台本概要

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タイトル キャナラジーラボ
作者名 あかおう  (@akaouwaikasuki)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 |°ω°ᔨ会話劇ちょっとシリアスちょっと中二病。
キャナめっちゃ喋るよ。

【声劇・配信での使用/連絡不要】
★配信での投げ銭が発生する場合でも連絡不要です。
★あなたの気が向いたら・・・(励みになるのでいずれかしてくれたら嬉しいな♪しなくてもOK)
→シナリオタイトル横の「つぶやく」を押してご自身のTwitterでツイートする。
→赤王(@akaouwaikasuki)メンションでご自身のTwitterでツイートする。
→赤王のツイッターの該当するシナリオのツイートにいいねする。
→赤王のツイッターの該当するシナリオのツイートをRT。
→その他思いやりある行動で大切にしてくださったら嬉しいです。

【禁止事項】
★ライターの呼び捨て表記。
★盗作・自分が書きましたと言う行為。
★無断で一部分を切り取っての使用や投稿。
★上記以外で赤王が非常識と判断した行動・表記。
以上をされた方は即ブロックさせて頂き、以降赤王のシナリオ使用を禁止とさせて頂きます。

【YouTube・舞台・朗読等入場料を取る場合】
連絡必須:許可が下りるまで使用しないでください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
キャナ 不問 54 生物学上は女性ですが、そもそも自分が女性か男性かのこだわりが無いキャラクターです。分析変態。
レイ 不問 53 生物学上男性。キャナの理解者であり冷静な人。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
キャナ:このハンバーグうまい。 レイ:そうですか。良かったです。そこのコンビニの新作です。 キャナ:コンビニのお惣菜は素晴らしい。 レイ:そうですね。企業努力が伺えます。 キャナ:この舌触り。肉の粒が際立っていて肉汁を閉じ込めていて、噛んだ瞬間に口の中に広がるジューシーさが得も言われぬ快感を与えてくれる。・・・好きだ。 レイ:・・・・若干、変態っぽいその言い回しは何とかなりませんかね。 キャナ:・・・・知りたい。 レイ:あ。しまった。始まってしまったか・・・。困ったな。ハンバーグだから・・・まぁ、「中(なか)」から出てくるまで十五分て所か。 キャナ:ああああああ!!!レイ!!レイ!!!わかったぞ!!! レイ:(冷静に)どうしたんですか? キャナ:このハンバーグは「ヨービグループ」の工場で作られている!!! レイ:ああ、なるほど。ヨービグループの・・・ キャナ:あのな、あのなレイ。ヨービグループだ。しかも日曜工場のハンバーグなんだ。あそこは三年前に工場長が、新しい工場を作るための土地の入札で不正を働いて、政治家も含めた大きな事件になっただろ? レイ:そうでしたね。当時は大きなニュースになりましたね。 キャナ:だから!!こんなにこのハンバーグは美味しいだよ!! レイ:・・・・意味が理解できませんが? キャナ:(冷たく無機質に)・・・・・理解・・・できない? レイ:あっ・・・・しまった・・・ レイ:はぁ・・・今日もか。仕方ない。さてと。はい。キャナ。私は理解できません。説明を求めます。宜しくお願いします。 キャナ:おう。いいだろう。 レイ:ちっ・・・なんで毎回いつも偉そうなんだこの人は・・・まぁ一応このラボでは一番偉いんだから仕方ないか・・・甘んじて受け入れましょう・・・・ キャナ:あのハンバーグはな、工場長が不正を働かなければ成立しなかったんだ。工場長が不正を働く。地元の村人達の反感を買う。「地産地消(ちさんちしょう)」をうたっているこのお惣菜シリーズにとっては大打撃だ!! レイ:はぁ・・・ キャナ:だって!!だって地元の人間に反感を買ったんだ。田舎の人間は閉鎖的だ。変化がない山。海。娯楽のない世界。そこへ地元でも明主(めいしゅ)と言われていたヨービグループの失墜!!! キャナ:何の実力もないハゲたブタが、ここまでわかりやすく悪者になったんだ!!集中砲火!!日頃の恨み!!腰痛のイライラ!!ああ腹の虫の居どころが悪いから潰してしまいたくなるよなぁぁぁああ!!! キャナ:・・・・ぐっ・・・(呼吸がおかしくなる)はっ・・あっ・・・息が・・・は・・・はっ!!! レイ:キャナ。落ち着いて。興奮しすぎると息を吐かなくなる癖やめてください。心臓に悪いです。 キャナ:はぁ、はぁ・・・・・ レイ:つまりは? キャナ:本来ならば。得られていたはずの村人達からの素材。つまり肉、玉ねぎ、パン粉、卵、ソースに使われている大根。しょうゆ。それらが全て得られなくなった。 レイ:村人達が、ヨービグループに協力したくなかったから? キャナ:そうだ。しかしそこに、ヨービグループの全国展開の話が公(おおやけ)になる。 レイ:ああ、一部地方でのみ展開していたヨービグループが、東京最大手M&A(えむあんどえー)のカレンダルス社と合併した。 レイ:全国展開するには必要な買収、合併でしょうね。 キャナ:しかし凝り固まった田舎者の年寄達にM&Aなどわかるものか。せいぜい「東京の大きな会社と一緒にお仕事するぅ」が関の山だろうよ。 レイ:ほう。つまり? キャナ:「田舎者は、東京という単語にめっぽう弱い」 レイ:・・・それは偏見では? キャナ:なーにを言ってるんだ?産まれた時から田舎に住んでいる者にとって、東京はとてつもなく巨大な夢と希望の国だぞ!!?? レイ:私は残念ながら、産まれも育ちも東京なもので・・・ キャナ:クソみたいに都会に媚びへつらいたい田舎者は、「東京」と聞けば簡単に手のひらを返したんだろうよ。その証拠にホラ!! レイ:・・・・二年前の新聞のデータですか。名画「びしょぼとアメフクラガエル」約6円で落札。 キャナ:そんな悲しいニュースじゃない!!その右下!! レイ:「おらが村のおいしさを、東京や全国のお客様にも」 キャナ:・・・どうだ?この村人たちの清々しいほどに寝返った表情。おおかた、買収元のカレンダルス社に・・・そうだな。ひと家族あたり一億は貰ったんだろうな。 レイ:一億・・・?!そんなに??たかがコンビニのお惣菜シリーズで・・・? キャナ:なーにを言ってるんだ。「一億円」と聞けば多く感じるだろうが、考えてもみろ。酪農家の昨年の平均年収は400万から600万円だぞ? レイ:それでも一億は多いでしょう。 キャナ:あの田舎は、観光資源が無い。温泉もなければ娯楽施設すらない。あるのは大型ショッピングモールだけだ。 レイ:まぁ、田舎にありがちなスタイルですね。 キャナ:しかしだ。無限に湧く資源が一つだけある。 レイ:というと? キャナ:わからないのか?レイ。ここまで言って。 レイ:・・・ええ、あいにく私にはキャナほどの分析力はありませんので。 キャナ:東京の植民地という考え方だよ。レイ。 レイ:植民地・・・?随分酷いものの言いをしますね。 キャナ:この村は約50世帯。平均年齢は68.5歳を超えている。 レイ:・・・いわゆる、税金を納める世代が居ない、「消滅可能性都市」ですね。 キャナ:そうだ。いくら地産地消をうたっていても、働く世代が居なければ持続は不可能だ。 レイ:!!そこへ、植民地化構想・・・東京の・・・・ キャナ:ああ。東京近郊からの転入者がここ二年で約600倍に増えている。 レイ:・・・東京に住んでいた社員達が、村へ移住・・・? キャナ:そうだ・・・村人たちは朽ち果てていくはずだと思っていたら、毎月のように若者が押し寄せて、地元の素材を使って全国へこのハンバーグを送り届けてくれる。 レイ:いやでも、それはそれで、良い事ではないでしょうか?若者が増えれば、地元の人との交流もあって村の活性化にも繋がる・・・ キャナ:・・・レイ?平均年齢68.5才の村人と、誰が結婚し子供を産む? レイ:・・・東京の・・・植民地・・・・ キャナ:そうだ。もうあと四十年もすれば純粋にこの村出身のモノは自然の摂理的に居なくなる。 レイ:・・・・そんな、観光資源も温泉も娯楽もないこの村に、そんな価値が?というか、なぜこの村なんですか・・・・!? キャナ:・・・・・(にやぁ)・・・川だよ。レイ。この村には、東京に続く川がある。天然の交通機関だ。 レイ:・・・いや、そんな大昔じゃあるまいし、川を下って・・・・ キャナ:レイ。今、環境省で構想が出ている、流通業活性化の一つに出ている案。知っているか? レイ:・・・・!!河川(かせん)流通・・・・!!!あの、大昔の、川を下って都心に荷物を運ぶという構想・・・しかしあれは、緩やかな川で、なおかつ第一級河川(かせん)レベルでなければ不可能なはず!? キャナ:・・・・・それが、この村から東京に繋がっているあの川なら可能なんだ。大昔に噴火した土の硬さのおかげで、未だに穏やかな川だ・・・・ レイ:・・・く、国が・・・?目を付けていたという事ですか? キャナ:そうだ。レイ。なぜわからない?村人も工場長も、国にはめられたんだ。 レイ:コンビニのハンバーグを食べているだけなのに、ここまで分析して見通すあなたがおかしいんですよ・・? キャナ:何を言ってるんだ。私はおいしいハンバーグに出会った。こんな美味しい素晴らしいものを作る会社は、どんな企業か気になる。 キャナ:その企業の歴史を調べる。これからの企業計画を調べる。工場を大きくしようとしたブタが国の罠にはめられ、みすみす地元を手放すという話が分かる・・・。 キャナ:普段から様々なニュースや、地域の新聞。人の心理。国の動き。人の移動。人口の増加。全国の天気。雨雲の動き。 キャナ:田舎者の閉鎖的で排他的な考え方。それを食い物にする買収屋の動き・・・・それら全てを常に気にして、脳にインプットすれば・・・・簡単じゃぁないか・・・・? レイ:・・・・・・相変わらず。分析オタク・・・いや、分析変態ですね。 キャナ:そんなことはない。分析などしていない。 レイ:ほう? キャナ:・・・・脳に自然に、勝手に入ってくるんだ。わかっているだろう。 レイ:・・・存じ上げております。あなたの目に入る情報は、全て脳に記憶される。 キャナ:・・・・・随分、この体質に悩まされた。 レイ:しかしまぁ、こうしてラボを立ち上げて、様々な面から研究・分析出来る場所があなたにはある。 キャナ:おじい様の遺産が腐るほどあるからな。このラボは、私の力じゃない。おじい様のお力だ。 レイ:運も実力のうち、ですよ。 キャナ:そういえば、レイ?私にも分析出来ない事がある。 レイ:おや、めずらしい。なんですか? キャナ:昨日、買っておいて、今日食べようと思った冷蔵庫のプリンの置いてある場所が違うんだが。 レイ:・・・・あっ。 キャナ:・・・・・私は、冷蔵庫の上から二段目の右奥に置いた。 レイ:はい・・・ キャナ:私は右腕で置いたし、身長的に自然とその位置になる。 レイ:・・・え、ええ。 キャナ:しかしだ。賞味期限が三日後のモノを私は買ったはずなのに、その位置から2mmほどズレて置いてある同じ種類のプリンは・・・ レイ:・・・あ・・・ キャナ:賞味期限が四日後だったんだ・・・・ レイ:・・・!!!!キャナ!!ごめんなさい!!! キャナ:・・・・・やはりレイ。君か!!! レイ:・・・いやその、昨日はあまりに疲れていて・・・しかし外に買いに行く気力もなくてですね。そしたら冷蔵庫にプリンが・・・ キャナ:・・・自分が買ってきていないという事は、ラボのもう一人の住人である私のものであるという事は明白なはずだ!なぜ一言言わなかった!! レイ:翌日朝早くに、同じものを同じ位置に置いておけばさすがにバレないかと・・・・ キャナ:違う!!! レイ:え? キャナ:レイ、お前がそのプリンを口にした瞬間の感触は?甘さレベルは?どんなだった?なぁ、なぁ、し、知りたい・・・!!!教えてくれ! レイ:え?キャナ?? キャナ:・・・・知りたい・・・君と私の体ではどんな風に違うのか、その違いを教えてくれ、分析したい、分析したいんだ!!!! レイ:ちょ、キャナ!!責めてこないでください!! キャナ:いいじゃないかレイ!! レイ:ああーー!!!もうこのラボ嫌だぁーー!!! キャナ:はぁはぁ・・・教えろよぉーー!!レイーーー!!!

キャナ:このハンバーグうまい。 レイ:そうですか。良かったです。そこのコンビニの新作です。 キャナ:コンビニのお惣菜は素晴らしい。 レイ:そうですね。企業努力が伺えます。 キャナ:この舌触り。肉の粒が際立っていて肉汁を閉じ込めていて、噛んだ瞬間に口の中に広がるジューシーさが得も言われぬ快感を与えてくれる。・・・好きだ。 レイ:・・・・若干、変態っぽいその言い回しは何とかなりませんかね。 キャナ:・・・・知りたい。 レイ:あ。しまった。始まってしまったか・・・。困ったな。ハンバーグだから・・・まぁ、「中(なか)」から出てくるまで十五分て所か。 キャナ:ああああああ!!!レイ!!レイ!!!わかったぞ!!! レイ:(冷静に)どうしたんですか? キャナ:このハンバーグは「ヨービグループ」の工場で作られている!!! レイ:ああ、なるほど。ヨービグループの・・・ キャナ:あのな、あのなレイ。ヨービグループだ。しかも日曜工場のハンバーグなんだ。あそこは三年前に工場長が、新しい工場を作るための土地の入札で不正を働いて、政治家も含めた大きな事件になっただろ? レイ:そうでしたね。当時は大きなニュースになりましたね。 キャナ:だから!!こんなにこのハンバーグは美味しいだよ!! レイ:・・・・意味が理解できませんが? キャナ:(冷たく無機質に)・・・・・理解・・・できない? レイ:あっ・・・・しまった・・・ レイ:はぁ・・・今日もか。仕方ない。さてと。はい。キャナ。私は理解できません。説明を求めます。宜しくお願いします。 キャナ:おう。いいだろう。 レイ:ちっ・・・なんで毎回いつも偉そうなんだこの人は・・・まぁ一応このラボでは一番偉いんだから仕方ないか・・・甘んじて受け入れましょう・・・・ キャナ:あのハンバーグはな、工場長が不正を働かなければ成立しなかったんだ。工場長が不正を働く。地元の村人達の反感を買う。「地産地消(ちさんちしょう)」をうたっているこのお惣菜シリーズにとっては大打撃だ!! レイ:はぁ・・・ キャナ:だって!!だって地元の人間に反感を買ったんだ。田舎の人間は閉鎖的だ。変化がない山。海。娯楽のない世界。そこへ地元でも明主(めいしゅ)と言われていたヨービグループの失墜!!! キャナ:何の実力もないハゲたブタが、ここまでわかりやすく悪者になったんだ!!集中砲火!!日頃の恨み!!腰痛のイライラ!!ああ腹の虫の居どころが悪いから潰してしまいたくなるよなぁぁぁああ!!! キャナ:・・・・ぐっ・・・(呼吸がおかしくなる)はっ・・あっ・・・息が・・・は・・・はっ!!! レイ:キャナ。落ち着いて。興奮しすぎると息を吐かなくなる癖やめてください。心臓に悪いです。 キャナ:はぁ、はぁ・・・・・ レイ:つまりは? キャナ:本来ならば。得られていたはずの村人達からの素材。つまり肉、玉ねぎ、パン粉、卵、ソースに使われている大根。しょうゆ。それらが全て得られなくなった。 レイ:村人達が、ヨービグループに協力したくなかったから? キャナ:そうだ。しかしそこに、ヨービグループの全国展開の話が公(おおやけ)になる。 レイ:ああ、一部地方でのみ展開していたヨービグループが、東京最大手M&A(えむあんどえー)のカレンダルス社と合併した。 レイ:全国展開するには必要な買収、合併でしょうね。 キャナ:しかし凝り固まった田舎者の年寄達にM&Aなどわかるものか。せいぜい「東京の大きな会社と一緒にお仕事するぅ」が関の山だろうよ。 レイ:ほう。つまり? キャナ:「田舎者は、東京という単語にめっぽう弱い」 レイ:・・・それは偏見では? キャナ:なーにを言ってるんだ?産まれた時から田舎に住んでいる者にとって、東京はとてつもなく巨大な夢と希望の国だぞ!!?? レイ:私は残念ながら、産まれも育ちも東京なもので・・・ キャナ:クソみたいに都会に媚びへつらいたい田舎者は、「東京」と聞けば簡単に手のひらを返したんだろうよ。その証拠にホラ!! レイ:・・・・二年前の新聞のデータですか。名画「びしょぼとアメフクラガエル」約6円で落札。 キャナ:そんな悲しいニュースじゃない!!その右下!! レイ:「おらが村のおいしさを、東京や全国のお客様にも」 キャナ:・・・どうだ?この村人たちの清々しいほどに寝返った表情。おおかた、買収元のカレンダルス社に・・・そうだな。ひと家族あたり一億は貰ったんだろうな。 レイ:一億・・・?!そんなに??たかがコンビニのお惣菜シリーズで・・・? キャナ:なーにを言ってるんだ。「一億円」と聞けば多く感じるだろうが、考えてもみろ。酪農家の昨年の平均年収は400万から600万円だぞ? レイ:それでも一億は多いでしょう。 キャナ:あの田舎は、観光資源が無い。温泉もなければ娯楽施設すらない。あるのは大型ショッピングモールだけだ。 レイ:まぁ、田舎にありがちなスタイルですね。 キャナ:しかしだ。無限に湧く資源が一つだけある。 レイ:というと? キャナ:わからないのか?レイ。ここまで言って。 レイ:・・・ええ、あいにく私にはキャナほどの分析力はありませんので。 キャナ:東京の植民地という考え方だよ。レイ。 レイ:植民地・・・?随分酷いものの言いをしますね。 キャナ:この村は約50世帯。平均年齢は68.5歳を超えている。 レイ:・・・いわゆる、税金を納める世代が居ない、「消滅可能性都市」ですね。 キャナ:そうだ。いくら地産地消をうたっていても、働く世代が居なければ持続は不可能だ。 レイ:!!そこへ、植民地化構想・・・東京の・・・・ キャナ:ああ。東京近郊からの転入者がここ二年で約600倍に増えている。 レイ:・・・東京に住んでいた社員達が、村へ移住・・・? キャナ:そうだ・・・村人たちは朽ち果てていくはずだと思っていたら、毎月のように若者が押し寄せて、地元の素材を使って全国へこのハンバーグを送り届けてくれる。 レイ:いやでも、それはそれで、良い事ではないでしょうか?若者が増えれば、地元の人との交流もあって村の活性化にも繋がる・・・ キャナ:・・・レイ?平均年齢68.5才の村人と、誰が結婚し子供を産む? レイ:・・・東京の・・・植民地・・・・ キャナ:そうだ。もうあと四十年もすれば純粋にこの村出身のモノは自然の摂理的に居なくなる。 レイ:・・・・そんな、観光資源も温泉も娯楽もないこの村に、そんな価値が?というか、なぜこの村なんですか・・・・!? キャナ:・・・・・(にやぁ)・・・川だよ。レイ。この村には、東京に続く川がある。天然の交通機関だ。 レイ:・・・いや、そんな大昔じゃあるまいし、川を下って・・・・ キャナ:レイ。今、環境省で構想が出ている、流通業活性化の一つに出ている案。知っているか? レイ:・・・・!!河川(かせん)流通・・・・!!!あの、大昔の、川を下って都心に荷物を運ぶという構想・・・しかしあれは、緩やかな川で、なおかつ第一級河川(かせん)レベルでなければ不可能なはず!? キャナ:・・・・・それが、この村から東京に繋がっているあの川なら可能なんだ。大昔に噴火した土の硬さのおかげで、未だに穏やかな川だ・・・・ レイ:・・・く、国が・・・?目を付けていたという事ですか? キャナ:そうだ。レイ。なぜわからない?村人も工場長も、国にはめられたんだ。 レイ:コンビニのハンバーグを食べているだけなのに、ここまで分析して見通すあなたがおかしいんですよ・・? キャナ:何を言ってるんだ。私はおいしいハンバーグに出会った。こんな美味しい素晴らしいものを作る会社は、どんな企業か気になる。 キャナ:その企業の歴史を調べる。これからの企業計画を調べる。工場を大きくしようとしたブタが国の罠にはめられ、みすみす地元を手放すという話が分かる・・・。 キャナ:普段から様々なニュースや、地域の新聞。人の心理。国の動き。人の移動。人口の増加。全国の天気。雨雲の動き。 キャナ:田舎者の閉鎖的で排他的な考え方。それを食い物にする買収屋の動き・・・・それら全てを常に気にして、脳にインプットすれば・・・・簡単じゃぁないか・・・・? レイ:・・・・・・相変わらず。分析オタク・・・いや、分析変態ですね。 キャナ:そんなことはない。分析などしていない。 レイ:ほう? キャナ:・・・・脳に自然に、勝手に入ってくるんだ。わかっているだろう。 レイ:・・・存じ上げております。あなたの目に入る情報は、全て脳に記憶される。 キャナ:・・・・・随分、この体質に悩まされた。 レイ:しかしまぁ、こうしてラボを立ち上げて、様々な面から研究・分析出来る場所があなたにはある。 キャナ:おじい様の遺産が腐るほどあるからな。このラボは、私の力じゃない。おじい様のお力だ。 レイ:運も実力のうち、ですよ。 キャナ:そういえば、レイ?私にも分析出来ない事がある。 レイ:おや、めずらしい。なんですか? キャナ:昨日、買っておいて、今日食べようと思った冷蔵庫のプリンの置いてある場所が違うんだが。 レイ:・・・・あっ。 キャナ:・・・・・私は、冷蔵庫の上から二段目の右奥に置いた。 レイ:はい・・・ キャナ:私は右腕で置いたし、身長的に自然とその位置になる。 レイ:・・・え、ええ。 キャナ:しかしだ。賞味期限が三日後のモノを私は買ったはずなのに、その位置から2mmほどズレて置いてある同じ種類のプリンは・・・ レイ:・・・あ・・・ キャナ:賞味期限が四日後だったんだ・・・・ レイ:・・・!!!!キャナ!!ごめんなさい!!! キャナ:・・・・・やはりレイ。君か!!! レイ:・・・いやその、昨日はあまりに疲れていて・・・しかし外に買いに行く気力もなくてですね。そしたら冷蔵庫にプリンが・・・ キャナ:・・・自分が買ってきていないという事は、ラボのもう一人の住人である私のものであるという事は明白なはずだ!なぜ一言言わなかった!! レイ:翌日朝早くに、同じものを同じ位置に置いておけばさすがにバレないかと・・・・ キャナ:違う!!! レイ:え? キャナ:レイ、お前がそのプリンを口にした瞬間の感触は?甘さレベルは?どんなだった?なぁ、なぁ、し、知りたい・・・!!!教えてくれ! レイ:え?キャナ?? キャナ:・・・・知りたい・・・君と私の体ではどんな風に違うのか、その違いを教えてくれ、分析したい、分析したいんだ!!!! レイ:ちょ、キャナ!!責めてこないでください!! キャナ:いいじゃないかレイ!! レイ:ああーー!!!もうこのラボ嫌だぁーー!!! キャナ:はぁはぁ・・・教えろよぉーー!!レイーーー!!!