でもやっと分かったわ⋯。
茜:拓馬、あなた魔王の手下なんでしょ?
真理:っ!
武志:なっ!んな馬鹿な!?
茜:みんな、最初の戦闘を覚えてる?
真理:さ、最初⋯って、私がスライムに襲われそうになった時⋯?
武志:おい茜、いったい何の話をしてるんだ!
茜:いいから聞いて!思い出して、その時、拓馬がなんて言ったか。
真理:たしか⋯「ガルスライムだ」って⋯っ!ま、まさか!そ、そんな⋯
茜:そう、今考えたら変なのよ。あの時私達はこの世界に来たばかり。アレが、「ガルスライム」だなんて、分かるはずがないのよ
武志:そ、それは、拓馬はオタクだったし、ゲームとかのモンスターに詳しかったからじゃねえのか?
真理:そ、そうだよ。
茜:確かに、そう考える事も出来そうだけど、それも無理があるわ
真理:え⋯?
茜:ガルスライムは種族じゃなくて、ガルの街周辺に出没する所から付いた名前よ、おかしくない?あの時私達はまだ街の名前も知らなかったのよ?
拓馬:くっ⋯
武志:拓馬⋯嘘だろ⋯?
真理:な、何かの間違い、だよね⋯?
ポポ:拓馬は魔王の手下だったっポ!?
拓馬:そ、それは違う!
茜:じゃあ魔王の手下じゃないって言うなら、何者なのよ⋯?
拓馬:そ、それは⋯
真理:拓馬、くん⋯?
拓馬:それは⋯言えない⋯
茜:はあ⋯これで決まりね。
拓馬:でもみんな信じて欲しい!僕の言うやり方じゃないと、魔王を完全に消滅させる事は出来ないんだ!
茜:今思い返しても、やけに戦い慣れしてるみたいだったし、ただのゲームオタクじゃ説明つかない事ばかりね
武志:俺たちは今までずっと騙されたって事かよ。こんな奴を良い奴だと思ってた自分をぶん殴ってやりたいぜ
真理:ちょ、ちょっとみんな⋯?
ポポ:危ないから真理もそいつから離れるっポ!
拓馬:く⋯
茜:まったく、危ない所だったわね。こいつの罠で、危うく魔王を復活させちゃう所だったわ。
武志:だな。茜が早く気がついてくれて良かったぜ。
真理:わ、私はどうすれば⋯
茜:とりあえず、私達がやる事は変わらないわ。武志、あの封印を破壊するわよ。
武志:ふん、言われなくともやってやるぜ。今めちゃくちゃ腹立ってるからな!
拓馬:ま、待ってくれ二人共!
茜:穿(うが)て!アルティメット・フレアーー!!!
武志:弾けろや!メガトン・プロミネンス・ラリアットー!!
拓馬:くそっ!
真理:拓馬くん!?
拓馬:鉄壁の障壁よ!「プラスティックシールド!!」
ポポ:ポポー!と、飛ばさるポー!
武志:なっ!?
茜:⋯やっぱり、邪魔してくるってわけね?
拓馬:はぁ、はぁ、当たり前だろう⋯
武志:拓馬⋯お前、ほんとにそっち側なんだな⋯
真理:っ!拓馬くんが傷だらけに、は、早く回復しないと!
ポポ:真理、危ないから行っちゃだめポ!
真理:でも!わ、私は拓馬くんが悪者だなんて、まだ思えないの!
ポポ:⋯まったく、いい所なんだから、邪魔しちゃだめっポ。
真理:え⋯?
――間
武志:どかねえって言うなら、お前ごと破壊しする事になるぞ⋯いいのか?
拓馬:はぁ、はぁ、どかない⋯僕は⋯君たちを、守るんだ⋯
武志:まだそんな意味の分からない事を⋯
茜:待って武志、こいつが魔王の手下なら、まだ何か奥の手を持ってるかもしれないから慎重に⋯
真理:きゃあーー!!
拓馬:っ!
茜:え?真理の悲鳴!?
武志:な、なんだ!あの黒い鎖は!?
茜:真理!拓馬、あんたがなんかやったの!?
拓馬:違う、俺じゃない!
真理:み、みんな⋯拓馬じゃない⋯本当の悪者は⋯
ポポ:あれー、どうしたのかなー?みんな、不思議そうな顔して~?
茜:う、嘘⋯
武志:え?ポポが⋯なんでだ⋯?
真理:ポポちゃん⋯どうして⋯
ポポ:どうして、だって?フフフ
拓馬:やはり、君が魔王の手下だったのか⋯
ポポ:アハハハハー!!今頃分かったのかい?おっそいよ~~!もうおそおそだよ~~。
真理:ポポちゃん⋯なんで⋯
ポポ:ポポ?ハッ、気安く変な名で呼ばないでもらえるかな?私には魔王様から頂いた、ボイコーネという名前があるんだからね
武志:このヤロッ!!
茜:やるわよ武志!
ポポ:「バインドチェーン」
武志:ぐっ!
茜:うっ!
拓馬:武志!茜!
武志:なんだ、この⋯力は⋯
茜:魔法が⋯使えないわ⋯
ポポ:う~ん、素晴らしい。魔王様の魔力が充満しているこの場所なら、私の様な者でも魔王様のお力の一端を分けて頂ける、実に素晴らしい!
拓馬:ポポ⋯いや、ボイコーネ!みんなを解放するんだ!
ポポ:あー?本か何かを見すぎじゃないか?現実にそれで解放する馬鹿はいないのさー!
拓馬:く⋯早く僕が気がついていれば⋯
武志:すまん、拓馬、お前を信じてやる事が出来ずに⋯
茜:私もドヤ顔で盛大に的外した推理してるんだから⋯ごめんね、拓馬⋯
真理:武志くん、茜ちゃん⋯
拓馬:いや、隠し事をしていたのはほんとなんだから、みんなは悪くないよ⋯
ポポ:さて、別れの挨拶は終わった?終わったかな~?律儀に待ってあげる私ってやっさし~
武志:お前!これが解けたら絶対一発ぶん殴ってやるからな!
ポポ:おー、威勢だけはさすが野蛮人だねー。ま、その力は私じゃなく、仲間に使ってもらおーかな~?
武志:あ?何を言って⋯うぐ!
拓馬:武志!
茜:ちょ、武志!?ちょっとあんた、武志に何をしたの!
ポポ:何って、身体の動きを支配させてもらっただけだよ?
拓馬:何!?
武志:ぐ⋯身体が勝手に⋯
真理:武志くん!武志くんに何をさせる気なの!?
ポポ:もちろん、魔王様を復活させてもらうのさ。
真理:な、なんて事を⋯っ!う、動け!
ポポ:アハハハハ、無理無理、君らにはこの魔法は解除出来ないよ。直接身体を縛り付けて操る魔法だからね、生きてる限り、抜け出す事は不可能だよ!
茜:わ、私も、勝手に魔法が!?
拓馬:茜!やめろボイコーネ!
ポポ:呼んだかーい?止めせさたいならどうぞご自由に。まあ動けたら、の話だけどね~
真理:駄目⋯力が入らない⋯
ポポ:よいしょっと。それじゃ、あの二人が魔王様を復活させる瞬間をこの君の頭の上から見させてもらうよ。
拓馬:く⋯悪趣味な⋯
ポポ:いやーなんとも素晴らしい特等席だねーアハハハハ!
武志:くそ!止まれ!止まりやがれ~!
茜:だ、駄目⋯もう、魔法が、発動しちゃう⋯
真理:もう⋯どうにもならないの⋯?
ポポ:アハハハハ!いいぞー!さあやるんだ!お前達の鍛え上げた力で、魔王様を復活させるのだーー!!
拓馬:させないよ
ポポ:へ?
拓馬:「ホーリースクライド!!」
ポポ:ガハッ!!?
真理:拓馬くん!?
ポポ:ば、馬鹿な⋯なぜ⋯動ける⋯?
武志:う、動きが止まった!
茜:私もよ!いったい何が起こってるの!?
拓馬:今だ真理!最上級の浄化魔法を放てー!!
ポポ:っ!や、やめろー!!
真理:っ!任せて!「ハイ・プリフィ・ケーション!!」
武志:お!封印してたもんが砂に変わっていったぞ!
茜:やったー!ナイス真理!
ポポ:馬鹿な⋯わ、私の拘束魔法は完璧だったはず⋯っ!⋯そ、そうか⋯お前、最初から⋯
拓馬:⋯
ポポ:は、はは⋯なんて事だ⋯こいつ⋯まだ⋯隠している事があった⋯なんて⋯
真理:え⋯?どういう事⋯?
拓馬:お前が油断して、僕に近づいてくれて良かったよ。
ポポ:最後の最後で⋯すみません⋯魔王様⋯あなたに、もう一度お会い⋯した⋯
茜:き、消えた⋯?
武志:お?か、身体も自由になったみたいだぞ!
真理:よ、良かったー⋯あ!拓馬くんの治療しなきゃ!
武志:拓馬!傷は大丈夫か!
茜:ごめんね疑ったりして!
拓馬:だ、大丈夫だよみんな⋯これで⋯この世界は救われるんだ⋯
茜:拓馬!しっかりしなさい!真理、回復はまだなの!?
真理:さっきからずっとやってるよ!でも、全然回復しないよ!
武志:ど、どういう事だそりゃ!?
拓馬:いいんだ⋯僕には回復はもう効かないし、必要無いから⋯
真理:え!?あれだけ酷かった拓馬くんの傷が⋯消えてる⋯?
ポポ:それは私から説明させてもらいます
真理:え!?
武志:なっ!
茜:まだ生きてたの!?
拓馬:みんな待って!
ポポ:⋯
拓馬:女神様⋯ですね?
ポポ:⋯そうです。やっと貴方たちの前に現れる事が出来ました
真理:偽物だったポポちゃんが女神様?ど、どういう事?
ポポ:すみません。貴方がたには大変申し訳ない事をしました。
茜:私達に?何か女神様との事って⋯あれ、そう言えば女神様と話した時の事って⋯
武志:え、あれだろ?俺達四人が集まって話を聞いて⋯あれ?そういえば何かその変の記憶が曖昧だな
真理:私も⋯たしかこの世界を救うように頼まれて⋯ううん、駄目、ちゃんと思い出せない。
茜:いつも通りの武志はともかく私や真理も一緒に記憶が抜けてるのは変よ。
ポポ:実は貴方がたをこちらに送り出した後、魔王の介入がありました。魔王は貴方がたの記憶に干渉し、記憶の一部を欠落させてしまうという事態が起きました。
拓馬:それが、魔王の消滅させ方と、僕達に関係する記憶⋯
ポポ:そうです。まさか私が用意していた案内役の精霊のコントロールまで乗っ取られてしまうとは⋯女神失格です。
武志:まあまあ女神さん、無事に魔王を倒した事だし問題ないぜ。それより早く拓馬を助けてやってくれないか?
茜:そうです!どういう訳か真理の回復魔法も効かないみたいで⋯
真理:女神様!お願いします!私の力ではどうしようもないんです。拓馬を、拓馬を助けて下さい!
茜:ちょっと待って、今、拓馬は私達の関係する記憶もって言った?
拓馬:⋯うん、言ったよ。
真理:待って、私達、今回会うのは初めて、だよね⋯?
ポポ:⋯遅くなりましたが、今から、魔王がかけた精神系の魔法を解除します。「ゴッデス・カーテン!」
茜:う、眩しい⋯
武志:な、なんだ⋯?頭が⋯なんかスッキリと⋯
真理:っ!全部⋯思い出した!茜ちゃん、武志くん!私達ずっと友達だった⋯なんで、こんな大事な事を⋯
茜:嘘⋯こんな事って、あるの?
真理:⋯
ポポ:それが恐ろしい、魔王の力なのです。
武志:ちょっと待て、茜や真理の事は思い出せだが⋯結局お前は誰なんだ?
茜:そうよ、私達のグループにあんたなんていなかったじゃない?⋯あれ?拓馬⋯?
真理:⋯あの、拓馬くんなの⋯?
拓馬:真理⋯そうだよ。
武志:え?え?ちょっと待て、拓馬なんてそんなやつ他に、小さい時に居たあいつしか⋯え⋯?
茜:嘘⋯そんなはず⋯
武志:まじか!超久しぶりじゃねえかー!たしか、海外に引越ししたんだっけ、元気だったか?
拓馬:ああ、久しぶり、武志こそ相変わらず元気そうで何よりだよ
武志:いやー、まさか異世界で昔の幼なじみに会えるとは思わなかったな。
拓馬:うん、そうだね。武志はあれからどうしてたの?
武志:ん?俺か?俺は変わらず馬鹿だったがなんとか無事高校まで行けてな
茜:私が勉強手伝ったからでしょ。それでもギリギリだったくせに
武志:そ、そんな事もあったな。で、俺と茜は同じ高校入ってな。
拓馬:その様子だと、無事二人はお付き合い出来たみたいだね。
武志:お、おお。なんかお前に言うの恥ずかしいけど、今は茜と付き合ってるよ。
茜:なーに恥ずかしがってんだか。
武志:そ、そんでな、真理はたしかお嬢様学校の高校行ったんだよな?そんなとこ入ったら彼氏も作れねえぞって言ってやったんだよ。
茜:ちょ、馬鹿、真理は拓馬の事が⋯
真理:あ、茜ちゃん!!な、何を言おうとしてるのかなー!?
武志:ん?どういう事だ?
拓馬:ははは、ほんとみんな相変わらずで嬉しいよ。
武志:しかし、それなら最初に会った時に言ってくれれば良かったのによ。今まで連絡も無しでどうしてたんだ?
拓馬:それは⋯
茜:⋯
真理:⋯
武志:ん?あれ?俺、なんか聞いちゃいけない事聞いたか?
ポポ:皆さん記憶が戻ったようなので改めて私から説明させてもらいます。
武志:女神様⋯?
ポポ:これを言うのは心苦しいですが⋯拓馬さんは、もう死んでいます。
真理:⋯
茜:っ!やっぱり⋯
武志:え、え?ま、待って下さい、拓馬が⋯死んでる?
ポポ:はい。
武志:いや、おかしいでしょ!?こんなにピンピンしてるのに?
茜:間違いないわ。その証拠に、さっきの戦いで、拓馬に拘束魔法が効かなかった理由に説明がつくわ
真理:生きている限り、解くことが出来ない魔法⋯
拓馬:そうだよ。だから僕にはあの魔法は効かなかったんだ。
武志:嘘⋯だろ⋯?だって拓馬は海外に引越したって⋯
茜:ごめん武志、実は私と真理は拓馬が死んでるじゃないかって、知ってたの⋯
武志:は?知ってたって、どういう事だ?
真理:ごめん武志くん⋯私が茜ちゃんに黙っててもらうように言ったの⋯
茜:実はあの時、教室で先生が拓馬が急に引越ししたって言ったあの時に、何かおかしいって真理から相談受けてたの。
真理:うん⋯どうしても、拓馬くんが私達に何も言わずに引越しなんて、するはずないって思って⋯
茜:二人でネットニュースとか調べてたら、ちょうどあの時期に海外の飛行機墜落事故のニュースが見つかって、その中の日本人の名前に⋯拓馬の名前があったのよ⋯
真理:私⋯信じられなくて⋯違う、信じたくなかった、だから⋯
武志:拓馬が引越ししたままにしてたのか⋯
茜:真理は悪くないわ、私も武志には黙っとこうって提案したから。
武志:⋯二人とも、辛かったんだな。
ポポ:本来亡くなった魂はすぐに次の新たな命へと転生を果たしますが⋯拓馬さんの魂は余程未練があったようで、現世に留まっていたようです。
真理:拓馬くん⋯
ポポ:そんな時、こちらの世界に危機が迫る事態が起きてしまいました。
茜:それが、魔王復活⋯
ポポ:その通りです。そこで貴方がたの世界から救世主としてこの世界に送り込む事にしました。
武志:それが、俺達⋯
ポポ:そうです。私には直接この世界に干渉出来ないルールがあります。しかし他の世界から召喚した者であれば、私の代行してもらう形で世界を救う事が出来るのです。
真理:女神様にもそんな事情があったんですね⋯
ポポ:そこで私は送る人物を探しました。そして、偶然にも私の力と相性の良かった武志、茜、真理、貴方たち三人を選んだのです。
茜:え?私達三人だけ?じゃあ⋯拓馬は⋯
拓馬:それは僕がお願いしたんだ。
武志:え、拓馬が?
拓馬:うん、小さい時話した、あの僕の夢覚えてるかな?
武志:拓馬の夢⋯あ!もしかして!
真理:「いつかみんなで、魔王退治をするような冒険しよう」、って⋯
茜:ゲーム好きだった拓馬がやけに目を輝かせて熱く語ってた、あの夢⋯
拓馬:良かった、みんな覚えててくれたんだね。
ポポ:その拓馬さんの心からの願いを聞き、私は考えた末に拓馬さんも一緒に異世界に送るようにしたのです。混乱を避ける為に拓馬さんからは皆さんに内緒にするよう言われてましたが。
拓馬:ありがとうございます。女神様のおかげで、僕のずっと憧れてた、みんなと冒険をする夢が叶いました。
武志:な、なんだよ⋯そんな、早く言えよ⋯
茜:みんな記憶無かったんだから無理言わないの。でも、そっか⋯私達、冒険出来てたのね。
真理:なんかすっかり大人になってたから、拓馬くんと気がつくのに遅くなっちゃったけど⋯やっぱり拓馬くんは拓馬くんだった。
拓馬:真理⋯
真理:私が大好きな、拓馬くんだ。
拓馬:真理!
真理:拓馬くん!
武志:おーおー、見せつけてくれるねーお二人さん。
茜:馬鹿、久しぶりの再会なんだからそっとしといてあげなさい。
武志:俺達も祝いのハグしとくか?
茜:バーカ。
ポポ:時間ですね。
拓馬:っ!
真理:え!身体が光出した!?
武志:ほ、ほんとだ!俺も光ってるぜ!どうだ、俺、いつもよりカッコイイか?
茜:馬鹿!こんな時にふざけてる場合じゃないわよ!女神様、これなんなんですか!?
ポポ:この世界は貴方がたの力で救われ、平和になりました。そして貴方がたはこれより元の世界に戻るのです。
武志:な、なんだって!?もうなのか!
茜:ちょっと待って下さい!せっかく私達久しぶりに再会出来たんです!そんな事って。
真理:拓馬くんは⋯拓馬くんはどうなるんですか!?
ポポ:⋯残念ながら、一緒に元の世界に帰る事は出来ません。
真理:そ、そんな⋯
拓馬:真理、いいんだ。
真理:拓馬くん⋯
拓馬:短い間だったけど、僕はみんなと夢だった冒険も出来た⋯悔いはないよ。
真理:っ!⋯もっと、一緒にいたかったよ⋯
武志:くっ⋯
茜:真理⋯
拓馬:ありがとう⋯真理。僕の分まで、元気に長生きしてね⋯。
真理:私!絶対、忘れないから!拓馬、私は今でもずっと拓馬が⋯!
――間
ポポ:⋯行ってしまいしたね。
拓馬:そう、ですね⋯。
ポポ:ほんとに、良かったんですか?
拓馬:⋯
ポポ:この世界を救って頂いたお礼として、貴方が望めば元の世界に復活させる事も可能なんですよ?
拓馬:⋯いいんです。あの三人には三人の人生がある。僕には歩めなかったそれぞれが過ごしてきた人生が。
ポポ:⋯
拓馬:僕にはもう両親も居ないし、今さらいきなり蘇った所で、トラブルの種にしかならないと思います。なので、いいんです。
ポポ:⋯そう、ですか。
ポポ:では、希望通り、このままこの世界に転生し直すようにしますね。
拓馬:はい、よろしくお願いします。
ポポ:それでは、拓馬、新たなる世界の、次なる人生に、祝福を⋯
拓馬:ありがとうみんな⋯僕はみんなと冒険した、この世界で、しっかり生き抜いてみせるから。
おわり