台本概要

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タイトル ハニードロップは卒業したい
作者名 橘りょう  (@tachibana390)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1)
時間 40 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 この世界は魔法少女と怪物が日常の、極々平凡な世界。
そんな世界の片隅でお見合いのために向き合う男女の姿…
三十路の魔法少女は早く卒業したいのです。

読み手の性別は不問ですが、魔法妖精のキャラだけは確実に抑えて頂きたいです。

作品名、作者名、台本へのリンクの表記をお願いいたします。
余裕があれば後でも構わないのでTwitterなどで教えて下さると嬉しいです、
アーカイブが残っていたら喜んで聴きに行かせていただきます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
美雪 201 この街担当の魔法少女。三十路を過ぎて結婚に焦りを感じている。
143 あきら。魔法少女ヲタク。半分騙されるように見合いの席にきた。
ももピ 不問 78 魔法少女のサポート?をする妖精。低い渋い声をしている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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美雪:「あ、あのぅ…」 彰:「は、はいっ」 美雪:「あっと…あはは…」 彰:「ははは…」 美雪:「こ、こういう時って、どんなお話すれば良い…んですかね…」 彰:「そ、そうですね…その…」 美雪:「……」 彰:「す、すみません…」 美雪:「きゅ、急に2人でごゆっくり〜とか言われても、困っちゃい…ます、よね…」 彰:「そ、うですね…」 美雪:「……」 彰:「……」 美雪:「え、と…」 彰:「しゅ、趣味…とか、ですかね…」 美雪:「あっ、あー…そう、ですね…」 彰:「その、美雪さんのご趣味は…」 美雪:「えっと…あっ、映画鑑賞…とか」 彰:「映画、良い、ですね。どんなジャンルお好きなんですか?」 美雪:「れ、恋愛とか、ですね」 : 美雪:『30すぎて恋愛映画ばっかり見てる痛い女とか思われそうぅ!他に言えるような趣味?そんなもの無い無い!そもそも映画も一年に数回、話題について行く為に人気作品観に行くだけだし?これで突っ込んだ話とか振られたら即詰むやつなんだけどぉ?!』 : 彰:「僕も、映画は…好きですね」 美雪:「そうなんですか?じゃ、じゃあどんなジャンルを…」 彰:「僕は…動物モノとか、好きで…」 美雪:「動物モノ、いいですね」 彰:「なんか動物って純粋というか、可愛いなぁって」 美雪:「犬とか猫、お好きですか?」 彰:「あっはい!犬が大好きで…」 美雪:「私も好きです」 彰:「あー、同じですね!」 美雪:「そうですね」 彰:「あ、はははっ…」 美雪:「ははは…」 彰:「……」 美雪:「……」 彰:「えっと、その…美雪さんはスポーツとか…されてますか?」 美雪:「えっ?スポーツ…いえ、特には…」 彰:「そ、そうなんですか?スタイル良さそうだなーとか…」 美雪:「あ、ありがとうございます。その、特に運動ってしては無いんですけど…定期的に体を動かしてると言うか…」 彰:「そ、そうなんですか。健康的でいいですね、僕なんて全然引きこもってばかりで…」 美雪:「いや、私も休日なんてそんなものですよ〜」 彰:「あぁ、そうなんですね…」 美雪:「家事とかも、必要に迫られて、程度のレベルで…」 彰:「家事って、大変ですもんね」 美雪:「え」 彰:「その、僕…料理は好きで…得意ってんじゃないんですけど」 美雪:「素敵ですね、お料理できる男性って、憧れます」 彰:「そ、そうですか。ありがとうございます」 美雪:「えぇ…あはは…」 彰:「ははは…」 美雪:「…ほ、他には…」 彰:「あっ、あのッ!」 美雪:「は、はいっ?!」 彰:「…その、隠してても、いい事無いと思うのでっ!」 美雪:「え…」 彰:「判断基準というか、そういうのもお知らせしなきゃって、思って…」 美雪:「は、はぁ…」 彰:「あのッ!ぼ、僕っ…」 美雪:「……」 彰:「お、ヲタクなんですっ!」 美雪:「ヲ、タク…」 彰:「…はい」 美雪:「その、アニメヲタクとか、ゲームヲタクとかいう…その、ヲタク?」 彰:「はい…!」 美雪:「あっ、でもほら、最近は結構オープンなんじゃないかなって思うんですよ」 彰:「え…」 美雪:「元々ヲタクって言葉、そのジャンルに対してすごく詳しい人とかを指す意味でしたよね!いつの間にか、マイナスのイメージ的な…」 彰:「そ、そうですね…」 美雪:「あの、私は特に…その他人様に迷惑かけないとかなら、全然…平気というか…」 彰:「そ、そうなんですか…?」 美雪:「私も漫画とか読みますし、好きな作品ならアニメとか観ますし!」 彰:「……」 美雪:「その、普段の服装が全部アニメグッズとかだったらちょっと恥ずかしいかもしれないですけど…」 彰:「あのっ!」 美雪:「はいっ」 彰:「あ、アニメじゃなくて…」 美雪:「す、すみません」 彰:「その…美雪さんは、この街担当の魔法少女、ハニードロップをご存知ですか…?」 美雪:「………知ってます」 彰:「ぼっ、僕!その、魔法少女が大好きで、めちゃくちゃ応援してるんです!」 美雪:「そう、なんですねぇ…」 彰:「あんな華奢な女の子が、どこからともなく現れる謎の怪物から街を守ってくれてるんですよ!めちゃくちゃ凄くないですか?!別の街って結構世代交代的なのがあったりするんですけど、ここの街はもうずっと同じ子が担当してるんですよ!魔法少女って年取らないのかなぁ…僕が知ってる限り昔っから可愛いまんまで…!」 美雪:「……」 彰:「すっ、すみません!!ちょっと熱くなっちゃって…」 美雪:「い、いえ…!そのー…すごくお好きなんですね、魔法少女…ハニードロップ」 彰:「はいっ!」 美雪:「その、私詳しくないんですけど…」 : :アラームが鳴り出す : 美雪:「ひゃあんっ!」 彰:「ど、どうされました」 美雪:「ちょ、ちょっとびっくりして…あ、すみません私ちょっとずっと緊張してたせいか、お腹痛くなっちゃって…ちょっと御手洗に…」 彰:「あ、どうぞ!すみません気が付かなくて…」 美雪:「すみません、ちょっと失礼、ほほほ…」 : : ももピ:「遅いッピよ、美雪!」 美雪:「ももぴ、あんたねっ!見てわかんない?!この格好!」 ももピ:「成人式の前撮りか何かかっピ?」 美雪:「んなわけあるかぁ!もう十年前に終わったわ!」 ももピ:「まぁ知ってたけど…ッピ」 美雪:「くっそ腹立つな!お見合いだよお見合い!」 ももピ:「破綻したかっピ?」 美雪:「途中だよ!今はまさに真っ最中だよ!今日は呼び出ししないでって言ったじゃん!」 ももピ:「それはももピに言われてもどうしようもないっピな〜。怪物は神出鬼没だっピ。さっさと済ませて戻れば良いだけだっピ」 美雪:「分かってるわよっ!さっさと変身ステッキ出してよっ!」 ももピ:「やる気があって嬉しいっピ〜」 美雪:「ちがぁぁう!」 ももピ:「じゃあなんなんだっピ?」 美雪:「婚姻などの大きな生活環境の変化以外での魔法少女引退は不可、って訳わかんない契約内容のせいでしょうが!」 ももピ:「さっさと彼氏作って結婚するし〜って言ってたのはそっちじゃなかったっピか?」 美雪:「その当時はそう思ってましたァァ!」 ももピ:「さぁ、出陣だッピ!ハニードロップ!」 美雪:「この姿の時にその呼び方やめて!」 : 美雪:「ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「パステルリボンで、みんなの笑顔を可愛くデコレーション!愛と勇気と正義のエンジェル、魔法少女ハニードロップ!」 美雪:「あなたの寂しい心、私がハッピーにしてあげる」 : 美雪:『あぁぁあっ!痛い!痛すぎる!30過ぎてからこのセリフは痛すぎるっ!ダメージでかいっ!』 : ももピ:「美雪はラブリーステッキで、魔法少女ハニードロップに変身するっピ。魔法少女になることで超人的な力を得て、この街に突如現れる怪物をバッタバッタとなぎ倒す。それが美雪に課せられた使命だっピ! ももピ:ちなみに変身中は魔法少女のイメージを壊さない為に、30越えた美雪でも少女の姿に若返るオマケ付きだっピ!」 美雪:「初見向けの説明的セリフやめいっ!」 ももピ:「メタ発言は禁止だっピよ〜」 美雪:「お前が言うなぁ!」 ももピ:「気が短いっピなぁ…更年期か?」 美雪:「怪物の前にあんた潰した方が良さそうなんだけど?!」 ももピ:「おっと、口が滑ったっピ」 美雪:「こンの怪物野郎っ!人のお見合い邪魔してんじゃ…ないわよっ!おっりゃぁあああ!!」 ももピ:「…す、すごいっピ…!まさか一撃で…」 美雪:「私っ!戻るからっ!!」 ももピ:「結婚という人参に食いつこうとする暴れ馬っピねぇ。人間の執念、パねぇな…」 美雪:「何か言ったぁ?!」 ももピ:「なんでもないっピよ〜」 美雪:「マジでもう今日は呼ばないでねっ!」 ももピ:「だからそれは怪物に言って欲しいっピよ〜。お疲れっピ〜」 美雪:「腹立つぅっ!声が良いだけにくそむかつくぅ!変身解除っ!」 : : 美雪:「はぁ…はぁ…」 彰:「あ、あの、大丈夫です…か?」 美雪:「す、すみません…おまたせ、しちゃって…」 彰:「いえ、全然。体調、悪いとかじゃないですか?無理は…」 美雪:「いえ、そんなじゃなくて…本当に…」 彰:「座りましょうか…?」 美雪:「そ、そうですね…」 彰:「お茶どうぞ…」 美雪:「すみません…ありがとうございます…」 彰:「あの、本当に体調悪いとかじゃないですか?なんならもうお開きでも…」 美雪:「いえっ、その…せっかくの機会ですし大丈夫です!ご迷惑でなければ、もう少しお話出来たら…」 彰:「…良いんですか?」 美雪:「えっ?」 彰:「いや…その、自分で言うのもなんなんですけど…僕って陰キャで話題とかそんな振ったり出来ないし、正直全然女性とお付き合いとか…その、経験がなくて、ただのヲタクで…」 美雪:「…でも、とても気遣ってくださってますよね。そういう…優しいところって素敵だなって、思うんです。それに…ちゃんと言わなきゃって、正直にお話してくださったし…」 彰:「いや、そんな大した事じゃないんですけど…」 美雪:「あのッ、私も…社交的かって言われたらそうでも無いし、ご迷惑なようでしたら…」 彰:「いや、迷惑だなんて…その、えっと…」 美雪:「あの…」 : :アラームが鳴りだす : 美雪:「ひぃん!」 彰:「な、なんですか?」 美雪:「嘘でしょぉ…」 彰:「美雪さん?」 美雪:「す、すみません!またお腹が…」 彰:「大丈夫ですか?」 美雪:「すぐ戻りますので…本当にごめんなさい!」 : : ももピ:「おっ!今度は早かったっピな〜」 美雪:「だからっ!呼ぶなって!言ったじゃん!こっちはお見合いの真っ最中なの!わかる?!」 ももピ:「それを言われても困るんだなぁ…ピ」 美雪:「なんで目を逸らした?!」 ももピ:「なんでもないっピ」 美雪:「嘘つけっ!絶対なにか隠してるでしょ!」 ももピ:「それよりも今は怪物退治だっピ〜。行け、ハニードロップ!」 美雪:「だからー!この姿の時にそれ呼ぶの、本っ当にやめて!」 : 美雪:「ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「パステルリボンで、みんなの笑顔を可愛くデコレーション!愛と勇気と正義のエンジェル、魔法少女ハニードロップ!」 美雪:「あなたの寂しい心、私がハッピーにしてあげる」 : 美雪:『一日に二回はきつい!体力的にもだけどメンタルのダメージがデカすぎるっ!絶対お見合い成功させて結婚にこぎつけないと私が死ぬ!社会的に死ぬ!』 : ももピ:「今日は気合い入ってるっピな〜。やっぱり正義の味方は追い込まれてこそ、真の力を発揮するっピな、うんうん。予想通りだな…っピ」 美雪:「人のー!邪魔をー!するなぁぁ!!」 ももピ:「…これは、面白いっピな」 美雪:「はぁ…はぁ…じゃあ私!戻るから!」 ももピ:「おっつかれ様だっピ〜」 : : 美雪:「ぜぇ…ぜぇ…」 彰:「あ、あの…」 美雪:「ご、ごめんなさい…何度も…」 彰:「辛そうですね、やっぱり今日は、もうお開きにしませんか?」 美雪:「…本当にすみません、何度も中座しちゃって…」 彰:「いえ、その…僕も緊張してトイレ行きたくなったりってあるから、気にしないでください」 美雪:「…ごめんなさい…」 彰:「あの、それで…もし良かったら…こういう改まった場所じゃなくて…もっと気楽にお会い…したいなって…」 美雪:「えっ…」 彰:「その、正直に言いますね!僕今日、叔母さんに半分騙されたみたいな感じで…ちょっと顔合わせて話して帰ればいいのよーとか言われてて…こんなしっかりしたお見合いって思ってなくて」 美雪:「そ、そうなんですか…?」 彰:「とりあえずスーツ着ていきなさいって送り出されて、そしたらその、美雪さんはちゃんと着物で来られてるし…気乗りしなかったら断ればいいなんて言われたけど、そんな簡単に言える感じでもなくて…」 美雪:「……」 彰:「だから…中途半端というか、全然真面目に結婚前提でどうとか考えてなかったんです!ごめんなさいっ!」 美雪:「えと…」 彰:「でも、その…なんかもうちょっとお話したいなって思って…今日はきっとこういう改まった感じで緊張しちゃって、お腹痛くなったのかなーなんて…」 美雪:「……」 彰:「女性とろくに話したことがなくてつまらないかもしれないんですけど…もし、良ければ…その…」 美雪:「あのッ」 彰:「はいっ!」 美雪:「わ、私も…ゆっくりお話できたら…嬉しいです」 彰:「え…」 美雪:「もっと気楽な場の方が…お互いの事とか、よく見えそうじゃないですか?」 彰:「そ、そうですね」 美雪:「何度も中座しちゃって、変な女って思われたかもって…ちょっと心配してたんです」 彰:「いや、それは…僕も面接の時に緊張しすぎでお腹壊したことあって…仕方ないというか…」 美雪:「…ありがとうございます」 彰:「その、連絡先交換しませんか」 美雪:「良いですよ、ぜひ」 彰:「どうぞ、これ僕のIDです」 美雪:「じゃあ読み込んで…。嬉しいです」 彰:「僕もつまらないヤツって思われてるかなって…」 美雪:「そっ、そんなことは…!私の方が全然上手くお話とかできなくて、気も利かないし…」 彰:「あ、ははは…」 美雪:「ふふふっ」 彰:「なんか、僕たち…似てるのかもしれませんね」 美雪:「そう、ですね。ふふふっ」 : :アラーム音が鳴り出す : 美雪:「ふっぐぅ!」 彰:「ど、どうされました?!」 美雪:「冗談キツイ…」 彰:「美雪さん?」 美雪:「えっと、そのッ!あっ!連絡!また後でしますので!」 彰:「は、はぁ…」 美雪:「ごめんなさい、本当に…!楽しかったです!ではっ!」 彰:「あっ、美雪さん!…行っちゃった…足、早いんだな…。あれ?」 : : 美雪:「もーもーピぃい…!!」 ももピ:「おっご到着だっピか」 美雪:「ねぇ、ちょっと今日おかしくない?!三回って。三回って!それもこんなに短いスパンで三回、ありえなく無い?!」 ももピ:「そんなことを言われても困るピなぁ…」 美雪:「よりによって今日だよ?変じゃん!」 ももピ:「…案外、この撒き餌効果あるピな…」 美雪:「は?!今なんて言った?!」 ももピ:「何も言って無いピ」 美雪:「いや絶対嘘でしょ、効果がどうとか聞こえたけど?」 ももピ:「気のせいだっピ」 美雪:「こっちを見ろぉ!」 ももピ:「(口笛を吹いている)」 美雪:「……もうヤダ、しんどい」 ももピ:「何を今更?!折角おびき寄せたのに!」 美雪:「やっぱりかぁ!おかしいと思ったのよ!一日に三回っておかしいもん!」 ももピ:「ももピはー、美雪の活躍する姿をー、見たくてー」 美雪:「こいつ、マジで怪物の前にどうにかしたろか…」 ももピ:「さぁ、ハニードロ(言い終わる前に美雪に掴まれる)ぐえっ」 美雪:「変身前に、それで呼ばないでって…何回言ったっけ?」 ももピ:「…お、覚えて、ないピ…潰れる…」 美雪:「あんたが消えたら私もう変身しなくても良くなるのかなぁ、ふふふ」 ももピ:「ぐえぇ…た、助けて、くださいっピ…」 美雪:「…はぁ(手を離す)」 ももピ:「た、助かった…」 美雪:「…キツイ、ほんとにキツイ。体力もだけど、あの変身する度に言わなきゃいけないクソ恥ずかしいセリフが精神的にキツすぎる」 ももピ:「クソ恥ずかしいとは失礼な!由緒正しい魔法少女への呪文詠唱だっピよ!」 美雪:「ダメージが大きいんだよ!メンタルの!こっちは30過ぎてんの!」 ももピ:「わがままだっピなぁ…もう15年越えのベテランなんだから文句言うなピよ〜」 美雪:「はぁああ……せめて何日かに一回なら我慢できる…一日に三回はもう満身創痍なのよ、メンタルが」 ももピ:「早くしないと街が壊されちゃうピよ!」 美雪:「勝手に壊されてくれぇ…」 ももピ:「仕方ないピな。じゃあ…ほら、ステッキ持って」 美雪:「えぇえ…」 ももピ:「街が壊されるのを知っていて放置したら、魔法少女協会からの報酬が下がるっピよ?それでもいいっピか?!」 美雪:「それは困る…」 ももピ:「じゃあ、ステッキを構えて…」 美雪:「…こう?」 ももピ:「魔法少女、強制変身っ!」 美雪:「(変身)…へあっ?!ちょい待ってよ!こんなこと出来るならもっと早くにこれやっといてよ!」 ももピ:「えぇ、嫌っピよ。様式美というものを知らないっピか?」 美雪:「そんなもの知るか!何よ、毎回あんなバカみたいなセリフ言う必要なかったじゃん!」 ももピ:「最近短気だっピなぁ。カルシウム足りてないんじゃ無いピか?あんまり怒ってばかりだと小じわが目立…(掴まれる)ぐえっ!」 美雪:「…一度あんたを、あの怪物の口の中に突っ込んでやったら、どうなるのか試してみたいんだけど?」 ももピ:「はっ、早まるなっピ!考え直して欲しいっピ!」 美雪:「生殺与奪の権利って気持ちいいよねぇ…」 ももピ:「ごめんなさいっ!謝るっピ!それに文句は後で、まずは怪物退治だっピよ〜!」 美雪:「ちっ…(手を離す)後できっちり説明してもらうからね?!」 : 美雪:「でぇえーーーいっ!」 : ももピ:「火事場の何とやら…追い込まれた方が今まで以上に実力発揮出来てるっピなぁ…」 美雪:「ぜぇ…ぜぇ…終わった…」 ももピ:「お疲れっピ〜」 美雪:「さぁ、説明しても…」 彰:「ハニードロップ…?」 美雪:「えっ?!」 ももピ:「えっ?!」 : :三者の間に沈黙が流れる : ももピ:「(小声)…誰だっピ?」 美雪:「(小声)私の見合い相手」 ももピ:「(小声)何でそんなやつがここにいるっピ?こんなベタ展開つまらないっピ」 美雪:「(小声)知らないわよっ」 彰:「あ…え、本物…?本物の、ハニードロップ…?」 美雪:「え、えと…」 彰:「本物だっ!ハニードロップたんだ!!!」 美雪:「たん…?」 彰:「ぼ、僕っ!ずっとハニードロップたん応援してて、新聞の小さな記事も全部切り取って残してるんです!街の会報とかも全部残してて、勝手にオリジナルグッズとか作ったりしてて…あっ、もちろん個人用ですから販売とかしてませんから、そこは安心してください。自分だけでこっそり楽しむためだけのグッズですので!抱き枕作った程度ですから!男の僕には絶対なれない魔法少女、こんなに小さくて可愛い子があんな怪物に立ち向かう姿、本気で尊敬してます!サイン!サインください!!」 美雪:「え、は…」 ももピ:「君はハニードロップのファンなのかっピ?」 彰:「う、うわぁ!ももピさんだァ!」 美雪:「も、ももピさん…?」 彰:「魔法少女ファンの中でもももピさんは人気あるんですよ!すごい、本物だ!愛くるしいうさぎのような姿に可愛い口調、なのに渋いイケボを持つ魔法妖精。いつも魔法少女のそばに居て彼女を支えながらもフォローしている陰の実力者!」 ももピ:「…うおっほん。こいつは中々見所のある青年っピな」 彰:「やっぱり声がかっこいい!!」 ももピ:「ふふっ、青年よ。怪物は退治できたが未だ危険地域だ、早めに避難するといい…ピ」 彰:「しびれるゥ!」 ももピ:「魔法少女は見た目は子供、思考は大人。そんな彼女達の活躍がこの街を守るっピ。普段非力な少女だとしても、怪物に立ち向かえる驚異的な力と勇気を与えることが出来る…それが、我々魔法妖精だっピ」 彰:「かっこいい…!」 美雪:「あっ、あの…!ほんとにここはまだ危ないので…、早く避難された方が…」 彰:「あっごめんなさいっ!ずっと大好きなハニードロップたんが目の前にいてテンション上がっちゃって…!やっぱり可愛い!ここの街担当して長いですよね、魔法少女って年取らないんですね、ずっと可愛いまんまだ!」 美雪:「あの、ほんとに…」 ももピ:「そういえば君は何故ここに?」 彰:「あっ、夢中になっちゃってた…。僕、探してる人が居て…」 ももピ:「ん?」 彰:「ここら辺で着物を着た女性を見ませんでしたか?」 美雪:「ふぐっ…」 彰:「落し物見つけて、それで彼女を追いかけてたらここに…」 ももピ:「ほほぅ…」 美雪:「……」 ももピ:「(小声)どうするっピ?」 美雪:「(小声)どうするもこうするも…正体明かす訳にいかないじゃない」 ももピ:「(小声)魔法少女のファンなら美雪の事も受け入れてくるはずだっピよ?」 美雪:「(小声)いや、むしろ夢を壊されて大ダメージの予感しか無いんだけど…」 彰:「あの…邪魔しちゃってほんとすみませんでした。僕これからもめちゃくちゃ応援してるのでっ!その、が、頑張ってください!」 美雪:「あ、ありがとうございます…」 彰:「書くもの無くて…せめて、握手!して貰えませんか?!お願いします!」 美雪:「良い、ですよ」 彰:「ホントですか?!」 美雪:「はい、いつも応援ありがとうございます」 : 握手する二人 : ももピ:「強制変身解除☆」 : 美雪:「……」 彰:「……」 美雪:「…………」 彰:「………え」 ももピ:「おっとうっかり。テヘペロっピ」 美雪:「うっかりなわけあるかぁ!」 彰:「み、ゆきさん…?」 美雪:「違いますっ!」 彰:「いや、思い切り美雪さんじゃないですか!」 美雪:「人違いですぅっ!」 彰:「どういう事ですか?!美雪さんがハニードロップたんなんですか?!」 ももピ:「そうだったっピ〜。ハニードロップの正体は美雪だっピ〜」 美雪:「ももピあんたね!絶対怪物の口ん中に突っ込んでやるっ!」 ももピ:「あんまり怒るとシワが増えるっピよ〜」 彰:「美雪さんっ!(両腕を掴む)」 美雪:「ごっ、ごめんなさいっ!本当にごめんなさい!」 彰:「…どうして、謝るんですか?」 美雪:「だって…大好きな魔法少女が、こんな三十路の女でっ…!大好きなものぶち壊された気持ちでしょ!こんな現実、最悪じゃないですか…!」 彰:「最高ですよ!」 ももピ:「へ?」 美雪:「え…?」 彰:「最高です!」 美雪:「な、にが…?」 彰:「だって、上手く行けば僕の奥さんは魔法少女って事なんですよね?お付き合いとかしてる間は、魔法少女が恋人って事ですよね?!」 美雪:「え?え?」 彰:「さすがに変身した姿で街歩いたら人が殺到してデートなんて出来ませんからね!世を忍ぶ仮の姿でないと大変です!」 美雪:「いや、こっちが現実…」 彰:「ももピさん!」 ももピ:「な、なんだっピ?」 彰:「怪物が現れた時以外って変身しちゃダメなんですか?!撮影会したいからって変身してもらうのはありなんですか?!」 ももピ:「変身ステッキさえあればいつでも可能だっピよ」 彰:「ありがとうございますっ!撮影会!やりましょう!」 美雪:「嫌ですっ!」 彰:「僕だけのポージングって憧れるじゃないですか!お願いします!」 美雪:「恥ずかしいから!嫌だから!」 彰:「僕しか見ません!ほかの人になんて絶対見せません!」 美雪:「いや、そういうことじゃなくて…」 彰:「美雪さんっ!」 美雪:「は、はいっ!」 彰:「お付き合いしてください!」 美雪:「へっ?!」 彰:「結婚を前提に、お願いします!」 美雪:「え、ちょ…」 ももピ:「魔法少女に釣られただけだっピなぁ…」 彰:「決め手はそうかもですけど…でも、それだけじゃないです!」 ももピ:「じゃあもし美雪が魔法少女じゃなくても、結婚を申し込むっピか?」 彰:「…もっとこれからも話をしたいって思ったんです。だから今日、連絡先も交換してもらったし…また会いたいって…」 美雪:「彰さん…」 彰:「もちろん、僕の嫌な面ってこれから先見えてくると思います。改善出来るところはしていきます。もちろん譲れない事もありますけど…ハニードロップたんの追っかけは辞められないし」 ももピ:「ほほぅ…」 彰:「でもっ!美雪さんが魔法少女じゃなくても…前向きにお付き合いとか、していけたらって…」 美雪:「……ぷっ」 彰:「え」 美雪:「あははははっ!」 彰:「あ、あの…」 美雪:「彰さんって自分のこと陰キャとか言ってたけど、全然そんな事ないです!すごく面白いです」 彰:「そ、そうですか…?」 美雪:「…よろしくお願いします」 彰:「っ!ありがとうございます!」 ももピ:「うんうん、これも全てももピの計画通りっピな」 美雪:「何がよ」 ももピ:「強制的に変身解除させたおかげっピ!」 美雪:「…まぁ、結果的に良かったけど、本気であんたの事怪物の口の中に突っ込んでやろうかと思ったのは事実だからね?」 ももピ:「怖いっピ〜美雪が怖い事言うっピ〜」 彰:「ははっ、ハニードロップたんはそんな事しませんよ」 美雪:「たん…。あの、そのハニードロップたんって辞めてもらえ…」 彰:「無理ですね!」 美雪:「そ、そうですか…」 彰:「あの、お願いがあるんですが」 美雪:「はい、なんでしょう?」 彰:「目の前で!変身して貰えませんか?!」 美雪:「え」 彰:「変身する時のあのセリフを!生で!聞きたいんです!」 美雪:「……無理」 彰:「え」 美雪:「無理です」 彰:「なぜ!」 美雪:「いや、もうほんと無理。限界。30越えてあのセリフ、マジでキツイ。メンタルのダメージ大き過ぎる」 彰:「そんな事言わないで!さぁ!」 美雪:「無理!」 彰:「ステッキを振りかざして!なんなら僕も唱えますから!さぁ、ご一緒に!ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「もう魔法少女、嫌だァ!」 ももピ:「なら結婚してしまえばいいっピ」 美雪:「それだ!!」 彰:「え、どういうこと…」 美雪:「彰さん!」 彰:「は、はいっ!」 美雪:「私と結婚してください!」 彰:「へっ?!」 美雪:「これも何かの縁なので!結婚しましょう!」 彰:「よ、喜んで!!」 美雪:「これで卒業出来る…!!」 彰:「そ、卒業…?」 美雪:「周辺地区の魔法少女やってた子は、みんなさっさと結婚して魔法少女協会からの寿退社。なんでみんなあんなに簡単に彼氏作って結婚にこぎ着けるのよ、一体どんな交流してたらそういうご縁ってやつ?それに辿り着けるわけ?でもようやく…!やっと私も卒業だぁ!」 彰:「え、魔法少女卒業…するんですか…?」 ももピ:「婚姻などの大きな生活環境の変化以外での魔法少女引退は不可、とされてるっピ。美雪はずっと早く魔法少女卒業したがってたからな〜」 彰:「……無理」 美雪:「え?」 彰:「無理です」 美雪:「なんで?!」 彰:「推しがいなくなる未来なんて無理です!結婚できません!」 美雪:「ええっ?!」 彰:「ヲタクから好きな物を取り上げるなんて…それはもう悪魔の所業なんですよ!」 美雪:「そこまで?!」 ももピ:「じゃあ結婚してからも魔法少女続ければ良いっピ」 美雪:「…は?」 彰:「出来るんですか?!」 ももピ:「出来るっピよ〜卒業しなかったらいいだけだっピ」 彰:「美雪さん!」 美雪:「嫌です!」 彰:「お願いします!」 美雪:「マジで…もう魔法少女なんて嫌だァァ!!」 : : :END

美雪:「あ、あのぅ…」 彰:「は、はいっ」 美雪:「あっと…あはは…」 彰:「ははは…」 美雪:「こ、こういう時って、どんなお話すれば良い…んですかね…」 彰:「そ、そうですね…その…」 美雪:「……」 彰:「す、すみません…」 美雪:「きゅ、急に2人でごゆっくり〜とか言われても、困っちゃい…ます、よね…」 彰:「そ、うですね…」 美雪:「……」 彰:「……」 美雪:「え、と…」 彰:「しゅ、趣味…とか、ですかね…」 美雪:「あっ、あー…そう、ですね…」 彰:「その、美雪さんのご趣味は…」 美雪:「えっと…あっ、映画鑑賞…とか」 彰:「映画、良い、ですね。どんなジャンルお好きなんですか?」 美雪:「れ、恋愛とか、ですね」 : 美雪:『30すぎて恋愛映画ばっかり見てる痛い女とか思われそうぅ!他に言えるような趣味?そんなもの無い無い!そもそも映画も一年に数回、話題について行く為に人気作品観に行くだけだし?これで突っ込んだ話とか振られたら即詰むやつなんだけどぉ?!』 : 彰:「僕も、映画は…好きですね」 美雪:「そうなんですか?じゃ、じゃあどんなジャンルを…」 彰:「僕は…動物モノとか、好きで…」 美雪:「動物モノ、いいですね」 彰:「なんか動物って純粋というか、可愛いなぁって」 美雪:「犬とか猫、お好きですか?」 彰:「あっはい!犬が大好きで…」 美雪:「私も好きです」 彰:「あー、同じですね!」 美雪:「そうですね」 彰:「あ、はははっ…」 美雪:「ははは…」 彰:「……」 美雪:「……」 彰:「えっと、その…美雪さんはスポーツとか…されてますか?」 美雪:「えっ?スポーツ…いえ、特には…」 彰:「そ、そうなんですか?スタイル良さそうだなーとか…」 美雪:「あ、ありがとうございます。その、特に運動ってしては無いんですけど…定期的に体を動かしてると言うか…」 彰:「そ、そうなんですか。健康的でいいですね、僕なんて全然引きこもってばかりで…」 美雪:「いや、私も休日なんてそんなものですよ〜」 彰:「あぁ、そうなんですね…」 美雪:「家事とかも、必要に迫られて、程度のレベルで…」 彰:「家事って、大変ですもんね」 美雪:「え」 彰:「その、僕…料理は好きで…得意ってんじゃないんですけど」 美雪:「素敵ですね、お料理できる男性って、憧れます」 彰:「そ、そうですか。ありがとうございます」 美雪:「えぇ…あはは…」 彰:「ははは…」 美雪:「…ほ、他には…」 彰:「あっ、あのッ!」 美雪:「は、はいっ?!」 彰:「…その、隠してても、いい事無いと思うのでっ!」 美雪:「え…」 彰:「判断基準というか、そういうのもお知らせしなきゃって、思って…」 美雪:「は、はぁ…」 彰:「あのッ!ぼ、僕っ…」 美雪:「……」 彰:「お、ヲタクなんですっ!」 美雪:「ヲ、タク…」 彰:「…はい」 美雪:「その、アニメヲタクとか、ゲームヲタクとかいう…その、ヲタク?」 彰:「はい…!」 美雪:「あっ、でもほら、最近は結構オープンなんじゃないかなって思うんですよ」 彰:「え…」 美雪:「元々ヲタクって言葉、そのジャンルに対してすごく詳しい人とかを指す意味でしたよね!いつの間にか、マイナスのイメージ的な…」 彰:「そ、そうですね…」 美雪:「あの、私は特に…その他人様に迷惑かけないとかなら、全然…平気というか…」 彰:「そ、そうなんですか…?」 美雪:「私も漫画とか読みますし、好きな作品ならアニメとか観ますし!」 彰:「……」 美雪:「その、普段の服装が全部アニメグッズとかだったらちょっと恥ずかしいかもしれないですけど…」 彰:「あのっ!」 美雪:「はいっ」 彰:「あ、アニメじゃなくて…」 美雪:「す、すみません」 彰:「その…美雪さんは、この街担当の魔法少女、ハニードロップをご存知ですか…?」 美雪:「………知ってます」 彰:「ぼっ、僕!その、魔法少女が大好きで、めちゃくちゃ応援してるんです!」 美雪:「そう、なんですねぇ…」 彰:「あんな華奢な女の子が、どこからともなく現れる謎の怪物から街を守ってくれてるんですよ!めちゃくちゃ凄くないですか?!別の街って結構世代交代的なのがあったりするんですけど、ここの街はもうずっと同じ子が担当してるんですよ!魔法少女って年取らないのかなぁ…僕が知ってる限り昔っから可愛いまんまで…!」 美雪:「……」 彰:「すっ、すみません!!ちょっと熱くなっちゃって…」 美雪:「い、いえ…!そのー…すごくお好きなんですね、魔法少女…ハニードロップ」 彰:「はいっ!」 美雪:「その、私詳しくないんですけど…」 : :アラームが鳴り出す : 美雪:「ひゃあんっ!」 彰:「ど、どうされました」 美雪:「ちょ、ちょっとびっくりして…あ、すみません私ちょっとずっと緊張してたせいか、お腹痛くなっちゃって…ちょっと御手洗に…」 彰:「あ、どうぞ!すみません気が付かなくて…」 美雪:「すみません、ちょっと失礼、ほほほ…」 : : ももピ:「遅いッピよ、美雪!」 美雪:「ももぴ、あんたねっ!見てわかんない?!この格好!」 ももピ:「成人式の前撮りか何かかっピ?」 美雪:「んなわけあるかぁ!もう十年前に終わったわ!」 ももピ:「まぁ知ってたけど…ッピ」 美雪:「くっそ腹立つな!お見合いだよお見合い!」 ももピ:「破綻したかっピ?」 美雪:「途中だよ!今はまさに真っ最中だよ!今日は呼び出ししないでって言ったじゃん!」 ももピ:「それはももピに言われてもどうしようもないっピな〜。怪物は神出鬼没だっピ。さっさと済ませて戻れば良いだけだっピ」 美雪:「分かってるわよっ!さっさと変身ステッキ出してよっ!」 ももピ:「やる気があって嬉しいっピ〜」 美雪:「ちがぁぁう!」 ももピ:「じゃあなんなんだっピ?」 美雪:「婚姻などの大きな生活環境の変化以外での魔法少女引退は不可、って訳わかんない契約内容のせいでしょうが!」 ももピ:「さっさと彼氏作って結婚するし〜って言ってたのはそっちじゃなかったっピか?」 美雪:「その当時はそう思ってましたァァ!」 ももピ:「さぁ、出陣だッピ!ハニードロップ!」 美雪:「この姿の時にその呼び方やめて!」 : 美雪:「ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「パステルリボンで、みんなの笑顔を可愛くデコレーション!愛と勇気と正義のエンジェル、魔法少女ハニードロップ!」 美雪:「あなたの寂しい心、私がハッピーにしてあげる」 : 美雪:『あぁぁあっ!痛い!痛すぎる!30過ぎてからこのセリフは痛すぎるっ!ダメージでかいっ!』 : ももピ:「美雪はラブリーステッキで、魔法少女ハニードロップに変身するっピ。魔法少女になることで超人的な力を得て、この街に突如現れる怪物をバッタバッタとなぎ倒す。それが美雪に課せられた使命だっピ! ももピ:ちなみに変身中は魔法少女のイメージを壊さない為に、30越えた美雪でも少女の姿に若返るオマケ付きだっピ!」 美雪:「初見向けの説明的セリフやめいっ!」 ももピ:「メタ発言は禁止だっピよ〜」 美雪:「お前が言うなぁ!」 ももピ:「気が短いっピなぁ…更年期か?」 美雪:「怪物の前にあんた潰した方が良さそうなんだけど?!」 ももピ:「おっと、口が滑ったっピ」 美雪:「こンの怪物野郎っ!人のお見合い邪魔してんじゃ…ないわよっ!おっりゃぁあああ!!」 ももピ:「…す、すごいっピ…!まさか一撃で…」 美雪:「私っ!戻るからっ!!」 ももピ:「結婚という人参に食いつこうとする暴れ馬っピねぇ。人間の執念、パねぇな…」 美雪:「何か言ったぁ?!」 ももピ:「なんでもないっピよ〜」 美雪:「マジでもう今日は呼ばないでねっ!」 ももピ:「だからそれは怪物に言って欲しいっピよ〜。お疲れっピ〜」 美雪:「腹立つぅっ!声が良いだけにくそむかつくぅ!変身解除っ!」 : : 美雪:「はぁ…はぁ…」 彰:「あ、あの、大丈夫です…か?」 美雪:「す、すみません…おまたせ、しちゃって…」 彰:「いえ、全然。体調、悪いとかじゃないですか?無理は…」 美雪:「いえ、そんなじゃなくて…本当に…」 彰:「座りましょうか…?」 美雪:「そ、そうですね…」 彰:「お茶どうぞ…」 美雪:「すみません…ありがとうございます…」 彰:「あの、本当に体調悪いとかじゃないですか?なんならもうお開きでも…」 美雪:「いえっ、その…せっかくの機会ですし大丈夫です!ご迷惑でなければ、もう少しお話出来たら…」 彰:「…良いんですか?」 美雪:「えっ?」 彰:「いや…その、自分で言うのもなんなんですけど…僕って陰キャで話題とかそんな振ったり出来ないし、正直全然女性とお付き合いとか…その、経験がなくて、ただのヲタクで…」 美雪:「…でも、とても気遣ってくださってますよね。そういう…優しいところって素敵だなって、思うんです。それに…ちゃんと言わなきゃって、正直にお話してくださったし…」 彰:「いや、そんな大した事じゃないんですけど…」 美雪:「あのッ、私も…社交的かって言われたらそうでも無いし、ご迷惑なようでしたら…」 彰:「いや、迷惑だなんて…その、えっと…」 美雪:「あの…」 : :アラームが鳴りだす : 美雪:「ひぃん!」 彰:「な、なんですか?」 美雪:「嘘でしょぉ…」 彰:「美雪さん?」 美雪:「す、すみません!またお腹が…」 彰:「大丈夫ですか?」 美雪:「すぐ戻りますので…本当にごめんなさい!」 : : ももピ:「おっ!今度は早かったっピな〜」 美雪:「だからっ!呼ぶなって!言ったじゃん!こっちはお見合いの真っ最中なの!わかる?!」 ももピ:「それを言われても困るんだなぁ…ピ」 美雪:「なんで目を逸らした?!」 ももピ:「なんでもないっピ」 美雪:「嘘つけっ!絶対なにか隠してるでしょ!」 ももピ:「それよりも今は怪物退治だっピ〜。行け、ハニードロップ!」 美雪:「だからー!この姿の時にそれ呼ぶの、本っ当にやめて!」 : 美雪:「ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「パステルリボンで、みんなの笑顔を可愛くデコレーション!愛と勇気と正義のエンジェル、魔法少女ハニードロップ!」 美雪:「あなたの寂しい心、私がハッピーにしてあげる」 : 美雪:『一日に二回はきつい!体力的にもだけどメンタルのダメージがデカすぎるっ!絶対お見合い成功させて結婚にこぎつけないと私が死ぬ!社会的に死ぬ!』 : ももピ:「今日は気合い入ってるっピな〜。やっぱり正義の味方は追い込まれてこそ、真の力を発揮するっピな、うんうん。予想通りだな…っピ」 美雪:「人のー!邪魔をー!するなぁぁ!!」 ももピ:「…これは、面白いっピな」 美雪:「はぁ…はぁ…じゃあ私!戻るから!」 ももピ:「おっつかれ様だっピ〜」 : : 美雪:「ぜぇ…ぜぇ…」 彰:「あ、あの…」 美雪:「ご、ごめんなさい…何度も…」 彰:「辛そうですね、やっぱり今日は、もうお開きにしませんか?」 美雪:「…本当にすみません、何度も中座しちゃって…」 彰:「いえ、その…僕も緊張してトイレ行きたくなったりってあるから、気にしないでください」 美雪:「…ごめんなさい…」 彰:「あの、それで…もし良かったら…こういう改まった場所じゃなくて…もっと気楽にお会い…したいなって…」 美雪:「えっ…」 彰:「その、正直に言いますね!僕今日、叔母さんに半分騙されたみたいな感じで…ちょっと顔合わせて話して帰ればいいのよーとか言われてて…こんなしっかりしたお見合いって思ってなくて」 美雪:「そ、そうなんですか…?」 彰:「とりあえずスーツ着ていきなさいって送り出されて、そしたらその、美雪さんはちゃんと着物で来られてるし…気乗りしなかったら断ればいいなんて言われたけど、そんな簡単に言える感じでもなくて…」 美雪:「……」 彰:「だから…中途半端というか、全然真面目に結婚前提でどうとか考えてなかったんです!ごめんなさいっ!」 美雪:「えと…」 彰:「でも、その…なんかもうちょっとお話したいなって思って…今日はきっとこういう改まった感じで緊張しちゃって、お腹痛くなったのかなーなんて…」 美雪:「……」 彰:「女性とろくに話したことがなくてつまらないかもしれないんですけど…もし、良ければ…その…」 美雪:「あのッ」 彰:「はいっ!」 美雪:「わ、私も…ゆっくりお話できたら…嬉しいです」 彰:「え…」 美雪:「もっと気楽な場の方が…お互いの事とか、よく見えそうじゃないですか?」 彰:「そ、そうですね」 美雪:「何度も中座しちゃって、変な女って思われたかもって…ちょっと心配してたんです」 彰:「いや、それは…僕も面接の時に緊張しすぎでお腹壊したことあって…仕方ないというか…」 美雪:「…ありがとうございます」 彰:「その、連絡先交換しませんか」 美雪:「良いですよ、ぜひ」 彰:「どうぞ、これ僕のIDです」 美雪:「じゃあ読み込んで…。嬉しいです」 彰:「僕もつまらないヤツって思われてるかなって…」 美雪:「そっ、そんなことは…!私の方が全然上手くお話とかできなくて、気も利かないし…」 彰:「あ、ははは…」 美雪:「ふふふっ」 彰:「なんか、僕たち…似てるのかもしれませんね」 美雪:「そう、ですね。ふふふっ」 : :アラーム音が鳴り出す : 美雪:「ふっぐぅ!」 彰:「ど、どうされました?!」 美雪:「冗談キツイ…」 彰:「美雪さん?」 美雪:「えっと、そのッ!あっ!連絡!また後でしますので!」 彰:「は、はぁ…」 美雪:「ごめんなさい、本当に…!楽しかったです!ではっ!」 彰:「あっ、美雪さん!…行っちゃった…足、早いんだな…。あれ?」 : : 美雪:「もーもーピぃい…!!」 ももピ:「おっご到着だっピか」 美雪:「ねぇ、ちょっと今日おかしくない?!三回って。三回って!それもこんなに短いスパンで三回、ありえなく無い?!」 ももピ:「そんなことを言われても困るピなぁ…」 美雪:「よりによって今日だよ?変じゃん!」 ももピ:「…案外、この撒き餌効果あるピな…」 美雪:「は?!今なんて言った?!」 ももピ:「何も言って無いピ」 美雪:「いや絶対嘘でしょ、効果がどうとか聞こえたけど?」 ももピ:「気のせいだっピ」 美雪:「こっちを見ろぉ!」 ももピ:「(口笛を吹いている)」 美雪:「……もうヤダ、しんどい」 ももピ:「何を今更?!折角おびき寄せたのに!」 美雪:「やっぱりかぁ!おかしいと思ったのよ!一日に三回っておかしいもん!」 ももピ:「ももピはー、美雪の活躍する姿をー、見たくてー」 美雪:「こいつ、マジで怪物の前にどうにかしたろか…」 ももピ:「さぁ、ハニードロ(言い終わる前に美雪に掴まれる)ぐえっ」 美雪:「変身前に、それで呼ばないでって…何回言ったっけ?」 ももピ:「…お、覚えて、ないピ…潰れる…」 美雪:「あんたが消えたら私もう変身しなくても良くなるのかなぁ、ふふふ」 ももピ:「ぐえぇ…た、助けて、くださいっピ…」 美雪:「…はぁ(手を離す)」 ももピ:「た、助かった…」 美雪:「…キツイ、ほんとにキツイ。体力もだけど、あの変身する度に言わなきゃいけないクソ恥ずかしいセリフが精神的にキツすぎる」 ももピ:「クソ恥ずかしいとは失礼な!由緒正しい魔法少女への呪文詠唱だっピよ!」 美雪:「ダメージが大きいんだよ!メンタルの!こっちは30過ぎてんの!」 ももピ:「わがままだっピなぁ…もう15年越えのベテランなんだから文句言うなピよ〜」 美雪:「はぁああ……せめて何日かに一回なら我慢できる…一日に三回はもう満身創痍なのよ、メンタルが」 ももピ:「早くしないと街が壊されちゃうピよ!」 美雪:「勝手に壊されてくれぇ…」 ももピ:「仕方ないピな。じゃあ…ほら、ステッキ持って」 美雪:「えぇえ…」 ももピ:「街が壊されるのを知っていて放置したら、魔法少女協会からの報酬が下がるっピよ?それでもいいっピか?!」 美雪:「それは困る…」 ももピ:「じゃあ、ステッキを構えて…」 美雪:「…こう?」 ももピ:「魔法少女、強制変身っ!」 美雪:「(変身)…へあっ?!ちょい待ってよ!こんなこと出来るならもっと早くにこれやっといてよ!」 ももピ:「えぇ、嫌っピよ。様式美というものを知らないっピか?」 美雪:「そんなもの知るか!何よ、毎回あんなバカみたいなセリフ言う必要なかったじゃん!」 ももピ:「最近短気だっピなぁ。カルシウム足りてないんじゃ無いピか?あんまり怒ってばかりだと小じわが目立…(掴まれる)ぐえっ!」 美雪:「…一度あんたを、あの怪物の口の中に突っ込んでやったら、どうなるのか試してみたいんだけど?」 ももピ:「はっ、早まるなっピ!考え直して欲しいっピ!」 美雪:「生殺与奪の権利って気持ちいいよねぇ…」 ももピ:「ごめんなさいっ!謝るっピ!それに文句は後で、まずは怪物退治だっピよ〜!」 美雪:「ちっ…(手を離す)後できっちり説明してもらうからね?!」 : 美雪:「でぇえーーーいっ!」 : ももピ:「火事場の何とやら…追い込まれた方が今まで以上に実力発揮出来てるっピなぁ…」 美雪:「ぜぇ…ぜぇ…終わった…」 ももピ:「お疲れっピ〜」 美雪:「さぁ、説明しても…」 彰:「ハニードロップ…?」 美雪:「えっ?!」 ももピ:「えっ?!」 : :三者の間に沈黙が流れる : ももピ:「(小声)…誰だっピ?」 美雪:「(小声)私の見合い相手」 ももピ:「(小声)何でそんなやつがここにいるっピ?こんなベタ展開つまらないっピ」 美雪:「(小声)知らないわよっ」 彰:「あ…え、本物…?本物の、ハニードロップ…?」 美雪:「え、えと…」 彰:「本物だっ!ハニードロップたんだ!!!」 美雪:「たん…?」 彰:「ぼ、僕っ!ずっとハニードロップたん応援してて、新聞の小さな記事も全部切り取って残してるんです!街の会報とかも全部残してて、勝手にオリジナルグッズとか作ったりしてて…あっ、もちろん個人用ですから販売とかしてませんから、そこは安心してください。自分だけでこっそり楽しむためだけのグッズですので!抱き枕作った程度ですから!男の僕には絶対なれない魔法少女、こんなに小さくて可愛い子があんな怪物に立ち向かう姿、本気で尊敬してます!サイン!サインください!!」 美雪:「え、は…」 ももピ:「君はハニードロップのファンなのかっピ?」 彰:「う、うわぁ!ももピさんだァ!」 美雪:「も、ももピさん…?」 彰:「魔法少女ファンの中でもももピさんは人気あるんですよ!すごい、本物だ!愛くるしいうさぎのような姿に可愛い口調、なのに渋いイケボを持つ魔法妖精。いつも魔法少女のそばに居て彼女を支えながらもフォローしている陰の実力者!」 ももピ:「…うおっほん。こいつは中々見所のある青年っピな」 彰:「やっぱり声がかっこいい!!」 ももピ:「ふふっ、青年よ。怪物は退治できたが未だ危険地域だ、早めに避難するといい…ピ」 彰:「しびれるゥ!」 ももピ:「魔法少女は見た目は子供、思考は大人。そんな彼女達の活躍がこの街を守るっピ。普段非力な少女だとしても、怪物に立ち向かえる驚異的な力と勇気を与えることが出来る…それが、我々魔法妖精だっピ」 彰:「かっこいい…!」 美雪:「あっ、あの…!ほんとにここはまだ危ないので…、早く避難された方が…」 彰:「あっごめんなさいっ!ずっと大好きなハニードロップたんが目の前にいてテンション上がっちゃって…!やっぱり可愛い!ここの街担当して長いですよね、魔法少女って年取らないんですね、ずっと可愛いまんまだ!」 美雪:「あの、ほんとに…」 ももピ:「そういえば君は何故ここに?」 彰:「あっ、夢中になっちゃってた…。僕、探してる人が居て…」 ももピ:「ん?」 彰:「ここら辺で着物を着た女性を見ませんでしたか?」 美雪:「ふぐっ…」 彰:「落し物見つけて、それで彼女を追いかけてたらここに…」 ももピ:「ほほぅ…」 美雪:「……」 ももピ:「(小声)どうするっピ?」 美雪:「(小声)どうするもこうするも…正体明かす訳にいかないじゃない」 ももピ:「(小声)魔法少女のファンなら美雪の事も受け入れてくるはずだっピよ?」 美雪:「(小声)いや、むしろ夢を壊されて大ダメージの予感しか無いんだけど…」 彰:「あの…邪魔しちゃってほんとすみませんでした。僕これからもめちゃくちゃ応援してるのでっ!その、が、頑張ってください!」 美雪:「あ、ありがとうございます…」 彰:「書くもの無くて…せめて、握手!して貰えませんか?!お願いします!」 美雪:「良い、ですよ」 彰:「ホントですか?!」 美雪:「はい、いつも応援ありがとうございます」 : 握手する二人 : ももピ:「強制変身解除☆」 : 美雪:「……」 彰:「……」 美雪:「…………」 彰:「………え」 ももピ:「おっとうっかり。テヘペロっピ」 美雪:「うっかりなわけあるかぁ!」 彰:「み、ゆきさん…?」 美雪:「違いますっ!」 彰:「いや、思い切り美雪さんじゃないですか!」 美雪:「人違いですぅっ!」 彰:「どういう事ですか?!美雪さんがハニードロップたんなんですか?!」 ももピ:「そうだったっピ〜。ハニードロップの正体は美雪だっピ〜」 美雪:「ももピあんたね!絶対怪物の口ん中に突っ込んでやるっ!」 ももピ:「あんまり怒るとシワが増えるっピよ〜」 彰:「美雪さんっ!(両腕を掴む)」 美雪:「ごっ、ごめんなさいっ!本当にごめんなさい!」 彰:「…どうして、謝るんですか?」 美雪:「だって…大好きな魔法少女が、こんな三十路の女でっ…!大好きなものぶち壊された気持ちでしょ!こんな現実、最悪じゃないですか…!」 彰:「最高ですよ!」 ももピ:「へ?」 美雪:「え…?」 彰:「最高です!」 美雪:「な、にが…?」 彰:「だって、上手く行けば僕の奥さんは魔法少女って事なんですよね?お付き合いとかしてる間は、魔法少女が恋人って事ですよね?!」 美雪:「え?え?」 彰:「さすがに変身した姿で街歩いたら人が殺到してデートなんて出来ませんからね!世を忍ぶ仮の姿でないと大変です!」 美雪:「いや、こっちが現実…」 彰:「ももピさん!」 ももピ:「な、なんだっピ?」 彰:「怪物が現れた時以外って変身しちゃダメなんですか?!撮影会したいからって変身してもらうのはありなんですか?!」 ももピ:「変身ステッキさえあればいつでも可能だっピよ」 彰:「ありがとうございますっ!撮影会!やりましょう!」 美雪:「嫌ですっ!」 彰:「僕だけのポージングって憧れるじゃないですか!お願いします!」 美雪:「恥ずかしいから!嫌だから!」 彰:「僕しか見ません!ほかの人になんて絶対見せません!」 美雪:「いや、そういうことじゃなくて…」 彰:「美雪さんっ!」 美雪:「は、はいっ!」 彰:「お付き合いしてください!」 美雪:「へっ?!」 彰:「結婚を前提に、お願いします!」 美雪:「え、ちょ…」 ももピ:「魔法少女に釣られただけだっピなぁ…」 彰:「決め手はそうかもですけど…でも、それだけじゃないです!」 ももピ:「じゃあもし美雪が魔法少女じゃなくても、結婚を申し込むっピか?」 彰:「…もっとこれからも話をしたいって思ったんです。だから今日、連絡先も交換してもらったし…また会いたいって…」 美雪:「彰さん…」 彰:「もちろん、僕の嫌な面ってこれから先見えてくると思います。改善出来るところはしていきます。もちろん譲れない事もありますけど…ハニードロップたんの追っかけは辞められないし」 ももピ:「ほほぅ…」 彰:「でもっ!美雪さんが魔法少女じゃなくても…前向きにお付き合いとか、していけたらって…」 美雪:「……ぷっ」 彰:「え」 美雪:「あははははっ!」 彰:「あ、あの…」 美雪:「彰さんって自分のこと陰キャとか言ってたけど、全然そんな事ないです!すごく面白いです」 彰:「そ、そうですか…?」 美雪:「…よろしくお願いします」 彰:「っ!ありがとうございます!」 ももピ:「うんうん、これも全てももピの計画通りっピな」 美雪:「何がよ」 ももピ:「強制的に変身解除させたおかげっピ!」 美雪:「…まぁ、結果的に良かったけど、本気であんたの事怪物の口の中に突っ込んでやろうかと思ったのは事実だからね?」 ももピ:「怖いっピ〜美雪が怖い事言うっピ〜」 彰:「ははっ、ハニードロップたんはそんな事しませんよ」 美雪:「たん…。あの、そのハニードロップたんって辞めてもらえ…」 彰:「無理ですね!」 美雪:「そ、そうですか…」 彰:「あの、お願いがあるんですが」 美雪:「はい、なんでしょう?」 彰:「目の前で!変身して貰えませんか?!」 美雪:「え」 彰:「変身する時のあのセリフを!生で!聞きたいんです!」 美雪:「……無理」 彰:「え」 美雪:「無理です」 彰:「なぜ!」 美雪:「いや、もうほんと無理。限界。30越えてあのセリフ、マジでキツイ。メンタルのダメージ大き過ぎる」 彰:「そんな事言わないで!さぁ!」 美雪:「無理!」 彰:「ステッキを振りかざして!なんなら僕も唱えますから!さぁ、ご一緒に!ラブリーハート、フルチャージ!」 美雪:「もう魔法少女、嫌だァ!」 ももピ:「なら結婚してしまえばいいっピ」 美雪:「それだ!!」 彰:「え、どういうこと…」 美雪:「彰さん!」 彰:「は、はいっ!」 美雪:「私と結婚してください!」 彰:「へっ?!」 美雪:「これも何かの縁なので!結婚しましょう!」 彰:「よ、喜んで!!」 美雪:「これで卒業出来る…!!」 彰:「そ、卒業…?」 美雪:「周辺地区の魔法少女やってた子は、みんなさっさと結婚して魔法少女協会からの寿退社。なんでみんなあんなに簡単に彼氏作って結婚にこぎ着けるのよ、一体どんな交流してたらそういうご縁ってやつ?それに辿り着けるわけ?でもようやく…!やっと私も卒業だぁ!」 彰:「え、魔法少女卒業…するんですか…?」 ももピ:「婚姻などの大きな生活環境の変化以外での魔法少女引退は不可、とされてるっピ。美雪はずっと早く魔法少女卒業したがってたからな〜」 彰:「……無理」 美雪:「え?」 彰:「無理です」 美雪:「なんで?!」 彰:「推しがいなくなる未来なんて無理です!結婚できません!」 美雪:「ええっ?!」 彰:「ヲタクから好きな物を取り上げるなんて…それはもう悪魔の所業なんですよ!」 美雪:「そこまで?!」 ももピ:「じゃあ結婚してからも魔法少女続ければ良いっピ」 美雪:「…は?」 彰:「出来るんですか?!」 ももピ:「出来るっピよ〜卒業しなかったらいいだけだっピ」 彰:「美雪さん!」 美雪:「嫌です!」 彰:「お願いします!」 美雪:「マジで…もう魔法少女なんて嫌だァァ!!」 : : :END