台本概要

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タイトル 桜恋 百合ver.全年齢ver.
作者名 まなざうるす  (@manamanazaurus)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(女3)
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 桜のような恋をした。

情事シーンをカットした全年齢ver.です。でもキスシーンはあります。

本筋、キャラが変わるような過度なアドリブはご遠慮ください。

基本申請はいりませんが、教えてくださるorアーカイブをくださると踊り狂って喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
朔良 126 眉目秀麗の有名ネイルサロンのネイリスト。リバ
三神 127 キャリアウーマン。ヘタレにゃんこの噂。でも攻めたい人
秋田 41 陽キャ。根っからのレズビアン
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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朔良:こんなにも、誰かを愛することなんて、この先、一生ないだろう 三神:誰かを愛することを、辞めないで 朔良:所詮、私の人生こんなもん 三神:どうか、どうか 朔良:幸せなんて、クソ喰らえ 三神:誰よりも、幸せに 朔良(タイトルコール):「桜恋」 0:ネイルサロン 朔良:お疲れ様でしたー。…あぁ、はい。すいません。今日は…。はい、是非また今度。 朔良M:有名ネイルサロンのネイリスト、朔良。それが私の仕事。オシャレは好きだったし、幸い手先は器用だったから、たまたまセフレだった子に勧められて、始めてみたらそこそこ指名を貰えるまでにはなれた。 朔良:……つまんない。…ん?はい、もしもし。 秋田:『朔良ちゃんやっほー、久しぶりに呑まない?』 朔良:……あぁ、別に、いいけど。 0:咲良と秋田の行きつけのBARにて 秋田:んー、相変わらず美人だねぇ。 朔良:知ってる。 秋田:あは、その自信満々なとこも相変わらず。今も女の子取っかえ引っ変えしてんの? 朔良:その言い方、辞めてくんない?私は、寂しそうな女の子に声をかけて一夜の慰めをしてあげてるだけ。いわばボランティア。ウィン・ウィンの関係。 秋田:はいはい、もう何回も聞いたよ。 朔良:てゆーか、元セフレがマジで何言ってんの。本命ができた瞬間に、この私をゴミのようにポイッと捨ててくれた秋田真琴ちゃん? 秋田:んもぉ、その話はもう良いでしょ?それとも何?本当は私の事超好きだったとか? 朔良:馬鹿言わないで。私が誰かのことを好きになるなんて有り得ない。私が愛してるのは、この可愛くてセクシーな私だけ。 秋田:あはは!ほんと朔良ちゃんのそういうとこスキー 三神:あれ、アッキー? 秋田:三神じゃん!こんなとこで何してんの? 三神:バーで酒呑む以外なにすんのよ。 秋田:んー、ナンパ?あ、朔良ちゃん、紹介するね。こちら三神。アタシの職場の同僚。通称ヘタレにゃんこ。んで、こちら朔良ちゃん。アタシの元、 朔良:言わんでいい(秋田の頭叩いて) 秋田:いてっ、ひどーい! 三神:…………。(じっと朔良を見つめる) 朔良:……どーも、…私の顔になんかついてる? 三神:……ッ、ぁ、いや…その…… 秋田:あれあれあれ?三神ぃ、もしかして朔良ちゃんに惚れちゃったぁ? 三神:なっ、ばっ…!! 朔良:……へぇ、アナタこっち側の人間?私どっちでもイけるから、いつでも連絡して?はい、これ私の連絡先。 三神:えっ、あ……はぃ… 秋田:んもぉー、朔良ちゃんったら相変わらず息をするようにナンパするんだからぁ。 朔良:じゃ、私は帰る。ご馳走様。秋ちゃん(頬にキスして颯爽と店を出ていく) 秋田:あー!ちょっとー!本命いるんだからやめてよねー!!……はっ!!ナチュラルに奢らされてる!?今月余裕ないのにー!! 三神:…あっきー、やばい… 秋田:ん? 三神:…………どストライク。 三神M:正直こんなことは初めてだ。一目見た瞬間雷が落ちた。あっきーとかにこんなこと言ったら絶対にバカにされるんだろうけど、本当に、全身に電流が走ったんだ。「あぁこの人だ」って…。 秋田:……朔良ちゃんには、本気になっちゃダメだよ。 三神:え? 秋田:彼女を手に入れるってことは、それ相応の覚悟がないと。 三神:…? 秋田:ま、本気になる前にとっとと諦めることだね。じゃあ、ここの支払いよろしくぅ。 三神:え、それってどういう意味……ちょっと!? 0:三神の会社 三神:はーい、お疲れ様ー。……んんん、 三神M:私は、死ぬほど悩んでいる。連絡すべきか辞めとくべきか。私の直感は「危険だ」と叫ぶ。でも、全細胞が彼女を求めている。「運命の人だ」と。正直何言ってんだって思ってる。夢見る夢子か。あの夜、連絡先を貰ってからこの小さな紙と毎夜毎夜、休憩時間、なんなら仕事中もずっと睨めっこしてる。 三神:アッキーも辞めとけって言ってたしなぁ…あーあ、飲みに行こっかな。 三神M:この選択が最大の過ち、いや成功?だったんだ 0:三神、BARに入店し、空いてるカウンター席に目配せする 三神:あ。 朔良:…あれ?こないだの。こーんばーんわ。ここ空いてるよ。一緒に呑む? 三神M:この朔良という女性は、一言で言うと「エロい」。物凄くエロい。フェロモン垂れ流しってのはこういう人のことを言うんだと思う。 三神:あ、えと…じゃあ……。 朔良:ん、どーぞ。…連絡、くれなかったね。 三神:いや、その…… 朔良:私の事、タイプじゃなかった?私は結構アナタみたいなスラッとした美人タイプだったんだけどな。この綺麗な手も、すごく素敵。(するりと相手の手を取って)ざーんね 三神:めちゃくちゃタイプです! 朔良:へ? 三神:めちゃくちゃ、タイプ、です 朔良M:そういったあの子の顔は真っ赤で、でも、真っ直ぐに私の手を握り返して見つめてきた。その瞬間、私の全細胞が「危険」だと叫んだ。けど… 朔良:…………ホテル、行く? 朔良M:全細胞の警告を無視して、私は無意識に、その言葉を口にしていた。 0:ラブホテル スイートルーム 朔良:すっごくいい部屋。三神さん、結構稼いでるの? 三神:まぁ、…それなりに。 朔良:ふぅん、何?緊張してるの? 三神:いや、……。 朔良:ははっ、ハジメテじゃないんでしょ? 0:朔良、三神に擦り寄り頬に手を添えると濃厚に唇を重ねる。 三神:んッ……、っ…… 0:三神、一瞬腰が引けるが意を決した様な、流されるかのように朔良の腰に腕を回して舌をねじ込む。 朔良:は…、がっつき過ぎ。でも、嫌いじゃない。ね、触っていい? 三神:え、シャワー… 朔良:いいわよ、もうガマンできないって顔してる。 三神M:天国とはこの事か。直接でもないのに脳と体が熱くなる。耳元で甘く囁かれる声に、私の奥底が”欲しい”と疼く。 朔良:ね、ベッド行こ。 三神M:誘われるがままにベッドにたどり着くと、彼女は徐に服を脱ぎ出し、美しすぎるその裸体をさらけ出した。 朔良:一緒にキモチよくなろ? 三神M:ベッドに寝そべり、大胆に美しい脚を広げ誘う姿に、誘惑されるがまま、その脚へと舌を這わせる。同時に彼女の口から漏れる、甘い声に脳が溶けそうになる。気がつけば無我夢中で彼女の全身に、むしゃぶりつくように愛撫し続けていた。段々と蕩けていく彼女の甘い声に私の理性は完全にどこかへとぶっ飛んで行った。 三神:…指、入れていい? 朔良:ん、はやく、ちょーだい? 三神:かわい… 朔良M:一言で言えば、私たちの体の相性は完璧。こんなに気持ちのいいSEXは何時ぶりだろ。私のぽっかりと空いたその空白に何かが埋まる感覚がした。 三神M:濃厚な夜を終え、迎えた朝の気だるさの心地良さ…。隣で眠る彼女の寝顔は、カーテンの隙間から差す朝日に照らされて、まるで女神のようだと本気で思った。 朔良:……ん、おはよ。 三神:おはよ。 朔良:昨日のSEX、最高だった。良かったらまた相手してよ。 三神:嫌だ 朔良:…あー、そう 三神:私は、朔良を私だけの物にしたい。 朔良:…は? 三神:初めて見た時から、私、貴女のことが… 朔良:待って待って。私恋人作る気ないから。 三神:私は!貴女が欲しい!大切にするから! 朔良:……はぁ、だる。 三神M:彼女はボソリとそう言って、さっさと服を着ると何事も無かったかのようにホテルを出ていってしまった。 0:その日の夜、BARにて 秋田:朔良ちゃんに告ったぁ!!?? 三神:ちょ、声でかいって! 秋田:バカなの!?アタシの忠告聞いてた!?バカ!ほんとにバカ!!!バカって知ってたけどマジでバカ! 三神:バカバカいいすぎ! 秋田:はー、アタシ言ったよね?やめとけって。朔良ちゃんは、ほんっとにやめときなって。 三神:恋人作る気ないっていってた… 秋田:そ。朔良ちゃんは昔から絶対に特定の人はつくんないの。365日中、300日は違う女の子。気に入られれば定期的にヤらせてもらえる。気が向けば男にだって抱かれる。けれど、彼女に本気になった瞬間、捨てられる。 三神:男の人も大丈夫なんだ… 秋田:ちなみにアタシは朔良ちゃんとのセフレ歴、ヤった回数は絶対トップの自信があるね! 三神:その情報は要らない。聞きたくない。知りたくなかったバカ秋田。 秋田:ふっふーん、アタシSEX上手いから。 三神:(無言で頭叩く) 秋田:いったー!?何すんのさ!! 三神:なんで恋人作んないの? 秋田:しらなーい。めんどくさいんじゃない? 三神M:出会ったあの時から、私の脳の大半は彼女のことでいっぱいだった。こんなこと初めてだ。それから毎日私は彼女に連絡して、あのバーに通った。もちろん連絡は返ってこないし、あれ以来あのバーで彼女の姿を見ることは無かった。それでも諦めず私はメールを送り続けた。 0:三神の会社前 朔良:出てくんの遅すぎ 三神:…っ!朔良!?朔良…!! 朔良:ついてきて。 三神M:久し振りに会えた、会いに来てくれたその嬉しさで私は彼女の言われるがままに後をついていった。連れてこられたのは、あの日のホテルだった。 0:ホテル 朔良:アンタね、なんなの?毎日毎日飽きもせず、メール500通に着信100件って…今流行りのメンヘラってやつ? 三神:あれ、私そんなに送ってた? 朔良:送ってるわよ!!メンヘラ!! 三神:だって…あれで終わりにしたくなくて… 朔良:もう1回。 三神:え? 朔良:もう1回、SEXしてあげる。それで諦めて。 三神:嫌!絶対に諦めない!なんで?なんで恋人作んないの? 朔良:……はぁ。私さ、親いないんだよね。理由も覚えてないし、気がついたら1人で、とりあえず男女関係なく声掛けては1晩SEXで食い繋いでたの。ほら、私この見た目でしょ?まぁ釣れる釣れるで生活には困ったことなくて。んで、その内の1人が1回私を監禁しようとしたんだよね。「愛してる」だのなんだの言って。正直こんな生い立ちだし、愛とかわかんないし、興味無いし。それで余計に愛って何それ美味しいの?つかそんな気色悪いもんなら要らない、 0:三神、泣いている 朔良:みたいな?え、何泣いてんの? 三神:っ…さぐら…、貴女そんな辛い思いして……っ 朔良:いや別に辛くないし。不幸だとも思ったこともないし。 三神:私が!!!貴女に本当の愛ってやつ教えてあげる!! 朔良:……は? 三神:私が貴女を幸せにする。 朔良:…あー…… 朔良M:こんなに話が通じないのは初めて。というかこんな話をしたのは秋田だけなんだけど。どうしたもんか。 朔良:あ。……アナタ男に抱かれたことは? 三神:…へ?ない、けど…? 朔良:じゃあ、バンド使ったことは? 三神:………な、いけど…? 朔良:へぇ?グッズ使わない派なんだ。じゃあ、処女頂戴? 三神:…………はぁ!?いや、…え!? 朔良:私がバンド付けてアナタのそのハジメテをくれるなら、アナタのものになってあげる。 三神:え゛、さすがに心の準備が… 朔良:じゃ、この話は無かったことで。私のこともすっぱり忘れてもらって。 三神:えぇ!?……っ、 朔良:じゃーね。 三神:〜〜っ、待って!!……い、いよ 朔良:……まーじで言ってんの? 三神:ま、まじ…。 朔良:………… 三神:………… 朔良:……っぷ、あっははは!参ったわ、こーさん。わかったわよ。あんたの物になってあげる。 三神:…ほんと!? 朔良:ん。…初めてって結構痛いけど、なるべくそうならないようにするから。(三神をベッドに押し倒して) 三神:…え?冗談だったのでは…? 朔良:ん?これは、絶対条件。大丈夫、私、上手いから。 0: 0:間 0: 0:情事後、朔良ベッドの端に腰掛け煙草を吸っている 朔良:気持ちよかった? 三神:………………ちょっと。 朔良:へぇ?おかしくなりそう、とか言ってたのに? 三神:ぐっ……、すっごい…よかった…… 朔良:正直者は好きよ。 三神:……っ、もっかい!もっかい言って 朔良:正直者? 三神:違う! 朔良:ははっ……、好きよ。 三神:…私も、愛してる。 朔良M:何度思い返しても、この時が私たちにとって幸せってやつのピークだった気がする。 0: 0:間 0: 朔良:ぽりねしあんせっくすぅ!? 三神:そう。 朔良:嫌。無理。拒否。 三神:やりたい。 朔良:無理。 三神:ほら、私達付き合ってから毎日SEXしてるじゃない?マンネリ防止ってやつ。 朔良:1日1SEXないと私死んじゃう体質なんで。 三神:ヤリマンセリフがよくお似合いで…。 朔良:というわけで却下。 三神:ね〜1回でいいからァ、お願い… 朔良M:私たちの付き合いは、気がつけば3ヶ月経っていた。あの日から毎日、私の帰る家はあの子の家になり、初めてこんな長い期間、同じ所へ帰ってる気がする。大体私の仕事の方が先に終わるから、会社まで迎えに行って、三神の車で帰る。仕事以外どんな時もバカみたいに常に同じ時間を過ごしていた。この3ヶ月の付き合いでわかったが、秋田はヘタレにゃんこ、とか言ってたけど、子犬その物だ。私の顔を見りゃぱぁっと顔を明るくさせて尻尾をブンブン振って飛びついてくる。今のねだる顔だって、無いはずの耳が垂れてるのが見える…。 朔良:はぁ…わかったわよ……。 三神:やったぁ!!じゃあ今日はキスだけね! 朔良:キス、だけ…… 三神:さーくら、おいで? 朔良:……ん、 0:お互いに引き寄せられるかのように最初は触れるだけ、徐々に濃厚なキスへと変わっていく。朔良、思わず三神の下腹部に触れようとする 三神:ん…だぁめ。我慢。(朔良の手を掴み) 朔良:……んんんっ(地団駄踏むような感じで唸る) 三神:かわいい…愛してる。 朔良:……うっさい。 0:またキスの続きをし始める 0:BARにて。 朔良:はー…今日で4日……。無理、セックスしたいセックスしたいセックスしたい 秋田:ちょっと朔良ちゃん。ここバーだよ。てか朔良ちゃんから呑みに誘ってくれるなんて珍しすぎない? 朔良:三神が今日は残業で遅くなるって言うから。家で一人で居たら頭おかしくなりそうで。 秋田:あっはは!そうだね、あの朔良ちゃんがポリネシアンセックスだなんて拷問だよねぇ 朔良:死ぬ……。 秋田:で?どーですか?三神との生活、初めての恋愛は。 朔良:……どう、とは? 秋田:ふふ、まぁ聞かなくても伝わってくるけどねぇ。朔良ちゃん、三神に大事にされてんだね。幸せそう。 朔良:しあわせ…っていうの?これが……。まぁ、大事には…してもらって、る? 秋田:なんで疑問形なの。ふふっ、……よかった。 朔良:んぁ?なんか言った? 秋田:なーんも!ほら!のものも!溢れる性欲をお酒で発散するのだ! 朔良:くっそ……!! 0:翌日の昼 朔良:三神?どしたの? 三神:『朔良ごめん……、今日から1週間出張になった…』 朔良:しゅ……っ、ちょう…? 三神:『ごめん!!!』 朔良:はぁああ!?ちょっと!!今日やっとSEXできるんでしょ!?断って!!出張断れ!! 三神:『無茶言わないで…。帰ってきたらめちゃくちゃ愛してあげるから、ほんとごめん!』 朔良:なっ…あっ!ちょ……くそ…切ったわね…… 0:BARにて 朔良:頭も体もおかしくなりそう…… 朔良M:我慢を強いられて今日で8日目。家でオナニーするものの、ちっともスッキリとしない。今日はバーでヤケ酒してやろうと、1人でバーに立ち寄った。これが、崩壊の始まり。私が、崩壊させた。 朔良:んぁ…やば……ひさしぶりに、のみすぎた……かえんなきゃ……。っと…、あ、ごめんなさい……あーだいじょうぶ… 0:朔良そのまま記憶途切れ、目が覚めるとホテルのベッドの上で横に知らない男が眠っている 朔良:……ん、みかみ…、じゃない!?んっ!?誰!?この男!?…………やばい、なんにも覚えてない……。やらかした……。 朔良M:やらかした。私のことだからどうせ、飲みすぎた結果、誰か誑かしたか、誘いに乗ったんだろう。性欲が溜まりすぎた私ならやりかねない。 朔良:とりあえず…逃げよ。 朔良M:こっそりベッドから抜け出し、服を着てホテルから出てくると、そこには、居ては行けない人が立っていた。 三神:え……さく、ら? 朔良:み、かみ……なんで、 三神:出張早く切り上げてきた。今日朔良休みだし少しでも早くと思って始発で。ここ……ラブホ…よね? 朔良:……っ、ごめ… 三神:…信じらんない。 朔良:のみ、すぎて……その記憶が… 三神:……とりあえず、帰ろ 朔良:いった、ちょ、三神、腕痛っ…… 朔良M:三神は、今までに見た事のないくらいに無表情な顔で、私の腕を痛いほどに掴むと、終始無言で私を家まで連れ帰った。 三神:酒飲み過ぎて、記憶飛ばして、気づいたらベッドの上だった。 朔良:はい… 三神:…………はー…、ごめん、ちょっと、無理。私しばらく実家帰る。距離置かせて。この部屋は朔良が使って。 朔良:えっ、ちょ… 0:出張の荷物をそのまま手に、三神荒々しく部屋から出ていく 三神M:脳が沸騰するってこんな感じなのか、と思うくらいに私は怒りに支配されていた。確かに、彼女の性格、これまでの生活を考えれば、少しは予想出来たことだ。だが、それ以上に私は彼女を信頼信用していたし、愛していた。そして、彼女もきっと私の事を愛してくれていると思っていた。自惚れだったのか。裏切られた、その事実が無性に虚しくて悔しくて。距離を置かなければ、私は彼女を監禁してしまいそうだと思った。 朔良:今流行りのメンヘラってやつ? 三神:朔良の言葉が頭をよぎる。思考を空っぽにしたい筈なのに、すぐに朔良の事でいっぱいになる。それに朔良を監禁しようとした汚い男と同じには絶対になりたくは無い。だから、実家に帰る、という選択を取ったんだ。 0: 0: 0:三神の実家 三神M:久しぶりの実家に帰ると両親は喜び、毎日豪華な手料理を用意してくれた。 三神:ごちそーさま。え、何、いや彼氏、は……いない、けど…。……へ?ケンタ?覚えてるけど。ケンタと結婚しろ?いやいやいや 三神M:それと同時に、独身に付きまとう「結婚」の文字。私は朔良を愛している。しかし、じゃあこの先、一生朔良と居られるの?……また、裏切られるんじゃないの?それに、朔良と一緒にいることを選択すれば、両親に孫の顔を見せてあげることは出来ない。子供が大好きな両親だ。しかも私は一人っ子。私が孫を見せずに、誰がこの人たちに孫を見せてやれるのか。普通に男の人と結婚して普通に子供を作って、普通の家族生活……。 三神:普通の幸せ、か……朔良… 0:三神の家 三神:……ただいま。 朔良:っ三神!おかえり、その……ほんと、ごめんなさい。もう二度としないから。誓う。 三神:ん、大丈夫。もう、いいから。 朔良:……そう。……あ、えと…コレ 三神:え? 朔良:仕事で貰ったの。一緒に行かない?水族館。仲直り記念、的な?なーんて 三神:水族館… 朔良:あー…、水族館あんま好きじゃない?やっぱいい 三神:(被せて)いいよ、行こ。水族館。 朔良:……うんっ 0:水族館 朔良:わー…魚いっぱい。三神、見てみて。サメ。すっごいデカイ 三神:うわ、キバとかやば。…あ、朔良、あっちペンギンだって。 朔良:ペンギン!見る。 三神:ふふ、かわい。 朔良:うっさい。 0:間 三神:ペンギンって、なんとも言えない歩き方するよね。間抜けというか。 朔良:確かに。あ、知ってる?ペンギンって「理想の夫婦」って言われてんだって。 三神:理想の、夫婦… 朔良:人間みたいに恋愛して、愛を育んで夫婦になるんだって。んで、ペンギン社会も一夫一妻制で、夫婦になると一生を添い遂げるんだって。子作りも、同じ夫婦で繰り返すことが多く、マゼランペンギンなんかは離婚率3%らしい。 三神:朔良、ペンギン詳しすぎじゃない? 朔良:いや、ここに書いてる。 三神:なによ!ペンギンオタクなのかと思ったじゃん! 朔良:あはは!ごめん。あっ!三神、見て見て。 三神:ん?…おぉ、交尾してる……。 朔良:めっちゃ腰振ってる…バンドに目覚めた三神みたぁい(笑) 三神:ちょっ、朔良もあんな感じだから!…………………でも、子供は出来ないのよね。(ボソリと) 朔良:ん?なんか言った? 三神:あ、いや、なんも。 朔良:そ?あ、もうすぐイルカのショー始まる。いこ。 三神:…うん。 0:間 朔良:あー、たーのしかったー。キーホルダーもありがと。ペンギンのペアのキーホルダーとか、高校生カップルみたいだけど。 三神:なによ、滅茶苦茶喜んでたくせに。イルカのショー凄かったね。 朔良:ね、どうやって教えんだろ。 三神:てゆーか、イルカが飛んだだけで朔良小さい声で「うわ、うわ」って声出してて可愛かった。 朔良:うっ、しょーがないでしょ、初めて見たんだから。 三神:え? 朔良:初めて行ったの、水族館。そもそもこういう在り来りなデート、ってのが初めて、ってゆーか。 三神:…まじか。 朔良:悪い? 三神:いや、朔良の初めて貰えて嬉しい。 朔良:〜〜っ、ふんっ 三神:…さーくら、(相手の後頭部に手を回して触れるだけのキス) 朔良:ん、……愛してる。 三神:……(微笑む) 三神M:「私も愛してる」。そう言いたかったのに、喉につっかえた何かが、邪魔をした。愛してるのに、私は朔良の事を愛してるはずなのに…。私の脳裏には、今日見た仲睦まじく毛繕いし合うペンギンの夫婦がちらついて、離れなかった。 朔良M:実家から帰ってきてから、あの子の様子は明らかにおかしかった。キスもSEXも、いつも通りっちゃいつも通りだけど、どこか上の空。会話の数も減った気がする。特に気になるのは、TVで幸せそうな家族が映ると、直ぐにチャンネルを変えるか消す。実家で何かあったんだろうか。何も言わないあの子に痺れを切らした私は… 0:三神の家。夕食を食べている。 朔良:ねぇ、どしたの三神。最近変よ? 三神:え?そう? 朔良:なーんか上の空だし、TVもなんかすぐチャンネル変えるし。 三神:あー。……うん。 朔良:なんか悩み事?私に言えないこと? 三神:いや…、…………朔良。 朔良:なに? 0:少し間 三神:終わりにしよっか 朔良:………………え? 三神:別れよう。 朔良:なに、いって… 三神:ごめん。私、幼なじみに結婚前提で交際申し込まれたの。 朔良:けっ、こん…… 三神:やっぱり私、両親に私の子供見せたい。普通に男の人と結婚して、子供作って…私一人っ子だからさ。両親の為にも、その方がいい気がして。それに……1回浮気した人って、もう一度するって言うじゃん? 朔良:……っ 三神:……ごめん、朔良を信じれなくてごめん…。正直離れて住んでた間も、私が仕事に行ってる間も、別の男や女とヤリまくってんじゃないかなって、毎日毎日気が狂いそうなくらい嫉妬した。全ての人間が敵に見えてた。 朔良:してない!ずっとこの部屋で三神待ってた!二度としないって言ったじゃない!! 三神:…………信じられないの。信じたくても、信じられない。(涙こらえ) 朔良:三神……、そ、うよね。ごめん……私が、悪い…。出てく。私のもの…そんな無いけど、全部捨ててくれていいから。あと鍵…。………サヨナラ 0:静かにドアが閉まる 三神:っ……ぅあ……(泣き崩れる) 0:玄関の前でしゃがみこむ朔良。中から三神の泣き声が漏れ聞こえる 朔良:ッ……、(声を押し殺して泣く) 朔良M:こうして、私たちの 三神M:桜のような 朔良M:淡くて脆い 三神M:恋が終わった。 三神M:テーブルの上には、彼女が置いていった鍵についたペンギンがじっと、私を見つめていた。 0: 0: 0:バーにて 秋田:(無言で思い切り三神の頬を叩く) 三神:いっ……つ… 秋田:……バカ!!だから!!辞めとけって…(ボロボロ涙こぼれる) 三神:……ごめん 秋田:あんな、幸せそうな…朔良ちゃん、見たこと無かったのになぁ……ほんと、幸せそうで…っ 三神:…ほんとにそうかな… 秋田:そうだよ!三神が出張の間、毎日私のとこに電話かけてきてさ!惚気話ずーーっと聞かされてさ!アンタが実家に戻ってる間も、「私のせいだ」って、毎日毎日……っ 三神:………… 秋田:アンタは、朔良ちゃんを弄んだのよ。 三神:弄んでなんか! 秋田:朔良ちゃんがどういう人間かわかっていながら…、確かに、朔良ちゃんがやってしまったことは悪いよ?でも、たった1回の過ちを受け入れずに突き放して捨てた。男に興味無いって言いながら男を選んだ。正直、見損なったよ。 三神:私、朔良を……弄んだ…? 秋田:アンタは、朔良ちゃんを弄んだという罪を一生背負いながら、普通に結婚して、普通に子供産んで、普通に、幸せになりなよ。 三神:……っ、私、朔良に… 秋田:朔良ちゃんならもう居ないよ。 三神:いない、ってまさか死 秋田:アメリカ行った。カジノで大儲けしてくるってさ。 三神:へ…… 秋田:「誰にも頼らず、1人で生きていくためにはお金が必要だ」って。 三神:な、にそれ……。 秋田:とゆーわけで。私もそろそろ帰る。可愛いハニーが待ってるからさ。あ、結婚式は呼ばないでね。めちゃくちゃにしちゃいそうだから。じゃーねん。 三神:……うん。 三神M:桜のような恋をした 朔良M:1年のたった1週間程度しか満開にならない桜 三神M:願わくば、彼女の桜がまた満開になる事を 朔良M:もう二度と、咲かない私の桜 三神:……愛してたよ。 朔良:(三神へ何かメッセージをお願いします) 0: 0: 0:END

朔良:こんなにも、誰かを愛することなんて、この先、一生ないだろう 三神:誰かを愛することを、辞めないで 朔良:所詮、私の人生こんなもん 三神:どうか、どうか 朔良:幸せなんて、クソ喰らえ 三神:誰よりも、幸せに 朔良(タイトルコール):「桜恋」 0:ネイルサロン 朔良:お疲れ様でしたー。…あぁ、はい。すいません。今日は…。はい、是非また今度。 朔良M:有名ネイルサロンのネイリスト、朔良。それが私の仕事。オシャレは好きだったし、幸い手先は器用だったから、たまたまセフレだった子に勧められて、始めてみたらそこそこ指名を貰えるまでにはなれた。 朔良:……つまんない。…ん?はい、もしもし。 秋田:『朔良ちゃんやっほー、久しぶりに呑まない?』 朔良:……あぁ、別に、いいけど。 0:咲良と秋田の行きつけのBARにて 秋田:んー、相変わらず美人だねぇ。 朔良:知ってる。 秋田:あは、その自信満々なとこも相変わらず。今も女の子取っかえ引っ変えしてんの? 朔良:その言い方、辞めてくんない?私は、寂しそうな女の子に声をかけて一夜の慰めをしてあげてるだけ。いわばボランティア。ウィン・ウィンの関係。 秋田:はいはい、もう何回も聞いたよ。 朔良:てゆーか、元セフレがマジで何言ってんの。本命ができた瞬間に、この私をゴミのようにポイッと捨ててくれた秋田真琴ちゃん? 秋田:んもぉ、その話はもう良いでしょ?それとも何?本当は私の事超好きだったとか? 朔良:馬鹿言わないで。私が誰かのことを好きになるなんて有り得ない。私が愛してるのは、この可愛くてセクシーな私だけ。 秋田:あはは!ほんと朔良ちゃんのそういうとこスキー 三神:あれ、アッキー? 秋田:三神じゃん!こんなとこで何してんの? 三神:バーで酒呑む以外なにすんのよ。 秋田:んー、ナンパ?あ、朔良ちゃん、紹介するね。こちら三神。アタシの職場の同僚。通称ヘタレにゃんこ。んで、こちら朔良ちゃん。アタシの元、 朔良:言わんでいい(秋田の頭叩いて) 秋田:いてっ、ひどーい! 三神:…………。(じっと朔良を見つめる) 朔良:……どーも、…私の顔になんかついてる? 三神:……ッ、ぁ、いや…その…… 秋田:あれあれあれ?三神ぃ、もしかして朔良ちゃんに惚れちゃったぁ? 三神:なっ、ばっ…!! 朔良:……へぇ、アナタこっち側の人間?私どっちでもイけるから、いつでも連絡して?はい、これ私の連絡先。 三神:えっ、あ……はぃ… 秋田:んもぉー、朔良ちゃんったら相変わらず息をするようにナンパするんだからぁ。 朔良:じゃ、私は帰る。ご馳走様。秋ちゃん(頬にキスして颯爽と店を出ていく) 秋田:あー!ちょっとー!本命いるんだからやめてよねー!!……はっ!!ナチュラルに奢らされてる!?今月余裕ないのにー!! 三神:…あっきー、やばい… 秋田:ん? 三神:…………どストライク。 三神M:正直こんなことは初めてだ。一目見た瞬間雷が落ちた。あっきーとかにこんなこと言ったら絶対にバカにされるんだろうけど、本当に、全身に電流が走ったんだ。「あぁこの人だ」って…。 秋田:……朔良ちゃんには、本気になっちゃダメだよ。 三神:え? 秋田:彼女を手に入れるってことは、それ相応の覚悟がないと。 三神:…? 秋田:ま、本気になる前にとっとと諦めることだね。じゃあ、ここの支払いよろしくぅ。 三神:え、それってどういう意味……ちょっと!? 0:三神の会社 三神:はーい、お疲れ様ー。……んんん、 三神M:私は、死ぬほど悩んでいる。連絡すべきか辞めとくべきか。私の直感は「危険だ」と叫ぶ。でも、全細胞が彼女を求めている。「運命の人だ」と。正直何言ってんだって思ってる。夢見る夢子か。あの夜、連絡先を貰ってからこの小さな紙と毎夜毎夜、休憩時間、なんなら仕事中もずっと睨めっこしてる。 三神:アッキーも辞めとけって言ってたしなぁ…あーあ、飲みに行こっかな。 三神M:この選択が最大の過ち、いや成功?だったんだ 0:三神、BARに入店し、空いてるカウンター席に目配せする 三神:あ。 朔良:…あれ?こないだの。こーんばーんわ。ここ空いてるよ。一緒に呑む? 三神M:この朔良という女性は、一言で言うと「エロい」。物凄くエロい。フェロモン垂れ流しってのはこういう人のことを言うんだと思う。 三神:あ、えと…じゃあ……。 朔良:ん、どーぞ。…連絡、くれなかったね。 三神:いや、その…… 朔良:私の事、タイプじゃなかった?私は結構アナタみたいなスラッとした美人タイプだったんだけどな。この綺麗な手も、すごく素敵。(するりと相手の手を取って)ざーんね 三神:めちゃくちゃタイプです! 朔良:へ? 三神:めちゃくちゃ、タイプ、です 朔良M:そういったあの子の顔は真っ赤で、でも、真っ直ぐに私の手を握り返して見つめてきた。その瞬間、私の全細胞が「危険」だと叫んだ。けど… 朔良:…………ホテル、行く? 朔良M:全細胞の警告を無視して、私は無意識に、その言葉を口にしていた。 0:ラブホテル スイートルーム 朔良:すっごくいい部屋。三神さん、結構稼いでるの? 三神:まぁ、…それなりに。 朔良:ふぅん、何?緊張してるの? 三神:いや、……。 朔良:ははっ、ハジメテじゃないんでしょ? 0:朔良、三神に擦り寄り頬に手を添えると濃厚に唇を重ねる。 三神:んッ……、っ…… 0:三神、一瞬腰が引けるが意を決した様な、流されるかのように朔良の腰に腕を回して舌をねじ込む。 朔良:は…、がっつき過ぎ。でも、嫌いじゃない。ね、触っていい? 三神:え、シャワー… 朔良:いいわよ、もうガマンできないって顔してる。 三神M:天国とはこの事か。直接でもないのに脳と体が熱くなる。耳元で甘く囁かれる声に、私の奥底が”欲しい”と疼く。 朔良:ね、ベッド行こ。 三神M:誘われるがままにベッドにたどり着くと、彼女は徐に服を脱ぎ出し、美しすぎるその裸体をさらけ出した。 朔良:一緒にキモチよくなろ? 三神M:ベッドに寝そべり、大胆に美しい脚を広げ誘う姿に、誘惑されるがまま、その脚へと舌を這わせる。同時に彼女の口から漏れる、甘い声に脳が溶けそうになる。気がつけば無我夢中で彼女の全身に、むしゃぶりつくように愛撫し続けていた。段々と蕩けていく彼女の甘い声に私の理性は完全にどこかへとぶっ飛んで行った。 三神:…指、入れていい? 朔良:ん、はやく、ちょーだい? 三神:かわい… 朔良M:一言で言えば、私たちの体の相性は完璧。こんなに気持ちのいいSEXは何時ぶりだろ。私のぽっかりと空いたその空白に何かが埋まる感覚がした。 三神M:濃厚な夜を終え、迎えた朝の気だるさの心地良さ…。隣で眠る彼女の寝顔は、カーテンの隙間から差す朝日に照らされて、まるで女神のようだと本気で思った。 朔良:……ん、おはよ。 三神:おはよ。 朔良:昨日のSEX、最高だった。良かったらまた相手してよ。 三神:嫌だ 朔良:…あー、そう 三神:私は、朔良を私だけの物にしたい。 朔良:…は? 三神:初めて見た時から、私、貴女のことが… 朔良:待って待って。私恋人作る気ないから。 三神:私は!貴女が欲しい!大切にするから! 朔良:……はぁ、だる。 三神M:彼女はボソリとそう言って、さっさと服を着ると何事も無かったかのようにホテルを出ていってしまった。 0:その日の夜、BARにて 秋田:朔良ちゃんに告ったぁ!!?? 三神:ちょ、声でかいって! 秋田:バカなの!?アタシの忠告聞いてた!?バカ!ほんとにバカ!!!バカって知ってたけどマジでバカ! 三神:バカバカいいすぎ! 秋田:はー、アタシ言ったよね?やめとけって。朔良ちゃんは、ほんっとにやめときなって。 三神:恋人作る気ないっていってた… 秋田:そ。朔良ちゃんは昔から絶対に特定の人はつくんないの。365日中、300日は違う女の子。気に入られれば定期的にヤらせてもらえる。気が向けば男にだって抱かれる。けれど、彼女に本気になった瞬間、捨てられる。 三神:男の人も大丈夫なんだ… 秋田:ちなみにアタシは朔良ちゃんとのセフレ歴、ヤった回数は絶対トップの自信があるね! 三神:その情報は要らない。聞きたくない。知りたくなかったバカ秋田。 秋田:ふっふーん、アタシSEX上手いから。 三神:(無言で頭叩く) 秋田:いったー!?何すんのさ!! 三神:なんで恋人作んないの? 秋田:しらなーい。めんどくさいんじゃない? 三神M:出会ったあの時から、私の脳の大半は彼女のことでいっぱいだった。こんなこと初めてだ。それから毎日私は彼女に連絡して、あのバーに通った。もちろん連絡は返ってこないし、あれ以来あのバーで彼女の姿を見ることは無かった。それでも諦めず私はメールを送り続けた。 0:三神の会社前 朔良:出てくんの遅すぎ 三神:…っ!朔良!?朔良…!! 朔良:ついてきて。 三神M:久し振りに会えた、会いに来てくれたその嬉しさで私は彼女の言われるがままに後をついていった。連れてこられたのは、あの日のホテルだった。 0:ホテル 朔良:アンタね、なんなの?毎日毎日飽きもせず、メール500通に着信100件って…今流行りのメンヘラってやつ? 三神:あれ、私そんなに送ってた? 朔良:送ってるわよ!!メンヘラ!! 三神:だって…あれで終わりにしたくなくて… 朔良:もう1回。 三神:え? 朔良:もう1回、SEXしてあげる。それで諦めて。 三神:嫌!絶対に諦めない!なんで?なんで恋人作んないの? 朔良:……はぁ。私さ、親いないんだよね。理由も覚えてないし、気がついたら1人で、とりあえず男女関係なく声掛けては1晩SEXで食い繋いでたの。ほら、私この見た目でしょ?まぁ釣れる釣れるで生活には困ったことなくて。んで、その内の1人が1回私を監禁しようとしたんだよね。「愛してる」だのなんだの言って。正直こんな生い立ちだし、愛とかわかんないし、興味無いし。それで余計に愛って何それ美味しいの?つかそんな気色悪いもんなら要らない、 0:三神、泣いている 朔良:みたいな?え、何泣いてんの? 三神:っ…さぐら…、貴女そんな辛い思いして……っ 朔良:いや別に辛くないし。不幸だとも思ったこともないし。 三神:私が!!!貴女に本当の愛ってやつ教えてあげる!! 朔良:……は? 三神:私が貴女を幸せにする。 朔良:…あー…… 朔良M:こんなに話が通じないのは初めて。というかこんな話をしたのは秋田だけなんだけど。どうしたもんか。 朔良:あ。……アナタ男に抱かれたことは? 三神:…へ?ない、けど…? 朔良:じゃあ、バンド使ったことは? 三神:………な、いけど…? 朔良:へぇ?グッズ使わない派なんだ。じゃあ、処女頂戴? 三神:…………はぁ!?いや、…え!? 朔良:私がバンド付けてアナタのそのハジメテをくれるなら、アナタのものになってあげる。 三神:え゛、さすがに心の準備が… 朔良:じゃ、この話は無かったことで。私のこともすっぱり忘れてもらって。 三神:えぇ!?……っ、 朔良:じゃーね。 三神:〜〜っ、待って!!……い、いよ 朔良:……まーじで言ってんの? 三神:ま、まじ…。 朔良:………… 三神:………… 朔良:……っぷ、あっははは!参ったわ、こーさん。わかったわよ。あんたの物になってあげる。 三神:…ほんと!? 朔良:ん。…初めてって結構痛いけど、なるべくそうならないようにするから。(三神をベッドに押し倒して) 三神:…え?冗談だったのでは…? 朔良:ん?これは、絶対条件。大丈夫、私、上手いから。 0: 0:間 0: 0:情事後、朔良ベッドの端に腰掛け煙草を吸っている 朔良:気持ちよかった? 三神:………………ちょっと。 朔良:へぇ?おかしくなりそう、とか言ってたのに? 三神:ぐっ……、すっごい…よかった…… 朔良:正直者は好きよ。 三神:……っ、もっかい!もっかい言って 朔良:正直者? 三神:違う! 朔良:ははっ……、好きよ。 三神:…私も、愛してる。 朔良M:何度思い返しても、この時が私たちにとって幸せってやつのピークだった気がする。 0: 0:間 0: 朔良:ぽりねしあんせっくすぅ!? 三神:そう。 朔良:嫌。無理。拒否。 三神:やりたい。 朔良:無理。 三神:ほら、私達付き合ってから毎日SEXしてるじゃない?マンネリ防止ってやつ。 朔良:1日1SEXないと私死んじゃう体質なんで。 三神:ヤリマンセリフがよくお似合いで…。 朔良:というわけで却下。 三神:ね〜1回でいいからァ、お願い… 朔良M:私たちの付き合いは、気がつけば3ヶ月経っていた。あの日から毎日、私の帰る家はあの子の家になり、初めてこんな長い期間、同じ所へ帰ってる気がする。大体私の仕事の方が先に終わるから、会社まで迎えに行って、三神の車で帰る。仕事以外どんな時もバカみたいに常に同じ時間を過ごしていた。この3ヶ月の付き合いでわかったが、秋田はヘタレにゃんこ、とか言ってたけど、子犬その物だ。私の顔を見りゃぱぁっと顔を明るくさせて尻尾をブンブン振って飛びついてくる。今のねだる顔だって、無いはずの耳が垂れてるのが見える…。 朔良:はぁ…わかったわよ……。 三神:やったぁ!!じゃあ今日はキスだけね! 朔良:キス、だけ…… 三神:さーくら、おいで? 朔良:……ん、 0:お互いに引き寄せられるかのように最初は触れるだけ、徐々に濃厚なキスへと変わっていく。朔良、思わず三神の下腹部に触れようとする 三神:ん…だぁめ。我慢。(朔良の手を掴み) 朔良:……んんんっ(地団駄踏むような感じで唸る) 三神:かわいい…愛してる。 朔良:……うっさい。 0:またキスの続きをし始める 0:BARにて。 朔良:はー…今日で4日……。無理、セックスしたいセックスしたいセックスしたい 秋田:ちょっと朔良ちゃん。ここバーだよ。てか朔良ちゃんから呑みに誘ってくれるなんて珍しすぎない? 朔良:三神が今日は残業で遅くなるって言うから。家で一人で居たら頭おかしくなりそうで。 秋田:あっはは!そうだね、あの朔良ちゃんがポリネシアンセックスだなんて拷問だよねぇ 朔良:死ぬ……。 秋田:で?どーですか?三神との生活、初めての恋愛は。 朔良:……どう、とは? 秋田:ふふ、まぁ聞かなくても伝わってくるけどねぇ。朔良ちゃん、三神に大事にされてんだね。幸せそう。 朔良:しあわせ…っていうの?これが……。まぁ、大事には…してもらって、る? 秋田:なんで疑問形なの。ふふっ、……よかった。 朔良:んぁ?なんか言った? 秋田:なーんも!ほら!のものも!溢れる性欲をお酒で発散するのだ! 朔良:くっそ……!! 0:翌日の昼 朔良:三神?どしたの? 三神:『朔良ごめん……、今日から1週間出張になった…』 朔良:しゅ……っ、ちょう…? 三神:『ごめん!!!』 朔良:はぁああ!?ちょっと!!今日やっとSEXできるんでしょ!?断って!!出張断れ!! 三神:『無茶言わないで…。帰ってきたらめちゃくちゃ愛してあげるから、ほんとごめん!』 朔良:なっ…あっ!ちょ……くそ…切ったわね…… 0:BARにて 朔良:頭も体もおかしくなりそう…… 朔良M:我慢を強いられて今日で8日目。家でオナニーするものの、ちっともスッキリとしない。今日はバーでヤケ酒してやろうと、1人でバーに立ち寄った。これが、崩壊の始まり。私が、崩壊させた。 朔良:んぁ…やば……ひさしぶりに、のみすぎた……かえんなきゃ……。っと…、あ、ごめんなさい……あーだいじょうぶ… 0:朔良そのまま記憶途切れ、目が覚めるとホテルのベッドの上で横に知らない男が眠っている 朔良:……ん、みかみ…、じゃない!?んっ!?誰!?この男!?…………やばい、なんにも覚えてない……。やらかした……。 朔良M:やらかした。私のことだからどうせ、飲みすぎた結果、誰か誑かしたか、誘いに乗ったんだろう。性欲が溜まりすぎた私ならやりかねない。 朔良:とりあえず…逃げよ。 朔良M:こっそりベッドから抜け出し、服を着てホテルから出てくると、そこには、居ては行けない人が立っていた。 三神:え……さく、ら? 朔良:み、かみ……なんで、 三神:出張早く切り上げてきた。今日朔良休みだし少しでも早くと思って始発で。ここ……ラブホ…よね? 朔良:……っ、ごめ… 三神:…信じらんない。 朔良:のみ、すぎて……その記憶が… 三神:……とりあえず、帰ろ 朔良:いった、ちょ、三神、腕痛っ…… 朔良M:三神は、今までに見た事のないくらいに無表情な顔で、私の腕を痛いほどに掴むと、終始無言で私を家まで連れ帰った。 三神:酒飲み過ぎて、記憶飛ばして、気づいたらベッドの上だった。 朔良:はい… 三神:…………はー…、ごめん、ちょっと、無理。私しばらく実家帰る。距離置かせて。この部屋は朔良が使って。 朔良:えっ、ちょ… 0:出張の荷物をそのまま手に、三神荒々しく部屋から出ていく 三神M:脳が沸騰するってこんな感じなのか、と思うくらいに私は怒りに支配されていた。確かに、彼女の性格、これまでの生活を考えれば、少しは予想出来たことだ。だが、それ以上に私は彼女を信頼信用していたし、愛していた。そして、彼女もきっと私の事を愛してくれていると思っていた。自惚れだったのか。裏切られた、その事実が無性に虚しくて悔しくて。距離を置かなければ、私は彼女を監禁してしまいそうだと思った。 朔良:今流行りのメンヘラってやつ? 三神:朔良の言葉が頭をよぎる。思考を空っぽにしたい筈なのに、すぐに朔良の事でいっぱいになる。それに朔良を監禁しようとした汚い男と同じには絶対になりたくは無い。だから、実家に帰る、という選択を取ったんだ。 0: 0: 0:三神の実家 三神M:久しぶりの実家に帰ると両親は喜び、毎日豪華な手料理を用意してくれた。 三神:ごちそーさま。え、何、いや彼氏、は……いない、けど…。……へ?ケンタ?覚えてるけど。ケンタと結婚しろ?いやいやいや 三神M:それと同時に、独身に付きまとう「結婚」の文字。私は朔良を愛している。しかし、じゃあこの先、一生朔良と居られるの?……また、裏切られるんじゃないの?それに、朔良と一緒にいることを選択すれば、両親に孫の顔を見せてあげることは出来ない。子供が大好きな両親だ。しかも私は一人っ子。私が孫を見せずに、誰がこの人たちに孫を見せてやれるのか。普通に男の人と結婚して普通に子供を作って、普通の家族生活……。 三神:普通の幸せ、か……朔良… 0:三神の家 三神:……ただいま。 朔良:っ三神!おかえり、その……ほんと、ごめんなさい。もう二度としないから。誓う。 三神:ん、大丈夫。もう、いいから。 朔良:……そう。……あ、えと…コレ 三神:え? 朔良:仕事で貰ったの。一緒に行かない?水族館。仲直り記念、的な?なーんて 三神:水族館… 朔良:あー…、水族館あんま好きじゃない?やっぱいい 三神:(被せて)いいよ、行こ。水族館。 朔良:……うんっ 0:水族館 朔良:わー…魚いっぱい。三神、見てみて。サメ。すっごいデカイ 三神:うわ、キバとかやば。…あ、朔良、あっちペンギンだって。 朔良:ペンギン!見る。 三神:ふふ、かわい。 朔良:うっさい。 0:間 三神:ペンギンって、なんとも言えない歩き方するよね。間抜けというか。 朔良:確かに。あ、知ってる?ペンギンって「理想の夫婦」って言われてんだって。 三神:理想の、夫婦… 朔良:人間みたいに恋愛して、愛を育んで夫婦になるんだって。んで、ペンギン社会も一夫一妻制で、夫婦になると一生を添い遂げるんだって。子作りも、同じ夫婦で繰り返すことが多く、マゼランペンギンなんかは離婚率3%らしい。 三神:朔良、ペンギン詳しすぎじゃない? 朔良:いや、ここに書いてる。 三神:なによ!ペンギンオタクなのかと思ったじゃん! 朔良:あはは!ごめん。あっ!三神、見て見て。 三神:ん?…おぉ、交尾してる……。 朔良:めっちゃ腰振ってる…バンドに目覚めた三神みたぁい(笑) 三神:ちょっ、朔良もあんな感じだから!…………………でも、子供は出来ないのよね。(ボソリと) 朔良:ん?なんか言った? 三神:あ、いや、なんも。 朔良:そ?あ、もうすぐイルカのショー始まる。いこ。 三神:…うん。 0:間 朔良:あー、たーのしかったー。キーホルダーもありがと。ペンギンのペアのキーホルダーとか、高校生カップルみたいだけど。 三神:なによ、滅茶苦茶喜んでたくせに。イルカのショー凄かったね。 朔良:ね、どうやって教えんだろ。 三神:てゆーか、イルカが飛んだだけで朔良小さい声で「うわ、うわ」って声出してて可愛かった。 朔良:うっ、しょーがないでしょ、初めて見たんだから。 三神:え? 朔良:初めて行ったの、水族館。そもそもこういう在り来りなデート、ってのが初めて、ってゆーか。 三神:…まじか。 朔良:悪い? 三神:いや、朔良の初めて貰えて嬉しい。 朔良:〜〜っ、ふんっ 三神:…さーくら、(相手の後頭部に手を回して触れるだけのキス) 朔良:ん、……愛してる。 三神:……(微笑む) 三神M:「私も愛してる」。そう言いたかったのに、喉につっかえた何かが、邪魔をした。愛してるのに、私は朔良の事を愛してるはずなのに…。私の脳裏には、今日見た仲睦まじく毛繕いし合うペンギンの夫婦がちらついて、離れなかった。 朔良M:実家から帰ってきてから、あの子の様子は明らかにおかしかった。キスもSEXも、いつも通りっちゃいつも通りだけど、どこか上の空。会話の数も減った気がする。特に気になるのは、TVで幸せそうな家族が映ると、直ぐにチャンネルを変えるか消す。実家で何かあったんだろうか。何も言わないあの子に痺れを切らした私は… 0:三神の家。夕食を食べている。 朔良:ねぇ、どしたの三神。最近変よ? 三神:え?そう? 朔良:なーんか上の空だし、TVもなんかすぐチャンネル変えるし。 三神:あー。……うん。 朔良:なんか悩み事?私に言えないこと? 三神:いや…、…………朔良。 朔良:なに? 0:少し間 三神:終わりにしよっか 朔良:………………え? 三神:別れよう。 朔良:なに、いって… 三神:ごめん。私、幼なじみに結婚前提で交際申し込まれたの。 朔良:けっ、こん…… 三神:やっぱり私、両親に私の子供見せたい。普通に男の人と結婚して、子供作って…私一人っ子だからさ。両親の為にも、その方がいい気がして。それに……1回浮気した人って、もう一度するって言うじゃん? 朔良:……っ 三神:……ごめん、朔良を信じれなくてごめん…。正直離れて住んでた間も、私が仕事に行ってる間も、別の男や女とヤリまくってんじゃないかなって、毎日毎日気が狂いそうなくらい嫉妬した。全ての人間が敵に見えてた。 朔良:してない!ずっとこの部屋で三神待ってた!二度としないって言ったじゃない!! 三神:…………信じられないの。信じたくても、信じられない。(涙こらえ) 朔良:三神……、そ、うよね。ごめん……私が、悪い…。出てく。私のもの…そんな無いけど、全部捨ててくれていいから。あと鍵…。………サヨナラ 0:静かにドアが閉まる 三神:っ……ぅあ……(泣き崩れる) 0:玄関の前でしゃがみこむ朔良。中から三神の泣き声が漏れ聞こえる 朔良:ッ……、(声を押し殺して泣く) 朔良M:こうして、私たちの 三神M:桜のような 朔良M:淡くて脆い 三神M:恋が終わった。 三神M:テーブルの上には、彼女が置いていった鍵についたペンギンがじっと、私を見つめていた。 0: 0: 0:バーにて 秋田:(無言で思い切り三神の頬を叩く) 三神:いっ……つ… 秋田:……バカ!!だから!!辞めとけって…(ボロボロ涙こぼれる) 三神:……ごめん 秋田:あんな、幸せそうな…朔良ちゃん、見たこと無かったのになぁ……ほんと、幸せそうで…っ 三神:…ほんとにそうかな… 秋田:そうだよ!三神が出張の間、毎日私のとこに電話かけてきてさ!惚気話ずーーっと聞かされてさ!アンタが実家に戻ってる間も、「私のせいだ」って、毎日毎日……っ 三神:………… 秋田:アンタは、朔良ちゃんを弄んだのよ。 三神:弄んでなんか! 秋田:朔良ちゃんがどういう人間かわかっていながら…、確かに、朔良ちゃんがやってしまったことは悪いよ?でも、たった1回の過ちを受け入れずに突き放して捨てた。男に興味無いって言いながら男を選んだ。正直、見損なったよ。 三神:私、朔良を……弄んだ…? 秋田:アンタは、朔良ちゃんを弄んだという罪を一生背負いながら、普通に結婚して、普通に子供産んで、普通に、幸せになりなよ。 三神:……っ、私、朔良に… 秋田:朔良ちゃんならもう居ないよ。 三神:いない、ってまさか死 秋田:アメリカ行った。カジノで大儲けしてくるってさ。 三神:へ…… 秋田:「誰にも頼らず、1人で生きていくためにはお金が必要だ」って。 三神:な、にそれ……。 秋田:とゆーわけで。私もそろそろ帰る。可愛いハニーが待ってるからさ。あ、結婚式は呼ばないでね。めちゃくちゃにしちゃいそうだから。じゃーねん。 三神:……うん。 三神M:桜のような恋をした 朔良M:1年のたった1週間程度しか満開にならない桜 三神M:願わくば、彼女の桜がまた満開になる事を 朔良M:もう二度と、咲かない私の桜 三神:……愛してたよ。 朔良:(三神へ何かメッセージをお願いします) 0: 0: 0:END