台本概要

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タイトル Calisson2-カリソン2- R18BL
作者名 橘りょう  (@tachibana390)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男3)
時間 50 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 雪弥と忍が営むカリソンの日常に、レオというフランスからの友人が訪れる。
不敵な笑みを浮かべる彼に振り回される雪弥…というお話。

R18作品となっておりますので、読み手の方の年齢はもちろん、リスナーの方の年齢にもご注意ください。
当方、責任はとれませんのでご了承ください。
読み手の性別は不問ですが、登場人物の性別の変更は不可

作品名、作者名、台本へのリンクの表記をお願いいたします。
余裕があれば後でも構わないのでTwitterなどで教えて下さると嬉しいです、
アーカイブが残っていたら喜んで聴きに行かせていただきます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
雪弥 256 カリソンの代表パティシエ。受 顔は良いが少々勝気
205 カリソンの接客と補助担当のパティシエ。攻 クールな性格
レオ 110 人気パティスリー「レオニール」のオーナーパティシエ。??? フランスから忍に会いに来た
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
忍:そういえば… 雪弥:ん?どうかしたか? 忍:…来週末、誕生日だな 雪弥:…… 忍:金曜 雪弥:…もう30か… 忍:そうだな 雪弥:もう30かぁ… 忍:そうだよ 雪弥:30… 忍:それは一足先に30になった俺への嫌味かなにかか? 雪弥:そんなんじゃねぇよ!忍は落ち着いてるし貫禄あるじゃん 忍:…… 雪弥:そうでなくても年下に見られるのになぁ…この歳になると童顔って損だな 忍:何もしてなくても歳はとるんだから、文句言っても仕方ないだろ 雪弥:なにか目標とか決めたか? 忍:目標? 雪弥:30代に向けて 忍:別に何も… 雪弥:俺はなんかでかいことしたいかなぁ 忍:随分曖昧な目標だな 雪弥:んー、まだなにも決まってないけど、なにかこう…大きな変化的なやつ 忍:馬鹿なこと言ってないでさっさと手を動かせよ、もうすぐ開店時間だぞ 雪弥:やべっ! : 雪弥:『いつも通りの日常。 雪弥:季節は少し空気が冷たくなっていて、そろそろ冬の足音が聞こえて来る頃』 雪弥:『穏やかで静かで、平和な日だと思ってた』 : : 雪弥:あーぁ、暇だなぁ 忍:こら、お客さんに見える位置でダラつくな 雪弥:来てないから良いじゃねぇか 忍:そういうことじゃ… レオ:Bonjour!(ボンジュール) 雪弥:?! 忍:い、らっしゃいませ… レオ:Salut(サルー)、忍! 忍:へ…、レ…レオ?! レオ:久しぶりだな 忍:あぁ、本当に久しぶりだ!いつ日本へ?! レオ:先週な!あぁ、忍!(ハグする) 忍:元気そうでなによりだ(ハグを返している) レオ:よく顔を見せてくれ!あぁ、いい男になったな 忍:レオも…! 雪弥:……(呆気に取られている) 忍:どうしたんだ、急に。店は良いのか? レオ:こっちで支店を出すんだ。それで折角来たから君の顔を見たいと思ってね 忍:それなら1本連絡をくれたら良かったのに…! レオ:忙しくてね、時間が取れるか分からなかったんだ 忍:何年ぶりだ…もう十年近いんじゃないか レオ:non、まだ八年だ 雪弥:忍 忍:? 雪弥:店頭だ、盛り上がるなら外でしてくれ。後ろのお客さんが入れなくて困ってる 忍:あっ!…大変申し訳ありません、いらっしゃいませ レオ:私はケーキを選ばせてもらおう、後ろのお嬢さんの対応してやってくれ 忍:すまん、後で… : 忍:レオ、待たせた レオ:いや構わない。…それにしても随分と美しいケーキだ。先程の彼がここのオーナーか? 忍:あぁ、ちょっと待ってくれ。……雪弥! 雪弥:(少し不満顔で出てくる)…どうした? 忍:さっきは悪かった 雪弥:…別に 忍:友人を紹介するよ 雪弥:友人… 忍:レオ、紹介するよ。上杉雪弥、この店のパティシエだ 雪弥:…ども レオ:レオボルト・エイメだ、気軽にレオと呼んでくれて構わない(握手する) 雪弥:…レオ、ボルト、エイメって… レオ:おっ、私のことを知ってくれてるのか! 雪弥:「レオニール」の、パティシエ…! レオ:Oui(ウィ) 雪弥:俺でも知ってる!フランスの… 忍:そこのオーナーだよ 雪弥:は?!お前なんでそんなやつと知り合いなんだよ?! 忍:ここの店始める前に一緒に働いてたんだ。兄弟子ってやつかな レオ:懐かしいな 忍:あぁ、本当に。フランスに帰ってからあっという間に有名人だ レオ:たまたま人に恵まれただけさ。…それにしてもどれも本当に素晴らしい造形だ 雪弥:あ、ありがとう、ございます… レオ:どれも美味しそうで迷うな、おすすめはどれだ? 雪弥:日本語、お上手ですね… レオ:母が日本人なんだ!それに私は日本が好きでね レオ:忍のケーキはどれだ?久しぶりに君のも食べたい 忍:俺はあくまで補助だ。ここのオーナーパティシエは雪弥だから レオ:なんだ、そうなのか!…それは残念 雪弥:…… レオ:いくつか貰って帰ろう。それと…これ。そうだな、あとこのケーキバーをいくつか 雪弥:かしこまりました 忍:日本にはいつまで? レオ:暫くは滞在するつもりだ。良かったら食事に行こう 忍:あぁ、いいな。連絡くれ レオ:必ず。良かったら彼も 雪弥:えっ、あ…いや、俺は良いよ。積もる話もあるだろ レオ:君とも話をしてみたい、ユキヤ。どういう漢字を書くんだ?名刺を貰いたい 雪弥:名刺…ショップカードなら… レオ:へぇ、美しい名前だな。ありがとう、邪魔したね 忍:レオ、わざわざありがとう レオ:また連絡するよ、忍(ハグをして頬を重ねる) 忍:待ってる(同じように返す) : :手を振りながら去っていくレオ :笑顔で見送る忍に面白くない雪弥 : 忍:相変わらずだなぁ 雪弥:…びっくりした… 忍:俺もだ 雪弥:兄弟子だからって…あんなに親しい相手が居たなんて知らなかった 忍:話したこと無かったかな 雪弥:聞いた事はねぇな 忍:何となくウマが合うって言うのかな…いつの間にかよく話すようになってて 雪弥:ふぅん… 忍:レオはすごく貪欲で前向きで、見習いの頃から特別な存在だったんだ。俺も憧れだった 雪弥:しっかし…レオニールの日本支店のニュースは聞いてたけど、まさかそこのパティシエが知り合いとか… 忍:すっかり遠い存在になったと思ってたのにな…いざ会うと昔と変わらなくてこっちが拍子抜けだ 雪弥:…そんなもんだろ、旧友なんて 忍:そうだな。…いらっしゃいませ : 雪弥:…面白くねーの : : 雪弥:あー…いらっしゃいませ レオ:やぁ、雪弥!今日もいい天気だな! 雪弥:今日もいらしたんですね… レオ:あぁ!まだ食べていないケーキがあるからね! 雪弥:今日で四日目ですよ?もうあらかた食べたんじゃ… レオ:昨日買いたかったものが売り切れててね。量を減らしてるのかい? 雪弥:あぁ、そうですね。そろそろ秋のケーキも落ち着いてくる頃で、冬に向けての新作も準備しなきゃいけませんからね レオ:それは残念だ。…忍は?今日はお休みかい? 雪弥:あぁ、今日はちょっと遅れてくる日なんですよ レオ:そうか 雪弥:あのー…ちょっと聞いて良いですか? レオ:ん?なんだい? 雪弥:昔のあいつって…どんな奴でした? レオ:…一緒に働いていた時は、実に刺激的な男だったよ。人をあまり寄せつけない雰囲気だったが、私とは仲良くしてくれた レオ:夜遅くまで二人で新作を作ろうと必死になっていた時期もあったなぁ…懐かしい 雪弥:へぇ… レオ:母もだが、忍も日本語を教えてくれたんだ。口説き方や夜の誘い文句なんかをね 雪弥:はぁ?! レオ:ははっ、冗談だよ! 雪弥:からかわないでくださいよ… レオ:この店はいつから? 雪弥:あぁ…もう五年になりますね レオ:という事は、あの店を辞めてから少し後か…店を始める約束をしてたのかい? 雪弥:あー、まぁ、そんな感じです レオ:…ふぅん 雪弥:レオボルトさん…? レオ:気軽にレオと 雪弥:そっすか… レオ:…忍は君のMoncherieかい? 雪弥:も…? レオ:モン、シェリ。男の恋人か、と聞いてる 雪弥:…! レオ:あぁ、そんなに身構えないでくれ。偏見は無いから 雪弥:…どうして レオ:なんだろうな、二人の間の空気というのか?忍が君に向ける視線の熱っぽさかな 雪弥:…… レオ:忍は、情熱的な男だろう? 雪弥:…… レオ:ふふふっ 雪弥:からかってるんですか? レオ:あぁ、気分を悪くしたなら謝ろう。君が一生懸命なもので、つい 雪弥:…別に レオ:それにしてもここの店のケーキは本当に美味い 雪弥:あ、ありがとうございます。レオのようなパティシエに言われると…恐縮です レオ:造形が美しい、実に繊細だ。宝石のようだと言われないか? 雪弥:いや、さすがにそこまでは… レオ:それにどれもバランスがいい 雪弥:どうも、あり… レオ:(被せて)忍のクセがよく出ている 雪弥:……は? レオ:彼のクセをよく活かしてると思うよ 雪弥:…… レオ:初めてこの店のケーキを食べた時に思った。味は忍がアドバイスしてるんじゃないか? 雪弥:…あぁ レオ:君は、何が作りたいんだ? 雪弥:…ぇ… レオ:君が作りたいのは自分のケーキか、忍のケーキか。君の信念はなんだ?商品に込める思いは? 雪弥:それは…、… レオ:どうしてすぐに答えられないんだ?簡単な質問だろ?取材を受けたら嫌になるほど聞かれる 雪弥:…… レオ:(溜息)正直に言おう。私は彼を引き抜きに来た 雪弥:は? レオ:私の店で、彼には働いて欲しいと思ってる 雪弥:…そんなこと、あいつは引き受けない レオ:それはどうかな?自分で言うのもなんだが、レオニールはそれなりに名前が知られてる店になったと思ってる。そこの日本支店と、この小さな店… レオ:どちらが、より彼の才能を発揮できると思う? 雪弥:…… レオ:答えられないなら…それが君の答えだ : レオ:君は…忍の素晴らしい才能を、より広い世界で発揮してもらいたいと思わないのか? 雪弥:それは…、…! レオ:それとも彼の才能を…独り占めしたいかな? 雪弥:違う! レオ:この業界で、あれほどに味覚が鋭いと言うのは羨ましくもあり恐ろしい才能だ。同時に最高の武器になる。忍にはそれを私の所で発揮して欲しいと思ってる 雪弥:忍は……!! レオ:雪弥、君は忍の才能を殺す気か? 雪弥:そんな…、ことは…! レオ:それに、私は彼の… 雪弥:なんだよ… : :見つめ合う二人、沈黙が流れる : レオ:いや、よそう。…君も覚悟をしておくべきだ 雪弥:…… レオ:…今日はもう帰るよ、では良い一日を :不敵な笑みを浮かべて去っていくレオ 雪弥:…引き、抜き… : : 雪弥:…(味見をしている) 忍:雪弥? 雪弥:…… 忍:おい 雪弥:え? 忍:今日はやけに味の確認してるな、どうした?なにか気になるのか? 雪弥:あぁ…うん、ちょっと… 忍:クリーム? 雪弥:あ、いや…いい。自分で確認するから 忍:そうか?えらく悩んでるみたいだったから… 雪弥:だからいいって!…自分で、調整位できる 忍:(溜息)昨日からどうした? 雪弥:何が? 忍:イラついてるというか、考え込んでるというか…おかしいぞお前 雪弥:別に。なんでもない 忍:雪弥 雪弥:俺だって考え事くらいする 忍:……まぁ、それならそれでいいけど。何?新作でも悩んでるのか? 雪弥:そんな感じ 忍:珍しいな。そんなに悩むなんて 雪弥:そういう時だって…ある 忍:…雪弥? 雪弥:…… 忍:…悩むのは構わないけど、普段の仕事に支障出さない程度にな 雪弥:…わかってる 忍:本当にわかってるか? 雪弥:分かってるよ!! 忍:…… 雪弥:悪い… 忍:…これ、出してくる 雪弥:あぁ… : 雪弥:…クソッ…! : : 忍:店頭、閉めたぞ 雪弥:あぁ、お疲れ 忍:お疲れ 雪弥:忍…その、昼間は悪かった。大声出して… 忍:いや、気にしてない。俺もしつこかった、すまん 雪弥:…忍は、悪くない。俺の問題だから… 忍:まだ悩んでるのか? 雪弥:ん…(頷く) 忍:俺に相談は…したくない? 雪弥:…… 忍:(雪弥の頭を撫でる)分かった、じゃあもうこの話は終わりにしよう 雪弥:…ごめん 忍:なんで謝るんだ、気にしてない 雪弥:…ごめん… 忍:(溜息) :雪弥の腕を取り抱き寄せる 雪弥:しのっ…! 忍:必要なら、頼れ 雪弥:…わかってる…でも、俺が…! 忍:その為に、居るんだから 雪弥:でも… 忍:もういい、黙れ(数回キスをする) 雪弥:ん…、は : レオ:『君は忍の才能を殺す気か?』 : 雪弥:…っ!(忍を押しのける) 忍:雪弥? 雪弥:…ごめん 忍:…明日は休みだから、ゆっくり休め。な? 雪弥:うん…そ、だな… 忍:さっさと片付け、済ませよう 雪弥:うん…ごめん、忍… : : 雪弥:あーぁ… : 雪弥:『せっかくの休日。家で一人過ごしても余計な事ばかりが頭をめぐってしまい、気分転換に外に出た。 雪弥:気を紛らわそうと入った映画館も、気になっていた作品なのに中身は全く頭に入ってこない。 雪弥:あいつの…レオの言葉が頭の中に反響する。あの時だけ、強く睨みつけて来た。それはレオの本心からの言葉だったから…なのかもしれない… 雪弥:何も言い返せなかったのが、悔しい』 : 雪弥:お前に…何がわかるんだよ、クソッ 雪弥:たかが、二年やそこら一緒に働いただけの奴が…知ったような口利きやがって… 雪弥:付き合いなら…俺の方が… : 雪弥:『気が付くと忍の家の近くで、鉢合わせも気まずいと思って踵を返した時、オープンテラスの片隅に向かい合って座る二人の姿が飛び込んできて思わず身を隠した。 雪弥:書類らしき物を広げ、真剣な顔で話しながら忍が何かを書いては、レオがそれを受け取って行く。 雪弥:そして…握手を交わした』 : 雪弥:もしかして…引き受けた、のか…? : 雪弥:『もう見ていられなかった。建物に身を隠したまま座り込む。溢れてくる涙が止まらなくて、しばらくその場から動けなかった』 : : 忍:お前、何やってんだ? 雪弥:ん…、あー、おかえり忍 忍:来てたなら連絡しろよ。早く帰ってきたのに… 雪弥:いーの! 忍:酔ってるな…。人の部屋の玄関先を空き缶で汚すなよ、全く 雪弥:…遅かったな 忍:ん?あぁ、レオと食事してた 雪弥:へー… 忍:ほら、ドア開けるから立てって 雪弥:(フラフラと立ち上がる)あー…忍、水くれ… 忍:分かった分かった :二人、部屋に入る 忍:何時から待ってたんだ? 雪弥:…覚えてない(ベッドに座る) 忍:玄関先で飲みながら待つとか勘弁してくれ、変な噂が立ったらどうしてくれるんだ 雪弥:んー…ごめん 忍:ほら、水 雪弥:サンキュ… 忍:飲むなとは言わないけど、風邪ひくぞ?薄着だし日が暮れたら冷える… 雪弥:ん…(忍の腕を掴む) 忍:雪弥? 雪弥:忍…。っ…!(腕を強く掴んでベッドに引き倒す) 忍:うわっ!ちょ、どうしたんだいきなり! 雪弥:抱いてくれ 忍:雪弥…? 雪弥:今すぐ、抱いてくれ… 忍:だから、どうし…(キスされる) 雪弥:んっ、はぁ…。ダメ、か…? 忍:…お前からそんなこと言うの、珍しいな 雪弥:そういう…気分なんだよ :何度かキスする 忍:雪弥… 雪弥:忍…すき… 忍:俺も 雪弥:(キスしながら)したい… 忍:やめてって言われても…やめないからな 雪弥:良いよ… : : 忍:(耳元に口付けながら)雪弥… 雪弥:んッ…は、ぁ…忍、さわって… 忍:まだ、ダメだ 雪弥:は、やく…しのぶ… :雪弥の体のあちこちにキスしていく忍 忍:折角なんだから…もっと我慢して、欲しがって 雪弥:(吐息を漏らしながら身悶える) 忍:触って、欲しい? 雪弥:さわって… 忍:…良いよ(下腹部の下に手を伸ばす) 雪弥:んんッ…、あっ… 忍:雪弥…(口に含む) 雪弥:(嬌声が上がる)は、あ…っ 忍:(執拗に舐め上げる) 雪弥:も、い…く…!…っ! 忍:ん… 雪弥:(息が荒い)しのぶ… 忍:雪弥? 雪弥:忍にも…するから… 忍:いや、だってお前…苦手… 雪弥:いいから…(口に含む) 忍:…っ… 雪弥:(たどたどしい愛撫) 忍:ふ…ぅ…これはこれで…いい眺めだな(雪弥の背中側に手を伸ばす) 雪弥:うぅ?!ちょ、ダメだ…って、そこ、弄らないで… 忍:どうして?ほら、ちゃんと解さないと… 雪弥:あ…ん… 忍:口が、止まってるぞ… 雪弥:ん…(愛撫を再開する) : 忍:雪弥、もういい…離して… 雪弥:でも、まだ… 忍:いいから :忍にのしかかる雪弥 雪弥:俺が…する… 忍:え、ちょ… 雪弥:忍は、横になってろ(上から腰を落とす) 忍:ゆきっ…、く… 雪弥:は、くぅ…(苦しそうな呼吸) 忍:無理、するなって… 雪弥:(動きながら)は、しのぶっ…しのぶ… :そのまま体勢を変えて雪弥を組み敷く忍 雪弥:ちょ、待って…ダメだ…っ! 忍:(動く)無理、我慢して 雪弥:(嬌声があがる) 忍:(一度離れて)雪弥、背中向けて 雪弥:(息が乱れている)背中…? 忍:(背中にキスをして舌を這わせる) 雪弥:あっ…んんッ… 忍:(小さく笑う)ほんと、背中弱いな… 雪弥:しの、ぶっ…早く… 忍:…あぁ 雪弥:んっ…はぁ…っ! 忍:こっち向いて…(キス) 雪弥:は、ぁ…もっと… 忍:…? 雪弥:しのぶ…っ、すき…! 忍:(強く動く)雪弥、ゆきやっ…! 雪弥:は、も、待って、もう…!! 忍:ゆきっ…、つっ…!! : :息が上がってる2人 : 忍:大丈夫か…? 雪弥:しのぶ…(キスをせがむ) 忍:本当に今日は… 雪弥:もう、いっかい… 忍:…ぇ 雪弥:忍、もう一回… : : 雪弥:ん…あれ… 忍:(寝息を立てている) 雪弥:忍… 忍:んん…ぁ、起きた…? 雪弥:ごめん、起こしたか… 忍:おはよ… 雪弥:(忍に擦り寄る)…おはよう… 忍:(軽くキスをする)何があった? 雪弥:…… 忍:何も無いとか言うなよ? 雪弥:…レオの… 忍:レオ? 雪弥:レオの所に… 忍:は? 雪弥:レオの所、行くんだろ…? 忍:なんで知ってるんだ? 雪弥:…なんでって…!なんで…どうしてそんな大事なこと相談してくれなかったんだ!そんな、重要なこと…! 忍:いや、大したことじゃ… 雪弥:大したことじゃない?!そんな訳ないだろ! 忍:ちょっと待て、落ち着けって! 雪弥:落ち着いてられるか!お前が、お前がっ…! 忍:雪弥…? 雪弥:忍が居なくなったら…俺、1人で店やっていく自信ない… 忍:え… 雪弥:あんな、仲良い相手がいるとか知らなかったし…それが、凄いパティシエで… 忍:…… 雪弥:俺を、置いてくのかよ… 忍:その…さっきから何の話だ? 雪弥:…ぇ 忍:俺は…クビにでもなるのか? 雪弥:…レオの所に行く…んだろ? 忍:休みの日に…商品開発の手伝いに 雪弥:手伝い…? 忍:それだけ…だが 雪弥:でも、引き抜き… 忍:…それこそ、誰から聞いたんだ… 雪弥:レオから… 忍:(溜息)断ったよ 雪弥:…… 忍:最初に店に来た日の夜にな。さすがにあっさりは引き下がらなかったけど、代替え案出して納得してもらった 雪弥:代替え… 忍:日本人向けの商品開発の手伝いするって条件でな。こっちで信頼出来るパティシエが見つかるまでの間 雪弥:…それ、だけ…? 忍:あぁ 雪弥:本当に…? 忍:嘘つくと思うか? 雪弥:か、カフェで… 忍:カフェ? 雪弥:お前とレオが、握手してるの見て…、忍が居なくなるって…思っ…… 忍:雪弥… 雪弥:あいつに、忍の才能、殺す気かって言われて…何も言い返せなくて…!悔しかった…!! 忍:泣くなよ…(抱きしめる) 雪弥:忍がっ…居なくなるかと…! 忍:どこにも行かない 雪弥:忍…! 忍:俺が雪弥の傍に、居たくて居るんだ。勝手に…手放そうとするな 雪弥:…… 忍:引き抜きがどうとかって話、雪弥が知ってると思わなかったから言わなかったんだ。ちゃんと話せばよかったな…すまん 雪弥:…俺も、聞けばよかった…ごめん : 雪弥:あいつに、何を思って作ってるんだって聞かれて…何も言えなくて… 忍:うん… 雪弥:忍のクセが出てるケーキって… 忍:…確かに味に関して口出しはしてるが…それは二人の店だからな 雪弥:…ぁ… 忍:それに雪弥がこう、って思った味は、俺が何言っても譲らない。だろ? 雪弥:…うん… 忍:俺の才能って言うけどさ、それはレオが過大評価してるだけだ。味覚に敏感な奴はこの界隈、他にもゴロゴロいるぞ 雪弥:ゴロゴロは、居ないだろ… 忍:そうか(軽く笑う) 雪弥:……その… 忍:ん? 雪弥:あいつが…、その… 忍:何? 雪弥:も…元カレとか… 忍:(吹き出す)はははっ…! 雪弥:だってアイツが自分は忍の、って言いかけて止めたから…! 忍:ないない、ははっ 雪弥:…… 忍:嘘なんかつかない 雪弥:ん… 忍:レオは兄弟子だけど、それ以上の関係じゃない。本当だ 雪弥:ん… 忍:ちゃんと話すから、なんでも聞いて 雪弥:ごめん… 忍:俺も…ごめん : : レオ:やぁ!しばらくぶりだね! 忍:いらっしゃいませ。しばらくって三日くらい顔を見てないだけだが? レオ:三日も会ってなかったじゃないか! 忍:その前は八年なのにな 雪弥:おい、お前 レオ:やぁ雪弥!今日も綺麗な顔をしてるね! 雪弥:…話がある…! レオ:…ほぉ? 忍:雪弥… 雪弥:忍、ちょっと店頼んだからな 忍:…… レオ:何をそんなに心配してるんだ、忍。喧嘩をしに行くわけじゃない…そうだろ? 雪弥:あぁ。…こっちだ : :レオを連れて店の裏手に回る レオ:こういうのを、果し合いというんだったかな? 雪弥:違う。…お前、もう忍に断られてたのに適当言いやがったな?! レオ:とんでもない!断られたと言ってないだけで、私は本心から本当のことを言っただけだよ 雪弥:一番肝心な事を言えよ! レオ:なんだ、私にあの程度揺さぶられただけで君は不安にでもなったのかい? 雪弥:…悪いか レオ:忍も随分信用されてないな 雪弥:それは違う レオ:…へぇ 雪弥:忍を信用してないんじゃなくて…俺が俺の事を一番信じられて無かっただけだ レオ:…… 雪弥:俺には作りたい物がある。でもそれは俺だけの力じゃダメなんだ。…忍とだから、できる事だ レオ:忍に、甘えてるんじゃないのか? 雪弥:そうかもしれない…けど、俺が一緒に走りたいと思ってるのは忍だけだ レオ:…… 雪弥:忍も、同じだ レオ:…成程 雪弥:この店は俺だけの店じゃない、俺と忍の店だ。作りたいのは…食べた人が笑顔になれる、二人で作るケーキなんだよ レオ:ふふふ…あっはっはっは…! 雪弥:な、なんだよ…! レオ:こういうのを日本語でなんて言うんだっけ?惚気?だったかな?はははっ…! 雪弥:はぁ?! レオ:悪かった。君達の店が素晴らしかったから少し…嫉妬してしまったんだ 雪弥:…へ… レオ:いい店だ。暖かくて、とても優しい 雪弥:…… レオ:私も君たちに負けない、そんな店を作りたいよ 雪弥:…レオニールがこんな小さな店に張り合うのか? レオ:あぁ、張り合うとも 雪弥:ははっ、変な奴 レオ:…もし君が、忍を自分の為に利用するだけのような男なら、どんな手を使ってでも私は忍を連れていくつもりだった 雪弥:…… レオ:そうでなくて…本当に良かった(微笑む) 雪弥:…そんなことしねぇよ。俺は…忍と一緒に夢見てんだ レオ:(小声)…忍が君に執着しているのが、何となくわかったよ 雪弥:ん、何? レオ:いや、なんでもない。これ以上長居をするのは良くないな、日本では馬が蹴るんだろう? 雪弥:変なこと知ってんな… レオ:…今日午後には日本を発つ。暫くは行ったり来たりだと思うが、開店したら招待するよ。ぜひ私の店に遊びに来てくれ 雪弥:もちろん レオ:忍と二人でね 雪弥:定休日、被ってなきゃな レオ:おお、それは重要だ。さて、忍の顔を見てから帰るかな 雪弥:今頃、心配して変な顔してるぜ レオ:尚更その顔を見て帰らなくては! : 忍:お、かえり… 雪弥:ほらな、やっぱり変な顔してた 忍:は?いきなり… レオ:そんな表情も、私の前では見せてくれなかったものだな 忍:レオ…? レオ:さっき雪弥には伝えたが、午後には日本を発つ。…邪魔したな 忍:いや…会えてよかった レオ:あぁ、私もだ :二人ハグする 忍:元気で レオ:忍もな :離れ店から出ていく レオ:また会おう、A bientot(アビエントゥ) 雪弥:レオ! レオ:ん? 雪弥:…ありがとう! レオ:…ふっ、君はいい男だな :軽く手を振って去っていくレオ : :回想 忍:…気持ちは嬉しいけど、無理だ レオ:どうして?私の店では物足りないか?この店よりずっと広い世界で、君の才能を発揮できるというのに! 忍:… レオ:忍の才能はこんな小さな店で終わるには勿体ない! 忍:無理だよ… レオ:何故だ? 忍:…俺は、雪弥と一緒にこの店をやっていきたい レオ:…… 忍:雪弥じゃなきゃ…ダメなんだ レオ:…それは、もしかして彼は君の… 忍:(手で制する)それだけじゃない : 忍:雪弥はさ、俺が…ずっと負い目にしてた部分を…笑い飛ばしたんだ レオ:負い目… 忍:同性しか愛せない レオ:…… 忍:どうでもいいって笑ったんだ。ゲイだろうがなんだろうが関係ないって。あいつが…初めてだった レオ:…たった、それだけで… 忍:あぁ、たったそれだけだ。でも…何ものにも変え難かった。 : 忍:俺が雪弥の傍に居たい。他の奴じゃ…ダメなんだ。俺があいつの横で、あいつの助けになりたい。それだけなんだ レオ:…雪弥は、それほどの男か? 忍:あぁ : : レオ:しあわせの菓子、か。…妬けるねぇ… : : 雪弥:嵐みたいな奴だったな… 忍:そうだな、でも…レオらしいと言えば、レオらしい 雪弥:あいつって…昔からああなの? 忍:一緒に働いてた時はもっと…直接的にものを言いすぎて睨まれるタイプだったな。大人しくなったと思うが? 雪弥:うわ…その時に会ってなくて良かった… 忍:確実にぶつかるな、似たもの同士で 雪弥:は? 忍:仕事に戻ろう 雪弥:さっきのどういう意味だよ? 忍:尖ってたもの同士って事だ 雪弥:そんな事ねぇし! 忍:はいはい 雪弥:流すな! 忍:あぁ、そうだ 雪弥:…なに 忍:明日、仕事終わったら飯行こう 雪弥:明日? 忍:用があるか? 雪弥:無いけど… 忍:誕生日 雪弥:…… 忍:お祝いしよう 雪弥:…せっかく忘れてたのに…! 忍:悪あがきだな 雪弥:…まぁ、でも…行く 忍:店じゃない方が良いか? 雪弥:居酒屋で良いよ 忍:飲みすぎるからダメ 雪弥:誕生日位良いじゃねぇか 忍:都合良い奴 雪弥:そういう所も好きだろ? 忍:(小さく笑う) : 忍:(何か言いかけて) 忍:いらっしゃいませ 雪弥:ぁ…いらっしゃいませ 忍:ほら、仕事に戻れ 雪弥:…後で聞かせろよ 忍:覚えてたらな : : :終

忍:そういえば… 雪弥:ん?どうかしたか? 忍:…来週末、誕生日だな 雪弥:…… 忍:金曜 雪弥:…もう30か… 忍:そうだな 雪弥:もう30かぁ… 忍:そうだよ 雪弥:30… 忍:それは一足先に30になった俺への嫌味かなにかか? 雪弥:そんなんじゃねぇよ!忍は落ち着いてるし貫禄あるじゃん 忍:…… 雪弥:そうでなくても年下に見られるのになぁ…この歳になると童顔って損だな 忍:何もしてなくても歳はとるんだから、文句言っても仕方ないだろ 雪弥:なにか目標とか決めたか? 忍:目標? 雪弥:30代に向けて 忍:別に何も… 雪弥:俺はなんかでかいことしたいかなぁ 忍:随分曖昧な目標だな 雪弥:んー、まだなにも決まってないけど、なにかこう…大きな変化的なやつ 忍:馬鹿なこと言ってないでさっさと手を動かせよ、もうすぐ開店時間だぞ 雪弥:やべっ! : 雪弥:『いつも通りの日常。 雪弥:季節は少し空気が冷たくなっていて、そろそろ冬の足音が聞こえて来る頃』 雪弥:『穏やかで静かで、平和な日だと思ってた』 : : 雪弥:あーぁ、暇だなぁ 忍:こら、お客さんに見える位置でダラつくな 雪弥:来てないから良いじゃねぇか 忍:そういうことじゃ… レオ:Bonjour!(ボンジュール) 雪弥:?! 忍:い、らっしゃいませ… レオ:Salut(サルー)、忍! 忍:へ…、レ…レオ?! レオ:久しぶりだな 忍:あぁ、本当に久しぶりだ!いつ日本へ?! レオ:先週な!あぁ、忍!(ハグする) 忍:元気そうでなによりだ(ハグを返している) レオ:よく顔を見せてくれ!あぁ、いい男になったな 忍:レオも…! 雪弥:……(呆気に取られている) 忍:どうしたんだ、急に。店は良いのか? レオ:こっちで支店を出すんだ。それで折角来たから君の顔を見たいと思ってね 忍:それなら1本連絡をくれたら良かったのに…! レオ:忙しくてね、時間が取れるか分からなかったんだ 忍:何年ぶりだ…もう十年近いんじゃないか レオ:non、まだ八年だ 雪弥:忍 忍:? 雪弥:店頭だ、盛り上がるなら外でしてくれ。後ろのお客さんが入れなくて困ってる 忍:あっ!…大変申し訳ありません、いらっしゃいませ レオ:私はケーキを選ばせてもらおう、後ろのお嬢さんの対応してやってくれ 忍:すまん、後で… : 忍:レオ、待たせた レオ:いや構わない。…それにしても随分と美しいケーキだ。先程の彼がここのオーナーか? 忍:あぁ、ちょっと待ってくれ。……雪弥! 雪弥:(少し不満顔で出てくる)…どうした? 忍:さっきは悪かった 雪弥:…別に 忍:友人を紹介するよ 雪弥:友人… 忍:レオ、紹介するよ。上杉雪弥、この店のパティシエだ 雪弥:…ども レオ:レオボルト・エイメだ、気軽にレオと呼んでくれて構わない(握手する) 雪弥:…レオ、ボルト、エイメって… レオ:おっ、私のことを知ってくれてるのか! 雪弥:「レオニール」の、パティシエ…! レオ:Oui(ウィ) 雪弥:俺でも知ってる!フランスの… 忍:そこのオーナーだよ 雪弥:は?!お前なんでそんなやつと知り合いなんだよ?! 忍:ここの店始める前に一緒に働いてたんだ。兄弟子ってやつかな レオ:懐かしいな 忍:あぁ、本当に。フランスに帰ってからあっという間に有名人だ レオ:たまたま人に恵まれただけさ。…それにしてもどれも本当に素晴らしい造形だ 雪弥:あ、ありがとう、ございます… レオ:どれも美味しそうで迷うな、おすすめはどれだ? 雪弥:日本語、お上手ですね… レオ:母が日本人なんだ!それに私は日本が好きでね レオ:忍のケーキはどれだ?久しぶりに君のも食べたい 忍:俺はあくまで補助だ。ここのオーナーパティシエは雪弥だから レオ:なんだ、そうなのか!…それは残念 雪弥:…… レオ:いくつか貰って帰ろう。それと…これ。そうだな、あとこのケーキバーをいくつか 雪弥:かしこまりました 忍:日本にはいつまで? レオ:暫くは滞在するつもりだ。良かったら食事に行こう 忍:あぁ、いいな。連絡くれ レオ:必ず。良かったら彼も 雪弥:えっ、あ…いや、俺は良いよ。積もる話もあるだろ レオ:君とも話をしてみたい、ユキヤ。どういう漢字を書くんだ?名刺を貰いたい 雪弥:名刺…ショップカードなら… レオ:へぇ、美しい名前だな。ありがとう、邪魔したね 忍:レオ、わざわざありがとう レオ:また連絡するよ、忍(ハグをして頬を重ねる) 忍:待ってる(同じように返す) : :手を振りながら去っていくレオ :笑顔で見送る忍に面白くない雪弥 : 忍:相変わらずだなぁ 雪弥:…びっくりした… 忍:俺もだ 雪弥:兄弟子だからって…あんなに親しい相手が居たなんて知らなかった 忍:話したこと無かったかな 雪弥:聞いた事はねぇな 忍:何となくウマが合うって言うのかな…いつの間にかよく話すようになってて 雪弥:ふぅん… 忍:レオはすごく貪欲で前向きで、見習いの頃から特別な存在だったんだ。俺も憧れだった 雪弥:しっかし…レオニールの日本支店のニュースは聞いてたけど、まさかそこのパティシエが知り合いとか… 忍:すっかり遠い存在になったと思ってたのにな…いざ会うと昔と変わらなくてこっちが拍子抜けだ 雪弥:…そんなもんだろ、旧友なんて 忍:そうだな。…いらっしゃいませ : 雪弥:…面白くねーの : : 雪弥:あー…いらっしゃいませ レオ:やぁ、雪弥!今日もいい天気だな! 雪弥:今日もいらしたんですね… レオ:あぁ!まだ食べていないケーキがあるからね! 雪弥:今日で四日目ですよ?もうあらかた食べたんじゃ… レオ:昨日買いたかったものが売り切れててね。量を減らしてるのかい? 雪弥:あぁ、そうですね。そろそろ秋のケーキも落ち着いてくる頃で、冬に向けての新作も準備しなきゃいけませんからね レオ:それは残念だ。…忍は?今日はお休みかい? 雪弥:あぁ、今日はちょっと遅れてくる日なんですよ レオ:そうか 雪弥:あのー…ちょっと聞いて良いですか? レオ:ん?なんだい? 雪弥:昔のあいつって…どんな奴でした? レオ:…一緒に働いていた時は、実に刺激的な男だったよ。人をあまり寄せつけない雰囲気だったが、私とは仲良くしてくれた レオ:夜遅くまで二人で新作を作ろうと必死になっていた時期もあったなぁ…懐かしい 雪弥:へぇ… レオ:母もだが、忍も日本語を教えてくれたんだ。口説き方や夜の誘い文句なんかをね 雪弥:はぁ?! レオ:ははっ、冗談だよ! 雪弥:からかわないでくださいよ… レオ:この店はいつから? 雪弥:あぁ…もう五年になりますね レオ:という事は、あの店を辞めてから少し後か…店を始める約束をしてたのかい? 雪弥:あー、まぁ、そんな感じです レオ:…ふぅん 雪弥:レオボルトさん…? レオ:気軽にレオと 雪弥:そっすか… レオ:…忍は君のMoncherieかい? 雪弥:も…? レオ:モン、シェリ。男の恋人か、と聞いてる 雪弥:…! レオ:あぁ、そんなに身構えないでくれ。偏見は無いから 雪弥:…どうして レオ:なんだろうな、二人の間の空気というのか?忍が君に向ける視線の熱っぽさかな 雪弥:…… レオ:忍は、情熱的な男だろう? 雪弥:…… レオ:ふふふっ 雪弥:からかってるんですか? レオ:あぁ、気分を悪くしたなら謝ろう。君が一生懸命なもので、つい 雪弥:…別に レオ:それにしてもここの店のケーキは本当に美味い 雪弥:あ、ありがとうございます。レオのようなパティシエに言われると…恐縮です レオ:造形が美しい、実に繊細だ。宝石のようだと言われないか? 雪弥:いや、さすがにそこまでは… レオ:それにどれもバランスがいい 雪弥:どうも、あり… レオ:(被せて)忍のクセがよく出ている 雪弥:……は? レオ:彼のクセをよく活かしてると思うよ 雪弥:…… レオ:初めてこの店のケーキを食べた時に思った。味は忍がアドバイスしてるんじゃないか? 雪弥:…あぁ レオ:君は、何が作りたいんだ? 雪弥:…ぇ… レオ:君が作りたいのは自分のケーキか、忍のケーキか。君の信念はなんだ?商品に込める思いは? 雪弥:それは…、… レオ:どうしてすぐに答えられないんだ?簡単な質問だろ?取材を受けたら嫌になるほど聞かれる 雪弥:…… レオ:(溜息)正直に言おう。私は彼を引き抜きに来た 雪弥:は? レオ:私の店で、彼には働いて欲しいと思ってる 雪弥:…そんなこと、あいつは引き受けない レオ:それはどうかな?自分で言うのもなんだが、レオニールはそれなりに名前が知られてる店になったと思ってる。そこの日本支店と、この小さな店… レオ:どちらが、より彼の才能を発揮できると思う? 雪弥:…… レオ:答えられないなら…それが君の答えだ : レオ:君は…忍の素晴らしい才能を、より広い世界で発揮してもらいたいと思わないのか? 雪弥:それは…、…! レオ:それとも彼の才能を…独り占めしたいかな? 雪弥:違う! レオ:この業界で、あれほどに味覚が鋭いと言うのは羨ましくもあり恐ろしい才能だ。同時に最高の武器になる。忍にはそれを私の所で発揮して欲しいと思ってる 雪弥:忍は……!! レオ:雪弥、君は忍の才能を殺す気か? 雪弥:そんな…、ことは…! レオ:それに、私は彼の… 雪弥:なんだよ… : :見つめ合う二人、沈黙が流れる : レオ:いや、よそう。…君も覚悟をしておくべきだ 雪弥:…… レオ:…今日はもう帰るよ、では良い一日を :不敵な笑みを浮かべて去っていくレオ 雪弥:…引き、抜き… : : 雪弥:…(味見をしている) 忍:雪弥? 雪弥:…… 忍:おい 雪弥:え? 忍:今日はやけに味の確認してるな、どうした?なにか気になるのか? 雪弥:あぁ…うん、ちょっと… 忍:クリーム? 雪弥:あ、いや…いい。自分で確認するから 忍:そうか?えらく悩んでるみたいだったから… 雪弥:だからいいって!…自分で、調整位できる 忍:(溜息)昨日からどうした? 雪弥:何が? 忍:イラついてるというか、考え込んでるというか…おかしいぞお前 雪弥:別に。なんでもない 忍:雪弥 雪弥:俺だって考え事くらいする 忍:……まぁ、それならそれでいいけど。何?新作でも悩んでるのか? 雪弥:そんな感じ 忍:珍しいな。そんなに悩むなんて 雪弥:そういう時だって…ある 忍:…雪弥? 雪弥:…… 忍:…悩むのは構わないけど、普段の仕事に支障出さない程度にな 雪弥:…わかってる 忍:本当にわかってるか? 雪弥:分かってるよ!! 忍:…… 雪弥:悪い… 忍:…これ、出してくる 雪弥:あぁ… : 雪弥:…クソッ…! : : 忍:店頭、閉めたぞ 雪弥:あぁ、お疲れ 忍:お疲れ 雪弥:忍…その、昼間は悪かった。大声出して… 忍:いや、気にしてない。俺もしつこかった、すまん 雪弥:…忍は、悪くない。俺の問題だから… 忍:まだ悩んでるのか? 雪弥:ん…(頷く) 忍:俺に相談は…したくない? 雪弥:…… 忍:(雪弥の頭を撫でる)分かった、じゃあもうこの話は終わりにしよう 雪弥:…ごめん 忍:なんで謝るんだ、気にしてない 雪弥:…ごめん… 忍:(溜息) :雪弥の腕を取り抱き寄せる 雪弥:しのっ…! 忍:必要なら、頼れ 雪弥:…わかってる…でも、俺が…! 忍:その為に、居るんだから 雪弥:でも… 忍:もういい、黙れ(数回キスをする) 雪弥:ん…、は : レオ:『君は忍の才能を殺す気か?』 : 雪弥:…っ!(忍を押しのける) 忍:雪弥? 雪弥:…ごめん 忍:…明日は休みだから、ゆっくり休め。な? 雪弥:うん…そ、だな… 忍:さっさと片付け、済ませよう 雪弥:うん…ごめん、忍… : : 雪弥:あーぁ… : 雪弥:『せっかくの休日。家で一人過ごしても余計な事ばかりが頭をめぐってしまい、気分転換に外に出た。 雪弥:気を紛らわそうと入った映画館も、気になっていた作品なのに中身は全く頭に入ってこない。 雪弥:あいつの…レオの言葉が頭の中に反響する。あの時だけ、強く睨みつけて来た。それはレオの本心からの言葉だったから…なのかもしれない… 雪弥:何も言い返せなかったのが、悔しい』 : 雪弥:お前に…何がわかるんだよ、クソッ 雪弥:たかが、二年やそこら一緒に働いただけの奴が…知ったような口利きやがって… 雪弥:付き合いなら…俺の方が… : 雪弥:『気が付くと忍の家の近くで、鉢合わせも気まずいと思って踵を返した時、オープンテラスの片隅に向かい合って座る二人の姿が飛び込んできて思わず身を隠した。 雪弥:書類らしき物を広げ、真剣な顔で話しながら忍が何かを書いては、レオがそれを受け取って行く。 雪弥:そして…握手を交わした』 : 雪弥:もしかして…引き受けた、のか…? : 雪弥:『もう見ていられなかった。建物に身を隠したまま座り込む。溢れてくる涙が止まらなくて、しばらくその場から動けなかった』 : : 忍:お前、何やってんだ? 雪弥:ん…、あー、おかえり忍 忍:来てたなら連絡しろよ。早く帰ってきたのに… 雪弥:いーの! 忍:酔ってるな…。人の部屋の玄関先を空き缶で汚すなよ、全く 雪弥:…遅かったな 忍:ん?あぁ、レオと食事してた 雪弥:へー… 忍:ほら、ドア開けるから立てって 雪弥:(フラフラと立ち上がる)あー…忍、水くれ… 忍:分かった分かった :二人、部屋に入る 忍:何時から待ってたんだ? 雪弥:…覚えてない(ベッドに座る) 忍:玄関先で飲みながら待つとか勘弁してくれ、変な噂が立ったらどうしてくれるんだ 雪弥:んー…ごめん 忍:ほら、水 雪弥:サンキュ… 忍:飲むなとは言わないけど、風邪ひくぞ?薄着だし日が暮れたら冷える… 雪弥:ん…(忍の腕を掴む) 忍:雪弥? 雪弥:忍…。っ…!(腕を強く掴んでベッドに引き倒す) 忍:うわっ!ちょ、どうしたんだいきなり! 雪弥:抱いてくれ 忍:雪弥…? 雪弥:今すぐ、抱いてくれ… 忍:だから、どうし…(キスされる) 雪弥:んっ、はぁ…。ダメ、か…? 忍:…お前からそんなこと言うの、珍しいな 雪弥:そういう…気分なんだよ :何度かキスする 忍:雪弥… 雪弥:忍…すき… 忍:俺も 雪弥:(キスしながら)したい… 忍:やめてって言われても…やめないからな 雪弥:良いよ… : : 忍:(耳元に口付けながら)雪弥… 雪弥:んッ…は、ぁ…忍、さわって… 忍:まだ、ダメだ 雪弥:は、やく…しのぶ… :雪弥の体のあちこちにキスしていく忍 忍:折角なんだから…もっと我慢して、欲しがって 雪弥:(吐息を漏らしながら身悶える) 忍:触って、欲しい? 雪弥:さわって… 忍:…良いよ(下腹部の下に手を伸ばす) 雪弥:んんッ…、あっ… 忍:雪弥…(口に含む) 雪弥:(嬌声が上がる)は、あ…っ 忍:(執拗に舐め上げる) 雪弥:も、い…く…!…っ! 忍:ん… 雪弥:(息が荒い)しのぶ… 忍:雪弥? 雪弥:忍にも…するから… 忍:いや、だってお前…苦手… 雪弥:いいから…(口に含む) 忍:…っ… 雪弥:(たどたどしい愛撫) 忍:ふ…ぅ…これはこれで…いい眺めだな(雪弥の背中側に手を伸ばす) 雪弥:うぅ?!ちょ、ダメだ…って、そこ、弄らないで… 忍:どうして?ほら、ちゃんと解さないと… 雪弥:あ…ん… 忍:口が、止まってるぞ… 雪弥:ん…(愛撫を再開する) : 忍:雪弥、もういい…離して… 雪弥:でも、まだ… 忍:いいから :忍にのしかかる雪弥 雪弥:俺が…する… 忍:え、ちょ… 雪弥:忍は、横になってろ(上から腰を落とす) 忍:ゆきっ…、く… 雪弥:は、くぅ…(苦しそうな呼吸) 忍:無理、するなって… 雪弥:(動きながら)は、しのぶっ…しのぶ… :そのまま体勢を変えて雪弥を組み敷く忍 雪弥:ちょ、待って…ダメだ…っ! 忍:(動く)無理、我慢して 雪弥:(嬌声があがる) 忍:(一度離れて)雪弥、背中向けて 雪弥:(息が乱れている)背中…? 忍:(背中にキスをして舌を這わせる) 雪弥:あっ…んんッ… 忍:(小さく笑う)ほんと、背中弱いな… 雪弥:しの、ぶっ…早く… 忍:…あぁ 雪弥:んっ…はぁ…っ! 忍:こっち向いて…(キス) 雪弥:は、ぁ…もっと… 忍:…? 雪弥:しのぶ…っ、すき…! 忍:(強く動く)雪弥、ゆきやっ…! 雪弥:は、も、待って、もう…!! 忍:ゆきっ…、つっ…!! : :息が上がってる2人 : 忍:大丈夫か…? 雪弥:しのぶ…(キスをせがむ) 忍:本当に今日は… 雪弥:もう、いっかい… 忍:…ぇ 雪弥:忍、もう一回… : : 雪弥:ん…あれ… 忍:(寝息を立てている) 雪弥:忍… 忍:んん…ぁ、起きた…? 雪弥:ごめん、起こしたか… 忍:おはよ… 雪弥:(忍に擦り寄る)…おはよう… 忍:(軽くキスをする)何があった? 雪弥:…… 忍:何も無いとか言うなよ? 雪弥:…レオの… 忍:レオ? 雪弥:レオの所に… 忍:は? 雪弥:レオの所、行くんだろ…? 忍:なんで知ってるんだ? 雪弥:…なんでって…!なんで…どうしてそんな大事なこと相談してくれなかったんだ!そんな、重要なこと…! 忍:いや、大したことじゃ… 雪弥:大したことじゃない?!そんな訳ないだろ! 忍:ちょっと待て、落ち着けって! 雪弥:落ち着いてられるか!お前が、お前がっ…! 忍:雪弥…? 雪弥:忍が居なくなったら…俺、1人で店やっていく自信ない… 忍:え… 雪弥:あんな、仲良い相手がいるとか知らなかったし…それが、凄いパティシエで… 忍:…… 雪弥:俺を、置いてくのかよ… 忍:その…さっきから何の話だ? 雪弥:…ぇ 忍:俺は…クビにでもなるのか? 雪弥:…レオの所に行く…んだろ? 忍:休みの日に…商品開発の手伝いに 雪弥:手伝い…? 忍:それだけ…だが 雪弥:でも、引き抜き… 忍:…それこそ、誰から聞いたんだ… 雪弥:レオから… 忍:(溜息)断ったよ 雪弥:…… 忍:最初に店に来た日の夜にな。さすがにあっさりは引き下がらなかったけど、代替え案出して納得してもらった 雪弥:代替え… 忍:日本人向けの商品開発の手伝いするって条件でな。こっちで信頼出来るパティシエが見つかるまでの間 雪弥:…それ、だけ…? 忍:あぁ 雪弥:本当に…? 忍:嘘つくと思うか? 雪弥:か、カフェで… 忍:カフェ? 雪弥:お前とレオが、握手してるの見て…、忍が居なくなるって…思っ…… 忍:雪弥… 雪弥:あいつに、忍の才能、殺す気かって言われて…何も言い返せなくて…!悔しかった…!! 忍:泣くなよ…(抱きしめる) 雪弥:忍がっ…居なくなるかと…! 忍:どこにも行かない 雪弥:忍…! 忍:俺が雪弥の傍に、居たくて居るんだ。勝手に…手放そうとするな 雪弥:…… 忍:引き抜きがどうとかって話、雪弥が知ってると思わなかったから言わなかったんだ。ちゃんと話せばよかったな…すまん 雪弥:…俺も、聞けばよかった…ごめん : 雪弥:あいつに、何を思って作ってるんだって聞かれて…何も言えなくて… 忍:うん… 雪弥:忍のクセが出てるケーキって… 忍:…確かに味に関して口出しはしてるが…それは二人の店だからな 雪弥:…ぁ… 忍:それに雪弥がこう、って思った味は、俺が何言っても譲らない。だろ? 雪弥:…うん… 忍:俺の才能って言うけどさ、それはレオが過大評価してるだけだ。味覚に敏感な奴はこの界隈、他にもゴロゴロいるぞ 雪弥:ゴロゴロは、居ないだろ… 忍:そうか(軽く笑う) 雪弥:……その… 忍:ん? 雪弥:あいつが…、その… 忍:何? 雪弥:も…元カレとか… 忍:(吹き出す)はははっ…! 雪弥:だってアイツが自分は忍の、って言いかけて止めたから…! 忍:ないない、ははっ 雪弥:…… 忍:嘘なんかつかない 雪弥:ん… 忍:レオは兄弟子だけど、それ以上の関係じゃない。本当だ 雪弥:ん… 忍:ちゃんと話すから、なんでも聞いて 雪弥:ごめん… 忍:俺も…ごめん : : レオ:やぁ!しばらくぶりだね! 忍:いらっしゃいませ。しばらくって三日くらい顔を見てないだけだが? レオ:三日も会ってなかったじゃないか! 忍:その前は八年なのにな 雪弥:おい、お前 レオ:やぁ雪弥!今日も綺麗な顔をしてるね! 雪弥:…話がある…! レオ:…ほぉ? 忍:雪弥… 雪弥:忍、ちょっと店頼んだからな 忍:…… レオ:何をそんなに心配してるんだ、忍。喧嘩をしに行くわけじゃない…そうだろ? 雪弥:あぁ。…こっちだ : :レオを連れて店の裏手に回る レオ:こういうのを、果し合いというんだったかな? 雪弥:違う。…お前、もう忍に断られてたのに適当言いやがったな?! レオ:とんでもない!断られたと言ってないだけで、私は本心から本当のことを言っただけだよ 雪弥:一番肝心な事を言えよ! レオ:なんだ、私にあの程度揺さぶられただけで君は不安にでもなったのかい? 雪弥:…悪いか レオ:忍も随分信用されてないな 雪弥:それは違う レオ:…へぇ 雪弥:忍を信用してないんじゃなくて…俺が俺の事を一番信じられて無かっただけだ レオ:…… 雪弥:俺には作りたい物がある。でもそれは俺だけの力じゃダメなんだ。…忍とだから、できる事だ レオ:忍に、甘えてるんじゃないのか? 雪弥:そうかもしれない…けど、俺が一緒に走りたいと思ってるのは忍だけだ レオ:…… 雪弥:忍も、同じだ レオ:…成程 雪弥:この店は俺だけの店じゃない、俺と忍の店だ。作りたいのは…食べた人が笑顔になれる、二人で作るケーキなんだよ レオ:ふふふ…あっはっはっは…! 雪弥:な、なんだよ…! レオ:こういうのを日本語でなんて言うんだっけ?惚気?だったかな?はははっ…! 雪弥:はぁ?! レオ:悪かった。君達の店が素晴らしかったから少し…嫉妬してしまったんだ 雪弥:…へ… レオ:いい店だ。暖かくて、とても優しい 雪弥:…… レオ:私も君たちに負けない、そんな店を作りたいよ 雪弥:…レオニールがこんな小さな店に張り合うのか? レオ:あぁ、張り合うとも 雪弥:ははっ、変な奴 レオ:…もし君が、忍を自分の為に利用するだけのような男なら、どんな手を使ってでも私は忍を連れていくつもりだった 雪弥:…… レオ:そうでなくて…本当に良かった(微笑む) 雪弥:…そんなことしねぇよ。俺は…忍と一緒に夢見てんだ レオ:(小声)…忍が君に執着しているのが、何となくわかったよ 雪弥:ん、何? レオ:いや、なんでもない。これ以上長居をするのは良くないな、日本では馬が蹴るんだろう? 雪弥:変なこと知ってんな… レオ:…今日午後には日本を発つ。暫くは行ったり来たりだと思うが、開店したら招待するよ。ぜひ私の店に遊びに来てくれ 雪弥:もちろん レオ:忍と二人でね 雪弥:定休日、被ってなきゃな レオ:おお、それは重要だ。さて、忍の顔を見てから帰るかな 雪弥:今頃、心配して変な顔してるぜ レオ:尚更その顔を見て帰らなくては! : 忍:お、かえり… 雪弥:ほらな、やっぱり変な顔してた 忍:は?いきなり… レオ:そんな表情も、私の前では見せてくれなかったものだな 忍:レオ…? レオ:さっき雪弥には伝えたが、午後には日本を発つ。…邪魔したな 忍:いや…会えてよかった レオ:あぁ、私もだ :二人ハグする 忍:元気で レオ:忍もな :離れ店から出ていく レオ:また会おう、A bientot(アビエントゥ) 雪弥:レオ! レオ:ん? 雪弥:…ありがとう! レオ:…ふっ、君はいい男だな :軽く手を振って去っていくレオ : :回想 忍:…気持ちは嬉しいけど、無理だ レオ:どうして?私の店では物足りないか?この店よりずっと広い世界で、君の才能を発揮できるというのに! 忍:… レオ:忍の才能はこんな小さな店で終わるには勿体ない! 忍:無理だよ… レオ:何故だ? 忍:…俺は、雪弥と一緒にこの店をやっていきたい レオ:…… 忍:雪弥じゃなきゃ…ダメなんだ レオ:…それは、もしかして彼は君の… 忍:(手で制する)それだけじゃない : 忍:雪弥はさ、俺が…ずっと負い目にしてた部分を…笑い飛ばしたんだ レオ:負い目… 忍:同性しか愛せない レオ:…… 忍:どうでもいいって笑ったんだ。ゲイだろうがなんだろうが関係ないって。あいつが…初めてだった レオ:…たった、それだけで… 忍:あぁ、たったそれだけだ。でも…何ものにも変え難かった。 : 忍:俺が雪弥の傍に居たい。他の奴じゃ…ダメなんだ。俺があいつの横で、あいつの助けになりたい。それだけなんだ レオ:…雪弥は、それほどの男か? 忍:あぁ : : レオ:しあわせの菓子、か。…妬けるねぇ… : : 雪弥:嵐みたいな奴だったな… 忍:そうだな、でも…レオらしいと言えば、レオらしい 雪弥:あいつって…昔からああなの? 忍:一緒に働いてた時はもっと…直接的にものを言いすぎて睨まれるタイプだったな。大人しくなったと思うが? 雪弥:うわ…その時に会ってなくて良かった… 忍:確実にぶつかるな、似たもの同士で 雪弥:は? 忍:仕事に戻ろう 雪弥:さっきのどういう意味だよ? 忍:尖ってたもの同士って事だ 雪弥:そんな事ねぇし! 忍:はいはい 雪弥:流すな! 忍:あぁ、そうだ 雪弥:…なに 忍:明日、仕事終わったら飯行こう 雪弥:明日? 忍:用があるか? 雪弥:無いけど… 忍:誕生日 雪弥:…… 忍:お祝いしよう 雪弥:…せっかく忘れてたのに…! 忍:悪あがきだな 雪弥:…まぁ、でも…行く 忍:店じゃない方が良いか? 雪弥:居酒屋で良いよ 忍:飲みすぎるからダメ 雪弥:誕生日位良いじゃねぇか 忍:都合良い奴 雪弥:そういう所も好きだろ? 忍:(小さく笑う) : 忍:(何か言いかけて) 忍:いらっしゃいませ 雪弥:ぁ…いらっしゃいませ 忍:ほら、仕事に戻れ 雪弥:…後で聞かせろよ 忍:覚えてたらな : : :終