台本概要
302 views
タイトル | 詰まり。 |
---|---|
作者名 | 音佐りんご。 (@ringo_otosa) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
この胸につっかえる気持ちはなんだろう、愛? ……それとも。 微ホラー微グロの微ラブコメディです。 《あらすじ》 水道が詰まってしまったと呼び出された後輩が、先輩の期待に応えるため頑張る。 文字数約3,000字 302 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
菅田 | 男 | 51 | 菅田 遼太朗(すだ りょうたろう) 花園に思いを寄せる。 |
花園 | 女 | 45 | 花園 悠奈(はなぞの ゆうな) おしとやかな雰囲気の先輩。菅田を頼りにしている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:詰まり。
この胸につっかえる気持ちはなんだろう、愛? ……それとも。
微ホラー微グロです。
:
0:《あらすじ》
0:水道が詰まってしまったと呼び出された後輩。先輩の期待に応えるため頑張る。
:
0:《登場人物》
菅田:菅田 遼太朗(すだ りょうたろう)
菅田: 花園に思いを寄せる。
花園:花園 悠奈(はなぞの ゆうな)
花園: おしとやかな雰囲気の先輩。菅田を頼りにしている。
:
0:◆◇◆
:
0:洗面所。
0:菅田が排水口に菜箸を突っ込んでいる。
0:花園それを後ろから見守る。
:
菅田:あー、駄目っすね。これ完全に詰まってますよ先輩。
花園:そう、なんとかならない? 菅田くん。
菅田:一応頑張ってはみますけど、うーん、思ったより深くって、たぶん業者さん呼ばないとどうしようもないんじゃないかなぁ。
花園:それは……困るかな。私、ほら、知らない人家に入れるの苦手だから、その、怖くって。
菅田:そうっすよね、花園先輩。すみません。
花園:そんな、菅田くんが謝ること無いよ。むしろ私は「いつもありがとう」ってお礼言わなきゃいけないくらい。菅田くん、困ったときはいつも助けてくれるもん。
菅田:いえいえ、先輩にはいつもお世話になってますからね。こうして恩返しが出来る機会があって嬉しいっす。
花園:菅田くん……。
菅田:は、花園先輩……あ、な、なんか長いもの無いっすか?
花園:長いもの?
菅田:そうです、菜箸じゃちょっとこれ以上は厳しいんですよね。
花園:長いものかぁ。
菅田:あ、この前のバーベキューの時の串とかどうでしょう?
花園:……バーベキューの、串。
菅田:そうですそうです。鉄のやつ。確かあれ、花園先輩が用意されてましたよね。
花園:……確かに用意したけど、あれは……あれは、うん、残念だけど捨ててしまったから。もうないよ。
菅田:あ、そうなんすね。
花園:まぁ一度使った物だからね。あんまり再利用できないかなって。
菅田:あー、そうっすよねー。うーん、じゃあ、菜箸で頑張るしか無いか。
:
花園:ごめんね、菅田くん。
菅田:え?
花園:迷惑かけて。
菅田:いえいえ、迷惑だなんてそんな。
菅田:困ったときはお互い様っすよ!
花園:でも、やっぱり申し訳ないな。
菅田:さっきも言いましたけど、先輩はいつも良くしてくれてるじゃないですか。これくらいお安いご用っすよ。
花園:私なんて全然……。菅田くんってすごい良い子だから、つい手を出しちゃうっていうか、あ、えっと、あはは、何言ってんだろう私。ごめんね?
菅田:いえ、正直その、嬉しいです。
菅田:あ、それに、やっぱり先輩が頼ってくれて嬉しいっす!
花園:菅田くん。
:
0:間。
:
菅田:……なんて、はは。
菅田:あ、そういえば、何落としたんですか?
菅田:つついたら何か感触はあるんですけど、引っ張り出せなくて、ぴったりはまってる感じですよ。固いような柔らかいような――。
花園:指輪。
菅田:え?
花園:落としたのは、指輪。
菅田:えっと、指輪、ですか?
菅田:あの、それは、どういう……、アクセサリー的な、いや、でも花園先輩あんまりそういうの……。
花園:菅田くん?
菅田:あ、いや……先輩の大事なものっすよね!
花園:そう、とっても……大事な物。だからごめんね菅田くん。お願い、頑張って取って欲しい。ダメかな?
:
0:間。
:
菅田:そっか……。うぅん、じゃあ頑張ってとらないとっすね!
花園:菅田くん、ありがとう! 大好き!
菅田:だ!? あ、えっと、俺も花園先輩のことす、すきです……あー!
菅田:それにしても指輪なんて、水道管に引っ掛かるものなんですね!
花園:私ちょっと、油断してて……落ちちゃった。
菅田:いや、でも、だとしたらこればっかりは引っ掛かってくれて良かったのかもです。
花園:良かったって?
菅田:だって、流れちゃったら大変ですからね。
花園:あー、確かに。
菅田:不幸中の幸いってやつですよ。
花園:そう、だよね、うんラッキーかも知れないね……。
菅田:あぁ、先輩そんな顔しないでくださいよ!
花園:え?
菅田:僕がなんとかするっす!
花園:……うん。ほんとにラッキー。知覚に菅田くんが居てくれて。
菅田:は、花園先輩?! か、からかわないでくださいよ、もう! ほ、ほら、頑張って取るのに集中しないとでしょ?
花園:ふふふ、ごめんね。でも、ラッキーっていうのは心からそう思うよ、ほんとに、ついてる。
花園:お礼考えとかないとね。
菅田:お礼だなんてそんな。いいですよ。
花園:だめだめ。ちゃんとお礼しないと気が済まないもの。じゃないと私、菅田くんのこと嫌いになっちゃうかも。
菅田:え、それはどうして……?
花園:負い目があると、どうしても、距離を感じちゃって、そしたら私その人のこと避けるようになっちゃうから。
菅田:あー、なんとなく分かりますけど、それは寂しいですね。
花園:でしょ? だから、菅田くんは私の恩返しを甘んじて受け入れてください。
菅田:仰せのままに。
花園:うむ、よろしい。
花園:じゃあ、そうだな~、ごはんなんてどう?
菅田:ごはん?
花園:お礼といえば、食事でしょ? ごちそうしてあげる!
菅田:まぁ、そうですね、でもいいんですか、だって指輪の……。
花園:気にしないで。私がしたいからそうするんだもん。
菅田:そうですか。ちなみに、何を奢ってくれるんですか?
花園:実は私、今肉料理に嵌まってて……。
菅田:肉料理、意外ですね。ステーキとかですか?
花園:うん、そうだね。ステーキ良いよね。最近いい包丁買ったから、美味しく焼けるようになったんだ。
菅田:あ、ごちそうって、手料理のことだったんですね!?
花園:もしかして、嫌? だったら外食でも良いけど……。
菅田:いや、そんなこと無いっす! めっちゃ嬉しいっす!
花園:そう! 良かった!
花園:折角、うちまできてくれたんだから、食べてって。
菅田:ありがとうございます。
花園:実は、昨日から仕込んであるんだ。
菅田:そうなんですか?! ていうか、本格的ですね!
花園:じゃあ、ちょっと焼いてくるね。楽しみにしてて!
菅田:はいっす!
:
0:花園、去る。
:
菅田:……花園先輩の手料理。うわぁ、すごい、嬉しい。……叶わぬ恋と知りながらも、やっぱり嬉しい物は嬉しいよな。いや、でも待て、さっき大好きって、もしかしたら……いや、でも、うーん。
菅田:ま、考えても仕方ない。大好き嬉しい。手料理嬉しい。今はそれで良いじゃ無いか。
:
0:キッチンから肉の焼ける音がする。
0:匂いが漂う。
:
菅田:うわぁ、すごい良い匂いしてきた。これは、早く終わらせないとな。よし! 頑張ろう!
菅田:にしても、どんな詰まり方してるんだろ?
:
0:菅田、手元の菜箸をかちゃかちゃと操る。
:
菅田:んん?
菅田:せんぱーい! なんか、固いところと柔らかいところがある感じなんですけど! もしかして何か一緒に引っ掛かってるんですかね?
花園:(声)あ、ごめーん、もしかしたら、いっしょにゴミとか詰まってるかも。
菅田:あはは、先輩、排水溝は網とか付けといた方がいいっすよ?
花園:(声)わー恥ずかしい……!
菅田:はは、……可愛い。
菅田:……ん?
:
0:菅田の菜箸が何かを掴む。
:
菅田:あ、掴めたかも!!
花園:(声)ほんと!?
菅田:はい! ……よし、じゃあ引っ張り出しますね!
菅田:ゆっくり、慎重に……。
花園:(声)頑張って!
:
0:間。
:
菅田:よし、とれた!
菅田:指輪!
菅田:と…………え。
花園:お疲れ様。
菅田:先輩。ちょ、え、
花園:焼けたよ。
菅田:先輩、
:
菅田:え、これ指……
:
0: 《幕》
0:詰まり。
この胸につっかえる気持ちはなんだろう、愛? ……それとも。
微ホラー微グロです。
:
0:《あらすじ》
0:水道が詰まってしまったと呼び出された後輩。先輩の期待に応えるため頑張る。
:
0:《登場人物》
菅田:菅田 遼太朗(すだ りょうたろう)
菅田: 花園に思いを寄せる。
花園:花園 悠奈(はなぞの ゆうな)
花園: おしとやかな雰囲気の先輩。菅田を頼りにしている。
:
0:◆◇◆
:
0:洗面所。
0:菅田が排水口に菜箸を突っ込んでいる。
0:花園それを後ろから見守る。
:
菅田:あー、駄目っすね。これ完全に詰まってますよ先輩。
花園:そう、なんとかならない? 菅田くん。
菅田:一応頑張ってはみますけど、うーん、思ったより深くって、たぶん業者さん呼ばないとどうしようもないんじゃないかなぁ。
花園:それは……困るかな。私、ほら、知らない人家に入れるの苦手だから、その、怖くって。
菅田:そうっすよね、花園先輩。すみません。
花園:そんな、菅田くんが謝ること無いよ。むしろ私は「いつもありがとう」ってお礼言わなきゃいけないくらい。菅田くん、困ったときはいつも助けてくれるもん。
菅田:いえいえ、先輩にはいつもお世話になってますからね。こうして恩返しが出来る機会があって嬉しいっす。
花園:菅田くん……。
菅田:は、花園先輩……あ、な、なんか長いもの無いっすか?
花園:長いもの?
菅田:そうです、菜箸じゃちょっとこれ以上は厳しいんですよね。
花園:長いものかぁ。
菅田:あ、この前のバーベキューの時の串とかどうでしょう?
花園:……バーベキューの、串。
菅田:そうですそうです。鉄のやつ。確かあれ、花園先輩が用意されてましたよね。
花園:……確かに用意したけど、あれは……あれは、うん、残念だけど捨ててしまったから。もうないよ。
菅田:あ、そうなんすね。
花園:まぁ一度使った物だからね。あんまり再利用できないかなって。
菅田:あー、そうっすよねー。うーん、じゃあ、菜箸で頑張るしか無いか。
:
花園:ごめんね、菅田くん。
菅田:え?
花園:迷惑かけて。
菅田:いえいえ、迷惑だなんてそんな。
菅田:困ったときはお互い様っすよ!
花園:でも、やっぱり申し訳ないな。
菅田:さっきも言いましたけど、先輩はいつも良くしてくれてるじゃないですか。これくらいお安いご用っすよ。
花園:私なんて全然……。菅田くんってすごい良い子だから、つい手を出しちゃうっていうか、あ、えっと、あはは、何言ってんだろう私。ごめんね?
菅田:いえ、正直その、嬉しいです。
菅田:あ、それに、やっぱり先輩が頼ってくれて嬉しいっす!
花園:菅田くん。
:
0:間。
:
菅田:……なんて、はは。
菅田:あ、そういえば、何落としたんですか?
菅田:つついたら何か感触はあるんですけど、引っ張り出せなくて、ぴったりはまってる感じですよ。固いような柔らかいような――。
花園:指輪。
菅田:え?
花園:落としたのは、指輪。
菅田:えっと、指輪、ですか?
菅田:あの、それは、どういう……、アクセサリー的な、いや、でも花園先輩あんまりそういうの……。
花園:菅田くん?
菅田:あ、いや……先輩の大事なものっすよね!
花園:そう、とっても……大事な物。だからごめんね菅田くん。お願い、頑張って取って欲しい。ダメかな?
:
0:間。
:
菅田:そっか……。うぅん、じゃあ頑張ってとらないとっすね!
花園:菅田くん、ありがとう! 大好き!
菅田:だ!? あ、えっと、俺も花園先輩のことす、すきです……あー!
菅田:それにしても指輪なんて、水道管に引っ掛かるものなんですね!
花園:私ちょっと、油断してて……落ちちゃった。
菅田:いや、でも、だとしたらこればっかりは引っ掛かってくれて良かったのかもです。
花園:良かったって?
菅田:だって、流れちゃったら大変ですからね。
花園:あー、確かに。
菅田:不幸中の幸いってやつですよ。
花園:そう、だよね、うんラッキーかも知れないね……。
菅田:あぁ、先輩そんな顔しないでくださいよ!
花園:え?
菅田:僕がなんとかするっす!
花園:……うん。ほんとにラッキー。知覚に菅田くんが居てくれて。
菅田:は、花園先輩?! か、からかわないでくださいよ、もう! ほ、ほら、頑張って取るのに集中しないとでしょ?
花園:ふふふ、ごめんね。でも、ラッキーっていうのは心からそう思うよ、ほんとに、ついてる。
花園:お礼考えとかないとね。
菅田:お礼だなんてそんな。いいですよ。
花園:だめだめ。ちゃんとお礼しないと気が済まないもの。じゃないと私、菅田くんのこと嫌いになっちゃうかも。
菅田:え、それはどうして……?
花園:負い目があると、どうしても、距離を感じちゃって、そしたら私その人のこと避けるようになっちゃうから。
菅田:あー、なんとなく分かりますけど、それは寂しいですね。
花園:でしょ? だから、菅田くんは私の恩返しを甘んじて受け入れてください。
菅田:仰せのままに。
花園:うむ、よろしい。
花園:じゃあ、そうだな~、ごはんなんてどう?
菅田:ごはん?
花園:お礼といえば、食事でしょ? ごちそうしてあげる!
菅田:まぁ、そうですね、でもいいんですか、だって指輪の……。
花園:気にしないで。私がしたいからそうするんだもん。
菅田:そうですか。ちなみに、何を奢ってくれるんですか?
花園:実は私、今肉料理に嵌まってて……。
菅田:肉料理、意外ですね。ステーキとかですか?
花園:うん、そうだね。ステーキ良いよね。最近いい包丁買ったから、美味しく焼けるようになったんだ。
菅田:あ、ごちそうって、手料理のことだったんですね!?
花園:もしかして、嫌? だったら外食でも良いけど……。
菅田:いや、そんなこと無いっす! めっちゃ嬉しいっす!
花園:そう! 良かった!
花園:折角、うちまできてくれたんだから、食べてって。
菅田:ありがとうございます。
花園:実は、昨日から仕込んであるんだ。
菅田:そうなんですか?! ていうか、本格的ですね!
花園:じゃあ、ちょっと焼いてくるね。楽しみにしてて!
菅田:はいっす!
:
0:花園、去る。
:
菅田:……花園先輩の手料理。うわぁ、すごい、嬉しい。……叶わぬ恋と知りながらも、やっぱり嬉しい物は嬉しいよな。いや、でも待て、さっき大好きって、もしかしたら……いや、でも、うーん。
菅田:ま、考えても仕方ない。大好き嬉しい。手料理嬉しい。今はそれで良いじゃ無いか。
:
0:キッチンから肉の焼ける音がする。
0:匂いが漂う。
:
菅田:うわぁ、すごい良い匂いしてきた。これは、早く終わらせないとな。よし! 頑張ろう!
菅田:にしても、どんな詰まり方してるんだろ?
:
0:菅田、手元の菜箸をかちゃかちゃと操る。
:
菅田:んん?
菅田:せんぱーい! なんか、固いところと柔らかいところがある感じなんですけど! もしかして何か一緒に引っ掛かってるんですかね?
花園:(声)あ、ごめーん、もしかしたら、いっしょにゴミとか詰まってるかも。
菅田:あはは、先輩、排水溝は網とか付けといた方がいいっすよ?
花園:(声)わー恥ずかしい……!
菅田:はは、……可愛い。
菅田:……ん?
:
0:菅田の菜箸が何かを掴む。
:
菅田:あ、掴めたかも!!
花園:(声)ほんと!?
菅田:はい! ……よし、じゃあ引っ張り出しますね!
菅田:ゆっくり、慎重に……。
花園:(声)頑張って!
:
0:間。
:
菅田:よし、とれた!
菅田:指輪!
菅田:と…………え。
花園:お疲れ様。
菅田:先輩。ちょ、え、
花園:焼けたよ。
菅田:先輩、
:
菅田:え、これ指……
:
0: 《幕》