台本概要
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タイトル | 殺し屋の女「裏取引」 |
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作者名 | 読川詩朗 |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(男2、女3) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
意外と叫ぶ演技が好きだって方がこれを多くやってはったなぁって思い出
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
劉 | 男 | 149 | チャイニーズマフィア「豪史会」のドン フルネームは「劉祇袁」りゅうしえん |
ジュリア | 女 | 113 | 男勝りな性格。殺し屋の女「デビルズキラー」 |
ロッド | 男 | 100 | ジュリアの相方 温和な性格の男 |
エリー | 女 | 64 | 今回の敵 |
ロージャー | 女 | 56 | やーらしい女 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:机の上にアタッシュケースを置く
劉:これは?
エリー:初めまして劉祇袁。私はエスパーニャのマフィア「ヴァカアルボロターダ」のエリーよ
劉:「暴れ牛」がこの国に何の用かな?そしてこの金は?
エリー:我々ヴァカアルボロターダーはこの国に居る優秀なギャングをウチに招き入れたいと考えている
劉:ならミラノに直接言えばいい。僕を通さずね?
エリー:お前は他国への顔役を担っていると聞いた。この金は聞かずともわかるだろ
劉:顔役・・・ねぇ?
エリー:それだけの金があれば雑多に死ねる兵は数百。名が売れてる殺し屋なら三人は買える。
劉:ふむ・・・
0:アタッシュケースの中の札束を一つ手に取る劉
劉:全部本物だね。さすがスペイン。情熱がある国は最初から本気で挑んでくるんだ
エリー:当たり前だ。この金はウチのボスが好きに使えといった金額の最高額だ。何人くれる
劉:そうだなぁ・・だったら自分の目で確かめてきたら?
エリー:何?
劉:この国は観光するには超絶不向きだが、人を見定めるのには最適な国だ。君の納得する人物を見つけて自分で交渉したらいい
エリー:ふざけているのか?
劉:ふざける?こんな大金を前にふざける程僕は余裕を持ち合わせていない。そうだなぁ・・・一人、いや二人ほど心当たりがある
0:立ち上がる劉
劉:車を表に回そう。
エリー:・・・。
劉:そんな怖い顔するなよ。褐色の肌が真っ黒になるぜ?
エリー:わかった
0:殺し屋の女「裏取引」
ジュリア:ふんふんふんふーん・・・
ロッド:ご機嫌だねジュリア
0:鼻歌を歌いながら銃の手入れをするジュリア
ジュリア:この間サリアと賭けた勝負に勝ってな?ちょっと今金に余裕があるんだわ
ロッド:へぇー
ジュリア:ガンオイルも手に入ったし弾も多く買えた。この上なくあたしは機嫌がいい
ロッド:そっか。あ、コーヒー飲む?
ジュリア:酒ねぇのか?
ロッド:酒って、まだ朝の十時回ったところだろ?せめて昼からにしなよ
ジュリア:っかぁーロッドぉ、お前はミカかよ
ロッド:はい、コーヒー
0:机の上にコーヒーを置くロッド
ジュリア:サンキュー
ロッド:ずずっ・・にしても最近は平和だね
ジュリア:だなぁ。姉御は大人しいしボスも仕事がないからって釣りに行ってるしよ
ロッド:ジュリアも家に帰れば?俺の家に入り浸ってないでさ
ジュリア:帰っても暇なんだよ。
ロッド:ここに居ても暇だろ?
ジュリア:まぁな。ん?
0:ケータイを取り出すジュリア
ジュリア:劉さん?もしもし
劉:やぁデビルズキラー元気かい?
ジュリア:どうしたんだよ劉さん。あんたから電話かけてくるなんて珍しいな
劉:いやぁなに、ここ最近暇すぎて刺激が減ったから面白くないんじゃないかと思ってね
ジュリア:はぁ?いきなり何言ってんだ?
劉:ゲームでもしないか?
ジュリア:ゲーム?なんのだよ
劉:ロッド君は近くにいるかい?
ジュリア:あぁ目の前にいるぜ
劉:じゃスピーカーにしてくれ
ジュリア:あいよ
0:ケータイをスピーカーに切り替え机の上に置くジュリア
劉:んんっ!やぁロッド君
ロッド:劉さん、どうも
劉:景気はどうだ?
ロッド:景気?いや普通ですよ
劉:そうかそうか。今デビルズキラーにも伝えたがゲームを始める
ロッド:ゲームですか?
劉:あぁ。ルールは簡単。今から言う女性を捕まえて第三倉庫の波止場前に停車してる僕の車に連れてきたら君たちの勝ち。
ジュリア:はぁ?
劉:その女性が別の人に捕まって僕の車に連れてきたら君らの負け。簡単だろ?
ジュリア:言ってる意味がよくわかんねぇよ。人探しをしろってことか?
劉:あぁそうさ。ただし、人探しは人探しでも
劉:裏取引だ
ロッド:裏取引?
ジュリア:人身売買か
劉:ご名答。今スペインのマフィアが来ててね?大金を持ってきて僕に人を売ってくれって言ってるんだ
ジュリア:この国での他国へ人を売り流すのはご法度だろ?
劉:あぁもちろんご法度さ。この国の血が入ってる人間ならね
ロッド:どういうことですか?
劉:見つけてきてほしいのはロージャーという白人女性。解体屋に身元を売られ殺さそうになったけど逃げたんだ
ジュリア:紅(ホン)のところに売られたってことはこの国で
劉:あぁ、麻薬の密輸、売買、そしてゴロツキ達の殺害を行なった。外の国で着いた名前はホワイトフォックス。白狐だ
ジュリア:そいつを生かして劉さんのところに連れて行ったらいいのか?
劉:あぁ。ただ、死なない程度に傷をつけるのは大丈夫。ただし将来的に動けないほどの重傷を負わすのは駄目だ
ジュリア:そのキツネにやたら関心を抱いてんじゃねぇか。劉さんの女か?
劉:あいにく僕は生粋の黄色人種だ。白人が苦手でね。そのロージャーをスペインのマフィアにあげるんだよ
ジュリア:わかった。
劉:じゃあ期限は三日まで。この電話を切ったその瞬間からゲームはスタート。
ロッド:りゅ、劉さん
劉:なに?
ロッド:三日以内に見つけれなかったらどうしたら?
劉:ゲームを始める前に最悪のケースを考えちゃ面白くないだろ?
ロッド:で、ですが
劉:そうだなぁ・・代わりに君かデビルズキラーを引き渡す。リクには了承を貰っておくよ
ジュリア:はぁ!?
劉:じゃ、頑張ってね。再見(サイツェン)!
ジュリア:いや、ちょ、待てよ劉さ・・・
0:電話が切れる
エリー:ずいぶんと適当だな劉祇袁
劉:あっはっはっは!この国はこれくらいテキトーでいいんだよ。無駄に肩ひじ張ってたら疲れてしまうからね
エリー:ロージャーを本当に連れてこれるのか?デビルズキラーという奴は
劉:あぁ。この国で唯一名前が知れ渡ってる殺し屋だし、本気を出せばワールドバンクをハッキング出来るまでのハッカーもいるんだ
劉:むしろできないって言われた方が僕は驚きだよ。さ、あとは大人しく待っていようじゃないか。
エリー:・・・。
0:
ジュリア:チッ!そのキツネを見つけねぇと
ロッド:ロージャーって言ってたね。調べてみる
ジュリア:せっかくいい気分だったのによ!!
ロッド:えーっと・・・
0:パソコンをカタカタ打ちだすロッド
ジュリア:自分で見つけりゃいいのによ劉さんもよ・・・
ロッド:あ、出てきた
ジュリア:はえぇな!
ロッド:確かに解体屋のリストから逃亡って書いてあるね
ジュリア:えーっと・・ロージャー・メリス?フランスの女か?なんでこの国に居んだよ
ロッド:麻薬を密輸する際に不法入国して次の貿易時に帰国する予定だったんだってさ
ジュリア:その次の貿易はいつだよ
ロッド:ちょうど三日後だね
ジュリア:チッ!本当に制限がついてんのかよ!だりぃ!!
ロッド:どうしようか
ジュリア:どうしたもこうしたも、サリアとの賭けに勝ったんだ。今回も劉さんとのゲームに勝って金を貰う
ロッド:そ、そっか
ジュリア:んじゃ見つけに行くぞ
ロッド:え、ちょ待ってくれよジュリア!
0:
ロージャー:すぅー・・ふぅー・・・あと三日でこの汚い国とおさらば出来るわ
ロージャー:あーやだやだ。早く浴槽に浸かってここの国の薄汚い男たちの脂を落としたいわ
0:裸でカーテンを開けて煙草を吸うロージャー
ロージャー:解体屋に売られてから四日が経った・・そろそろ誰かが動き出すわね。
0:ベッドで寝てる男に寄り添うロージャー
ロージャー:ねぇ?欲しいものがあるの。用意・・出来るかしら?
0:
ロッド:確かこのスラムの中に入っていったのが監視カメラに残ってたよ
ジュリア:いつだ?
ロッド:二日前だね。
ジュリア:チッ、ここの野郎どもが女を捕まえてりゃいいけど逃げられてたらどうするよ
ロッド:それはないね
ジュリア:あぁ?
ロッド:このスラム、入口と出口はここだけだしカメラはここだけにしかついてない
ジュリア:んじゃこの中から出て行ってねぇってことだな
ロッド:地下通路や屋上から逃げてたら別だけどね
ジュリア:ま、入りゃ一人くらい見たってやつはいるだろ。
0:車から降りるジュリア
ロッド:そうだね
ジュリア:んじゃ行くぞロッド
ロッド:あぁ
0:ロッドの車の数メートル後ろに止まる車
劉:見つけるのが早いねぇ。さすがロッド君だ
エリー:この中にいるのか?
劉:さぁ?でも彼がここに来たって事はあそこのカメラをハッキングしたんだろう
エリー:監視カメラをハッキング出来るのか?
劉:並大抵の人には無理だろうね。彼だから出来る事だ
エリー:私たちも行くか?
劉:見つからないようにね
エリー:わかった
0:
ジュリア:くっせぇ・・・
ロッド:スラムだからね
0:薄汚い男たちがジュリアを舐めまわすように見てくる
ジュリア:こいつら殺していいか?
ロッド:彼らも必死に生きてるんだしやめなよ
ジュリア:おいお前、ここに白人が来なかったか?
0:「一発やらしてくれたら教えてやるよ」と言いげらげら笑う男たち
ジュリア:チッ!脳天に鉛玉ぶち込んでやろうかぁ!?あぁ!?
ロッド:ちょ!ジュリア!落ち着いて!
0:銃を見て逃げ出す男たち
ジュリア:あ!お前ら待ちやがれ!!質問に答えてからどっか行きやがれ!!
ロッド:銃持って暴れたらみんな逃げるって!当たり前だろ!!
0:
ロージャー:ありがとう。愛してるわよ。
0:男にキスをするロージャー
ロージャー:ハンドガン・・弾はワンダース・・・これだけあったら貿易船が来るまでは逃げれるわね
0:後ろから抱き着いてくる男
ロージャー:もう、夜にまた寝てあげるから離れて?
0:離れる男
ロージャー:なんてね・・ふふっ
0:男の眉間を銃で撃つロージャー
ロージャー:私の欲しいものが男なんて生ゴミ同様なのよ。あー汚らわしい。ペッ
0:死んだ男に唾を吐くロージャー
ジュリア:ん?
ロッド:どうしたのジュリア
ジュリア:いや、今銃声が鳴ったよな?
ロッド:銃声?俺には聞こえなかったけど
ジュリア:いや、鳴ったぜ?しかも軽い音だからハンドガンだ
ロッド:え?本当に?
ジュリア:あぁ、こっちから聞こえた。行くぞ
ロッド:え、わかった
0:音のする方へ歩いていく二人
ロージャー:汚いけど・・まぁこのパーカーかぶれば私ってバレないわよね。よし
0:殺した男のパーカーを着るロージャー
ロージャー:とりあえずこのスラムから出て港近くであと三日過ごすかな。あーシャワー浴びたい
0:部屋を出るロージャー
ジュリア:スンスン・・ここのアパートから火薬のにおいがする
ロッド:火薬のにおいって・・犬じゃあるまいし
ジュリア:まぁついてきたらわかるって。来いよロッド
ロッド:あ、あぁ
0:ドアを開けるジュリア
ロージャー:きゃっ!
ジュリア:お、わりぃ
ロージャー:いや大丈夫よ。じゃ
0:階段から降りて歩き出すパーカーをかぶったロージャー
ロッド:(スラムの中でも香水つける人っているんだ・・・)
ジュリア:おーいロッド早く来いよ
ロッド:あ、あぁ
0:
エリー:中に入っていったぞ
劉:だねぇ。すぅー・・ふぅー・・・
0:煙草を吸う劉
エリー:おい、何を呑気に煙草を吸ってるんだ劉祇袁
劉:飽きたなぁって思ってさ
エリー:飽きる?ふざけるな!
劉:あとは頑張って連れてくるのを待って僕らは戻ろう
エリー:はぁ!?本気で言ってるのか?
劉:あぁ。もともとストーカーみたいにこそこそ隠れるの嫌いなんだよね僕は
エリー:ふざけるな!
劉:ふざけてなんかない。僕は車に戻ってるね
エリー:待て!なら私も戻る!置いていくな!
0:
ジュリア:な?あたりだったろ?
ロッド:本当だ
0:死んだ男の部屋に入る二人
ジュリア:相当銃の扱いが巧いな。眉間に一発で打ち込んでいやがる。あの女の仕業かもな
ロッド:この匂い・・・
ジュリア:あぁ、血生臭ぇな
ロッド:いや、こっちのバスルーム
ジュリア:バスルームだ?
ロッド:うん、ちょっとこっちきてジュリア
ジュリア:なんだよ・・って香水くせぇ!
ロッド:さっき入口でぶつかった人と同じ匂いなんだよねこの香水
ジュリア:あぁアタシがぶつかったやつか
ロッド:フードを目深(まぶか)にかぶって出ていったし・・あ!!
ジュリア:キツネか!!
ロッド:ロージャーって人だよ!!
ジュリア:チッ!!逃げられる!!ロッド入口まで走るぞ!!
ロッド:わ、わかった!!
0:スラム街の入口
ロージャー:ふぅ。やっぱり臭いわねこのパーカー
0:脱ぎ捨てるロージャー
エリー:お、おい劉祇袁
劉:ん?どうしたの?
エリー:あの女、ロージャーじゃないか?
劉:ん?あぁ本当だ
エリー:捕まえるか
劉:いや、捕まえない。
エリー:なんでだ!
劉:デビルズキラー達に頼んでるからねその仕事は
エリー:なんだと!!こんな絶好のチャンスをみすみす逃がすというのか!
劉:だがゲームだし面白い事をしようか
エリー:どういうことだ?あ、おいどこへ行く
0:車から降りる劉
劉:ロージャー・メリス
ロージャー:ッ!!
0:銃を構えるロージャー
劉:おっと、急に臨戦態勢になるなよ。俺は丸腰だ
0:両手を挙げて降参のポーズをとる劉
ロージャー:貴方、誰かしら?
劉:劉祇袁、豪史会のトップだ
ロージャー:豪史会・・チャイニーズね。何の用かしら?私を殺しに来たの?
劉:丸腰だって言ってるだろう?君に道を提示してあげようかなって思ってね?
ロージャー:あら?紳士ね。でも私がその誘いに乗ると思うかしら?
劉:別に乗ろうが乗らまいが知ったこっちゃない。あと三日間頑張って逃げるんだろ?ならコソコソ隠れて貿易船を待つよりホテルを取ってあげようか?
ロージャー:あら?優しいのね?でもそのホテルで私を捕まえて殺す算段じゃないかしら?
劉:心外だなぁ。俺は人助けが大好きなんだぜ?
ロージャー:ダウトね。
劉:ははは!バレたか!さすが白狐警戒心はとても強いみたいだ
ロージャー:それじゃ死んでくれるかしら?
劉:それは無理な要望だ。俺がここに居るって事は俺の護衛をしてる奴がいるんだ。今撃てばすぐにハチの巣だよ
ロージャー:言葉だけは達者ね?私口だけが上手い男のイチモツはしゃぶらないようにしてるの
劉:こっちだって白人にまたがってもらうと反吐が出る
ロージャー:・・・。
劉:・・・。
0:銃口を下すロージャー
ロージャー:どうしたらいいのかしら?
劉:次はどこへ行こうとしてる?
ロージャー:言えばついてくるでしょ?言わないわ
劉:じゃあこっちが一方的に教えてあげよう
ロージャー:役立つなら受け取るわ
劉:貿易船は第三倉庫近くの波止場に停泊する。なら港に逃げるより第三倉庫近くにある使われていない廃墟がある
劉:そこの廃墟はゴロツキが居るが君の美貌ですぐに手籠めにできるだろ。そこで三日間我慢したらいい
ロージャー:私このスラムで腐るほど男と寝たのよね。一人の時間が欲しいわ
劉:一人でこの国の殺し屋を相手にするか、手籠めにして男たちを駒にして逃げるか。判断は君がするといい
ロージャー:・・・。
劉:そろそろ来るぞ
ロージャー:なに?
ジュリア:クソ女ぁあああ!!
ロッド:はぁ・・はぁ・・はぁ・・・待ってくれよジュリア!はぁ・・はぁ・・・
ロージャー:チッ!
劉:あ、ちょっと待った。
ロージャー:何よ!
劉:彼女たちの車はそれだ
0:ロージャーの横に止まってる車を指さす劉
ロージャー:・・・貴方、根性が腐ってるって言われないかしら?
劉:今じゃその言葉は誉め言葉だと思ってるよ
ロージャー:ふふっ、そういう冗談好きよ
0:車のタイヤを銃で撃ち穴を開け逃げるロージャー
ジュリア:あ!待て!てめぇ!!
劉:彼女がロージャーか?
ジュリア:あぁ!劉さん!居たのか!!
劉:いや、たまたま走ってたらロッド君の車を見つけてね。
ロッド:はぁ・・はぁ・・はぁ・・・
ジュリア:変なゲームをさせやがってよ劉さん!
劉:あっはっは!刺激が大好きだろ?デビルズキラー?
ロッド:あぁああ!!
0:膝から崩れ落ちるロッド
ロッド:タイヤがパンクしてる!!なんで!?
劉:防弾タイヤにしてなかったのかい?
ロッド:そんなお金ありませんよ!
劉:こんなスラムの前で車なんて止めてたらこうなるに決まってるだろ?バカなのかいロッド君
ロッド:最悪だ・・・
ジュリア:車は置いて追いかけるぞロッド
ロッド:お、俺は一旦車会社に電話してレッカーしてもらうようにするよ
ジュリア:チッ!わぁったよ!んじゃあとで合流すんぞ!
ロッド:わかった
0:走り出すジュリア
劉:さ、それじゃ頑張ってくれよ三日後必ず連れてきてくれることを期待してる
0:車に戻る劉
ロッド:は、はい
劉:あ、デビルズキラーに伝えててくれ
ロッド:な、なんでしょうか
劉:第三倉庫近くの廃墟はゴロツキが沢山いるんだってね
ロッド:わかりました・・ちなみにそれはどういう意味でしょうか
劉:じゃ、そういうことで
ロッド:え!?劉さん?
0:車に入る劉
劉:よいしょっと
エリー:お前はどっちの味方なんだ
劉:どっちの味方?面白い質問をするねぇ
0:車の椅子に深く腰掛ける劉
劉:僕は楽しい事が大好きなただの道化だよ。
劉:ゲームも人生も楽しい方が死んだとき笑えるんだ。
0:
ロージャー:はぁ・・はぁ・・後をつけて・・きてないわね。ふぅ・・・
0:路地裏の階段に座るロージャー
ロージャー:もう少しで夜になる・・月が昇りきる前に港・・いや・・・この場所からだと・・・
ロージャー:ふふっ・・最初から選択肢を出してる様でここへ行けって言ってるみたいね・・劉祇袁・・・
0:
ロッド:おまたせジュリア
ジュリア:・・・。
ロッド:ジュリア?
ジュリア:だぁあああ!!見失った!!クソが!!
ロッド:ご、ごめんって
ジュリア:もう夜だ、明日また探すぞ
ロッド:え、いいの?
ジュリア:どうせ三日って期限あんだよ。今日終わらせなくてもいいだろ
ロッド:それはそうだけど
ジュリア:飲みに行くぞ
ロッド:え?い、いいの?
ジュリア:あぁ行くぞー
0:
劉:そうか、わかった。あぁ
エリー:誰からだ?
劉:部下からだよ。今日は捜索やめて飲みに行ったそうだ
エリー:呑気だな。
劉:あいつらはあぁなんだ。
エリー:・・・。
劉:君も三日間この国に居るんだ。観光でもしてきたらどうだ?明日もきっと捕まえてこないだろう
エリー:当初私が持ち掛けた話は人を寄越せと言ったはずだ
劉:あぁそうだね
エリー:鬼ごっこに付き合えと言うのか?
劉:鬼ごっこ?
エリー:ロージャーを捕まえる捕まえないはどうでもいい。早く人を私に引き渡せ
劉:だから引き渡そうとしてるじゃないかロージャーを
エリー:バイヤーを引き渡そうとしてるだと!?ふざけているのか!
劉:ふざける?バカな事言うんじゃない
エリー:そのセリフそのまま貴様に返す
劉:なぜ?
エリー:金を受け取ったんだ。人を渡すのが普通だろう
劉:受け取ってなんかない、事務所に置いてあるだけだ
エリー:貴様・・ふざけてるのか!!
劉:だからふざけてなんかないって言ってるじゃないか。
エリー:なら早く・・
劉:逆に、君の方こそふざけてるだろ?
エリー:何?
劉:いきなりきて人を寄越せ、前金は渡した。今すぐ出せ。「はい、わかりました」って言ってすぐに渡す奴がいるとでも?
エリー:何を言ってるんだ?
劉:この国のエンターテイメントを見せてあげてる間、用意してやるって言ってるんだ。
エリー:つまりこのくだらないエンターテイメントを三日間見せるって言いたいのか?
劉:面白い面白くないは人の感じ方次第だね。大人しく三日待ちなよ
エリー:ふざけやがって・・・
0:銃を突きつけるエリー
劉:はぁ・・情熱がある国はすぐ頭に血がのぼる。悪い癖だ
エリー:早く用意しろ!時間は金だ!!
劉:しょうがないなぁ・・・
0:立ち上がる劉
エリー:・・・。
劉:明日までに用意してあげようじゃないか。今日はホテルに戻って寝たら?熱を下げて明日会おうじゃないか
エリー:・・・わかった。
0:部屋を出るエリー
劉:おい
0:劉の部下が部屋にぞろぞろ入ってくる
劉:そこらに居る喧嘩が強い奴かたっぱしから拉致してこい。そして使えなくてもいいただのごろつきを数百持ってこい。
0:次の日
ロッド:足取りが掴めないなぁ・・・
ジュリア:ふぁーあ・・・朝から何してんだよ
ロッド:監視カメラを見てたんだけどあのスラムから出て行って以降カメラが全体的に止まってるんだ
ジュリア:ふーん
ロッド:どこに逃げたんだろう・・・
劉:やぁおっはよう二人とも!
0:玄関のドアを勢いよく開ける劉
ロッド:びっくりした!
劉:昨日は捕まえてこなかったねぇ
ジュリア:劉さんよぉ、あんた昨日イジッただろ?
劉:いや?若いとはいえもう三十も折り返してるんだ。イジるなんて
ジュリア:カメラだよ。カメラ
劉:あぁカメラか。監視カメラをいじった方がゲームは面白くなるだろ?
ジュリア:ゲームにこだわる必要あるのか?
劉:あぁそうだね。って言いたいが盤上が変わってね。今日捕まえてきてくれるかい?
ジュリア:どこに居るかもわかんないってのにどうやって見つけるんだよ
劉:第三倉庫近くにある廃墟。そこにいるよ
ジュリア:なんで知ってんだ?
劉:昨日会った時にそこに逃げるって懇切丁寧に教えてくれたよ
ジュリア:・・・。
劉:・・・。
ジュリア:行くぞロッド
ロッド:え、わかった!
劉:気を付けてねー
ジュリア:劉さん、あんた人が悪いな
劉:よく言われるよ。
0:出ていく二人
劉:人が悪い・・か。
0:廃墟
ロージャー:ねぇ私と寝たいならここに虫一匹入れないようにしてきてねみんな
0:警戒を強化する男たち
ロージャー:男って本当に単純よね。股を開いたらみんな我先に動き出す・・・ペッ
0:唾を吐くロージャー
ロージャー:本当に嫌い・・・
0:煙草を吸うロージャー
ロージャー:すぅー・・ふぅー・・・
0:
ジュリア:ここか
ロッド:なんかたくさん人いるね・・・
ジュリア:どうでもいい
0:車から降りるジュリア
ジュリア:おいお前ら
0:ゴロツキ達がジュリアに銃を構える
ジュリア:ここにアバズレ女が居るか?隠すんならお前らのゴールは地獄だ
0:銃を取り出すジュリア
ロージャー:銃撃戦が始まった・・・誰かが来たのね
0:
劉:始まったか
エリー:用意は出来たのか
劉:あぁ出来たよ。ほら
0:携帯の写真を見せる劉
エリー:こいつらは?
劉:名前も戸籍もないゴロツキ達だよ。君が好きに使っても大丈夫だよ。あと一人はロージャーをプレゼントしてあげよう
エリー:腕の立つ奴はいないのか?
劉:さぁ?一人くらいは強いんじゃない?
エリー:貴様ッ・・・!!
0:銃を取りだそうとするエリー
劉:そうやってすぐに熱くなるのはやめなよ
エリー:ッ・・・これは・・・
劉:小型爆弾。スーツの中に仕込んでおいたんだよね昨日
エリー:何の真似だ・・・
劉:銃を取り出そうとしたら作動して君の右半分はなくなるよ
エリー:何をしているのかわかってるのか?
劉:あぁわかっているとも。
エリー:母国に帰ったら真っ先に貴様を殺してやる
劉:帰る?帰れると?
エリー:なんだと・・・?
劉:ヴァカアルボロターダのボスさんですかぁー?
0:電話をかける劉
エリー:貴様如きがヴァカアルボロターダに電話が出来るとでも・・・
劉:出来るんだよねこれが。
エリー:なに?
劉:豪史会は裏のトップ。全てのマフィアとつながりを作っているのさ
エリー:貴様何を言って・・・
劉:君のところに居るエリーは人身売買を行なっている。そして、君らの規律に人身売買は禁止だって書いているよね?
エリー:ッ!貴様・・知っていたのか・・・
劉:あぁ知っているさ。最初からね
エリー:つまりわかってて遊んでいたというのか!!
劉:うん、うん。了解。またよろしく頼むね。それじゃ
0:電話を切る劉
エリー:ぼ・・ボスはなんて言ったんだ・・・
劉:え?聞かずともわかるだろ?
エリー:・・・。
0:
ロージャー:あら?汚い男が来ると思ってたのに
ジュリア:ロージャーだな
ロージャー:えぇそうよ
ジュリア:ちょっとツラ貸せよ
ロージャー:言葉が汚い。やり直し
ジュリア:黙ってついてこいよ。それとも無理やり連れてってやろうか?
ロージャー:嫌って言ったら?
ジュリア:・・・。
ロージャー:・・・。
0:銃を構える二人
ジュリア:なんだよ、考えることは一緒じゃねぇか
ロージャー:野蛮な人間と同じ考えを持ってしまった自分がはしたない・・・
0:
ロッド:ジュリア・・・大丈夫かな
0:電話が鳴る
ロッド:劉さん?もしもし
劉:やぁロッド君
ロッド:どうしました?
劉:ロージャーは捕まえたかい?
ロッド:いや、恐らくまだかと・・・
劉:そうか、ならデビルズキラーにこう伝えておいてくれ
ロッド:なんですか?
劉:もう大丈夫だよってね
ロッド:え?もう大丈夫って?
劉:あはは、えっとねそのまま伝えてくれれ・・
エリー:やめろ・・・やめろ!!劉祇袁!!!
0:電話越しで銃声が鳴る
ロッド:りゅ、劉さん!?
劉:・・・。
ロッド:劉さん!!
劉:あぁ、悪い。ちょっと取り込んでてね。ゲームは君たちの勝ちって事にしておいてあげるからデビルズキラーに伝えててくれよ。それじゃ
ロッド:え!?ちょ、劉さん!劉さん!!
0:電話が切れる
ロッド:ど・・どういうことだ・・・
0:
ジュリア:チッ!
ジュリア:(殺したらダメだって面倒だな・・・)
ロージャー:ふふっ、ノーコンね貴方
ジュリア:うぜぇな・・・殺っちまっていいか
ロージャー:一人でぶつぶつとうるさいわね
0:足を撃たれるジュリア
ジュリア:ぐっ!!ってぇな!!
ロージャー:ふふっ、殺してやるわ
0:ジュリアに近付くロージャー
ロッド:ジュリア!
ロージャー:あら?仲間が居たの?
ジュリア:ロッド!来んじゃねぇ!
ロッド:劉さんから伝言があって
ジュリア:んなもんあとで聞いてやるから戻れ!
ロージャー:劉・・?
ロッド:もう大丈夫だって
ジュリア:・・・へへっ、そうか。あーそうかそうか
ロージャー:大丈夫・・?どういうこ・・・ぐっ!!
0:ロージャーの足を撃ち抜くジュリア
ジュリア:もう大丈夫ってんならいいか。いてて・・・
ロージャー:ぬかった・・・クソッ!クソッ!!
ジュリア:さーてと、んじゃその鼻につく話し方、ムカつくし死んどけ
ロージャー:急に何よ・・・
0:倒れたロージャーに馬乗りで座るジュリア
ジュリア:別にお前みたいな奴が生きようが死のうがどうでもいいんだけどよ
ジュリア:乗りかかった船なんだよ。明日まで逃げ延びたら母国に帰れたのにな?可哀そうに
ロージャー:に・・逃がしてくれ・・ないわよね
ジュリア:あぁもちろん。
ロージャー:チッ・・こんな国に麻薬なんて売るんじゃなかった・・・
ジュリア:そんなに恨むなら最初からそんな仕事しなきゃよかったな?じゃあ死ね
ロージャー:最後にもう一本煙草が吸いたかったなぁ・・・
0:ロージャーを撃つジュリア
ロッド:・・・。
ジュリア:ふぅー・・ロッド、肩・・貸してくんねぇか?
ロッド:わ、わかった
ジュリア:いてて・・足撃たれてんだよ!もっと優しく立たせろよ!
ロッド:ご、ごめんって
0:ジュリアと共に廃墟から出る二人
0:
0:第三倉庫
劉:すぅー・・ふぅー・・・
0:車が一台止まる
劉:お、来た来た
ジュリア:殺してきたぞ劉さん
劉:おーお疲れ様
0:劉の足元を見るジュリア
ジュリア:誰を殺ったんだ?
劉:まぁいいじゃん?ゲームはどうだった?
ジュリア:すぅー・・ふぅー・・・なんもねぇいつも通りだったよ
劉:そっか
ロッド:あの・・劉さん
劉:どうした?
ロッド:殺しをゲームって言うのはどうかなって・・・
劉:あぁーそっかそっかごめんねロッド君。
ロッド:い、いえ・・・
0:劉の車のトランクを開けアタッシュケースを取り出す部下
ジュリア:これは?
劉:ゲー・・君らの勝ちだからこれは報酬。受け取りな
0:開けると大金が敷き詰めてある
ジュリア:ひょー!大金じゃねぇか!いいのか劉さん!
劉:あぁいいとも。それはもういらなくなったお金だからね
ジュリア:んじゃ遠慮なく
0:アタッシュケースを持ち車に戻るジュリア
劉:また何かあったら電話するね
ジュリア:金さえくれたらなんだってやってやるよ。んじゃな劉さん
劉:あぁ、再見
ロッド:・・・。
劉:どうした?ロッド君
ロッド:いや、あの・・えっと・・・
劉:ロッド君ひとつ教えてあげよう
ロッド:なんでしょうか
劉:君は人を殺すことに否定的な考えをずっと持っている
劉:だがしかし、それはこの国自体を否定していることに変わりない
劉:世界で今この時でも人が死ぬことはある。ただ君が知らないだけでな
劉:自分の視界からは人が死ぬ瞬間を見たくない。それはただの甘えだ
劉:この国に住み、この世界に入り、デビルズキラーという殺し屋の相方になったんだ
劉:少しは前へ進みたまえ。デビルズキラーの足を引っ張りたくないならな
ロッド:・・・。
ジュリア:おい、ロッド早く帰ろうぜ
ロッド:あ、ありがとうございます・・・では・・・
0:車へ戻るロッド
劉:すぅー・・ふぅー・・・
0:煙草を吸う劉
劉:さ、俺も帰ろうかな。
0:終わり
0:机の上にアタッシュケースを置く
劉:これは?
エリー:初めまして劉祇袁。私はエスパーニャのマフィア「ヴァカアルボロターダ」のエリーよ
劉:「暴れ牛」がこの国に何の用かな?そしてこの金は?
エリー:我々ヴァカアルボロターダーはこの国に居る優秀なギャングをウチに招き入れたいと考えている
劉:ならミラノに直接言えばいい。僕を通さずね?
エリー:お前は他国への顔役を担っていると聞いた。この金は聞かずともわかるだろ
劉:顔役・・・ねぇ?
エリー:それだけの金があれば雑多に死ねる兵は数百。名が売れてる殺し屋なら三人は買える。
劉:ふむ・・・
0:アタッシュケースの中の札束を一つ手に取る劉
劉:全部本物だね。さすがスペイン。情熱がある国は最初から本気で挑んでくるんだ
エリー:当たり前だ。この金はウチのボスが好きに使えといった金額の最高額だ。何人くれる
劉:そうだなぁ・・だったら自分の目で確かめてきたら?
エリー:何?
劉:この国は観光するには超絶不向きだが、人を見定めるのには最適な国だ。君の納得する人物を見つけて自分で交渉したらいい
エリー:ふざけているのか?
劉:ふざける?こんな大金を前にふざける程僕は余裕を持ち合わせていない。そうだなぁ・・・一人、いや二人ほど心当たりがある
0:立ち上がる劉
劉:車を表に回そう。
エリー:・・・。
劉:そんな怖い顔するなよ。褐色の肌が真っ黒になるぜ?
エリー:わかった
0:殺し屋の女「裏取引」
ジュリア:ふんふんふんふーん・・・
ロッド:ご機嫌だねジュリア
0:鼻歌を歌いながら銃の手入れをするジュリア
ジュリア:この間サリアと賭けた勝負に勝ってな?ちょっと今金に余裕があるんだわ
ロッド:へぇー
ジュリア:ガンオイルも手に入ったし弾も多く買えた。この上なくあたしは機嫌がいい
ロッド:そっか。あ、コーヒー飲む?
ジュリア:酒ねぇのか?
ロッド:酒って、まだ朝の十時回ったところだろ?せめて昼からにしなよ
ジュリア:っかぁーロッドぉ、お前はミカかよ
ロッド:はい、コーヒー
0:机の上にコーヒーを置くロッド
ジュリア:サンキュー
ロッド:ずずっ・・にしても最近は平和だね
ジュリア:だなぁ。姉御は大人しいしボスも仕事がないからって釣りに行ってるしよ
ロッド:ジュリアも家に帰れば?俺の家に入り浸ってないでさ
ジュリア:帰っても暇なんだよ。
ロッド:ここに居ても暇だろ?
ジュリア:まぁな。ん?
0:ケータイを取り出すジュリア
ジュリア:劉さん?もしもし
劉:やぁデビルズキラー元気かい?
ジュリア:どうしたんだよ劉さん。あんたから電話かけてくるなんて珍しいな
劉:いやぁなに、ここ最近暇すぎて刺激が減ったから面白くないんじゃないかと思ってね
ジュリア:はぁ?いきなり何言ってんだ?
劉:ゲームでもしないか?
ジュリア:ゲーム?なんのだよ
劉:ロッド君は近くにいるかい?
ジュリア:あぁ目の前にいるぜ
劉:じゃスピーカーにしてくれ
ジュリア:あいよ
0:ケータイをスピーカーに切り替え机の上に置くジュリア
劉:んんっ!やぁロッド君
ロッド:劉さん、どうも
劉:景気はどうだ?
ロッド:景気?いや普通ですよ
劉:そうかそうか。今デビルズキラーにも伝えたがゲームを始める
ロッド:ゲームですか?
劉:あぁ。ルールは簡単。今から言う女性を捕まえて第三倉庫の波止場前に停車してる僕の車に連れてきたら君たちの勝ち。
ジュリア:はぁ?
劉:その女性が別の人に捕まって僕の車に連れてきたら君らの負け。簡単だろ?
ジュリア:言ってる意味がよくわかんねぇよ。人探しをしろってことか?
劉:あぁそうさ。ただし、人探しは人探しでも
劉:裏取引だ
ロッド:裏取引?
ジュリア:人身売買か
劉:ご名答。今スペインのマフィアが来ててね?大金を持ってきて僕に人を売ってくれって言ってるんだ
ジュリア:この国での他国へ人を売り流すのはご法度だろ?
劉:あぁもちろんご法度さ。この国の血が入ってる人間ならね
ロッド:どういうことですか?
劉:見つけてきてほしいのはロージャーという白人女性。解体屋に身元を売られ殺さそうになったけど逃げたんだ
ジュリア:紅(ホン)のところに売られたってことはこの国で
劉:あぁ、麻薬の密輸、売買、そしてゴロツキ達の殺害を行なった。外の国で着いた名前はホワイトフォックス。白狐だ
ジュリア:そいつを生かして劉さんのところに連れて行ったらいいのか?
劉:あぁ。ただ、死なない程度に傷をつけるのは大丈夫。ただし将来的に動けないほどの重傷を負わすのは駄目だ
ジュリア:そのキツネにやたら関心を抱いてんじゃねぇか。劉さんの女か?
劉:あいにく僕は生粋の黄色人種だ。白人が苦手でね。そのロージャーをスペインのマフィアにあげるんだよ
ジュリア:わかった。
劉:じゃあ期限は三日まで。この電話を切ったその瞬間からゲームはスタート。
ロッド:りゅ、劉さん
劉:なに?
ロッド:三日以内に見つけれなかったらどうしたら?
劉:ゲームを始める前に最悪のケースを考えちゃ面白くないだろ?
ロッド:で、ですが
劉:そうだなぁ・・代わりに君かデビルズキラーを引き渡す。リクには了承を貰っておくよ
ジュリア:はぁ!?
劉:じゃ、頑張ってね。再見(サイツェン)!
ジュリア:いや、ちょ、待てよ劉さ・・・
0:電話が切れる
エリー:ずいぶんと適当だな劉祇袁
劉:あっはっはっは!この国はこれくらいテキトーでいいんだよ。無駄に肩ひじ張ってたら疲れてしまうからね
エリー:ロージャーを本当に連れてこれるのか?デビルズキラーという奴は
劉:あぁ。この国で唯一名前が知れ渡ってる殺し屋だし、本気を出せばワールドバンクをハッキング出来るまでのハッカーもいるんだ
劉:むしろできないって言われた方が僕は驚きだよ。さ、あとは大人しく待っていようじゃないか。
エリー:・・・。
0:
ジュリア:チッ!そのキツネを見つけねぇと
ロッド:ロージャーって言ってたね。調べてみる
ジュリア:せっかくいい気分だったのによ!!
ロッド:えーっと・・・
0:パソコンをカタカタ打ちだすロッド
ジュリア:自分で見つけりゃいいのによ劉さんもよ・・・
ロッド:あ、出てきた
ジュリア:はえぇな!
ロッド:確かに解体屋のリストから逃亡って書いてあるね
ジュリア:えーっと・・ロージャー・メリス?フランスの女か?なんでこの国に居んだよ
ロッド:麻薬を密輸する際に不法入国して次の貿易時に帰国する予定だったんだってさ
ジュリア:その次の貿易はいつだよ
ロッド:ちょうど三日後だね
ジュリア:チッ!本当に制限がついてんのかよ!だりぃ!!
ロッド:どうしようか
ジュリア:どうしたもこうしたも、サリアとの賭けに勝ったんだ。今回も劉さんとのゲームに勝って金を貰う
ロッド:そ、そっか
ジュリア:んじゃ見つけに行くぞ
ロッド:え、ちょ待ってくれよジュリア!
0:
ロージャー:すぅー・・ふぅー・・・あと三日でこの汚い国とおさらば出来るわ
ロージャー:あーやだやだ。早く浴槽に浸かってここの国の薄汚い男たちの脂を落としたいわ
0:裸でカーテンを開けて煙草を吸うロージャー
ロージャー:解体屋に売られてから四日が経った・・そろそろ誰かが動き出すわね。
0:ベッドで寝てる男に寄り添うロージャー
ロージャー:ねぇ?欲しいものがあるの。用意・・出来るかしら?
0:
ロッド:確かこのスラムの中に入っていったのが監視カメラに残ってたよ
ジュリア:いつだ?
ロッド:二日前だね。
ジュリア:チッ、ここの野郎どもが女を捕まえてりゃいいけど逃げられてたらどうするよ
ロッド:それはないね
ジュリア:あぁ?
ロッド:このスラム、入口と出口はここだけだしカメラはここだけにしかついてない
ジュリア:んじゃこの中から出て行ってねぇってことだな
ロッド:地下通路や屋上から逃げてたら別だけどね
ジュリア:ま、入りゃ一人くらい見たってやつはいるだろ。
0:車から降りるジュリア
ロッド:そうだね
ジュリア:んじゃ行くぞロッド
ロッド:あぁ
0:ロッドの車の数メートル後ろに止まる車
劉:見つけるのが早いねぇ。さすがロッド君だ
エリー:この中にいるのか?
劉:さぁ?でも彼がここに来たって事はあそこのカメラをハッキングしたんだろう
エリー:監視カメラをハッキング出来るのか?
劉:並大抵の人には無理だろうね。彼だから出来る事だ
エリー:私たちも行くか?
劉:見つからないようにね
エリー:わかった
0:
ジュリア:くっせぇ・・・
ロッド:スラムだからね
0:薄汚い男たちがジュリアを舐めまわすように見てくる
ジュリア:こいつら殺していいか?
ロッド:彼らも必死に生きてるんだしやめなよ
ジュリア:おいお前、ここに白人が来なかったか?
0:「一発やらしてくれたら教えてやるよ」と言いげらげら笑う男たち
ジュリア:チッ!脳天に鉛玉ぶち込んでやろうかぁ!?あぁ!?
ロッド:ちょ!ジュリア!落ち着いて!
0:銃を見て逃げ出す男たち
ジュリア:あ!お前ら待ちやがれ!!質問に答えてからどっか行きやがれ!!
ロッド:銃持って暴れたらみんな逃げるって!当たり前だろ!!
0:
ロージャー:ありがとう。愛してるわよ。
0:男にキスをするロージャー
ロージャー:ハンドガン・・弾はワンダース・・・これだけあったら貿易船が来るまでは逃げれるわね
0:後ろから抱き着いてくる男
ロージャー:もう、夜にまた寝てあげるから離れて?
0:離れる男
ロージャー:なんてね・・ふふっ
0:男の眉間を銃で撃つロージャー
ロージャー:私の欲しいものが男なんて生ゴミ同様なのよ。あー汚らわしい。ペッ
0:死んだ男に唾を吐くロージャー
ジュリア:ん?
ロッド:どうしたのジュリア
ジュリア:いや、今銃声が鳴ったよな?
ロッド:銃声?俺には聞こえなかったけど
ジュリア:いや、鳴ったぜ?しかも軽い音だからハンドガンだ
ロッド:え?本当に?
ジュリア:あぁ、こっちから聞こえた。行くぞ
ロッド:え、わかった
0:音のする方へ歩いていく二人
ロージャー:汚いけど・・まぁこのパーカーかぶれば私ってバレないわよね。よし
0:殺した男のパーカーを着るロージャー
ロージャー:とりあえずこのスラムから出て港近くであと三日過ごすかな。あーシャワー浴びたい
0:部屋を出るロージャー
ジュリア:スンスン・・ここのアパートから火薬のにおいがする
ロッド:火薬のにおいって・・犬じゃあるまいし
ジュリア:まぁついてきたらわかるって。来いよロッド
ロッド:あ、あぁ
0:ドアを開けるジュリア
ロージャー:きゃっ!
ジュリア:お、わりぃ
ロージャー:いや大丈夫よ。じゃ
0:階段から降りて歩き出すパーカーをかぶったロージャー
ロッド:(スラムの中でも香水つける人っているんだ・・・)
ジュリア:おーいロッド早く来いよ
ロッド:あ、あぁ
0:
エリー:中に入っていったぞ
劉:だねぇ。すぅー・・ふぅー・・・
0:煙草を吸う劉
エリー:おい、何を呑気に煙草を吸ってるんだ劉祇袁
劉:飽きたなぁって思ってさ
エリー:飽きる?ふざけるな!
劉:あとは頑張って連れてくるのを待って僕らは戻ろう
エリー:はぁ!?本気で言ってるのか?
劉:あぁ。もともとストーカーみたいにこそこそ隠れるの嫌いなんだよね僕は
エリー:ふざけるな!
劉:ふざけてなんかない。僕は車に戻ってるね
エリー:待て!なら私も戻る!置いていくな!
0:
ジュリア:な?あたりだったろ?
ロッド:本当だ
0:死んだ男の部屋に入る二人
ジュリア:相当銃の扱いが巧いな。眉間に一発で打ち込んでいやがる。あの女の仕業かもな
ロッド:この匂い・・・
ジュリア:あぁ、血生臭ぇな
ロッド:いや、こっちのバスルーム
ジュリア:バスルームだ?
ロッド:うん、ちょっとこっちきてジュリア
ジュリア:なんだよ・・って香水くせぇ!
ロッド:さっき入口でぶつかった人と同じ匂いなんだよねこの香水
ジュリア:あぁアタシがぶつかったやつか
ロッド:フードを目深(まぶか)にかぶって出ていったし・・あ!!
ジュリア:キツネか!!
ロッド:ロージャーって人だよ!!
ジュリア:チッ!!逃げられる!!ロッド入口まで走るぞ!!
ロッド:わ、わかった!!
0:スラム街の入口
ロージャー:ふぅ。やっぱり臭いわねこのパーカー
0:脱ぎ捨てるロージャー
エリー:お、おい劉祇袁
劉:ん?どうしたの?
エリー:あの女、ロージャーじゃないか?
劉:ん?あぁ本当だ
エリー:捕まえるか
劉:いや、捕まえない。
エリー:なんでだ!
劉:デビルズキラー達に頼んでるからねその仕事は
エリー:なんだと!!こんな絶好のチャンスをみすみす逃がすというのか!
劉:だがゲームだし面白い事をしようか
エリー:どういうことだ?あ、おいどこへ行く
0:車から降りる劉
劉:ロージャー・メリス
ロージャー:ッ!!
0:銃を構えるロージャー
劉:おっと、急に臨戦態勢になるなよ。俺は丸腰だ
0:両手を挙げて降参のポーズをとる劉
ロージャー:貴方、誰かしら?
劉:劉祇袁、豪史会のトップだ
ロージャー:豪史会・・チャイニーズね。何の用かしら?私を殺しに来たの?
劉:丸腰だって言ってるだろう?君に道を提示してあげようかなって思ってね?
ロージャー:あら?紳士ね。でも私がその誘いに乗ると思うかしら?
劉:別に乗ろうが乗らまいが知ったこっちゃない。あと三日間頑張って逃げるんだろ?ならコソコソ隠れて貿易船を待つよりホテルを取ってあげようか?
ロージャー:あら?優しいのね?でもそのホテルで私を捕まえて殺す算段じゃないかしら?
劉:心外だなぁ。俺は人助けが大好きなんだぜ?
ロージャー:ダウトね。
劉:ははは!バレたか!さすが白狐警戒心はとても強いみたいだ
ロージャー:それじゃ死んでくれるかしら?
劉:それは無理な要望だ。俺がここに居るって事は俺の護衛をしてる奴がいるんだ。今撃てばすぐにハチの巣だよ
ロージャー:言葉だけは達者ね?私口だけが上手い男のイチモツはしゃぶらないようにしてるの
劉:こっちだって白人にまたがってもらうと反吐が出る
ロージャー:・・・。
劉:・・・。
0:銃口を下すロージャー
ロージャー:どうしたらいいのかしら?
劉:次はどこへ行こうとしてる?
ロージャー:言えばついてくるでしょ?言わないわ
劉:じゃあこっちが一方的に教えてあげよう
ロージャー:役立つなら受け取るわ
劉:貿易船は第三倉庫近くの波止場に停泊する。なら港に逃げるより第三倉庫近くにある使われていない廃墟がある
劉:そこの廃墟はゴロツキが居るが君の美貌ですぐに手籠めにできるだろ。そこで三日間我慢したらいい
ロージャー:私このスラムで腐るほど男と寝たのよね。一人の時間が欲しいわ
劉:一人でこの国の殺し屋を相手にするか、手籠めにして男たちを駒にして逃げるか。判断は君がするといい
ロージャー:・・・。
劉:そろそろ来るぞ
ロージャー:なに?
ジュリア:クソ女ぁあああ!!
ロッド:はぁ・・はぁ・・はぁ・・・待ってくれよジュリア!はぁ・・はぁ・・・
ロージャー:チッ!
劉:あ、ちょっと待った。
ロージャー:何よ!
劉:彼女たちの車はそれだ
0:ロージャーの横に止まってる車を指さす劉
ロージャー:・・・貴方、根性が腐ってるって言われないかしら?
劉:今じゃその言葉は誉め言葉だと思ってるよ
ロージャー:ふふっ、そういう冗談好きよ
0:車のタイヤを銃で撃ち穴を開け逃げるロージャー
ジュリア:あ!待て!てめぇ!!
劉:彼女がロージャーか?
ジュリア:あぁ!劉さん!居たのか!!
劉:いや、たまたま走ってたらロッド君の車を見つけてね。
ロッド:はぁ・・はぁ・・はぁ・・・
ジュリア:変なゲームをさせやがってよ劉さん!
劉:あっはっは!刺激が大好きだろ?デビルズキラー?
ロッド:あぁああ!!
0:膝から崩れ落ちるロッド
ロッド:タイヤがパンクしてる!!なんで!?
劉:防弾タイヤにしてなかったのかい?
ロッド:そんなお金ありませんよ!
劉:こんなスラムの前で車なんて止めてたらこうなるに決まってるだろ?バカなのかいロッド君
ロッド:最悪だ・・・
ジュリア:車は置いて追いかけるぞロッド
ロッド:お、俺は一旦車会社に電話してレッカーしてもらうようにするよ
ジュリア:チッ!わぁったよ!んじゃあとで合流すんぞ!
ロッド:わかった
0:走り出すジュリア
劉:さ、それじゃ頑張ってくれよ三日後必ず連れてきてくれることを期待してる
0:車に戻る劉
ロッド:は、はい
劉:あ、デビルズキラーに伝えててくれ
ロッド:な、なんでしょうか
劉:第三倉庫近くの廃墟はゴロツキが沢山いるんだってね
ロッド:わかりました・・ちなみにそれはどういう意味でしょうか
劉:じゃ、そういうことで
ロッド:え!?劉さん?
0:車に入る劉
劉:よいしょっと
エリー:お前はどっちの味方なんだ
劉:どっちの味方?面白い質問をするねぇ
0:車の椅子に深く腰掛ける劉
劉:僕は楽しい事が大好きなただの道化だよ。
劉:ゲームも人生も楽しい方が死んだとき笑えるんだ。
0:
ロージャー:はぁ・・はぁ・・後をつけて・・きてないわね。ふぅ・・・
0:路地裏の階段に座るロージャー
ロージャー:もう少しで夜になる・・月が昇りきる前に港・・いや・・・この場所からだと・・・
ロージャー:ふふっ・・最初から選択肢を出してる様でここへ行けって言ってるみたいね・・劉祇袁・・・
0:
ロッド:おまたせジュリア
ジュリア:・・・。
ロッド:ジュリア?
ジュリア:だぁあああ!!見失った!!クソが!!
ロッド:ご、ごめんって
ジュリア:もう夜だ、明日また探すぞ
ロッド:え、いいの?
ジュリア:どうせ三日って期限あんだよ。今日終わらせなくてもいいだろ
ロッド:それはそうだけど
ジュリア:飲みに行くぞ
ロッド:え?い、いいの?
ジュリア:あぁ行くぞー
0:
劉:そうか、わかった。あぁ
エリー:誰からだ?
劉:部下からだよ。今日は捜索やめて飲みに行ったそうだ
エリー:呑気だな。
劉:あいつらはあぁなんだ。
エリー:・・・。
劉:君も三日間この国に居るんだ。観光でもしてきたらどうだ?明日もきっと捕まえてこないだろう
エリー:当初私が持ち掛けた話は人を寄越せと言ったはずだ
劉:あぁそうだね
エリー:鬼ごっこに付き合えと言うのか?
劉:鬼ごっこ?
エリー:ロージャーを捕まえる捕まえないはどうでもいい。早く人を私に引き渡せ
劉:だから引き渡そうとしてるじゃないかロージャーを
エリー:バイヤーを引き渡そうとしてるだと!?ふざけているのか!
劉:ふざける?バカな事言うんじゃない
エリー:そのセリフそのまま貴様に返す
劉:なぜ?
エリー:金を受け取ったんだ。人を渡すのが普通だろう
劉:受け取ってなんかない、事務所に置いてあるだけだ
エリー:貴様・・ふざけてるのか!!
劉:だからふざけてなんかないって言ってるじゃないか。
エリー:なら早く・・
劉:逆に、君の方こそふざけてるだろ?
エリー:何?
劉:いきなりきて人を寄越せ、前金は渡した。今すぐ出せ。「はい、わかりました」って言ってすぐに渡す奴がいるとでも?
エリー:何を言ってるんだ?
劉:この国のエンターテイメントを見せてあげてる間、用意してやるって言ってるんだ。
エリー:つまりこのくだらないエンターテイメントを三日間見せるって言いたいのか?
劉:面白い面白くないは人の感じ方次第だね。大人しく三日待ちなよ
エリー:ふざけやがって・・・
0:銃を突きつけるエリー
劉:はぁ・・情熱がある国はすぐ頭に血がのぼる。悪い癖だ
エリー:早く用意しろ!時間は金だ!!
劉:しょうがないなぁ・・・
0:立ち上がる劉
エリー:・・・。
劉:明日までに用意してあげようじゃないか。今日はホテルに戻って寝たら?熱を下げて明日会おうじゃないか
エリー:・・・わかった。
0:部屋を出るエリー
劉:おい
0:劉の部下が部屋にぞろぞろ入ってくる
劉:そこらに居る喧嘩が強い奴かたっぱしから拉致してこい。そして使えなくてもいいただのごろつきを数百持ってこい。
0:次の日
ロッド:足取りが掴めないなぁ・・・
ジュリア:ふぁーあ・・・朝から何してんだよ
ロッド:監視カメラを見てたんだけどあのスラムから出て行って以降カメラが全体的に止まってるんだ
ジュリア:ふーん
ロッド:どこに逃げたんだろう・・・
劉:やぁおっはよう二人とも!
0:玄関のドアを勢いよく開ける劉
ロッド:びっくりした!
劉:昨日は捕まえてこなかったねぇ
ジュリア:劉さんよぉ、あんた昨日イジッただろ?
劉:いや?若いとはいえもう三十も折り返してるんだ。イジるなんて
ジュリア:カメラだよ。カメラ
劉:あぁカメラか。監視カメラをいじった方がゲームは面白くなるだろ?
ジュリア:ゲームにこだわる必要あるのか?
劉:あぁそうだね。って言いたいが盤上が変わってね。今日捕まえてきてくれるかい?
ジュリア:どこに居るかもわかんないってのにどうやって見つけるんだよ
劉:第三倉庫近くにある廃墟。そこにいるよ
ジュリア:なんで知ってんだ?
劉:昨日会った時にそこに逃げるって懇切丁寧に教えてくれたよ
ジュリア:・・・。
劉:・・・。
ジュリア:行くぞロッド
ロッド:え、わかった!
劉:気を付けてねー
ジュリア:劉さん、あんた人が悪いな
劉:よく言われるよ。
0:出ていく二人
劉:人が悪い・・か。
0:廃墟
ロージャー:ねぇ私と寝たいならここに虫一匹入れないようにしてきてねみんな
0:警戒を強化する男たち
ロージャー:男って本当に単純よね。股を開いたらみんな我先に動き出す・・・ペッ
0:唾を吐くロージャー
ロージャー:本当に嫌い・・・
0:煙草を吸うロージャー
ロージャー:すぅー・・ふぅー・・・
0:
ジュリア:ここか
ロッド:なんかたくさん人いるね・・・
ジュリア:どうでもいい
0:車から降りるジュリア
ジュリア:おいお前ら
0:ゴロツキ達がジュリアに銃を構える
ジュリア:ここにアバズレ女が居るか?隠すんならお前らのゴールは地獄だ
0:銃を取り出すジュリア
ロージャー:銃撃戦が始まった・・・誰かが来たのね
0:
劉:始まったか
エリー:用意は出来たのか
劉:あぁ出来たよ。ほら
0:携帯の写真を見せる劉
エリー:こいつらは?
劉:名前も戸籍もないゴロツキ達だよ。君が好きに使っても大丈夫だよ。あと一人はロージャーをプレゼントしてあげよう
エリー:腕の立つ奴はいないのか?
劉:さぁ?一人くらいは強いんじゃない?
エリー:貴様ッ・・・!!
0:銃を取りだそうとするエリー
劉:そうやってすぐに熱くなるのはやめなよ
エリー:ッ・・・これは・・・
劉:小型爆弾。スーツの中に仕込んでおいたんだよね昨日
エリー:何の真似だ・・・
劉:銃を取り出そうとしたら作動して君の右半分はなくなるよ
エリー:何をしているのかわかってるのか?
劉:あぁわかっているとも。
エリー:母国に帰ったら真っ先に貴様を殺してやる
劉:帰る?帰れると?
エリー:なんだと・・・?
劉:ヴァカアルボロターダのボスさんですかぁー?
0:電話をかける劉
エリー:貴様如きがヴァカアルボロターダに電話が出来るとでも・・・
劉:出来るんだよねこれが。
エリー:なに?
劉:豪史会は裏のトップ。全てのマフィアとつながりを作っているのさ
エリー:貴様何を言って・・・
劉:君のところに居るエリーは人身売買を行なっている。そして、君らの規律に人身売買は禁止だって書いているよね?
エリー:ッ!貴様・・知っていたのか・・・
劉:あぁ知っているさ。最初からね
エリー:つまりわかってて遊んでいたというのか!!
劉:うん、うん。了解。またよろしく頼むね。それじゃ
0:電話を切る劉
エリー:ぼ・・ボスはなんて言ったんだ・・・
劉:え?聞かずともわかるだろ?
エリー:・・・。
0:
ロージャー:あら?汚い男が来ると思ってたのに
ジュリア:ロージャーだな
ロージャー:えぇそうよ
ジュリア:ちょっとツラ貸せよ
ロージャー:言葉が汚い。やり直し
ジュリア:黙ってついてこいよ。それとも無理やり連れてってやろうか?
ロージャー:嫌って言ったら?
ジュリア:・・・。
ロージャー:・・・。
0:銃を構える二人
ジュリア:なんだよ、考えることは一緒じゃねぇか
ロージャー:野蛮な人間と同じ考えを持ってしまった自分がはしたない・・・
0:
ロッド:ジュリア・・・大丈夫かな
0:電話が鳴る
ロッド:劉さん?もしもし
劉:やぁロッド君
ロッド:どうしました?
劉:ロージャーは捕まえたかい?
ロッド:いや、恐らくまだかと・・・
劉:そうか、ならデビルズキラーにこう伝えておいてくれ
ロッド:なんですか?
劉:もう大丈夫だよってね
ロッド:え?もう大丈夫って?
劉:あはは、えっとねそのまま伝えてくれれ・・
エリー:やめろ・・・やめろ!!劉祇袁!!!
0:電話越しで銃声が鳴る
ロッド:りゅ、劉さん!?
劉:・・・。
ロッド:劉さん!!
劉:あぁ、悪い。ちょっと取り込んでてね。ゲームは君たちの勝ちって事にしておいてあげるからデビルズキラーに伝えててくれよ。それじゃ
ロッド:え!?ちょ、劉さん!劉さん!!
0:電話が切れる
ロッド:ど・・どういうことだ・・・
0:
ジュリア:チッ!
ジュリア:(殺したらダメだって面倒だな・・・)
ロージャー:ふふっ、ノーコンね貴方
ジュリア:うぜぇな・・・殺っちまっていいか
ロージャー:一人でぶつぶつとうるさいわね
0:足を撃たれるジュリア
ジュリア:ぐっ!!ってぇな!!
ロージャー:ふふっ、殺してやるわ
0:ジュリアに近付くロージャー
ロッド:ジュリア!
ロージャー:あら?仲間が居たの?
ジュリア:ロッド!来んじゃねぇ!
ロッド:劉さんから伝言があって
ジュリア:んなもんあとで聞いてやるから戻れ!
ロージャー:劉・・?
ロッド:もう大丈夫だって
ジュリア:・・・へへっ、そうか。あーそうかそうか
ロージャー:大丈夫・・?どういうこ・・・ぐっ!!
0:ロージャーの足を撃ち抜くジュリア
ジュリア:もう大丈夫ってんならいいか。いてて・・・
ロージャー:ぬかった・・・クソッ!クソッ!!
ジュリア:さーてと、んじゃその鼻につく話し方、ムカつくし死んどけ
ロージャー:急に何よ・・・
0:倒れたロージャーに馬乗りで座るジュリア
ジュリア:別にお前みたいな奴が生きようが死のうがどうでもいいんだけどよ
ジュリア:乗りかかった船なんだよ。明日まで逃げ延びたら母国に帰れたのにな?可哀そうに
ロージャー:に・・逃がしてくれ・・ないわよね
ジュリア:あぁもちろん。
ロージャー:チッ・・こんな国に麻薬なんて売るんじゃなかった・・・
ジュリア:そんなに恨むなら最初からそんな仕事しなきゃよかったな?じゃあ死ね
ロージャー:最後にもう一本煙草が吸いたかったなぁ・・・
0:ロージャーを撃つジュリア
ロッド:・・・。
ジュリア:ふぅー・・ロッド、肩・・貸してくんねぇか?
ロッド:わ、わかった
ジュリア:いてて・・足撃たれてんだよ!もっと優しく立たせろよ!
ロッド:ご、ごめんって
0:ジュリアと共に廃墟から出る二人
0:
0:第三倉庫
劉:すぅー・・ふぅー・・・
0:車が一台止まる
劉:お、来た来た
ジュリア:殺してきたぞ劉さん
劉:おーお疲れ様
0:劉の足元を見るジュリア
ジュリア:誰を殺ったんだ?
劉:まぁいいじゃん?ゲームはどうだった?
ジュリア:すぅー・・ふぅー・・・なんもねぇいつも通りだったよ
劉:そっか
ロッド:あの・・劉さん
劉:どうした?
ロッド:殺しをゲームって言うのはどうかなって・・・
劉:あぁーそっかそっかごめんねロッド君。
ロッド:い、いえ・・・
0:劉の車のトランクを開けアタッシュケースを取り出す部下
ジュリア:これは?
劉:ゲー・・君らの勝ちだからこれは報酬。受け取りな
0:開けると大金が敷き詰めてある
ジュリア:ひょー!大金じゃねぇか!いいのか劉さん!
劉:あぁいいとも。それはもういらなくなったお金だからね
ジュリア:んじゃ遠慮なく
0:アタッシュケースを持ち車に戻るジュリア
劉:また何かあったら電話するね
ジュリア:金さえくれたらなんだってやってやるよ。んじゃな劉さん
劉:あぁ、再見
ロッド:・・・。
劉:どうした?ロッド君
ロッド:いや、あの・・えっと・・・
劉:ロッド君ひとつ教えてあげよう
ロッド:なんでしょうか
劉:君は人を殺すことに否定的な考えをずっと持っている
劉:だがしかし、それはこの国自体を否定していることに変わりない
劉:世界で今この時でも人が死ぬことはある。ただ君が知らないだけでな
劉:自分の視界からは人が死ぬ瞬間を見たくない。それはただの甘えだ
劉:この国に住み、この世界に入り、デビルズキラーという殺し屋の相方になったんだ
劉:少しは前へ進みたまえ。デビルズキラーの足を引っ張りたくないならな
ロッド:・・・。
ジュリア:おい、ロッド早く帰ろうぜ
ロッド:あ、ありがとうございます・・・では・・・
0:車へ戻るロッド
劉:すぅー・・ふぅー・・・
0:煙草を吸う劉
劉:さ、俺も帰ろうかな。
0:終わり