台本概要

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タイトル この街でいちばん大きな木.another
作者名 東雲あお
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「あいしてるぜ、親友」

『この街でいちばん大きな木』のつづきです。
Aが男性口調、Bが女性口調になっていますが
一人称、語尾などを変えて不問2としてもお使いください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
A 不問 25 28歳。社会人。
B 不問 25 ???
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:  0:まだ冬の寒さの残る三月の頭、小高い丘の上 0:この街を一望できるこの場所に、立派な一本の木が立っている 0:三日前から降り続いている雨は、今日も止む気配はない 0:そこにやってくる人影がひとつ :  A:よお B:おや? A:また来たぜ B:また来たのか、暇人かな? A:意外と寂しがり屋だったお前がさ、 B:うん? A:一人で泣いてるんじゃないかって、思ってさ B:なんだそれ。こどもじゃあるまいし A:そんな気がして、つい、ここに来ちまうんだ B:気持ちは、嬉しいけどね A:・・・。 B:なんだよ A:この場所は、変わらねえな B:そうだね A:・・・なあ、俺の話も聞いてくれないか? B:もちろん。聞いてあげようじゃないか A:数年がかりで仕掛けてきたプロジェクトがさ、全部、水の泡になっちゃってさあ B:それはたいへん A:お偉いさんの面子守る為だけに、ちゃぶ台返しだよ。今どき信じられるか?そんな話 B:いい迷惑だよねえ A:もーみんな途方にくれちゃって、部署内の空気さいあくってかんじ。どうしたもんかなーこれから B:ご愁傷さまだね A:最近までずーっと忙しかったのに、いきなり暇になっちゃってさ、 B:忙しいって言ってる割には、結構、会いに来てくれるよね A:家でゴロゴロしてると、やっぱり、どうしても、お前のことを思い出しちゃうんだ B:へえ A:・・・もう、三年になるんだな B:そっかあ。そんなに経つのか。実感ないなあ A:なあ B:うん? A:本当にお前は、もういないのか? B:実はずっと、ここにいるんだけどね A:ここに来れば、会えるような気がして B:そういうとこ鋭いよね A:お前がこの木に寄りかかってて、眠たそうな目で、ぼんやりと街を見下ろしている A:そんな気がして・・・ B:キミはいつだって、私を見つけてくれる A:さびしいよなあ B:ありがとね A:なんで、お前だったんだろうな B:私はキミと出会えてよかったよ A:さびしいよ B:あいしてるぜ、親友 A:・・・はー、やめやめ。雨の日ってのは駄目だな、辛気臭くて B:だいじょうぶだよ。しっかり、前を向いて A:また、来るよ。何かあったらさ A:お前との思い出が詰まった、小高い丘の上の、この街が一望できるこの場所に B:うん。待ってる A:今度は酒でも買ってくるか。一緒に飲もうぜ B:それはどうなんだ?一人で酒盛りしてたら不審者でしょ A:それじゃあ、またな B:うん、またね :  0:二人の会話を、大きな木だけが静かに聞いていた 0:三日前から降り続いている雨は、今日も止む気配はなく、 0:枝葉を伝って零れ落ちる雨粒は、その大きな木の涙のように見えた : 

:  0:まだ冬の寒さの残る三月の頭、小高い丘の上 0:この街を一望できるこの場所に、立派な一本の木が立っている 0:三日前から降り続いている雨は、今日も止む気配はない 0:そこにやってくる人影がひとつ :  A:よお B:おや? A:また来たぜ B:また来たのか、暇人かな? A:意外と寂しがり屋だったお前がさ、 B:うん? A:一人で泣いてるんじゃないかって、思ってさ B:なんだそれ。こどもじゃあるまいし A:そんな気がして、つい、ここに来ちまうんだ B:気持ちは、嬉しいけどね A:・・・。 B:なんだよ A:この場所は、変わらねえな B:そうだね A:・・・なあ、俺の話も聞いてくれないか? B:もちろん。聞いてあげようじゃないか A:数年がかりで仕掛けてきたプロジェクトがさ、全部、水の泡になっちゃってさあ B:それはたいへん A:お偉いさんの面子守る為だけに、ちゃぶ台返しだよ。今どき信じられるか?そんな話 B:いい迷惑だよねえ A:もーみんな途方にくれちゃって、部署内の空気さいあくってかんじ。どうしたもんかなーこれから B:ご愁傷さまだね A:最近までずーっと忙しかったのに、いきなり暇になっちゃってさ、 B:忙しいって言ってる割には、結構、会いに来てくれるよね A:家でゴロゴロしてると、やっぱり、どうしても、お前のことを思い出しちゃうんだ B:へえ A:・・・もう、三年になるんだな B:そっかあ。そんなに経つのか。実感ないなあ A:なあ B:うん? A:本当にお前は、もういないのか? B:実はずっと、ここにいるんだけどね A:ここに来れば、会えるような気がして B:そういうとこ鋭いよね A:お前がこの木に寄りかかってて、眠たそうな目で、ぼんやりと街を見下ろしている A:そんな気がして・・・ B:キミはいつだって、私を見つけてくれる A:さびしいよなあ B:ありがとね A:なんで、お前だったんだろうな B:私はキミと出会えてよかったよ A:さびしいよ B:あいしてるぜ、親友 A:・・・はー、やめやめ。雨の日ってのは駄目だな、辛気臭くて B:だいじょうぶだよ。しっかり、前を向いて A:また、来るよ。何かあったらさ A:お前との思い出が詰まった、小高い丘の上の、この街が一望できるこの場所に B:うん。待ってる A:今度は酒でも買ってくるか。一緒に飲もうぜ B:それはどうなんだ?一人で酒盛りしてたら不審者でしょ A:それじゃあ、またな B:うん、またね :  0:二人の会話を、大きな木だけが静かに聞いていた 0:三日前から降り続いている雨は、今日も止む気配はなく、 0:枝葉を伝って零れ落ちる雨粒は、その大きな木の涙のように見えた :