台本概要

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タイトル 猛禽族
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男3、女1、不問1)
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 力を求め、力を振るい
全てを手に入れた者をこの街では
『猛禽族』そう呼ばれている

※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡ください。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や、語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

作中用語

●猛禽族
街の中で力を持つトップ5人に与えられる称号
ここで言う力とは、単純な腕力、知識力、カリスマ性などといったもの

●チーム
街における組織
猛禽族達のチーム以外のチームも存在する

●メンバー
チームに所属する者

●テリトリー
チームが支配する領地
無許可で侵入した者は厳しい罰則がある

●カラス
チームに属さない者
または無許可でテリトリーに侵入した者を指す

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
黄鷹 101 黄鷹(きだか)20歳~ 戦闘狂で女好き 肉弾戦を好み、銃と接近戦を混ぜた戦闘スタイルで相手を翻弄する 圧倒的なまでのカリスマ性があり、彼を慕いついていく者も多い
黒百舌 不問 98 黒百舌(くろもず)20歳?~ 猛禽族の中では新参 物腰柔らかな口調で、言葉巧みに人を動かし自分のシナリオ通りに事を進ませる事を得意としている ミステリアスな面が多く、周りからは不気味がられている
赤鷲 64 赤鷲(あかわし)50歳~ 絶対的な力を持つ猛禽族 最年長だが、衰えを見せないその姿は最強にふさわしい この数年間、パタリと消息を絶っている
青鳶 125 青鳶(あおとんび)25歳~ 冷静に物事を分析する事に長けている 猛禽族の中で唯一殺しをしていなく、異質な存在と周囲から言われている 赤鷲の事を常に意識しており、何か因縁があるよう
白梟 113 白梟(しろふくろう)25歳~ 現在の猛禽族で唯一の女性 電子機器等を用いた情報収集を得意としている 戦闘面においては、道具を利用したトリッキーなスタイルで力の差を補う
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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青鳶:【N】この街は力が全てだ 赤鷲:【N】絶対的な暴力も 黄鷹:【N】圧倒的な統率力も 白梟:【N】全てを知り尽くす情報力も 黒百舌:【N】巧みに惑わす操作力も 青鳶:【N】この街において、それらの力を持ち上に立つ者には猛禽類の名を与えられる。そして、その者らを総称してこう呼ばれる 青鳶:『猛禽族』と 0:  0:  0:  0:  0:  黄鷹:「おーいおいおい、いつまで逃げるんだー?どんなに逃げたってここいら一帯は、この黄鷹様のテリトリーなんだ。もう逃げらんねぇよ?いい加減観念してさぁ、追いかけっこやめよーぜぇ?」 0:追いかけられてる人が路地裏に逃げ込むが、行き止まりだった 黄鷹:「あーららぁ、行き止まりだったねぇ。残念だけど、ここで追いかけっこは終わりだ。テリトリーに許可なく侵入した者には制裁が加えられる…知ってるよな? 黄鷹:…あー……でも、なんかお前見てたら急に可哀想に思えてきちまった… 黄鷹:そんなに震えて怯えてる無抵抗な奴を一方的に殺すなんて…俺には可哀想でできねぇよ…………悪かった、今回は見逃してやるよ。早くここから逃げてお前のテリトリーに帰れ、ほら、さっさと帰れ。他の奴に見つかるなよ?」 0:二コリと笑顔を見せ見送る黄鷹、背を向けた相手の頭を目掛けて発砲する 黄鷹:「なーんて…帰すわけねぇだろうが、クソカラス…!てめぇみてえなカラス野郎を見逃すなんてこの黄鷹様がするわけねぇだろうが。おいお前ら!このカラス野郎の後処理をしておけ。あと、どこのチームなのかも調べておけよ。」 黒百舌:「ふふ…相変わらず黄鷹さんは絵に描いたような、ならず者ですね。」 黄鷹:「っ!てめえは…!百舌…!どこから湧いて出てきやがった!」 黒百舌:「そう構えないでください、私はアナタと争うつもりはありませんよ。」 黄鷹:「人様のテリトリーに土足で踏み入って争うつもりはねぇだぁ?無許可でテリトリーに入ることがどういうことなのか、同じ『猛禽族』のお前なら知ってんだろ。」 黒百舌:「ええ、それはもう…知り尽くしていますとも。」 黄鷹:「ならおとなしく…」 黒百舌:「いいんですか?今からお話しする内容は、アナタにも益になる話だと思うのですが…」 黄鷹:「なに…?」 黒百舌:「ふふ…気になりますか?」 黄鷹:「………。」 黒百舌:「そうですか、気になりませんか。ではこの話は無かった事に…」 黄鷹:「……ついてこい百舌…場所を変える…」 黒百舌:「ふ…単細胞ではないようで安心しましたよ、黄鷹さん。」 黄鷹:「ちっ、内容によっては頭を吹き飛ばすからな、覚悟しておけよ百舌…」 黒百舌:「あらあら、それはそれは……怖いですねぇ。」 0:  赤鷲:『すまねえな坊主。もう、テメエの大切なモノはここには居ねえ……見ての通り、俺が食っちまった。…ほら、テメエはさっさと行け。ガキは食わねえ主義だが、あまりちょろちょろしてっと…コイツみたいになっちまうぞ?』 0:  0:  0:事務所のソファーに腰かけて新聞を読みながら寝落ちしていた青鳶 青鳶:「ん…んん……赤い海…鋭い眼光……最悪だ…またアイツの夢を見た……くそ…こんな記事見てたからか…?」 0:  青鳶:【N】俺が暮らすこの街は、古今東西のワケアリが集うならず者の街だ。この街は実力主義で、力で全てが決まる。腕力、知力、カリスマ性など…あらゆる力によって頂点に登り詰めた者には 青鳶:周りに屈することのない力の象徴として、誰からともなく猛禽類の名とその者を現す色が与えられる…俺はとある目的を果たすために、この野蛮な街へとやってきた…だが、未だにその目的は果たせずにいる… 0:  青鳶:「あの野郎はどこに居るのか……このままじゃ何時までたっても俺の目的は…はぁ…気分が悪い…少し外の空気でも吸いに行くか。」 0:  0:外に出て街をぶらつく青鳶 0:  青鳶:「こうして歩いてると、ワケアリの集まりって感じがほとんどしないのが不思議だよな…」 白梟:「それは、青坊の統治の結果なんじゃないかな?」 青鳶:「っ!?白梟…お前いつのまに…」 白梟:「連絡はしてあっただろう?」 青鳶:「だからって急に現れるなよ…」 白梟:「フクロウの羽音は無音だからね、気を付けた方がいいよ?いつか、青坊のその首貰っちゃうかもしれない。」 青鳶:「そうだな、一応気を付けておくよ。注意喚起をありがとう。」 白梟:「軽くあしらわれた感があるんだけど…?」 青鳶:「で?今日はなんの用だ?」 白梟:「用が無きゃ青坊に会いに来ちゃダメかな?」 青鳶:「用件は?」 白梟:「もう…せっかちな男は嫌われるよ?……少しカフェにでも行こうか、お茶にしよう。」 青鳶:「……ああ。」 0:黄鷹のアジト内、ソファに腰かけ机を挟んで向かい合う黄鷹と黒百舌 黄鷹:「で、益になる話ってなんだ?」 黒百舌:「ええ、単刀直入に申し上げますと。あの人が見つかりました。」 黄鷹:「あの人…?」 黒百舌:「ええ、ここ数年姿を消していた…あの方です。」 黄鷹:「…まさか…鷲のジジイが……?」 黒百舌:「パタリと消息を絶っていた彼はこの街の外れにある森、その奥深くに拠点を構えていました。」 黄鷹:「それで、ジジイが見つかったからって、なんで俺にとって益になるんだ。」 黒百舌:「彼は歳を重ねたとはいえその力は健在でしょう。数年前まではこの街のほとんどをテリトリーとしていましたからね。そんな彼が再び動き出すとなれば…今最も勢いがあり、最強に近い猛禽族である黄鷹さんの弊害になるのではと…」 黄鷹:「はっ!あんなクソジジイに今の俺が負けるって言いてえのか?」 黒百舌:「ええ、そうです。」 黄鷹:「なっ…ああ!?てめぇ…!!」 0:黒百舌に掴みかかろうとする黄鷹 黒百舌:「だから、私と手を組みませんか?」 黄鷹:「…あ?」 黒百舌:「私にとっても赤鷲さんは脅威です、いえ他の猛禽族にとって最も脅威となる存在です。さすがに私1人の力では彼に敵いません、ですからアナタにお願いしているんです黄鷹さん。」 黄鷹:「…俺がお前と組むメリットはなんだ。」 黒百舌:「赤鷲さんを倒せる。」 黄鷹:「そんなんで俺が動くとでも?」 黒百舌:「ふふ……アナタを最強の猛禽族にしてこの街の王にしてみせましょう。」 黄鷹:「何を企んでやがる?百舌。」 黒百舌:「いえ、なにも?ただ単純に、赤鷲さんが邪魔なだけですよ。」 黄鷹:「ほぉ…?」 黒百舌:「疑い深いですね。しかし、それくらいでないとトップは務まりませんからね。」 黄鷹:「……お前に俺を最強にできんのか?最弱の猛禽族。」 黒百舌:「ええ、最弱だからこそのやり方があるのですよ。」 黄鷹:「お前になんの得がある?」 黒百舌:「異物が無くなります、それだけで私はいいんです。」 黄鷹:「そうか…わかった。今回は手を組んでやる。ただし使えないと判断した時点でその頭をかち割ってやる。いいか?」 黒百舌:「ふふ…相変わらず野蛮ですね、分かりました、いいですよ。」 黄鷹:「ふん。それと気になったんだが、鳶の野郎と梟にはこの話をしたのか?」 黒百舌:「いえ、していませんよ。ただし…あの2人にも当然動いては貰いますがね…ふふ…」 黄鷹:「……。」 0:  0:青鳶テリトリー内のカフェにて 0:  白梟:「それにしても、本当に青坊のテリトリーは平和そのものだよね。殺しをしない青坊だからこそ、築き上げられたって感じだね。」 青鳶:「殺しをしないんじゃない。殺す機会を伺っているだけだ。」 白梟:「…その伺っている相手だけどね、見つかったよ。」 青鳶:「っ!?どこだ!どこにいるんだ!」 白梟:「青坊、落ち着きな。他のお客に迷惑だ。」 青鳶:「あ…ああ……すまない。」 白梟:「はぁ…ほんと、コイツの話になると血相変わるよね青坊は。」 青鳶:「……奴は…赤鷲はどこにいたんだ。」 白梟:「だから、せっかちな男はモテないよ?」 青鳶:「教えてくれ白梟。」 白梟:「もう……街外れにある森の奥。そこに新たに拠点を作っていたんだ。しかもそこでこの数年間で力を蓄えているそうだよ。」 青鳶:「…力?」 白梟:「うん、着実にメンバーが集まりつつあるそうだよ。赤鷲単体の強さも尋常じゃないけどさ…数まで用意されちゃあいよいよ敵わなくなってくる……どうにか、動かれる前に叩きたいところだけど…」 青鳶:「俺1人で行く。」 白梟:「…え?いやいやいや!!赤鷲の脅威は青坊だって知ってるだろう?奴の力は本物だ、1人でだなんてそんなの無謀すぎる!」 青鳶:「アイツの事は良く分かってる。無謀でもなんでもアイツを殺すのは俺だ。」 白梟:「しかし……!はぁ…1つ聞いてもいいかい?」 青鳶:「なんだ…?」 白梟:「青坊が赤鷲を憎んでいるのは分かっているけど…どうしてそこまで奴を追いかけるんだ?なにがそこまでキミを動かしているの?」 青鳶:「…それは……」 白梟:「別に答えたくないなら構わないよ、それが聞けなかったからって協力しなくなるわけじゃないから。」 青鳶:「……アイツは…赤鷲は俺の母親を殺したんだ。」 白梟:「…っ」 青鳶:「母さんの血を浴びたアイツはまさに、『赤鷲』そのものだったよ。」 白梟:「…そう……ごめんね、辛い話をさせて。」 青鳶:「いや、いいさ。居場所を突き止めてくれてありがとう。礼は後でさせてもらう。」 白梟:「礼なんていいさ、私と青坊の仲じゃないか。」 青鳶:「いや、しっかり礼はさせてもらう。」 白梟:「律儀だねえ。」 青鳶:「あと、すまないが…もう1つ頼まれて欲しい事があるんだが…」 白梟:「…もう1つ?」 0:  0:夕暮れ時、カフェから出た青鳶と白梟 0:  青鳶:「今日はありがとう白梟。頼みも引き受けてくれてありがとう。」 白梟:「いいよ、私と青坊の仲だからね。専門じゃないから上手くできるかわからないけど…ま、やれるだけやってみるさ。」 青鳶:「ああ、ありがとう。それじゃ、当日に。」 白梟:「ああ、またね青坊。」 青鳶:「さて……と、当日に備えて準備をしなきゃな…」 黒百舌:「こんにちは青鳶さん。」 青鳶:「っ!?誰だ!お前は…黒百舌…?」 黒百舌:「あれ、この時間はこんばんは…だったかな?ふふ、まあいいか…」 青鳶:「許可なくテリトリーに侵入することは猛禽族の…この街のルールに違反するんじゃないのか?」 黒百舌:「あら、それを言われるのは今日で2回目ですねぇ…いやはや、耳が痛いですね。」 青鳶:「相変わらず掴めない奴だ…俺に何か用か…?」 黒百舌:「ふふ…アナタは相変わらず冷静でいらっしゃる。青鳶さんのそういう所好きですよ…」 青鳶:「それはどうも。用が無いなら帰りたいんだが?」 黒百舌:「そうですね、確かに大した用ではないのですが…確か青鳶さんは……歴代の猛禽族の中でも異質な存在、命を奪うことなく猛禽族と呼ばれるようになった…」 青鳶:「異質かは知らないけど…確かに俺は未だに誰の命も奪っちゃいない。」 黒百舌:「それはなぜです?」 青鳶:「なぜ?その質問の意味がわからない。」 黒百舌:「ああ、いえ。すみません、言い方を変えましょう。誰かを殺したいとは思わないのですか?」 青鳶:「誰かを…」 黒百舌:「ええ、1人はいるでしょう…?」 青鳶:「…ああ、いるさ。」 黒百舌:「ほぉ…!その人は殺さないのですか?」 青鳶:「俺の人生で、最初で最後の殺人は…そいつだけだと決めている。機会が巡ればこの手を汚すさ。」 黒百舌:「なるほど…なるほどなるほど……ふふ…」 青鳶:「なんだ…?」 黒百舌:「ああ。いえ。深く澱んだ愛だなと思いまして。ふふ…お話頂きありがとうございました。」 青鳶:「…?ああ。」 黒百舌:「重ねて、唐突な来訪もお詫びします。では。またお会いしましょう青鳶さん。ふふふ…」 青鳶:「……なんなんだアイツは……」 0:  0:1週間後、赤鷲のアジトの前で白梟のチームと赤鷲のチームが戦闘中 0:  白梟:「たあぁ!ふう…これであらかた片付いたかな?まったく、ウチのチームは戦闘は専門外なんだけどね…先にアジト正面から赤鷲のメンバーとかち合って引き付けておいてくれって、無茶を言ってくれるよねぇ。ま、引き受けちまったもんはしょうがないけど…さて、こっちはガンガン暴れてやったし、向こうは上手くいってるといいけど…」 0:物音が後方からする 白梟:「っ!?誰!?」 黄鷹:「気づかれちまったか、よお、久しぶりじゃねえか梟。」 白梟:「アンタは…黄鷹っ!」 黄鷹:「しばらく見ないうちにまた良い女になったんじゃねえか?」 白梟:「ふん、アンタに言われてもこれっぽちも嬉しくないね。それで?なんでアンタがここに居るの?」 黄鷹:「ちいっとばかし仕事をな。」 白梟:「仕事…?」 黄鷹:「ああ、仕事…だ!」 0:拳を振りかぶる黄鷹 白梟:「っ!?何を!」 黄鷹:「おー反応が早いな、さすが梟ちゃーん。」 白梟:「アンタ…仕事ってまさか…」 黄鷹:「ああ、察しが早くて助かるぜ。悪いがお前はここで死んでもらう。」 白梟:「なんで邪魔をするの黄鷹…アンタには私たちのすることは関係ないよね…!」 黄鷹:「んー、関係はあるにはあるんだなぁこれが。」 白梟:「なんの関係が…」 黄鷹:「それは教えてやんねーっよ!おらぁ!」 白梟:「くっ黄鷹…!」 黄鷹:「はは!良い目になったな梟!1回お前とはヤリたかったんだよ!楽しもうぜぇ!」 白梟:「私はアンタとだなんてごめんだけどね!」 0:  0:赤鷲のアジト裏口 0:  青鳶:「白梟のおかげで守備も少なくなって侵入しやすくなった…引き付けてもらっているうちに奴の居場所を… 青鳶:っなんだこの気配…肌がヒリつく……この階段を上った先、屋上から…?もしかしてそこにアイツがいる…?」 0:アジト屋上に出ると1人佇む赤鷲を見つけ背中越しに話しかけられる 赤鷲:「よぉ、遅かったじゃねえか…青いの。」 青鳶:「…っ赤鷲…!」 0:くるりと体をこちらに向けニヤリと笑う赤鷲 赤鷲:「なぁんだ?しばらく見ねぇうちに身体だけはでっかくなったなぁ。身体だけは、な?」 青鳶:「そういうお前は老いたんじゃないのか…?」 赤鷲:「はっはははは!そいつはちげぇねえ!」 赤鷲:「しっかし、青いのよお…なんも変わってねぇのな。」 青鳶:「どういうことだ…」 赤鷲:「どういうことも何もねぇよ。昔と同じで青臭ぇのは変わってないってこった。血の臭いが全然しねぇ。」 青鳶:「当たり前だ。俺が初めに浴びる血は…お前の血だって決めているからな。」 赤鷲:「おー、そうかそうか!そんなに俺の事を思ってくれてたんだな。愛情が深くて嬉しいぜ、なあ?『息子』よ。」 青鳶:「っ!誰がお前の息子なんかに…!」 0:銃を向ける青鳶 赤鷲:「はっははは!銃の構えだけは一丁前だが、腕が震えてんぞ?そんなんじゃ俺を殺せやしねえ。」 青鳶:「俺は…!この日を待ちわびたんだ…!お前をこの手で殺すことだけを、母さんの仇を討つ事だけを考えて生きてきたんだ!」 赤鷲:「無駄な生き方だな。」 青鳶:「なにっ…!?」 赤鷲:「そうだろう?あの時せっかく逃がしてやったってのに、俺の後を追ってこの街に来て猛禽族にまでなって… 赤鷲:挙句わざわざ自分から殺されに来るんだからな。」 青鳶:「あの時、母さんがお前に殺されて…心の奥でお前への憎しみ、怒りが音を立てて燃え上がった、絶対に復讐してやるってな。」 赤鷲:「ほお?」 青鳶:「お前は、夫に手をかけられた母さんの気持ちを少しでも考えたことがあるか…?愛していた家族に殺される気持ちを、お前は考えたことがあるか…!? 青鳶:父親が…母親を殺していたの見た息子の気持ちを…考えたことがあるか……!?」 赤鷲:「…微塵もないな。」 青鳶:「っ!うああああぁぁ!赤鷲ィィィ!」 0:  0:アジト正面、白梟と黄鷹の戦闘 0:  黄鷹:「うらぁ!」 白梟:「っ!こいつ、強い!」 黄鷹:「おらおら!逃げてばっかじゃ勝てねえよ梟!」 白梟:「くそっ…!」 白梟:【N】体術と銃を混ぜながらの攻撃で、間合いを上手く取ってくる…!こっちの銃を構える隙すら与えない攻撃速度と、切れないスタミナ…正直かなり相性が悪い… 黄鷹:「ち、ひらひらしやがって…あんま時間かけてらんねえんだよ!」 白梟:「それは…こっちもなんだけどね!」 黄鷹:「ならさっさと、ヤラれろよっ!」 白梟:「ぐっ!誰がアンタなんかに…!」 黄鷹:「おとなしく俺の女になってくれりゃ、殺さないでやるんだがなぁ!おらぁあ!」 白梟:「がっ…はぁ…!」 黄鷹:「もろに入ったなぁ、おらさっさと降伏しやがれ梟。」 白梟:「う…それは絶対に嫌だ…よっ!」 黄鷹:「ぐっ!?はは、良い蹴りしやがるな梟…」 白梟:「それはどうも…!」 黄鷹:「だけど、代わりにもうお前に逃げ場は無くなったな。木を背にした状態で次はどう躱す?」 白梟:「…くっ…ふふ…」 黄鷹:「…なに笑ってやがる梟…気でも狂ったか?」 白梟:「いや?アンタは私の掌の上に居るのさ。」 黄鷹:「ああ…?何言ってやがる?」 0:白梟が手を引くと黄鷹の体に傷が出来た 黄鷹:「があ!?な、なんだ…!?」 白梟:「ちっ、浅かったか…でもまあ、これで自由は封じたよ。私が何の策も無くただ逃げ回る訳ないでしょ。」 黄鷹:「これは、ピアノ線…?こんなものどっから…」 白梟:「アンタの攻撃を躱しながら仕込んだの、これが私なりの戦い方。アンタ相手はかなり大変だったけどね。」 黄鷹:「てめえ…」 白梟:「動かない方がいいよ、下手に動くと体がプッツンってしちゃうから。」 黄鷹:「ちっ…」 白梟:「じゃあ、アンタはこのままここで大人しくしときな。」 黄鷹:「おい、どこに行きやがる!」 白梟:「青坊のとこだよ、大人しくしてたら解放してやるから待っときなよね。」 黄鷹:「ちっ…おい!居るんだろ!さっさと助けやがれ!」 0:後方から足を撃ち抜かれる白梟 白梟:「がはぁ!な、なに…?」 黄鷹:「クソが…おせぇよ…」 黒百舌:「ふふ…これはこれは失礼いたしました。掌の上で転がされている黄鷹さんが面白くてつい…」 白梟:「く…黒百舌…?」 黒百舌:「お久しぶりですね、白梟さん。」 白梟:「なんでアンタがここにいるんだよ…っ!まさか、アンタと黄鷹組んでるの…?」 黒百舌:「おお、頭の回転が速いですね、さすがは知力、情報力に長けたお方だ。」 黄鷹:「百舌、んなことより早くこのピアノ線をどうにかしろ。」 黒百舌:「ああ、そうでしたね。無様にも捕まっていましたね。」 黄鷹:「てめぇ…」 0:ナイフで切っていく黒百舌 白梟:「なんで…アンタたちが青坊の邪魔をするの…?」 黒百舌:「邪魔だなんてそんな、むしろ手助けのようなものですよ?」 白梟:「手助け…?」 黒百舌:「ええ、青鳶さんは赤鷲さんを殺したいのでしょう?私たちも同じです、彼は私たちにとって脅威ですからね。私と黄鷹さんが組んで青鳶さんに加勢し彼を始末する、これのどこが邪魔だというんですか?」 白梟:「なら、私を攻撃する必要はなかったんじゃないのか…!」 黒百舌:「いいえ?それは必要な犠牲ですよ白梟さん。」 白梟:「なに…?」 黒百舌:「アナタには居られちゃ困るんです、この舞台にアナタは必要ない。だから、今からご退場してもらいます。」 白梟:「な…!必要ないってどういうことだよ…!」 黒百舌:「死ぬ人間に説明する必要あります?」 白梟:「黒百舌…!!」 黄鷹:「まて、こいつを始末するのは俺にやらせろ百舌。」 0:  0:銃を乱射する青鳶 0:  赤鷲:「激情に任せて撃ったところで当たりやしねぇよ馬鹿。銃ってのはな、こう撃つんだ。」 青鳶:「ぐあっ!?」 赤鷲:「とっさに利き腕を庇ったか…利き腕じゃないにしても左腕を貫かれた痛みでまともに銃を構えることは出来なくなったな青いの。」 青鳶:「…く、赤鷲…」 赤鷲:「ちったぁ、落ち着いたみてぇだな。お前は冷静な方が強い、直情的じゃあ俺は楽しめねぇ。」 青鳶:「俺は少しも楽しくないがな…」 赤鷲:「せっかくの殺し合いだ、楽しもうぜぇ?」 青鳶:「……聞いていいか、赤鷲。」 赤鷲:「…なんだ?青いの。」 青鳶:「なぜ…母さんを殺したんだ…?」 赤鷲:「……今更それを聞いてどうする?」 青鳶:「どうもしない、ただ聞きたいだけだ。聞いたところでお前を殺す事に変わりはない。」 赤鷲:「それを聞いて安心したぜ、殺したかったから殺した。ただそれだけだ。」 青鳶:「…っ!ああ…わかった…それが聞けて良かった……少し血が抜けて冷静になれた、これでお前を心置きなく殺せそうだ…」 赤鷲:「はっ、良い目になったな、その目こそまさに…猛禽類が獲物を狙っている時の目だ。」 0:  0:  0:  黒百舌:「ほお?…黄鷹さんが…?理由を聞いても?」 黄鷹:「さっきこの女にしてやられたからな。動けないうちにこいつで遊んでやろうと思ってな。」 黒百舌:「はぁ…アナタという人は…まあいいですよ。好きなようにして下さい。では黄鷹さんよろしくお願いしますよ。」 黄鷹:「ああ、任せておけ。」 黒百舌:「では、私は赤鷲さんと青鳶さんの所に行ってきますね。」 白梟:「く、まて…!」 黄鷹:「てめぇは動くんじゃねえよ梟。」 白梟:「黄鷹…!」 黄鷹:「傷増やしたくなきゃ大人しくしておけ。」 0:白梟の太ももに手を伸ばす黄鷹 白梟:「な…やめ…!!」 黄鷹:「急所は外してあるみてぇだな、この程度ならとりあえず止血しておきゃ何とかなんだろ。」 白梟:「…は?止血…?アンタいったい何を…」 黄鷹:「ああ…?ハナッからてめえに手を出すつもりも本気で殺すつもりもねえよ。」 白梟:「…は?」 黄鷹:「百舌が見てると思ったからさっきはヤリあったが、別に赤鷲がどうとか猛禽族がどうとか、んなもんにさほど興味はねぇ。」 白梟:「え、じゃあなんで…」 黄鷹:「梟も気になってんじゃねえのか?アイツ…百舌の動きが気になってな、アイツの事を知るために組んだようなもんだ。」 白梟:「黒百舌の…?」 黄鷹:「あんな得体の知れねえ奴と本気で組むわけねえだろ。」 白梟:「信用していいの?」 黄鷹:「信用してくれなんて頼んじゃいねえよ。うし、止血はこんなもんでいいだろ、てめえはここで大人しくしてろ。俺は百舌の後を追う。」 白梟:「黄鷹……まっ…!…私も青坊の所に行かなきゃ…!」 0:  0:アジト内、青鳶と赤鷲の戦闘中 0:  青鳶:「くっ!」 赤鷲:「さっきからかすりもしてねえぞ青二才!」 青鳶:【N】老体とはいえ、さすがと言わざるを得ないほどの動きを見せる赤鷲。歳を感じさせない動きから繰り出される攻撃は、確実に俺を追い詰めていく…対して俺の攻撃は、奴にかすりもせず未だに傷1つ付けられていない… 青鳶:「当たれ、当たれぇえ!!」 赤鷲:「さっきからなんだそのしょぼいのは!」 青鳶:「くそ…!!」 赤鷲:「焦りが見えるぞ青いの!命の奪い合いは、集中が散漫になった方が奪われるんだ、よく覚えておくんだな。」 青鳶:「っのやろぉおお!!」 赤鷲:「はっ!そんな弾じゃ当たらねえ、よ!」 青鳶:「ぐ、うああぁっ!」 赤鷲:「致命傷とまではいかねえが、足の腱ぶち抜かれりゃまともに立てねえだろ。左腕に右足、これでお前はもう終わりだ。」 青鳶:「あ…はぁ…はぁ…くそ…」 赤鷲:「経験不足が足を引っ張ったな。お前は殺し合いってものを分かってなさ過ぎた。」 青鳶:「はあ…はぁ……」 赤鷲:「もう少し楽しめると思ったんだがな、期待外れだ。」 青鳶:「俺は…お前を……殺す、殺してやる…!」 赤鷲:「威勢だけは認めてやるよ、ただそれだけじゃ人を殺す事も、目的を果たすことも出来やしねえ。」 青鳶:「ちくしょう…!!」 赤鷲:「お前の弾が俺に届くには、まだ遠すぎたな。」 0:銃口を青鳶の額に押し当てる 赤鷲:「じゃあな、青二才。」 青鳶:「…くそ、くそおおおおお!!」 赤鷲:「っ!?」 0:気配を感じ青鳶から離れる赤鷲 黒百舌:「さすが最強の猛禽族ですね~、私の気配に気づくとは。」 0:拍手をしながら歩いてくる黒百舌 赤鷲:「なんだてめぇ…は…」 青鳶:「黒百舌…?なんでここに…」 黒百舌:「ふふ、もちろんお手伝いをしに、ですよ。」 青鳶:「く…こいつは俺が殺す、手を出すな…!」 黒百舌:「そんなざまで良く強気な事言えますね。」 青鳶:「俺はまだ…うっ…」 黒百舌:「無理はしない方がいいですよ、赤鷲さんは私が仕留めます。」 赤鷲:「よく見りゃてめぇ…黒いのか……まさかとは思うが…今度はてめぇが俺の相手をしてくれるってか?」 黒百舌:「ふふ、お久しぶりですね赤鷲さん…ええ本当にお久しぶりです。」 赤鷲:「てめぇの事なんざ思い出したくもねぇし、二度と拝みたくねえ面だよ。」 黒百舌:「あらら、そんなつれない事言わないでくださいよ。私はまたこうしてお会いできて嬉しいんですよ?」 赤鷲:「そいつぁてめぇの片思いだな。」 黒百舌:「あら残念です…両想いにはなれないんですね。」 赤鷲:「決してなることはねえな。」 青鳶:「まて…黒百舌が猛禽族になった時って……もう赤鷲は消息を絶っていたはず…なんで知って…」 黒百舌:「ふふ、実はですねぇ…」 赤鷲:「黒いの。」 黒百舌:「あら、口止めされてしまいましたね。でも教えてあげた方がいいんじゃないんですか?アナタの息子さんに、ね?」 青鳶:「お前…俺と赤鷲の関係を知って……」 赤鷲:「黒いの…てめぇの脂の乗り過ぎたその舌…今すぐ燃やし尽くしてやるよ……」 黒百舌:「お~、こわいですねぇ…あの時と同じ、憎しみに憑りつかれた最高の表情です…!」 0:  0:白梟、足を引きずりながらアジト内へ 0:  白梟:「ん…はあ…はあ…足がまともに動かない…」 白梟:「っ!今の音…屋上から?もしかしてそこに青坊達が……!はぁ、はぁ、急がなきゃ……!」 0:屋上につながる扉の前に黄鷹が身を潜めている 白梟:「っ黄鷹…?」 黄鷹:「なっ!梟、なに付いてきてんだ…!待ってろって言っただろ!」 白梟:「でも、青坊を…」 黄鷹:「鳶の野郎ならとりあえず大丈夫だ、まあ…手足をやられてるがな。」 白梟:「っ、青坊…!」 黄鷹:「まて、今ジジイは百舌とヤリあってる。今出ていくのは危険だ。」 白梟:「黒百舌が…?」 黄鷹:「ああ、今はまだ出ていくタイミングじゃねえ。」 白梟:「青坊が危ない…!」 黄鷹:「おいまて!行くな!」 白梟:「でもっ!」 黄鷹:「今のてめぇの状態を見ろ!」 白梟:「っ!」 黄鷹:「助けに来たてめぇが足手まといになってちゃ世話ねえだろうが!機を見て動けっつってんだ!」 白梟:「く…!」 黄鷹:「分かったら大人しくそこで見てろ。」 白梟:「…わ、分かったよ……ごめん…」 0:  0:激しい撃ち合いをしている黒百舌と赤鷲 0:  黒百舌:「ふふ、どうしたんですか?威勢の割には大したことがなさそうですねぇ?」 赤鷲:「ちょこまかと動きやがって!」 黒百舌:「私、猛禽族の中でも新参で最弱なんです。逃げ回ることと口が達者であることしか能のないただの鳥なんですよ。」 赤鷲:「てめぇは今もあの時も…腸が煮えくり返るほどに腹が立ちやがる…!」 黒百舌:「ふふ、いいですねぇ…いいですねぇ!その顔!あの時のように苦虫を噛みしめているような顔!苦痛に耐えている顔!憎悪を帯びたその顔!」 赤鷲:「んんうおらああああああ!!」 黒百舌:「私がアナタの妻を殺した時も同じように雄たけびを上げていましたね、ふふ…最高でしたよ…!」 青鳶:「っ!?なん…て?今なんて…?」 黒百舌:「おや、そうでした。青鳶さんがいたんでしたね、私としたことがついうっかり。」 赤鷲:「黒いの…!!てめぇえ…!!」 青鳶:「母さんは…赤鷲が殺したんじゃ…」 黒百舌:「ふふふ、聞きたいですか?」 赤鷲:「黒いの…!」 黒百舌:「ふふ…赤鷲さんの妻…つまり青鳶さんのお母様は、私が殺害したんですよ。」 青鳶:「な……え…?」 黒百舌:「この街で生を受けた私は、当時まだただのカラスでした。絶対的な力をもつ最強の猛禽族に憧れていただけの、ただの鳥でした。どうやれば猛禽族になれるのか、どうすれば力を得られるのか。考えた結果、当時最強の猛禽族である赤鷲さんを殺そうとしました。」 赤鷲:「…っ黒いの…!」 黒百舌:「しかし、赤鷲さんの家に忍び込んだ際に彼の妻に見つかってしまったんです。私とした事がうっかりでした。当然、目撃者は始末せねばなりません。邪魔にしかなりえませんからね。持っていた銃で彼女の頭を、胸を腹を、何度も何度も何度も何度も撃ちまくりました。ちょうど部屋に入ってきた赤鷲さんの全身に血がかかるほどに…」 赤鷲:「黒いのぉおおおお…!!」 黒百舌:「あの時の顔は最高でした!いつ思い出しても最高です!そうそう、逃げる際にアナタに付けられた額の傷、未だに癒えないのですよ?」 赤鷲:「てめぇ…黙ってりゃあああ!」 青鳶:「なんで…赤鷲は自分が殺したなんて…」 赤鷲:「…っ!」 黒百舌:「はい、隙だらけ。ばーん。」 赤鷲:「ぬうああっ!!」 青鳶:「赤鷲!!」 黒百舌:「最強の猛禽族といえども1人の父親。心の通ったただの人間。悲しいですねぇ、無様ですねぇ…」 赤鷲:「…ぐぅ……」 黒百舌:「愛なんてもの、力が全てのこの街において無駄でしかないんですよ。愛情を持った自身を恨むんですね。」 0:銃を構える黒百舌、赤鷲を守ろうと前に出る青鳶 黒百舌:「なんの真似です?」 青鳶:「言ったろ、こいつは俺が殺すって…」 黒百舌:「そうですか………どけ。」 0:青鳶を蹴り飛ばす 青鳶:「がぁあ!!」 黒百舌:「私は最強を倒して成り上がるんですよ、私をバカにしてきた奴らを見返すために…皆殺しにする為に…!醜いカラスから高貴な猛禽類に…!」 黄鷹:「そこまでだぜ百舌。」 白梟:「青坊…!!」 黒百舌:「おや、アナタ達は…」 赤鷲:「……黄色いの…」 黄鷹:「鷲のジジイ…てめぇは少しそこで休んでやがれ。」 黒百舌:「黄鷹さん、こんな所に何をしに来たのですか?白梟さんもご存命ですし…」 黄鷹:「何をしに…か。いや、ハナッから信用しちゃいなかったが…俺もてめぇの駒として扱われてたって思うとイラつくな。」 黒百舌:「裏切るんですか?黄鷹さん?」 黄鷹:「てめぇも裏切るつもりだったんだろ?」 黒百舌:「ふふ、野蛮のくせに案外頭回りますよね、黄鷹さん。」 黄鷹:「ギャップがあっていいだろ?」 黒百舌:「ええ、本当に…無駄なギャップですけどね。」 黄鷹:「無駄なんて言うなよ、悲しいじゃねえか…よ!」 0:黒百舌に殴りかかる黄鷹 黒百舌:「お得意の肉弾戦ですか?単細胞らしい戦い方ですね。ですがおあいにく…私も少々嗜んでおりまして…ね!」 黄鷹:「ほお、受けきるかぁ…んならこいつぁどうだ!」 黒百舌:「楽しそうですねぇ…私はアナタと楽しむつもりなんて微塵もありません…よ!」 黄鷹:「いいじゃねぇか、少しくらいダンスに付き合えよ!」 0:白梟にアイコンタクトをとる黄鷹 白梟:「っ!青坊…大丈夫か青坊!」 青鳶:「ん、ああ…大丈夫だ白梟…お前もケガしてるじゃないか…」 白梟:「私の事はいい、ほら捕まれ。黄鷹が黒百舌を足止めしてくれているうちにここから逃げるぞ…」 青鳶:「まってくれ…赤鷲を…」 白梟:「今は赤鷲の事なんていいだろ!」 青鳶:「アイツは…俺が…」 白梟:「青坊!」 青鳶:「父親なんだよ…俺の…」 白梟:「っ!?え、そんな…」 黒百舌:「逃げようとしたって無駄ですよ!」 黄鷹:「おっと、俺とヤリあってんのによそ見たぁいい度胸してんじゃないの…よっと!」 黒百舌:「ふふ、大ぶりな攻撃…待ってました…」 黄鷹:「んな!誘われた…!?…なんて…な!」 黒百舌:「っ!?」 黄鷹:「くそ、浅かったか!」 黒百舌:「まさかあそこから体勢を変えるとは…今のは少し焦りましたよ黄鷹さん。」 黄鷹:「当たり前だろ、俺は黄鷹様だから…なああ!!」 黒百舌:「ええ、本当に…さすがですよ!」 黄鷹:「なっ、姿が消え…」 青鳶:「黄鷹!下だ!」 0:強烈な上段蹴りが黄鷹の顎を砕く 黄鷹:「んんああああ!!」 青鳶:「…黄鷹!」 白梟:「黄鷹ぁあ!!」 黒百舌:「これだから単細胞は扱いやすくて助かります。お調子者の自身の性格を恨みなさい。」 黄鷹:「ぐぅあああ…グゾがぁぁあ…」 黒百舌:「さようなら、良い駒でし…っ!」 0:白梟から放たれた弾が掠めていく 白梟:「ちっ!!外したか…」 黒百舌:「危ないじゃないですか…白梟さん。」 白梟:「アンタに黄鷹はやらせないよ…」 黒百舌:「青鳶さんを庇ったまま私と戦う…と…?青鳶さんが、いない…?」 青鳶:「ここだ…黒百舌…!!」 黒百舌:「くっ、いつの間にぃ!」 0:青鳶と黒百舌が同時に発砲し、青鳶は肩を黒百舌は右手を撃たれる 青鳶:「がぁああ!!」 黒百舌:「くうぅ!こざかしい事をしやがって!」 青鳶:「はは…冷静さを欠くと…周りが見えなくなるんだな…」 黒百舌:「はい?何を言って…」 0:黒百舌の胸を弾丸が貫通する 黒百舌:「あ…あ、あ、あ?……なに?なにが…起きた??血…?撃たれた?私…が??」 青鳶:「…お前を狙う鳥は…2羽だけじゃない…」 黒百舌:「…がはぁっ…赤鷲…か……貴様……胸、抜かれてもまだ…ふふ…やはり、最強、は…伊達じゃあ…ないです、ね…」 0:胸を押さえ膝から崩れる黒百舌 赤鷲:「はあ…はあ……命の奪い合いは…集中が、散漫になった方が奪われるんだ… 赤鷲:はは、ありがとう…よ…てめえのおかげで…血が抜けて、冷静になれたわ…黒いの…」 黒百舌:「ぐ…化け物…が……私は…まだ…最強になれないのか……まだ…醜いカラスのまま…………」 白梟:「黒百舌…」 赤鷲:「安心しろ、てめぇ…も…充分……化け物だったさ…」 黒百舌:「また…墜ちるのか…奴らを見返せないまま……わた、し…は……」 青鳶:「黒百舌…お前は何の為にそんなに…」 赤鷲:「ぜぇ…ぜぇ…」 青鳶:「…すまない…白梟…赤鷲の所に連れて行ってくれないか…?」 白梟:「青坊…うん、わかった…」 赤鷲:「よお…青いの…生きてやがったのか…」 青鳶:「ああ…おかげさまでな…」 赤鷲:「死にかけのジジイに、なんの用だ…?」 青鳶:「なんで……黒百舌じゃなくて、自分が殺したなんて言ったんだ…?」 赤鷲:「…んなもん聞いてどうする…」 青鳶:「さっさと答えろ…」 赤鷲:「……妻を…お前の母親を…見殺しにした、俺が居ながら何もできなかった……俺が殺したも同然だ…」 白梟:「だから…自分で殺したって事にしたの?」 赤鷲:「…ああ。それに…俺は良い父親ではないからな……奴を殺すために力を蓄えようと隠居までしたんだが…はっ、意味が無かった……」 白梟:「赤鷲…」 赤鷲:「こいつを…突き放したのはな……俺なんかが居ちゃいけねえ、俺みたいになってほしくなかった、そう思っての事だ……なのによぉ…俺と同じ道に来やがって…バカ息子が…」 青鳶:「バカ親父に言われたくねえな…」 赤鷲:「…ああ、そうだな………それで、俺を殺すのか?」 青鳶:「…ああ、そうだな………俺は、お前を殺す。」 白梟:「本当に殺すの?青坊…?」 青鳶:「その為に…俺はここに来たんだ…」 白梟:「青坊…」 赤鷲:「やるなら…早くやれ…俺は、悔いはねえさ…」 青鳶:「ああ、今、苦しみから解放してやる。」 赤鷲:「頼むぜ…青いの…」 0:頭目掛けて銃を構える 青鳶:「じゃあな、バカ親父…」 赤鷲:「じゃあな、バカ息子…」 0:  0:騒動から数週間後  0:病院の屋上で空を眺める青鳶 0:  青鳶:「……。」 白梟:「やっぱりここに居たんだね、青坊。」 青鳶:「…白梟。」 白梟:「今日、退院なんだろ?」 青鳶:「ああ、そうだ。白梟は、ケガはもういいのか?」 白梟:「私は青坊ほど重症じゃないからね、傷跡は残っちゃったけど問題ないよ。」 青鳶:「そうか…なら良かった。」 白梟:「…青坊はさ、退院したら、どうするの?」 青鳶:「え?」 白梟:「もう私たちは…猛禽族じゃない、この街の人達も私達が居なくても生きていける。」 青鳶:「…そうだな……俺は…この街を出ようと思う。」 白梟:「出て、どこに行くの?」 青鳶:「…母さんの故郷…かな。」 白梟:「お母さんの?」 青鳶:「ああ、母さんの墓の隣に、赤鷲……親父の墓を建ててやりたいんだ。」 白梟:「…赤鷲のお墓を?」 青鳶:「アイツは…母さんの事を愛していたからな…」 白梟:「そっか。ねえ…私もそれについていっていい?」 青鳶:「え?一緒に?」 白梟:「私は特に行く当てもやりたいこともないしね。青坊と一緒に行くよ。」 青鳶:「…そうか。分かった、白梟。」 白梟:「ん、ありがとう青坊。」 黄鷹:「よお、お前らここに居たのか。」 青鳶:「黄鷹。」 白梟:「アンタ、ケガ大丈夫なの?」 黄鷹:「俺は回復が早いからな、ちょっと顎が砕けたくらいじゃなんともねえよ。」 白梟:「はは、さすがだね…黄鷹。」 青鳶:「…なあ、黄鷹。」 黄鷹:「なんだ?」 青鳶:「お前は、この街に残るのか?」 黄鷹:「ああ、俺は残るぜ。」 青鳶:「そうか。」 黄鷹:「猛禽族じゃなくなっても、心配な子分共は沢山居るからな。最後まで面倒見てやんねえとな。」 白梟:「ふふふ、アンタらしいね。」 黄鷹:「お?俺の女になる気になったか?」 白梟:「残念だけどそれは絶対に無いわ。」 黄鷹:「んだよ。」 青鳶:「はは、黄鷹がこの街に残ってくれるなら、安心して外に出られるな。」 白梟:「っ!青坊…アンタ今笑って…」 黄鷹:「ああ、初めてお前の笑った所見た…」 青鳶:「え、今笑ってたか…?」 白梟:「うん、笑ってたよ!青坊の笑った顔なんて初めて見たよ!」 青鳶:「そ、そうか…」 黄鷹:「いっつもしけた顔してっからな。良い顔してたぜ鳶。」 青鳶:「…そ、そうなのか……?」 0:青鳶と白梟の顔をまじめな顔をしてみる黄鷹 黄鷹:「…鳶、梟。」 青鳶:「黄鷹…?」 白梟:「急にまじめな顔してどうしたんだい?」 黄鷹:「この街は任せておけ。俺様の目が黒いうちは問題なんか起こさせねえよ。だから安心して出かけてこい。お前らが戻ってきた時に、目いっぱい笑える街にしてやるよ。」 白梟:「黄鷹…うん、ありがとう。」 青鳶:「ああ………俺らの帰る場所は、任せた。」 0:  0:  0:  0:  0:  青鳶:【N】この街は力が全てだ 赤鷲:【N】愛する妻を守れなかった鷲は、子供を守るために自らを犠牲にし悪へとなり、絶対的な力を得た 黄鷹:【N】高みを求めた鷹は、そのカリスマ性を生かし圧倒的な統率力を得た 白梟:【N】青に惹かれた梟は、己が持てる物を駆使し、全てを知り尽くす情報力を得た 黒百舌:【N】復讐を秘めた烏は、押さえつけるモノを振り払うための爪を研ぎ、百舌となり、巧みに惑わす操作力を得た 青鳶:【N】この街において、それらの力を持ち上に立つ者には猛禽類の名を与えられた。そして、その者らを総称してこう呼ばれていた 青鳶:『猛禽族』と

青鳶:【N】この街は力が全てだ 赤鷲:【N】絶対的な暴力も 黄鷹:【N】圧倒的な統率力も 白梟:【N】全てを知り尽くす情報力も 黒百舌:【N】巧みに惑わす操作力も 青鳶:【N】この街において、それらの力を持ち上に立つ者には猛禽類の名を与えられる。そして、その者らを総称してこう呼ばれる 青鳶:『猛禽族』と 0:  0:  0:  0:  0:  黄鷹:「おーいおいおい、いつまで逃げるんだー?どんなに逃げたってここいら一帯は、この黄鷹様のテリトリーなんだ。もう逃げらんねぇよ?いい加減観念してさぁ、追いかけっこやめよーぜぇ?」 0:追いかけられてる人が路地裏に逃げ込むが、行き止まりだった 黄鷹:「あーららぁ、行き止まりだったねぇ。残念だけど、ここで追いかけっこは終わりだ。テリトリーに許可なく侵入した者には制裁が加えられる…知ってるよな? 黄鷹:…あー……でも、なんかお前見てたら急に可哀想に思えてきちまった… 黄鷹:そんなに震えて怯えてる無抵抗な奴を一方的に殺すなんて…俺には可哀想でできねぇよ…………悪かった、今回は見逃してやるよ。早くここから逃げてお前のテリトリーに帰れ、ほら、さっさと帰れ。他の奴に見つかるなよ?」 0:二コリと笑顔を見せ見送る黄鷹、背を向けた相手の頭を目掛けて発砲する 黄鷹:「なーんて…帰すわけねぇだろうが、クソカラス…!てめぇみてえなカラス野郎を見逃すなんてこの黄鷹様がするわけねぇだろうが。おいお前ら!このカラス野郎の後処理をしておけ。あと、どこのチームなのかも調べておけよ。」 黒百舌:「ふふ…相変わらず黄鷹さんは絵に描いたような、ならず者ですね。」 黄鷹:「っ!てめえは…!百舌…!どこから湧いて出てきやがった!」 黒百舌:「そう構えないでください、私はアナタと争うつもりはありませんよ。」 黄鷹:「人様のテリトリーに土足で踏み入って争うつもりはねぇだぁ?無許可でテリトリーに入ることがどういうことなのか、同じ『猛禽族』のお前なら知ってんだろ。」 黒百舌:「ええ、それはもう…知り尽くしていますとも。」 黄鷹:「ならおとなしく…」 黒百舌:「いいんですか?今からお話しする内容は、アナタにも益になる話だと思うのですが…」 黄鷹:「なに…?」 黒百舌:「ふふ…気になりますか?」 黄鷹:「………。」 黒百舌:「そうですか、気になりませんか。ではこの話は無かった事に…」 黄鷹:「……ついてこい百舌…場所を変える…」 黒百舌:「ふ…単細胞ではないようで安心しましたよ、黄鷹さん。」 黄鷹:「ちっ、内容によっては頭を吹き飛ばすからな、覚悟しておけよ百舌…」 黒百舌:「あらあら、それはそれは……怖いですねぇ。」 0:  赤鷲:『すまねえな坊主。もう、テメエの大切なモノはここには居ねえ……見ての通り、俺が食っちまった。…ほら、テメエはさっさと行け。ガキは食わねえ主義だが、あまりちょろちょろしてっと…コイツみたいになっちまうぞ?』 0:  0:  0:事務所のソファーに腰かけて新聞を読みながら寝落ちしていた青鳶 青鳶:「ん…んん……赤い海…鋭い眼光……最悪だ…またアイツの夢を見た……くそ…こんな記事見てたからか…?」 0:  青鳶:【N】俺が暮らすこの街は、古今東西のワケアリが集うならず者の街だ。この街は実力主義で、力で全てが決まる。腕力、知力、カリスマ性など…あらゆる力によって頂点に登り詰めた者には 青鳶:周りに屈することのない力の象徴として、誰からともなく猛禽類の名とその者を現す色が与えられる…俺はとある目的を果たすために、この野蛮な街へとやってきた…だが、未だにその目的は果たせずにいる… 0:  青鳶:「あの野郎はどこに居るのか……このままじゃ何時までたっても俺の目的は…はぁ…気分が悪い…少し外の空気でも吸いに行くか。」 0:  0:外に出て街をぶらつく青鳶 0:  青鳶:「こうして歩いてると、ワケアリの集まりって感じがほとんどしないのが不思議だよな…」 白梟:「それは、青坊の統治の結果なんじゃないかな?」 青鳶:「っ!?白梟…お前いつのまに…」 白梟:「連絡はしてあっただろう?」 青鳶:「だからって急に現れるなよ…」 白梟:「フクロウの羽音は無音だからね、気を付けた方がいいよ?いつか、青坊のその首貰っちゃうかもしれない。」 青鳶:「そうだな、一応気を付けておくよ。注意喚起をありがとう。」 白梟:「軽くあしらわれた感があるんだけど…?」 青鳶:「で?今日はなんの用だ?」 白梟:「用が無きゃ青坊に会いに来ちゃダメかな?」 青鳶:「用件は?」 白梟:「もう…せっかちな男は嫌われるよ?……少しカフェにでも行こうか、お茶にしよう。」 青鳶:「……ああ。」 0:黄鷹のアジト内、ソファに腰かけ机を挟んで向かい合う黄鷹と黒百舌 黄鷹:「で、益になる話ってなんだ?」 黒百舌:「ええ、単刀直入に申し上げますと。あの人が見つかりました。」 黄鷹:「あの人…?」 黒百舌:「ええ、ここ数年姿を消していた…あの方です。」 黄鷹:「…まさか…鷲のジジイが……?」 黒百舌:「パタリと消息を絶っていた彼はこの街の外れにある森、その奥深くに拠点を構えていました。」 黄鷹:「それで、ジジイが見つかったからって、なんで俺にとって益になるんだ。」 黒百舌:「彼は歳を重ねたとはいえその力は健在でしょう。数年前まではこの街のほとんどをテリトリーとしていましたからね。そんな彼が再び動き出すとなれば…今最も勢いがあり、最強に近い猛禽族である黄鷹さんの弊害になるのではと…」 黄鷹:「はっ!あんなクソジジイに今の俺が負けるって言いてえのか?」 黒百舌:「ええ、そうです。」 黄鷹:「なっ…ああ!?てめぇ…!!」 0:黒百舌に掴みかかろうとする黄鷹 黒百舌:「だから、私と手を組みませんか?」 黄鷹:「…あ?」 黒百舌:「私にとっても赤鷲さんは脅威です、いえ他の猛禽族にとって最も脅威となる存在です。さすがに私1人の力では彼に敵いません、ですからアナタにお願いしているんです黄鷹さん。」 黄鷹:「…俺がお前と組むメリットはなんだ。」 黒百舌:「赤鷲さんを倒せる。」 黄鷹:「そんなんで俺が動くとでも?」 黒百舌:「ふふ……アナタを最強の猛禽族にしてこの街の王にしてみせましょう。」 黄鷹:「何を企んでやがる?百舌。」 黒百舌:「いえ、なにも?ただ単純に、赤鷲さんが邪魔なだけですよ。」 黄鷹:「ほぉ…?」 黒百舌:「疑い深いですね。しかし、それくらいでないとトップは務まりませんからね。」 黄鷹:「……お前に俺を最強にできんのか?最弱の猛禽族。」 黒百舌:「ええ、最弱だからこそのやり方があるのですよ。」 黄鷹:「お前になんの得がある?」 黒百舌:「異物が無くなります、それだけで私はいいんです。」 黄鷹:「そうか…わかった。今回は手を組んでやる。ただし使えないと判断した時点でその頭をかち割ってやる。いいか?」 黒百舌:「ふふ…相変わらず野蛮ですね、分かりました、いいですよ。」 黄鷹:「ふん。それと気になったんだが、鳶の野郎と梟にはこの話をしたのか?」 黒百舌:「いえ、していませんよ。ただし…あの2人にも当然動いては貰いますがね…ふふ…」 黄鷹:「……。」 0:  0:青鳶テリトリー内のカフェにて 0:  白梟:「それにしても、本当に青坊のテリトリーは平和そのものだよね。殺しをしない青坊だからこそ、築き上げられたって感じだね。」 青鳶:「殺しをしないんじゃない。殺す機会を伺っているだけだ。」 白梟:「…その伺っている相手だけどね、見つかったよ。」 青鳶:「っ!?どこだ!どこにいるんだ!」 白梟:「青坊、落ち着きな。他のお客に迷惑だ。」 青鳶:「あ…ああ……すまない。」 白梟:「はぁ…ほんと、コイツの話になると血相変わるよね青坊は。」 青鳶:「……奴は…赤鷲はどこにいたんだ。」 白梟:「だから、せっかちな男はモテないよ?」 青鳶:「教えてくれ白梟。」 白梟:「もう……街外れにある森の奥。そこに新たに拠点を作っていたんだ。しかもそこでこの数年間で力を蓄えているそうだよ。」 青鳶:「…力?」 白梟:「うん、着実にメンバーが集まりつつあるそうだよ。赤鷲単体の強さも尋常じゃないけどさ…数まで用意されちゃあいよいよ敵わなくなってくる……どうにか、動かれる前に叩きたいところだけど…」 青鳶:「俺1人で行く。」 白梟:「…え?いやいやいや!!赤鷲の脅威は青坊だって知ってるだろう?奴の力は本物だ、1人でだなんてそんなの無謀すぎる!」 青鳶:「アイツの事は良く分かってる。無謀でもなんでもアイツを殺すのは俺だ。」 白梟:「しかし……!はぁ…1つ聞いてもいいかい?」 青鳶:「なんだ…?」 白梟:「青坊が赤鷲を憎んでいるのは分かっているけど…どうしてそこまで奴を追いかけるんだ?なにがそこまでキミを動かしているの?」 青鳶:「…それは……」 白梟:「別に答えたくないなら構わないよ、それが聞けなかったからって協力しなくなるわけじゃないから。」 青鳶:「……アイツは…赤鷲は俺の母親を殺したんだ。」 白梟:「…っ」 青鳶:「母さんの血を浴びたアイツはまさに、『赤鷲』そのものだったよ。」 白梟:「…そう……ごめんね、辛い話をさせて。」 青鳶:「いや、いいさ。居場所を突き止めてくれてありがとう。礼は後でさせてもらう。」 白梟:「礼なんていいさ、私と青坊の仲じゃないか。」 青鳶:「いや、しっかり礼はさせてもらう。」 白梟:「律儀だねえ。」 青鳶:「あと、すまないが…もう1つ頼まれて欲しい事があるんだが…」 白梟:「…もう1つ?」 0:  0:夕暮れ時、カフェから出た青鳶と白梟 0:  青鳶:「今日はありがとう白梟。頼みも引き受けてくれてありがとう。」 白梟:「いいよ、私と青坊の仲だからね。専門じゃないから上手くできるかわからないけど…ま、やれるだけやってみるさ。」 青鳶:「ああ、ありがとう。それじゃ、当日に。」 白梟:「ああ、またね青坊。」 青鳶:「さて……と、当日に備えて準備をしなきゃな…」 黒百舌:「こんにちは青鳶さん。」 青鳶:「っ!?誰だ!お前は…黒百舌…?」 黒百舌:「あれ、この時間はこんばんは…だったかな?ふふ、まあいいか…」 青鳶:「許可なくテリトリーに侵入することは猛禽族の…この街のルールに違反するんじゃないのか?」 黒百舌:「あら、それを言われるのは今日で2回目ですねぇ…いやはや、耳が痛いですね。」 青鳶:「相変わらず掴めない奴だ…俺に何か用か…?」 黒百舌:「ふふ…アナタは相変わらず冷静でいらっしゃる。青鳶さんのそういう所好きですよ…」 青鳶:「それはどうも。用が無いなら帰りたいんだが?」 黒百舌:「そうですね、確かに大した用ではないのですが…確か青鳶さんは……歴代の猛禽族の中でも異質な存在、命を奪うことなく猛禽族と呼ばれるようになった…」 青鳶:「異質かは知らないけど…確かに俺は未だに誰の命も奪っちゃいない。」 黒百舌:「それはなぜです?」 青鳶:「なぜ?その質問の意味がわからない。」 黒百舌:「ああ、いえ。すみません、言い方を変えましょう。誰かを殺したいとは思わないのですか?」 青鳶:「誰かを…」 黒百舌:「ええ、1人はいるでしょう…?」 青鳶:「…ああ、いるさ。」 黒百舌:「ほぉ…!その人は殺さないのですか?」 青鳶:「俺の人生で、最初で最後の殺人は…そいつだけだと決めている。機会が巡ればこの手を汚すさ。」 黒百舌:「なるほど…なるほどなるほど……ふふ…」 青鳶:「なんだ…?」 黒百舌:「ああ。いえ。深く澱んだ愛だなと思いまして。ふふ…お話頂きありがとうございました。」 青鳶:「…?ああ。」 黒百舌:「重ねて、唐突な来訪もお詫びします。では。またお会いしましょう青鳶さん。ふふふ…」 青鳶:「……なんなんだアイツは……」 0:  0:1週間後、赤鷲のアジトの前で白梟のチームと赤鷲のチームが戦闘中 0:  白梟:「たあぁ!ふう…これであらかた片付いたかな?まったく、ウチのチームは戦闘は専門外なんだけどね…先にアジト正面から赤鷲のメンバーとかち合って引き付けておいてくれって、無茶を言ってくれるよねぇ。ま、引き受けちまったもんはしょうがないけど…さて、こっちはガンガン暴れてやったし、向こうは上手くいってるといいけど…」 0:物音が後方からする 白梟:「っ!?誰!?」 黄鷹:「気づかれちまったか、よお、久しぶりじゃねえか梟。」 白梟:「アンタは…黄鷹っ!」 黄鷹:「しばらく見ないうちにまた良い女になったんじゃねえか?」 白梟:「ふん、アンタに言われてもこれっぽちも嬉しくないね。それで?なんでアンタがここに居るの?」 黄鷹:「ちいっとばかし仕事をな。」 白梟:「仕事…?」 黄鷹:「ああ、仕事…だ!」 0:拳を振りかぶる黄鷹 白梟:「っ!?何を!」 黄鷹:「おー反応が早いな、さすが梟ちゃーん。」 白梟:「アンタ…仕事ってまさか…」 黄鷹:「ああ、察しが早くて助かるぜ。悪いがお前はここで死んでもらう。」 白梟:「なんで邪魔をするの黄鷹…アンタには私たちのすることは関係ないよね…!」 黄鷹:「んー、関係はあるにはあるんだなぁこれが。」 白梟:「なんの関係が…」 黄鷹:「それは教えてやんねーっよ!おらぁ!」 白梟:「くっ黄鷹…!」 黄鷹:「はは!良い目になったな梟!1回お前とはヤリたかったんだよ!楽しもうぜぇ!」 白梟:「私はアンタとだなんてごめんだけどね!」 0:  0:赤鷲のアジト裏口 0:  青鳶:「白梟のおかげで守備も少なくなって侵入しやすくなった…引き付けてもらっているうちに奴の居場所を… 青鳶:っなんだこの気配…肌がヒリつく……この階段を上った先、屋上から…?もしかしてそこにアイツがいる…?」 0:アジト屋上に出ると1人佇む赤鷲を見つけ背中越しに話しかけられる 赤鷲:「よぉ、遅かったじゃねえか…青いの。」 青鳶:「…っ赤鷲…!」 0:くるりと体をこちらに向けニヤリと笑う赤鷲 赤鷲:「なぁんだ?しばらく見ねぇうちに身体だけはでっかくなったなぁ。身体だけは、な?」 青鳶:「そういうお前は老いたんじゃないのか…?」 赤鷲:「はっはははは!そいつはちげぇねえ!」 赤鷲:「しっかし、青いのよお…なんも変わってねぇのな。」 青鳶:「どういうことだ…」 赤鷲:「どういうことも何もねぇよ。昔と同じで青臭ぇのは変わってないってこった。血の臭いが全然しねぇ。」 青鳶:「当たり前だ。俺が初めに浴びる血は…お前の血だって決めているからな。」 赤鷲:「おー、そうかそうか!そんなに俺の事を思ってくれてたんだな。愛情が深くて嬉しいぜ、なあ?『息子』よ。」 青鳶:「っ!誰がお前の息子なんかに…!」 0:銃を向ける青鳶 赤鷲:「はっははは!銃の構えだけは一丁前だが、腕が震えてんぞ?そんなんじゃ俺を殺せやしねえ。」 青鳶:「俺は…!この日を待ちわびたんだ…!お前をこの手で殺すことだけを、母さんの仇を討つ事だけを考えて生きてきたんだ!」 赤鷲:「無駄な生き方だな。」 青鳶:「なにっ…!?」 赤鷲:「そうだろう?あの時せっかく逃がしてやったってのに、俺の後を追ってこの街に来て猛禽族にまでなって… 赤鷲:挙句わざわざ自分から殺されに来るんだからな。」 青鳶:「あの時、母さんがお前に殺されて…心の奥でお前への憎しみ、怒りが音を立てて燃え上がった、絶対に復讐してやるってな。」 赤鷲:「ほお?」 青鳶:「お前は、夫に手をかけられた母さんの気持ちを少しでも考えたことがあるか…?愛していた家族に殺される気持ちを、お前は考えたことがあるか…!? 青鳶:父親が…母親を殺していたの見た息子の気持ちを…考えたことがあるか……!?」 赤鷲:「…微塵もないな。」 青鳶:「っ!うああああぁぁ!赤鷲ィィィ!」 0:  0:アジト正面、白梟と黄鷹の戦闘 0:  黄鷹:「うらぁ!」 白梟:「っ!こいつ、強い!」 黄鷹:「おらおら!逃げてばっかじゃ勝てねえよ梟!」 白梟:「くそっ…!」 白梟:【N】体術と銃を混ぜながらの攻撃で、間合いを上手く取ってくる…!こっちの銃を構える隙すら与えない攻撃速度と、切れないスタミナ…正直かなり相性が悪い… 黄鷹:「ち、ひらひらしやがって…あんま時間かけてらんねえんだよ!」 白梟:「それは…こっちもなんだけどね!」 黄鷹:「ならさっさと、ヤラれろよっ!」 白梟:「ぐっ!誰がアンタなんかに…!」 黄鷹:「おとなしく俺の女になってくれりゃ、殺さないでやるんだがなぁ!おらぁあ!」 白梟:「がっ…はぁ…!」 黄鷹:「もろに入ったなぁ、おらさっさと降伏しやがれ梟。」 白梟:「う…それは絶対に嫌だ…よっ!」 黄鷹:「ぐっ!?はは、良い蹴りしやがるな梟…」 白梟:「それはどうも…!」 黄鷹:「だけど、代わりにもうお前に逃げ場は無くなったな。木を背にした状態で次はどう躱す?」 白梟:「…くっ…ふふ…」 黄鷹:「…なに笑ってやがる梟…気でも狂ったか?」 白梟:「いや?アンタは私の掌の上に居るのさ。」 黄鷹:「ああ…?何言ってやがる?」 0:白梟が手を引くと黄鷹の体に傷が出来た 黄鷹:「があ!?な、なんだ…!?」 白梟:「ちっ、浅かったか…でもまあ、これで自由は封じたよ。私が何の策も無くただ逃げ回る訳ないでしょ。」 黄鷹:「これは、ピアノ線…?こんなものどっから…」 白梟:「アンタの攻撃を躱しながら仕込んだの、これが私なりの戦い方。アンタ相手はかなり大変だったけどね。」 黄鷹:「てめえ…」 白梟:「動かない方がいいよ、下手に動くと体がプッツンってしちゃうから。」 黄鷹:「ちっ…」 白梟:「じゃあ、アンタはこのままここで大人しくしときな。」 黄鷹:「おい、どこに行きやがる!」 白梟:「青坊のとこだよ、大人しくしてたら解放してやるから待っときなよね。」 黄鷹:「ちっ…おい!居るんだろ!さっさと助けやがれ!」 0:後方から足を撃ち抜かれる白梟 白梟:「がはぁ!な、なに…?」 黄鷹:「クソが…おせぇよ…」 黒百舌:「ふふ…これはこれは失礼いたしました。掌の上で転がされている黄鷹さんが面白くてつい…」 白梟:「く…黒百舌…?」 黒百舌:「お久しぶりですね、白梟さん。」 白梟:「なんでアンタがここにいるんだよ…っ!まさか、アンタと黄鷹組んでるの…?」 黒百舌:「おお、頭の回転が速いですね、さすがは知力、情報力に長けたお方だ。」 黄鷹:「百舌、んなことより早くこのピアノ線をどうにかしろ。」 黒百舌:「ああ、そうでしたね。無様にも捕まっていましたね。」 黄鷹:「てめぇ…」 0:ナイフで切っていく黒百舌 白梟:「なんで…アンタたちが青坊の邪魔をするの…?」 黒百舌:「邪魔だなんてそんな、むしろ手助けのようなものですよ?」 白梟:「手助け…?」 黒百舌:「ええ、青鳶さんは赤鷲さんを殺したいのでしょう?私たちも同じです、彼は私たちにとって脅威ですからね。私と黄鷹さんが組んで青鳶さんに加勢し彼を始末する、これのどこが邪魔だというんですか?」 白梟:「なら、私を攻撃する必要はなかったんじゃないのか…!」 黒百舌:「いいえ?それは必要な犠牲ですよ白梟さん。」 白梟:「なに…?」 黒百舌:「アナタには居られちゃ困るんです、この舞台にアナタは必要ない。だから、今からご退場してもらいます。」 白梟:「な…!必要ないってどういうことだよ…!」 黒百舌:「死ぬ人間に説明する必要あります?」 白梟:「黒百舌…!!」 黄鷹:「まて、こいつを始末するのは俺にやらせろ百舌。」 0:  0:銃を乱射する青鳶 0:  赤鷲:「激情に任せて撃ったところで当たりやしねぇよ馬鹿。銃ってのはな、こう撃つんだ。」 青鳶:「ぐあっ!?」 赤鷲:「とっさに利き腕を庇ったか…利き腕じゃないにしても左腕を貫かれた痛みでまともに銃を構えることは出来なくなったな青いの。」 青鳶:「…く、赤鷲…」 赤鷲:「ちったぁ、落ち着いたみてぇだな。お前は冷静な方が強い、直情的じゃあ俺は楽しめねぇ。」 青鳶:「俺は少しも楽しくないがな…」 赤鷲:「せっかくの殺し合いだ、楽しもうぜぇ?」 青鳶:「……聞いていいか、赤鷲。」 赤鷲:「…なんだ?青いの。」 青鳶:「なぜ…母さんを殺したんだ…?」 赤鷲:「……今更それを聞いてどうする?」 青鳶:「どうもしない、ただ聞きたいだけだ。聞いたところでお前を殺す事に変わりはない。」 赤鷲:「それを聞いて安心したぜ、殺したかったから殺した。ただそれだけだ。」 青鳶:「…っ!ああ…わかった…それが聞けて良かった……少し血が抜けて冷静になれた、これでお前を心置きなく殺せそうだ…」 赤鷲:「はっ、良い目になったな、その目こそまさに…猛禽類が獲物を狙っている時の目だ。」 0:  0:  0:  黒百舌:「ほお?…黄鷹さんが…?理由を聞いても?」 黄鷹:「さっきこの女にしてやられたからな。動けないうちにこいつで遊んでやろうと思ってな。」 黒百舌:「はぁ…アナタという人は…まあいいですよ。好きなようにして下さい。では黄鷹さんよろしくお願いしますよ。」 黄鷹:「ああ、任せておけ。」 黒百舌:「では、私は赤鷲さんと青鳶さんの所に行ってきますね。」 白梟:「く、まて…!」 黄鷹:「てめぇは動くんじゃねえよ梟。」 白梟:「黄鷹…!」 黄鷹:「傷増やしたくなきゃ大人しくしておけ。」 0:白梟の太ももに手を伸ばす黄鷹 白梟:「な…やめ…!!」 黄鷹:「急所は外してあるみてぇだな、この程度ならとりあえず止血しておきゃ何とかなんだろ。」 白梟:「…は?止血…?アンタいったい何を…」 黄鷹:「ああ…?ハナッからてめえに手を出すつもりも本気で殺すつもりもねえよ。」 白梟:「…は?」 黄鷹:「百舌が見てると思ったからさっきはヤリあったが、別に赤鷲がどうとか猛禽族がどうとか、んなもんにさほど興味はねぇ。」 白梟:「え、じゃあなんで…」 黄鷹:「梟も気になってんじゃねえのか?アイツ…百舌の動きが気になってな、アイツの事を知るために組んだようなもんだ。」 白梟:「黒百舌の…?」 黄鷹:「あんな得体の知れねえ奴と本気で組むわけねえだろ。」 白梟:「信用していいの?」 黄鷹:「信用してくれなんて頼んじゃいねえよ。うし、止血はこんなもんでいいだろ、てめえはここで大人しくしてろ。俺は百舌の後を追う。」 白梟:「黄鷹……まっ…!…私も青坊の所に行かなきゃ…!」 0:  0:アジト内、青鳶と赤鷲の戦闘中 0:  青鳶:「くっ!」 赤鷲:「さっきからかすりもしてねえぞ青二才!」 青鳶:【N】老体とはいえ、さすがと言わざるを得ないほどの動きを見せる赤鷲。歳を感じさせない動きから繰り出される攻撃は、確実に俺を追い詰めていく…対して俺の攻撃は、奴にかすりもせず未だに傷1つ付けられていない… 青鳶:「当たれ、当たれぇえ!!」 赤鷲:「さっきからなんだそのしょぼいのは!」 青鳶:「くそ…!!」 赤鷲:「焦りが見えるぞ青いの!命の奪い合いは、集中が散漫になった方が奪われるんだ、よく覚えておくんだな。」 青鳶:「っのやろぉおお!!」 赤鷲:「はっ!そんな弾じゃ当たらねえ、よ!」 青鳶:「ぐ、うああぁっ!」 赤鷲:「致命傷とまではいかねえが、足の腱ぶち抜かれりゃまともに立てねえだろ。左腕に右足、これでお前はもう終わりだ。」 青鳶:「あ…はぁ…はぁ…くそ…」 赤鷲:「経験不足が足を引っ張ったな。お前は殺し合いってものを分かってなさ過ぎた。」 青鳶:「はあ…はぁ……」 赤鷲:「もう少し楽しめると思ったんだがな、期待外れだ。」 青鳶:「俺は…お前を……殺す、殺してやる…!」 赤鷲:「威勢だけは認めてやるよ、ただそれだけじゃ人を殺す事も、目的を果たすことも出来やしねえ。」 青鳶:「ちくしょう…!!」 赤鷲:「お前の弾が俺に届くには、まだ遠すぎたな。」 0:銃口を青鳶の額に押し当てる 赤鷲:「じゃあな、青二才。」 青鳶:「…くそ、くそおおおおお!!」 赤鷲:「っ!?」 0:気配を感じ青鳶から離れる赤鷲 黒百舌:「さすが最強の猛禽族ですね~、私の気配に気づくとは。」 0:拍手をしながら歩いてくる黒百舌 赤鷲:「なんだてめぇ…は…」 青鳶:「黒百舌…?なんでここに…」 黒百舌:「ふふ、もちろんお手伝いをしに、ですよ。」 青鳶:「く…こいつは俺が殺す、手を出すな…!」 黒百舌:「そんなざまで良く強気な事言えますね。」 青鳶:「俺はまだ…うっ…」 黒百舌:「無理はしない方がいいですよ、赤鷲さんは私が仕留めます。」 赤鷲:「よく見りゃてめぇ…黒いのか……まさかとは思うが…今度はてめぇが俺の相手をしてくれるってか?」 黒百舌:「ふふ、お久しぶりですね赤鷲さん…ええ本当にお久しぶりです。」 赤鷲:「てめぇの事なんざ思い出したくもねぇし、二度と拝みたくねえ面だよ。」 黒百舌:「あらら、そんなつれない事言わないでくださいよ。私はまたこうしてお会いできて嬉しいんですよ?」 赤鷲:「そいつぁてめぇの片思いだな。」 黒百舌:「あら残念です…両想いにはなれないんですね。」 赤鷲:「決してなることはねえな。」 青鳶:「まて…黒百舌が猛禽族になった時って……もう赤鷲は消息を絶っていたはず…なんで知って…」 黒百舌:「ふふ、実はですねぇ…」 赤鷲:「黒いの。」 黒百舌:「あら、口止めされてしまいましたね。でも教えてあげた方がいいんじゃないんですか?アナタの息子さんに、ね?」 青鳶:「お前…俺と赤鷲の関係を知って……」 赤鷲:「黒いの…てめぇの脂の乗り過ぎたその舌…今すぐ燃やし尽くしてやるよ……」 黒百舌:「お~、こわいですねぇ…あの時と同じ、憎しみに憑りつかれた最高の表情です…!」 0:  0:白梟、足を引きずりながらアジト内へ 0:  白梟:「ん…はあ…はあ…足がまともに動かない…」 白梟:「っ!今の音…屋上から?もしかしてそこに青坊達が……!はぁ、はぁ、急がなきゃ……!」 0:屋上につながる扉の前に黄鷹が身を潜めている 白梟:「っ黄鷹…?」 黄鷹:「なっ!梟、なに付いてきてんだ…!待ってろって言っただろ!」 白梟:「でも、青坊を…」 黄鷹:「鳶の野郎ならとりあえず大丈夫だ、まあ…手足をやられてるがな。」 白梟:「っ、青坊…!」 黄鷹:「まて、今ジジイは百舌とヤリあってる。今出ていくのは危険だ。」 白梟:「黒百舌が…?」 黄鷹:「ああ、今はまだ出ていくタイミングじゃねえ。」 白梟:「青坊が危ない…!」 黄鷹:「おいまて!行くな!」 白梟:「でもっ!」 黄鷹:「今のてめぇの状態を見ろ!」 白梟:「っ!」 黄鷹:「助けに来たてめぇが足手まといになってちゃ世話ねえだろうが!機を見て動けっつってんだ!」 白梟:「く…!」 黄鷹:「分かったら大人しくそこで見てろ。」 白梟:「…わ、分かったよ……ごめん…」 0:  0:激しい撃ち合いをしている黒百舌と赤鷲 0:  黒百舌:「ふふ、どうしたんですか?威勢の割には大したことがなさそうですねぇ?」 赤鷲:「ちょこまかと動きやがって!」 黒百舌:「私、猛禽族の中でも新参で最弱なんです。逃げ回ることと口が達者であることしか能のないただの鳥なんですよ。」 赤鷲:「てめぇは今もあの時も…腸が煮えくり返るほどに腹が立ちやがる…!」 黒百舌:「ふふ、いいですねぇ…いいですねぇ!その顔!あの時のように苦虫を噛みしめているような顔!苦痛に耐えている顔!憎悪を帯びたその顔!」 赤鷲:「んんうおらああああああ!!」 黒百舌:「私がアナタの妻を殺した時も同じように雄たけびを上げていましたね、ふふ…最高でしたよ…!」 青鳶:「っ!?なん…て?今なんて…?」 黒百舌:「おや、そうでした。青鳶さんがいたんでしたね、私としたことがついうっかり。」 赤鷲:「黒いの…!!てめぇえ…!!」 青鳶:「母さんは…赤鷲が殺したんじゃ…」 黒百舌:「ふふふ、聞きたいですか?」 赤鷲:「黒いの…!」 黒百舌:「ふふ…赤鷲さんの妻…つまり青鳶さんのお母様は、私が殺害したんですよ。」 青鳶:「な……え…?」 黒百舌:「この街で生を受けた私は、当時まだただのカラスでした。絶対的な力をもつ最強の猛禽族に憧れていただけの、ただの鳥でした。どうやれば猛禽族になれるのか、どうすれば力を得られるのか。考えた結果、当時最強の猛禽族である赤鷲さんを殺そうとしました。」 赤鷲:「…っ黒いの…!」 黒百舌:「しかし、赤鷲さんの家に忍び込んだ際に彼の妻に見つかってしまったんです。私とした事がうっかりでした。当然、目撃者は始末せねばなりません。邪魔にしかなりえませんからね。持っていた銃で彼女の頭を、胸を腹を、何度も何度も何度も何度も撃ちまくりました。ちょうど部屋に入ってきた赤鷲さんの全身に血がかかるほどに…」 赤鷲:「黒いのぉおおおお…!!」 黒百舌:「あの時の顔は最高でした!いつ思い出しても最高です!そうそう、逃げる際にアナタに付けられた額の傷、未だに癒えないのですよ?」 赤鷲:「てめぇ…黙ってりゃあああ!」 青鳶:「なんで…赤鷲は自分が殺したなんて…」 赤鷲:「…っ!」 黒百舌:「はい、隙だらけ。ばーん。」 赤鷲:「ぬうああっ!!」 青鳶:「赤鷲!!」 黒百舌:「最強の猛禽族といえども1人の父親。心の通ったただの人間。悲しいですねぇ、無様ですねぇ…」 赤鷲:「…ぐぅ……」 黒百舌:「愛なんてもの、力が全てのこの街において無駄でしかないんですよ。愛情を持った自身を恨むんですね。」 0:銃を構える黒百舌、赤鷲を守ろうと前に出る青鳶 黒百舌:「なんの真似です?」 青鳶:「言ったろ、こいつは俺が殺すって…」 黒百舌:「そうですか………どけ。」 0:青鳶を蹴り飛ばす 青鳶:「がぁあ!!」 黒百舌:「私は最強を倒して成り上がるんですよ、私をバカにしてきた奴らを見返すために…皆殺しにする為に…!醜いカラスから高貴な猛禽類に…!」 黄鷹:「そこまでだぜ百舌。」 白梟:「青坊…!!」 黒百舌:「おや、アナタ達は…」 赤鷲:「……黄色いの…」 黄鷹:「鷲のジジイ…てめぇは少しそこで休んでやがれ。」 黒百舌:「黄鷹さん、こんな所に何をしに来たのですか?白梟さんもご存命ですし…」 黄鷹:「何をしに…か。いや、ハナッから信用しちゃいなかったが…俺もてめぇの駒として扱われてたって思うとイラつくな。」 黒百舌:「裏切るんですか?黄鷹さん?」 黄鷹:「てめぇも裏切るつもりだったんだろ?」 黒百舌:「ふふ、野蛮のくせに案外頭回りますよね、黄鷹さん。」 黄鷹:「ギャップがあっていいだろ?」 黒百舌:「ええ、本当に…無駄なギャップですけどね。」 黄鷹:「無駄なんて言うなよ、悲しいじゃねえか…よ!」 0:黒百舌に殴りかかる黄鷹 黒百舌:「お得意の肉弾戦ですか?単細胞らしい戦い方ですね。ですがおあいにく…私も少々嗜んでおりまして…ね!」 黄鷹:「ほお、受けきるかぁ…んならこいつぁどうだ!」 黒百舌:「楽しそうですねぇ…私はアナタと楽しむつもりなんて微塵もありません…よ!」 黄鷹:「いいじゃねぇか、少しくらいダンスに付き合えよ!」 0:白梟にアイコンタクトをとる黄鷹 白梟:「っ!青坊…大丈夫か青坊!」 青鳶:「ん、ああ…大丈夫だ白梟…お前もケガしてるじゃないか…」 白梟:「私の事はいい、ほら捕まれ。黄鷹が黒百舌を足止めしてくれているうちにここから逃げるぞ…」 青鳶:「まってくれ…赤鷲を…」 白梟:「今は赤鷲の事なんていいだろ!」 青鳶:「アイツは…俺が…」 白梟:「青坊!」 青鳶:「父親なんだよ…俺の…」 白梟:「っ!?え、そんな…」 黒百舌:「逃げようとしたって無駄ですよ!」 黄鷹:「おっと、俺とヤリあってんのによそ見たぁいい度胸してんじゃないの…よっと!」 黒百舌:「ふふ、大ぶりな攻撃…待ってました…」 黄鷹:「んな!誘われた…!?…なんて…な!」 黒百舌:「っ!?」 黄鷹:「くそ、浅かったか!」 黒百舌:「まさかあそこから体勢を変えるとは…今のは少し焦りましたよ黄鷹さん。」 黄鷹:「当たり前だろ、俺は黄鷹様だから…なああ!!」 黒百舌:「ええ、本当に…さすがですよ!」 黄鷹:「なっ、姿が消え…」 青鳶:「黄鷹!下だ!」 0:強烈な上段蹴りが黄鷹の顎を砕く 黄鷹:「んんああああ!!」 青鳶:「…黄鷹!」 白梟:「黄鷹ぁあ!!」 黒百舌:「これだから単細胞は扱いやすくて助かります。お調子者の自身の性格を恨みなさい。」 黄鷹:「ぐぅあああ…グゾがぁぁあ…」 黒百舌:「さようなら、良い駒でし…っ!」 0:白梟から放たれた弾が掠めていく 白梟:「ちっ!!外したか…」 黒百舌:「危ないじゃないですか…白梟さん。」 白梟:「アンタに黄鷹はやらせないよ…」 黒百舌:「青鳶さんを庇ったまま私と戦う…と…?青鳶さんが、いない…?」 青鳶:「ここだ…黒百舌…!!」 黒百舌:「くっ、いつの間にぃ!」 0:青鳶と黒百舌が同時に発砲し、青鳶は肩を黒百舌は右手を撃たれる 青鳶:「がぁああ!!」 黒百舌:「くうぅ!こざかしい事をしやがって!」 青鳶:「はは…冷静さを欠くと…周りが見えなくなるんだな…」 黒百舌:「はい?何を言って…」 0:黒百舌の胸を弾丸が貫通する 黒百舌:「あ…あ、あ、あ?……なに?なにが…起きた??血…?撃たれた?私…が??」 青鳶:「…お前を狙う鳥は…2羽だけじゃない…」 黒百舌:「…がはぁっ…赤鷲…か……貴様……胸、抜かれてもまだ…ふふ…やはり、最強、は…伊達じゃあ…ないです、ね…」 0:胸を押さえ膝から崩れる黒百舌 赤鷲:「はあ…はあ……命の奪い合いは…集中が、散漫になった方が奪われるんだ… 赤鷲:はは、ありがとう…よ…てめえのおかげで…血が抜けて、冷静になれたわ…黒いの…」 黒百舌:「ぐ…化け物…が……私は…まだ…最強になれないのか……まだ…醜いカラスのまま…………」 白梟:「黒百舌…」 赤鷲:「安心しろ、てめぇ…も…充分……化け物だったさ…」 黒百舌:「また…墜ちるのか…奴らを見返せないまま……わた、し…は……」 青鳶:「黒百舌…お前は何の為にそんなに…」 赤鷲:「ぜぇ…ぜぇ…」 青鳶:「…すまない…白梟…赤鷲の所に連れて行ってくれないか…?」 白梟:「青坊…うん、わかった…」 赤鷲:「よお…青いの…生きてやがったのか…」 青鳶:「ああ…おかげさまでな…」 赤鷲:「死にかけのジジイに、なんの用だ…?」 青鳶:「なんで……黒百舌じゃなくて、自分が殺したなんて言ったんだ…?」 赤鷲:「…んなもん聞いてどうする…」 青鳶:「さっさと答えろ…」 赤鷲:「……妻を…お前の母親を…見殺しにした、俺が居ながら何もできなかった……俺が殺したも同然だ…」 白梟:「だから…自分で殺したって事にしたの?」 赤鷲:「…ああ。それに…俺は良い父親ではないからな……奴を殺すために力を蓄えようと隠居までしたんだが…はっ、意味が無かった……」 白梟:「赤鷲…」 赤鷲:「こいつを…突き放したのはな……俺なんかが居ちゃいけねえ、俺みたいになってほしくなかった、そう思っての事だ……なのによぉ…俺と同じ道に来やがって…バカ息子が…」 青鳶:「バカ親父に言われたくねえな…」 赤鷲:「…ああ、そうだな………それで、俺を殺すのか?」 青鳶:「…ああ、そうだな………俺は、お前を殺す。」 白梟:「本当に殺すの?青坊…?」 青鳶:「その為に…俺はここに来たんだ…」 白梟:「青坊…」 赤鷲:「やるなら…早くやれ…俺は、悔いはねえさ…」 青鳶:「ああ、今、苦しみから解放してやる。」 赤鷲:「頼むぜ…青いの…」 0:頭目掛けて銃を構える 青鳶:「じゃあな、バカ親父…」 赤鷲:「じゃあな、バカ息子…」 0:  0:騒動から数週間後  0:病院の屋上で空を眺める青鳶 0:  青鳶:「……。」 白梟:「やっぱりここに居たんだね、青坊。」 青鳶:「…白梟。」 白梟:「今日、退院なんだろ?」 青鳶:「ああ、そうだ。白梟は、ケガはもういいのか?」 白梟:「私は青坊ほど重症じゃないからね、傷跡は残っちゃったけど問題ないよ。」 青鳶:「そうか…なら良かった。」 白梟:「…青坊はさ、退院したら、どうするの?」 青鳶:「え?」 白梟:「もう私たちは…猛禽族じゃない、この街の人達も私達が居なくても生きていける。」 青鳶:「…そうだな……俺は…この街を出ようと思う。」 白梟:「出て、どこに行くの?」 青鳶:「…母さんの故郷…かな。」 白梟:「お母さんの?」 青鳶:「ああ、母さんの墓の隣に、赤鷲……親父の墓を建ててやりたいんだ。」 白梟:「…赤鷲のお墓を?」 青鳶:「アイツは…母さんの事を愛していたからな…」 白梟:「そっか。ねえ…私もそれについていっていい?」 青鳶:「え?一緒に?」 白梟:「私は特に行く当てもやりたいこともないしね。青坊と一緒に行くよ。」 青鳶:「…そうか。分かった、白梟。」 白梟:「ん、ありがとう青坊。」 黄鷹:「よお、お前らここに居たのか。」 青鳶:「黄鷹。」 白梟:「アンタ、ケガ大丈夫なの?」 黄鷹:「俺は回復が早いからな、ちょっと顎が砕けたくらいじゃなんともねえよ。」 白梟:「はは、さすがだね…黄鷹。」 青鳶:「…なあ、黄鷹。」 黄鷹:「なんだ?」 青鳶:「お前は、この街に残るのか?」 黄鷹:「ああ、俺は残るぜ。」 青鳶:「そうか。」 黄鷹:「猛禽族じゃなくなっても、心配な子分共は沢山居るからな。最後まで面倒見てやんねえとな。」 白梟:「ふふふ、アンタらしいね。」 黄鷹:「お?俺の女になる気になったか?」 白梟:「残念だけどそれは絶対に無いわ。」 黄鷹:「んだよ。」 青鳶:「はは、黄鷹がこの街に残ってくれるなら、安心して外に出られるな。」 白梟:「っ!青坊…アンタ今笑って…」 黄鷹:「ああ、初めてお前の笑った所見た…」 青鳶:「え、今笑ってたか…?」 白梟:「うん、笑ってたよ!青坊の笑った顔なんて初めて見たよ!」 青鳶:「そ、そうか…」 黄鷹:「いっつもしけた顔してっからな。良い顔してたぜ鳶。」 青鳶:「…そ、そうなのか……?」 0:青鳶と白梟の顔をまじめな顔をしてみる黄鷹 黄鷹:「…鳶、梟。」 青鳶:「黄鷹…?」 白梟:「急にまじめな顔してどうしたんだい?」 黄鷹:「この街は任せておけ。俺様の目が黒いうちは問題なんか起こさせねえよ。だから安心して出かけてこい。お前らが戻ってきた時に、目いっぱい笑える街にしてやるよ。」 白梟:「黄鷹…うん、ありがとう。」 青鳶:「ああ………俺らの帰る場所は、任せた。」 0:  0:  0:  0:  0:  青鳶:【N】この街は力が全てだ 赤鷲:【N】愛する妻を守れなかった鷲は、子供を守るために自らを犠牲にし悪へとなり、絶対的な力を得た 黄鷹:【N】高みを求めた鷹は、そのカリスマ性を生かし圧倒的な統率力を得た 白梟:【N】青に惹かれた梟は、己が持てる物を駆使し、全てを知り尽くす情報力を得た 黒百舌:【N】復讐を秘めた烏は、押さえつけるモノを振り払うための爪を研ぎ、百舌となり、巧みに惑わす操作力を得た 青鳶:【N】この街において、それらの力を持ち上に立つ者には猛禽類の名を与えられた。そして、その者らを総称してこう呼ばれていた 青鳶:『猛禽族』と