台本概要
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タイトル | 私の天使。スピンオフVol.1「恋と、家族?」 |
---|---|
作者名 | なぎ@泣き虫保護者 (@fuyu_number10) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(女3) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
妹の日和(ひより)が学校に通い始める少し前。二人で映画を見に行くことになった姉の小春。 日和が見たがっていた映画、そして。 当台本は拙作「私の天使。」のスピンオフシリーズの第一弾となります。 本編をお読みいただいてからお読みいただくと、より楽しんでいただけると思います。 ※台本をご利用になる際は、Twitterにてぜひお報せくださいませ。 お伺いできる限り聴かせていただければと存じます。 なお、特に商用利用の場合において、著作権は放棄していません。無断での転載はお断りします。 90 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
小春 | 女 | 41 | 姉妹の姉。年齢不詳。事故で喪った妹のクローンを造った人。 |
日和 | 女 | 46 | 姉妹の妹。中学生。事故で命を落とすが、姉によりクローンとして甦る。 |
さきちゃん(女の子) | 女 | - | 迷子の女の子。セリフ少ないです。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
「私の天使。」スピンオフ Vol.1 「恋と、家族?」
小春(N):水族館デートから、ちょうどひと月ほどが経(た)った、ある日のこと。
小春(N):
小春(N):日和の作ってくれたクロックムッシュを食べていると、不意に日和が、
小春(N):
小春(N):「お姉ちゃん、映画を見に行きませんか?」と提案してきた。
小春:映画?
日和:はい!今度は映画、見に行きませんか?
小春:映画ねー・・・アタシ最近の映画、全っ然知らないけど、日和は何か見たいものあるの?
日和:えとですね・・・
小春(N):と、日和はスマホを取り出してススッと操作していく。
小春(N):
小春(N):しばらくして、「これです!」と出されたスマホの画面を見てみると・・・。
小春:なになに・・・「とりぷれった!」?
日和:そうです!「とりぷれった!」です!
小春:どんなお話なの?恋愛?
日和:もう胸がキュンキュンしちゃうんですよ!
小春:え、あー、そうなの?どれどれ・・・?
小春(N):日和の圧を感じながら、今度はアタシがスマホで調べる番だ。
小春(N):
小春(N):「とりぷれった!」公式サイト、とやらが検索でヒットしたので、
小春(N):
小春(N):そのまま劇場版のPVを見てみる。
小春:なるほど、アニメなのね・・・へぇ~・・・。
日和:どうでしょう・・・!
小春(N):普段アニメは、というよりテレビさえも見てないのだけれど、
小春(N):
小春(N):PVの綺麗(きれい)さに惹(ひ)かれてしまった。はてさて。
小春:で?これもう上映してるの?
日和:はい、昨日公開になったばっかりなんです!私原作の漫画が大好きで、
日和:
日和:映画化が決まったのがすごくうれしくって!
小春(N):話しているうちに、興奮してきたのか、
小春(N):
小春(N):頬に紅(あか)みがさしていく日和。ホント、微笑ましく思ってしまう。
小春(N):
小春(N):ところでその原作とやら、いつの間に読んでたんだ・・・?
小春:まぁいっか。んじゃあ見に行くか~。
日和:はいっ!
小春:ところで・・・日和さん?
日和:・・・はい?
小春:気になる男子でもできた?
日和:えっ!?いえいえ、いませんよそんな!今のわたしは、お姉ちゃんだけです!
小春:いやいや、アタシはほら、姉でしょうに。
日和:それは、そうですけど・・・えと・・・。
小春(N):人差し指どうしをつんつんとぶつける日和さん。アタシはじっと続きを待つ。
日和:・・・わたし、まだ学校にも行けてないですし、お姉ちゃん以外の人とあんまりお話しませんし・・・。
小春:あー・・・まぁそうか・・・。
日和:だから、学校に行けたら、この漫画みたいなこと、
日和:
日和:あるのかなー、なんて・・・えへへ。
小春(N):ふにゃ、と笑う日和。編入の手続きが済んで、
小春(N):
小春(N):もうすぐ学校に行けるのが楽しみなんだろう。
小春:分かった分かった。ちょうど日和のものを買わないといけなかったし、
小春:
小春:ついでにそれも済ませちゃおうか。
日和:わたしのもの、ですか?
小春:学校で使う文房具とか、そういうのだね。
日和:あー、そうですね・・・でもわたしが事故に遭(あ)う前のもの、残ってないですか・・・?
小春:・・・ん、あの後ね、私が使ってたんだけどさ、ほとんどが壊れたり、
小春:
小春:インクがなくなったりしてね・・・ごめんね。
日和:そうだったんですね・・・わかりました!じゃあ買いに行きましょう!
小春(N):そんなわけで、まずは映画。最寄駅からしばらく電車に揺られ、シネコンに向かう。
日和:・・・(ワクワク)
小春:日和さん?
日和:は!はいっ!?
小春:ワクワクしてますなぁ~(にやり)?
日和:え、だって!
小春:いーんだよ。そういう日和を見てるとさ、なんか・・・うん、良かったな、ってさ。
日和:あ・・・はいっ・・・(照れる)
小春(N):シネコンに入って、あらかじめ予約していた座席に、
小春(N):
小春(N):ポップコーンと飲み物を持って、並んで腰掛ける。
日和:(嬉しそうにきょろきょろしていて落ち着かない様子)
小春:日和、ちょっとは落ち着きなよ・・・(苦笑)。
日和:あ、はい・・・えへへ。
小春:お、もうすぐ始まるんじゃない?
日和:そ、そうですね!
小春(N):館内の証明が落ち、上映開始のブザーが鳴る。
小春(N):
小春(N):日和が姿勢を正して、スクリーンに向き直ったのを見て、
小春(N):
小春(N):アタシもスクリーンを見つめる。
小春(N):
小春(N):アタシが想像していたよりも濃密な物語。
小春(N):
小春(N):90分の上映時間は、あっという間だった。
-----間(上映終了後の館内)-----
日和:(感動で泣いてる)
小春:日和、涙をふいて、ほら。
日和:ううう・・・お姉ちゃん見ましたか?
日和:
日和:筆談と覚えたての手話で、耳の聞こえないほたるちゃんに、
日和:
日和:必死に気持ちを伝える隼哉(しゅんや)君のシーン!
小春:うんうん、アレは良かったね。夕焼けの波打ち際っていうところも、素敵な場所だったね。
日和:はい!もうあのシーンで私、涙腺が壊れちゃって・・・ううう(また泣き出す)
小春(N):夕焼けの波打ち際。筆談ボードに「本気で、好き、なんだよ!」って
小春(N):
小春(N):書いて見せて告白するシーンでは、不覚にもアタシまで泣きかけた始末だ。
小春(N):
小春(N):ちなみに「とりぷれった!」にはもう一人ヒロインがいて、その子は隼哉に
小春(N):
小春(N):フられながらも隼哉とほたるを応援するわけだが・・・それはまた別のお話。
小春(N):
小春(N):さて、シネコンを出て、文具店に向かうアタシたち。
小春:えーっと、何が要(い)るんだっけ・・・シャーペンにボールペンでしょ、
小春:
小春:ペンケースに定規、それから・・・コンパス、分度器・・・あー・・・っと・・・。
日和:お姉ちゃん、わたし、ペンケースこれがいいです!
小春:んー?いいんじゃない?でも他にもいいのがあるかもしれないからよく・・・
日和:(小春にかぶせて)これが、いいです!
小春:あっ、はい・・・。
小春(N):こうなるとテコでも動かないのが日和なのであきらめる。
小春(N):
小春(N):ちなみにペンギン柄だ・・・どんだけ好きなの・・・。
小春(N):
小春(N):ひととおりの買い物を済ませて、家に帰ろうとした時だった。
日和:ぉ・・・んん?
小春:日和、どしたー?
日和:お姉ちゃん、えと・・・。
小春(N):振り返って見ると、日和のスカートのすそを「きゅっ」とつかむ、
小春(N):
小春(N):幼い女の子が立っていた。
日和:(女の子に)どうしたの?
女の子:・・・?
小春:お母さんか誰かと間違えたのかね・・・?
小春(N):そう言うと日和は、女の子に目線を合わせてしゃがみ、
小春(N):
小春(N):女の子に話しかける。
日和:(優しく)どーしたの?お母さんとはぐれちゃった?
女の子:・・・うん・・・(突然ぐずりだす)ママぁ・・・!
小春:あー・・・これ面倒なパターンだ・・・。
日和:お姉ちゃん、そういうこと言わないの!
小春:(N)肩をすくめて、周囲を見渡すが、この子を探しているような人の姿はない。小春:日和、迷子センターに連れていこう?
日和:そうですね・・・(女の子に)自分の名前とか、分かるかな?
日和:
日和:お姉ちゃんたちに教えてくれる?
女の子:ひむろ・・・さき・・・ごさい・・・
日和:ひむろ、さきちゃん、だね!おっけー!それじゃ、ママがいるかもしれないところに行ってみよう!
女の子:うん・・・
日和:絶対、大丈夫、だからね!お手々つなごうか~!
小春:うーん・・・日和の意外な才能・・・。
小春(N):迷子センターに到着し、係員さんにこれまでの経緯を説明したところ、
小春(N):
小春(N):館内放送で呼び出してもらえることになった。
日和:今ねー、ママのこと呼んでもらってるんだよ~?でも、もうちょっと待っていないといけないの。
さき:(不安そうに)ママ、帰っちゃったの?
小春:そんなことないさ。さきちゃんのママは今までそんなことしたことないだろ?
さき:うん・・・
小春:だったら、大丈夫だ。今頃こっちに来てるところだよ。
日和:そそそ、絶対、ぜーったい大丈夫だからね!
小春(N):ほどなくして、さきちゃんのママが迷子センターに到着すると、
小春(N):
小春(N):ダッシュでママに抱き着くさきちゃんなのだった。はぁ・・・一件落着だな・・・。
さき:おねえちゃんたち、ありがとーっ!
日和:さきちゃん、ばいばーい!
小春:・・・日和、あんたさー?
日和:はい?
小春:保育士さんとかそういうの、向いてるかもね。
日和:?
小春:こてん、と首をかしげる日和。ピンときてないっぽいな。
日和:保育士さんは・・・どぉだろ・・・。
日和:
日和:わたし、お姉ちゃんのそばで研究のお手伝いをする、って決めてるから・・・。
小春:そう、だったね。ゴメン、ヘンなこと言ったね。
日和:ううん、お姉ちゃんは私のこといつも考えてくれてるの、知ってるから!
小春:(N)そこで、親子がいなくなった迷子センターの入り口を見つめて、日和が小さく呟いた。
日和:・・・家族か~・・・いいな・・・。
小春:アンタもいずれは誰かと結婚とかするのかねー。
日和:うーん・・・どうだろー。でもお姉ちゃんが先に結婚してくれないと!
小春:あー、アタシはいいの。そう言うの今は興味ないからね。
日和:そんなこと言ってると、あっという間におばあちゃんになっちゃうよ!
小春:あー、んじゃあアタシが結婚しないと日和もおばあちゃんだなー
日和:もー、お姉ちゃんってば・・・!
二人:(笑う)
小春:(N)日和の家族への憧れを聞くと、胸が痛むけれど。アタシは何よりも、日和を幸せにすることを考える、そのことを改めて胸に刻む、そんな一日になった。
-おしまい-
「私の天使。」スピンオフ Vol.1 「恋と、家族?」
小春(N):水族館デートから、ちょうどひと月ほどが経(た)った、ある日のこと。
小春(N):
小春(N):日和の作ってくれたクロックムッシュを食べていると、不意に日和が、
小春(N):
小春(N):「お姉ちゃん、映画を見に行きませんか?」と提案してきた。
小春:映画?
日和:はい!今度は映画、見に行きませんか?
小春:映画ねー・・・アタシ最近の映画、全っ然知らないけど、日和は何か見たいものあるの?
日和:えとですね・・・
小春(N):と、日和はスマホを取り出してススッと操作していく。
小春(N):
小春(N):しばらくして、「これです!」と出されたスマホの画面を見てみると・・・。
小春:なになに・・・「とりぷれった!」?
日和:そうです!「とりぷれった!」です!
小春:どんなお話なの?恋愛?
日和:もう胸がキュンキュンしちゃうんですよ!
小春:え、あー、そうなの?どれどれ・・・?
小春(N):日和の圧を感じながら、今度はアタシがスマホで調べる番だ。
小春(N):
小春(N):「とりぷれった!」公式サイト、とやらが検索でヒットしたので、
小春(N):
小春(N):そのまま劇場版のPVを見てみる。
小春:なるほど、アニメなのね・・・へぇ~・・・。
日和:どうでしょう・・・!
小春(N):普段アニメは、というよりテレビさえも見てないのだけれど、
小春(N):
小春(N):PVの綺麗(きれい)さに惹(ひ)かれてしまった。はてさて。
小春:で?これもう上映してるの?
日和:はい、昨日公開になったばっかりなんです!私原作の漫画が大好きで、
日和:
日和:映画化が決まったのがすごくうれしくって!
小春(N):話しているうちに、興奮してきたのか、
小春(N):
小春(N):頬に紅(あか)みがさしていく日和。ホント、微笑ましく思ってしまう。
小春(N):
小春(N):ところでその原作とやら、いつの間に読んでたんだ・・・?
小春:まぁいっか。んじゃあ見に行くか~。
日和:はいっ!
小春:ところで・・・日和さん?
日和:・・・はい?
小春:気になる男子でもできた?
日和:えっ!?いえいえ、いませんよそんな!今のわたしは、お姉ちゃんだけです!
小春:いやいや、アタシはほら、姉でしょうに。
日和:それは、そうですけど・・・えと・・・。
小春(N):人差し指どうしをつんつんとぶつける日和さん。アタシはじっと続きを待つ。
日和:・・・わたし、まだ学校にも行けてないですし、お姉ちゃん以外の人とあんまりお話しませんし・・・。
小春:あー・・・まぁそうか・・・。
日和:だから、学校に行けたら、この漫画みたいなこと、
日和:
日和:あるのかなー、なんて・・・えへへ。
小春(N):ふにゃ、と笑う日和。編入の手続きが済んで、
小春(N):
小春(N):もうすぐ学校に行けるのが楽しみなんだろう。
小春:分かった分かった。ちょうど日和のものを買わないといけなかったし、
小春:
小春:ついでにそれも済ませちゃおうか。
日和:わたしのもの、ですか?
小春:学校で使う文房具とか、そういうのだね。
日和:あー、そうですね・・・でもわたしが事故に遭(あ)う前のもの、残ってないですか・・・?
小春:・・・ん、あの後ね、私が使ってたんだけどさ、ほとんどが壊れたり、
小春:
小春:インクがなくなったりしてね・・・ごめんね。
日和:そうだったんですね・・・わかりました!じゃあ買いに行きましょう!
小春(N):そんなわけで、まずは映画。最寄駅からしばらく電車に揺られ、シネコンに向かう。
日和:・・・(ワクワク)
小春:日和さん?
日和:は!はいっ!?
小春:ワクワクしてますなぁ~(にやり)?
日和:え、だって!
小春:いーんだよ。そういう日和を見てるとさ、なんか・・・うん、良かったな、ってさ。
日和:あ・・・はいっ・・・(照れる)
小春(N):シネコンに入って、あらかじめ予約していた座席に、
小春(N):
小春(N):ポップコーンと飲み物を持って、並んで腰掛ける。
日和:(嬉しそうにきょろきょろしていて落ち着かない様子)
小春:日和、ちょっとは落ち着きなよ・・・(苦笑)。
日和:あ、はい・・・えへへ。
小春:お、もうすぐ始まるんじゃない?
日和:そ、そうですね!
小春(N):館内の証明が落ち、上映開始のブザーが鳴る。
小春(N):
小春(N):日和が姿勢を正して、スクリーンに向き直ったのを見て、
小春(N):
小春(N):アタシもスクリーンを見つめる。
小春(N):
小春(N):アタシが想像していたよりも濃密な物語。
小春(N):
小春(N):90分の上映時間は、あっという間だった。
-----間(上映終了後の館内)-----
日和:(感動で泣いてる)
小春:日和、涙をふいて、ほら。
日和:ううう・・・お姉ちゃん見ましたか?
日和:
日和:筆談と覚えたての手話で、耳の聞こえないほたるちゃんに、
日和:
日和:必死に気持ちを伝える隼哉(しゅんや)君のシーン!
小春:うんうん、アレは良かったね。夕焼けの波打ち際っていうところも、素敵な場所だったね。
日和:はい!もうあのシーンで私、涙腺が壊れちゃって・・・ううう(また泣き出す)
小春(N):夕焼けの波打ち際。筆談ボードに「本気で、好き、なんだよ!」って
小春(N):
小春(N):書いて見せて告白するシーンでは、不覚にもアタシまで泣きかけた始末だ。
小春(N):
小春(N):ちなみに「とりぷれった!」にはもう一人ヒロインがいて、その子は隼哉に
小春(N):
小春(N):フられながらも隼哉とほたるを応援するわけだが・・・それはまた別のお話。
小春(N):
小春(N):さて、シネコンを出て、文具店に向かうアタシたち。
小春:えーっと、何が要(い)るんだっけ・・・シャーペンにボールペンでしょ、
小春:
小春:ペンケースに定規、それから・・・コンパス、分度器・・・あー・・・っと・・・。
日和:お姉ちゃん、わたし、ペンケースこれがいいです!
小春:んー?いいんじゃない?でも他にもいいのがあるかもしれないからよく・・・
日和:(小春にかぶせて)これが、いいです!
小春:あっ、はい・・・。
小春(N):こうなるとテコでも動かないのが日和なのであきらめる。
小春(N):
小春(N):ちなみにペンギン柄だ・・・どんだけ好きなの・・・。
小春(N):
小春(N):ひととおりの買い物を済ませて、家に帰ろうとした時だった。
日和:ぉ・・・んん?
小春:日和、どしたー?
日和:お姉ちゃん、えと・・・。
小春(N):振り返って見ると、日和のスカートのすそを「きゅっ」とつかむ、
小春(N):
小春(N):幼い女の子が立っていた。
日和:(女の子に)どうしたの?
女の子:・・・?
小春:お母さんか誰かと間違えたのかね・・・?
小春(N):そう言うと日和は、女の子に目線を合わせてしゃがみ、
小春(N):
小春(N):女の子に話しかける。
日和:(優しく)どーしたの?お母さんとはぐれちゃった?
女の子:・・・うん・・・(突然ぐずりだす)ママぁ・・・!
小春:あー・・・これ面倒なパターンだ・・・。
日和:お姉ちゃん、そういうこと言わないの!
小春:(N)肩をすくめて、周囲を見渡すが、この子を探しているような人の姿はない。小春:日和、迷子センターに連れていこう?
日和:そうですね・・・(女の子に)自分の名前とか、分かるかな?
日和:
日和:お姉ちゃんたちに教えてくれる?
女の子:ひむろ・・・さき・・・ごさい・・・
日和:ひむろ、さきちゃん、だね!おっけー!それじゃ、ママがいるかもしれないところに行ってみよう!
女の子:うん・・・
日和:絶対、大丈夫、だからね!お手々つなごうか~!
小春:うーん・・・日和の意外な才能・・・。
小春(N):迷子センターに到着し、係員さんにこれまでの経緯を説明したところ、
小春(N):
小春(N):館内放送で呼び出してもらえることになった。
日和:今ねー、ママのこと呼んでもらってるんだよ~?でも、もうちょっと待っていないといけないの。
さき:(不安そうに)ママ、帰っちゃったの?
小春:そんなことないさ。さきちゃんのママは今までそんなことしたことないだろ?
さき:うん・・・
小春:だったら、大丈夫だ。今頃こっちに来てるところだよ。
日和:そそそ、絶対、ぜーったい大丈夫だからね!
小春(N):ほどなくして、さきちゃんのママが迷子センターに到着すると、
小春(N):
小春(N):ダッシュでママに抱き着くさきちゃんなのだった。はぁ・・・一件落着だな・・・。
さき:おねえちゃんたち、ありがとーっ!
日和:さきちゃん、ばいばーい!
小春:・・・日和、あんたさー?
日和:はい?
小春:保育士さんとかそういうの、向いてるかもね。
日和:?
小春:こてん、と首をかしげる日和。ピンときてないっぽいな。
日和:保育士さんは・・・どぉだろ・・・。
日和:
日和:わたし、お姉ちゃんのそばで研究のお手伝いをする、って決めてるから・・・。
小春:そう、だったね。ゴメン、ヘンなこと言ったね。
日和:ううん、お姉ちゃんは私のこといつも考えてくれてるの、知ってるから!
小春:(N)そこで、親子がいなくなった迷子センターの入り口を見つめて、日和が小さく呟いた。
日和:・・・家族か~・・・いいな・・・。
小春:アンタもいずれは誰かと結婚とかするのかねー。
日和:うーん・・・どうだろー。でもお姉ちゃんが先に結婚してくれないと!
小春:あー、アタシはいいの。そう言うの今は興味ないからね。
日和:そんなこと言ってると、あっという間におばあちゃんになっちゃうよ!
小春:あー、んじゃあアタシが結婚しないと日和もおばあちゃんだなー
日和:もー、お姉ちゃんってば・・・!
二人:(笑う)
小春:(N)日和の家族への憧れを聞くと、胸が痛むけれど。アタシは何よりも、日和を幸せにすることを考える、そのことを改めて胸に刻む、そんな一日になった。
-おしまい-