台本概要
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タイトル | cheap talks:初めての居酒屋 |
---|---|
作者名 | やいねん (@oqrbr5gaaul8wf8) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(男2、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
初めての居酒屋って緊張する でも慣れると心地が良い ご自由にどうぞ 229 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
マオ | 男 | 57 | 一番歳上。普段からやる気がない。金髪クセッ毛。たれ目無精ひげ。細ノッポスーツ。心開くまでずっと敬語 |
ベンジー | 女 | 59 | 間の歳。感情表現少しヘタ。振る舞いがお堅そうだがそんなことはない。紫髪のロン毛。クマ誤魔化しアイシャドウ強め。カチューシャが好き。ヘビースモーカー。 |
イノ | 男 | 21 | 一番年下。グイグイいけるタイプ。基本失礼。黒髪短髪。切れ長目。細ノッポスーツ。酒がすごく好き。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:初めての居酒屋
0:
マオ:「あーここですか。」
ベンジー:「そうだ。来てみたかったんだ、居酒屋。」
マオ:「ベンジーさん、食に興味とかあったんですね。なんか意外。」
ベンジー:「マオ……私をなんだと思っているんだ。」
マオ:「率直な感想です。だって生活感0じゃないですか、ベンジーさんって。」
ベンジー:「ミステリアスってことだな。悪い気はしない。」
マオ:「まぁ、そう言うことにしておいて大丈夫です。」
ベンジー:「では、行こうか。」
マオ:「意気揚々ですね。」
0:風になびく暖簾に戸惑うベンジー
ベンジー:「……ん?ぬんっ……ぬぬ?んんんなんだこの布は!触っていいのか、駄目なのか!コイツ、動くぞ!これじゃあ入れないではないか!」
マオ:「風になびいてるだけですよ。暖簾くぐった事ないんですか?」
ベンジー:「ない!」
マオ:「そうですか、じゃあ見てて下さい。こうやってくぐって……」
マオ:「……おう、やってる?」
ベンジー:「おお!くぐれるだと!では私も早速……おう、やってる?」
マオ:「これは2人してやらなくてもいいんですよ。」
ベンジー:「なんだ、先に言え!」
マオ:「あ、店員さん。後から1人、遅れて来くるんで、座敷で。」
0:座敷に案内される2人。
ベンジー:「ほう、小上がりになっているのか。趣があるな。」
マオ:「ちゃんと靴、脱いで下さいよ。」
ベンジー:「靴を脱ぐ?からかっているのか。」
マオ:「そういうルールなんですよ。畳の上なんで。」
ベンジー:「そ、そうか……これが畳か。なるほどな。……ん、なんだこれは。やけにテーブルが低いな。それに椅子もないぞ。」
マオ:「よいしょっと。ほら、これ使って。」
ベンジー:「ん……なんだこのクッションは。」
マオ:「座布団ですよ。それを敷いて座るんです。」
ベンジー:「座布団……畳の上では椅子を使わないのか、なるほど。しかし床に座っての食事とは、なんとも斬新だな。それに、壁一面に飾ってある古びた広告の数々。うん、悪くない。……ん?」
マオ:「どうしました?」
ベンジー:「ルービロポッサっとはなんだ?」
マオ:「あぁ、それね。俺も知りません。」
ベンジー:「そうなのか。……お、灰皿じゃないか!ありがたい……(タバコを吸う)」
マオ:「ホント煙草好きですよね。」
ベンジー:「もう駄目なんだ。吸わないといてもたってもいられない。」
マオ:「ヘビースモーカーっすねぇ。それよりアイツ、多分もう少しかかりますよ。」
ベンジー:「イノの事か。どうしたのだ。」
マオ:「始末書ですよ。」
ベンジー:「はぁ……またやらかしたのか。」
マオ:「先に飲んじゃいましょうか。何にします?」
ベンジー:「そうだなぁ、うーん……なんかこう……居酒屋っぽい飲み物ってあるのか?」
マオ:「あー、了解です。すみませーん、生2つお願いしまーす。」
ベンジー:「おいおい!もっと伺ってくれてもいいじゃないのか!私にも選ぶ権利をくれたまえよ!それになんなんだ『ナマ』って!『ナマ』ってぇ!」
マオ:「ただのビールですよ。なんでか、居酒屋だとナマって呼ぶらしくてね。まあ俺も詳しい訳じゃないんでアレなんですけど。」
ベンジー:「なんだ、ビールか。普通じゃないか。」
マオ:「まあ飲めばわかりますよ。……ああ、おしぼりか。どうもー。」
0:おしぼりを渡される2人
ベンジー:「おしぼり?ただのタオルじゃ……うあっつぅい!熱い!ええっ!?」
マオ:「大袈裟ですよベンジーさん。そんなに熱くないですよ。」
ベンジー:「え!……あ、言われてみれば確かに。熱いのは最初だけだな。」
マオ:「ふぅー、気持ちいいー。」
0:おしぼりで顔を拭くマオ
ベンジー:「ん?あぁ、なるほど。これは顔を拭く為のタオルなのか。うむ、どれどれ……ぁあ~確かに、この温もりは……うん、悪くない……なぁ。」
マオ:「……ベンジーさん。それ、女性はあんまりやらないんですよ。」
ベンジー:「何故だ。礼儀作法の一環なのだろう。私は郷に入れば郷に従う方だ。それにこんなに気持ち良いのだぞ。世の女性は損をしておるなぁ~。」
マオ:「いやその、メイク的な意味で。」
ベンジー:「……なんだと?」
0:そこにイノが到着。
イノ:「おーう!やってるー?」
マオ:「あれ、意外と早かったな。」
ベンジー:「なんたる不覚!」
0:顔におしぼりを被せながら立ち上がるベンジー
イノ:「おわっ!急に立ち上がって、どうした?」
ベンジー:「御手洗いなのだ!」
0:ダッシュで化粧直しに向かうベンジー。
イノ:「あんな全力ダッシュで、顔面におしぼり被せたまま……しかも語尾が『なのだ』って、相当テンパってる時のやつだぜ。ベンジーちゃん、どうしちゃった?」
マオ:「いや、俺の説明不足の所為だ。」
0:
0:
0:仕切り直して乾杯する3人。
0:
ベンジー:「ゴホン、では皆様、今回は私の酔狂にお付き合い頂き……」
イノ:「堅い、堅苦しいよベンジーちゃん!しかも皆様って、俺とマオの2人だけだぜ!」
ベンジー:「『音頭を取る』ってやつだ。やってみたかっただけだ。あと、ちゃん付けはやめろ。……では良い宴を、乾杯。」
マオ:「お疲れ様でーす。」
イノ:「チァーズ!ゴクゴクゴク……くぅー堪んねぇ!あ、そこのネーチャン!生お代わりちょうだい!」
ベンジー:「ゴクゴク……うん、確かにこれは堪らん。ジョッキを凍らせてまでキンキンに冷やしたビールがここまで美味しいとは、これも悪くない。……ところでイノ、お前ペース早いな。酒は強いのか?」
イノ:「いい質問だねぇベンジーちゃん!」
ベンジー:「ちゃんはやめろ。」
マオ:「コイツ別に強くはないですよ。」
イノ:「お前が答えるんじゃねぇよ!」
マオ:「前に勢いで飲み対決したことがあったんですけどね。」
イノ:「おいやめろよその話は!」
マオ:「勝負はイノの勝ちだったけど、翌日欠勤しましたからね。」
イノ:「もういいじゃねぇかその話は!」
ベンジー:「さもありなん、だな」
マオ:「イノって女性が居るすぐ見栄張りたがるんですよ。」
イノ:「それはお前、仕方ないだろ!ベンジーちゃんの前なんだからよ!」
ベンジー:「ちゃんはやめろ。」
0:料理が運ばれてくる。
イノ:「お、メシがキター!腹減ってたんだぜ!えっと、これは誰が頼んだヤツ?」
マオ:「棒餃子?これはベンジーさんだね。」
ベンジー:「ちょうど3本だからな。」
イノ:「へーうまそう。マオが頼んだのは?」
マオ:「刺し身三点盛り。」
イノ:「俺、生魚苦手なんだよなぁ。やっぱ居酒屋と言えばフライドポテトと鶏唐揚げの2択だぜ!間違いねぇからな!」
ベンジー:「子供みたいだな。」
マオ:「子供なんですコイツ。」
イノ:「別にいいだろ!好きな物ぐらい食わせろ!」
マオ:「まぁそれもそうだな。あ、ベンジーさんグラス空きますね。次なに飲みます?」
ベンジー:「生はもういいな。割り物とかにしようか。」
マオ:「だったらボトルいきますか。ここ、キープもできるんで。」
ベンジー:「そうか、そんなシステムがあるのか。じゃあそうしよう。」
マオ:「緑茶とか無糖紅茶とか、あと烏龍茶でもいいですね。」
ベンジー:「じゃあ無糖紅茶だな。……ちょっと待て。おいイノ。」
イノ:「モグモグ…え、なんだ?」
ベンジー:「お前まさか……食ったな?」
マオ:「え?なになに、ベンジーさんどうしたの?」
ベンジー:「棒餃子……2本……」
イノ:「食ったけど?」
ベンジー:「貴様ぁ!どういう了見だぁ!」
マオ:「なにちょっと、ベンジーさん?」
ベンジー:「私が3人分だと考えて、3本の棒餃子を頼んだのだ!だのに、貴様ときたら!」
イノ:「あはぁ、そう言うことか。マオ食べなそうかなって思って。」
マオ:「いや別に、そんな事は……。」
ベンジー:「マオ、お前は食べないつもりだったのか?苦手だったか?」
マオ:「まぁ、あったら食べるけど……無きゃ無いで別にって感じではありますよ。」
ベンジー:「ほれ見たことか!イノ、貴様の勝手な判断で物事を図るな!同僚として厳重に注意する!」
イノ:「いやいや待ってよ。マオは食べれなくても大丈夫的なニュアンスで言ってるじゃん。そんなに怒んないでよぉ。また頼めばいいじゃん!ねぇベンジーちゃん!」
ベンジー:「そういう問題では断じて無いのだ!貴様の勝手な判断によって同僚が殉職する可能性があると言っているのだ!あと、ちゃんはやめろ!」
マオ:「話が飛躍してる……1杯目だよなぁこの人。もうそんなに酔ってるのか。」
イノ:「俺の言い分も聞けって!マオは俺が生物苦手って分かってて、わざと刺し身頼んでるんだぜ?みんなでシェアするなんて考えてねぇんだよ!俺が棒餃子を横取りしたって罰当たらないだろ!」
マオ:「まあ、単純に俺が食いたいから頼んだだけなんだがな。」
ベンジー:「問答無用だ!イノ、今からお前を酒の力で叩き直してやる!」
イノ:「ああ!望むところだぜ!とことん付き合ってやるよ、ベンジーちゃんよぉ!」
ベンジー:「年下のクセにぃ、ちゃん付けをするなぁ!だいたいお前、始末書など相当な事がない限り……」
マオ:「あーあ、めんどくさ……」
0:
0:
0:ラストオーダーの時間。今にも突っ伏しそうなベンジーを看護するほぼシラフのマオ。何故か仁王立ちで見下すイノ。
0:
ベンジー:「……ヒック、許さないなのだぁ~。ひゅ~……」
マオ:「あのー、そろそろラストオーダーですって。もう大丈夫ですよね。」
ベンジー:「う~う~……もうたべられないなのだぁ~。」
イノ:「はっはっはー!なのだ~、なのだ~だってよ!これもう、俺のかっ……俺のか……あれ……あっ……」
0:こと切れたかのようにぶっ倒れ寝入るイノ。
マオ:「あーら、いつもの失神か……仁王立ちまでして意識保ってたのに結局ぶっ倒れるとか、逆に恥ずいな、アイツ。まあ今回はベンジーさんの勝ちだな。」
ベンジー:「ぬぅ~、嬉しくないなのだぁ~!イノの根性を叩き直してやりゅのだぁ~!」
マオ:「はいはい、今日はもうお開きですよ。キープボトルに名前ちゃんと書けましたか?」
ベンジー:「うん、書いたのだぁ~!」
マオ:「そんな状態でよく書けましたね。」
ベンジー:「ここはご飯もお酒も美味しいし、ボトルキープも出来るなんて、もう大好……す……」
マオ:「大丈夫ですか?」
ベンジー:「こっから先の言葉は絶対に言ってやらないなのだぁ~……」
マオ:「なるほど?」
ベンジー:「マオぉ~!」
0:マオに寄り掛かるベンジー。
マオ:「お家までは起きてて下さいよ。……て言うかボトルに書いてある名前、これマズイですよ。」
ベンジー:「大丈夫、誰も気付かないのだあ~。」
マオ:「まあそうでしょうけど、一応非公表の組織なんですよ?我々は。」
ベンジー:「ちょっとぐらいあったっていいじゃん!この世界に存在していたって証があったって、片隅にでもあったってさ……。」
マオ:「……」
ベンジー:「イノって憎たらしけど嫌いじゃないし、マオの事だって、他の皆の事も、本当は……本当に…好……。」
マオ:「無理しないで大丈夫です。みんな伝わってますから。」
ベンジー:「今回は……誰も死なせないから……絶対に……」
0:寝入るベンジー
0:グラスの酒を一気飲みするマオ。
マオ:「グビグビグビグビ(飲酒音)……ぷはぁ。俺も明日、欠勤しようかな。」
0:
0:初めての居酒屋
0:
マオ:「あーここですか。」
ベンジー:「そうだ。来てみたかったんだ、居酒屋。」
マオ:「ベンジーさん、食に興味とかあったんですね。なんか意外。」
ベンジー:「マオ……私をなんだと思っているんだ。」
マオ:「率直な感想です。だって生活感0じゃないですか、ベンジーさんって。」
ベンジー:「ミステリアスってことだな。悪い気はしない。」
マオ:「まぁ、そう言うことにしておいて大丈夫です。」
ベンジー:「では、行こうか。」
マオ:「意気揚々ですね。」
0:風になびく暖簾に戸惑うベンジー
ベンジー:「……ん?ぬんっ……ぬぬ?んんんなんだこの布は!触っていいのか、駄目なのか!コイツ、動くぞ!これじゃあ入れないではないか!」
マオ:「風になびいてるだけですよ。暖簾くぐった事ないんですか?」
ベンジー:「ない!」
マオ:「そうですか、じゃあ見てて下さい。こうやってくぐって……」
マオ:「……おう、やってる?」
ベンジー:「おお!くぐれるだと!では私も早速……おう、やってる?」
マオ:「これは2人してやらなくてもいいんですよ。」
ベンジー:「なんだ、先に言え!」
マオ:「あ、店員さん。後から1人、遅れて来くるんで、座敷で。」
0:座敷に案内される2人。
ベンジー:「ほう、小上がりになっているのか。趣があるな。」
マオ:「ちゃんと靴、脱いで下さいよ。」
ベンジー:「靴を脱ぐ?からかっているのか。」
マオ:「そういうルールなんですよ。畳の上なんで。」
ベンジー:「そ、そうか……これが畳か。なるほどな。……ん、なんだこれは。やけにテーブルが低いな。それに椅子もないぞ。」
マオ:「よいしょっと。ほら、これ使って。」
ベンジー:「ん……なんだこのクッションは。」
マオ:「座布団ですよ。それを敷いて座るんです。」
ベンジー:「座布団……畳の上では椅子を使わないのか、なるほど。しかし床に座っての食事とは、なんとも斬新だな。それに、壁一面に飾ってある古びた広告の数々。うん、悪くない。……ん?」
マオ:「どうしました?」
ベンジー:「ルービロポッサっとはなんだ?」
マオ:「あぁ、それね。俺も知りません。」
ベンジー:「そうなのか。……お、灰皿じゃないか!ありがたい……(タバコを吸う)」
マオ:「ホント煙草好きですよね。」
ベンジー:「もう駄目なんだ。吸わないといてもたってもいられない。」
マオ:「ヘビースモーカーっすねぇ。それよりアイツ、多分もう少しかかりますよ。」
ベンジー:「イノの事か。どうしたのだ。」
マオ:「始末書ですよ。」
ベンジー:「はぁ……またやらかしたのか。」
マオ:「先に飲んじゃいましょうか。何にします?」
ベンジー:「そうだなぁ、うーん……なんかこう……居酒屋っぽい飲み物ってあるのか?」
マオ:「あー、了解です。すみませーん、生2つお願いしまーす。」
ベンジー:「おいおい!もっと伺ってくれてもいいじゃないのか!私にも選ぶ権利をくれたまえよ!それになんなんだ『ナマ』って!『ナマ』ってぇ!」
マオ:「ただのビールですよ。なんでか、居酒屋だとナマって呼ぶらしくてね。まあ俺も詳しい訳じゃないんでアレなんですけど。」
ベンジー:「なんだ、ビールか。普通じゃないか。」
マオ:「まあ飲めばわかりますよ。……ああ、おしぼりか。どうもー。」
0:おしぼりを渡される2人
ベンジー:「おしぼり?ただのタオルじゃ……うあっつぅい!熱い!ええっ!?」
マオ:「大袈裟ですよベンジーさん。そんなに熱くないですよ。」
ベンジー:「え!……あ、言われてみれば確かに。熱いのは最初だけだな。」
マオ:「ふぅー、気持ちいいー。」
0:おしぼりで顔を拭くマオ
ベンジー:「ん?あぁ、なるほど。これは顔を拭く為のタオルなのか。うむ、どれどれ……ぁあ~確かに、この温もりは……うん、悪くない……なぁ。」
マオ:「……ベンジーさん。それ、女性はあんまりやらないんですよ。」
ベンジー:「何故だ。礼儀作法の一環なのだろう。私は郷に入れば郷に従う方だ。それにこんなに気持ち良いのだぞ。世の女性は損をしておるなぁ~。」
マオ:「いやその、メイク的な意味で。」
ベンジー:「……なんだと?」
0:そこにイノが到着。
イノ:「おーう!やってるー?」
マオ:「あれ、意外と早かったな。」
ベンジー:「なんたる不覚!」
0:顔におしぼりを被せながら立ち上がるベンジー
イノ:「おわっ!急に立ち上がって、どうした?」
ベンジー:「御手洗いなのだ!」
0:ダッシュで化粧直しに向かうベンジー。
イノ:「あんな全力ダッシュで、顔面におしぼり被せたまま……しかも語尾が『なのだ』って、相当テンパってる時のやつだぜ。ベンジーちゃん、どうしちゃった?」
マオ:「いや、俺の説明不足の所為だ。」
0:
0:
0:仕切り直して乾杯する3人。
0:
ベンジー:「ゴホン、では皆様、今回は私の酔狂にお付き合い頂き……」
イノ:「堅い、堅苦しいよベンジーちゃん!しかも皆様って、俺とマオの2人だけだぜ!」
ベンジー:「『音頭を取る』ってやつだ。やってみたかっただけだ。あと、ちゃん付けはやめろ。……では良い宴を、乾杯。」
マオ:「お疲れ様でーす。」
イノ:「チァーズ!ゴクゴクゴク……くぅー堪んねぇ!あ、そこのネーチャン!生お代わりちょうだい!」
ベンジー:「ゴクゴク……うん、確かにこれは堪らん。ジョッキを凍らせてまでキンキンに冷やしたビールがここまで美味しいとは、これも悪くない。……ところでイノ、お前ペース早いな。酒は強いのか?」
イノ:「いい質問だねぇベンジーちゃん!」
ベンジー:「ちゃんはやめろ。」
マオ:「コイツ別に強くはないですよ。」
イノ:「お前が答えるんじゃねぇよ!」
マオ:「前に勢いで飲み対決したことがあったんですけどね。」
イノ:「おいやめろよその話は!」
マオ:「勝負はイノの勝ちだったけど、翌日欠勤しましたからね。」
イノ:「もういいじゃねぇかその話は!」
ベンジー:「さもありなん、だな」
マオ:「イノって女性が居るすぐ見栄張りたがるんですよ。」
イノ:「それはお前、仕方ないだろ!ベンジーちゃんの前なんだからよ!」
ベンジー:「ちゃんはやめろ。」
0:料理が運ばれてくる。
イノ:「お、メシがキター!腹減ってたんだぜ!えっと、これは誰が頼んだヤツ?」
マオ:「棒餃子?これはベンジーさんだね。」
ベンジー:「ちょうど3本だからな。」
イノ:「へーうまそう。マオが頼んだのは?」
マオ:「刺し身三点盛り。」
イノ:「俺、生魚苦手なんだよなぁ。やっぱ居酒屋と言えばフライドポテトと鶏唐揚げの2択だぜ!間違いねぇからな!」
ベンジー:「子供みたいだな。」
マオ:「子供なんですコイツ。」
イノ:「別にいいだろ!好きな物ぐらい食わせろ!」
マオ:「まぁそれもそうだな。あ、ベンジーさんグラス空きますね。次なに飲みます?」
ベンジー:「生はもういいな。割り物とかにしようか。」
マオ:「だったらボトルいきますか。ここ、キープもできるんで。」
ベンジー:「そうか、そんなシステムがあるのか。じゃあそうしよう。」
マオ:「緑茶とか無糖紅茶とか、あと烏龍茶でもいいですね。」
ベンジー:「じゃあ無糖紅茶だな。……ちょっと待て。おいイノ。」
イノ:「モグモグ…え、なんだ?」
ベンジー:「お前まさか……食ったな?」
マオ:「え?なになに、ベンジーさんどうしたの?」
ベンジー:「棒餃子……2本……」
イノ:「食ったけど?」
ベンジー:「貴様ぁ!どういう了見だぁ!」
マオ:「なにちょっと、ベンジーさん?」
ベンジー:「私が3人分だと考えて、3本の棒餃子を頼んだのだ!だのに、貴様ときたら!」
イノ:「あはぁ、そう言うことか。マオ食べなそうかなって思って。」
マオ:「いや別に、そんな事は……。」
ベンジー:「マオ、お前は食べないつもりだったのか?苦手だったか?」
マオ:「まぁ、あったら食べるけど……無きゃ無いで別にって感じではありますよ。」
ベンジー:「ほれ見たことか!イノ、貴様の勝手な判断で物事を図るな!同僚として厳重に注意する!」
イノ:「いやいや待ってよ。マオは食べれなくても大丈夫的なニュアンスで言ってるじゃん。そんなに怒んないでよぉ。また頼めばいいじゃん!ねぇベンジーちゃん!」
ベンジー:「そういう問題では断じて無いのだ!貴様の勝手な判断によって同僚が殉職する可能性があると言っているのだ!あと、ちゃんはやめろ!」
マオ:「話が飛躍してる……1杯目だよなぁこの人。もうそんなに酔ってるのか。」
イノ:「俺の言い分も聞けって!マオは俺が生物苦手って分かってて、わざと刺し身頼んでるんだぜ?みんなでシェアするなんて考えてねぇんだよ!俺が棒餃子を横取りしたって罰当たらないだろ!」
マオ:「まあ、単純に俺が食いたいから頼んだだけなんだがな。」
ベンジー:「問答無用だ!イノ、今からお前を酒の力で叩き直してやる!」
イノ:「ああ!望むところだぜ!とことん付き合ってやるよ、ベンジーちゃんよぉ!」
ベンジー:「年下のクセにぃ、ちゃん付けをするなぁ!だいたいお前、始末書など相当な事がない限り……」
マオ:「あーあ、めんどくさ……」
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0:ラストオーダーの時間。今にも突っ伏しそうなベンジーを看護するほぼシラフのマオ。何故か仁王立ちで見下すイノ。
0:
ベンジー:「……ヒック、許さないなのだぁ~。ひゅ~……」
マオ:「あのー、そろそろラストオーダーですって。もう大丈夫ですよね。」
ベンジー:「う~う~……もうたべられないなのだぁ~。」
イノ:「はっはっはー!なのだ~、なのだ~だってよ!これもう、俺のかっ……俺のか……あれ……あっ……」
0:こと切れたかのようにぶっ倒れ寝入るイノ。
マオ:「あーら、いつもの失神か……仁王立ちまでして意識保ってたのに結局ぶっ倒れるとか、逆に恥ずいな、アイツ。まあ今回はベンジーさんの勝ちだな。」
ベンジー:「ぬぅ~、嬉しくないなのだぁ~!イノの根性を叩き直してやりゅのだぁ~!」
マオ:「はいはい、今日はもうお開きですよ。キープボトルに名前ちゃんと書けましたか?」
ベンジー:「うん、書いたのだぁ~!」
マオ:「そんな状態でよく書けましたね。」
ベンジー:「ここはご飯もお酒も美味しいし、ボトルキープも出来るなんて、もう大好……す……」
マオ:「大丈夫ですか?」
ベンジー:「こっから先の言葉は絶対に言ってやらないなのだぁ~……」
マオ:「なるほど?」
ベンジー:「マオぉ~!」
0:マオに寄り掛かるベンジー。
マオ:「お家までは起きてて下さいよ。……て言うかボトルに書いてある名前、これマズイですよ。」
ベンジー:「大丈夫、誰も気付かないのだあ~。」
マオ:「まあそうでしょうけど、一応非公表の組織なんですよ?我々は。」
ベンジー:「ちょっとぐらいあったっていいじゃん!この世界に存在していたって証があったって、片隅にでもあったってさ……。」
マオ:「……」
ベンジー:「イノって憎たらしけど嫌いじゃないし、マオの事だって、他の皆の事も、本当は……本当に…好……。」
マオ:「無理しないで大丈夫です。みんな伝わってますから。」
ベンジー:「今回は……誰も死なせないから……絶対に……」
0:寝入るベンジー
0:グラスの酒を一気飲みするマオ。
マオ:「グビグビグビグビ(飲酒音)……ぷはぁ。俺も明日、欠勤しようかな。」