台本概要

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タイトル Red Halloween
作者名 白玉あずき  (@srtm_azk01)
ジャンル ホラー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 赤ずきんをモチーフにした、ホラーラブストーリー。
演者の性別は不問。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
赤ずきん 8 14歳くらいの少女。
10 人狼とも呼ばれるもの。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:レッドハロウィン 0: 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。子供たちが歌っている。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。なのに、私は一人森の中。 赤ずきん(M):お母さんのおつかいで、パイとぶどう酒をおばあさんに届けるの。赤い頭巾を被って。 赤ずきん(M):お母さんは言った。人喰い狼には気をつけなさいと。そんな危ない森に、どうして子供の私を行かせるの。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。お菓子をくれなければイタズラするぞ。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。私は未だにお菓子を貰った事がない。 0: 狼:「やぁこんにちは、赤ずきん。今日も一人でおつかいかい?」 赤ずきん:「こんにちは、狼さん。一人で行くからおつかいなのよ」 狼:「それはえらいね。村では子供たちがお菓子を貰う日だろう?君はしないのかい?」 赤ずきん:「今日は特別な日だから、おばあさんにもパイとぶどう酒の他に、カボチャのプティングを持って行くの」 狼:「それは美味しいのかい?」 赤ずきん:「お母さんの手作りで、とても甘くて美味しいのよ」 狼:「そうなんだ。僕は甘いのが苦手でね、どうせなら大きなソーセージが食べたいな」 赤ずきん:「あら、そんなごちそう持ってきてないわ。狼さん、私を食べちゃう?」 狼:「まさか。可愛い君を食べたりはしないよ」 赤ずきん(M):お母さんは狼に気をつけなさいと言ったけれど、この狼さんは怖くない。 赤ずきん(M):初めて会った時は食べられるのかと思ったけど、お花畑でキレイなお花を見つけて私にくれた。 赤ずきん(M):それは今日も同じで、寒くなってきた森で咲いている数少ないお花と、紅葉(こうよう)を添えて渡してくれた。 赤ずきん(M):私は狼さんが大好きだ。 赤ずきん:「それじゃぁね、狼さん」 狼:「ああ。またね、ガーネット」 赤ずきん(M):狼さんが名前を呼んでくれる。今ではあだ名でしか呼ばれない私の、本当の・・・名前。 0: 0: 赤ずきん:「こんにちは、おばあさん。今日もお見舞いに来たよ。今日はハロウィンだからね、カボチャのプティングもあるの!」 赤ずきん(M):扉を開けて、おばあさんに挨拶をすれば、ベッドから起き上がったおばあさんが笑いかけてくる。いつもの光景。 赤ずきん(M):古びたサイドテーブルに、食べ物の入った籠を置いて、花瓶にお花を飾る。そうしていれば、おばあさんが「すまないね、赤ずきん」と私に向かって言う。 赤ずきん(M):いつもは気にしないで笑って応えていたけれど、今日はなんだか、胸がぎゅうと締め付けられて・・・。 赤ずきん:「・・・私、赤ずきんって名前じゃないよ。ちゃんと名前あるよ。おばあさんは・・・覚えてる?」 赤ずきん(M):私がそう言えば、おばあさんはきょとんとして、「あぁ、そうだね・・・」と言って、目をキョロキョロとさせる。そして。 赤ずきん(M):「すまないね、最近物忘れがひどくなって、名前を・・・思い出せないんだよ」小さく返事をした。 0: 0: 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 赤ずきん(M):子供たちの笑い声。輪に入れぬ子供が一人。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 赤ずきん(M):名前も呼ばれず泣いている。 0: 0: 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):バケモノに扮した行列に。 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):本物は紛れていないと誰が決めた? 0: 0: 狼(M):夜の帳(とばり)も降りた頃、古びた家屋にノックで挨拶。 狼(M):危険の多い森の傍。用心深く扉越しに返される声に笑顔を添えて。 狼:「トリック・オア・トリート!おばあ様、お菓子をくれなければイタズラをしますよ」 狼(M):僕の声に、扉の向こうの老婆は息を呑む。きっと獣の気配に気付いている。 狼:「でも僕は残念ながら甘いものは苦手なので、頂いても困るだけ・・・。ですので、イタズラをさせて下さいね」 狼(M):言えば、人の気配は恐怖に震え、家屋の奥に移動していく。閉ざされた扉は僕にとってはただの木の板で、ほんの少し力を入れれば直ぐに割れ、その隔たりを無くす。 狼:「ハッピー・ハロウィン!そんなに怯えないで下さい。獣による、可愛い些細なイタズラですから・・・」 狼(M):さぁ、笑って。本物の死者のダンスを見せて下さいよ。 0: 0: 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):一人の少女を縛り付けた重荷は、夜の獣の腹の中。 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):綺麗な綺麗な僕の宝石。来年からは君も輪の中に入れるね。 0: 0: 狼:「僕はね、君の笑顔を沢山見たいだけだよ。お菓子は用意出来ないけれど、君を悲しませるモノは、いくらでも消してあげるからね・・・」 0: 0: 赤ずきん:「ハッピー・ハロウィン」

0:レッドハロウィン 0: 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。子供たちが歌っている。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。なのに、私は一人森の中。 赤ずきん(M):お母さんのおつかいで、パイとぶどう酒をおばあさんに届けるの。赤い頭巾を被って。 赤ずきん(M):お母さんは言った。人喰い狼には気をつけなさいと。そんな危ない森に、どうして子供の私を行かせるの。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。お菓子をくれなければイタズラするぞ。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。私は未だにお菓子を貰った事がない。 0: 狼:「やぁこんにちは、赤ずきん。今日も一人でおつかいかい?」 赤ずきん:「こんにちは、狼さん。一人で行くからおつかいなのよ」 狼:「それはえらいね。村では子供たちがお菓子を貰う日だろう?君はしないのかい?」 赤ずきん:「今日は特別な日だから、おばあさんにもパイとぶどう酒の他に、カボチャのプティングを持って行くの」 狼:「それは美味しいのかい?」 赤ずきん:「お母さんの手作りで、とても甘くて美味しいのよ」 狼:「そうなんだ。僕は甘いのが苦手でね、どうせなら大きなソーセージが食べたいな」 赤ずきん:「あら、そんなごちそう持ってきてないわ。狼さん、私を食べちゃう?」 狼:「まさか。可愛い君を食べたりはしないよ」 赤ずきん(M):お母さんは狼に気をつけなさいと言ったけれど、この狼さんは怖くない。 赤ずきん(M):初めて会った時は食べられるのかと思ったけど、お花畑でキレイなお花を見つけて私にくれた。 赤ずきん(M):それは今日も同じで、寒くなってきた森で咲いている数少ないお花と、紅葉(こうよう)を添えて渡してくれた。 赤ずきん(M):私は狼さんが大好きだ。 赤ずきん:「それじゃぁね、狼さん」 狼:「ああ。またね、ガーネット」 赤ずきん(M):狼さんが名前を呼んでくれる。今ではあだ名でしか呼ばれない私の、本当の・・・名前。 0: 0: 赤ずきん:「こんにちは、おばあさん。今日もお見舞いに来たよ。今日はハロウィンだからね、カボチャのプティングもあるの!」 赤ずきん(M):扉を開けて、おばあさんに挨拶をすれば、ベッドから起き上がったおばあさんが笑いかけてくる。いつもの光景。 赤ずきん(M):古びたサイドテーブルに、食べ物の入った籠を置いて、花瓶にお花を飾る。そうしていれば、おばあさんが「すまないね、赤ずきん」と私に向かって言う。 赤ずきん(M):いつもは気にしないで笑って応えていたけれど、今日はなんだか、胸がぎゅうと締め付けられて・・・。 赤ずきん:「・・・私、赤ずきんって名前じゃないよ。ちゃんと名前あるよ。おばあさんは・・・覚えてる?」 赤ずきん(M):私がそう言えば、おばあさんはきょとんとして、「あぁ、そうだね・・・」と言って、目をキョロキョロとさせる。そして。 赤ずきん(M):「すまないね、最近物忘れがひどくなって、名前を・・・思い出せないんだよ」小さく返事をした。 0: 0: 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 赤ずきん(M):子供たちの笑い声。輪に入れぬ子供が一人。 赤ずきん(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 赤ずきん(M):名前も呼ばれず泣いている。 0: 0: 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):バケモノに扮した行列に。 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):本物は紛れていないと誰が決めた? 0: 0: 狼(M):夜の帳(とばり)も降りた頃、古びた家屋にノックで挨拶。 狼(M):危険の多い森の傍。用心深く扉越しに返される声に笑顔を添えて。 狼:「トリック・オア・トリート!おばあ様、お菓子をくれなければイタズラをしますよ」 狼(M):僕の声に、扉の向こうの老婆は息を呑む。きっと獣の気配に気付いている。 狼:「でも僕は残念ながら甘いものは苦手なので、頂いても困るだけ・・・。ですので、イタズラをさせて下さいね」 狼(M):言えば、人の気配は恐怖に震え、家屋の奥に移動していく。閉ざされた扉は僕にとってはただの木の板で、ほんの少し力を入れれば直ぐに割れ、その隔たりを無くす。 狼:「ハッピー・ハロウィン!そんなに怯えないで下さい。獣による、可愛い些細なイタズラですから・・・」 狼(M):さぁ、笑って。本物の死者のダンスを見せて下さいよ。 0: 0: 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):一人の少女を縛り付けた重荷は、夜の獣の腹の中。 狼(M):トリック・オア・トリート。トリック・オア・トリート。 狼(M):綺麗な綺麗な僕の宝石。来年からは君も輪の中に入れるね。 0: 0: 狼:「僕はね、君の笑顔を沢山見たいだけだよ。お菓子は用意出来ないけれど、君を悲しませるモノは、いくらでも消してあげるからね・・・」 0: 0: 赤ずきん:「ハッピー・ハロウィン」