台本概要
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タイトル | 持ち込み武器で異世界ダンジョン攻略記2 |
---|---|
作者名 | てくす (@daihooon) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 4人用台本(男2、女2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
異世界に転移した大和。持ち込んだハンガーを弓に変え、窮地を脱したが、そんな時、ある人物に出会い更なる戦いに巻き込まれることになる。 ※最後の世界の声は、兼ね役。女性推奨。 111 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ダイヤ | 男 | 106 | 異世界ネームをダイヤにした大和。持ち込み武器はハンガー。 |
スノウ | 女 | 69 | 女子高生。持ち込み武器は竹刀。 |
ヤマル | 女 | 64 | 女子中学生。持ち込み武器はクリアファイル。 |
ケーゴウ | 男 | 64 | おっさん。持ち込み武器は金槌。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ダイヤ:グゥゥッッ……
スノウ:ダイヤ!!
ケーゴウ:おい!ダメだ!
ケーゴウ:今動いたら……
ダイヤ:(浮かれていた)
ダイヤ:(そう、浮かれていたんだ
ダイヤ:異世界に来て、ゴブリンを倒して
ダイヤ:女の子に出会って、助けてもらって
ダイヤ:自分が主人公のように……勘違いしていた)
0:
0:
0:持ち込み武器で異世界ダンジョン攻略記
0:
0:
0:アーミュと別れ、廻層主を探す二人
ダイヤ:よし!これにする
スノウ:ダイヤ?
ダイヤ:あぁ、大和だから、もじってダイヤ
スノウ:確かに、ダイワだと変だもんね
ダイヤ:そういうこと
ダイヤ:それで、廻層主はどこにいるんだ?
スノウ:それが分かれば今頃攻略してるかも
スノウ:『スカウト』が探してる可能性もあるけど
ダイヤ:草原エリアに、町に森もあったし
ダイヤ:少し遠くの方かな?
スノウ:可能性は高いわね
ダイヤ:やっぱりアーミュに付いてきてもらって
ダイヤ:索敵した方がよかったんじゃ
スノウ:あれは新規を見つける専用に武器化したの
スノウ:敵は探せない
ダイヤ:なるほど……
ダイヤ:結構、想像妄想で幅が広がるんだな
スノウ:あまりに凄いものは具現化できないこともあるわ
スノウ:それこそ、レベルが低いのかもね
ダイヤ:そういうこともあるのか
ダイヤ:なぁ、一番の古参とか分かるのか?
ダイヤ:そいつなら、レベル上がってそうだけど
スノウ:探したこともあるけど、結論を言うと
スノウ:分からないが正しいわ
スノウ:正直、全員近くにいるわけじゃないし
スノウ:もしかしたら、廻層主は複数いて
スノウ:転移したエリアが違う可能性もあるし
ダイヤ:うーん…謎が多すぎるんだな
スノウ:とりあえずエリアを移動しましょう
スノウ:こっちはまだ探索してないから
ダイヤ:あぁ、了解!
0:
0:別エリアを探索する二人
0:
スノウ:今回は草原エリアが多いわね
ダイヤ:危険が少ないってことだろ?
ダイヤ:スライム系、ゴブリン系
ダイヤ:危ないのはベア系だったな
スノウ:そう、危険度は低いけど
スノウ:強いやつは何体かいるわ
スノウ:滅多に出てこないって聞いてるけど
ダイヤ:知ってますか?スノウさんや
ダイヤ:そういうのをフラグって言うんやで……
スノウ:いや、流石にそんな訳……
0:後ろから音がする
スノウ:えっ!?
ダイヤ:いやいやいやいや!嘘です!フラグじゃないですから!
ヤマル:あっ!
ダイヤ:ひぃぃぃぃ!?
ダイヤ:……えっ、誰?
ヤマル:あっ、あぁ!人だ……
ヤマル:助けてください!!
スノウ:えっ、ちょっ!どうしたの!?
0:
0:
0:
0:
ヤマル:良かったです、二人とも転移者で
ダイヤ:俺は今日初めてだけどな
ダイヤ:けど、中学生…だっけ?
ダイヤ:本当、年齢も性別も無差別って感じだな
ヤマル:はい、中一です
ヤマル:名前は、山田 瑠衣です
スノウ:全部言わなくても大丈夫よ
スノウ:戻って詮索されても嫌でしょ?
ヤマル:そうですね……気をつけます
ヤマル:お二人は何をしてたんですか?
ダイヤ:あぁ、廻層主を探してたところだったんだ
ヤマル:よかった!
スノウ:その反応……見つけたの?
ヤマル:はい、お話しします
0:
0:数時間前ーー
0:
ヤマル:(私は、ケーゴウさんって方と探索していて
ヤマル:そこに『スカウト』の方もいたんです)
ケーゴウ:なに、心配するな
ケーゴウ:今日もまた帰れる
ヤマル:あの、毎回近くに転移してるのはわかるんですけど
ヤマル:なんで助けてくれるんですか?
ケーゴウ:あー、子どもだから……ってのじゃダメか?
ケーゴウ:まぁこんな、むさい男が女の子に声かけちゃ
ケーゴウ:気持ち悪りぃよな
ヤマル:や、そんなこと!ないです…
ヤマル:ケーゴウさんには、助けてもらってますし
ケーゴウ:はっはっは!歳の割にしっかりしてるとこは似てねぇな
ヤマル:え?
ケーゴウ:娘がいるんだ、同い年のな
ケーゴウ:だからかな、ほっとけないのは……
ケーゴウ:最初は見間違いだったんだ……娘と思ってな
ヤマル:そうだったんですね
ケーゴウ:俺はな、ヤマルは『逃げ』でいいと思う
ケーゴウ:確かに武器は戦えるかもしれん
ケーゴウ:だけど、子どもを戦わせるなんてのは
ヤマル:私が自分で言ったことなので
ヤマル:今回も持ち込んだのは武器になりそうだったので
ケーゴウ:だけどなぁ……
0:前の方で数人が騒ぎ出している
ケーゴウ:ん?騒がしいな、ちょっと様子を見てくる
ケーゴウ:ヤマルはここにいろ
ヤマル:あっ、はい!
0:
ヤマル:あっ、どうでした?
ケーゴウ:あぁ、スカウトが廻層主を見つけたらしい
ケーゴウ:ただなぁ……
ヤマル:どうしたんですか?
ケーゴウ:数が多い
ヤマル:え?
ケーゴウ:よく分からん…
ケーゴウ:とりあえずは警戒して進むが
ケーゴウ:ヤマル、危険だと思ったらすぐ逃げろ、いいな?
ヤマル:は、はい……
0:
0:
ヤマル:(そこからは……地獄でした)
ケーゴウ:おい!しっかりしろ!
ケーゴウ:っ!?おい!腕!!
ヤマル:ケーゴウさん!
ケーゴウ:来るな!
ケーゴウ:ヤマル!逃げろ!
ヤマル:けど……
ケーゴウ:……大丈夫だ
ケーゴウ:だから、な?
ヤマル:私……助けを呼んできます!
ヤマル:だから!待っててください!
0:
0:
0:現在
0:
0:
スノウ:それで、なんとかアナタだけは
スノウ:逃げたってことね
ダイヤ:いや、当然というか
ダイヤ:そんなにヤバい相手なのか?
ヤマル:今回の廻層主は
ヤマル:角子兎種(ホーンラビット)でした
ダイヤ:ホーンラビット?
ダイヤ:アルミラージみたいなやつか?
スノウ:そうね、リアルの作品でも
スノウ:どっちかの名前で出てくることがあるわ
ダイヤ:けど、そいつらって脅威か?
ダイヤ:結構雑魚キャラで出てくるけど
スノウ:アナタ、ゴブリンと戦ってそれ言える?
スノウ:殺されそうになってたわよね?
ダイヤ:いや……まぁ、それはそうだけど
ダイヤ:ツノ生えた兎だろ?
ヤマル:確かに強くはないんですが
ヤマル:数が多すぎたこともあります
ヤマル:あと、通常のホーンラビットとは違います
スノウ:あと、リアルのアニメやゲームの概念は捨てるべきよ
スノウ:あの世界は創作だから
スノウ:本当にその世界に行ったらって考えた方がいいわ
ダイヤ:確かに、雑魚って呼ばれてるゴブリンも
ダイヤ:筋肉ヤバかったし、知能もあった
ダイヤ:普通の人間じゃまず勝てないよな
スノウ:ホーンラビットもそう
スノウ:確かに弱い部類だけど
スノウ:全力で突進してくるし、なにより
スノウ:あのツノで突進よ?
スノウ:身体なんて貫通するわ
ヤマル:それと、今回の廻層主は
ヤマル:ツノが刺さった部分から変色してました
ダイヤ:変色?
ヤマル:はい、多分あれは状態異常です
ダイヤ:状態異常って…ヤバいな
ダイヤ:対策ないと詰むんじゃないか?
ダイヤ:実際に、毒とか麻痺食らったら
ダイヤ:まず勝てないよな?
スノウ:……そうね
ヤマル:……
ダイヤ:大丈夫、一応俺は遠距離だから
ダイヤ:サポートには回れるだろうし
ヤマル:はい!助かります
スノウ:ホーンラビット…亜種、ね
ダイヤ:とりあえず急ごう
ダイヤ:まだ無事だといいけど
0:
0:
0:
ヤマル:この先です!
0:開けた場所に出る
スノウ:あれは……
ダイヤ:おい……嘘だろ?
ヤマル:いゃっ…いやあぁぁあ!!
スノウ:待って!まだ人がいる!
ダイヤ:嘘だろ…これ……全部…
スノウ:ダイヤ!
ダイヤ:あ、あぁ…ごめん…
ダイヤ:!?危ない!ッ!!
0:矢を放ち、角子兎を倒すダイヤ
スノウ:ダイヤ、そのままサポートして!
ダイヤ:わかった!
ヤマル:嘘……みんな、死んじゃ…
ダイヤ:大丈夫だ!信じよう、ヤマル
ヤマル:……
ヤマル:あっ、ケーゴウさん!
ダイヤ:あの人か!
ダイヤ:ヤマル、持ち込み武器は何だ?
ヤマル:クリアファイルです
ダイヤ:クリアファイル!?
ヤマル:はい…盾にできます
ダイヤ:なるほど、『戦闘』だが
ダイヤ:タンク役ってわけか
ヤマル:はい、けど今回は数が多すぎて
ヤマル:ケーゴウさんは守れないって判断したと思います
ダイヤ:確かにあの数を一面だけで全員守るのは無理があるな
ダイヤ:クソ!何体倒してもキリがねぇ!
ヤマル:ケーゴウさん……
0:ケーゴウの近くに行くスノウ
スノウ:サポートします
ケーゴウ:あ?いや、それより逃げろ
ケーゴウ:この数、いくらなんでも…
ケーゴウ:って、前オーガの所で会ったか?
スノウ:参加してましたけど
ケーゴウ:あの時とは訳が違う
ケーゴウ:数の暴力だ
スノウ:だけど、逃げるわけにもいかない
スノウ:廻層主は倒さないと、戻れない
ケーゴウ:……そうだな
スノウ:大体はヤマルから聞きました
スノウ:ケーゴウさんですか?
ケーゴウ:ヤマルのやつ、逃げてくれれば良かったが
ケーゴウ:アンタを連れてきたのか
スノウ:もう一人いますけど、新規です
ケーゴウ:何!?尚更危ねぇぞ
スノウ:あの矢、わかります?
スノウ:一応弓矢に武器化したので
スノウ:遠距離からサポートしてます
ケーゴウ:確かにありがてぇが……よ!!
0:突進する角子兎を倒すケーゴウ
スノウ:…見たところ、ハンマー?
ケーゴウ:俺は大工だからなァ
ケーゴウ:商売道具ってやつだ
ケーゴウ:アンタは刀か
スノウ:えぇ、私も商売道具って感じですかね
ケーゴウ:クソ、キリがねぇ
スノウ:この人たちは……
ケーゴウ:今は考えんな
ケーゴウ:くるぞ!
スノウ:っ!
0:
ヤマル:ダイヤさん!
0:盾で守るヤマル
ダイヤ:っ!?助かった……
ダイヤ:うさぎって思ったらダメだな
ダイヤ:跳躍が凄すぎる…!
ヤマル:……
ダイヤ:……
ダイヤ:(クソ、俺がしっかりしないと)
ダイヤ:数が多いってのは分かるけど
ダイヤ:流石にキリがなさすぎる
ダイヤ:これ全部廻層主ってありえるのか?
ヤマル:どういうことですか?
ダイヤ:もしかして、廻層主って別じゃないか?
ヤマル:スカウトの方は廻層主の反応を複数見たって
ダイヤ:いや、確かにコイツらも廻層主なんだけど
ダイヤ:大元っていうか、ボス的なやつがいるんじゃ
ヤマル:確かに……そうかもしれません
ダイヤ:スノウ!!キリがなさすぎる!
ダイヤ:近くにボスみたいなやつ、いないか!?
スノウ:ダイヤ?……そういうことね
ケーゴウ:あのボウズの言うことは
ケーゴウ:的を得てるな
スノウ:けど、探そうにも数が
ケーゴウ:俺が道を開けてやる
ケーゴウ:いけるか?
スノウ:えぇ、なんとかやってみるわ
0:
0:
ダイヤ:!?……あれは
ヤマル:分裂…してる?
ヤマル:っ!!ケーゴウさん!!
ダイヤ:ッ!?おい!待て!
ダイヤ:あー!クソ!
0:飛び出したヤマルを追いかけるダイヤ
ケーゴウ:!?ヤマル!?なんで……
ヤマル:逃げて!後ろ!
ケーゴウ:何!?
ダイヤ:間に合えーー!!!
0:後ろから突進していた角子兎を倒すダイヤ
ケーゴウ:た、助かった…
ヤマル:ごめんなさい…盾が間に合わなかった…
ケーゴウ:大丈夫だ、教えてくれてありがとうな
0:
ダイヤ:ふぅ、危なかっ…
ダイヤ:ガッ!?アッ……
0:後ろから脇腹辺りを貫かれるダイヤ
ケーゴウ:ボウズ!!
ヤマル:あっ…ごめ…んなさ……
ダイヤ:グゥゥッッ……
スノウ:ダイヤ!!
0:ダイヤを貫いた角子兎を倒すスノウ
ケーゴウ:おい!ダメだ!
ケーゴウ:今動いたら……
ケーゴウ:ちっ、囲まれた
ダイヤ:(浮かれていた
ダイヤ:そう、浮かれていたんだ
ダイヤ:異世界に来て、ゴブリンを倒して
ダイヤ:女の子に出会って、助けてもらって
ダイヤ:自分が主人公のように……勘違いしていた
ダイヤ:なんとかなるって……勘違いしていた)
0:
0:
ダイヤ:ス、ステータス…!
ダイヤ:腐食…?
スノウ:ダイヤ!大丈夫!?
0:
0:傷口にポーションをかける
0:
ダイヤ:毒とか麻痺じゃないから
ダイヤ:痛みだけなんだけど……
ダイヤ:ヤバいかも、腐食だった
スノウ:腐食?
ダイヤ:…多分あの角に突かれると
ダイヤ:その場所から腐食される…
ダイヤ:この惨状見て気づかなかった
ダイヤ:角に突かれた程度じゃこうはならないよな…
スノウ:じゃあ、これは
ダイヤ:あぁ……
ケーゴウ:あぁ、そうだ
ケーゴウ:こいつはら……
ダイヤ:俺はまだ動ける
ダイヤ:だから、スノウ、ケーゴウさん
ダイヤ:廻層主を倒してくれ
ケーゴウ:どういうことだ?
ダイヤ:俺はこの状況を変えられないから
ダイヤ:希望があるとすれば
ダイヤ:廻層主を倒した報酬で状態異常を治す
ダイヤ:アイテムのドロップだけだと思う
スノウ:確かに、それなら望みはあるかも
スノウ:だけど、それが絶対手に入る保証は…
ダイヤ:だから、俺はそれに賭ける
ダイヤ:死ぬまで全力でサポートしてやる
ヤマル:ごめんなさい……私のせいで
ヤマル:私が飛び出したから……
ダイヤ:いや、ヤマルはケーゴウさんを助けたんだ
ダイヤ:悪いことはしてない
ダイヤ:だから、サポートしよう一緒に
ヤマル:はい……
スノウ:来るわ!
ケーゴウ:待ってろ、ボウズ!
ケーゴウ:さっき言ったが、俺が道を作る
ケーゴウ:頼めるか?
スノウ:えぇ、何とかするわ
ダイヤ:(なんだろう……死ぬかもしれないのに
ダイヤ:変に頭が冴えてる気がする
ダイヤ:ポーションのおかげか?痛みも引いてきた)
ダイヤ:よし、やろう!
0:
0:
0:
ケーゴウ:おおおおお!!
0:地面を叩きつけ、角子兎たちを怯ませる
ケーゴウ:今だ!行け!
ヤマル:後ろは私が守ります!
ダイヤ:頼んだぞ、スノウ!ヤマル!
ダイヤ:ぐっ…
ダイヤ:(時間は…なさそうだな…)
0:
0:
スノウ:(数が多い……どうやって見つければ……
スノウ:何か特徴があるはず…落ち着いて
スノウ:みんながサポートしてくれてる…だから)
スノウ:私が見つける!
0:
0:
ケーゴウ:なぁ、大丈夫なのか?
ダイヤ:いや、大丈夫じゃないかも
ケーゴウ:正直なのは良いこった、が
ケーゴウ:死ぬかもしれねぇんだぞ
ダイヤ:ケーゴウさん、結構経験者ですよね?
ケーゴウ:ん?まぁ、転移は9回目くらいだったか?
ダイヤ:廻層主倒して、俺も生きてたら情報交換お願いします
ダイヤ:俺、新規なんで
ケーゴウ:おいおい、マジだったのかよ
ダイヤ:だから、まだ死ぬつもりはないですよ!
ダイヤ:今日初めて会った人だけど
ダイヤ:信じてもいい気がしてるんですよね
ケーゴウ:……あぁ!
ヤマル:こっちにも来ます!
ケーゴウ:いい!ヤマルはあの嬢ちゃんだけ守れ!
ヤマル:はい!
0:
0:
スノウ:どれも……同じに…!?
スノウ:あの個体……
ダイヤ:一直線に走ってる?
ダイヤ:見つけたのか?
ケーゴウ:いたのか?
ダイヤ:スノウが1匹に絞ってる動きをしてて
ダイヤ:確定じゃないけど
ケーゴウ:まだ動けるんだろ?
ケーゴウ:ここは任せて、撃て
ダイヤ:は、はい!
ヤマル:ダイヤさん!
ダイヤ:ヤマル、スノウの防御に集中してくれ
ダイヤ:……倒すつもりで援護射撃すれば
ダイヤ:…ッ!当たってくれ!!
スノウ:速い…!
スノウ:!?ダイヤ!?
0:矢が角子兎の目の前に刺さる
0:一瞬、角子兎の動きが止まる
スノウ:追い詰めた
スノウ:これで……終わりよ!
ダイヤ:もう一発、食らえ!
0:矢と剣の同時攻撃で角子兎が消滅する
ダイヤ:やった…?
ヤマル:見てください!他のホーンラビットが!
0:別個体達が灰になり消えていく
ケーゴウ:どうやら、当たったみたいだな
ケーゴウ:……ふぅ、俺だけ生き残っちまったな
スノウ:あっ、これは
0:
0:
ダイヤ:ッ!?ガッ……!!
ダイヤ:やべっ、腐食が……
ヤマル:ダイヤさん!?
ケーゴウ:お、おい!ドロップしたのか!?
スノウ:間に合って!お願い!
ダイヤ:ガッ…ハッ…
ダイヤ:(いや、本当に調子乗ってたなぁ…俺
ダイヤ:あー…死ぬのかな
ダイヤ:異世界に来てからずっと死にかけてるなァ…)
ダイヤ:……………
0:
0:
0:
0:
0:
0:
0:
ダイヤ:!?オエッ、ゲェーーー!
ケーゴウ:お、目ぇ覚めたか
ダイヤ:まっっずっ!口の中、苦ァァァア!!
スノウ:はぁ、それだけ元気なら安心ね
ダイヤ:オェーーー
ヤマル:うわっ!ダイヤさん!ちょっと!
ダイヤ:んだこれ、うぇ、気持ち悪っ
スノウ:状態異常回復ポーションよ
スノウ:あれ?このやり取り、さっきしなかった?
ダイヤ:ゲホッ…俺、異世界に来て吐いてばっかりだな……
ダイヤ:ん?てことは、俺の読みが当たった?
スノウ:えぇ、しかもかなりのレアアイテムよ
スノウ:体力と貫通した所も治ってるから
ダイヤ:うわぁ…勿体ないことした?俺
ヤマル:そんなことないです!ダイヤさんたちがいなかったら
ヤマル:助かってませんでした!
ケーゴウ:そうだな、命有れば儲けもんだ
ダイヤ:…そっか
0:頭の中で通知音のような音が鳴る
ダイヤ:ん?なんだ?
スノウ:廻層主を倒したって分かるように
スノウ:全員にコレが鳴るのよ
スノウ:ステータスを見て
ダイヤ:ステータス
0:画面いっぱいにCongratulation
0:と表示されている
ダイヤ:こんぐらっ……は?
ダイヤ:ふざけるな!何人死んでると思ってんだ!
ケーゴウ:気持ちは分かるがそれくらいにしとけ
ケーゴウ:一応治ってはいるがな
ダイヤ:……
ダイヤ:ん?300秒?
ヤマル:それが0になると、元の世界に転移するんです
ダイヤ:……、ケーゴウさん、聞いてもいいですか?
ケーゴウ:あぁ、時間もないしな
ケーゴウ:知ってることは、話してやる
スノウ:何の話?
ダイヤ:俺が生きてたら情報交換するって約束
スノウ:なるほどね
ダイヤ:この世界で死ぬとどうなりますか?
ケーゴウ:……まず、それか
ダイヤ:はい……この人たちは…助けられませんでした
ケーゴウ:……あぁ
ケーゴウ:その話をする前に、そこの嬢ちゃんは知ってるだろうが
ケーゴウ:元の世界とこっちの世界の時間についてだ
ケーゴウ:以前、廻層主が見つからず、2日この世界にいたことがある
ケーゴウ:その時、分かったんだが、この世界での1日は
ケーゴウ:向こうの1分くらいだ
ダイヤ:1分…
ヤマル:転移している間、私たちの元の身体は
ヤマル:どうやら、そのままあることも分かってます
ダイヤ:え?
ケーゴウ:つまり、この世界には魂だけ移動して
ケーゴウ:こっちの世界の器に入ってるなんて言ってる奴もいる
スノウ:そうね、向こうの身体は普通に生活しているみたいよ
スノウ:といっても1分程度だけど
ダイヤ:なんだ……それ
ケーゴウ:それでな……この世界で死ぬと
ケーゴウ:向こうでは突然死のような扱いになる
ダイヤ:突然死?
ケーゴウ:あぁ、心臓麻痺やらそんなもんだ
スノウ:それは初めて聞いたわ
スノウ:やっぱり、こっちで死ぬと向こうでも……
ヤマル:はい……
ケーゴウ:しかし、腕が無くなる、足が無くなる
ケーゴウ:といった、死にはしてない場合は
ケーゴウ:向こうでは無傷、こっちの世界では
ケーゴウ:また、転移した時には完全に回復している
ダイヤ:少しでも生きていれば助かる?
ヤマル:ということになります
ダイヤ:そっか……
0:地面に横たわる人たちを見るダイヤ
ダイヤ:ごめん…助けられなかった……
ケーゴウ:お前のせいじゃない
ケーゴウ:この世界じゃ付き物だ
ケーゴウ:慣れたくは、ないがな
スノウ:それにしても、よく冷静だったわね
ダイヤ:…あぁ、多分精神力に全振りされてた
ケーゴウ:経験値が、か?
ダイヤ:はい、別のステータスは上がってないんですけど
ダイヤ:精神力だけ70に
ヤマル:私より多い……
ダイヤ:そのせいかも、と思ってるけど
ケーゴウ:だが、元の世界では
ケーゴウ:そのステータスじゃないからな
ケーゴウ:よくあるんだ、強くなった気で元の世界に戻って
ケーゴウ:失敗するやつがな
ダイヤ:肝に銘じます
ケーゴウ:ありがとな、二人とも
ケーゴウ:それと、ヤマルも
ヤマル:私は……何も出来なかったです
ケーゴウ:いや、そんなことはない
ヤマル:はい……
ダイヤ:また!こっちで会ったらよろしくな
ヤマル:は、はい!是非
スノウ:もうすぐ転移ね
ダイヤ:あぁ
ダイヤ:それにしても、よくわかったな
ダイヤ:アレが別個体って
スノウ:え?あぁ、そうね
スノウ:偶々、じゃないかしら?
ダイヤ:……もしかして、目が青かった?
スノウ:え!?なんで!?
ダイヤ:いや、そういえば俺も読んでてさ
ダイヤ:蒼眼の魔物使い、漫画だけど
スノウ:いや!それは、関係ない!
ダイヤ:あははっ、確かこんな話あった気がして
ダイヤ:俺も今思い出したし、まぁ
スノウ:違う!違うから!
スノウ:たしかにラノベで読んでたけど!
ダイヤ:別に隠すことじゃないだろ?
ダイヤ:ま、お嬢様は読まない設定の方がいいか
スノウ:だから!お嬢様でもないし!
ダイヤ:まだ一回目だけど、クールぶってるより
ダイヤ:そっちの方がいいと思うよ、スノウ
スノウ:ちょ、何を言ってーーー
0:転移していくスノウ
ダイヤ:お、こんな感じなんだな
ケーゴウ:仲良いな、お前たちは
ダイヤ:初対面ですけどね
ヤマル:あ、じゃ、じゃあ!また
ヤマル:ケーゴウさん、ダイヤさん!
ダイヤ:おう!
0:ヤマル、転移
ケーゴウ:ん?俺もそろそろみたいだな
ケーゴウ:今回は助かったが、調子に乗るなよ
ケーゴウ:知り合いが死ぬのは見たくねぇからな
ダイヤ:はい、ケーゴウさんも
ケーゴウ:またな
0:ケーゴウ、転移
ダイヤ:さて、俺も帰りますか
ダイヤ:この世界が何なのか分かんないけど
ダイヤ:やれるだけ、やってみますか
0:
0:
0:
0:
世界の声:実績ーー確認。ーーーアクティブ化。
世界の声:ーーー。ーー。ーーーー。
世界の声:ダイヤ、転移ーー。
0:第二話『廻層の主』終。
ダイヤ:グゥゥッッ……
スノウ:ダイヤ!!
ケーゴウ:おい!ダメだ!
ケーゴウ:今動いたら……
ダイヤ:(浮かれていた)
ダイヤ:(そう、浮かれていたんだ
ダイヤ:異世界に来て、ゴブリンを倒して
ダイヤ:女の子に出会って、助けてもらって
ダイヤ:自分が主人公のように……勘違いしていた)
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0:持ち込み武器で異世界ダンジョン攻略記
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0:アーミュと別れ、廻層主を探す二人
ダイヤ:よし!これにする
スノウ:ダイヤ?
ダイヤ:あぁ、大和だから、もじってダイヤ
スノウ:確かに、ダイワだと変だもんね
ダイヤ:そういうこと
ダイヤ:それで、廻層主はどこにいるんだ?
スノウ:それが分かれば今頃攻略してるかも
スノウ:『スカウト』が探してる可能性もあるけど
ダイヤ:草原エリアに、町に森もあったし
ダイヤ:少し遠くの方かな?
スノウ:可能性は高いわね
ダイヤ:やっぱりアーミュに付いてきてもらって
ダイヤ:索敵した方がよかったんじゃ
スノウ:あれは新規を見つける専用に武器化したの
スノウ:敵は探せない
ダイヤ:なるほど……
ダイヤ:結構、想像妄想で幅が広がるんだな
スノウ:あまりに凄いものは具現化できないこともあるわ
スノウ:それこそ、レベルが低いのかもね
ダイヤ:そういうこともあるのか
ダイヤ:なぁ、一番の古参とか分かるのか?
ダイヤ:そいつなら、レベル上がってそうだけど
スノウ:探したこともあるけど、結論を言うと
スノウ:分からないが正しいわ
スノウ:正直、全員近くにいるわけじゃないし
スノウ:もしかしたら、廻層主は複数いて
スノウ:転移したエリアが違う可能性もあるし
ダイヤ:うーん…謎が多すぎるんだな
スノウ:とりあえずエリアを移動しましょう
スノウ:こっちはまだ探索してないから
ダイヤ:あぁ、了解!
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0:別エリアを探索する二人
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スノウ:今回は草原エリアが多いわね
ダイヤ:危険が少ないってことだろ?
ダイヤ:スライム系、ゴブリン系
ダイヤ:危ないのはベア系だったな
スノウ:そう、危険度は低いけど
スノウ:強いやつは何体かいるわ
スノウ:滅多に出てこないって聞いてるけど
ダイヤ:知ってますか?スノウさんや
ダイヤ:そういうのをフラグって言うんやで……
スノウ:いや、流石にそんな訳……
0:後ろから音がする
スノウ:えっ!?
ダイヤ:いやいやいやいや!嘘です!フラグじゃないですから!
ヤマル:あっ!
ダイヤ:ひぃぃぃぃ!?
ダイヤ:……えっ、誰?
ヤマル:あっ、あぁ!人だ……
ヤマル:助けてください!!
スノウ:えっ、ちょっ!どうしたの!?
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ヤマル:良かったです、二人とも転移者で
ダイヤ:俺は今日初めてだけどな
ダイヤ:けど、中学生…だっけ?
ダイヤ:本当、年齢も性別も無差別って感じだな
ヤマル:はい、中一です
ヤマル:名前は、山田 瑠衣です
スノウ:全部言わなくても大丈夫よ
スノウ:戻って詮索されても嫌でしょ?
ヤマル:そうですね……気をつけます
ヤマル:お二人は何をしてたんですか?
ダイヤ:あぁ、廻層主を探してたところだったんだ
ヤマル:よかった!
スノウ:その反応……見つけたの?
ヤマル:はい、お話しします
0:
0:数時間前ーー
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ヤマル:(私は、ケーゴウさんって方と探索していて
ヤマル:そこに『スカウト』の方もいたんです)
ケーゴウ:なに、心配するな
ケーゴウ:今日もまた帰れる
ヤマル:あの、毎回近くに転移してるのはわかるんですけど
ヤマル:なんで助けてくれるんですか?
ケーゴウ:あー、子どもだから……ってのじゃダメか?
ケーゴウ:まぁこんな、むさい男が女の子に声かけちゃ
ケーゴウ:気持ち悪りぃよな
ヤマル:や、そんなこと!ないです…
ヤマル:ケーゴウさんには、助けてもらってますし
ケーゴウ:はっはっは!歳の割にしっかりしてるとこは似てねぇな
ヤマル:え?
ケーゴウ:娘がいるんだ、同い年のな
ケーゴウ:だからかな、ほっとけないのは……
ケーゴウ:最初は見間違いだったんだ……娘と思ってな
ヤマル:そうだったんですね
ケーゴウ:俺はな、ヤマルは『逃げ』でいいと思う
ケーゴウ:確かに武器は戦えるかもしれん
ケーゴウ:だけど、子どもを戦わせるなんてのは
ヤマル:私が自分で言ったことなので
ヤマル:今回も持ち込んだのは武器になりそうだったので
ケーゴウ:だけどなぁ……
0:前の方で数人が騒ぎ出している
ケーゴウ:ん?騒がしいな、ちょっと様子を見てくる
ケーゴウ:ヤマルはここにいろ
ヤマル:あっ、はい!
0:
ヤマル:あっ、どうでした?
ケーゴウ:あぁ、スカウトが廻層主を見つけたらしい
ケーゴウ:ただなぁ……
ヤマル:どうしたんですか?
ケーゴウ:数が多い
ヤマル:え?
ケーゴウ:よく分からん…
ケーゴウ:とりあえずは警戒して進むが
ケーゴウ:ヤマル、危険だと思ったらすぐ逃げろ、いいな?
ヤマル:は、はい……
0:
0:
ヤマル:(そこからは……地獄でした)
ケーゴウ:おい!しっかりしろ!
ケーゴウ:っ!?おい!腕!!
ヤマル:ケーゴウさん!
ケーゴウ:来るな!
ケーゴウ:ヤマル!逃げろ!
ヤマル:けど……
ケーゴウ:……大丈夫だ
ケーゴウ:だから、な?
ヤマル:私……助けを呼んできます!
ヤマル:だから!待っててください!
0:
0:
0:現在
0:
0:
スノウ:それで、なんとかアナタだけは
スノウ:逃げたってことね
ダイヤ:いや、当然というか
ダイヤ:そんなにヤバい相手なのか?
ヤマル:今回の廻層主は
ヤマル:角子兎種(ホーンラビット)でした
ダイヤ:ホーンラビット?
ダイヤ:アルミラージみたいなやつか?
スノウ:そうね、リアルの作品でも
スノウ:どっちかの名前で出てくることがあるわ
ダイヤ:けど、そいつらって脅威か?
ダイヤ:結構雑魚キャラで出てくるけど
スノウ:アナタ、ゴブリンと戦ってそれ言える?
スノウ:殺されそうになってたわよね?
ダイヤ:いや……まぁ、それはそうだけど
ダイヤ:ツノ生えた兎だろ?
ヤマル:確かに強くはないんですが
ヤマル:数が多すぎたこともあります
ヤマル:あと、通常のホーンラビットとは違います
スノウ:あと、リアルのアニメやゲームの概念は捨てるべきよ
スノウ:あの世界は創作だから
スノウ:本当にその世界に行ったらって考えた方がいいわ
ダイヤ:確かに、雑魚って呼ばれてるゴブリンも
ダイヤ:筋肉ヤバかったし、知能もあった
ダイヤ:普通の人間じゃまず勝てないよな
スノウ:ホーンラビットもそう
スノウ:確かに弱い部類だけど
スノウ:全力で突進してくるし、なにより
スノウ:あのツノで突進よ?
スノウ:身体なんて貫通するわ
ヤマル:それと、今回の廻層主は
ヤマル:ツノが刺さった部分から変色してました
ダイヤ:変色?
ヤマル:はい、多分あれは状態異常です
ダイヤ:状態異常って…ヤバいな
ダイヤ:対策ないと詰むんじゃないか?
ダイヤ:実際に、毒とか麻痺食らったら
ダイヤ:まず勝てないよな?
スノウ:……そうね
ヤマル:……
ダイヤ:大丈夫、一応俺は遠距離だから
ダイヤ:サポートには回れるだろうし
ヤマル:はい!助かります
スノウ:ホーンラビット…亜種、ね
ダイヤ:とりあえず急ごう
ダイヤ:まだ無事だといいけど
0:
0:
0:
ヤマル:この先です!
0:開けた場所に出る
スノウ:あれは……
ダイヤ:おい……嘘だろ?
ヤマル:いゃっ…いやあぁぁあ!!
スノウ:待って!まだ人がいる!
ダイヤ:嘘だろ…これ……全部…
スノウ:ダイヤ!
ダイヤ:あ、あぁ…ごめん…
ダイヤ:!?危ない!ッ!!
0:矢を放ち、角子兎を倒すダイヤ
スノウ:ダイヤ、そのままサポートして!
ダイヤ:わかった!
ヤマル:嘘……みんな、死んじゃ…
ダイヤ:大丈夫だ!信じよう、ヤマル
ヤマル:……
ヤマル:あっ、ケーゴウさん!
ダイヤ:あの人か!
ダイヤ:ヤマル、持ち込み武器は何だ?
ヤマル:クリアファイルです
ダイヤ:クリアファイル!?
ヤマル:はい…盾にできます
ダイヤ:なるほど、『戦闘』だが
ダイヤ:タンク役ってわけか
ヤマル:はい、けど今回は数が多すぎて
ヤマル:ケーゴウさんは守れないって判断したと思います
ダイヤ:確かにあの数を一面だけで全員守るのは無理があるな
ダイヤ:クソ!何体倒してもキリがねぇ!
ヤマル:ケーゴウさん……
0:ケーゴウの近くに行くスノウ
スノウ:サポートします
ケーゴウ:あ?いや、それより逃げろ
ケーゴウ:この数、いくらなんでも…
ケーゴウ:って、前オーガの所で会ったか?
スノウ:参加してましたけど
ケーゴウ:あの時とは訳が違う
ケーゴウ:数の暴力だ
スノウ:だけど、逃げるわけにもいかない
スノウ:廻層主は倒さないと、戻れない
ケーゴウ:……そうだな
スノウ:大体はヤマルから聞きました
スノウ:ケーゴウさんですか?
ケーゴウ:ヤマルのやつ、逃げてくれれば良かったが
ケーゴウ:アンタを連れてきたのか
スノウ:もう一人いますけど、新規です
ケーゴウ:何!?尚更危ねぇぞ
スノウ:あの矢、わかります?
スノウ:一応弓矢に武器化したので
スノウ:遠距離からサポートしてます
ケーゴウ:確かにありがてぇが……よ!!
0:突進する角子兎を倒すケーゴウ
スノウ:…見たところ、ハンマー?
ケーゴウ:俺は大工だからなァ
ケーゴウ:商売道具ってやつだ
ケーゴウ:アンタは刀か
スノウ:えぇ、私も商売道具って感じですかね
ケーゴウ:クソ、キリがねぇ
スノウ:この人たちは……
ケーゴウ:今は考えんな
ケーゴウ:くるぞ!
スノウ:っ!
0:
ヤマル:ダイヤさん!
0:盾で守るヤマル
ダイヤ:っ!?助かった……
ダイヤ:うさぎって思ったらダメだな
ダイヤ:跳躍が凄すぎる…!
ヤマル:……
ダイヤ:……
ダイヤ:(クソ、俺がしっかりしないと)
ダイヤ:数が多いってのは分かるけど
ダイヤ:流石にキリがなさすぎる
ダイヤ:これ全部廻層主ってありえるのか?
ヤマル:どういうことですか?
ダイヤ:もしかして、廻層主って別じゃないか?
ヤマル:スカウトの方は廻層主の反応を複数見たって
ダイヤ:いや、確かにコイツらも廻層主なんだけど
ダイヤ:大元っていうか、ボス的なやつがいるんじゃ
ヤマル:確かに……そうかもしれません
ダイヤ:スノウ!!キリがなさすぎる!
ダイヤ:近くにボスみたいなやつ、いないか!?
スノウ:ダイヤ?……そういうことね
ケーゴウ:あのボウズの言うことは
ケーゴウ:的を得てるな
スノウ:けど、探そうにも数が
ケーゴウ:俺が道を開けてやる
ケーゴウ:いけるか?
スノウ:えぇ、なんとかやってみるわ
0:
0:
ダイヤ:!?……あれは
ヤマル:分裂…してる?
ヤマル:っ!!ケーゴウさん!!
ダイヤ:ッ!?おい!待て!
ダイヤ:あー!クソ!
0:飛び出したヤマルを追いかけるダイヤ
ケーゴウ:!?ヤマル!?なんで……
ヤマル:逃げて!後ろ!
ケーゴウ:何!?
ダイヤ:間に合えーー!!!
0:後ろから突進していた角子兎を倒すダイヤ
ケーゴウ:た、助かった…
ヤマル:ごめんなさい…盾が間に合わなかった…
ケーゴウ:大丈夫だ、教えてくれてありがとうな
0:
ダイヤ:ふぅ、危なかっ…
ダイヤ:ガッ!?アッ……
0:後ろから脇腹辺りを貫かれるダイヤ
ケーゴウ:ボウズ!!
ヤマル:あっ…ごめ…んなさ……
ダイヤ:グゥゥッッ……
スノウ:ダイヤ!!
0:ダイヤを貫いた角子兎を倒すスノウ
ケーゴウ:おい!ダメだ!
ケーゴウ:今動いたら……
ケーゴウ:ちっ、囲まれた
ダイヤ:(浮かれていた
ダイヤ:そう、浮かれていたんだ
ダイヤ:異世界に来て、ゴブリンを倒して
ダイヤ:女の子に出会って、助けてもらって
ダイヤ:自分が主人公のように……勘違いしていた
ダイヤ:なんとかなるって……勘違いしていた)
0:
0:
ダイヤ:ス、ステータス…!
ダイヤ:腐食…?
スノウ:ダイヤ!大丈夫!?
0:
0:傷口にポーションをかける
0:
ダイヤ:毒とか麻痺じゃないから
ダイヤ:痛みだけなんだけど……
ダイヤ:ヤバいかも、腐食だった
スノウ:腐食?
ダイヤ:…多分あの角に突かれると
ダイヤ:その場所から腐食される…
ダイヤ:この惨状見て気づかなかった
ダイヤ:角に突かれた程度じゃこうはならないよな…
スノウ:じゃあ、これは
ダイヤ:あぁ……
ケーゴウ:あぁ、そうだ
ケーゴウ:こいつはら……
ダイヤ:俺はまだ動ける
ダイヤ:だから、スノウ、ケーゴウさん
ダイヤ:廻層主を倒してくれ
ケーゴウ:どういうことだ?
ダイヤ:俺はこの状況を変えられないから
ダイヤ:希望があるとすれば
ダイヤ:廻層主を倒した報酬で状態異常を治す
ダイヤ:アイテムのドロップだけだと思う
スノウ:確かに、それなら望みはあるかも
スノウ:だけど、それが絶対手に入る保証は…
ダイヤ:だから、俺はそれに賭ける
ダイヤ:死ぬまで全力でサポートしてやる
ヤマル:ごめんなさい……私のせいで
ヤマル:私が飛び出したから……
ダイヤ:いや、ヤマルはケーゴウさんを助けたんだ
ダイヤ:悪いことはしてない
ダイヤ:だから、サポートしよう一緒に
ヤマル:はい……
スノウ:来るわ!
ケーゴウ:待ってろ、ボウズ!
ケーゴウ:さっき言ったが、俺が道を作る
ケーゴウ:頼めるか?
スノウ:えぇ、何とかするわ
ダイヤ:(なんだろう……死ぬかもしれないのに
ダイヤ:変に頭が冴えてる気がする
ダイヤ:ポーションのおかげか?痛みも引いてきた)
ダイヤ:よし、やろう!
0:
0:
0:
ケーゴウ:おおおおお!!
0:地面を叩きつけ、角子兎たちを怯ませる
ケーゴウ:今だ!行け!
ヤマル:後ろは私が守ります!
ダイヤ:頼んだぞ、スノウ!ヤマル!
ダイヤ:ぐっ…
ダイヤ:(時間は…なさそうだな…)
0:
0:
スノウ:(数が多い……どうやって見つければ……
スノウ:何か特徴があるはず…落ち着いて
スノウ:みんながサポートしてくれてる…だから)
スノウ:私が見つける!
0:
0:
ケーゴウ:なぁ、大丈夫なのか?
ダイヤ:いや、大丈夫じゃないかも
ケーゴウ:正直なのは良いこった、が
ケーゴウ:死ぬかもしれねぇんだぞ
ダイヤ:ケーゴウさん、結構経験者ですよね?
ケーゴウ:ん?まぁ、転移は9回目くらいだったか?
ダイヤ:廻層主倒して、俺も生きてたら情報交換お願いします
ダイヤ:俺、新規なんで
ケーゴウ:おいおい、マジだったのかよ
ダイヤ:だから、まだ死ぬつもりはないですよ!
ダイヤ:今日初めて会った人だけど
ダイヤ:信じてもいい気がしてるんですよね
ケーゴウ:……あぁ!
ヤマル:こっちにも来ます!
ケーゴウ:いい!ヤマルはあの嬢ちゃんだけ守れ!
ヤマル:はい!
0:
0:
スノウ:どれも……同じに…!?
スノウ:あの個体……
ダイヤ:一直線に走ってる?
ダイヤ:見つけたのか?
ケーゴウ:いたのか?
ダイヤ:スノウが1匹に絞ってる動きをしてて
ダイヤ:確定じゃないけど
ケーゴウ:まだ動けるんだろ?
ケーゴウ:ここは任せて、撃て
ダイヤ:は、はい!
ヤマル:ダイヤさん!
ダイヤ:ヤマル、スノウの防御に集中してくれ
ダイヤ:……倒すつもりで援護射撃すれば
ダイヤ:…ッ!当たってくれ!!
スノウ:速い…!
スノウ:!?ダイヤ!?
0:矢が角子兎の目の前に刺さる
0:一瞬、角子兎の動きが止まる
スノウ:追い詰めた
スノウ:これで……終わりよ!
ダイヤ:もう一発、食らえ!
0:矢と剣の同時攻撃で角子兎が消滅する
ダイヤ:やった…?
ヤマル:見てください!他のホーンラビットが!
0:別個体達が灰になり消えていく
ケーゴウ:どうやら、当たったみたいだな
ケーゴウ:……ふぅ、俺だけ生き残っちまったな
スノウ:あっ、これは
0:
0:
ダイヤ:ッ!?ガッ……!!
ダイヤ:やべっ、腐食が……
ヤマル:ダイヤさん!?
ケーゴウ:お、おい!ドロップしたのか!?
スノウ:間に合って!お願い!
ダイヤ:ガッ…ハッ…
ダイヤ:(いや、本当に調子乗ってたなぁ…俺
ダイヤ:あー…死ぬのかな
ダイヤ:異世界に来てからずっと死にかけてるなァ…)
ダイヤ:……………
0:
0:
0:
0:
0:
0:
0:
ダイヤ:!?オエッ、ゲェーーー!
ケーゴウ:お、目ぇ覚めたか
ダイヤ:まっっずっ!口の中、苦ァァァア!!
スノウ:はぁ、それだけ元気なら安心ね
ダイヤ:オェーーー
ヤマル:うわっ!ダイヤさん!ちょっと!
ダイヤ:んだこれ、うぇ、気持ち悪っ
スノウ:状態異常回復ポーションよ
スノウ:あれ?このやり取り、さっきしなかった?
ダイヤ:ゲホッ…俺、異世界に来て吐いてばっかりだな……
ダイヤ:ん?てことは、俺の読みが当たった?
スノウ:えぇ、しかもかなりのレアアイテムよ
スノウ:体力と貫通した所も治ってるから
ダイヤ:うわぁ…勿体ないことした?俺
ヤマル:そんなことないです!ダイヤさんたちがいなかったら
ヤマル:助かってませんでした!
ケーゴウ:そうだな、命有れば儲けもんだ
ダイヤ:…そっか
0:頭の中で通知音のような音が鳴る
ダイヤ:ん?なんだ?
スノウ:廻層主を倒したって分かるように
スノウ:全員にコレが鳴るのよ
スノウ:ステータスを見て
ダイヤ:ステータス
0:画面いっぱいにCongratulation
0:と表示されている
ダイヤ:こんぐらっ……は?
ダイヤ:ふざけるな!何人死んでると思ってんだ!
ケーゴウ:気持ちは分かるがそれくらいにしとけ
ケーゴウ:一応治ってはいるがな
ダイヤ:……
ダイヤ:ん?300秒?
ヤマル:それが0になると、元の世界に転移するんです
ダイヤ:……、ケーゴウさん、聞いてもいいですか?
ケーゴウ:あぁ、時間もないしな
ケーゴウ:知ってることは、話してやる
スノウ:何の話?
ダイヤ:俺が生きてたら情報交換するって約束
スノウ:なるほどね
ダイヤ:この世界で死ぬとどうなりますか?
ケーゴウ:……まず、それか
ダイヤ:はい……この人たちは…助けられませんでした
ケーゴウ:……あぁ
ケーゴウ:その話をする前に、そこの嬢ちゃんは知ってるだろうが
ケーゴウ:元の世界とこっちの世界の時間についてだ
ケーゴウ:以前、廻層主が見つからず、2日この世界にいたことがある
ケーゴウ:その時、分かったんだが、この世界での1日は
ケーゴウ:向こうの1分くらいだ
ダイヤ:1分…
ヤマル:転移している間、私たちの元の身体は
ヤマル:どうやら、そのままあることも分かってます
ダイヤ:え?
ケーゴウ:つまり、この世界には魂だけ移動して
ケーゴウ:こっちの世界の器に入ってるなんて言ってる奴もいる
スノウ:そうね、向こうの身体は普通に生活しているみたいよ
スノウ:といっても1分程度だけど
ダイヤ:なんだ……それ
ケーゴウ:それでな……この世界で死ぬと
ケーゴウ:向こうでは突然死のような扱いになる
ダイヤ:突然死?
ケーゴウ:あぁ、心臓麻痺やらそんなもんだ
スノウ:それは初めて聞いたわ
スノウ:やっぱり、こっちで死ぬと向こうでも……
ヤマル:はい……
ケーゴウ:しかし、腕が無くなる、足が無くなる
ケーゴウ:といった、死にはしてない場合は
ケーゴウ:向こうでは無傷、こっちの世界では
ケーゴウ:また、転移した時には完全に回復している
ダイヤ:少しでも生きていれば助かる?
ヤマル:ということになります
ダイヤ:そっか……
0:地面に横たわる人たちを見るダイヤ
ダイヤ:ごめん…助けられなかった……
ケーゴウ:お前のせいじゃない
ケーゴウ:この世界じゃ付き物だ
ケーゴウ:慣れたくは、ないがな
スノウ:それにしても、よく冷静だったわね
ダイヤ:…あぁ、多分精神力に全振りされてた
ケーゴウ:経験値が、か?
ダイヤ:はい、別のステータスは上がってないんですけど
ダイヤ:精神力だけ70に
ヤマル:私より多い……
ダイヤ:そのせいかも、と思ってるけど
ケーゴウ:だが、元の世界では
ケーゴウ:そのステータスじゃないからな
ケーゴウ:よくあるんだ、強くなった気で元の世界に戻って
ケーゴウ:失敗するやつがな
ダイヤ:肝に銘じます
ケーゴウ:ありがとな、二人とも
ケーゴウ:それと、ヤマルも
ヤマル:私は……何も出来なかったです
ケーゴウ:いや、そんなことはない
ヤマル:はい……
ダイヤ:また!こっちで会ったらよろしくな
ヤマル:は、はい!是非
スノウ:もうすぐ転移ね
ダイヤ:あぁ
ダイヤ:それにしても、よくわかったな
ダイヤ:アレが別個体って
スノウ:え?あぁ、そうね
スノウ:偶々、じゃないかしら?
ダイヤ:……もしかして、目が青かった?
スノウ:え!?なんで!?
ダイヤ:いや、そういえば俺も読んでてさ
ダイヤ:蒼眼の魔物使い、漫画だけど
スノウ:いや!それは、関係ない!
ダイヤ:あははっ、確かこんな話あった気がして
ダイヤ:俺も今思い出したし、まぁ
スノウ:違う!違うから!
スノウ:たしかにラノベで読んでたけど!
ダイヤ:別に隠すことじゃないだろ?
ダイヤ:ま、お嬢様は読まない設定の方がいいか
スノウ:だから!お嬢様でもないし!
ダイヤ:まだ一回目だけど、クールぶってるより
ダイヤ:そっちの方がいいと思うよ、スノウ
スノウ:ちょ、何を言ってーーー
0:転移していくスノウ
ダイヤ:お、こんな感じなんだな
ケーゴウ:仲良いな、お前たちは
ダイヤ:初対面ですけどね
ヤマル:あ、じゃ、じゃあ!また
ヤマル:ケーゴウさん、ダイヤさん!
ダイヤ:おう!
0:ヤマル、転移
ケーゴウ:ん?俺もそろそろみたいだな
ケーゴウ:今回は助かったが、調子に乗るなよ
ケーゴウ:知り合いが死ぬのは見たくねぇからな
ダイヤ:はい、ケーゴウさんも
ケーゴウ:またな
0:ケーゴウ、転移
ダイヤ:さて、俺も帰りますか
ダイヤ:この世界が何なのか分かんないけど
ダイヤ:やれるだけ、やってみますか
0:
0:
0:
0:
世界の声:実績ーー確認。ーーーアクティブ化。
世界の声:ーーー。ーー。ーーーー。
世界の声:ダイヤ、転移ーー。
0:第二話『廻層の主』終。